ログ速トップ
1 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/25(土) 04:07:09 ID:qnTIFhNP0 [1/10回(PC)]
前スレ
http://life8.2ch.net/test/read.cgi/alone/1183774960/
2 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/25(土) 04:08:11 ID:qnTIFhNP0 [2/10回(PC)]
みんなで小説を投稿するスレです。
3名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/25(土) 13:37:49 ID:uTO+qy4t0 [1/1回(PC)]
随分スレ立てるの早いなオイ
まだ100レス近く残ってんぞ
4 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/25(土) 15:57:47 ID:qnTIFhNP0 [3/10回(PC)]
>>3
なんか512k超えて書き込めなくなったんです。前スレ
5 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/25(土) 16:35:54 ID:qnTIFhNP0 [4/10回(PC)]
このブログのカテゴリー「小説フォルテシモ」に投稿している小説が一話から有るんだな。
http://uiuiui.10.dtiblog.com/

↓最新話
6 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/25(土) 16:36:42 ID:qnTIFhNP0 [5/10回(PC)]
フォルテシモ第四十六話「月の夜の出会い」

テレーゼ達はチベットの白いドーム状の建物まで連れてこられた。
建物中でアシモ達とテレーゼは分けられテレーゼだけ大きなスクリーンのある部屋に通される。
アシモが心配そうな顔でテレーゼを見送る。
二人のレッドラムに拘束された状態で部屋の真ん中に立つ。
スクリーンの白い背景の上に人が映し出される。
白髪のオールバックの男だ。
「ご足労有り難いテレーゼ博士。私はアマントという者です。お前達、拘束を解け」
アマントがレッドラムに命令する。
二人は少ししぶって拘束を解く。
テレーゼは首をコキコキ鳴らす。
非常にリラックスしているようだ。
「さて、テレーゼ博士。早速、お連れした理由をお聞かせしよう」
アマントが言う。
「博士の最近の専門は人間のクローンだと聞いている。博士ならどの分野に
 関わってもすぐに最先端の技術を開発できると思っていますが……
 私はそれに関する技術を提供していただこうと考えています」
「ふーん」
テレーゼは首を斜めにする。
「そうだろうとは思ったけど」
テレーゼが少し笑顔を見せる。
「拒否したらどうなるかとかそういう野蛮な事は言いたくない。承諾してくれるかな?」
テレーゼは眉一つ動かさない。
「目的は何ですの? それが分からない事には……」
アマントがニヤッと笑う。
「スカイクロラというレッドラムの亜種がいる。背中に翼が生え飛翔能力を
 持っている。迫害された歴史を持っていてレッドラムを憎んでいる。
 私と同じだ。私はチベットの村に出向き活きの良いスカイクロラを
 10体見繕ってきた。あなたには彼らのクローン軍団を作っていただきたい。
 今のクローン技術からしてオリジナルと同じ強さを求める事が到底できない
 事は知っているが……目的は……レッドラムの絶滅だ……」
テレーゼが緊張する。
汗がつうっと頬を伝う。
自分も一度はやろうとした……いや、ほとんどやったと言っても過言ではないが……
この男は何か普通とは常軌を逸している。
テレーゼは感じた。
「レッドラムに恨みをお持ちなのね……個人的に……深く追求しませんが……
 興味も無いですし……」
テレーゼは言う。
アマントはまたニヤリと笑う。
「返答は?」
金属音が響いて2人のレッドラムがテレーゼに銃口を向ける。
テレーゼはおかしくなってくる。
アハハ!
アハハハハハ!
腹の底で自分が一人笑っている。
7 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/25(土) 16:38:04 ID:qnTIFhNP0 [6/10回(PC)]
こんな事に拘って何になる。
私は汚く生き残ってやる。
今までだってずっとそうしてきたんだ。
私は道具。
本当の自分は5年前南極に置いてきた。
「嫌だけど……しょうがないからやりますよ」
テレーゼは言った。
レッドラムか……
アイツ……
生きてるかどうかも分からないミナセがいる……
こんな私情が膨れ上がったヤツに殺されるんなら
アイツもそこまでのヤツだったって事だ……
関係ない。
全部関係ないね。
テレーゼは思って思考停止した。
アマントが笑っている。
「有り難いね……あなたは特別待遇だ」
はん!
テレーゼは鼻で笑った。

その2ヵ月後。
ミナセとルナがイタリアの食べ物屋でスパゲッティを食べている。
「飽きてきたねスパゲッティ」
ルナが言う。
スプーンの上でフォークをくるくる回してパスタをからめとっている。
「いや、俺は一生此処に居ても良い。最高。オゥ! ベッラ!」
ルナが多少呆れている。
「アイツ等野放しにしてても大丈夫なのかな。私激動の時代生きてないから
 よく分かんないけどああいう悪い芽は早めに摘んどいた方が……」
「ルナ。そういう老けた事言ってると早く老けるぞ」
ルナが頬を膨らます。
「生物学的根拠がありませんー」
ミナセは眼をつぶっている。
うちの父さんは本当やる気が無いな。
ルナは思う。
自分が自分をコントロールできていないのだろうか?
子供って事?
ミナセを見習えば良いのかなぁ……
ルナは疑問だった。
「血のたぎりが欲しいぜ……足りないのは……ルナの前では言えない事だな……」
「? 何言ってるの?」
ルナがキョトンとする。
「よし。俺もあの砂漠に何か財宝のごとき物が隠されている気がしてきたぞ。
 行こうぜルナ! エルサレムに戻ろう! 力試しだ!」
「えっ? う……うん」
ルナは何を言っているのかよく分からなかったが頷く。
なんで急に気が変わったんだろう。
8 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/25(土) 16:38:45 ID:qnTIFhNP0 [7/10回(PC)]
大人って分からない……
「俺のセンサーがビンビンいってやがる。神風吹くぜ!」
ミナセは毅然とした表情で言った。
わけ分かんないけどやっぱこの人面白い……
ルナは思って笑顔を作った。

スカイクロラ基地。
ニューヨーク支部。
ジュペリがトレーニング室で気を張っている。
銃弾を避けるシミュレーションのトレーニングだ。
四角い真っ白な部屋の中でホログラムの銃弾が四方八方から撃たれてくる。
ジュペリは最小限の動きで銃弾を避けまくる。
汗が飛び散る。
眼をつぶる。
銃弾の移動によって生じる再現された風圧を感じとり避ける。

ビーッ! ビーッ!

最後に二回機械音が鳴った。
二発銃弾を喰らったサインだ。
上出来……
ジュペリは思った。
トレーニング室を出るとジュペリの顔に向かってタオルが投げられた。
投げたのはピンク髪のモアだった。
「お疲れ」
短く言った。
モアがニッコリと微笑む。
モアは変わった。
村に居た頃は温和で心優しい地味な女の子だった。
それがアマントのマインドコントロールを数回受けてから突然髪をピンクに染めた。
性格は残虐なものに変わり周囲は戸惑いを隠せなかった。
強さへの執拗な拘り……高くなるばかりのプライド……
この娘は何かを壊されてしまったのだ……ジュペリは何度もそう思った。
モアは自分でトレーニング室の中に入りヘッドホンをつけたまま
ジュペリと同じトレーニングに入る。
ジュペリはそれを見守る。
射撃が始まってジュペリは眼を見張った。
凄まじいスピードだ。
2ヶ月前から格段に速くなっている。
翼の推進力も利用して瞬発力をあげている。
これは……
トレーニングが終わった。
ブザーは鳴らなかった。
ジュペリは生唾をゴクンと飲み込む。
モアは自分でハンカチを取り出し汗をふく。
チラリとジュペリの方を見やる。
冷たい眼だった。
モアは……村のモアは一体何処に行ってしまったんだ……?
ジュペリは瞬間的に懊悩する。
9 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/25(土) 16:39:21 ID:qnTIFhNP0 [8/10回(PC)]
それは絶望に似ていた。
しかしモアは次の瞬間パッと明るい表情を見せる。
そしてヘッドホンを外す。
「ピンクハイデガー聴いてたんだ。ご機嫌だよ。ジュペリも聴きなよ」
そう言ってヘッドホンを渡す。
ジュペリはおずおずと受け取る。
頭にはめてみる。

ギュイーン! キャルキャルキャル! ドゴシャァァァ!

不規則な金属音が連続する。
頭がくらくらしてきた。
なんだかモアの今の姿とマッチした音楽だった。
変わっちまったんだなモア……
ジュペリはなんだか笑けてきた。
ピンクハイデガーか。覚えておこう。
ジュペリは思った。
モアはニコニコしながらジュペリを見ている。
聴いている間にガロアがトレーニング室に入り出てきた。
彼もノーミスだった。
俺、弱い部類なのかなぁ……
帰って趣味の模型飛行機作ろう。
ジュペリは思った。

ミナセとルナは一晩疾走してエルサレムに帰ってきた。
「疲れたー」
もとの岩の中の家ですぐにルナはハンモックに飛び乗った。
ミナセは外に出る。
双眼鏡でエルサレムの方角を見やる。
白いドームが見えた。
かなりの大きさだ。
「何だありゃ」
ミナセは呟く。
月明かりに照らされた、幻想的な光景だった。
あの翼手目……の親玉が建てたのかな……
ミナセは思う。
ルナはもう寝てしまった。
調査に向かう事にする。
夜道をてくてく歩く。
良い所だよな……砂漠と月明かり……
ミナセは思いながら30分歩く。

バチッ!

ふいに衝撃を感じて体がしびれる。
何だ?
もう一度歩き出す。
また弾けるような音がして進行を阻害された。
どうやらドームを中心に光子力バリアが張られているらしい。
「何てこった。引きこもりやがった」
ミナセは呟く。
こりゃ難攻不落だ……
ミナセは思って視線をスライドさせる。

10 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/25(土) 16:40:34 ID:qnTIFhNP0 [9/10回(PC)]
その時眼の端に動く物を捉えた。
アレは……
飛び跳ねている……
踊っている……人だ……
月明かりに照らされながら幻想的な光景を作り出していた……
トン トン トトン トン
何の踊りだろう……
ミナセは数瞬魅了された。
栗毛色のロングの髪が宙に舞う。
女だ。
クラシックなゴテゴテした地味な色調の服を着ている。
それが舞うたび舞い上がる。
スゲエ……
ミナセは思った。
踊っていた人間がミナセに気付く。
パッと踊りが終わる。
ミナセはハッとする。
女がニコリと微笑む。
ミナセは急いで女の方に駆け寄る。
女はバリアの向こう側に居る。
正面から女を見据える。
「君……何してるの?」
ミナセは尋ねる。
「サボテン採りに来たついでに踊ってましたの。月がとても綺麗だからつい……」
女は言った。
その眼が妖しい輝きをみせる。
ミナセはすっかり見入ってしまった。
ゴクンと生唾を飲み込む。
「名前はなんていうの……?」
ミナセが聞いた。
いきなり変かな……
「フリーダ・ベルヒトルトですわ」
女はペコリと礼をする。
「俺、ビョウドウイン・ミナセ」
言葉がするすると舌を這う。
俺はその日……
月明かりが煌々と照っていた。

11 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/25(土) 23:34:48 ID:qnTIFhNP0 [10/10回(PC)]
◆全然違うかもしれない次回予告

フリーダとミナセふわふわした会話。
ミナセ、フリーダに惚れる。

カンジとネプト修行。
マナの力を感じろ。

アリスとフリーダ会話。
フリーダ「面白い人に会った」

ガブリエル、ミナセとルナ発見。
皆には内緒にしておく。
ガブ「美味しい所いただいてやる」
双眼鏡でルナ見る。

ルナ、ミナセの行動不信がる。

続く
12 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/26(日) 01:36:37 ID:VnuCxKhi0 [1/5回(PC)]
フォルテシモ第四十七話「隔たれた2人」

ミナセはフリーダと名乗った女の全体をまじまじと見つめる。
おかしいな……なんか懐かしいような……
フリーダはそんなミナセをよそに片足を上げる動作をした。
ニコリと微笑む。
底知れない奥行きが感じられた。
これは……この感じは……
同じような経験を共有してきた証か……
「君も……レッドラムだね……」
ミナセは言った。
フリーダはキョトンとする。
「どうしてお分かりになったの?」
フリーダは尋ねる。
「細胞と遺伝子が俺と似てるから」
ミナセは言った。
何だそりゃ。
自分で自分に突っ込みをいれる。
フリーダが笑顔になる。
「あなたもレッドラムですのね。お強そうだわ」
ミナセが動揺してブンブン頭を振る。
「滅相も無い。俺なんかまだまだヒヨッコで……」
フリーダがきゃらきゃら笑った。
そしてバリアのあるらしき部分に手を触れる。
バチッと音がする。
フリーダの手が焼け焦げる。
「危ないよ」
ミナセは慌てて制止する。
フリーダはバリアにつかないスレスレの所で手を広げる。
「ああ、最低」
フリーダは呟く。
何言ってるんだろう。
ミナセはいぶかしがる。
「サボテンが好きなんだ?」
「ええ。生き様に憧れますわ」
フリーダは月を見ながら言った。
生き様……?サボテンの……?
やっぱ変わった娘だな……
ミナセは思う。
「サボテンは私と似ていますの。私もCAM植物ですわ」
余計分からなくなった。
「俺は……」
ミナセは邪宗門でふわふわ浮かぶ水の球体を作る。
フリーダが目を丸くする。
「この通り水使いだから……サボテンとは少し違うかな」
通じるかな?
通じてくれ。
「正反対の物って逆に似ていると思いませんか?」
フリーダは目を見開いたままミナセに顔を近づける。
あんまり近づきすぎるとバリアが……
……と思ったが声にならない。
綺麗だ……
もっと近くで見たい……
13 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/26(日) 01:37:22 ID:VnuCxKhi0 [2/5回(PC)]
ミナセも顔を近づける。
「右目……なんで隠してらっしゃるの?」
フリーダが問う。
ミナセはこの質問には動じない。
「無いんだよ。髪かきあげても真っ黒だ」
フリーダはほっほうと顎に手を持っていく。
「影がおありなのね……」
なんか違わないか……
フリーダはただただニコニコしている。
「前、どっかで会った事なかったっけ」
ミナセは問う。
何この常套句。
最低だぞ。おい。
フリーダは後ろをくるりと向いて少し考え込む。
「私もさっきからそんな気がしてましたの」
フリーダは言った。
どんな顔して言ってるんだろう。
ミナセは気になった。
フリーダがくるりと正面を向く。
「綺麗な青色……」
フリーダが呟く。
ミナセが狼狽する。
「な……なんで分かった?」
「うふふ……あなたの後ろに青い化け物が見えますわ。
 私の後ろには何も見えませんこと?」
ミナセはそう言われてみてフリーダの後ろを目をこらして見る。
しかし何も見えてこない。
当たり前だ……
フリーダはニコニコ笑っている。
「その青い化け物はどんなヤツなの?」
ミナセは尋ねる。
フリーダはニコニコ笑いながら上を向く。
「心に凄く大きな傷を負っているの。そして顔がいくつもあるわ。
 100個くらいあるかも。ギョロッとした目で争いが嫌いな野心家ね。
 ずるい所もあるかもしれない。まだ大人になりきれていない子供かもね。
 とにかく青くてでも眼は黄色いんだ。気持ち悪い配色ですわ。
 でも素敵。夢があって何処まででも歩いていけれるような……
 化け物にも色々あって可愛くない化け物だと思いますわ。
 でも可愛い化け物なんてそもそも役割の放棄だと私は思いますわ。
 だから良い化け物なの。私はそう思いますわ」
ミナセは呆れて物が言えなかった。
何言ってるんだこの娘。
なんかずいぶん自分がこき下ろされたような気がした。
不思議と腹は立たないが……
俺もはたから見たらこんな感じなのかなと考えさせられる。
「いつかあなたと一緒に踊ってみたいわ」
フリーダは言った。
ミナセはいきなりの事でキョトンとする。
「お……俺、踊り方分からないよ」
ミナセは言う。
フリーダはクスッと笑う。
「踊りなんて誰でも踊れますわ。誰と踊るかが問題ですの」
14 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/26(日) 01:37:53 ID:VnuCxKhi0 [3/5回(PC)]
フリーダは言って月に照らされながら踊りだした。
トン トン トトン トン
ミナセはまたしても魅了される。
足の運び。空を舞う掌。
綺麗だ……
ミナセは頭がボーッとしてきた。
すると不思議とフリーダの後ろに真っ白い生き物が見えてきた。
それは頭から日本刀のような構造を突き出した醜い顔だけの獣だった。
顔は人間のものに似ている。
スゲエ……本当だったんだ……
ミナセは驚嘆する。
フリーダがピタリとつま先立ちになって止まる。
「どう? 見えた?」
フリーダが言う。
「見えたよ。凄い」
ミナセは頷いた。
フリーダの笑顔がパッと一段明るくなる。
「悪くないでしょ」
「うん、悪くない」
フリーダはまたくるっと後ろを向く。
「この壁、私達を試してるの?」
フリーダは呟いた。
ミナセの心臓が大きく脈打つ。
今、俺の全ての力を使ってこの障壁を取り去りたいと思った。
こんなチャンス、
同類に出会えるチャンスめったに無いんだ!
俺は、今この時のために……
生きてきた!
「熱くならないで……」
フリーダが振り向いて言った。
そんな事まで分かるのか。
これは超能力ではない。
超感覚だ。
ミナセは理解する。
この人は歴戦の強者だ……
そして俺とよく似ている……
フリーダがまたバリアすれすれで手を広げてミナセの眼をじっと見る。
「私が何とかする……絶対……あなたに直接会いたい。直に……」
いきなりの急展開だ。
ミナセの胸が早鐘のように鳴り出す。
なんでだろう。
なんなんだろう。
この胸の高鳴りは。
俺は……この娘に……
「分かった。俺も君と直に会いたい。明日も同じ時間に待ってるから」
ミナセは言った。
フリーダはニコッと笑う。
「最後の青。不惑の白」
くるっと後ろを振り向いてフリーダは呟いた。
「いずれ、一緒に、踊る、運命?」
そんな声が聞こえた。
わけ分からない娘だ。
15 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/26(日) 01:38:35 ID:VnuCxKhi0 [4/5回(PC)]
しかしキラキラ光って正視できないんだ。
ミナセは思った。
ミナセも振り向いてその場を後にする。
ポケットに手を突っ込んで月を見上げた。
「まだまだ遠いな……」
ミナセは呟いた。

スカイクロラのガブリエルがバリアの外を飛んでいる。
前方に紫の光が煌く。
双眼鏡を取り出して見やる。
黒服の小さな人影。
ビョウドウイン・ミナセと一緒に居たガキだ。
剣の修行をしているらしい。
「はぁっ……はぁっ……あと十匹……」
足元にツバメの死体が散らばっている。
いつかは……ツバメ使わないイメージトレーニングできるようになったら良いな。
ルナは考える。
新必殺技「紫極」。
まだ完成度は60パーセントってところか。
まだスカイクロラの連中にお披露目するには力不足かな……
ルナは思う。
できれば実戦がしたい。
前の戦いで実戦から学べる事が山のようにある事がよく分かった。
ガブリエルは空の闇に紛れてルナを静観する。
バルトークがアイツは雑魚だと言っていたが本当にそうなのだろうか。
いい剣を振っているように見える。
むくむくと一対一で手合わせしたい気持ちが湧いてくる。
そうだ。
皆には教えない事にしよう。
巡回の仕事はむこう一ヶ月は確実のガブリエルの役目であるし
手ごろな強さに成長した頃に戦おう。
ミナセには歯が立たないだろうが離れた所で修行しているみたいだし大丈夫だろう。
明日も明後日も同じ場所で修行しているだろうと思った。
俺の獲物だ。
ガブリエルは思ってその場を後にした。
「はぁっ……はぁっ……早く……ミナセの所へ……」
ルナは呟いた。

16 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/26(日) 02:39:37 ID:VnuCxKhi0 [5/5回(PC)]
◆全然違うかもしれない次回予告

カンジとネプト修行。
カンジの炎弾を避けまくるネプト。
魚眠洞「飛魚の章」覚醒。緑の閃光の翼ができ飛んで逃げるネプト。
カンジ「こらぁ!修行にならんぞ!」
ネプト「俺の行動を制限するなんておかしいですよ!」
カンジ「何ぃ……じゃコレを喰らえ!火車!」
ドーン!ネプト「うわああああ!」
間一髪避ける。ネプト「死ぬ所でしたよー!」
カンジ「たわけが!死ぬ気でやらんと強くなれんわい!」

アリスとフリーダ会話。
フリーダ「面白い人に会った」
アリス「私は人を好きにならない」

ガブリエル上空からルナを攻撃。人気の無い断崖に追い込む。
ガブリエル「やろうぜジョウチャン。俺は強いぜ」
ルナ「ちょうど良いね……試金石に……!」
剣を交える。
ガブリエルの手首落ちる。
ガブリエル「カ・イ・カ・ン!」
剣速がだんだん増してくるガブリエル。
ルナ、生死の際を感じる。
これを乗り越えれば私はさらなる高みへ……!
紫極!

続く
17 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/27(月) 02:11:17 ID:0NppMeay0 [1/7回(PC)]
フォルテシモ第四十八話「アリスとフリーダ」

ネプトがカンジを連れてイギリスの海岸に漂着してから
1時間くらいしてカンジは眼を覚ました。
ネプトは介抱のし方が分からなかったのでほったらかしだった。
「俺は……負けたのか……」
カンジは最初に斜め下を見ながらそう呟いた。
ネプトは5分くらい無視され続けた。
カンジが首を回してネプトを見やる。
「お前が助けてくれたんだな。有難う」
カンジは言った。
ネプトは何故か首をブンブン振った。
そんな大した事じゃないと言いたかった。
カンジはふっと笑った。
「お前の顔、どっかで見た事がある気がするな。何処だったかな……」
カンジは顎に手をやって考え始める。
ネプトは緊張して汗がたらたら流れだした。
「あのっ! 俺っ! 母上を悪いレッドラムに! あの!」
ネプトが喋りだす。
カンジがゆっくり目線をネプトにうつす。
「助けたいんです! でも俺力が……無くて……俺を……鍛えてくれませんか!?」
言い切った。
ちゃんと伝わっただろうか。
ネプトは心配だった。
カンジは海の方を見やる。
その瞳に生命が活き活きと息づいている。
ネプトは自分の眼が死んだ魚の眼のように見えるのではないかと心配になった。
「悪いレッドラムか……俺も良いレッドラムとは言えないけどな……」
カンジが呟く。
ネプトは話しはじめてから少ししか経っていないが目の前の男が悪い人間には見えなかった。
いつも会っていた研究者の大人達と較べて……カンジの中に非常な純粋さを見出した。
「自分の力でやるか……男なら当たり前だよな……少しは気に入ったぜ……
 俺もリベンジに備えて力を蓄えなければならない。そのついでで相手してやるよ」
カンジは言った。
ネプトはパッと顔を明るくする。
「有難うございます! 有難うございます!」
ネプトはペコペコ頭を下げた。
カンジはまたフッと笑顔になる。
「お前、名は?」
カンジが尋ねる。
ネプトが顔を上げる。
「ネプト! ビョウドウイン・ネプトです!」
カンジが面食らう。
「ビョウドウインって……おま……」
ネプトがキョトンとする。
「ははぁ……そうか。そういう事か。よく似てるわ。頭が緑だが
 アイツ等の息子だからな……なるほど……」
カンジは顎に手をもっていって一人で納得している。
ネプトには何がなんだか分からなかった。
18 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/27(月) 02:12:08 ID:0NppMeay0 [2/7回(PC)]
「面白い。やる気になったぜ。ネプト。俺の名はヒマツリ・カンジだ。
 死ぬ気でついてこいよ。」
ネプトは背筋が寒くなる。
「はい!」
そう返事したのが、二ヶ月前。

その日、カンジはマカイオオイヌワシの巣の観察に来た。
断崖をテレポンの力を使わずに登る。
カンジはずっと上の方でオオイヌワシと会話している。
会話だ。
どうやらカンジは動物と会話できるらしい。
ネプトはテレポンを使うのに慣れているので死ぬ思いだった。
下を見たらどれだけの恐怖が自分を襲うだろうかと思った。
「遅いぞネプトー!」
カンジが急き立てる。
ネプトは焦る。
次の足場が見当たらない。
カンジは何処を登っていったのだろうか。
こんなの俺のテレポンを使えば簡単に……
「テレポンは使うなよネプトー!」
ネプトを思考を見透かしたかのような声が降ってくる。
動揺した瞬間足がすべりネプトは落下した。
「うわあああああ!」
「あらら。落ちちゃった」
カンジは助けようとしない。
死!?
こんな所で死ぬのか俺は!?
まだ全然楽しい事してないんだぜ!?
ふざけるなよ!
ネプトの眼が緑色に光る。
岩場を思い切り蹴り無理やり足場を作る。
その動作を次々やっていき岩場を駆け上る。
しまいには速度に物を言わせ垂直走りする。
「うおおおおおおおおお!」
「お。おお?」
カンジの居た所を通り越し青空を目指す。
「とう!」
飛び上がった。
断崖の上までたどり着いた。
「はぁっ……はぁっ……」
ネプトは肩で息をする。
その場に仰向けに倒れ伏す。
しばらくしてカンジが登ってくる。
「よっこらせっと」
肩にオオイヌワシをとまらせている。
カンジがネプトを見下ろす。
「ムラが激しいなお前は。主人公っぽいが……」
ネプトは荒く息するだけで対応できない。
19 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/27(月) 02:12:50 ID:0NppMeay0 [3/7回(PC)]
「まぁガキだって事だ。早く大人になれよ。30分休憩したら稽古してやるよ」
カンジはくるりと背を向けた。
ネプトは薄目を開けて空を見ている。
真っ青だ。
綺麗だな。
研究所の空とは何かが違う。
自分が変わったのかな。
そうかもな。
ネプトは思う。
腰を下ろして瞑想し始めたカンジの肩の上でオオイヌワシがネプトをじっと見つめていた。

エルサレムの白いドームの中にはフリーダが言って作らせた植物園がある。
フリーダは自分の部屋にはほとんど帰らず大抵の時間そこで植物と会話している。
実際は独り言である筈だが……
アリスは偶にそこを訪れる。
部屋までの道すがら通らなければならないだけに見えるが……
本人がどう思っているのか誰にも分からない。
その日もアリスの方から植物園に訪れた。
サボテンと話していたフリーダがパッと顔を明るくする。
「あーたん。私面白い人に会ったんだよ」
フリーダが話しかけてくる。
アリスから話しかけた事など一度も無いが。
「茶髪なの。ダメージヘアで。右眼が髪で隠れてるの。眼がギョロッとしてて
 口も大きいわ。お化けに似てると思う。こんな暑いのに茶色のコートで
 青いマフラー巻いてるの。変でしょ?おかしいわ」
アリスはため息をつく。
「それの何が面白い?」
フリーダは口に詰まる。
「痛い所突くわあーたん。私語呂少ないから……。あのね。もうね。凄いの。
 負のオーラ? ただならぬ気配? 絶対あの人無茶苦茶強いよ。
 あーたん強い人好きだよね。私も大っ好き! 後ろにね。青い化け物が
 見えるの。顔が100個ついてて人間の子供みたいなの。私一発で気おされちゃった。
 凄い大物よ。私あんな人見たこと無い。絶対仲良くなりたいの。
 不思議な人だった……。きっと今までに殺してきた人数が人格に深みをだすのね……。
 私、恋しちゃった。だから一時的にバリアを止めたいの。あーたん協力してくれない?」
アリスはいつのまにか耳をふさいでいる。
「最後の一言だけで十分だ」
アリスは言った。
「そんなぁ、私の想いを伝えたかったのに」
フリーダは口を突き出す。
「私は人を好きにならないから」
アリスはそっぽを向いて言った。
「でも、協力はしてくれるんだよね。あーたんにも会ってもらいたいなぁ。
 凄く面白い人なんだよ」
アリスはそっぽを向いたままだ。
「アンタが言うんだから相当強いんだろうな。言われなくてもその内
 手合わせする事になるかもね。私も2ヶ月前やけに強いレッドラムに
 出くわした。世の中、馬鹿にならないね」
フリーダがニッコリ微笑む。
20 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/27(月) 02:13:24 ID:0NppMeay0 [4/7回(PC)]
「世の中馬鹿にならないね……か。あーたんらしい言葉だね。
 私もミナセに会ってそう思ったよ」
「ミナセ……? どこかで聞いた名だ。たしかアマントが大戦で活躍したレッドラムだと
 言ってたような……」
フリーダが両手で口を覆う。
「第二次レッドラム大戦!? 私アレ行けなかったのよ」
アリスは無表情だ。
「あんな人いるのなら行きたかったなぁ。最高の舞台じゃない?」
「行ってたら死んでたよ。アンタ」
アリスは冷たく言い放った。
「決めたわ。私絶対あの人と直に会う。あーたん。協力よろしくね」
フリーダはそう言って出口に駆けていった。
アリスはため息をつく。
それを植物園の入り口で隠れてホメロスとアマデウスが見ている。
「フリーダと話してる時『だけ』は可愛いよなアリス」
ホメロスがふいに言う。
「いきなり何を言い出すんだお前は」
アマデウスが突っ込みを入れた。

その夜、ガブリエルが月をバックに空を巡回している。
ルナが修行しているのが見える。
「はぁっ……はぁっ……86パーセント……」
相変わらず足元にツバメの死体が散乱している。
ガブリエルは不気味にニヤリと笑う。
そろそろかな……
サジタリウスに爆発しないタイプの矢をつがえる。
ガブリエル劇場の開始だ!

ヒュン!ヒュン!

ガブリエルの矢が空を切る。
ルナは空気の動きを敏感に察知し振り向く。
矢を二本とも断ち切る。
月をバックにしたガブリエルの姿を捉える。
この間の翼手目……!たった一体で何しに来た!
ガブリエルの顔が醜くゆがむ。
「ひぇひぇひぇ! ハッハァ!」
数十本の矢を一度に放つ。
ルナは防戦一方になる。
ガブリエルは矢を放ち続け先の断崖までルナを誘導する。
ルナは矢を断ち切ったり避けたりしながら断崖に向かう。
後が無くなった時ガブリエルは地上に降り立った。
「ひぇひぇひぇ……お前が俺の獲物だぁぁ! もがき苦しんで死ねぇぇ!」
ガブリエルが不気味なだみ声で言った。
ルナは刀をかまえる。
一対一か……
21 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/27(月) 02:14:07 ID:0NppMeay0 [5/7回(PC)]
前は一対一なら勝てると思ったが……
さぁ、どう変わった?私!
ルナは目を閉じ自分の間合いに気を詰める。
ここが正念場だ。
ミナセは来ない。
これを乗り越えれば私はさらならう高みへ這い上がれる!
ルナは念じてすうっと目を開ける。
「逝くぞオラァ!」
刀を持ったガブリエルが目の前に迫ってきた。


22 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/27(月) 03:15:43 ID:0NppMeay0 [6/7回(PC)]
◆全然違うかもしれない次回予告

ルナ対ガブリエル。
ガブリエル手首の内側切られる。
ガブ「カ・イ・カ・ン!」
ルナ「気持ち悪い!」
ガブ剣速が増す。
押されるルナ。
後が無くなる。

フリーダ、ミナセと会う。
直に触れ合う。
フリーダ「今、燃えるように熱いですわ」
ミナセ「踊ってみる?」
フリーダ「ええ」
踊り始める2人。
ステップステップターンステップ
フリーダ「うふふ……下手糞ですわミナセさん……」
勢いに任せてミナセにキスするフリーダ。
ミナセ「この辺の人は情熱的なんだな」
フリーダ「うふふ……理屈なんてくだらない物はお捨てになって」
ミナセの方からキスする。
舌を這わせる。
この女、俺の事を知ってるのか?
俺はこの女の事を知ってるのか?
抱き合う二人。
フリーダ「もっと広い意味の踊りもしてみたいですわ……」
溶けるようにフリーダが言った。
23 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/27(月) 03:21:38 ID:0NppMeay0 [7/7回(PC)]
深夜「オラオラオラ!アリス様のお通りだ!」
http://imepita.jp/20070827/012830
24 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/27(月) 20:03:46 ID:g4zUyAWh0 [1/11回(PC)]
テレーゼさん3分で描いたぞー
http://imepita.jp/20070827/715420
25 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/27(月) 20:14:37 ID:g4zUyAWh0 [2/11回(PC)]
フリーダさんも登場だー
http://imepita.jp/20070827/718250
26 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/27(月) 20:20:35 ID:g4zUyAWh0 [3/11回(PC)]
脇役のモアたんだー
http://imepita.jp/20070827/724920
27 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/27(月) 20:47:15 ID:g4zUyAWh0 [4/11回(PC)]
満を持してルナの降臨だー
http://imepita.jp/20070827/743810
28 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/27(月) 21:55:01 ID:g4zUyAWh0 [5/11回(PC)]
初の男だ。カンジ君だー
http://imepita.jp/20070827/782630

29 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/27(月) 22:48:41 ID:niPiTRbpO [1/8回(携帯)]
マルチうぜー止めろ
俺が感想書いてやるから大学生スレに貼るのはやめろ
30 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/27(月) 22:57:54 ID:Oh67hUXq0 [1/2回(PC)]
こいつ騙りじゃねーの?
ブログに張ってみてくんない?
31 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/27(月) 23:01:45 ID:g4zUyAWh0 [6/11回(PC)]
よっしゃー。感想を書いてくれ。
俺は感想を書いてくれる所にしか貼らないぞ。
超速で描いたから絵は雑なんだ
32名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/27(月) 23:14:11 ID:niPiTRbpO [2/8回(携帯)]
速く描いたっていう言い訳はいらないよ
丁寧に描いたのをうpしてほしい
紙に描いたのを携帯で撮るべき

感想としては期待したほどかわいくない
小説を読む人のための参考画像ならいいが
小説を知らない人に見せるような物ではない
美術やってんなら本気みせろ(´・ω・`)


俺よりはうまいよ
33 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/27(月) 23:17:32 ID:niPiTRbpO [3/8回(携帯)]
深夜は大学生スレに書き込むのをやめるべき
34 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/27(月) 23:19:00 ID:Oh67hUXq0 [2/2回(PC)]
俺もそう思った、雑にかいたもん人に見せて感想を欲しいって
おまえそれ、雑だとしかいえないですよ。

全然関係ない話で悪いんだけど、孤独な創作活動ってスレ無かったっけ?
35 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/27(月) 23:21:23 ID:g4zUyAWh0 [7/11回(PC)]
>>32
貴方は俺の小説も読んでくれているのですか。
分かったよ。気が向いたら携帯で撮ってうpするよ。
ところでどいつが一番可愛い?上手い?見れる?
フリーダかな?俺的にはアリスなんだけど。
テレーゼは久しぶりに描いて慣れなかったから頭でかい。
カンジは雑だけど慣れてきてる。
36名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/27(月) 23:31:18 ID:niPiTRbpO [4/8回(携帯)]
読んでないよ
まえに読もうと思ってブログ見たけど
1話みてつまんなかったから読むの止めた

どれも似たり寄ったり
かわいいとは思わない
全身も描いて欲しい

ところでギャグ小説書いてくれないか?
37 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/27(月) 23:32:42 ID:niPiTRbpO [5/8回(携帯)]
創作活動スレは見たことあるような気がする
落ちたのかな?かな?
38 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/27(月) 23:37:09 ID:g4zUyAWh0 [8/11回(PC)]
>>36
俺の紙に書いた絵の再現度は高いよ。
要するにアレを可愛いと思わないのなら紙に描いたの携帯で撮ったの
うpしても可愛いとは思わないだろうという事。
俺なんかこのアリスはなかなか可愛いと思うタイプ。
ベクトルが合わないんだな。
ギャグ小説今から数行書くよ。どうせつまんないと思うからそれ見て諦めてくれ。
39 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/27(月) 23:43:36 ID:niPiTRbpO [6/8回(携帯)]
はぁ?
雑に描いたっていったからもっと上手いのを期待したのに…
もう、うpしなくていいよ
頑張ってスレに粘着してくれ

ギャグ小説は期待してる
40 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/27(月) 23:45:59 ID:g4zUyAWh0 [9/11回(PC)]
ギャグ小説「ゾラの大冒険」

「畜生!あの金色猿が!俺をこけにしおって!」
ゾラが目覚めた時既に空母マンダは去りレッドラムの腐った死体が散乱する
地獄のような光景の中だった。
「あの金色猿は死んだのか……」
ゾラは当たりを見回す。
すると死体の山の中から立ち上がる物が……
「ニンゲン……ニンゲン~」
ゾンビのように腐乱したレッドラムがゾラに迫ってくる。
「のわっ!この野郎!畜生!おかおかおかおがあじゃああああん!」
一心不乱に逃げ出すゾラ。
ゾンビは追ってくる。
「貴様ら俺を誰だと心得る!人間軍総司ゾラ様だぞ!俺は俺は俺はおがあじゃあああん!」
前方に人影。
「ようウスラトンカチ。俺は魔界の門番カント。100億円積んだら助けてやるぜ」
銀髪の少年は言った。
「頼みますおがあじゃあああん!」
ゾラは泣きついた。
「ふん……逝くか……HORSES!」
次元が歪み不気味な巨大な腕が伸びてくる。
ゾンビがひるむ。
「収束全開……!邪悪なる物よ!無に帰せ!」
かーつ!
ゾンビがボロボロこぼれだす。
「ああ。これは神の力に他ならない」
「本当に100億出せよ。おっさん」
カントと名乗った少年が言った。
そんなわけでゾラさんは今もご存命みたいです。でもブルーカラーの仕事してるらしいです。
41 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/27(月) 23:47:49 ID:g4zUyAWh0 [10/11回(PC)]
いやうpするよ。一発。携帯で撮ったの。
大体の骨格が同じだって事さ。
42 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/27(月) 23:54:04 ID:niPiTRbpO [7/8回(携帯)]
期待した俺が馬鹿だったorz
フォルテシモ読んでないから意味不明だった
どこで笑えばいいのか分からなかった

深夜の大冒険というタイトルの自虐ネタなら行けると思うよ
43 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/27(月) 23:57:00 ID:g4zUyAWh0 [11/11回(PC)]
深夜の大冒険

今日レストランに面接に行った。その日の内に不合格ですと言われた。
44 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/27(月) 23:59:51 ID:niPiTRbpO [8/8回(携帯)]
面白いね
びえええええ
があればもっとよくなるよ
45 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/28(火) 00:04:41 ID:FO9BVOvc0 [1/7回(PC)]
俺、画風変えるよ。そしたら可愛くなるよ。多分。
や、俺にとっては俺の絵が俺の描ける範囲でかなり可愛い方なんだけど
そういうのって往々にして万人受けしないと思うし。
46 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/28(火) 01:15:30 ID:FO9BVOvc0 [2/7回(PC)]
フォルテシモ第四十九話「お話しましょ」

ガブリエルが刀を振るって迫ってくる。
そんなに速くない……
ルナは一瞬でスライドして初撃を避ける。
次も、その次も、刀を使わずに身一つで最小限の動きで避ける。
私は速くなっている……
ルナは自覚する。
相手の動きがスローモーションで見える。
何かのゾーンに入ったみたいだ。
飛び散る汗の一滴一滴が水の球になって見える。
世界で生きる事はこんなにも自由な事なんだ。
手を伸ばせばほら
相手に傷をつけられる。
私が生きた証を……
この一歩が……
私の生きた証だ!

ザン!

一撃。
ガードしたガブリエルの手首が斬れた。
浅いったらない。
ガブリエルが眼を見開く。
気持ち悪い笑みが顔に貼りつく。
ルナは吐き気を催してきた。
「カ・イ・カ・ン!」
ガブリエルが高い声で叫んだ。
ルナは背筋が寒くなった。
マゾかコイツは。
ガブリエルの後ろに邪悪な妖気を感じる。
コイツはやっぱ一筋縄じゃいかない……
思った瞬間ガブリエルは消えた。
え……
とっさに横っ跳びする。
頬が熱くなる。
斬られた……!
視界の隅にガブリエルの姿が映る。
「ひゃあっ!」
高速の突きが眼を狙う。
ギリギリで避ける。
左目の斜め上が熱くなった。
血が左目の上に落ちる。
ちんたらしてられない……!
「紫極!」
横一閃!
紫の閃光が迸り大気が焦げる。
しかし敵に当たった感触は無かった。
後ろに悪寒。
47 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/28(火) 01:16:41 ID:FO9BVOvc0 [3/7回(PC)]
こいつ……マジで速い!しかもだんだん速くなってくる。
感覚だけを頼りに振り向きざま横一閃!
今度は当たった。
右眼の上。
これで条件は同じだ!
「カ・イ・カ・ン!」
また同じフレーズかよ!キチガイが!
ガブリエルがヘラヘラ笑っているのが眼に入った。
やってやる!
柄に刀を納める。
まだだ……
「カーペットクロラ!」
ガブリエルの突き連打!
すんでで避けまくるルナ。
頬や腕に裂傷が走る。
まだだ……
次で絶対決めてやる……!
腕を剣が貫く。
大量の鮮血がガブリエルの顔を濡らす。
「ひゃは!」
下衆が!
喰らえ!
「紫極!」
ビームサーベルの横一閃!
「ひゃはぁっ!」
ガブリエルは飛んで避けるが右の足首から下が切り取られる。
すぐ次へ!
これで終わりに!
ルナが間合いを詰める。
「やあっ!」
同時にガブリエルが後ろ手に持っていた玉をルナに投げつける。
ルナはそれを斬る。
瞬間、煙が音を立てて球から吹き出た。
煙玉だ。
辺りの視界がゼロになる。
「ちぃっ!」
好機を逃した!
ガブリエルの気配は完全に消えてしまった。
ルナは気配を絶って眼を閉じる。
自分の支配する空間を一気に広げる。
居合い抜きだ!
数十秒が経過する。
煙が一部晴れてくる。
「ひぇひぇひぇひぇ」
ガブリエルの声が聞こえる。
声で位置が特定できた。
馬鹿か?
木の上にガブリエルが腰かけている。
もう傷口は塞がっているが怪我した手首をぺロペロ舐めている。
本当に気が狂っている。
48 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/28(火) 01:17:47 ID:FO9BVOvc0 [4/7回(PC)]
ルナはだんだん頭に血が上ってきた。
こいつは真面目にやってない!
最低だ!
ガブリエルが翼で羽ばたいて推進力にして突進してくる。
これだ。
こいつはやる気はあるんだ。
咄嗟に刀と刀がぶつかり合い火花を散らす。
ガブリエルの顔が間近で見える。
ヨダレをダラダラ流している。
眼の焦点が合っていない。
薬でもやってんのかコイツは。
「カーペットクロラ!」
再度の突きの超連撃。
見切ってんだよ!
今度は一発も当たらない。
ルナは柄にもう一度刀を納めた。
次の紫極で……決める!
ルナは精神を集中させた。

同じ頃。
ミナセはフリーダにいつも会う場所に来た。
その日は異変があった。
フリーダがバリアの外に居るのだ。
「うふふ……マジックよ。どうしたのかしら」
フリーダは無邪気にそう言った。
「何しようか」
ミナセは言った。
「お話しましょ」
フリーダはニッコリと微笑んだ。
それから二人は座って、お互いが生まれてから今までの事を
星空を見ながら話し出した。
ミナセは色々な事を知る事になる。
フリーダが昔「透明糸のフリーダ」という通り名で指名手配犯だった事。
イザヤ・カタコンベと旧知の仲だという事。
今はアマントという男に雇われているという事。
フリーダもミナセの話に心を躍らせた。
第二次レッドラム大戦についての話には特に興味を持っているようだった。
イザヤに言われて行けなかったのが悔しいとフリーダは言った。
ミナセは複雑な心境だった。
イザヤが死んだのは半分は自分の責任だろうと思ったからだ。
しかしフリーダはそんな事を気にしている素振りは見せない。
不思議な女だ。
容姿はため息が出るほどの美しさでどこまでも無防備だ。
しかしその奥に誰も到達する事のできない深みの宝石を感じる。
今まで殺してきた人間の人数がその宝石を作り出すのだろうか。
彼女も自分の中に同じような物を見ているのだろうか。
ミナセは思う。
「あのさ。手、握っても良い?」
フリーダが言ってきた。
ミナセは何故か冷静だった。
当たり前のように二人は手をつなぐ。
冷たい……
49 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/28(火) 01:19:57 ID:FO9BVOvc0 [5/7回(PC)]
ミナセは知覚した。
いつもこうだ……
俺が好きになる女は皆手が冷たい……
俺は……そんなにもぬくぬくと生きてるのかな?
けっこう孤独なつもりだけども……
そんな事言ってられるうちはまだまだなのかな……
フリーダが自然に頭をミナセに預けてくる。
「やっと会えたね……」
フリーダが呟く。
本来合点がいく筈のない言葉だったが不思議と合点がいった。
そうだ。俺達はやっと会えたんだ。
幾千年の時を越えて、
俺たち二人の生命は出会った。
握っている掌は、俺以外の男には温められない。
そんな気がした。
俺たち世界のはみ出しもの。
出会えたのは奇跡だろ?
これから結ばれるのだって必然だろ?
「これからも生きていけるかな」
フリーダは言った。
ミナセもそれは心配な事だった。
ミナセはフリーダの肩を抱く。
「俺は君が居れば大丈夫そうだ」
ミナセは言った。
フリーダは柔和な表情を見せる。
「危なっかしいのね。私も。君も」
ミナセもニッと笑う。
「綱渡りの人生だな」
ミナセが言った。
馬鹿か。
そんなのレッドラムなら当たり前だ。
でも普通とは違うよなこの娘も俺も。
ミナセがそう思った時、フリーダが唇でミナセの口を塞いだ。
フリーダの舌が口内を這う。
ミナセは魂を抜かれた。
スゲェコレ。
ミナセの未体験の濃厚なキスだった。
ルナを連れ出してから女を忘れていたミナセの神経が昂ぶる。
これは極上だ……!
絶対離さねえ!
たとえ敵同士でも!
俺はこの女の為に全てをかけるぞ!
ミナセは完全に昇天してしまった。
俺みたいな不細工な男を好きになるこの超美女ってなんなの?
細胞が似ている?
遺伝子が似ている?
詭弁だね。
50 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/28(火) 01:21:43 ID:FO9BVOvc0 [6/7回(PC)]
これは運命ってやつだ。
ミナセはフリーダを強く抱きしめる。
世界がこの瞬間終わってもいい。
俺は生きる意味を見つけたんだ。
フリーダも抱き返してくる。
豊満な胸の感触がミナセを熱くさせた。
もう一度二人はキスをする。
時間が、止まった。
満月が二人を見下ろしていた。
許してくれますよね神様。
ミナセは念じた。

51 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/28(火) 02:21:12 ID:FO9BVOvc0 [7/7回(PC)]
◆全然違うかもしれない次回予告

ガブリエルVSルナ!
押しまくるルナ!
押しまくるフリーダ!
「ひぇひぇひぇ!その器、測りかねる!」
ズパッ!
ガブリエルの首を切るルナ。
ミナセを押し倒してキスをするフリーダ。
ルナ「はぁっはぁっやったよ父さん……」
ぐるんとガブリエルがルナの方を向く。
まだ生きている。
「ひぇひぇひぇ……これが最高の快楽か……悪くない……悪くないぞぉ……
 ガキ……礼を言うぞ……」
舌をれろれろ動かすガブリエル。
血が失われていく……命が……
ルナ「私も……有難う……貴方のおかげで強くなれた……」
ルナがガブリエルの目を閉じさせる。

家に帰ったがミナセはいなかった。
ハンモックに寝るルナ。
友達を斬ったみたいな嫌な気分だった。
いつもと違う。
強くなるってどういう事?
敵を倒すってどういう事?
私は何を目指しているの?

翌日、植物園でフリーダが夢見心地で歩いている。
フリーダ「最高の夜でしたの」
アリス「呆れた……」
手を組んで空ろに空を見る。
アリス「そんなんじゃ今度の作戦で死ぬよ。ロサンゼルス侵攻」
フリーダ「聞こえなぁい」

アマント「順調かねテレーゼ博士」
テレーゼ「あと一ヶ月はかかるかなぁ。第一陣できるまで」
アマントは無数のカプセルを見ながらニヤついた。

52名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/28(火) 03:28:34 ID:w1AwVW7z0 [1/1回(PC)]
孤独な人間の私小説を読みたい。
共感できるもの、が欲しいのか?それとも参考にするためか。
または自分の孤独を生めるためか。
動機はどうであれそういう作品を俺は読んでみたい。
でも孤独だったらまず物語にならない。嘔吐は、ただの孤独という設定だし
53 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/28(火) 13:54:46 ID:P2h4nqXP0 [1/2回(PC)]
>>52
そんな貴方にはこのブログのカテゴリー小説にある俺の孤独の私小説「世界樹の下で」をオススメするぜ
http://uiuiui.10.dtiblog.com/
54 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/28(火) 20:02:28 ID:hpEzkbpZ0 [1/2回(PC)]
深夜ってアスペルガー障害だよね
55 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/28(火) 20:08:59 ID:P2h4nqXP0 [2/2回(PC)]
マジで
56 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/28(火) 22:14:27 ID:5m9mlhmlO [1/1回(携帯)]
俺は何もしていない
なのに奴等は俺を破滅に追いやった
そのおかげで俺は道を歩くことさえ臆するようになった
奴等が憎い、それ以上に奴等が怖い
5年の月日でも俺の心は癒されなかった
あの日から、友に裏切られた日から
俺は虚ろな瞳のまま生きてきた
何の為に生きているのか分からなかった
ただ逃げるだけで精一杯だった
それでも人生をやり直そうと思い
気分転換の為に久し振りに遠出した
旅先で彼女に出会ったのは偶然だった
俺は何かに惹かれるように彼女の話に夢中になった
決して近付いてはならないと知りながらも…


なんとなく書いてみた
孤独の覇者「ホテルマンに俺はなる」
57 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/28(火) 23:20:05 ID:W9N3kY2I0 [1/2回(PC)]
中途半端だな
58 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/28(火) 23:45:31 ID:hpEzkbpZ0 [2/2回(PC)]
http://www.hpmix.com/home/miichii/C5_1.htm

深夜そのもの
59 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/28(火) 23:56:11 ID:W9N3kY2I0 [2/2回(PC)]
マジで
60名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/29(水) 00:01:30 ID:o/RK+oq5O [1/1回(携帯)]
ただでさえ知ってる世界が狭いってのに小説など書けるのか?
61 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/29(水) 00:29:21 ID:xShs+nL8O [1/2回(携帯)]
妄想の世界がこのスレの大半を占めていますよ
そういえば絶望の世界というネット小説読んだ時は気分悪くなったな
62 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/29(水) 00:30:52 ID:x6VCQ0Bh0 [1/12回(PC)]
>>60
妄想で補えばOKと早朝特急という人が言ってました。
63 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/29(水) 01:19:28 ID:x6VCQ0Bh0 [2/12回(PC)]
フォルテシモ第五十話「ダブルデートの結末」

「あああああああああ!」
ルナは凄いスピードで移動しながらガブリエルに斬撃を与える。
残像がいくつをできて消えていく。
ガブリエルは超反応でそれらに対応して剣を振るが
次第に裂傷が増えていく。
たく……これだから子供は……
成長速度が完全に想定の範囲外だ……
「カーペットクロラ!」
突きの超連打。
腕が数十本にブレて見える。
しかし数百回の攻撃をルナは全て避ける。
俺の必殺が……!
完全に見切られた……!
「ひぇひえひぇ……」
笑うガブリエルはどうでも良くなってきた。
こんなガキを、ガキだから、侮った。
俺は此処で年長者面しなければならない。
それが勤めだ。
「お前、名は?」
ガブリエルが唐突に聞く。
ルナの攻撃がピタリと止まる。
ルナがニッと笑う。
「ビョウドウイン・ルナだ。虚無の果てまで覚えておいて!」
ガブリエルが不気味にニヤッと笑う。
「なぁ、ここで俺を殺して何になるんだ?」
ガブリエルが問う。
ルナは動きを止めたままだ。
「お前は何の為に人を斬る?自分が強くなる為?何の為に強くなる?
 自己満足の為か?長生きする為か?隠れてちじこまってた方が長生きできるぞ?」
ルナは頭をフル回転させる。
「違う。私はミナセと同じ景色が見たいから強くなる。なんでそうしたいのかは
 知らない」
「孤独だから?」
ガブリエルが満面の笑みを浮かべる。
「孤独孤独。人間にあるのはそれだけだ。牙を持った羊レッドラム。
 つまるところ求めるのは母の温もりか。父の背中か」
ガブリエルがゲラゲラ声を出して笑い出した。
「お前は強い。生き残れば最強のレッドラムになるだろう。
 しかしその先に残るのは何だ?」
ルナは動けない。
まだ頭をフル回転させている。
鈍足。
頭の方は鈍足だ。私。
「お前はそれを知ってから俺を殺すのか?知らないまま俺を殺すのか?
 俺の命はもう戻ってこないぞ?」
ガブリエルは天をぐるんと仰ぐ。
星が煌いている。
そしてまんまるお月様。
最高の夜だ。
64 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/29(水) 01:20:03 ID:x6VCQ0Bh0 [3/12回(PC)]
「ルナか。良い名だ。あの月のように手の届かない存在だな」
ルナは動揺する。
ガブリエルの言葉が触手のように伸び自分の心に触れてくる。
「俺はここで死ぬよ。もうひとふんばりしたら逃げるなり勝つなりできそうだけど
 お前が気に入った。俺の命は未来にかける。これから起こる大きな戦争、
 俺は見たくない。今死ぬのが一番美しいと思ってね」
ガブリエルは星空を眺めたままだ。
ルナは逡巡する。
ガブリエルの人格が垣間見えてから急に殺しにくくなった。
いつもは喋るまもなく殺してたから……
そもそも戦ってる相手に喋りかける奴なんてそうそういない。
狂ってる。
こいつも私も。
ルナは思った。
「今日は良い星空だぁ……死ぬには良い日だ」
死ぬには良い日。
その言葉がルナの脳内を反響する。
大人って……変だ……
ルナは剣を振り上げる。
眼一杯の力を込める。
刀身が紫に輝く。
ルナの髪がふわっと舞い上がる。
「良い事教えてやるよルナ。大人になると自分の限界が見えてくる。
 そんでたまに死にたくなるんだよ。死ねないのは自分と別れる事が辛いからだな。
 死ぬって事は自分と別れるって事以上の意味はない。
 人は自分の為に泣き、笑い、生きる生き物だ。本性は皆孤独なんだぜ?
 自分だけだなんて思うなよ。俺も孤独なまま……マゾのまま……
 俺達の両親、虚無の元へと帰るんだ」
ガブリエルは柔和に笑う。
今までに見せた事のない表情だった。
ルナの心臓が高鳴る。
吸い込まれそうだ。
全てを包み込む包容力。
これが大人か。
「俺は死は怖くない。痛みも怖くない。全て俺が生きていた事の証だから」
ガブリエルは月をバックにしてそう言った。
「さぁ、先に進みたいのなら俺の首を斬れ。それで俺の一生はOKだ」
ルナはさらに手に力を込める。
最高の力で、
最高のサヨナラを……!
「グッドラック!」
最後にガブリエルはそう呟いた。
「紫極!」
横一閃。
紫の閃光がガブリエルの首を切り裂いた。
ポーンと上に飛び上がるガブリエルの首。
その瞳と一瞬眼が合った。
何処までも深い、深海のような瞳だった。
「そんな生で満足か?」
65 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/29(水) 01:21:18 ID:x6VCQ0Bh0 [4/12回(PC)]
頭の奥で声が聞こえた。
ガブリエルの頭は地上に落ちコロコロと転がった。
血液が大量に失われていく。
いかにスカイクロラといえど脳の活動が停止すれば死んでしまう。
これではもう生き残れる確率は限りなくゼロだ。
「お……俺の名は……ガブリエル……忘れないでくれよ……」
頭だけになったガブリエルがルナの方を向いて喋る。
ルナは寄っていってかがみこむ。
「うん……忘れられないよ。貴方みたいな変な人……」
ルナは優しく言った。
ガブリエルはフッと笑う。
「おま……お前の未来にかけたよ……お前は面白い事やってくれ……くれそうだ……」
ルナはニコッと微笑む。
「人生に幕だ……皆のもの、拍手喝采……」
ガブリエルはそれだけ呟いて、眼の色を失った。
ルナはその眼を閉じさせる。
なんともいえない感情が胸に押し寄せる。
私が殺したんだ。
一つの人格を。
今までこんなにその事を強く感じた事はなかった。
なんで、人ってこんなに哀しい生き物なんだろう。
人を殺さないと、人は生きていけない。
何の為にこの世に生まれたの?
それ自体に意味なんてきっと無い。
ただ、どう生きるのかに意味があるんだ。
在る事に意味は無いが
生きる事に意味はある。
ルナはそう思った。
髪で隠れていない左目から涙がつうっと流れ落ちる。
哀しい……生きる事は……
ルナは思った。

「はぁっ……はぁっ……」
「はっ……はっ……」
フリーダとミナセの声が連続する。
月の夜。
フリーダは見上げると満天の星空だった。
綺麗……
気持ち良い……
細胞と遺伝子が爆ぜる……
運命の出会い?
必然の出会い?
なりふりかまわない幸せ?
一つになる幸せ?
砂まみれの幸せ?
66 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/29(水) 01:22:00 ID:x6VCQ0Bh0 [5/12回(PC)]
不純な幸せ?
たった一つの夜?
世界が溶ける。
皆許せる。
好きだから。
たった一つ好きだから。
百億分の一の可能性で好きだから。
貴重な
誰にも渡したくない私だけの世界。
見せてあげたいと思う初めての人。
だから何でもあげてしまう。
それが私の幸せ。
自分の存在が空一杯に広がって全て丸く尖りを失わせ包み込み許してしまえる。
そんな夜。
プルプルしたゼリーみたい。
体を通して全て許してまとめて食べちゃえ。
美味しいよきっと。
だって私の生まれた世界だもの。
殺し合いなんてろくでもないよ。
今だけそう思える。
貴方が居るから。
「ふひー」
ミナセが声を上げる。
フリーダがミナセの首根っこを両手でかかえて引っ張り戻す。
「なぁフリーダ。俺だんだん踊れるような気がしてきたよ」
ミナセが言う。
「そんな事より今の踊りを楽しみましょう」
フリーダが魅惑的に呟く。
「お前にかかったら何でも踊りなんだな。思いもよらなかったよ俺は」
ミナセはフリーダに体を預けながら言った。
「口をつぐんで……今はそういう踊りではないですわ……」
フリーダの唇がミナセの唇を塞ぐ。
敵わないな……この娘には……
俺もう最高。
ミナセは思った。
「あなたの力……私が限界まで引き出してあげる……」
フリーダはわけのわからない事を艶かしく呟いた。
ミナセはなんだか感覚的に意味が分かったような気がする。
全身からふつふつとオーラが湧いてくる。
これが女の力か。
体内で脈打つ大きな力の流れを感じる。
俺はどこまででも行ける。
この女から力を引き出せば。
スゲエよ。
こんなの初めてだ。テレーゼやナナミには悪いが。
いや、ナナミの時はこれと少し似ていたか。
いずれにしよ久方ぶりの感覚だ。
フリーダは猫のように無邪気な笑みをうかべている。
67 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/29(水) 01:22:41 ID:x6VCQ0Bh0 [6/12回(PC)]
「まだまだこれからですわ」
フリーダは言った。

ルナはその日午前3時くらいに家に帰ってきたがミナセはいなかった。
久しぶりに修行に出たのかなくらいに軽く思った。
そのままハンモックに飛び乗ったが、寂しかった。
ミナセに会いたかった。
最高に寂しい日だったのに。
人を殺して友達を一人失ったような……
強くなるってどういう事だろう……
生き残って何がしたいんだろう……
友達って何だろう……
人を殺すってどういう事だろう……
聞きたかったな……ミナセに……
父さんに……
また左眼から涙が落ちる。
私……自分が強いのか弱いのか分からない……
ミナセも同じ事考えた事あるのかな……
きっとあるよね……
私達……似てるもの……
親子だもの……
ミナセも友達みたいな人殺した事あるのかな……
あるよね……
似てるもの……
似てる……
似てる……
血のつながり……
クリムゾンリバー……
ミナセを慈しむ事で、きっと他人も慈しむ事ができる。
ルナは思った。
寝よう……
いつまでも子供じゃいられない……
ミナセに期待して……
依存してばかりじゃ……
次の一歩を踏み出せないんだ……
目の前が真っ暗になる。
人殺しにも……良い人にも……人生は平等だ……
ルナは思った。

白いドーム内のテレーゼの研究所。
カプセルがいくつも設置されていてその中に人間の形がある。
68 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/29(水) 01:23:27 ID:x6VCQ0Bh0 [7/12回(PC)]
アマントとテレーゼが歩いている。
「30体ならロサンゼルス侵攻までに出せますよ。
 戦闘力については期待しないでください。バイトで雇ったレッドラムくらいに
 思っていただければ……」
テレーゼは言った。
「ふん……よくぞこの短期間でそこまで作り上げたものだ。
 さすがは世界でただ一人の大脳特化型レッドラムといった所か」
アマントは呟いてニヤリと笑った。
テレーゼは冷たい眼でそれを見ている。
また世界がどうかなってしまうだろう。
また戦犯か私。
でもしょうがない。
自分が降りても他がやるだろうし
このアマントという男、私の実力を正確に把握しているようだ。
「どうにかなるさ」
テレーゼはアマントに聞こえないように呟いた。



69 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/29(水) 01:24:45 ID:Nmm2O5050 [1/1回(PC)]
腰いてええええEEEEEEEEE
70 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/29(水) 01:38:20 ID:x6VCQ0Bh0 [8/12回(PC)]
腹じゃないのかよ
71 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/29(水) 02:58:45 ID:x6VCQ0Bh0 [9/12回(PC)]
◆全然違うかもしれない次回予告

フリーダ「最高の夜だったの」
アリス「呆れた……」
ジュペリ「ガブリエルが死んだ」

ロサンゼルス侵攻。
飛んでるスカイクロラ40体と同じ速度で走るフリーダ。
汗一つかいていない。
アマデウス「相変わらずスゲエぜ」

サジタリウスで無茶苦茶に壊されるロス。
ロサンゼルス。
トキノとフユキとヤマギワ。
突然現れ奇襲。
ジュペリ「気をつけろ!こいつら強いぞ!」
フユキ「へきょ!」
フユキの頭が吹っ飛ぶ。
フリーダ「舞姫……」
透明な糸で無数の刃物を操っている。
トキノ「畜生ー!」
岩で押しつぶす。
フリーダ「粘土?」
全部切り刻む。
トキノ「ぱうっ!」
トキノの頭も吹っ飛ぶ。
ヤマギワ「畜生……畜生……上等だー!」
切り結ぶフリーダとヤマギワ。
ニヤッと笑ってフリーダ超攻撃!
一瞬で誰も視認できない。
気付くとビルが瓦礫の山になっていた。
モア「やったの?」
フリーダ「やった」
皆他の所に行く。
フリーダ、がれきをどける。
ヤマギワが居た。
フリーダ「君、ミナセと同じ匂いがする。貴重。生かしてあげる」
ヤマギワ「へへへ……後悔するなよ。俺は屈辱に身を甘んじて生き延びるぜ。
     俺に不可能は無い」
逃げるヤマギワ。
笑顔で見送るフリーダ。


続く
72 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/29(水) 17:20:35 ID:RXMyB2tT0 [1/2回(PC)]
フリーダ「悪いなテレーゼ、俺レッドラムになるんだ・・・」
テレーゼ「鶏ポンうめぇw」
73 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/29(水) 18:18:01 ID:x6VCQ0Bh0 [10/12回(PC)]
フリーダは女です
74 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/29(水) 19:05:00 ID:xShs+nL8O [2/2回(携帯)]
shina=took
75 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/29(水) 19:17:48 ID:x6VCQ0Bh0 [11/12回(PC)]
10人しかいないのにもう一人死んじゃったよスカイクロラ
76 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/29(水) 20:19:05 ID:RXMyB2tT0 [2/2回(PC)]
フリーダ「ネカフェ難民だけにはなりたくないんだ・・・」
テレーゼ「鶏ポンうめぇw」
77 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/29(水) 21:45:55 ID:x6VCQ0Bh0 [12/12回(PC)]
◆これから先こんなタイトルがあるよシリーズ

「トモダチ」
「月と海」
「月の導き」
「海の咆哮」
「父と母」
「部外者の舞い」
78 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/30(木) 01:34:26 ID:zMMqfxBC0 [1/8回(PC)]
フォルテシモ第五十一話「ロサンジェルス侵攻」

スカイクロラ基地。ニューヨーク支部。
ジュペリが突然談話室に入ってきた。
アマデウス、モア、バルトーク、ホメロスが居る。
「ガブリエルが死んだ」
ジュペリは肩で息しながら言う。
場の空気が凍りつく。
「マジ……?」
モアが聞く。
ジュペリは無反応だ。
「一体誰にやられたんだ……まさか……あのミナセって奴か?」
ジュペリは眼を細める。
「前大戦の生き残りか新興の奴か知らないが俺達以上の力を持つレッドラムは
 少ないがたしかに居る。特定はできない」
モアがペタンとソファーに座り込む。
「怖い……怖いよ……」
モアが消え入りそうな声で呟いた。
ジュペリがすぐに傍に駆けつける。
肩に手を置く。
モアの小ささが触覚を通して伝わってくる。
ホメロスは自分の右掌を強く左手で殴りつけた。
バルトークの眼が活き活きと燃え盛る。
アマデウスは「あーあ」と呟いてソファーに仰向けに寝転がった。
「死にたくないよ……」
モアがジュペリにだけ聞こえる大きさの声で呟いた。
ジュペリの体に熱がこもる。
自分達はまだ試しの門の前に立ったばかりだ。
ジュペリは思う。

エルサレム基地。
アリスが植物園を通りがかるといつものようにフリーダが居た。
レンガの花壇に腰かけてボーッと宙を見ている。
いつもボーッとしている印象だがその日は尋常ではなかった。
命が半分抜けかかっているかのような……
アリスはフリーダの目の前で掌を振る。
「もしもーし」
フリーダはしばらく気付かなかった。
空ろな目でアリスの方を見上げる。
「最高の夜でしたの。あーたん」
フリーダはゆっくり呟いた。
アリスは呆れた顔をしている。
「ロサンゼルス侵攻だぞ。あそこレッドラムの生き残りの巣窟だから全員で
 行くんだ。もちろんお前も」
アリスは言った。
フリーダの眼は定まらない。
「あの眼……あの口……あの舌……頭に貼り付いて離れませんの」
79 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/30(木) 01:35:36 ID:zMMqfxBC0 [2/8回(PC)]
フリーダは夢見心地で言った。
アリスはため息をついた。
「私そういうのよく分からないけど……アンタみたいな無茶苦茶な奴に
 好かれた奴ははたして体がもつのかな?」
フリーダの眼に生気が戻る。
「あの方は私が酵素だとしたら世界でたった一つの基質ですの。
 私と一緒に最高の舞台を演出するの。そして、いつかは、共に、踊る、運命?」
フリーダは歌うように言った。
「そういうものかね……」
アリスは何も無い所を見ながら言った。

岩の中の家。
ミナセがハンモックの上でゴロゴロ転がっている。
ルナは小説を椅子に腰かけて読んでいる。
題名は「金星の娯楽」だ。
ミナセはさっきから寝言のような事を呟いている。
「うーん……そっ……フリー……なっ……」
魔界語ではない何か別の物だ。
ルナは感じた。
昼間から寝ているという事は昨日は寝ずに修行だったのかな。
やっぱ気になるものね。あの翼手目達。
自分はまだミナセの本当の力を知らない。
見てみたい。
あの翼手目との戦いで見れるかも。
ルナはニヤついてきた。
それで一網打尽にするんだ。
自分が一匹必死こいて倒した奴等を一網打尽に。
ミナセは自分よりずっとずっと強いんだ。
その事実がルナを安心させる。
その事実が次の一歩を踏み出させ高みへ高みへと自分を導いてくれる。
ミナセが居るから生きていられる。
ミナセが居るから頑張れる。
……やっぱ依存してるな自分……
駄目だな……
ま少しくらい駄目でも良いかな……
そういえばガブリエル殺した事まだミナセに言ってないな。
まぁいいか。
ミナセも修行の事話してくれないし。
秘密だ。
良いな秘密。
大人な気分。
これ成長?
きっと成長。
ははは。馬鹿みたい。
ルナはそこまで考えて読書に気を集中させた。

その3日後。
80 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/30(木) 01:36:41 ID:zMMqfxBC0 [3/8回(PC)]
アメリカ。
40体近いスカイクロラが上空を飛んでいる。
うち30体ほどはクローン。
オリジナルは8体だ。
最後の一人のスカイクロラのバッハは基地に残っている。
人格は消去されている。
形だけがオリジナルのジュペリ達と同じ戦闘マシーン。
力はジュペリ達より数段劣る。
理由はよく分かっていない。
「気持ち悪いよなー兄弟達。吐き気してきた」
アマデウスが自分のクローンを見ながら言う。
下で砂塵が巻き上がっている。
フリーダが一人で上空を飛ぶスカイクロラと同じ速度で走っている。
汗一つかいていない。
「スゲエよな。フリーダは。レベルの差を感じるぜ」
バルトークが言った。
「不惑の白は夢の中……王子様にお姫様抱っこされてる……」
アリスが呟く。
「アリスさん! 久しぶりですね。一緒に仕事するの」
モアが言う。
「どうでも良いよ……私の事なんか……」
アリスが呟く。
アリスはくるくる横に回転しながらクローンの間を飛び回る。
「フリーダさんと同じくらい意味分かんない」
モアがジュペリに耳打ちする。
「キタ……」
オセロが呟く。
ロサンジェルスの街が見えてきた。
「空ー襲ー警ー報ー! 野郎ども! サジタリウス用意だ!」
ホメロスが号令する。
クローン達が弓矢を構える。
「グッドラック! 散開だ!」
バルトークが叫ぶ。
スカイクロラ達は方々に散っていった。
その数十秒後。

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドウ!

轟音が轟く。
一瞬で街が火の海になる。
建物から火達磨になった人間達が飛び出してくる。
「ふふ……」
眼に炎を映したアリスが不敵に笑う。
「放課後の音楽室」がアリスと同化し紫の光を集める。
「涅槃交響曲!」

ドオオオオオオオオオオオオウ!

凄まじい爆発が起こり建物があらかた吹き飛ぶ。
「スゲエなアリスは。どんなレッドラムがいても関係無い」
アマデウスが呟いた。
その時、アリスめがけてビュンと石が飛んでくる。
81 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/30(木) 01:37:18 ID:zMMqfxBC0 [4/8回(PC)]
首を傾けて避けるアリス。
頬に裂傷が走る。
血がポタポタと流れ落ちる。
一つだけ残っている300メートルはあろうかというタワーの上に人影。
三人。
炎をバックに揺らめいている。
「何者だ貴様ら!」
バルトークが叫ぶ。
「ふっはぁー! 何者か!? 俺は俺様だ! ヤマギワ・シュウイチだ!」
「クロヌマ・フユキ!」
「トキノ・リクオ!」
3人は名乗った。
「とうっ!」
三人はタワーから飛び降りる。
「降りて勝負しろ翼手目!」
ヤマギワの声が響く。
「面白い……」
バルトークが呟く。
「かなり質の良いレッドラムみたいね」
モアが言った。
「クローン達! それとアリス! 他のレッドラムは頼んだ! 俺達はあの眼鏡ぶっ倒す!」
ジュペリが言った。
クローン達は方々に散っていってジュペリ達は地上に降りていった。
チョンマゲの剣士と眼鏡の学ラン男とボサボサ頭の妙な玉を持つ男達が立っている。
「逝くぞー!」
ヤマギワが号令する。
「よっくも俺達のホームポイントを!」
フユキが激昂する。
「雁!」
「ドグラ・マグラ!」
「人間の土地!」

ドガアアアアアアアア!

大地がせり上がり刀が伸び先頭に居たモアとジュペリが急に倒れる。
「どうした!? モア! ジュペリ!」
アマデウスが駆け寄る。
「ドグラ・マグラ!」
眼鏡の男が叫ぶ。
アマデウスはその柄の四つの眼を見た。
次の瞬間目の前が真紫になった。
倒れ伏すアマデウス。
バルトークはトキノと、
オセロはフユキと、
ガロアとホメロスはヤマギワと対峙する。
「気をつけろよガロア。あの刀の柄見たら皆倒れたみたいだ」
ホメロスが言った。
「分かってるよ……」
ガロアが呟く。
「もう気付いたか! ならちゃっちゃと行くぞ!」
ヤマギワが剣を振り上げ迫ってくる。
82 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/30(木) 01:38:24 ID:zMMqfxBC0 [5/8回(PC)]
ガロアも剣を取り出す。
剣が重なり合って火花が散る。
「くっ……!」
ガロアが後ずさる。
重いっ!
そして速い!
並の手練じゃない!
ホメロスが横から刀で斬りかかる。
ヤマギワはそれを二本目の剣で受け止めた。
サーベルのような形をしている。
「新刀、インストール! 錆びろ!」
ヤマギワが叫ぶとホメロスの刀がボロボロと錆びて崩れていった。
「何ぃ!」
ホメロスが狼狽する。
「まだまだこれからぁ!」
ヤマギワが叫んだ。

83 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/30(木) 02:48:38 ID:zMMqfxBC0 [6/8回(PC)]
◆全然違うかもしれない次回予告

フユキ「ハハハハハァ!」
トキノ「フワッハハァ!」
劣勢のスカイクロラのオリジナル達。
そこにフリーダがヒョコヒョコやってくる。
フリーダ「何して遊んでらっしゃるの?皆様」
口に手を持っていきながら呟く。
オセロを吹っ飛ばしたフユキがフリーダに向かっていく。
フユキ「綺麗なお姐さん!大好きだぜぇぇぇ!」
パキョ!
フユキの頭が吹っ飛ぶ。
あっけにとられるトキノとヤマギワ。
透明な糸で刃物を操るフリーダ。
フリーダ「踊りにできる人はいません事?」
トキノ「上等だああああ!」
大地が隆起する。
風が走り大地が砂になる。
フリーダ「こんなんじゃ駄目ですわ」
トキノ「やろ……へきょ!」
トキノの頭が吹っ飛ぶ。
ヤマギワ頭に血がのぼる。
「やいやいやい聞け!女!俺は辞書に不可能の文字を持たぬ世界最強の男
 ヤマギワ様だ!俺はああ!そいつらを頂点までつれていくと約束したのだぁああ!
 それをよくもよくもよくもぉぉぉぉ!」
ヤマギワ突撃。
刃物の動きを見切る。
剣で受け流す。
バルトーク「すげえ!俺には一瞬たりとも刃物が見えねえ!」
ヤマギワ「うおおおおおお!」
フリーダ「良い眼。吸い込まれそう。ミナセによく似てる」
刃物の動きが一段スピードアップする。
切り刻まれるヤマギワ。
「絶技……ナバ・テ・ア!」
白い閃光があたりを包む。
皆が気がつくと瓦礫の山があった。
モア「やったの?」
フリーダ「彼、分子レベルまで分解されちゃった」
皆他のレッドラム討伐に向かう。
フリーダ瓦礫を舞姫でどける。
ヤマギワが居た。
「生かしてあげる、君ミナセに似てるから」
「後悔するなよ。俺は屈辱に身を甘んじる事なんてどうも思ってないんだから」
フリーダはヤマギワにキスをする。
ヤマギワ口をぬぐう。
「やな女だ」
84 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/30(木) 02:49:38 ID:zMMqfxBC0 [7/8回(PC)]
逃げるヤマギワ。
手を振って見送るフリーダ。

ミナセとルナ本気の修行。
ナナミに似てきた……紫極を使うとは……
これも血か……
まだまだミナセには勝てないや。
安心した。

「火取玉ぁ!」
「うわああああああああ!」
「ふん。なかなかの避けテクニックだ。親父譲りだな」
「師匠!死にますよ俺。元来俺師匠に修行つけてもらうな器じゃないですし」
「ほざいてろ。昔のミナセ鍛えてるみたいで面白いぜ。気が入る」
魚眠洞!逝くぞおお!

続く
85 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/30(木) 23:03:16 ID:zMMqfxBC0 [8/8回(PC)]
◆これから先こんな台詞があるよシリーズ

テレーゼ「私の事何にも知らなくせに!」
ミナセ「俺は道化。それ以上でもそれ以下でもない」
ルナ「分かるよフリーダ……貴方の心!」
ネプト「お前が裏切ったから……俺は強くなった……!」
ライマ「さよならって言えなかった……」
カンジ「お前は……似てるんだよ……」
アリス「皆皆!消えてなくなれ!」
ジュペリ「俺、弱いけど、馬鹿だけど、見つけたよ。大事な物!」
ユアイ「揺らめく孤独。私の不安。ゆあーんゆよーんゆあゆよん」
リュイシュン「神様はもっと狡猾アル」

御免嘘。
86 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/31(金) 02:12:19 ID:MCT1iiYE0 [1/7回(PC)]
フォルテシモ第五十二話「不惑の白」

「ハハハハハァ!」
「フワッハハァ!」
刀で攻めまくるフユキとトキノ。
オセロとバルトークは防戦一方だ。
「畜生! 棒の踊り!」
バルトークは仮面を装着し速度を上げる。

ガカッ!

大地が隆起しクローの攻撃を防ぐ。
「粗雑だぜ翼手目! どんどん行くぜ!」
尖った大地が次々と隆起しバルトークを狙う。
バク転しながら避けるバルトーク。
こいつ等マジで強い!
危機感がつのる。
さすがに簡単にはいかないらしい。
ホメロスとガロアも二対一でヤマギワ相手に押されている。
剣の腕はヤマギワの方が数段上だ。
超連続の攻撃でガンガン押してくる。
柄を見れない事がかなり二人の視界を狭めている。
エルサレム、ニューヨークと一方的に虐殺して落として世界は狭いと思った。
それが今回はこんな手練が現れる。
ガロアもホメロスも焦った。
「ハハハハハァ! 沈め翼手目! 紫極!」
ヤマギワの刀が茶色に光り空を切る。
ホメロスとガロアは咄嗟に反対方向にスライドして避けた。
直撃したタワーが真っ二つに斬れた。
しかし立ったままだ。
それほどの鋭い一撃だった。
「ちぃっ! 反応速度は褒めてやるよ」
ヤマギワは言った。
その時、ホメロスとガロアの後ろからヒョコヒョコ茶髪の美女が歩いてくる。
「ハロー。ガロア。ホメロス。何やってるの? ふああああ」
女は欠伸した。
ガロアは不満を顔に露にした。
女が来た事が気に入らないらしい。
「フリーダ。悪いがこいつ等は俺達の獲物だ。他をあたってくれ」
ホメロスが言う。
フリーダはプーッと頬を膨らませる。
「私だけ仲間はずれ? そんなウザいかなぁ私」
ヤマギワはフリーダと呼ばれた女からただならぬオーラを感じた。
ナナミを捻じ曲げて水を含ませたような……そんなオーラだった。
「まぁ。凄いイケメン3人です事。駄目よガロアそういう趣味持っちゃ。
 面白そうですわ? 眼鏡の方、私と一緒に踊りませんか?」
フリーダはスカートを手で持ち上げて言った。
こいつ……危険な匂いがする……
ヤマギワの感覚は敏感に察知した。
バルトークとトキノはかまわず戦っている。
フユキはオセロと剣を組み合わせ力で押し切る。
オセロが瓦礫の上に吹っ飛ばされた。
87 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/31(金) 02:13:18 ID:MCT1iiYE0 [2/7回(PC)]
「こっちの方が美人だな! 俺が相手してやるぜ!」
フユキがフリーダに向かっていく。
「よせフユキ!」
ヤマギワが制止する。
「あら嬉しい。ならご挨拶代わりに……」
瞬間、ヤマギワは何かの狂気を察知する。
何か空間に出てきた。
「ぱきょ!」
フユキが妙な声を出す。
それと同時にスイカが割れるようにフユキの頭が吹っ飛んだ。
「フユキ!」
トキノが振り向く。
ヤマギワはわなわなと震えだした。
バルトークもガロアもホメロスも呆然としてフリーダに魅入っている。
トン トン トトン トン
フリーダはいつもの踊りを踊りだした。
「愛しい人。貴方が居たから何度でも頑張れた」
歌いだすフリーダ。
狂ってる。
ヤマギワは断じた。
ふつふつと血が逆流してくる。
トキノも同じだった。
「挨拶で死んじゃうなんて。イケメンでもあまり面白い人ではございませんでしたわ」
歌うようにフリーダが言った。
「ざけんなテメエ!」
トキノがフリーダに向かって駆け出す。
「やめろトキノ!」
ヤマギワは声を出すが体が動かない。
ビビってる?
俺が?
俺に不可能は無いのに。
遺伝子が言ってる。
そっちの道は……
死だ……
「人間の土地!」
トキノが両手を打ち合わせて尖った大地が高速で隆起する。
踊るようにヒラヒラかわすフリーダ。
隆起する大地がフリーダが舞うたびに粉末になって風に吹かれて消えていく。
あいつの得物は何だ……?
ヤマギワが空間を凝視する。
いや……トキノを助けなければ……
頭の奥で声がする。
しかし生存本能が勝っているようでひたすら分析する。
眼の隅に黒い影が映る。
あれは……柄の無い刃物……
何で操作してるがしらないが刃物を遠隔で操作してる……!
「へきょ!」
トキノもフユキと似たような声を上げる。
トキノの頭が真っ赤な血の塊になった。
倒れるトキノ。
その体にもう生命は宿っていない。
88 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/31(金) 02:14:29 ID:MCT1iiYE0 [3/7回(PC)]
歯軋りするヤマギワ。
逃げろ!
生存本能が言っている。
しかしその手は学ランを脱ぎ捨てた。
「俺は約束した! そいつらを最高の高みまで連れて行くと! 
 辞書に不可能という文字を持たない俺は約束を破った!
 二人は死んだ! 俺は今最高に腹が立っている!
 俺が俺である所以を汚しやがって! 貴様は此処で処刑する事に決定だ! 女!」
ヤマギワは見得を切った。
学ランを肩に羽織る。
真っ赤なワイシャツが姿を現す。
「貴方、面白い。もう分かる」
フリーダが言った。
その手がフワフワ宙を舞う。
手だ。
いや指?
刃物を操作している。
気配が数百。
多いぞ。
さばけるか?
さばくんだよ!
俺に不可能は無い!
生存本能を自我が振り切った。
「逝くぞおおおおおおおおおお!」
ヤマギワが叫んでフリーダに向かっていく。
フリーダはニコリと笑う。
初撃!
左後方から!
撃ちぬけ!
 
キン!

刀に硬い感触!
弾いた!
どんどん来るぞ!

キキキキキキキキキキキキキキン!

超感覚で全方向から襲ってくる無数の刃物を弾くヤマギワ。
「うおおおおおおおおおおお!」
咆哮する。
「スゲエっ! 誰にも見えないフリーダの攻撃を……!」
バルトークが感嘆をあげる。
スカイクロラは一段レベルが上の戦いをただただ固唾をのんで見守る。

ブツ!

違う感触。
89 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/31(金) 02:16:11 ID:MCT1iiYE0 [4/7回(PC)]
操っていた糸が一本切れた。
瓦礫の山に銀色の輝く鋭利な柄の無い刃物が突き刺さる。
フリーダは笑みを絶やさない。
だんだん笑みが大きくなっていっている。
フリーダはヤマギワの眼を見ている。
今のも消えそうな茶色の光をたたえて
それはとても綺麗だった。

キキキキキキキン!ブツ!キキキン!ブツ!

新たに二個、刃物が瓦礫の山に突き刺さる。
「はぁっ! はぁっ!」
ヤマギワはさっきから凄まじい猛攻に一歩も動けていない。
そろそろ体力も限界だ……
「楽しいな……こうでなくちゃ」
フリーダはまた踊り始めた。
魅惑的な踊りだ。
刃物の嵐の速度が一段増す。

ブシュ!ブシャア!

二撃、ヤマギワは刃物の攻撃をもらう。
痛みで顔が歪む。
俺に……俺に夢を託した二人は……死んだ……
アイツ等の為にも……俺はこんな所で死ねない……!
「ぐしょおおお! 紫極!」
茶色の閃光の一閃!
フリーダの後ろのビルディングが真っ二つに裂ける。
フリーダの姿は消え去った。
ずっと上空。
逆さまになったフリーダの姿をヤマギワは捉える。
「本当に楽しい! でも仕事だからフィナーレ! 舞姫……カオスレギオン!」
フリーダの眼が白く輝く。
ヤマギワの神経が何かを感知する。
何……?
俺は……死ぬ……?
遺伝子が……そう言ってる……
フユキ……トキノ……
御免な……

パアアアウ!

白い閃光が辺りを覆う。
テレポン舞姫による光速の超連打が輝いて空間を埋め尽くす。
スカイクロラ達はそろって目を覆う。
「底抜けだ……フリーダ……」
ガロアが眼を覆ったまま呟く。
数瞬後。
フリーダの目の前にコンクリートの粉末の山ができている。
ヤマギワの姿は無い。
眼を覚ましたモアが眼をパチクリさせる。
さっきまで其処にあったビルディングが粉末の山になってしまったのだ。
「やったの?」
モアが聞く。
「うん。彼、分子レベルまで分解されちゃった」
フリーダは言った。
皆、ため息をつく。
90 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/31(金) 02:17:17 ID:MCT1iiYE0 [5/7回(PC)]
「なんだよアイツ。強すぎる。世界は広いな」
バルトークが言う。
「それを凌駕するフリーダは相変わらずだけど……」
目覚めたアマデウスが言う。
「さぁっ。まだレッドラムは残ってますわ。皆散った散った」
フリーダが手を振りながら言った。
ガロアが釈然としない表情のまま背を向ける。
他のスカイクロラ達もノロノロと方々に散っていく。
一分くらい経った。
フリーダはほっとため息をつく。
「良いよ。でてきても」
フリーダが言った。
コンクリートの粉の中から腕が突き出される。
バサバサと音を立てながら中から人間が這い出してきた。
ヤマギワだ。
「何のつもりだ」
ヤマギワが言う。
「貸しかな?」
フリーダが顔を崩してひひっと笑う。
ヤマギワがギロリと睨む。
「俺の性格ではだな……こういう時は甘んじて無様に逃げる……
 そして別の場所で鍛錬を積みお前とはもう関わらない……こうだ。
 フユキとトキノは俺にとって大事な奴らだったが私怨なんて
 ろくでもねーもんだと思ってるからな。そんなものに冷静な時は
 拘らない。つまりだ。俺に貸し作っても何にもならないって事だ」
ヤマギワは言った。
フリーダはいっそう顔を崩す。
「貴方、気に入ったわ。本当に。ミナセに似ている……なんとなく……」
「ミナセ……? んぐ」
ヤマギワの唇とフリーダの唇が重なる。
フリーダの舌がヤマギワの舌とからみあう。
これは……凄いぞ……
ヤマギワは思った。
数十秒後、フリーダは唇を離した。
ヤマギワは口をぬぐう。
フリーダは唇を舌でなめる。
「何のつもりだ……」
ヤマギワはさっきと同じ台詞を吐く。
「何のつもりでもなぁい」
フリーダは言った。
へっとヤマギワは吐き捨てる。
「後悔すんなよ。売女」
ヤマギワは言った。
フリーダは笑って手を振る。
「バイバイ」
ヤマギワは出鼻を挫かれ俯いてきびすを返す。
走り出す。
笑顔のフリーダが見送った。
こんな無様になるなんて初めてだ……
俺に不可能は無い筈なのに……
ヤマギワは思って、
全力でその場を駆け抜けた。

91 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/31(金) 02:30:52 ID:iwuydG5MO [1/3回(携帯)]
あいしてる
92 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/31(金) 03:16:29 ID:MCT1iiYE0 [6/7回(PC)]
◆全然違うかもしれない次回予告

ジュペリのテレポン完成。
「ガラクタノカミサマ」。
両腕に巻きつける金属。
ワイヤーのついたマシンアームを伸ばして相手をつかみ電流を流す。

カンジ「よし行くぞネプト!作戦Zだ」
ネプト「何すかそれ」
カンジ「それ行けー」
カンジ、ネプトを門の前まで吹っ飛ばす。
ネプトたくさんのレッドラムの傭兵に追われている。
「最低だ!カンジさんの馬鹿ー!」
研究所の中のカンジ。
魚眠洞!金目鯛の章!
光球の散弾が腕と同化した銃から出る。
時間稼ぎにはなる。
飛魚の章。
緑の光の翼が生え飛んで逃げるネプト。
器じゃない!全然器じゃない!
竜宮の使いの章
腕が竜宮の使いの頭になり剣が生える。
うおおおおおお!
器じゃないですしー!
ドドドウ!
バックで火の鳥が現れる。
カンジ「よく時間稼ぎしてくれたネプト!新テレポンいただきだ!」
ネプト「師匠ー!」
カンジ「寝てろよテメエラ!アナスタシアー!」
ドオオオオオオオウ!
レッドラム一掃。
ネプト、カンジの所まで飛んでいき捕まる。
「さらばじゃー!」
飛び立つ二人。

続く
93 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/31(金) 17:54:10 ID:iwuydG5MO [2/3回(携帯)]
うほ
94 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/08/31(金) 19:36:41 ID:MCT1iiYE0 [7/7回(PC)]
んな事言う前に感想でも書いてくれよ
95 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/08/31(金) 19:39:07 ID:iwuydG5MO [3/3回(携帯)]
感想

はい書いた
96 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/01(土) 03:17:17 ID:7AuOhjtC0 [1/4回(PC)]
フォルテシモ第五十三話「これも修行の一環だ」

ロシア。
とある研究所。
傭兵レッドラム十数体による厳重な警戒態勢がしかれている。
世界が変わり人間の天下になりレッドラムはもっぱら傭兵などになり
人間の傘下に入っているのだ。
それ以外は野放しの野盗など……
はたまたミナセ達のように種の再起を虎視眈々と狙う者など……
それはさておきカンジとネプトは岩陰に隠れてその大きな研究所を
盗み見ている。
狙っているのはその研究所に保管されているという情報の新テレポン
「アナスタシア」。
どうやらアリスに破壊された「サウダージ」と同系統のテレポンらしい。
スカイクロラ達とのリベンジマッチにどうしても必要な物だ。
カンジは眼をキラキラさせている。
子供のようだ。
見ているネプトは完全に子供だが。
レッドラム達はまだこちらに気付いていない。
「ネプト。作戦Zだ。俺はその隙にアナスタシア取ってくる」
カンジがニヤッと笑って言う。
「俺は何をするんすか?」
ネプトは心配だ。
「突撃あるのみだ」
と……
瞬間、ネプトは尻に強烈な蹴りを喰らった。
空を飛び、研究所の門が近づいてくる。
そんな……
これは……
囮作戦じゃないか……!
レッドラム達が気付いて銃で発砲してくる。
テレポン持ってないのが救いか……
こっちは母上お墨付きの最強のテレポンを持ってる。
俺の成長に合わせて一緒に成長するという最強のテレポンを……
母上は嘘をつかない。
その真価はいまだにネプトにも分からなかったがその複雑性はなんとなく理解できた。
そうだ。
道具も人間も複雑なほど強いんだ。
母上が何回か言ってた。
俺は器小さいけど、
母上がいるなら……
「うおおおおおお! 魚眠洞! 飛魚の章!」
ネプトに左右に3つずつ緑の光の翼ができる。
空を自由に飛んで銃弾を避けまくる。
俺は……逃げる!
研究所と逆方向に飛んで逃げるネプト。
97 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/01(土) 03:18:33 ID:7AuOhjtC0 [2/4回(PC)]
レッドラムのほとんどがネプトを追ってくる。
戦闘狂ばかりで単細胞が多いのがレッドラムの悪い所だ。
このまま逃げ切ったらさすがに役割の放棄だ。
カンジさんは俺に囮になってほしいわけだから……
まぁ、いいや!
戦おう!
器じゃないけどテレポンがあれば少しはやれるだろう!
ネプトは翼を消して降り立つ。
逝くか!
右腕に力を込める。
青い眼の魚の紋章が浮きで、さらに腕の形状が変わる。
その形は……腕とほぼ同じ太さの銃。
ネプトがニヤリと笑う。
カンジさんとの修行中に発現した新たな能力だ。
レッドラムが数人追いついてくる。
すかさず銃口を向けるネプト。
「魚眠洞! 裸鰯の章!」

バババババババババババババババババババ!

青い眼をした光る魚の群れが銃口から射出される。
眼をむく追っ手達。
岩の陰に急いで避難するが数人体を撃ち抜かれる。
しかしそれでひるむレッドラムではない。
まだまだ威力不足だ。
完全に戦闘不能になった者は一人もいない。
ほうほうのていで皆岩陰に隠れる。
時間稼ぎにしかならないか……
しかし今の俺の役目は時間稼ぎだ!オーライ!
撃ちまくるネプト。
ポーンと手榴弾が飛んでくるがそれも撃ち抜く。
爆発が起こり噴煙が視界をさえぎる。
それに紛れて二人レッドラムが突撃してくる。
ネプトは左手に力を込める。
ネプトは両利きなのだ。
左腕の形が変わり邪悪な何かの頭の形になる。
それはリュウグウノツカイだ。
そしてその口から日本刀が飛び出してくる。
刀身が緑に輝く。
「魚眠洞! 竜宮の使いの章!」
折って二人も刀で攻撃してくる。
両方向からの攻撃を銃と刀で受ける。
「熱くなれ!」
緑の光が増す。
ネプトの刀に触れていた刀が溶け出す。
狼狽する傭兵。
銃で片方の追っ手をふっとばし銃をもう片方に撃ちつける。
98 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/01(土) 03:19:36 ID:7AuOhjtC0 [3/4回(PC)]
蜂の巣になる追っ手。
頭に致命傷を負い機能停止する追っ手。
「テメエエ!」
もう一方の追っ手が激昂する。
躊躇なく銃弾を撃ち込むネプト。
こちらも蜂の巣になり機能停止する。
わっと追っ手が岩陰から飛び出す。
一対一では勝負にならない事を悟ったらしい。
ごちゃごちゃに攻めてくる。
傭兵なら適当に仕事すりゃ良いのに……
マジメな人多いんだよねレッドラムって……
「飛魚の章!」
また飛び上がるネプト。
早くしてくれよカンジさん……
俺、器じゃないからもたないよ……
その時、黒服黒髪の青い眼をしたレッドラムがのらのら歩いてくる。
男だ。
手に弓矢を持っている。
「サジタリウス……」
男は呟く。
弓矢の超連撃。
矢をつがえる手の動きが速くて見えない。
どうやら隊長格のようだ。
ネプトは避けるのに必死になる。
あれはテレポンだ……!
当たったらヤバい……!
「フゥハハハハハァー!」
男が叫ぶ。
さらに矢の数が多くなる。
なんでだよ!
なんでこんな目に遭わなきゃなんだよ!
カンジさん!
なんで!?
最低だ俺の人生!
器じゃなかったんだやっぱ!
カンジさん!
俺はカンジさんにはなれない……
次の瞬間、辺りが真っ赤な光で染まる。
音がなくなる。
メラメラと高い音が現れる。
ネプトは振り向く。
後ろに巨大な火の鳥が浮遊していた。
これは……アナスタシア?
あたり一面を赤い光が覆いつくしている。
温かい……
なんだこれ……
テレポンなのに……
「待たせたなネプト! てめえらよくも俺の弟子をいたぶってくれたな!」
カンジの声が轟く。
火の鳥が大きく動き出す。
その眼がさらに赤く輝く。
黒服の男が狼狽する。
「サジタリウス!」
99 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/01(土) 03:20:28 ID:7AuOhjtC0 [4/4回(PC)]
矢の連続攻撃。
「温いぜ! アナスタシア! ファイアー!」
火の鳥の口から炎の濁流が放出される。
矢は焼けきって消えた。
追っ手達が濁流に飲まれていく。
ネプトはカンジの所に飛んでいく。


100 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/01(土) 15:03:43 ID:WGu4UQLfO [1/1回(携帯)]
カンジ「ぷげらっちょw俺を頼るなw自分でなんとかしろw」
101 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/01(土) 17:50:19 ID:lhUDbMQW0 [1/1回(PC)]
炎の中は温かい。
ネプトだけ熱さを感じないようにカンジが調節しているようだ。
もうアナスタシアを使いこなしている。
「これであの腐れとも五分に戦えようぞ」
カンジが呟いた。
追って達は黒焦げになって死んだ。
しかし次の追っ手が研究所からわらわらと出てくる。
警報が鳴っている。
逃げた方が良さそうだ。
「飛んでいくぞネプト。よくやってくれた」
カンジが言った。
ああ、
やっぱこの人良いや。
ネプトは思った。
火の鳥は大きく羽ばたいてさらに浮上した。
天を目指して
夜の彼方に
俺達は
どこまででも行ける。
ネプトは思った。

ビュン!

火の鳥は月めがけて彼方に飛んでいった。


102 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/02(日) 01:15:56 ID:zkx6IcLZ0 [1/6回(PC)]
◆全然違うかもしれない次回予告

ジュペリ、テレポンもらう。「ガラクタノカミサマ」。

ウィンダムとテレーゼ会話。
ウィンダム「心までアイツに売り渡したつもりはありません。
      俺は最後までアンタについてくって決めた。ふん」

ミナセとルナ会話。
ミナセ「紫極か。懐かしいな。ネーミングセンスも似るんだな」
ルナ「でね。こいつのスペック使ったらもっと面白い事できると思うの。
   空中の敵も倒せるよ。次はあんな無様な姿ミナセに晒すわけにはいかないから」

ガロア「世界は広いな」
オセロ「やる気でた?」
ガロア「詩吟がしたいね」

カンジ「まだまだだネプト!どんどん行くぞ!」
ネプト「器じゃないですしー!」

ライマ「あーあ今日も疲れたぜ」
ライマ日雇い仕事。
ユアイ民族舞踊のレッスン受けてる。
ユアイ「次東南アジア行きたいわ」

3ヵ月後。

ジュペリ「よっしゃ行くぜ!」
モア「逝こう逝こう!」

続く
103 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/02(日) 03:33:53 ID:zkx6IcLZ0 [2/6回(PC)]
フォルテシモ第五十四話「各人思う所」

「よっしゃー! 逝くぞ! あのチビ今日こそ殺してやる!」
「ねえバルトーク。発言が弱そうよ」
「俺はアフリカで会った爆発使いが気になる」
わらわらとスカイクロラ達が廊下を歩いている。
テレーゼとウィンダムとアシモがすれ違う。
「ジュペリ君。ちょっと来てくれる?」
テレーゼが呼び止める。
「あっ。はいっ」
ジュペリが立ち止まる。
テレーゼがニッコリと笑う。
「ぷー」
モアは膨れっ面だ。
「貴方達は先に行っててよ。ちょっとかかるから」
テレーゼが行った。
「かどわかされるなよー」
モアは行ってきびすを返した。
ジュペリが3人について廊下を歩いていく。
少し大きな空間に出る。
テレポンの工場だ。
銀色に光る自動テレポン作製機械がせわしく動いている。
テレーゼが近くの机に置いてあった銀色の筒を二つ持ってきてジュペリに持たせる。
「何すかこれ」
ジュペリは筒を弄ぶ。
「腕にはめんのよ。はめてみな。そしたら脳に直接使い方が送られる」
ジュペリはテレポンを腕にはめた。
言われたとおりそれが何なのか瞬時に分かった。
電気使い。
そこからマシンアームが伸びて相手をつかみ電流を流す。
ちょっと格好悪いと思ったが……
「ようジュペ公。お前、いつまでアマントの言いなりになってるつもりだ?」
ウィンダムがふいに言った。
面食らうジュペリ。
テレーゼがつかつか歩いていってコツンとウィンダムを殴る。
ジュペリは不甲斐ない表情をして自分の首を触る。
「あん……ご存知の通り俺らの中には爆弾が仕込まれてます。
 スイッチはアマントが持ってて……裏切れませんよ。常識的に」
「当たり前でしょウィンダム」
ウィンダムはニヤッと笑った。
「気概の問題だよ。ちゃんと学校通ってても心は不登校児ってね」
テレーゼはふんと鼻で笑う。
ジュペリは愛想笑いする。
「ガロアとかはそういう事も考えてるかな……。
 力を持ってるアリスは逆に何も考えてなさそうです。俺達、田舎者だから……
 言い訳かな……」
「会話は筒抜けなのよ。アンタ、消されるよ?」
テレーゼが釘をさす。
104 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/02(日) 03:35:22 ID:zkx6IcLZ0 [3/6回(PC)]
「そんな事ありえないって分かってらっしゃるくせに。俺、有能だから。
 代わりなんていませんよ」
ウィンダムはケラケラ笑った。
耳のピアスの数がだんだん増えている。
テレーゼはため息をつく。
ジュペリは礼して出て行った。
「ウィンダム。アンタ不良もたいがいにしときなさいよ」
テレーゼが言う。
ウィンダムはケッと笑う。
「心まで自由にされる気はねっス。俺が上司と認めてんのはアンタだけだから」
ウィンダムはハッキリした調子で言った。
ウィンダムは立ち上がりテレーゼと向き合う。
そして口を耳元に持っていく。
「俺が最後までついていくのはアンタだけだ。もしお望みとあらば……」
テレーゼがキツい表情になる。
「その先は言うな」
厳しく言い放った。
そしてきびすを返して出口に向かう。
アシモがオロオロしている。
まったくどいつもこいつもままならねー。
テレーゼは思った。
こいつらには感謝してるんだけどね。
こいつらいなかったら私は……
テレーゼは振り返る。
アシモが柔和に笑っている。
ウィンダムがいたずらした子供のようにニヤニヤ笑っている。
上目遣いだ。
テレーゼもふっと笑った。
私はいつも土壇場の状態で運が良くなる。
5年前も生き残れたし。
こいつらが居れば……
まだまだ死なないよ。ネプト!
そして……
おっと。
その先は思わないでおこう。
テレーゼは出口から出て行った。

ガロアとオセロが空を飛んでいる。
アフリカの新たな基地を作るために街を排除しに行っているのだ。
ガロアはめきめき力をつけ隊のリーダーとして認められた。
オセロはサポート役。
まぁ、ゆくゆくはオリジナルのスカイクロラ全員が隊長になる筈なのだが。
クローンの群れ30体は編隊を組んで飛行している。
オセロはガロアの顔を盗み見る。
また難解な数式を考えているのだろうか。
何処でもない所を見ている。
「ガロア……何考えてるの……?」
オセロは聞いた。
ガロアははっと気がついたようにオセロの方を向く。
数秒まじまじとオセロの顔を見つめる。
105 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/02(日) 03:36:13 ID:zkx6IcLZ0 [4/6回(PC)]
「あ……爆発野郎の事……」
オセロの予想しなかった答えだった。
爆発野郎とは先日遭遇したアフリカの爆発型のテレポンを使うレッドラムの事。
一瞬、目の前に現れただけですぐ消えてしまった。
つまり物凄い速度を持っているレッドラムだ。
姿は夜だったためうまく確認できなかった。
どうやら二人連れらしい事は分かったが……
しかしガロアがレッドラムの事考えてたなんて意外だった。
数学の事しか考えない人だと思ってたのに。
数学の事しか考えられない脳持ってると思ってたのに。
もしかしたら他の事も考えられる脳なのかな……
オセロの中に疑念が生じる。
「ねっ。じゃあガロア、今ドキドキしてるの?」
聞いてみる。
この朴念仁に感情はあるのだろうか。
数十秒沈黙が流れた。
「そうだな……変だな……俺、ワクワクしてるよ」
ガロアは言う。
やっぱ朴念仁か?
オセロは思う。
「変だよな……俺こんな奴じゃなかったのに……
 ジュペリもモアも自分も変わったと言っていた……俺もそうなのか?」
ガロアはあごに手を持っていく。
「お前も何か変わったか……?」
ガロアが聞く。
オセロは自分に指を向ける。
「私? 変わったよ……。例えばね……」
「例えば?」
「教えなぁい」
オセロは笑った。
ガロアは釈然としない表情だ。
本当に分からないの?
朴念仁だな……
オセロは理由なく面白かった。
閉塞された未来。
それでも楽しい事は、
きっとある?

ミナセとルナが食卓でカレーを食べている。
作ったのは台所にいるフリーダ。
「美味しいようフリーダさん。完敗」
ルナが声をあげた。
「うふふ……有難うルナちゃん」
フリーダは笑っている。
最初にルナ見せた時はわずかにリアクションしてくれたな、フリーダは。
ミナセは思う。
まぁ、結局似たもの同士だから。
106 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/02(日) 03:37:17 ID:zkx6IcLZ0 [5/6回(PC)]
世界で一人だけかもしれない同類だから。
簡単に手放せないんだろう。
俺はそれに甘えている。
別にそれで悪いって言ってるんじゃないが。
ルナも俺達の関係には気付いているみたいだ。
悪いな。
成長の妨げになるだろうな。
しかし止められないんだこういうのは。
馬鹿な親父で御免。
ミナセはスプーンを置いて一息つく。
頭を少し切り替える。
新興のスカイクロラ。
その傘下のフリーダ。
自分もうかうかしてられないとようやく思い始めた。
修行だ。
修行しなければ。
昔の心を取り戻せ。
そうだ。
本当、うかうかしてると対面のルナにも負けかねない。
俺ってば究極的に器じゃないからな。
器じゃない。
器じゃない。
ははっ。やっぱ良い言葉だな。
さすが俺。
世界に広めたいね。
器じゃない。
皆皆器じゃなぁーい。
はははは……ははは……
ルナは嫌いなんだよなこの言葉……
どう考えても母様に似たんだよな常識的に考えて……
良かった……心底良かった……
俺に似なくて本当に良かった……
俺みたいな奴生きててもろくな人生送れないよ……
俺はこれ以上遺伝子ばらまくのは罪だ……
フリーダともほどほどにしとこう……
そうそうルナは毎晩朝まで修行に出て行くからアレなんだ。
幸運だった。
ゲフンゲフン。
まぁ、ねぇ。
元気に長生きしましょうよ。
その為に修行しなきゃな……
フリーダがミナセの方を盗み見てニコッと笑った。

「まだまだだネプトー! 火取玉ー!」
「ギャー! 死にますよ俺! 器じゃないですしー!」
カンジとネプトの修行の旅は続いていた。


107 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/02(日) 04:13:42 ID:nRs7rUkZO [1/2回(携帯)]
器じゃないDEATH死
108 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/02(日) 04:15:32 ID:zkx6IcLZ0 [6/6回(PC)]
◆全然違うかもしれない次回予告

フリーダとルナ会話。
ロシアに旅行に出かける。

カンジとネプト会話。
街に出るネプト。
ルナと出会う。
小競り合い。

ルナ電話番号渡して去る。
109 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/02(日) 10:51:15 ID:nRs7rUkZO [2/2回(携帯)]
深夜面接落ちて去る
110 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/02(日) 19:41:44 ID:h6Lc6IrT0 [1/1回(PC)]
今、アリス様がノースリーブで戦っている映像が脳裏に浮かんだ
111 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/03(月) 01:18:13 ID:Rn+Ev5K40 [1/6回(PC)]
フォルテシモ五十五話「水とサボテン」

「合宿に行くぞルナ!」
「は?」
朝一番ルナが帰ってくるとミナセが言い出した。
フリーダは一つしかないベッドで寝ている。
服は着ている。
「行き先はベルリンなのだァア!」
ミナセはベルリンのパンフレットを持って言った。
ルナは呆れ顔だ。
「観光?」
「その通ーり!」
ミナセは言い放った。
ルナは膨れっ面になった。
「私は行かなくても良いんじゃないの?」
ミナセは急に慌てる。
「何言ってる。お前が居てこその旅行だろ?」
「そうかなぁ……」
そこでフリーダが起きだす。
大きく伸びをする。
「んー……おはようルナちゃん。ベルリンに旅行に行くらしいわよ……」
二人とも能天気すぎる!
ルナは不満だった。
ミナセがルナに顔を近づける。
「あのなルナ。旅行は旅行だが俺にとっちゃちょっと意味があって……」
「そんな事聞きたくない!」
ルナはミナセを振り切って外に飛び出していった。
「あらら……」
フリーダは口の前に手を広げる。
「思春期ねぇ……」
ミナセは少し後悔した表情だ。
大人は自分が子供だった時の気持ちなんて忘れてる。

3日後。ベルリン。
大衆食堂。
二人の人間が物凄い勢いで飯を喰っている。
皿の音が鳴り響き空気音がせわしなく聞こえる。
尋常な量ではない。
数十皿の皿が重なり塔になっている。
「あれだけ日雇い仕事したのに食費で全部消えちゃいますね」
ネプトが言った。
「気をつけろよネプト。あんま喰いすぎるとレッドラムだってバレる」
カンジが飯を口に含んだまま言った。
「師匠全然気をつけてないでしょ!」
ネプトが突っ込む。
カンジがフォークをカランと音を立てさせて置く。
「ふーっ! ネプト! お前のピーの能力はまだまだ発展途上だ!
 まだスカクロとやり合うわけにはいかん。だが決戦の日は近い!
 ビシバシ行くぞ! ついてこいよ!」
「オス!」
ネプトもカンジも食事に戻る。
周りの客達が冷や汗を垂らしながら見ている。
二人は格好も異常だ。
アイヌの民族衣装と見たこと無い未来系の銀ピカ衣装。
112 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/03(月) 01:19:33 ID:Rn+Ev5K40 [2/6回(PC)]
現実はこうでなくちゃ!
ネプトは思う。
元気にしってかな母上。
そう思う事も日を追うごとに減ってきた。
不思議と寂しくない。
カンジがいるからってのも有るかもだけど
人間って本来そんなもんなんだ。
「ようネプト。真夜中の修行が始まるまで観光しても良いぜ。
 俺はまたバイトしてっから。メリハリも大事だな」
「オス!」
「ここに滞在するのは一ヶ月くらいと設定する。街を知っておくのも悪くねえ」
カンジが言った。
異国の町。
風。
どれもネプトの心を舞い上がらせた。

ミナセとフリーダがベルリンの大通りを歩いている。
ミナセは煙草をすっている。
フリーダは電飾で彩る街をキョロキョロ見回している。
ふいにフリーダがミナセと腕を組む。
ミナセは少し緊張する。
「意思は固いんだな」
ミナセは何度目かの質問をする。
フリーダはミナセの顔を見てニッコリ微笑む。
「うん。あの子達ほっとけないから」
ミナセは複雑な表情をした。
「俺はお前にどんな影響を与えられたんだ?」
ミナセは言葉の音を確かめるように言った。
フリーダは意地悪い笑いを浮かべて少し沈黙する。
「なんだろ……やっぱ水かな……」
ミナセはフリーダの方を向く。
「私がサボテンで、貴方が水」
フリーダは歌うように言った。
ミナセは前を向く。
「昔、自分の事を太陽だって言う人と月だって言う人に会った事あるよ」
ミナセが言った。
「お前はサボテンなんだな。月の砂漠のサボテンか」
フリーダが絡めた腕をキツくする。
「好き……ミナセ……愛してる……それだけ……分かって……
 私、嘘つきだけど……これは本当……」
ミナセはフリーダの肩を抱く。
「俺もだから」
ミナセは言った。
それで良いのかな?
何か誤魔化してないかな?
この期に及んで
何かを誤魔化したくない。
113 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/03(月) 01:20:10 ID:Rn+Ev5K40 [3/6回(PC)]
気持ちは本物だけど
引き止めなくていいのかな。
ミナセは咄嗟にフリーダを自分に向き直らせる。
フリーダは別に驚いた様子を見せない。
肩を両手で掴む。
掌をするすると下ろしていき背中に這わせる。
そのまま抱きしめた。
誤魔化してなんてないよ。
俺達は好き同士だけど
何か争いには別の要素があって
それ以上に互いの醜い鋭い部分を見たがっている。
俺達は野蛮な民族だから。
野蛮なただの人間だから。
牙を持った……羊……
馴れ合いは欺瞞。
争いは真実。
欲しているものは欠乏。
渇き。
乾燥した大地。
注がれる水。
それは嘘。
嘘だから
それは美しくて
手が、届かない。
俺が水?
汚水だな。
俺にはもっと君が
水に見える。
君がいるからまた生きようかって思えたんだ。
閉塞された俺達の種の未来。
慰めるものは水と風。
俺が君の水になれたのなら幸いだ。
二人は抱き合ったまま固まって動かなくなった。
名残惜しむように
残り少ない夏の日
残り少ない隣を歩ける日々を。
隣を歩く。
それが俺達ができる精一杯。
ミナセは思った。

ネプトが別の大通りを歩いている。
深夜までまだ少し時間があるがもう夜だ。
ネプトは低レベルなテクノロジーを笑って歩いた。
閉塞された研究所の中はある意味では外よりずっとファンタジーだった。
母上はずっと、これから先も、そのファンタジーの中で生きていくんだ。
それを望んでいる。
本当かな?
ネプトの中の一人が言う。
外に出て色んな物を食べた。
114 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/03(月) 01:20:59 ID:Rn+Ev5K40 [4/6回(PC)]
色んな人に会った。
色んな音楽聴いて
色んな本を読んだ。
心が変わり頭も変わった。
それは意味が無い事だったろうか。
人間なんて所詮一生狭い箱の中で考え事してるみたいな生物だ。
誰とも分かり合えないし
本質的に誰とも触れ合えない。
母上がよく言ってた。
外に出てみて逆に少し分かった気がするよ。
母上が言ってた事。
ネプトは思った。
息をフッと吐き出す。
色んな事考えて生きるのも悪くないな。

ゾクッ!

瞬間、大気の圧力が増す。
危険カウンターがビンビンくる。
これは……
カンジがその能力の片鱗を見せてくれた時に感じる
生命の危険信号。
前だ!
前から何かくる!
ネプトは人ごみの中でかまえた。
汗が頬を伝う。

ドクン!ドクン!ドクン!

心臓が高鳴る。
邪悪な気が……
これは……
同族……?

トン……

視界の隅に黒服の少女が見えた。
背はネプトより少し高いくらい。
古い服装だ。
自分とのギャップが激しい。
明らかな異彩を放っているというほどではないその少女に
無意識に眼が動く。
眼球運動が激しくなる。
これは……
この気はこの娘の者か?
そう思った瞬間少女は視界から消えていた。
あれ?
首元に悪寒。
「あ……」
何か冷たい感触が……
首から……下へ……下へ……
115 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/03(月) 01:22:47 ID:Rn+Ev5K40 [5/6回(PC)]
赤い物がポタポタ地面に落ちる。
これは……血だ……
俺の命だ。
顔の下に少女の顔がいつのまにか有った。
背をかがめている。
日本刀も見える。
それで斬られたのだ。
「気ぃ張りすぎだよ君。皆が迷惑よ?」
少女が言った。
紫髪だ。
良い匂いがする。
いつの間にか人が周りからいなくなっている。
不思議だ。
剣を突きつけられたまま知らずに何時間も経ったのだろうか。
もう深夜だ。
カンジさんに怒られる……
う……
あう……
「うわああああああああああああああああああああ!」
ネプトは瞬時に後ろに飛び跳ねる。
もう一度少女の全体像を確認する。
黒服型までの紫髪そして日本刀。
こいつはレッドラムだ!
しかも俺より絶望的に強い!
少女はニッコリ微笑む。
そして言った。
「私、ビョウドウイン・ルナと申しますの。貴方、ミナセに似てるわ。
 思わずちょっかいだしちゃった……」
一陣の風が吹き抜ける。
自分の血の鉄のような匂い。
生命が握られた感覚。
彼我の戦力差。
圧倒的な壁。
少しの憂鬱。
ネプトは運命が動き出した気配を感じていた。

116 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/03(月) 02:53:55 ID:Rn+Ev5K40 [6/6回(PC)]
◆全然違うかもしれない次回予告

ルナとネプト。
ネプト「ビョウドウイン……?」
ルナ「あなたは?」
ネプト「ビョウドウイン・ネプト」
ルナ「あら奇遇ね。同姓ね」
ネプト「……」
だって人間だもん。
しょうがないよ。
ルナ「ちょっと遊んでかない?」
ルナいきなり仕掛けてくる。
ネプト防戦一方。
「器じゃねえよ!」
「うふふ……ますますそっくり!」
魚眠洞!
夜長姫!
良いね!
避けれる!?
紫極!
うわああああああああ!

それから後覚えてない。
気付くと向かいのデパートの屋上に彼女が居て
手を振って消えた。
凄い喪失感に襲われたけど
手の中にくしゃくしゃの紙が。
彼女の電話番号だった。
外に出て初めて胸がドキドキした。
これか。
これなのか。
生きてるって事は。

ルナとフリーダ会話。
フリーダ「御免ね。貴方のミナセを借りてばっかりで」
ルナ「その言い方嫌い」

ミナセ技開発。
ミナセ「できた……無能の人!」
水の弓矢。
117 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/03(月) 21:58:28 ID:rmhMPQUK0 [1/1回(PC)]
◆ルナの決め台詞

「馬鹿なお父さん……」
118 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/04(火) 03:52:17 ID:abh5Eu7B0 [1/8回(PC)]
フォルテシモ第五十六話「最初の距離は」

ルナはネプトから少し離れた位置で笑っている。
体ががくがくする。
心臓がばくばくする。
汗がだらだらでる。
何をキョドってる?
たかが自分より少し背の高い女の子だぞ?
女の子?
そういや自分と年の近い女の子と話すのは初めてだ。
だって基本話合うわけないもの。
俺、強いし。
レッドラムだし。
頭良いし。
そうそう年の近い子供と遊んだ事だってない。
俺は段違いなんだよ。
レベルが違うんだよ。
世界と波長が合わない。
だから繋がれない。
だけど孤独は感じなくて
母上の中に居たら
世界に抱かれていたら
自然に溶け込めれば
この悲運と奇跡と宿命
俺は
嫌いではなかった。
しかし、ここで初めて
同じステージにいる女の子に会ってしまうのか。
世界と波長が合わなくても
心のどこかで感じていた。
察知していた。
世界のどこかに居る
同類の存在を。

ドクン!

今までと違う感覚。
心臓から……
腕が這い出るような……
この娘を俺は……
掴みたい……
なんで?
なんでそんな弱い感情持つの?
俺には孤独は無かったよ。
次元が違ったから。
山の頂上に居たから。
だって頂上の面積は小さいぜ?
人があまり来れなくて当たり前さ。
119 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/04(火) 03:53:00 ID:abh5Eu7B0 [2/8回(PC)]
だから頂上に居る事は一人で居る事。
それは孤独じゃない。
「貴方の名は?」
ルナと名乗った少女が尋ねてくる。
ネプトはビクッとなって動揺する。
俺は一体何を恐れている……?
何が違うんだ。
強さか?
いや……
世の中に対する……
在り方……
「ビョウドウイン・ネプトだ」
声がぶるった。
最低だ。
器じゃないのかやっぱ俺は。
相反する二つの感情。
俺は最強だ。
俺は最弱だ。
目の前の脅威。
圧倒的な力の差。
闘らなくても分かる。
俺は……間違いない……
最弱だ。
「ビョウドウイン? 奇遇ね。 同姓」
ルナがくくっと顔を傾ける。
そういえばそうだ。
珍しい姓なのに。
「どう? やってみる?」
少女が問う。
何を?
決まってるだろ。
内部のもう一人の自分が囁く。
腕がひとりでに上がる。
緑色の光が開放される。
やっちゃ駄目だ。
殺される!
「へぇ……君は緑なんだ……。綺麗な色……」
少女がゆっくり抜刀する。
日本刀だ。
全身の毛が逆立つ。
本当に自分の死が近づいている感覚。
好奇心が猫を殺す。
俺はこんな所で……
腕の動きが止まらない。
今にも魚眠洞「裸鰯の章」を発射しそうだ。
そしたらもう俺の人生アウトだ。
なんでだよ。
有り得ない。
「いくよ……」
120 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/04(火) 03:53:43 ID:abh5Eu7B0 [3/8回(PC)]
くる!

ドン!

一瞬で眼前に少女が迫る。
裸鰯の章!

ドパパパパパパパパパパパパ!

マシンガン連射!
少女の姿は消えた。
今ので決めれた筈なのに斬られなかった。
試されてる……?
ムラムラと対抗意識が芽生えてくる。
「器じゃねえ! 器じゃねえよ!」

パラララララララララララララ!

建物に散弾の跡がバラバラつく。
意識が遠のいていく。
誰も!
俺に近づけるな!
俺は針鼠だ!
「うおおおおおおおおおおおお!」
「力入れすぎだよ……」
後ろで声がした。
背中に刀が……
馬鹿な……
また死んだ……
力が一気に抜けていく。
こんな小さい女に……
命を握られて……

ぐしゃっ

気付くと目の前に少女が居る。
いや、ルナ。
ビョウドウイン・ルナが……
なんで紫髪なんだろ。
遺伝か?
殺す気は無いみたいだ。
残念だな。
一回マジで死んでみたかった。
いや一回死んだら終わりか。
人生はゲームじゃねーんだから。
ハハッ。
ハハ……
何回やっても勝てないや。
このゲーム。
悟った。
これが諦念か。
最低だな。
さっき撃った建物の箇所から煙が上がっている。
虚しいぜ。
月が煌々と照っている。
ルナ。
良いなだな。
漢字でなんて書くんだろ。
121 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/04(火) 03:54:42 ID:abh5Eu7B0 [4/8回(PC)]
もっと知りたいな。
色々と。
変だなこの感情。
温いな。
ドロッとしててとりとめがない。
弱い感情に思える。
今まで持った事なかったからかな。
自分以外のものって簡単に殴れるよね。
自分の物になったとたんに殴れなくなる。
自分の顔とかね。
そう。
弱くなんてない。
この感情はもっと強いものに昇華できる。
そんな予感。
「あ……あのさ! ウザいよね? 俺」
ネプトはいきなり喋りだす。
「ん?」
ルナは耳を傾ける。
「てかっ! 興味ないよね! こんな器の小さい奴」
舌が勝手に言葉を紡ぐ。
俺は何かに怯えているようだ。
そして何かを求めているようだ。
何だろう?
「あのさ! 君みたいな強い人に初めて会ったよ! いや! 子供でね?」
ネプトは喋り続ける。
「私なんてまだまだだよ……。でも私より強い大人には会った事あるんだね?」
ネプトは面食らう。
カンジをイメージしてたわけだが……
「た……多分……」
声が小さくなる。
ルナのニコニコ顔が大きくなる。
「私もつい最近、私より強そうな人に何人か会った。それまでは私の
 お父さんしか私より強い人周りにいなかったのよ」
ネプトは父さんという単語に反応する。
何だろうそれ。
「俺も最近だよ。その人に会ったの。偶然ね」
「捨てたもんじゃないでしょ。この世界。私もそう思った。
 君もずいぶん強いよね」
ネプトは心臓が高鳴った。
褒められたよ。
ああ。
最高。
馬鹿か。
122 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/04(火) 03:55:21 ID:abh5Eu7B0 [5/8回(PC)]
「俺……器じゃないよ……」
ネプトは俯く。
ルナが声を出して笑った。
ネプトはあっけにとられる。
「ああ、おかしい。貴方本当に似てるわ。私の父さんに」
ネプトは反応できない。
ルナは笑い続ける。
くすくす
くすくす
綺麗だ……
ネプトは見惚れる。
なんだよこの生物。
心にするする入ってくる。
ここでずっと
眺めていたいな……

ふっ

瞬間、ルナの姿が消える。
え?
風が吹き抜ける。
どこ行った?
キョロキョロ辺りを見回す。
「こっちだよー」
後ろの頭上から声がする。
すぐに上を見上げる。
デパートの屋上にルナがいた。
手を振っている。
満面の笑みだ。
「会えて良かったよ。私、遅くなりすぎるといけないから帰るね」
言ってルナは、
パッと闇に紛れた。
消えてしまった。
そんな……
俺は……
初めて出会ったのに……
俺の姿を映せる鏡に。
同族に。
きっと
友達になれるかもしれなかった人に。
初めてだったのに。
これで終わりかよ。
最低だ。
嫌だよ!

くしゃっ

握り締めた拳で音がする。
知らない間に掌に紙を握りしめていた。
なんで?
ネプトは急いで紙を広げる。
文字が書いてある。
数字だ……
これは……携帯番号。
ルナに握らされたのか……
するとこれはルナの携帯の番号……
会う気があるなら……
喪失感が埋まっていく。
胸がドキドキした。
123 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/04(火) 03:56:00 ID:abh5Eu7B0 [6/8回(PC)]
俺は人間として見られている。
これか。
この感じか。
生きてるって事は……
外の空気。
外の価値。
やっと見つけた気がするよ。
母上。
母上に教われなかった事……
ネプトは振り返ってその場を後にする。
こりゃカンジさんに怒られるかもな。
満面の笑みを浮かべている事に気付かぬまま
ネプトは走った。


124 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/04(火) 04:46:02 ID:abh5Eu7B0 [7/8回(PC)]
◆次回予告

カンジとの修行に熱のこもるネプト。

図書館でルナ速読。ネプト驚く。
色々遊ぶ。
全然歯が立たないネプト。

フリーダとミナセLOVELOVE。

ミナセ、水の弓矢「無能の人」完成。
フリーダため息。
「早く試したい……」

ネプトさらに修行に熱がはいる。
男の原動力は女だ。

来週も、サービスサービスゥ!
125名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/04(火) 13:43:36 ID:1UpKa2/i0 [1/1回(PC)]
必要以上に改行して書くのはなぜだ?
126 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/04(火) 17:22:06 ID:abh5Eu7B0 [8/8回(PC)]
>>125
そういうリズム感で読む所だから?
もっとぬっちゃけると森博嗣な雰囲気を出すため?
127 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/04(火) 18:55:55 ID:wwCcUZY/0 [1/1回(PC)]
ドロッとした感触が顔を伝わっていく
鈍い痛みが頭に残っているが、顔をあげると黒い影がさらに
覆いかぶさってきた
激痛が走った後意識が薄れていくのを感じた
 死を伴う痛みを初めて知ったがこれはあまりにおすすめできない・・・
 初心者はおとなしく薬でもの・・・ん・・・・
その後その遺体は20キロ離れた山奥で発見された
128 : 名前は誰も知らない[age] 投稿日:2007/09/05(水) 02:32:06 ID:4aRYkgi1O [1/1回(携帯)]
晒しあげ
深夜来いよ(´・ω・`)
129 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/05(水) 04:06:00 ID:0jTlNrvB0 [1/5回(PC)]
フォルテシモ第五十七話「月の引力」

「おせえぞネプト! 2時間遅刻だ!」
郊外の砂漠地帯でカンジが腕組みして待っていた。
魔界のこの時代、発達したテクノロジーに吸い上げられた資源は底をつき
砂漠化が深刻化し都市近辺にも押し寄せていた。
ネプトは頭をボリボリかく。
「落雷が落ちたんです。ドッカーンと」
ネプトは言った。
「あ? ふざけてんのか? 殺す気でいくぞ」
カンジの立てた右手の人差し指と中指がボウツと赤く光る。
ネプトはまだ頭をボリボリかく。
「すいませんカンジさん。今日は上手く集中できそうにありません」
「あ? あっそ。じゃあ死ね」

ブン!

ネプトの姿が一瞬で消える。
油断したカンジは目で追えなかった。
こいつ……やる気出しやがった!

ガカッ!

後ろから魚眠洞「竜宮の使いの章」の刀でカンジを狙った一撃。
それは立てた赤く光る二本の指で止められる。
刀が熱で少し溶けた。
すぐに距離を置くネプト。
今日は気負いが少ない……
それに恐怖心も少ないようだ……
俺はいつもより冷静に分析されている……
カンジは思う。
ネプトの右腕が銃口の形を作る。
いつもより口径が大きい。
魚眠洞が気持ちの持ちようで変化する事は把握済みだが……
これはいつも以上に気が抜けない……
ネプトの動きが予想できない……!
ネプトの脚に急に緑の装甲が浮き上がる。
あれは……深夜特急みたいな物か。
超高速で真正面から突っ込む。

ガガガガガガッ!

高速の刀の攻撃を指二本で受け続けるカンジ。
速い……!
気を抜く暇が無い……!

ボウッ!

左手も人差し指と中指を立てて一気に燃やす。
手数が倍になった。
形勢が逆転する。
130 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/05(水) 04:06:54 ID:0jTlNrvB0 [2/5回(PC)]
押されるネプト。
炎の容赦ない連撃が襲う。
今日はカンジも少し本気だ。
ネプトの眼のずっと奥で、緑の光が明滅しているのをカンジは見た。
当たり前だけどこいつはまだ覚醒してない……
その事を思い出す。
なのにこの強さ。
5歳なんだぜ?
たまんねえな。
嫉妬するぜ。
こいつは一体
何処まで飛べるんだろう?
俺よりきっと
ずっと遠くへ……
カンジの右の五本の指が全て一気に燃え上がる。
ネプトの一瞬の隙を突く。
「消失空掌!」
ネプトの腹に掌底一発!
炎の推進力がネプトを吹っ飛ばす。
「だぐはっ!」
ネプトは血を吐いて遠くの岩に叩きつけられた。
ずるずると崩れ落ちるネプト。
しかしまだその眼は死んではいない。
「はっ……はっ……」
右腕が緑色に光る。
「強くならないと……友達になれないんだよ……」
そんな呟きが聞こえた。
友達……?
街で誰かに会ったのか……
詳しく聞くのは野暮かもな……
そいつが導き手になってるのか……
面白い……
カンジはかまえて両腕に力を込める。
炎が腕に絡みついた。
良いぜアナスタシア。
火力と操作性が数段増してる。
「強くならないと……友達になれないんだよ!」
緑色の光が増し、ネプトの肘の辺りから骨のような刀がが突き出した。
発展途上……
まだどうにでもなれる不定形か……
カンジは分析する。
面白いな。テレーゼの最強のテレポン。
一体どのへんが最強なのか……
分かるのはずっと先かもしれないな……
でも今もそういう匂いは感じる。
すげえ……
すげえ変なテレポンだ。
ネプトが再度突撃してくる。
131 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/05(水) 04:08:09 ID:0jTlNrvB0 [3/5回(PC)]
ふと気付くとネプトの右腕に亀の甲羅のような構造がついている。
電子窓がついていて文字が光っている。
……ゾエア?
そう書いてある。
「わっと!」
ネプトの一撃がカンジの髪を切る。
カンジはしゃがんで避けた。
腹ががら空きだ!
「消失空……!」

ドスッ!

鈍い音が響くがネプトは吹っ飛ばない。
硬い感触……
腹が一瞬で硬化しやがった……!
逆に危機になる。
上からネプトが躊躇なく刀を振り下ろす。
「はぁっ!」
力を込め一瞬で自分の周りを炎で包む。
衝撃波でネプトが上に吹っ飛ぶ。
くるくる回転するネプト。
本当に今日は安定感がある。
餓鬼のくせに。
良かったらその友達未満の面でも拝んでみたいね。
体勢を立て直したネプトが刀を構える。
カンジは全身に力を込めた。

修行は朝まで続いた。
カンジは終わると砂を掘ってその中で寝てしまった。
忍者かこの人は。
そう。俺は携帯を買ってこないといけない。
自分で日雇いやって稼いだ金を使う。
書を捨てよ。街に出よう。
ネプトはベルリンの街にやってきた。
人混みがいつもと違う風に見えた。
ルナが扉を開いてくれた。
俺と全人類の間にあったわだかまりを消してくれた。
俺は繋がれる。
この世界と繋がれる。
だから……
携帯の値引き交渉を頑張った。
なにそれみたいな。
安いやつだけど買った。
これは人と繋がる為の道具。
色は銀。
俺の服と一緒だ。
さっそくルナに電話を……
何の用で?
132 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/05(水) 04:09:51 ID:0jTlNrvB0 [4/5回(PC)]
えーと。
えーと。
……。
会って喋りたいから。
君の事もっと知りたいから。
……言えるかー!
そうだ。嘘だ。
昨日斬られた傷が膿んで大変な事になっている。
弁償してくれ。
よし。これで行こう。

プルルル!プルルル!

「はい。もしもし」
ルナの声だ。
「ルナ……さん……! あの……これでサヨナラなんて嫌だったから!」
ああ言っちゃった。
「ああ。君か。かけてくれたんだ。嬉しいよ。今日暇じゃない?
 まだベルリンにいる?遊ぼうよ。中央図書館で待ってるよ。10時くらいに。
 お昼ごはん一緒に食べましょ」
「あ……ああ! 分かったよ! 一ヶ月ここいるから!」
「ホント? 良かった。じゃあまた後で」

プツン!ツーツーツー

切れた……
言っちゃったよ。
俺、実は馬鹿なんじゃないの?
いや、グッジョブなのか?
分からないよ……
母上はここにいないし聞ける人もいない……
カンジさんもなんか違うし……
どうすりゃ良いんだよ……
自分で経験するしか無いのかな……
そこでネプトは大変な事に気付く。
ハッ!
こ……これは、まさか……
この現象の名前は……
俗に言う「デート」なのでは……
落雷に打たれたような衝撃が走る。
ビョウドウイン・ネプト5歳にして衝撃の運命の荒波にもまれる。
落ち着け!
デートなんてただの単語じゃないか!
昔の爺が作った適当な文字の羅列だ!
惑わされてはならぬ!
汗がタラタラ流れる。
血の気が引いていくのが分かる。
はっ……
俺は人生の岐路に立たされている……!
ええいっ!
俺も男だ!
やってやるぜ!
唐突に覚悟を決めたネプトは中央図書館への道を急いだ。
133 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/05(水) 04:15:03 ID:0jTlNrvB0 [5/5回(PC)]
◆次回予告

図書館でルナ速読。ネプト驚く。
色々遊ぶ。
全然歯が立たないネプト。

フリーダとミナセLOVELOVE。

ミナセ、水の弓矢「無能の人」完成。
フリーダため息。
「早く試したい……」

ネプトさらに修行に熱がはいる。
男の原動力は女だ。

ガロアのテレポン「シンプルワールド」
バルトークのテレポン「呪詛」
オセロのテレポン「絶対支配統制」
アマデウスのテレポン「図鑑」
モアのテレポン「ピンクハイデガー」
ホメロスのテレポン「オデュッセイア」
完成。
スゲエ強くなるスカクロ達。

続く

来週も、サービスサービスゥ!
134 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/05(水) 05:32:50 ID:P+fI5Y1X0 [1/1回(PC)]
それはそれで、家庭作りたいので。
135 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/06(木) 04:02:35 ID:2nFnixg10 [1/6回(PC)]
フォルテシモ第五十八話「月と海の戯れ」

中央図書館に着いた。
ネプトは肩で息している。
心臓が早鐘のように鳴る。
寝てないから大分眠い。
しかし気をしっかり持たなければ。
今日できっと友達になれるかどうか決まるのだから。
俺の初めての友達に。
気持ちを共有できるかもしれない存在。
うん。しっかりやらないと。
ネプトは図書館の門をくぐった。
てか図書館なんか入るの初めてなんだよな。
今の時代、こんな物よく残ってたな。
大抵の事は電脳ページから学べるのに。
俺だってずっとそうやって……。
そこでルナの古風な服装を思い出す。
日本刀だし。
趣味かな……
嫌な顔はできないな……
館の中には古い本が高い本棚にギッシリ詰まっていて面食らった。
変な匂いがする。
有機的な場所だ。
凄く場所をとるんだな。
ルナは何処かな……
本棚の間を探して回ったけど見つからない。
おかしいな……
2階に行ってみる。
居た。
本が塔のように山積みになっている。
100冊近くあるだろうか。
黒服のルナはそれをパラパラめくっている……ようにしか見えない。
とても眼で追っているようには見えない。
それほどのスピードだ。
なんだか声がかけ辛かった。
心臓がまた早鐘のように鳴り出す。
やばい。
汗が体中に浮かんでくる。
足が動かない。
そうだ。声のかけ方が分からない。
まごついていると彼女の方からくるっとネプトの方を振り向いた。
一歩下がるネプト。
そうだ。彼女が俺の気に気付かない筈がない。
「やあ。来たね」
ルナは言った。
「お……おう」
ネプトは答える。
136 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/06(木) 04:03:08 ID:2nFnixg10 [2/6回(PC)]
なんか変じゃないか?
「本読んでるんだ? 何読んでるの?」
「んー。兵法とか歴史とか地理とか」
全部ネプトの興味の対象外だった。
俺は化学とか生物とか小説とかが好きなんだが……
のっけから雲行きが怪しいぞ……
「ふ……ふーん。俺も読んでみっかな」
「良いよ。こっちの山読んだやつだから、読みなよ」
おいおい遊びに誘ったのに読書かよ。
ネプトは開いていた隣の席に座って古い本を読みだす。
本当古いなぁ。かび臭い。
ページめくるのもめんどいなぁ。
隣でルナがパラパラ漫画を見るようなスピードで本を読んでいる。
ネプトも真似してみる。
10分悪戦苦闘した。
駄目だ。読めない。
俺は弱い……
最低だ……
普通の速度で読もう。
しかし内容がチンプンカンプンだ。
固有名詞インプットしてねえよ。
何これ生きる事に関係ねー事ばっか!
なんでこんなの読むんだよルナは。
わざわざこんな古い無用な場所に来て。
馬鹿じゃねーの?

ハッ!

気付くと横でルナがニコニコしてネプトの方を見ていた。
顔が近い。
ネプトの顔がみるみる真っ赤になっていく。
「お口に合わなかったかしら?」
ルナが言った。
なんか知らんけど敵わねえ……
速読も……あと何かも……
「外に出て、買い物しません? お金はありますこと? 
 その後、前みたいに砂漠で対戦しましょ」
ネプトの心臓の鼓動が高鳴っていく。
「ああ……」
ネプトはそう答えるのがやっとだった。
「じゃあ行こっ」
ルナがネプトの右手をとる。
え……
ええええっ?
またネプトの顔が真っ赤になる。
そのまま手を引かれて階段を下りる。
手が熱い。
熱さが伝わる。
137 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/06(木) 04:04:50 ID:2nFnixg10 [3/6回(PC)]
やばい。
俺もう駄目だよ……
ネプトの眼に涙が少量浮かんだ。

それから刃物屋と雑貨屋に行った。
ルナは色んな刃物を眺めてニヤけていた。
客観的に見て危ない人だ。
包丁を買った。
ちゃんと食事を作るのに使うのだろうかと心配だ。
雑貨屋では木で作られた木馬の小さな人形を買った。
なんが可愛らしい所もあるんじゃないかと思った。
そこまで彼女に付き合ったわけだが
「君は何処に行きたい?」と聞かれた。
買い物なんて食い物買う以外した事ないから戸惑った。
そこでさっき読んだ歴史の本の事が気になって
「本屋に行きたい」と行った。
ルナは俺に行きつけの古本屋まで案内してくれた。
頑固そうな爺さんが一人店の奥に居てルナと何かボソボソと話している。
俺は「レッドラムの現在とその後」という本を買った。
大した値段ではなかった。
大した金は持っていないわけだが。
真っ赤な表紙で500ページくらいある。
本を買ったのなんて初めてだ。
もちろん読むのも。
ネプトは少し期待で胸が膨らんだ。
外に出る。
暑いな。
カンジさん干からびてないかな。
「さってと。対戦する?」
ルナが聞いてきた。
また緊張してくる。
「ああ」
ネプトは言った。
その次の瞬間、また右手がルナに強く握られる。
ああ、また顔が熱く……
体に圧力を感じ体が浮き上がる。
ルナがジャンプした。
風が額に当たる。
こりゃ気持ち良いわ。
ルナは建物の屋上に降り立った。
無茶するな……
レッドラムならもっと慎ましく生きるものなんじゃないのか……
「無茶するな」
「誰の物差しで?」
ルナはそのまま建物から建物へとどんどんジャンプしていった。
138 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/06(木) 04:05:28 ID:2nFnixg10 [4/6回(PC)]
また風を感じる。
この娘は自由なんだ。
どこまでも続く青い空のように自由なんだ。
箱の中の培養液につかった脳のような自分とは違う。
世界と開かれている。
自由自在だ。
そんな所に、惹かれるのかな。
不完全だな。人間って。
自分と違うものが欲しいならそりゃいつだって欠乏状態になる。
一人では生きていけないのかな。
難儀だ。
5年生きて人間の不自由さと自由さがやっと見えてきたような気がする。
いや、まだまだこれからなんだろうけど。
街を抜ける。
空を飛んでいる。
澄んだ青い空が見える。
ルナの顔を盗み見る。
笑っている。
俺といるの、嫌じゃないのかな。
きっとそうだ。
この人は純粋だから。
俺はそれに答えなければ。
砂漠の上まで飛んでいく。
視界が下がる。
着地。
砂が舞う。
ネプトは手を放す。
気持ち良かった。
ルナはラジオ体操のように深呼吸している。
スーッ。ハーッ。
ネプトは間合いを開ける。
腕に力を込める。
亀の甲羅のような白い構造が右腕に現れる。
今日も昨日と同じ「ゾエア」の文字が浮き出ている。
ルナは伸びをしている。
すうっと眼を開ける。
……くるっ!

ブン!

ルナの姿が一瞬で消える。
ネプトは眼で追えていない。
「魚眠洞!望遠魚の章!」
ネプトの目の前に黒いアイマスク状の構造が突然出現する。
熱探知!
行動予想!
139 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/06(木) 04:06:10 ID:2nFnixg10 [5/6回(PC)]
ルナの大体の動きの記録が眼鏡に映し出される。
後ろ!

ガキッ!

竜宮の使いの章を打ちつける。
硬い金属の感触。
ルナは防御されて後ろに下がった。
一日で随分やるようになった……
師匠がいるのか……
それ以上にやる気満々だこの子……
面白い……!
ルナの眼がチカチカ紫に明滅する。
ネプトはそれを見た。
体がムズムズしてきた。
相手にされてるよ俺!
血が沸き立つ。
魂が燃える。
負けられない!
ネプトの眼も緑色にチカチカ明滅していた。
俺の全てをかける!
ネプトは念じた。
140 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/06(木) 05:35:01 ID:2nFnixg10 [6/6回(PC)]
◆次回予告

全然歯が立たないネプト。

フリーダとミナセLOVELOVE。

ミナセ、水の弓矢「無能の人」完成。
フリーダため息。
「早く試したい……」

ネプトさらに修行に熱がはいる。
男の原動力は女だ。

ガロアのテレポン「シンプルワールド」
バルトークのテレポン「呪詛」
オセロのテレポン「絶対支配統制」
アマデウスのテレポン「図鑑」
モアのテレポン「ピンクハイデガー」
ホメロスのテレポン「オデュッセイア」
完成。
スゲエ強くなるスカクロ達。

続く

来週も、サービスサービスゥ!
141 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/07(金) 04:00:53 ID:KGYrQSgD0 [1/6回(PC)]
フォルテシモ第五十九話「つかの間の幸せ」

「うおおおおおおお!」
望遠魚の章の視覚補助器具をつけたままネプトが突進する。
ルナがくすっと笑って視界から消える。
熱探知で追う。
攻めてくるルートを予想。
ルナはコンピューターが割り出した予想速度より速い。

ガカッ!

肘から骨のような金属が伸び右後ろからの攻撃を防いだ。
意識は追いついていない。
予想なんて、外れる為にあるのかな。
人生も恋も、予想通りにいかない事ばっかりだ。
それが正常?
多分そう。
悪夢が現実。
俺は生き残りたいから、
もっと強くならなきゃ……

ズオッ!

「あん……」
力まかせにルナを吹っ飛ばす。
肘から伸びた骨から緑の光が迸っている。
300メートル近く吹っ飛ばされたルナが宙に浮いたまま岩に着地する。
弾みをつけて突っ込んでくる。
一段速さが増した!
すぐ横を風が音を立てて吹きぬける。
ルナはもう後ろへ……
何故斬らない?
本気じゃないからか?
さっきみたいなイレギュラーを気にしたのだろうか。
どうでも良いぞそんな事は!
魚眠洞!裸鰯の章!
ネプトの右腕が銃の形に変わる。
「あああああああああらぁ!」
体全体で回転しながら青い光球を撃ちまくる。
近づかれたら……死ぬ!
「粗雑だなぁ」
耳元で声がする。

バシュッ!

右肩から血が吹き出る。
斬られた。
やっぱ駄目だったか。
何処から来た?
上か……?
顎に痛み。
「あっつ!」
ルナの日本刀の先端が当たってる。
ルナは目の前。
「割と頭良いのに頭鈍い所があるね。良すぎるのかも」
142 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/07(金) 04:01:51 ID:KGYrQSgD0 [2/6回(PC)]
ルナが言った。
ああ……これはもう勝負ありだ。
力が抜ける。
また負けた。
ルナが刀を納める。
「ホントに変なテレポンだね。何処で手に入れたの?」
ネプトはこそばゆい気持ちになった。
「母上に作ってもらった……」
ルナがキョトンとする。
「えっ。なになに? お母さん有名な科学者? ってゆーか」
「テレーゼ博士だよ」
「えー!」
ルナが両手をあげて大げさな驚いたポーズ。
「そうだったんだ……そうだったんだ……あのね。うちの父さんが大ファンらしいのよ。
 テレーゼさんの。いっつも写真持ち歩いてる。美人だものね。
 へぇぇー。そうなんだ。それがなんでまたこんな所ほっつき歩いてるの?」
ネプトは肩をすくめる。
「母上は変な悪のグループに連れ去られちゃったんだ。
 今もどっかで研究やってると思う。俺は母上を取り返す為に強くなりたいんだ」
ルナは呆然とする。
「へぇー……そりゃ凄い……ミナセに教えてやらんと……。
 良かったら私も協力してあげたいけど……ミナセに聞かないと分からないな……。
 でもテレーゼさん助けるんならミナセも割と乗り気で……」
ネプトは飛び交っているミナセという単語に違和感を抱く。
どっかで聞いたような……
何処だったか……
「OK。分かった。うちのお父に協力してもらえるか聞いてみるよ。
 うちの父さんは超強いからね。百人力よ。あなた小さいのになかなかタフね。
 こんな所で……そうだ。貴方、誰かと一緒に旅してない?なんかそんな気が……」
「ああ。カンジさんって言って俺が太平洋の真ん中で会った超強い人と一緒だ。
 カンジさんも母上をさらった悪の組織に一回負けたらしくて力を貸してくれてる。
 良い人だよ。俺、カンジさんに会わなかったら今頃飢え死にしてるかも」
カンジ……?
あれ……どっかで聞いたような……
ルナは思い出せない。
「そう。オーライ。4人いて何とかならない? 相当な戦力だと思うけど」
ネプトが腕組みする。
「いや、カンジさんがまだ全然無理って言ってたから4人でもまだ無理だと思う。
 カンジさんは昔の仲間に手伝ってもらおうかって言ってたけど……」
「昔の仲間か……ミナセもよく言うよ。レッドラムは皆散り散りになっちゃったんだね……」
ルナは目をつぶった。
ネプトは何故か目のやり場に困りそっぽを向いた。
「俺……なんかそういうの以前だから……小さい頃からずっと研究所の中で
 生活してた……外に家の中より面白い物があるなんて思いもよらなかった。
143 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/07(金) 04:02:21 ID:KGYrQSgD0 [3/6回(PC)]
外に出てからしばらくしてもそうだったよ。今は……」
「ん?」
予想外にルナが反応を返してきてネプトは真っ赤になった。
そっぽを向く。
油断はできないなやっぱ。
人間は面白いや。
人間が面白いや。
今はそう思っている。
「もう一回する?」
ルナが聞いた。
眼がなんだか光を放っている。
やっぱ最高だ。この娘。
「ああ。次はちょっと手加減してくれない?」
「うふふ……承知。さぁ、見合って見合って」
ルナがぴょんと距離をとる。
悪くないよ母上。
外の世界には光はあるのか。
あったよ。
間違いない。
極上の光だ。

ドン!

ネプト全体が緑に光りだす。
「うふふ……やっぱ面白い……」
ルナは笑っている。
お互いが鏡で、
お互いが欠けていたピースだった。
そんな奇跡。

カンジが居る所の真逆の砂漠。
フリーダとミナセが向き合っている。
「むーん」
ドッジボール大の水の球の前でミナセが唸っている。
水の球は宙にふわふわ浮いている。
フリーダはそれをしげしげと眺めている。
水の形を変えるのに必要なのはイメージの力。
硬さも温度も切れ味も全てイメージ能力の産物だ。
ミナセはその分野において突出した才覚を発揮させる。
邪宗門はその事を最初から知っていたかのようにミナセについてきてくれる。
ミナセは念を強めた。
「はっ!」

ドギュン!

水が一気に形を変え棒のように伸びた。
それは二つのパーツから成っている。
144 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/07(金) 04:03:25 ID:KGYrQSgD0 [4/6回(PC)]
弓矢だ。
一番力をいれるのは矢の先端の部分。
そこに最高の念をこめる。
「ふー……完成……『無能の人』」
フリーダは眼をキラキラさせた。
「凄い……早く試したい……」
ため息をもらしながら言う
「試してみる?」
ミナセが言う。

ドクン!

緊張が張り詰める。
舞台が暗転したように感じる。
ミナセは遊びが好きなんだ。
私の気持ちを知っててこんな揺さぶりをかける。
胸の奥から殺気が流れ出す。
ミナセもそれを感じている。
悪魔のようにニヤリと微笑む。
化け物だ。
自分もミナセも。
フリーダは思った。
楽しみは、
いつだって後にとっておきたいのに……
「やめとくよ。間違って死んじまいそうだ」
ミナセの方から言った。
どちらも内心ほっとして、実は悔しがってる。
人の気持ちを察するのはあまり得意ではないがミナセの気持ちはなんとなく分かる。
だから馴れ合っていると言えるかもしれない。
だから、最終的にどちらかがいなくなるのかもしれない。
死は確実に二人を隔てるだろう。
その時を先送りにさせる為の今。
悪くない。
きっと悪くないよね。
「貴方はそんなに弱くない」
フリーダは言った。
馬鹿な台詞だと自己分析。
ミナセはそっぽを向いた。
つれないんだな。
水の弓矢をまだ持ったままだ。
空に向かってかまえた。
大気が緊張する。
水分が急激に失われているのだ。
矢の先端がプルプル震えだす。
145 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/07(金) 04:04:13 ID:KGYrQSgD0 [5/6回(PC)]
「逝けっ! 無能の人!」

ドンッ!

超圧力の一発が放たれた。
この技はサジタリウスより使い勝手が悪いはずだ。
でもミナセが使うのならなんとなく強くなりそうな予感がする。
フリーダは彼方の空に消えていった水の矢をずっと見ていた。
「悪くないよ」
ミナセがふいに言った。
「俺達は……悪くない」
ミナセが振り向いてパッと笑顔を見せる。
敵わないな、と思う。
この笑顔には敵わない。
敵わないのに……
フリーダも笑った。
しごく自然に。
嘘つきなのに、自然に。
今は鏡を見ているよう。
有難う。
ミナセ。
貴方が相手だから、もう残す悔いが無くなった。
多分。きっと。
哀しくなんかないよ。
やっと解放されるんだから。
私が求めていたのは解放だった。
赦しだった。
もう迷いは無い。
二人でひとしきり笑いあった。
馬鹿みたいだ。
馬鹿で良いんだよ。
そんな貴重な物ってない。
こんな風に笑いあえるのは、あと何回かな。
フリーダはおろした右手で、そっと数えてみた。

146 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/07(金) 04:39:11 ID:KGYrQSgD0 [6/6回(PC)]
◆次回予告

ネプトさらに修行に熱がはいる。
男の原動力は女だ。

テレーゼとアマント会話。
「レッドラムと人間に恨みがおありなようね」
「昔、妻と息子を殺されてな」
「そういうの割とすぐ忘れるもんですよ」

ガロアのテレポン「シンプルワールド」
バルトークのテレポン「呪詛」
オセロのテレポン「絶対支配統制」
アマデウスのテレポン「図鑑」
モアのテレポン「ピンクハイデガー」
ホメロスのテレポン「オデュッセイア」
完成。
スゲエ強くなるスカクロ達。

続く

来週も、サービスサービスゥ!
147 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/08(土) 04:16:39 ID:sajGuxkw0 [1/4回(PC)]
フォルテシモ第六十話「復讐の是非」

夜12時。
ネプトとルナは少し遠出して食糧など生活必需品を調達してきた。
風呂敷一杯に品物を入れて走っている。
場所は海岸で遠くに満月が見える。
波の音が心地良い。
ルナはネプトよりずっと足が速い。
でもネプトが死に物狂いで走ったら間隔が広まらない。
どうやらネプトの様子を見て走る速度を手加減しいるらしい。
ネプトはむらむらと対抗意識が湧いてくる。
魚眠洞を使えば……
いやそれじゃムキになってるみたいで餓鬼くさいな……
「ネプト! これ持って!」
前方から声が飛んでくる。
風呂敷に包まれた品物も飛んできた。
なんとかキャッチする。
別に重くないのにな……
なんかの感情の発露なのかな……
ルナはカップヌードルを100食くらい買ってる。
食に興味は無いらしい。
自分はカンジが料理得意だから肉とか野菜とか材料ばっか買った。
そう。カンジの料理は美味いのだ。
ルナにも振舞ってやりたい……って俺の決める事じゃないよね。
帰ってカンジと修行開始するまで少し時間あるからルナと一戦するつもり。
最近全然寝てないんだよね。
行動の全てが修行になってる。
今も長距離全力疾走してるし。
しかしどんどん深みにはまるように俺のルナへの関心は高まっていく。
このままで良いのかな。
ルナの傍にいるとすごく気持ち良い。
なんだか母上といた時と似ているな。
でも似ているようで違う。
母上といる時そこにあったのは安心。
今は、何だろう。
冒険かな。
わけわかんないや。
ルナは自分より弱い俺を認めてくれる。
カンジもそうだけどこれって奇跡だよね。
普通は軽蔑する筈だ。
なんでだろ。
俺の中に未来が見えるからかな。
それも違う気がする。
やっぱ、匂いかな。
148 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/08(土) 04:17:12 ID:sajGuxkw0 [2/4回(PC)]
自分と似てるっていう。
人と人を繋ぎ止めるのは、匂い?
なんか理不尽だな。
でも理不尽な世の中だし。
それが正解?
どっちにしろ俺は最高にラッキーだ。
世界一の九歳児と知り合えた。
俺も世界一の五歳児にならないと……
馬鹿みたい。
「ネプト! もう一丁!」
もう一つ風呂敷が飛んできた。
何のつもりだろう。
ルナの意図は分からない。
でもその分からない事が心地良い。
不思議だ。
母上。この世は不思議で満ちているよ。
なんで俺を外に出してくれなかったの?
なんだか今の状況も全て母上が仕組んだ事なような気がしてきたよ。
今何してるのかな母上。
俺、もうきっと母上がいなくても生きていけるよ。
これからももっともっと仲間が増えるような予感がする。
母上を助けるにはまだまだ時間がかかるけど、
俺は最高にこの天の下の生活を楽しむよ。
きっと母上もそれを望んでるよね。
ルナの考えてる事は分からないけど、
彼女って最高なんだ。
もう夢中さ。
聞いたことあるけど、これが恋ってやつ?
なんかそんな気がする。
一緒にいて気持ち良い。
その感覚が……
「そら! もう一丁! ネプト」
もう一個風呂敷が飛んでくる。
海に落としそうになりながらネプトはそれを獲る。
面白いな。
楽しいな。
ネプトは思った。

ロサンゼルス。
数キロにわたる白いドーム状の巨大要塞が建設されている。
テレーゼとその仲間は今はそこにある。
数ヶ月ごとに各基地を転転としているが……
その日はテレーゼだけが中央の丸い部屋に呼び出された。
ヴンと音がしてアマントの姿が映し出される。
眼にくまがあって顔がやつれている。
149 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/08(土) 04:17:46 ID:sajGuxkw0 [3/4回(PC)]
普段何やってるんだろうこの爺さん。
「進捗は? 順調かね」
アマントが聞く。
テレーゼはふっとため息をつく。
「ご注文のクローン3万体。1ヵ月後には完成するでしょう。
 設備提供有難うございます。私達の解放はいつになりますか?」
アマントは苦虫を噛み潰したような表情をとる。
「全てのレッドラムを駆逐するまでだ」
テレーゼは許可をとらずに煙草に火をつける。
「レッドラムはほっといてもすぐ沸いてくるんですよ。
 魔界のメカニズムは知っていますでしょう」
「次の大脳特化型レッドラムがレッドラムと人間を見分ける機械を
 発明すると踏んでいる。貴方の作った自己修復阻害剤と合わせて
 使う事によって一度レッドラムの数をゼロまで持っていけば
 容易に管理できると見ている。生まれ出る度に殺すのだ」
テレーゼは少し苛立ちを覚える。
「自己修復阻害剤を大量に作る方法は世に出すつもりはありません。
 私もレッドラムなんだから当たり前だ。
 昔は私だってレッドラムが憎かった。
 でも今はもう気は済んだよ。虚しい事だ。
 一度無茶やった私が言える事じゃないけど、やめときなよアマントさん。
 人生は楽しむ為にあるんだよ。復讐なんて……糞だ」
アマントがため息をつく。
「私は……いや……私も……」
アマントはそこで一呼吸おく。
「妻と息子をレッドラムに殺されてな……」
テレーゼがハッとする。
アマントは眼をそむける。
「憎いのだ……レッドラムが……この情動はもう止められん……
 我々人間は長く虐げられてきた……
 憎しみの気持ちを我々と同じに持つスカイクロラ。
 彼らとともに私は敵を討ちたかった……」
テレーゼは煙を吐き出す。
そういう事もあるか。
人の事は言えないんだ。
天才なんて、要するに馬鹿の事だ。
何言っていいのか分からないよ。
長く生きたら丸くなるもんなんじゃないのかな。
この人は年をとるごとに尖っていったんだ。
不幸な人生だ。
自分の人生も、ネプトの人生も、
決して幸福なものではないだろう。
この爺さんよりましか。
「それはそうと、強さの精度は上がっているんだろうな」
痛い所きた。
「すいません。全然駄目そうです。本物の10分の1の強さも出せない。
150 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/08(土) 04:19:24 ID:sajGuxkw0 [4/4回(PC)]
不思議ですね。即席クローンの限界みたいです」
テレーゼは肩をすくめる。
「そうか。テレポンの方はできあがったか?」
テレーゼは微笑む。
「はい。本人達に渡しときました」
「ふん。まあよい。完成を急げ」
テレーゼは敬礼する。
「ガッテン!」
映像がプツンと切れた。
はぁ……
本当こんな事してて良いんだろうか。
何か今の私にもできる事は……
そこでウィンダムとアシモが入ってくる。
「姐さん! 死んでないか?」
ウィンダムがおどけた調子で言った。
「俺もうハラハラして死にそうでしたよ。無事で良かった」
アシモが言った。
「アンタ等のボスはそんなたまじゃないのよ。私は魔界の太陽なんだから」
テレーゼは手を広げて言った。
「何すかその通り名。新機軸だ」
「ノーベル賞ものですね!」
「はいはい分かったから開発に戻りなさい」
テレーゼが手で指図した。
魔界の太陽。
かつてスワナイ・ミズエが目指したものだ。
大脳特化型レッドラムとして生まれついた自分。
何か使命がある筈なんだ。
それはレッドラムの絶滅なんかじゃない。
もっと別の……
上手くイメージできない……
とにかく……
探さなきゃ……
私にできる事……
テレーゼは思って二人と共に部屋を後にした。

151 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/09(日) 00:23:49 ID:Gunh7Vwk0 [1/3回(PC)]
ほあ
152 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/09(日) 02:02:22 ID:Gunh7Vwk0 [2/3回(PC)]
フォルテシモ第六十一話「老いぼれ天使」

スカイクロラ基地。エルサレム支部。
フリーダのいなくなった植物園をアリスが管理している。
毎日水をやり雑草や落ち葉を除去する。
開いた天井から小鳥や昆虫が入ってくる。
彼らは思い思いに歌い、アリスを楽しませた。
チチチチ。ルルルル。キョロロロロ。
チチ・・・・・・
鳥の声が止む。
入り口から口ひげを蓄えた長髪白髪の老人が入ってくる。
スカイクロラの村の民族衣装・・・・・・
白い布の上下の簡素な衣服に数珠を十数本首や手首に巻いている。
腐ったような灰色の翼を地面にズルズルひきずっている。
彼、唯一の老人で生き残ったスカイクロラのバッハは翼が機能を失いもう飛べない。
今は主にアマントの腹心として働いている。
彼も別に例外ではなく首に爆弾を埋め込まれている。
もっとも彼には初めから逆らう気は無かったようだ。
流れに身を任せ、種の存続を願った。
長いものは巻かれて、屈辱に耐えてでも生きていけば良い。
彼の経験がそうさせる事を選んだ。
アリスは手を止めて頭を下げる。
どうもバッハはアリスに用があるらしい。
バッハがズルズル音を立てながら歩いてくる。
「アリス。他の者のテレポンももうできたらしいな」
バッハが言う。
「はい・・・・・・副村長・・・・・・貴方のテレポンはまだ時間がかかると聞いています」
バッハが噴出す。
「ふっ・・・・・・バッハで良い。わしももう一介の素浪人だ。貴様らと一緒のな」
バッハは足元に生えていた花をブチッとむしりとる。
「栄枯盛衰。根のない花は咲かぬ。我々は生き延びなければならぬ。
 我々の中で最も才能に恵まれしアリスよ。無茶はするな。
 アマントには逆らってはならぬが心まで自由にされるいわれはない。
 この老いぼれと違ってな」
ゆっくり花びらが一枚一枚風に巻かれてちぎれていった。
「フリーダの方が強いですよ。アレはスカイクロラじゃないですけど」
アリスは言った。
バッハは手に持った花にふっと息を吹きかける。
残りの花弁が一気に吹き飛んだ。
「死ぬな。貴様らは若い。これから始まる戦争は実に愚かなものだ。
 貴様らが命をかける価値はない。生き延びて再起の時を待て。
 我々が生まれてきた理由はきっとある筈なのだから」
バッハは花を捨てて空を見る。
153 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/09(日) 02:03:07 ID:Gunh7Vwk0 [3/3回(PC)]
建物に切り取られた空は狭い。
飛行機雲が見えた。
人間はまだまだ余裕を持っているようだ。
連日のスカイクロラの活躍でまた南極のコロニーに引き篭もろうとしている者も多いと聞く。
分かり合えないんだからしょうがない。
自分達は人間にとって化け物だ。
そしてお互い興味はない。
害されないかぎりは・・・・・・
しかし我々は力を手に入れようとしている。
まは果てることも無い不毛な争いが始まるのだ・・・・・・
「まぁ、とどのつまりわしが言いたい事はだな。
 貴様には生き残ってその優秀な子種を残す役をやってもらおうと考えているのだ」
「なっ!!」
アリスが強い反応を示す。
顔が真っ赤だ。
「ふん。老いぼれは老いぼれの役目を果たすまでだ」
バッハはそう言ってくるりと背を向けた。
入ってきた所から出て行く。

無理はするな。

自分にとってそんな辛い事はない。
自由に飛べるのが楽しいんだ。
自由に殺せるのが楽しいんだ。
自由に・・・・・・自由に・・・・・・
妹を殺された恨みとか・・・・・・
全部矢の先端に込めて・・・・・・
私はこれからも生きていく・・・・・・
その筈なのに・・・・・・
そんな事言わないでよ・・・・・・
アリスは俯く。
才能か・・・・・・
うるさいな・・・…
私はただ……敵が討ちたいだけ……
フェレスの……敵を……
その為に……
傾いた如雨露から水がしとしと落ちている。
そして葉を濡らす。
何がしたいんだろう。私。

154 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/10(月) 21:41:42 ID:GMXL/AKT0 [1/1回(PC)]
明日から再開
155 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/12(水) 00:46:00 ID:Rk5c2l9T0 [1/7回(PC)]
◆全然違うかもしれない次回予告

私の幸せは何処にある?
いつもミナセと共にある。
ルナ。

ネプト、ルナ以上の速さで急激に進化。
今のネプトでなく未来のネプトにルナは畏怖する。

ミナセ、買い物に出てルナと別れる。
そこでカンジ登場。
「誰だあの娘」
「俺の娘」
「いや俺は実はかくかくしかじかな奴を舎弟にしてて」
「何!絶対会わねえ!」
「言うと思った。で決起するだろ?メアド交換しようぜ」
「ああ、うん」
メアド交換。
前にはぐれた時は携帯持ってなかったカンジとミナセ。
「また来週。ドロン」
カンジ消える。

スカクロのテレポン完成。
ガロア「プレゼンス」
アマデウス「レディオヘッド」
モア「ピンクハデガー」
オセロ「マインドマスター」
バルトーク「ディエンビエンフー」
ホメロス「オデュッセイア」
バッハ「マタイ」

続く
156 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/12(水) 01:55:32 ID:Rk5c2l9T0 [2/7回(PC)]
フォルテシモ第六十二話「依存」

月の砂漠。
戦車の残骸以外何も見当たらない。
ルナとネプトが今日も向き合っている。
ネプトの荒い息が聞こえる。
今日も劣勢のようだ。
というか今まで優勢だった事など無いが。
ルナは目の前の少年を無視して考える。
私の幸せって何だろう?
目標はさ、ミナセと同じ景色を見る事なんだ。
分かるよね。
同じくらい強くないと、
同じくらい経験しないと、
同じくらい哀しまないと、
同じくらい考えないと、
同じ物見てても見え方が違うんだ。
ミナセもまだまだ強くなってる。
私は当然のようにミナセより速く強くならないといけない。
そう。成長の速度。
その点で、私は目の前の自分より年の小さい男に劣っているな。
まぁ、それは置いておこう。
ミナセみたいに強くなる事が目標?
なんで?
ミナセに近づく事が気持ち良いから。
何故だかはよく分からない。
皆そんな何となくで生きてるよね。
それは別に恥じなくても良いと思うけど……
それって依存だよね。
ミナセがいなくなった時、私って一体何なんだろう?
ミナセがいなくなったら気持ち良いって感じる事もなくなるよね。
中途半端な剣力だけ残って、
私はきっと抜け殻のようになるだろう。
私はそれが……怖い?
実感湧かないんだ。本当の所。
でも準備しないとって気だけ焦るんだ。
どうして?
依存は心の弱さに端を発しているから。
うん。弱いのって気持ち悪いよね。
そんな事を考えながらルナはネプトを剣先であしらっている。
ネプトの眼が緑色に輝き猛獣のように唸っている。
思考がダイブしてルナの集中力は衰えるかと思われたが別にそうでもない。
思考は外部の状況とリンクしている。
157 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/12(水) 01:58:59 ID:Rk5c2l9T0 [3/7回(PC)]
そうだ。
私は……
こいつとなら手をとり合って一緒に強くなれるんじゃないかって思ってる……
変な奴なんだこいつ。
ミナセに似てる。
まるで鏡を見ているよう。
こんなに人に関心を持ったのミナセ以外で初めてなんだ。
でも新しくこいつに依存するだけになるんじゃないかな。結果的に。
それで良いのかな。
色んな人にバランスよく依存して、人は生きていくのかな。
それが正常。
中核のシステムを守るための……
剣で吹っ飛ばしたネプトの緑の輝きが増す。
一気にプレッシャーが押し寄せる。
来るっ!
「竜宮の使いの章! ステム! バースト!」
右腕の竜宮の使いの頭から緑の閃光を迸らせながら刀が射出される。
速い!
ルナは咄嗟に刀を上段にかまえる。
「紫極!」

ゴシュッ!

緑の閃光と紫の閃光が交差する。
かなりの圧力をルナは感じる。
こっちの奥義出しても簡単にさばけなくなった!
「はぁっ!」

ガキィン!

刀を弾くルナ。
緑の閃光を失い刀は回転しながら砂に突き刺さった。
後ろにプレッシャー。
もう今ので決まらない事は予測されてる。
さすがやられ慣れてるな……
「はっ!」
後ろを振り返らずにルナは刀でネプトの攻撃を防ぐ。
もう生えてきた竜宮の使いの章の刀による攻撃だった。
158 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/12(水) 02:00:14 ID:Rk5c2l9T0 [4/7回(PC)]
「うおおおおおお!」

ガガガガガガガガガ!

ネプトの連撃!
ルナは別の事を考えずに対処する。
随分ましになったね……
勝負になってる……
勝負になるんだよ……!
ルナの中にめらめらと何かの感情が燃え上がる。
何だこれは?
私の知らない何か……
「はっ!」
一瞬の隙を突いてネプトの腹に掌底を一撃!
吹っ飛ぶネプト。
間髪いれず飛び出すルナ。
ほら。もう際の際を作れる。
どうする?
進化するんだろ?
あんたの才覚が。
憎たらしい奴だ。
ネプトの眼が緑に輝く。
竜宮の使いの頭から赤と黄色の帯状の構造が伸びてルナの足に絡む。
やろう!
ルナは自分で自分の絡まれた足を切断した。
眼を見開くネプト。

ドスッ!

ネプトは砂漠に仰向けに倒れている。
右頬の横にルナの刀が刺さっている。
ルナも体勢を崩してネプトに覆いかぶさっている。
右頬から、血が流れた。
「やるじゃん」
ルナが言う。
「でも私の勝ち。何勝目かな?100勝くらい?」
「113勝目だ」
ネプトが答える。
「器じゃねえよ。勝てるわけねえよ」
ネプトが砂と喋っている。
馬鹿だな……
ルナはネプトに見られないように柔和に笑った。
この世界、また少し好きになれそうだ……
ルナはそんな予感がした。
「器じゃねええええよおおおお!」
ネプトが満月に向かって吼えていた。
159 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/12(水) 02:02:27 ID:Rk5c2l9T0 [5/7回(PC)]
ネプトは泣いている……
いくら器じゃない器じゃないと喚いても、
舞台の方がネプトが踊らない事を許さない。

その次の日。
ルナは久しぶりにミナセと行動を共にし街に出た。
好きな物買える範囲で買って良いと言われて街で別行動。
ルナとミナセは別れた。
ミナセはあても無くぷらぷら歩いていると
ゴミ箱の上に大きな鳥のような物体が乗っているのを見つける。
異様な臭気と殺気を放っている。
こいつは……
「よおミナセ。久しぶりだな」
物体は顔を見せる。
ヒマツリ・カンジだった。
「ちょ……おま……!」
ミナセはあとずさる。
「何だよそのリアクション」
カンジは不満げに言った。
「生きてたのか!?」
ミナセは素っ頓狂な声をあげる。
「そこからか。ああ。ごあいにくさま。ライマもユアイも
 あとヨナタンもキタテハもリュイシュンも生きてるよ。多分」
ミナセはほへーとか言ってカンジをマジマジと見つめる。
「5年間何してた?」
カンジが聞く。
「子育て」
カンジが噴出す。
「意味がわからねえよ。さっきのチビナナミの事か?」
「そうそう」
カンジが神妙な顔になる。
「えーっと……誰の子だ?」
「俺とナナミの」
カンジがひゃははと声をあげて5分くらい笑った。
唾が飛び散ったのでミナセは顔をハンカチで拭く。
「どういう事だよ! 詳しく説明しろ!」
「えーっとね……」
ミナセは一思案する。
なんか言いにくかったがしょうがない。
ミナセは腹を決める。
160 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/12(水) 02:07:43 ID:Rk5c2l9T0 [6/7回(PC)]
◆全然違うかもしれない次回予告

「誰だあの娘」
「俺の娘」
「いや俺は実はかくかくしかじかな奴を舎弟にしてて」
「何!絶対会わねえ!」
「言うと思った。で決起するだろ?メアド交換しようぜ」
「ああ、うん」
メアド交換。
前にはぐれた時は携帯持ってなかったカンジとミナセ。
「また来週。ドロン」
カンジ消える。

またネプトとルナ決闘。
決闘の後。
「私の父さん、愛人がいるんだ……」
「俺、父さんとかいないからよくわかんねっす」
「私、よく考えたら初めてできた友達が君だって気付いたよ」
ネプト、ドッキー
「俺は会った時から分かってました。初めての友達だって!」
言ってしまった。
ルナそっぽを向く。
「ならもっと速く強くなってよ……同じ景色を見よっ……」
何だコレ……
ネプト意味不明。
でもなんか認められてるみたいで嬉しい。

スカクロのテレポン完成。
ガロア「プレゼンス」
アマデウス「レディオヘッド」
モア「ピンクハイデガー」
オセロ「マインドマスター」
バルトーク「ディエンビエンフー」
ホメロス「オデュッセイア」
バッハ「マタイ」

続く
161 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/12(水) 03:15:25 ID:o4cQ41MlO [1/1回(携帯)]
小説ってみんな原稿用紙にただ書いてる?
162 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/12(水) 03:42:47 ID:Rk5c2l9T0 [7/7回(PC)]
俺はタイピングしてブログに載せてるだけですが
163 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/12(水) 07:43:26 ID:I1VkiEP60 [1/1回(PC)]
流石に原稿用紙は無い
専用ソフトに書いてるな
164 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/13(木) 03:42:01 ID:cajujiV00 [1/5回(PC)]
フォルテシモ第六十三話「パンの一欠けら」

「まぁ、なんだ。俺が人間に混じって中学校に通ってた時の話だ。
 俺が所属していた吹奏楽部はレッドラムの巣窟だったんだな。
 それ関係ないけど図書館族だった俺は同じ鬼太郎カットの娘に
 一目惚れしたんだ。それがナナミ。ひょんな事からナナミも
 レッドラムだって気付いて吹奏楽部に入るように口説き落とした。
 それから交際が始まって中三の時にナナミは身ごもった。
 ミズエさんに説得されてナナミは腹の子を外に出して
 カプセル培養する。だから知ってるのは俺達の他にミズエさんだけだった。
 それから成長したら孤児院に預けて第二次レッドラム大戦終わるまで
 ほったらかし。支離滅裂な男だろう俺。笑ってくれ」
ミナセはそれだけ一気に喋った。
カンジはふんふんと相槌をうっていた。
眼を閉じている。
30秒くらい沈黙。
「で、別れたのは何時だ?」
「お互い忙しかったから放任でさ。明確に別れてないんだけど
 俺はいつしかテレーゼの方に傾いて結婚しちまったな」
「ふんふん……お前は最低だ」
カンジが軽くミナセの脳天にチョップする。
「ポコペン」
「まぁ、他人事だけどとやかく言わねえけど戦友やめたくなるよホント」
カンジはカラカラ笑った。
良かった笑ってもらえて。
ははは……。
自分の性格に自信が持てないミナセである。
「お前とナナミの子か。さぞや将来巨乳の天才剣士になる事だろう。
 最強も狙えるかもな。冗談抜きで……。ははは……子育ても楽しかっただろうな」
カンジはまだからから笑っている。
久しぶりなんだ。こいつに会うの。
ミナセはやっとそんな事を自覚する。
「どう? 酒でも飲まん?」
「娘さんは……? 約束してねーの?」
「ほっとけほっとけ。アイツはワイルドだから大丈夫だ」
「駄目な父親だな。ホント」
カンジはゴミ箱から飛び降りる。
ミナセの肩をポンポンと叩く。
「いいぜ。昼間っから酒飲みだ」
カンジに押されてミナセは通りを歩いていった。

酒豪のカンジが鯨のように飲みに飲んだ。
アルコールパッチテスト陽性のミナセはちょびちょび飲んでいる。
165 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/13(木) 03:43:13 ID:cajujiV00 [2/5回(PC)]
ドンとカンジが酒瓶を机に置く。
「くはぁー! ミナセ! お前に言っておかないとならない事がある!」
カンジが大声を出す。
ミナセは耳を傾ける。
「今、俺は緑髪鬼太郎カットの保育園児を舎弟にしてるんだ。
 そいつの姓はビョウドウインって言ってな……お前によく似ている。
 母親は科学者なんだとさ。俺が思うにアイツは……」
「え? え? まさか?」
「お前とテレ……」
ミナセがカンジの口を塞ぐ。
無意味な行動だ。
「分かったから!」
カンジがニタニタ笑っている。
悪酔いしてるな……
「さぁ、事態はさらに混沌の様相を呈してまいりました……!」
カンジが囃し立てる。
「そんな馬鹿な……俺なんか無視して成功者街道突っ走ると思ってたのに……
 もう離婚してる筈だし……俺なんか器じゃないのに……」
カンジがミナセの肩をポンポンと叩く。
「俺もよく分からんがそのスペックでなかなかの戦果じゃないか。ひゃはは。
 せいぜい苦悶して処理しな。世界に面白い奴がまた二人産み出されたわけだ」
「なんだってテレーゼは……ああ畜生!」
カンジは笑みを崩さない。
「鈍いねミナセ。鈍すぎるよ」
カンジはからから笑った。
こんな事ってあるかよ。
カンジには言えないがもう一つややこしい要因持ってるし俺。
オーバーヒートするぜ。
「会うか?」
カンジが言った。
「嫌だ」
ミナセが即答する。
カンジがけけっと笑う。
30秒ほど沈黙。
「あいつも父親には興味ないみたいな事言ってた。拗ねてるのかもしれんが……」
「テレーゼに……もしこの先会う事があるんなら話して事情を聞いてから会いたいよ。
 あいつが俺と話してくれるとは思えんけど」
ミナセは俯く。
カンジは無表情になった。
「いつかは向き合わなきゃだと思うぞ? 俺深く言うの嫌いだけど」
ミナセは頭がゴチャゴチャになってきた。
テレーゼは何を考えてる?
天才の考える事は分からないのか……
テレーゼにとって俺って一体……
166 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/13(木) 03:43:54 ID:cajujiV00 [3/5回(PC)]
パンの一欠けらみたいなものなんじゃないのか……?
カンジがふーっとため息をつく。
「せいぜい悩め。テレーゼはスカイクロラ……知ってるか?
 ってやつらに捕まったらしい。その保育園児……ネプトって名前だ……
 はテレーゼを助けたいんだと。で俺が鍛えてやってる。
 お前がそう言うんなら俺は鍛える事を続行する。少しは情と恩があるからな。
 死にそうな所を助けてもらったんだ」
「お前が死にそうになった……? 相手はスカイクロラか?」
「ああ。修道服の黒髪の女一人にやられた。かなり使う。次は勝つけどな」
「俺も知ってるよ。そいつら。一度手合わせした……。
 娘の……ルナがコテンパンにやられて悔しがってた。
 今は確かにかなり使うようになってるだろう。やっぱ駆逐するしかないのか……」
「そう思うぜ。よくねえ動きだ。奴ら」
ミナセはそっぽを向く。
「そうか……テレーゼが捕まってんのか……久しぶりだな……」
カンジが無表情で見ている。
「俺は別にかまわんのだが……ほとんどのレッドラムはアイツを憎んでいる。
 どうしたもんかな……」
「分かったよ。俺もスカイクロラを潰す」
ミナセがカンジに向き直って言った。
カンジがニッと笑う。
「携帯持ってるか? アドレス交換しとこうぜ」
「ん……ああ」
ミナセもカンジもポケットから携帯を取り出す。
5年前はどちらも携帯を持っていなかった二人である。
ミナセの携帯にはルナの番号しか登録されていない。
赤外線でデータを交換する。
カンジがニコッと笑う。
「楽しみだな。クラッカーやユアイも交えてまたお祭りするんだ。
 俺のフラストレーションも吹き飛ぶだろう。世の中やっぱ戦闘だよな」
ミナセも笑う。
先日見た最後に残ったスカイクロラの澄んだ瞳が気になった。
それを振り払う。
近しい種族。
殺しあう運命。
抗う事は、できない。
本当にそうなのかな?
元来戦闘が嫌いな事をミナセは思い出す。
「俺もネプトも準備にもう少し時間がかかる。機が熟したら決起するぜ。
 お前も死なないようせいぜい力をつけろ。じゃあな。また会おう」
カンジは二人分の勘定を払って店を出て行った。
ミナセは少しの間店に残っていた。
宿題が多すぎる。
頭が混乱する。
何から片付ければいいのかな……
167 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/13(木) 03:44:32 ID:cajujiV00 [4/5回(PC)]
ミナセは考え込む。

「私の父さん、愛人がいるんだ……」
決闘が終わって岩場で休んでいる時ルナがふいに言った。
ネプトはチーズバーガーをほおばっている。
「俺は親父とかいないからよくわかんねっす」
ネプトが言った。
ルナはふっと笑う。
ネプトはそれに気付かずムシャムシャ目の前の食い物を食べている。
ルナは天を仰ぐ。
空は大きいな。
私の悩みなんて、
卑小なものだ。
傍にいてくれる獣が一匹。
なんだかその分気持ちが軽い。
「君が初めての友達だって気付いたよ」
ルナがネプトに言った。
ネプトはチーズバーガーを喉に詰まらせる。
なんだよそれ。
心臓がバクバクする。
本当に欲しかった言葉がそれな気がした。
ルナは照れくさそうにヘヘッと笑った。
「俺は初めから感知してました。ルナが最初の友達だって」
ネプトは言った。
真心から出た言葉だったが言いすぎな気がする。
ルナはまたヘヘッと笑う。
「そういうの嫌いな筈だったのにね。人間って複雑だ」
ルナはまんざらでもなさそうだ。
良かった……
ネプトは胸を撫で下ろす。
「私の友達だったらさ……同じ景色を見ようよ。
 同じくらい強くなって、同じくらい負けて、同じように感じて……
 それが、友達でしょ?」
ルナが言う。
随分敷居が高いんだな……
でもその分千金の値があるとネプトは思う。
俺は認められてるんだ。
この勝利の女神に。
俺は……今、光っている。
点滅する生の中で、今、光っている。
ネプトは感じた。
ネプトもふっと笑う。
未来は見えないけれど、自分の隣のかけがえのない存在はよく見える。
それが標。
それで良いんだ。
ネプトは思った。
168 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/13(木) 03:50:58 ID:cajujiV00 [5/5回(PC)]
◆全然違うかもしれない次回予告

スカクロのテレポン完成。
ガロア「プレゼンス」
アマデウス「レディオヘッド」
モア「ピンクハイデガー」
オセロ「マインドマスター」
バルトーク「ディエンビエンフー」
ホメロス「オデュッセイア」
バッハ「マタイ」

テレーゼ、レッドラム探知機「サバイブ」完成。

それ持ってアマデウスとホメロスとジュペリとモア、ベルリンあたり目指す。

アマデウスとホメロスはネプトとカンジの所に
ジュペリとモアとフリーダはルナとミナセとフリーダの所に行く。

フリーダ、スカクロ側につく。

バトル!

ミナセとフリーダ互角。
他も互角。



続く
169 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/13(木) 22:16:24 ID:g1F6wMQ40 [1/1回(PC)]
ああああ書けねえ!!
前スレで完結させると言った筈なのに!
170 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/14(金) 03:08:27 ID:RhvqtQi50 [1/5回(PC)]
フォルテシモ第六十四話「時は来た」

スカイクロラの本拠地。エルサレム。
オリジナルのスカイクロラが全員そろっている。
テレーゼからジュペリとアリス以外の全員に適性にあったテレポンが配布される。
持ち心地を確かめしげしげとテレポンを見つめている。
アリスとジュペリは横で見ている。
アマデウスのテレポン、レディオヘッド。
白い指揮棒のような形をしている。
バルトークのテレポン、ディエンビエンフー。
持ち前のクローと見た目は変わらない。
何らかの能力が付加してあるようだ。
モアのテレポン、ピンクハイデガー。
モアが好きなロックバンドの名前をそのままつけている。
テレーゼと相談したらしい。
持ち前の電磁鞭の性能を強化してある。
ホメロスのテレポン、オデュッセイア。
青い二丁拳銃だ。
ガロアのテレポン、プレゼンス。
両腕にはめるグローブ型の機械だ。
メカがむき出しになっている。
肘から機械の爪が伸びている。
用途は不明。
オセロのテレポン、マインドマスター。
ヘッドホン型の機械とゲームのマインドマスターと同じ構造に分かれている。
一番用途が見た目から判断できない。
バッハのテレポン、マタイ。
洋風の古風な剣だ。
がっしりと力強いフォルムだ。
テレーゼは笑顔でパチパチと手を叩いた。
「おめでとうございます! これできっとマトモに戦えるよ!」
全員ポカンとしている。
この人どこまでマジなんだろう。
隣で青髪のウィンダムが煙草をすっている。
納得のいっていない表情だ。
さらに隣の茶髪天パーのアシモは愛想笑いらしきものを浮かべている。
「狩りの道具を得たら、ちゃんと使えるかどうか試してみたいよね?
 超天才の私は長年切望されていた夢の道具を作ったわ。
 ジャーン! レッドラム探知機!」
テレーゼは右のポケットから緑色の球体を取り出した。
「これはレッドラムが近くにいればいるほど派手に輝いて大きな音を出すわ。
 まだ試作品だから探すの難しいかもだけどなんとか探してみて。
 世界中に散ってバトるの。これから他の性能も付加するつもりだから
 追って待つように」
テレーゼは言った。
ウィンダムがふっと笑う。
171 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/14(金) 03:10:26 ID:RhvqtQi50 [2/5回(PC)]
「マジで? スゲエっすねやっぱ」
ホメロスが言った。
おっほんとテレーゼが大げさに咳払いする。
ジュペリも腕組みして咳払いした。
「狩りか……」
バルトークが呟く。
「玉石間引いていけばいずれ玉だけになる。今の地球のレッドラムの数は
 かなり減ったが……ここからが大変と思う」
ガロアが言った。
モアは鞭のさわり心地を確かめるのに夢中だ。
アマデウスも自分のテレポンを触っている。
使い方が分からなくて戸惑っているようだ。
「怖いかも……」
オセロが言った。
バッハは俯いて黙っている。
立って寝ているのかもしれない。
「よし! 世界に散るんだ! 試し斬りだぜ!」
ジュペリが号令をかけた。
「えらっそーに。一番弱いくせに」
モアが声を被せた。
ノロノロとそれぞれの出口に向かう皆。
テレーゼはニコニコしている。
最後にアリスが残る。
テレーゼがそれに気付く。
「およ。どしたのあーたん」
「……葛藤とか……なさそうですよね。なんでですか?」
テレーゼはうふふと笑う。
「私の現実はここには無いから。今も世界を彷徨ってるのよ。私の現実は」
アリスが目を細める。
「それってもしかして……具体的な物ですか?」
テレーゼはうふふと笑ってくるっと後ろを振り向いた。
「無駄に勘が鋭いね。さすが女の子」
テレーゼは言った。
私の現実……?
何それ……
誰にとっても現実は同じものじゃないのか……?
フェレスの死んだ世界が私の現実……
いや……
私の脳も眼も目の前の科学者のものとは違うし……
私の現実も目の前の科学者の現実も違うのか……
何か……
頭の中の地獄から抜け出すヒントがあるような気がした……
アリスもきびすを返して部屋を後にする。
自分はまだ未熟だ。
何故かそう感じた。

ミナセとルナが組み手をしている。
武器無しだ。
まだベルリン郊外の砂漠にいる。
ルナは瞬間速度で既にミナセを軽く上回っていた。
ミナセは「ヨーダ様みたいだルナ」とか言ってルナを褒めた。
172 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/14(金) 03:11:17 ID:RhvqtQi50 [3/5回(PC)]
だが内心汗だくだった。
子供の成長速度は舐められない。
てゆーかそれ以上の想定外のスピードでルナは成長している。
もうわけわかんないくらい。
なんらかの触媒があったとしか考えられない。
やっぱアレか。
フリーダの存在か?
なんか違うような……
理由はないけどそんな気がする。
まぁ親父として喜ばしいような気もするけれど……
でも……でも……
威厳ってもんが崩れそうで怖いんだ……
はっ……
そうだ……
俺もルナを触媒にして頑張れば良いんじゃないか。
俺もまだ若い。25歳だ。
もう一花咲かせないと……
そうだ。
先日カンジとスカイクロラ討伐を誓ったばかりなんだ……
アイツ等は俺より若い。
きっと今頃……
「はぁっ!」
ルナの正拳突きがミナセの脇腹にヒットする。
あうっく!
いてえっ!
考え事してる場合じゃなかった!
ミナセはいったん間合いをとる。
ルナが本当に嬉しそうに笑っている。
調子に乗ってるな……
そこが隙だ!
ミナセは靴で砂を蹴っ飛ばす。
目潰しだ!
ルナが手で目を覆う。
ビンゴ!
大車輪キック!
ミナセが横転しながらルナに近づく。
しかし蹴りは空を切った。
畜生!速すぎだアイツ!
ルナは横に回りこんでミナセと同じように砂を蹴ってミナセの目にかける。
ミナセは手で目を覆う。
畜生!誰に習ったそんな事!
ルナはさらに後ろに回りこむ。
ちょっ……ヤバい!
速すぎる!
思いっきりミナセのがら空きの背中を蹴った。
ぐああああっ!
背骨が折れたぁ!
吹っ飛ばされながら右腕を砂の上につく。
砂が巻き上がる。
ルナはまた姿を消している。
容赦のない奴め……
173 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/14(金) 03:12:02 ID:RhvqtQi50 [4/5回(PC)]
本気になってしまうぞ……
って今まで本気じゃなかったのかよ!
そうだ。心のどこかで手加減していたのだ。
最愛の娘だと思って心のどこかで……
ミナセの眼が青く光る!
娘相手に本気になるのもどうかと……
心の奥で声がする。
それは娘に対する侮辱だ!
こいつはそんなレベルじゃねえ!
こいつは俺の自慢の……
自慢の……
ミナセは眼を閉じる。
感じるぜ!
お前の幼い妖気を!
サマーソルトキック!

ドゴッ!

上空から攻めてきたルナの顎に蹴りがヒットした。
あーあやっちゃった。
「あぐっ……!」
ルナの苦しそうな呻きが微かに聞こえた。
砂を巻き上げながらルナは地に叩きつけられた。
どうやらかなりのダメージを負ったらしい。
か……勝った……
ほっ……
ミナセは安堵する。
自分が汗でビショビショになっている事に遅れて気付く。
娘よ。
大きくなったなぁ……
ミナセは心の中で思う。
ルナは頭の砂を払いながら起き上がる。
「へへっ……負けちゃった……」
可愛いなぁ……
ミナセは素直に思った。
素直に思って良いのかよ。
心の中で誰かが言った。
今日からもっと気を入れて修行しないとな。
心の中でまた誰かが言った。
「休憩にするか。ルナ」
ミナセは明るく言った。
ルナはこくりと頷く。
岩場まで歩いていって腰をおろす。
持ってきていた凍らせたストレートティーを飲む。
ああ幸せ。
良いなぁ家族って。
ミナセは思った。
うん。一人だったら色々心細かったかもしれないな。
本当にそうかな?俺に限って?
そうさ。
人間誰だって皆孤独を抱えてるんだぜ?
174 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/14(金) 03:12:54 ID:RhvqtQi50 [5/5回(PC)]
ルナも長生きすればそれだけ孤独は深まるさ。
俺はルナに生かされ、
ルナは俺に生かされてんだ。
ミナセは柔和に笑った。
次の瞬間、東の空に威圧感を感じた。
邪宗門を手に取る。
ルナも感づいた。
これは……
空からという事は……
「ふわー。おはようミナセ。ルナちゃん」
フリーダがてくてく歩いてきた。
東の空に黒い点が多数。
スカイクロラだ。
「逃げようがないな……」
ミナセが呟く。
フリーダも気付く。
眼が爛々と輝いた。
「いよいよこの時が来ましたのね!」
フリーダはピョンピョン飛び跳ねてミナセとルナから間合いをあけた。
う……
まさか……
ミナセは無茶苦茶嫌な予感がした。
スカイクロラの姿がハキリ目視できる。
前に会ったゴーグルとピンク髪が先頭を飛んでいる。
フリーダが首をくくっと斜めにする。
「いつか、共に、踊る、運命?」
フリーダは呟いた。
175 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/14(金) 04:41:41 ID:05TmBRsW0 [1/1回(PC)]
◆次回予告

アマデウスとホメロスはネプトとカンジの所に
ジュペリとモアはルナとミナセとフリーダの所に行く。

フリーダ、スカクロ側につく。

バトル!

ミナセとフリーダ互角。
他も互角。

冷静と情熱の間!



続く
176 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 03:51:26 ID:NoMOhosG0 [1/5回(PC)]
フォルテシモ第六十五話「踊りませんか?」

フリーダがニコニコ笑って一歩一歩後ろ歩きしている。
空気がピンと張り詰める。
ミナセが戦闘態勢に入ったのだ。
ザッと音がしてジュペリとモアが砂漠に降り立つ。
次々と同じ顔のクローン達が砂漠に降り立つ。
クローンは白い簡素な衣服を身にまとっているので見分けられる。
その数総勢30体ほど。
しかしミナセが見ているのはフリーダだ。
「えっ? なんで? ミナセ? フリーダは……」
ルナが戸惑う。
「アイツはもともとあっち側の人間だ。言ってなくて悪かったな」
ルナがハッとする。
頭が混乱してきた。
ミナセは知ってた?
知っててなんで……
大人ってわかんない……
フリーダは今まで見た事がないような輝いた顔で笑っている。
なんで……?
2人とも……
ならなんで今まで……
「御免ねルナちゃん。君達の事、大好きだから」
フリーダの声が聞こえた。
わかんない!
バッと剣をかまえるルナ。
分かんないけどフリーダはミナセとヤる気満々らしい。
私は30人抑えなくちゃ。
なんかミナセにとってこれが神聖な一戦であるような気がする。
ミナセにとって大事な物は私にとっても大事な物。
私も死力を尽くす。
この世に絶対理解しなきゃならない事なんて少ないよ。
特に他人の事なんて……!
「……っこおおおお!」
ルナが体全身に気をこめる。
大気がビリビリと振動するような感覚をそこに居た者が覚える。
「うっひゃぁ! あのチビちゃん威圧感がダンチで上がってる!」
モアが声をあげる。
「フリーダ。久しぶりだな。なんでこんな所にいる?」
ジュペリが近くまで寄ってきたフリーダに言う。
「サボテン集めてたらこんな所まで来てしまったの。他意はありませんわ」
フリーダはそっけなく言う。
目下ミナセの事で頭がいっぱいらしい。
フリーダはイカレてる!
ミナセもイカレてる!
面白い!
私もイカレてみよう!
「雑魚ども! 私が相手だ!」
177 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 03:52:07 ID:NoMOhosG0 [2/5回(PC)]
ルナが声をあげる。
「馬っ鹿じゃないの!? アンタこの前負けたじゃない!」
モアが声をあげる。
「しかもこの前より条件悪いのよ。生意気なガキだわ……」
モアが鞭をかまえる。
「レッドラムは皆殺しだ……」
ジュペリも両腕を突き出す。
手に「ガラクタノカミサマ」が巻かれている。
「ミナセ! 愛してる!」
フリーダがよく通る声で言った。
「俺もだフリーダ!」
ミナセが返す。
ルナはあきらめて思考をシャットダウンした。
逝っくぞ~!

ビッ!

最初にルナが消えた。
速い!
モアが左手で刀を抜く。
後ろ!
刀は空を切った。
ルナはその時にはもう目の前の上空にいた。
「ビィィーム! 紫極!」
完全にチャージしたビームサーベルの一撃。
モアは反応が追いつかない。
「てっ!」
ジュペリがワイヤー付きのマシンアームを咄嗟に飛ばす。
刀身を掴んだ。
「らあっ!」
一気に電流を流す。
ルナは咄嗟に刀を放す。
マシンアームに刀が奪い去られていった。
そこをクローンが一斉に襲う。
砂漠に着地するルナ。
サマーソルトキック!
クローンが5体いっぺんに吹っ飛ぶ。
狼狽したジュペリの隙をついて刀を掴む。
間髪いれず電流を流したが遅かった。
刀を奪い去るルナ。
もうテレポンの能力が知られてしまった。
やはりまだ使い方に慣れていない。
というかこのチビ速すぎだ。
前も速かったが成長速度が尋常じゃない。
自分達も鍛えている筈なのに……
178 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 03:52:42 ID:NoMOhosG0 [3/5回(PC)]
これが才能ってやつか?
天才じゃねえ。
超天才だ。
クローンはまったく相手にならない。
前より条件が悪いのはむしろこっちなのか……
でも初陣で負けられねえよ!
「っこおおおおお!」
ルナがまた気合を入れた。
ジュペリは汗を流す。
ガロアの言葉が蘇る。
世界制覇は俺達が思ってるよりずっと難しい……!

フリーダとミナセはルナが戦っているところからかなり離れた所まで
併走して走っていった。
ミナセが止まるとフリーダも止まった。
「ふうっ……。お父さん、ルナちゃんは一人で大丈夫?」
「死んだらそこまでの奴だったって事さ」
ミナセが答えた。
「うふふ……鬼畜……大好きよ……ミナセ……」
フリーダが片手を天に掲げる。
袖口やポケットから気配が天に向けて放たれる。
それは大気中で増殖する。
テレポンだ。
「SHALL WE DANCE?」
フリーダは言った。
やばい……早く対処しねーと……
ミナセの眼が青く輝く。
大気がギュンと音を立てさらに遠くの雲までもがミナセのもとに一瞬で吸い寄せられる。
「はっ!」
一気に砂漠の上に湖のような量の水が出現した。
ミナセは邪宗門に両足を乗せてその上に浮遊している。
「スッゴイ!」
フリーダが嬌声をあげる。
ミナセは一抹の不安感を覚える。
こうつは本当に強いぞ……
割と長く一緒に居て分かった。
俺とは違う……
ルナのような天才タイプだ。
努力せずに感性感覚が研ぎ澄まされている。
さあてどう料理するか……
ベッドの上では何度も料理したが……
頭上に悪寒。
来る!
「カオスダイバー!」
179 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 03:53:18 ID:NoMOhosG0 [4/5回(PC)]
無数の刃が天から降ってくる!
無数の糸で操作しているのはフリーダの指!
これは……
「水の道化師!」
水の塊が不定形に変わる。
全体から無数の鯉の形をした水が飛び出す!
「うおおおおおおお!」

バシャシャシャシャシャシャシャシャ!

鯉で刃を相殺する。
さらに水の膜を球形に自分の周りに張り巡らし二重のガードとする。
何発か弾幕をかいくぐった刃がバリアーに当たる。
凄い量だ。
雲が割と多くて良かった……
ってゆーかテレポンの相性がかなり良いな。
いや、凄く良い。最高だ。
例えば剣士ならナナミやヤマギワのクラスでもこの攻撃回数に対処できないぞ。
やっぱ俺は運は良いんだ。
器じゃないし。
「さっすが! じゃ次はこうだ!」
フリーダが言う。
刃物はキラキラ輝きながら整列する。
それは巨大な球形に変わっていく。
あれは……
やばい……!
「カオスソルジャー!」
球形の刃物の塊が一気にミナセに襲いかかる。
「ラーンナウェー!」
水を全部推進力に使って避ける。
塊はずっと追ってくる。
しかしミナセのスピードの方が速い!
ふふふ……俺は俺の避けテクニックだけは人様にお見せできると踏んでるんだ!
誰にも避けでは負けねえ!
球体からビュンと刃物が数十個飛び出す。
「これでどうだ! カオスダイバー!」
塊で追いかけながらの頭上からの攻撃!
「避けテクニックの見せ所だ! 全部避けてやる! ひゃっほう!」
水で道を作りさらに水を噴出して推進力にして空中を縦横無尽に駆け巡る!
それはまるでゴキジェットから逃げ回るゴキブリの様相を呈した。
フリーダは眼を爛々と輝かせた。
やっぱミナセは凄い!
「ハハハハハァッ!」
ミナセの声が響いた。
私と踊れるのはやはり……
ミナセしかいない!
私の目に狂いは無かった!
奥の奥まで踊りつくすんだ!
おれが私の人生の妙味!
天国の門!
成仏させて!
昇天させて!
お願いミナセ!
フリーダの眼が白く輝いた。




180 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/15(土) 03:54:23 ID:NoMOhosG0 [5/5回(PC)]
◆次回予告

アマデウスとホメロスはネプトとカンジの所へ行く。

バトル!

ミナセとフリーダ互角。
他も互角。

冷静と情熱の間!



続く
181 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/15(土) 20:02:07 ID:9UIy3PBp0 [1/1回(PC)]
32㎝マイクロミニが制服

私立宇田島学園の高等部と中等部で来年度より学校指定のミニスカートが採用
される事となり、話題を呼んでいる。同校校長によれば、「今迄制服のスカートを
ミニに改造する生徒が非常に多く、結果として破損する事が多かった。ミニ
スカートは活動的な女性の象徴でもあり、保護者会での了承も得られた」と言う。
予定では来年春より高等部は紺色、中等部は赤色のチェックのマイクロミニスカート
(丈約32㎝・写真)を制服として採用する見込み。一部の保護者からは「セクシーに
なり過ぎないか」などと不安の声も上がっているが、少子化の昨今、学校PRの為の
話題作りには一役買った格好だ。
岐阜スポーツ


結構な学校だと思うがこれはヤバい位短いな
パンツ見えそうじゃん
http://hobby9.2ch.net/test/read.cgi/auto/1175389734/
182 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/16(日) 03:50:19 ID:l3onFY220 [1/6回(PC)]
フォルテシモ第六十六話「感覚の天使」

ミナセとルナが戦っている反対側の砂漠。
カンジとネプトの前にホメロスとアマデウスとバルトークの連隊が降り立った。
カンジの威圧感が増した。
ネプトは狼狽する。
やはり自分も戦わなければいけないのだろうか。
器じゃないのに……
「ネプト。お前は天パーとヤれ。あとは引き受ける」
カンジが言った。
向こうにもソレは聞こえている。
「俺が一番弱いってか?」
天パーのアマデウスが言った。
バルトークがククッと笑う。
クローがしゃらんっと音を立てた。
カンジが両手の人差し指と中指を立てる。
その先端がボウッと赤くなる。
ホメロスが両手に銃をかまえる。
空気がピンと張り詰めた。
アマデウスがザッと前に出た。
ネプトを狙っている。
カンジは動かない。
マジかよ!
ネプトは後退する。
「車海老の章!」
腹からジェットが噴出して機動力が増す。
変なテレポン使ってんな……
アマデウスはレディオヘッドをかまえる。
さぁて、どう使うのかな?これは。
「裸鰯の章!」
ネプトの右腕が銃になり青い光球が乱射される。
高級なテレポンだ……
アマデウスは俊敏な動作で全て避ける。
ネプトは愕然とする。
こんなに見事に避けられたのは初めてだ!
「竜宮の使いの章!」
左腕に竜宮の使いの頭が生え口に中から刀が飛び出る。
おいおい……あのテレポン欲しいぞ……
レディオヘッドが1メートルほどの長さにカシャカシャ音を立てて伸びる。
刀と激しく打ち合わせる。
なんだ?ただの長物なのか?なわけねーよな。なわけある?
一瞬の隙をついて赤と黄色の帯がアマデウスの両腕両足を拘束する。
「うおっ!?」
「ステム! バースト!」
183 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/16(日) 03:50:54 ID:l3onFY220 [2/6回(PC)]
緑の閃光と刀がアマデウスの腹めがけて飛んでくる。

バチイッ!

ホメロスの弾丸が刀を弾いた。
アマデウスは目をつぶる。
「ボサッとすんな!」
声が飛んでくる。
面倒見が良いな……。良い奴だ……。
次は足に動力を置いてくるか……。
ネプトの足が緑色に輝く。
速度が急激に増した。
あれ?
俺今なんで分かったんだ?
たしかにアイツの足が光る前に足に来ると分かった……。
後ろに回りこんでくるか……。
あれ?

ゴッ!

竜宮の使いの章の後ろからの攻撃をレディオヘッドで防いだ。
うわっ……マジではええ。保育園児くらいなのに……
おじちゃんちょっと押され気味かな……
しかし何故か反応できたぞ?
来る前に来る方向が分かった……
まさかコレが……
この指揮棒みたいなレディオヘッドの能力か……?

ゴッ!ガッ!ドゴッ!

ネプトの攻撃がことごとく完封されていく。
くそっ!
この人恐ろしく勘が鋭いんだ!
天才肌ってやつ!?
器じゃないよやっぱ!
俺は負ける……!
「はっ!」
アマデウスが力に任せてネプトを吹っ飛ばす。
間合いがあいてお互い集中を解く。
俺には経験も勘も才能も無い……
あの人の防御を切り崩す術は……
母上の最強のテレポンを頼りにするしかないかも……
そうだ。目の前の人の持っている得物もテレポンだ。
それより俺の得物の方が強いって母上が言っている。
俺は母上を信じる!
ネプトの右腕に白い亀の甲羅のような構造が出現する。
人間テレポン……テレポン人間だなありゃ。
アマデウスは目を細める。
次は……何か大技が来る……
不味い……避けなきゃ……
184 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/16(日) 03:51:25 ID:l3onFY220 [3/6回(PC)]
「うおおおおおおおおおおおお! 抹香鯨の章!」
ネプトが叫ぶ。
そして飛び立つ。
アマデウスの真上。
ネプトを中心に全長10メートルほどの巨大な光の抹香鯨が出現する。
押しつぶす気だ!
アマデウスは咄嗟に後ろに下がる。
しかし鯨のスピードが速い。
「うあああ!」
間一髪避けきれた。
しかしあまりの事で頭が回らなくなった。
集中力が途切れる。
巨大なクレーターの中心にネプトの姿はない。
後ろ!

ザシュッ!

ネプトの手に手ごたえがあった。
アマデウスの血のついた背中の衣服の一部がハラリと落ちる。
いてえっ!
保育園児に傷つけられた!
これだから世の中嫌なんだ!
もっと適当に生きたかった……
明るく地味に慎ましくカントリーで僻地で一生を送りたかった……
それをこんなちゃちな爆弾のせいで……
ネプトの目が緑に輝く。
あーあ本気になっちゃってるよこの僕ちゃん。
本当ならママと一緒にねんねしてるような年齢なのに……
因果なもんだね世の中。
戦闘因果に支配されてんだ。
アホらし。馬鹿丸出し。
ろくな大人にならないねこの子。
ネプトは考える。
俺の動きは予測できるようだが
この魚眠洞の能力を完璧に把握する事はできないだろう。道理的に。
俺の武器は変幻自在だ。
いちかばちか、試してみよう!
アマデウスは目を細める。
またなんか変わった事してくるな……何かは分からない……
アマデウスがかまえる。
はぁーめんどくせ。帰ってゼロカロリーコカコーラ飲みてえ。アレ最高。
今だ!
アマデウスの一瞬の隙をつく。
「提灯鮟鱇の章!」

ビカァ!

右腕の銃から物凄い光量が一気に放出される。
「うわっ!」
185 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/16(日) 03:52:03 ID:l3onFY220 [4/6回(PC)]
アマデウスは目を覆う。
視力と思考力が一瞬ゼロになる。
「はぁっ!」
ネプトは飛び出し剣を振る。
こりゃ駄目かも……!
いや……皮膚感覚が生きてる!

バウッ!

ネプトの一撃は大きく空振りした。
アマデウスは視力を失っているのに皮膚感覚だけで剣を避けた。
こいつ……どんだけ~!
スゲエッ。俺って才能ね?
アマデウスは自分で思った。
「畜生!」
ネプトは突きを連打する。
アマデウスはその全てを紙一重でかわす。
口笛を吹きたくなる。
爽快だぜ!
視力がだんだん戻ってきた。
こんな上手くいかない事ってあるのか!?
ネプトは苛立った。
いくら俺が器じゃないからってこんな事する神様なんて神様じゃねえ!
ネプトの目が緑に輝いた。
アマデウスは高速の突きを避けながら頭に爽やかな風を感じた。
世の中、上手くいけば割と面白いかもな。
アマデウスは思った。

「だぐはっ!」
バルトークが吹っ飛ばされた。
ホメロスは立っているが右腕が焼け爛れている。
カンジがかまえて立っている。
鋭利な刃物を思わす表情だ。
こいつはアリスが言ってた炎使い。
あのアリスが強いって言ってただけあって半端ねえな……
一時撤退した方が良いかもってくらい強い……
しかもまだこいつ本気出してないみたいだし……
背中の剣とメインのテレポンをまだ使ってない……
「若造共! 俺はお前らは殲滅する事に決めたんだ。余力のあるうちに逃げるのも一手だぞ」
カンジが言った。
殲滅するつもりなのに何故そんな事を言う……?
ガキが負けそうだからか……
そうだな……
逃げた方が良いのかも……
ホメロスは思った。
「逃げるぞ! バルトーク! アマデウス!」
ホメロスが号令して飛び立った。
カンジは追おうとしない。
「ちっ!」
舌打ちしてバルトークも飛び立つ。
「お前なかなか面白かったよ」
アマデウスはネプトに言って飛び立った。
ネプトはしゃくぜんとしなかった。
腹の底で何かがふつふつと燃えている。
器じゃないのに、
この感情は何?
ネプトは戸惑った。

186 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/16(日) 04:02:10 ID:l3onFY220 [5/6回(PC)]
◆次回予告

ミナセとフリーダ互角。
他も互角。

冷静と情熱の間!



続く

187 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/16(日) 04:33:39 ID:l3onFY220 [6/6回(PC)]
終わらない……
188 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/17(月) 04:12:03 ID:9h40pkHs0 [1/5回(PC)]
フォルテシモ第六十七話「トモダチ」

水の龍がその身をくねらせる。
無数の刃がそれを追う。
フリーダは自分で飛ばした刃を足場にして空中を走る。
あんなの普通の人できねえよ……
龍の中のミナセは当たり前の事を思った。
心の中の歓喜を感じながら……
だって久しぶりなんだ……
俺が本気を出せる相手。
俺の本気を受け止めてくれる相手は……
俺の本気を許してくれる相手は……
俺の中に入ってこれる相手は……
いつのまにか昔とは別の意味で孤独になってしまった……
山の頂上は空気が薄くて住みにくかった……
人は寄り付かない。
それは俺が心のどこかで望んだ事だったのかもしれないけど……
でもどこかで誰かを待ってたんだと思う。
そう。
今の俺とトモダチになり得る誰かを……
フリーダの顔が見えた。
まだ笑っている。
彼女の期待に応えたい。
幻滅されたくない。
俺を見てほしい。
俺を理解してほしい。
そんな事考える俺は弱い。
だけど、
そんな汚物まで愛して……
彼女もそんな気持ちだろうか?
ここからはよく見えないや。
もっと近くに。
もっと近くに。
彼女の近く、
彼女の深淵に……
「水龍公使……向きを変えろ……」
ミナセは水の中で呟く。
逃げてばかりでいいわけがない。
踊りってのはコミュニケーションだ。
違うかもしれないけどそういう事にしとく。
こっちから働きかけないと意味をなさん。
龍の口がカパッと開く。
「てっ!」
口から水弾が乱射される。
フリーダは刃の上を超スピードで渡ってそれを避ける。
怖いなこの娘。本当怖い。
フリーダは踊っているようだ。
馬鹿にしているのでなくてそれがフリーダのスタイル。
生き方……か。
189 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/17(月) 04:14:00 ID:9h40pkHs0 [2/5回(PC)]
相手のいない踊りは楽しくない。多分ね……
フリーダだってそう思ったから俺と踊りたいと思ったんだろう。
俺は期待に応えるだけ……
期待に応える相手がいる事って多分幸せな事だから……
「水の道化師!」
くねった龍の体から小さな蛙が無数に飛び出す。
全方向からフリーダを囲む。
「やだ……嫌いよ両生類……」
フリーダは呟く。
逃げ場は無い。
「カオスボール!」

シュパアアアアア!

蛙が全て水の飛沫になって霧散した。
刃がフリーダを中心に全ての蛙を撃墜したようだ。
「えへへ……」
まだフリーダは笑っている。
本当に勝てるのか?
ミナセは不安になってきた。
原子力は5年前以来何故か使えないし……
プラトやムスイの声も聞こえないし……
水の道化師で相殺しながら青極でいくか……
すっげえ嫌な予感。
切り刻まれる自分が見える。
やるしかないよな。それでも。
俺大人だもん。
ルナも命をかけて戦ってる。
やるか!
「水の道化師!」
龍が分裂し無数の刃をもった球になる。

バシャシャシャシャシャシャ!

刃と相殺する。
道はできた。
何も無い空の空間。
逝くぞ!
「死にぞこないの青!」
100メートルほどの水の刃が邪宗門から伸びる。
フリーダがにっこり微笑む。
余裕だな。
むかついてきたぞ。
ミナセは氷の足場を踏んでフリーダめがけて駆け出す。
距離が50メートルまで近づいた。
「青極!」
「冷静と情熱の……間!」
フリーダも同時に叫ぶ。
テレポン舞姫が急速に整列する。
それは今度は全長100メートルの巨大な刃の形をとった。
190 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/17(月) 04:14:34 ID:9h40pkHs0 [3/5回(PC)]
目をむくミナセ。
大迫力!

ドゴオッ!

刃と刃が激しく打ち合う。
威力には自信のあるミナセだったがフリーダの方が威力が強い。
咄嗟に水を変形させ力を逃がす。
「おろっ」
フリーダがぐらつく。
こりゃまともに勝負したら負けるな……
いくらテレポンの相性が良くても……
ミナセは判断した。
得意のせこい手で乗り切る!
刃が重なった部分の圧力を下げる。
フリーダの刃がすり抜ける。
またぐらつくフリーダ。
もらった!
刀を振るミナセ。
フリーダは超速でスピンし始めた。

バシャアッ!

根元から水の刃が砕け散る。
フリーダの攻撃のせいだ。
やっべ!
でも楽しい!
何回でも際の際を見せてやる!
その倍見せられそうだけど……
「悲の器!」
巨大な水の器でフリーダの追撃を防ぐ。
そうだ!
俺!
君にだけは本気!
ミナセの目が青く輝く。
「うふふ……」
フリーダの声が聞こえた。
笑ってる。
その笑顔、絶やさぬために……
俺は戦ってもいいかもしんない。
ミナセは思った。

「はっ……はっ……」
「ぜっ……ぜっ……」
191 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/17(月) 04:15:35 ID:9h40pkHs0 [4/5回(PC)]
ルナとスカイクロラ達、一進一退の攻防は続いていた。
このガキ速くなった……なんてもんじゃない……!
本当に近縁種?
世界の違いを感じる……
私だって少しはやる筈なのに……
ジュペリに較べれば……
モアは神経をかき乱された。
「畜生!」
電磁鞭の攻撃。
不規則に動く鞭を避けるのは至難の業……
ルナの姿がブレて何人にも見える。
鞭が当たらない。
なんでだよっ!
こんなガキに翻弄されてる!
小学生だぞ!?
こんな事ってあるかよ!
「落ち着けモア!」
ジュペリが口を挟む。
「黙れ役立たず!」
モアが声を上げる。
すぐ前にルナ。
「紫極!」
「くっ!」

ガキィ!

ジュペリが腕に巻いたガラクタノカミサマの部分で防ぐ。
ジュペリの顔が痛みで歪む。
なんて威力だ……!
「ああっ!」
そのまま後ろのモアごと吹っ飛ばされるジュペリ。
くそっ……
武器の力試しならもうこれで十分か?
こっから先は死人が出る……
「モア。帰ろう」
「はぁっ!? 馬っ鹿じゃないの!? うぐっ!」
ジュペリはモアの腹に一撃いれて黙らせた。
「帰るぞクローン!」
ジュペリが号令する。
生き残っているクローン達は飛び立つ。
「フリーダ! 帰るぞ!」
「ちぇー。良い所なのに。ミナセ。また今度が本番ね。すごくすごく期待してますわ!」
フリーダは言ってクローンと同じ方向に駆け出した。
ジュペリもミナセを一睨みしてからモアを小脇に抱えて飛び立った。
ルナは一息つく。
ミナセは内心命拾いしたと思っていた。
もう二度と戦うのなんて御免だ。
俺は戦いは嫌いなんだよ……
ああそういや俺戦い嫌いだったよ……
ミナセは思い出した。
192 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/17(月) 05:06:52 ID:9h40pkHs0 [5/5回(PC)]
◆次回予告

スカイクロラ世界に進行。

方々でやられるスカイクロラの連隊。

ライマ登場。
ユアイ登場。

ヤマギワつええ。

召集のビラが配られる。

やろうぜ皆!

続く
193 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/18(火) 02:54:05 ID:vM2gYhJs0 [1/5回(PC)]
フォルテシモ第六十八話「追い詰められれば」

「また全滅?」
「ああ。こっちも相当数狩ってるんだがやっぱ何人もくそ強い奴等がいるらしい」
モアとジュペリが話している。
ここはスカイクロラのニューヨーク基地。
オリジナルのスカイクロラはまだガブリエル以外死んでいない。
クローンの連隊は闘争本能が発達しているから退く事を知らない。
その辺で差がでてきて何個ものクローンの連隊が全滅している。
順調に狩られるレッドラム達がこのまま黙っているとは思えない。
分からないが徒党を組み統率された軍隊となる事も考えられる。
まぁレッドラム全体の性格上、あまりそうなる可能性も無いような気もするのだが。
「フリーダもいれて10人で一緒に行動しましょう。もうこれ以上誰かが死ぬの見たくないよ」
モアが言った。
「駄目だ。毎日レッドラムは増えてる。そんなちんたらやってたら
 全滅させる事は不可能だ」
ジュペリが言う。
「毎日増えてるんだったらそもそも絶滅させれないんじゃないの?」
「アマントが魔界の門番を呼び出して交渉してる。一回レッドラムを根絶やしにしたら
 この魔界は人間の土地になるように……」
モアが目をパチクリさせる。
「何それ。初めて聞く。魔界の門番?」
「俺もよく知らん。テレーゼとアマントが話してんのを立ち聞きしただけだ」
「大丈夫なの?うちの大将。副村長も知ってるよね多分。今度聞いてみよう」
ジュペリはため息をついた。
「死んじゃ駄目だよ」
モアは言って、駆けて去っていった。

アフリカ、の真ん中あたり。
砂漠地帯。
総勢300体のスカイクロラが地に倒れ伏している。
ほとんどの個体が砂に埋もれている。
「良かった。生きてた」
ユアイが半分砂に埋もれたスカイクロラを見つけて言った。
後ろでライマが無言で立っている。
逆光でよく顔が見えない。
「こら。いきなり人襲って、何の為にしたの?説明を要するもんよ」
ユアイが親指を握ってポンと叩いた。
「うご……うごうご……」
クローンのスカイクロラは声にならない声を出す。
「なんだぁ? 小学校で言葉覚えなかったの?」
ライマがじゃりっと音を立てて横を向く。
「その通りだろうぜ。そいつらは模造品だ。頭は戦闘意欲だけ」
「そうなの? じゃ話聞いても無駄なのかな」
すっくとユアイが立ち上がる。
「調子良さそうじゃない。ライマ。ずっと戦ってなかったのに」
「ふん」
ライマは鼻で笑った。
「悪くない。この感じ」
ライマが言った。
ユアイがふふっと笑う。
ユアイはこの五年で変わった。
194 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/18(火) 02:54:36 ID:vM2gYhJs0 [2/5回(PC)]
世界を旅して人と関わる事で人間らしい感情を取り戻した。
ライマとは違って人間を好くようになったらしい。
口数も多くなったし表現も柔和になった。
ライマは今もその変化に少し戸惑っている。
ユアイの首筋から鵺の頭が生える。
「小僧。次はこんな程度ではすまない。奴等のオリジナルが来るだろう。
 こいつ等はクローンだ。せいぜい逃げ回ってユアイを生かせ」
「こら鵺。ライマに命令するのやめてって言ったでしょ」
「ふん」
ライマはちらと空を見やる。
「俺だけじゃ無理か……ならやる事は決まってる」
「そうだね。皆元気かな……」
「お前は……変わったよな……他の奴……見たら驚くぜ」
ユアイはふふっと笑った。
「貴方は変わってないの?」
ライマは一瞬ハッとした。
なんだろう。
「ふん」
ライマはまた鼻で笑った。
ユアイに背中を向ける。
ユアイは笑ってその背中に飛び乗った。
「小僧。貴様はユアイを生かす事だけ考えてれば良いのだ」
「へいへい」
「命令しちゃ駄目だって!」
深夜特急はユアイを乗せて走り出す。
腕がなまってる……
まぁ、それも良い。
俺は生きる目的を得たのだから……
背中にユアイの重みを感じる。
悪くない……
超高速で2人はその場を後にした。

「ぷはぁ!死ぬかと思った!」
ヨナタンが地に両腕をついて言った。
ここはオーストラリア。
横でキタテハがため息をつく。
周りに300体ほどのスカイクロラのクローンが散乱している。
「やばいよキタテハ! 今同じ奴等来たら殺されるよ!」
「そんな早く来ないよ」
キタテハは屈みこむ。
「まったくカンジさんも殺されちまったのに誰に頼れば良いんだよ!」
「ミナセさん」
キタテハが即答する。
ヨナタンが狼狽する。
「なんだよキタテハ……お前まだ……」
「生きてるよ。ミナセサンは絶対生きてるよ」
ヨナタンが釈然としない顔をする。
なんか最低だ。
「あんなヘタレの何が良いのかな~」
195 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/18(火) 02:55:14 ID:vM2gYhJs0 [3/5回(PC)]
「アンタよりマシだ」
キタテハが鋭く言い放った。

ロシア。
岩場の上でカンジが胡坐を組んで左手の人差し指を右手で握り締めている。
眼下が火の海になっている。
400体のスカイクロラが全て黒い焦げになっている。
その中からネプトが飛び出す。
「うわっちいいいいい!」
尻に火がついている。
「最低ですよカンジさん! なんで俺が逃げ切るまで待ってくれないんですか!」
「あれくらい避けられんとこの先ついてこれんぞ」
カンジは言った。
ネプトは尻をはたいて火を消した。
「たかが400体。あれくらい一人で捌いて当然だ」
「自分の物差しで言わないでくださいよ。俺、器じゃないわけだし」
カンジはきっと目を見開いてネプトを殴りつけた。

ミナセはエルサレムに帰ってきていた。
家のハンモックの上で寝ている。
「はっ……はっ……」
ルナが外で荒い息をしている。
目の前でスカイクロラ500体がバラバラになっている。
血の海が砂漠を塗らした。
「ひゅうっ」
ペタンとその場にへたりこむ。
「すっごい疲れた……。でも弱っちかったな……」
私もずいぶん強くなった……
ネプトの所にも行ったかな?
あの子大丈夫かな……
ミナセ呼ばなかったのはちょっと悪い事した気分だな……
でも経験値上がったもんね。
あの技ももうほぼ完成だ。
ルナは嬉々として家路についた。
家ではまだミナセがマジで寝ている。

「だぐはっ!」
ホメロスはビルの壁に叩きつけられた。
右脇腹の傷が深い。
血がドクドク流れ出した。
畜生……なんだよコイツ……
ってかフリーダが殺った筈なのに……
目の前でヤマギワが剣をブンブン振っている。
「悪くないな。『人間失格』」
ヤマギワは呟いた。
ヤマギワは3本刀をさしている。
死ぬのか俺は……
こんな所で……?
ホメロスは二丁拳銃を握り締める。
「おっと!」
瞬間、ホメロスの両腕が吹っ飛んだ。
ヤマギワはホメロスの方を見ていない。
延々「人間失格」を見ている。
196 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/18(火) 02:55:53 ID:vM2gYhJs0 [4/5回(PC)]
「綺麗だな……その切っ先……ナナミみたいだ……」
ヤマギワは空ろな眼をしている。
コイツ……イカレてやがる……!
その内、ホメロスの両腕はまた生えてきた。
せいぜい自惚れてろ!馬鹿が!
ホメロスは吹っ飛ばされた銃を取りに行く。
ヤマギワが剣を振る。
左腕が肩口から吹っ飛んだ。
右手で銃を取る。
構える。
瞬間、ヤマギワの刀が深々と左胸に突き刺さった。
血が噴出す。
ああ……俺の命が……
「つ……つええ……」
ホメロスは呟く。
「ほーう。割と良い声で啼くじねえか。初めて気に入ったぜ。
 良いか。よく聞け。一度でも俺に屈辱を味あわせた一派は
 この天と地の間に生きる場所を与えてやんねー。俺に不可能は無い」
ヤマギワは刀をひめる。
「ぐふっ!」
ホメロスが吐血する。
「『人間失格』……良い名だろ? 使わせれなくて残念だったな」
ヤマギワは刀を力を込めて刀を引き上げる。
ホメロスの上半分が真っ二つになった。
「はんっ! 手応えが無さすぎるぜ!」
やはり標的は……あの売女か……
ヤマギワは刀をおさめてその場を後にした。
800体のスカイクロラの死体の山が累々と積み重なっている。

197 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/18(火) 02:57:23 ID:vM2gYhJs0 [5/5回(PC)]
◆次回予告


召集のビラが配られる。

やろうぜ皆!

魔界の門番カントとパスカル登場。

もとからアマントの願いを聞く気がない。
争い事に乗る為に来た。

続く
198 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/18(火) 16:22:28 ID:VWVuVdkE0 [1/1回(PC)]
終わらない……
199 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/19(水) 03:11:40 ID:C6Uiz29g0 [1/5回(PC)]
フォルテシモ第六十九話「集結」

此処は魔界のパラレルワールド。亜空間。
鴉のような翼を生やした女が二人談笑している。
「マジでー? 暇だねカンパスも」
「だよねー! 絶対馬鹿だよアイツ等!」
空が青や赤や黄のサイケデリックな模様を作っている。
あたりは岩場ばかり。生物の気配は無い。
片方の赤い羽根の少女はフェノメナという名だ。
白いスカイクロラと同じようなギリシャ神話っぽい服を着ている。
薄い栗色の髪をセミロングにして青い眼をしている。
もう片方の黒い羽根の少女はマテリアという名だ。
黒髪をショートカットにしてフェノメナの物と同じ構造の黒い服を着ている。
「魔界のレッドラム……だっけ? 亜人間。そいつ等のテクノロジーが
 うつらの異能の力レベルに近づいてるって事ね」
「そうそう。大脳特化型レッドラム。トランプのジョーカーみたいな存在よ。
 迫害されんのか思ったら重宝がられてるみたい。そんなもんかね~」
フェノメナが欠伸した。
「うちらも召還されるかもね。そのうち。ウザいな」
「本当に~!? アドベンチャーに期待しちゃってるんじゃないの? マテリア~」
「カントとパスカルは絶対やる気ないよ。私利私欲の為に動いてる。
 世界を無駄に引っ掻き回して優越感に浸るつもりよ」
「話そらすなよ! でもまぁね。力を持ったら。使いたくなる。
 優越感に浸りたくなるよね。アイツ等性質悪いからな~。
 世界に対して苛めっ子になるよ。絶対」
「後始末つけなきゃならん事態にならなきゃいいけど。あいつ等ホンット
 餓鬼なんだから。きっとただ戦いたいだけよ。一方的に苛めたいんだ」
マテリアがきゃらきゃら笑った。
「なんか面白そうかもって一瞬思ったよ」
「悪女♪」
二人はひとしきり笑った。
「何の話してんだ?」
後ろから突然声がする。
マテリアの後ろにパスカル。
フェノメナの後ろにカントが居た。
カントはくせっ毛の白髪で黄色い眼をしている。凄い美形だ。
パスカルは眼が隠れるくらい黒髪を垂らして眼鏡をかけている。
二人とも目の前の二人と同じ構造の白服を着ている。
「来たな悪戯っ子二人」
フェノメナが言った。
「何言ってんだよ。仕事だ仕事」
カントが言う。
「正直に白状した方が気が楽になるよ?」
マテリアが言った。
「で、ファウスト博士の調子はどうだった」
フェノメナが言う。
「生意気な女だったよ。なかなか可愛いけど。頭もお前らよりずっと良いし。
 テレーゼって言ったかな。金髪のなぁ。いやぁ可愛かった」
カントが言う。
「馬鹿みたい! 劣悪民族に恋しちゃったの?」
200 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/19(水) 03:12:20 ID:C6Uiz29g0 [2/5回(PC)]
マテリアが言う。
「馬鹿言え。でも抱き心地は悪くなさそうだったな。お前らと違って」
「セクハラ」
「俺は特に今回の件を仕事だとは思っていない。
 最低限必要な事は事を最後まで見届ける事。俺達、魔界の門番は
 徹底した非登場人物。部外者だ。入れ込んじゃ駄目だ。死んでも駄目だ」
パスカルが静かに口を開いた。
マテリアがうんうんと頷く。
「さすがパー公。良い事言うね」
「俺達って超越者のくせに基本馬鹿だよな」
カントが言った。
「だがそこが良い」
フェノメナが言った。
4人で一斉にケラケラ笑った。
超越者、魔界の門番はテレーゼの開発した術式によって無理矢理魔界に
呼び出されるようになった。交渉の結果、レッドラムの生産を
地上のレッドラムを全て殲滅できたら中止するという盟約を結んだ。
だがこの時点で彼らはそれを守る気はあまりなかった。
ハムスターが車を回すのを見守るように彼らは魔界の民の
浅はかさを嘲笑った。そして不要な介入を計画していた。
全ては快楽の為に。

「死ぬかと思った」
テレーゼが実験室にへたりこんでいる。
アマントが後ろで腕組みしている。
「別に私達とあまり変わらないようだな。彼らも」
アマントが口を開いた。
「豪胆ですね。私なんか気圧されちゃって」
「ふん。レッドラムを絶滅寸前まで追い込んだ女がよく言うな」
実験室の下には魔方陣が描かれている。
言葉では言い表せないサイケな形象だ。
「白髪の彼、美形だったわ。今度お茶でも飲みたい……」
「ふん」
アマントは踵を返して部屋を後にする。
入れ違いにウィンダムとアシモが入ってくる。
「大丈夫かよボス! こっから先に踏み込んでも本当に良いのか?」
ウィンダムが言う。
「うん……でもこれしか方法が無いでしょ? レッドラムをこの世から消す方法。
 できるの私しかいないし……」
「ボスもレッドラムです。お子さんも……。どうするつもりですか?」
アシモが言った。
「私はもう子供産まないから……。ネプトは……きっと私を助けてくれるよ」
ウィンダムとアシモが顔を見合わせる。
「あんな餓鬼が?」
「無理ですよ」
テレーゼは首をふる。
「私の息子に限って……そんな事はない……。
 私は手え抜いたら殺されるから仕事してるだけ。ネプトも私が死んだら
 哀しむわ。まだあの子にも教えないといけない事が一杯ある」
201 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/19(水) 03:13:29 ID:C6Uiz29g0 [3/5回(PC)]
ウィンダムとアシモはまた顔を見合わせる。
テレーゼはくっくと笑った。
この人本当に正気なのかな?
アシモは心配になった。

魔界の地下世界でビラが飛び交っている。
「集えレッドラム!天使狩りじゃー!」と文字がうってある。
ペコリと頭をさげたルナが「いらっしゃいませご主人様」と吹き出しで言っている。
「ロリコンが集まりそうだな」
誰かが言った。
ヤマギワもそれを手に取った。
「はん。あいつ等か。まぁ、せいぜい俺の手助けをするが良い」
ヤマギワは言って、召集に応じる気は無かった。
レッドラム達は召集場所であるベルリン地下に続々と集いはじめた。
荷車を押しながらキタテハとヨナタンがたどり着いた。
地下空間の入り口にルナが立っている。
「ナ……ナナミさん?」
キタテハは呟いた。
ルナはくすっと笑って
「どうぞ。この中です」
と言って手招きした。
中は真っ暗だ。
大勢の熱気と汗が充満している。
人が大講義室10個分くらいの大きさの空間にギュウギュウに詰め込まれている。
講義室のように岩場が斜めになっている。
教壇のような構造も見える。
「よう。キタテハ」
そこに居たミナセが声をかけた。
キタテハの顔がボウッと赤くなる。
ヨナタンが後ろから小突いた。
「役者は揃ったかな? そろそろ始めっか」
暗闇から明るい声が響く。
カンジだ。
「ああ」
ミナセが答える。

ボウッ!

カンジの掌の上で火が点る。
光量が激しく岩場全体が鮮明に浮かび上がる。
総勢約2000名のレッドラム達が浮かび上がる。
ライマやユアイやリュイシュンの顔も見える。
皆、大体ボロボロの服装だ。
生きるのに苦労している様子が伺える。
キタテハはため息をつく。
そして壇上のミナセを見やる。
マイクを持っている。
「えー。皆さん。来てくれて有難う。俺はミナセ。
 今回の皆のマトメ役をする事になった。器じゃないんだけどね。」
202 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/19(水) 03:14:17 ID:C6Uiz29g0 [4/5回(PC)]
ミナセは言った。
その場がシンとなる。
「君達も連日の手羽先共の強襲でフラストレーションがたまっている事と
 思う。こういう時はやっぱお祭りだよね。皆で力を合わせてチキンを
 一網打尽にしてしまおう。俺達は強い! できるったらできる!
 俺は器じゃないけどね。決起は一週間後だ。皆、俺は器じゃないけど
 俺についてこい!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!」
野太い声があがった。
ルナがパチパチ手を叩いている。
ネプトは乗り切れずにオロオロしている。
カンジがからから笑っている。
ライマもユアイもリュイシュンも笑っている。
キタテハもくすりと笑った。
また一緒に夢を見れるんですね?
眼から涙が零れ落ちた。
カンジとライマが教壇に寄ってくる。
「よう大将! 全てお気に召すままにだ!」
カンジが言った。
「お前と初めて会った時から、まさかこんな事になるとは思いもしなかったぞ」
ライマが言う。
三人で腕組みした。
「皆、逝っくぞー!」
ミナセが叫んだ。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
さらに歓声があがる。
乗り切れないネプトの肩をルナがポンポンと戦う。
「貴方は強い。大丈夫」
ルナが言った。
ネプトは罰が悪そうに笑った。
本当は嬉しいんだ。
生まれて初めてこんなに仲間ができて。
スカイクロラに感謝したいほどだった。
生きてるってこういう事かな……
ネプトは世界に飛び出してから何度目かの思いを抱いた。
……にしてもあのリーダーの人、俺に似すぎじゃね?
器じゃないってフレーズとか……
流行ってんのかな……
ネプトは頭を捻った。
203 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/19(水) 03:23:20 ID:C6Uiz29g0 [5/5回(PC)]
◆次回予告

ホメロス死んで怒るバルトーク。

レッドラム連合軍、エルサレムに移動。
それを知ったスカイクロラ側エルサレム基地に総力結集。
その数、20万。
カンジ「いいかテメーラ!一人百殺だ!俺か!?俺は万匹殺す!」

ジュペリが屋上でリモコン飛行機を飛ばしている。
それをモアが見ている。
「ジュペリ。怖い」
「俺もだよ」
「私達、何か間違えてないかな」
「……」
「私達って哀れだよね」
「……」
「私達って、何の為に生まれてきたんだろう」
「……」
模型飛行機ばかり見ているジュペリ。
「どこまで飛べるかな」

ミナセ「逝くぞ皆!明朝、攻撃開始だ!先手必勝!今夜はフライドチキンだ!」
皆「うおおおおおおおおお!」

第三次レッドラム大戦の幕開けであった。


続く
204 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/20(木) 03:06:09 ID:7QPgHqRQ0 [1/6回(PC)]
フォルテシモ第七十話「死ぬのは怖い?」

「レッドラムが集まってる。報復するつもりだ」
欧州巡回中のオセロがレッドラムの集まった反応を感知した。
「私達だけじゃ相手にならない。一旦、帰投するわ」
「了解」
ガロアが短く答える。
自分はエルサレム基地にいる。
テラスで携帯で喋っている。
こっちも総力を結集して迎え撃つしかないかな……
これは戦争になる。
第三次レッドラム大戦と言っても良い。
なにせこっちの総力は20万。
勝ち目は十二分。
自分も敵幹部に実力負けしないくらいの力をつけた。
そう。例えあの爆発使いと戦ったとしても……
というかずっと相手を爆発使いと想定して修行してきた。
ジュペリもモアも強くなった。
アリスとフリーダは言わずもがな。
あの二人は敵幹部数人を相手にできるほど強い筈だ。
「ふんっ」
ガロアは鼻で笑った。
野良犬どもの最後のあがきだ。
相当、面白い祭りになるだろう。
後ろにバルトークが立っている。
「ホメロスの奴、死にやがって……」
「まだ言ってるのかバルトーク。いい加減そんな不合理な思考排除して
 明日の事を考えろ」
バルトークはキッと眼をむく。
「誰に殺られたんだよ……」
「俺が知るかよ。敵幹部だろうぜ。多分な」
「よし、じゃあ殺す」
単純だな……
まぁ普通に良い奴だけど……
「ホメロス。オセロを守れ。俺は死ぬかも分からん」
バルトークが言った。
ガロアは内心ビクッとした。
「いちいち言うなよそんな事……。それに俺だって死ぬかも分からんし」
「死ぬなって言ってんだよ馬鹿」
バルトークはケッと笑って
背を向けた。
「勝ち逃げしろって言ってんだ」
バルトークは言ったがガロアは意味が分からない。
言動も不合理だな……
コミュニケーションなんだから伝わるように言わないと……
「てか、俺は多分死ぬ。そういう風に生まれついてるから」
バルトークは言ってテラスをあとにした。
そうだな。
死ぬのは……怖い。
俺達ホントは山奥の村で一生地味に生きる筈だったんだぜ?
そしてそれは望んだものではなかった。
205 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/20(木) 03:07:25 ID:7QPgHqRQ0 [2/6回(PC)]
俺は広く世界に飛び出して色んな本を読みたいっていつも思ってた。
果ては数学者になる事を夢想していたものだ。
それが世界には飛び出したが首輪のついた不毛な戦争ごっこしてるときてる。
やるせねーよ。やるせねーな。
俺達には生きる理由があるのだろうか?
ボブスレーに乗ってるみたいで上手く考えがまとまらない。
周りの景色が高速で行過ぎていくけど俺自身はあまり歩いていない気がする。
ただ倒したい相手ができた。
なんで倒したいって思うのか理由はよく分からない。
不合理だな。数学者が聞いてあきれる。
でも無駄な思考な気がしない。
なんだろ。
なんか大事な事な気がする。
まだまだ未熟だな俺……
ガロアは思った。

エルサレム基地の屋上でジュペリがラジコン飛行機を飛ばしている。
彼が山を降りてからの唯一の趣味だ。
少し後方でモアが飛行機の行方を追っている。
飛行機のブーンという音がやる気なさそうに聞こえてくる。
ジュペリはモアなどそこにいないかのように振舞っている。
「ジュペリ……」
モアが呟く。
ジュペリは反応しない。
「楽しい?」
「ああ」
思いがけずジュペリが返答した。
オタクだな……
モアは呆れた。
自分だって音楽好きだけどなんか違うんだよな。
没頭のし方とか。
今なんか戦争が始まるちょっと前だってのに。
おかしいんじゃないかな。
「死ぬのが怖い」
「ああ、そうだな」
ジュペリは短く答えた。
飛行機が旋回している。
ブーンという間の抜けた音が聞こえる。
モアは自分の口から出てきた言葉が意外だった。
怖い?
死ぬのが?
何故ジュペリに言う?
モアは掌を広げて自分の口の前に持っていった。
もしかして私、格好悪いかな。
「一人で死んじゃうのはずるいよ」
「何故?」
冷静に切り返された。
206 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/20(木) 03:07:56 ID:7QPgHqRQ0 [3/6回(PC)]
こいつはラジコンつついてる時は冷静になる傾向にある。
でもなんでだろ。
貸しがあるからかな。
貸しってなんだろ。
「なんとなく」
「そうか……」
何が言いたんだ自分……
なんか喉まで出かかってんだけど……
なんだろ。
「なんか言いたい事あるんだけど……」
「言えば?」
くっそー。
馬鹿にしてるな?
頭かち割ってやる!
「好きだよ。ジュペリ」
ジュペリは返答しない。
あれ?
これで正解?
どうもそうらしい。
そうだったのか自分。
ジュペリはまだ黙っている。
なんだ……興味無しか……
最低……自分……
最低だ……
言わなきゃ良かった……
その時、ラジコン飛行機がブルブル音を立てて階下に突然落下していった。
あれ?
ジュペリが振り向く。
無表情だ。
どうした?
「死ぬのは怖いよな」
ジュペリが言った。
モアはなんだか嬉しくなってきた。
一足にジュペリに抱きつく。
ジュペリは無表情を崩さない。
涙が溢れてきた。
ジュペリの肩をボロボロ零れ落ちる涙が濡らす。
おかしいな。
こんなに感情押し殺してたのか私。
格好悪いな……
「怖い……」
モアが儚く呟いた。
「どこまで飛べるかな……」
ジュペリが言った。
207 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/20(木) 03:08:38 ID:7QPgHqRQ0 [4/6回(PC)]
そのまま10分くらい動かないでいた。

散開してできるだけ速いスピードでレッドラム連合軍はエルサレムを目指す。
ルナとネプトが喋っている。
「ルナの親父さんってさ、スゲエ強いんだろ?」
「当たり前よ。私が100人束になっても敵わないわ」
「さすがにそれは子馬鹿だろ」
ネプトはちらっと先頭を走るミナセとライマとカンジを見やる。
「なんで鬼太郎カットなんだ? ルナも親父さんも。俺は母上にそうしろって言われたから
 そうしてるんだけどさ」
「私は少しでもミナセに近づけないかって思ってやってる。まずは形からってね。
 ミナセの右眼には何か秘密があるらしいの。詳しくは知らない。
 『期待するほどの物じゃない』ってミナセは言ってたけど」
「ふーん」
ネプトは言いたい事が他にもあったがそれが何かよく分からなかった。
モヤがかかったように分からない。
「斥候から情報が入った! 敵の戦力は約20万!
 こっちは2000だ! 1人100殺で勝ちだ!
 俺か!? 俺は万人殺す! 気合入れていけー!」
カンジが叫んだ。
「うおおおおおおおおおおおおお!」
野太い声が響いた。
100殺か……
自分にできるから……器じゃないし……
ネプトは心配だった。
「ねぇ、ネプト」
ルナが言う。
ネプトが振り向く。
「私達、もう親友でしょ?」
「え……」
ネプトは面食らう。
そうかな……
もうそうなのかな……
確かに世界でたった一人の友達だと思ってたけど……
「勝手に死ぬのなんて許さないよ」
ルナが続けた。
胸が早鐘のように鳴る。
繋がってる……
この人と繋がってるよ……
生きてるってこういう事か……
何度目かの実感を噛み締める。
「ああ。絶対死なない。約束する」
「ホント? ゆーびきーりげーんまーん嘘つーいたーら針千本飲ーます」
ルナが指を動かしながら言った。
体の奥から力が湧き出てくる。
208 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/20(木) 03:10:09 ID:7QPgHqRQ0 [5/6回(PC)]
「いいか! 野朗共! 明日の早朝から侵攻開始だ! 先手必勝!
 ぶっ潰してやろうぜ!」
カンジが叫ぶ。
「うおおおおおおおおおおおお!」
野太い声があがる。
「ちょっとカンジ。確かに器じゃないけど一応俺がマトメ役で……」
ミナセが言う。
「ハハッ! わりぃな! せっかちでよ!」
カンジが返した。
高揚感が段階的に上がっていく……
これぞ生の実感!
おれぞ際の際!
ネプトは胸の高鳴りを感じながら思った。
やってやるぜ!
レッドラムの大隊はドロドロと砂漠を疾走した。


209 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/20(木) 03:28:37 ID:7QPgHqRQ0 [6/6回(PC)]
◆次回予告

スカイクロラ軍、エルサレム基地に集結。
早朝、レッドラム連合軍戦闘しかける。
地下から鵺がでてきて幾千光年の孤独!

ドドドドウ!

わらわら出てくるスカイクロラ。
カンジ、火取玉連射。
バタバタ死ぬスカイクロラ。
ルナ殺しまくり。
新技「紫極球!」
一瞬で数十人惨殺。
ノルマクリア。
ネプト「スゲエや!」
ネプトの前にジュペリ。
ルナの前にモア来る。
ユアイの前にバルトーク来る。
スゲエ強いバルトーク。
ユアイ圧倒される。

ライマ一人突っ走る。
深部に突入。
アリスとカンジ激突。
雲の上に行く。
そこで多数のスカイクロラ待ち伏せ。
リュイシュンとアマデウス戦う。
アマデウス押され気味。

カントとパスカル観戦。
「グダグダだな……」

続く
210 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/21(金) 03:46:01 ID:chn9XX8w0 [1/5回(PC)]
フォルテシモ第七十一話「最後の戦い」

「もう総員は配置できたか?」
ジュペリとモアが通路を歩いている。
「うん。20万、各所に配置したよ。もう何時来ても大丈夫」
脇の通路からバルトーク、アマデウス、オセロ、ガロアが歩いてくる。
「いよいよ最後だね。皆、死なないでよ」
モアが言う。
「十分に皆生き残れる。それ程の戦力差だ。気合でどうにかなってたまるか」
ガロアが言った。
「アリスは?」
アマデウスが聞く。
「屋上で精神統一してるよ。さすがに一番気合入ってるのはアイツらしい」
ジュペリが言う。
「なぁに、私達だって負けないよっ」
モアが言う。
「フリーダは何処に行ったのか知らね」
バルトークが言う。
「いいか。皆、本当に生き残るんだ。俺達何のために山を降りた。
 強制だったけど、何かを見つけるためだった筈だ。いや、異論は認めない。
 こんな所で死んじゃ駄目だ。未来は目の前だ」
ジュペリが言った。
6人は誰からともなく円陣を組む。
「生き残るぞ! サバイバル! 生きてる事を確かめろ!」
ジュペリが叫ぶ。
「逝くぞ!」
さらなる号令と共に6人は方々に走っていった。

ドーン!

その時、轟音が鳴り響き建物全体が揺れた。
「始まった!」
ジュペリが声を上げる。

ドーン!

胸が早鐘のようになる。
生きてる。
本当に。
此処が際の際だからそう感じる。
俺達に次は無い!
ジュペリは外への道を急いだ。

「幾千光年の孤独!」

ドパウッ!

威力を増したユアイと鵺の怪光線。
その巨砲が白いドーム、敵基地を撃ち抜く。
211 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/21(金) 03:46:42 ID:chn9XX8w0 [2/5回(PC)]
バリアが表面に張り巡らされていて決定打にはならない。
近距離に行ってガチンコで破ってしまうしかないのかもしれない。
だが建物は揺れている。
ユアイは殿を守るつもりでいるようだ。
ライマとルナ、ミナセが先陣を切ってスカイクロラの雑兵と戦っている。
あいかわらず雑兵は手応えがなくルナは悪鬼のように超スピードで狩っている。
「爆音時鳥!」
ライマのブラッシュアップされた爆音夢花火の一撃が突破口を作る。
斬り込み隊長と呼ぶに相応しい活躍だ。
ミナセは海のような水量を操り数百体のスカイクロラを一度に相手している。
ミナセが水でスカイクロラを追い込み塊になった所を
カンジが炎弾「無境界の人」で一挙に焼き払う。
中ほどをリュイシュン、キタテハ、ヨナタンのトリオが守る。
隊はじりじりとドームに近づいていった。
スカイクロラのサジタリウスによる攻撃も熾烈を極めその速度を落とした。
まだ主力のオリジナル共は出ていない。
奴等が出てきたらこちらの主力もそいつ等の相手で手一杯になるだろう。
厳しい状態に違いない。
勝率はかなり低いように思われた。
でもこんな所で死ぬわけにはいかないんだ。
生きる場所を奪われるいわれはない。
必ず勝つんだ。どんな手を使っても。
レッドラム連合軍の戦闘は続いている。

ヒュン!ヒュン!

威圧感と共に風を切る音。
ルナの前にピンク髪のモアが突如現れた。
ミナセの前にはアマデウス、
ライマの前にはバルトークが現れた。
「大将! アンタかホメロスを殺したのは!」
バルトークが叫んだ。
「違うと思うぜ」
ライマが言った。
右! 左! 下!
レディオヘッドで攻撃を予測してアマデウスがミナセの攻撃を避けまくる。
さすがにオリジナルの奴等は面白いな……
ミナセは思う。
「はっ! たっ! やっ!」
「んっく! んっ! んあ!」
モアの反応速度が上昇しており鞭の動きでルナは制圧される。
近づく事ができない。
ルナはイライラしてきた。
このオバサン、生意気に強くなってやがる!
モアはモアで一瞬で勝負がつくと踏んでいてイラだっていた。
どこまでも可愛くないガキだ!
私の知と汗と涙の結晶で傷一つつけられない!
先頭が停滞してカンジも苛立った。
212 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/21(金) 03:47:26 ID:chn9XX8w0 [3/5回(PC)]
こんな所で止まってて勝てるものか!
瞬間、自分のすぐ横のレッドラムが数十体紫の閃光に飲み込まれた。
カンジは前方の空をキッと睨む。
やはり修道服黒髪の女がこちらを見下したように見下げている。
掌を広げて無表情を顔に貼り付けている。
しょうがない……場所を移して戦おう。
場所は……そうだな……天空が良い。
カンジは一気に飛び上がる。
「アナスタシアー!」
カンジが叫ぶ。
翼長約20メートルの巨大な炎の鳥が出現する。
へぇ……変わってる……前より面白いかもね……良いわ……
「ついてこい能面!」
カンジが叫んで一気に上昇する。
アリスもそれについていった。
「大丈夫かよ! カンジさんがどっか行っちまった!」
ヨナタンが慌てている。
「うろたえないでよ……雑兵は私達で何とかするしかないって初めから決まってたでしょ」
キタテハが諫める。
「けっ! こんな豆腐ども俺の相手には役不足アル!」
リュイシュンが声を上げた。

「ディエンビエンフー!」
バルトークが声を上げる。
クローが茶色に発光し光の爪が伸びる。
「爆音時鳥!」
ライマのトンファーの一撃!
バルトークは避けた。
「うおおおおおおおおおお!」
バルトークの目が茶色に輝く。
「タリホー!」

ガガガガガガガガガガガガガ!

獣のような光の雨のバルトークの連撃。
ライマは防御する。
頬をクローが掠め血がビュッと飛び出す。
「強いな。お前」
ライマが言った。
「余裕だな兄貴! 次はコイツだ!」
クローから伸びた光が一つになる。
光の剣だ。
「タリホー!」
剣が一挙に伸びる。
ライマは深夜特急の機動力で避ける。
しかし光の剣はライマの横を通り過ぎる瞬間軌道を変えライマの腕を貫いた。
「いって!」
腕から血が噴き出る。
「タリホー!」
いつの間にかバルトークは仮面をつけている。
「民族舞曲! 棒の踊り!」
バルトークが残像で8人に分身したように見える。
「くっ!」
「タリホー!」
8人でライマを取り囲み一斉に攻撃する。

ドオオオオオオオオオン!

瞬間、ライマを中心に大爆発が起こる。
213 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/21(金) 03:48:29 ID:chn9XX8w0 [4/5回(PC)]
「だぐはっ!」
バルトークは吹っ飛ばされる。
噴煙が晴れる。
ライマが埃まみれになって立っている。
「野生の太陽……」
8人をいっぺんに爆破させたようだ。
バルトークはひょいっと起き上がる。
「ガルルルルル! 許さねえぞ! この命尽きるまで!」
バルトークがブレてみえる。
「民族舞曲……帯の踊り!」
バルトークが両手を広げるとそこに帯状の茶色の光ができた。
それからバルトークは呪術的な奇妙な踊りを踊り始める。
「真面目にやってんのか?」
ライマが深夜特急で距離をつめる。
「爆音時鳥!」
光の帯で一撃を絡めとる。
爆音夢花火は爆発しない。
「なっに!」
「オラァ!」
激しくバルトークがライマを蹴り上げる。
空中に吹っ飛ばされるライマ。
血反吐を吐く。
畜生……斬り込み隊長の俺がこんな所でちんたらやってるわけにはいかないのに!

ドオオオオオオオウ!

天が赤く染まる。
アリスとカンジの戦いが始まったようだ。
俺は……この5年間何をしていた?
こんな無理。道理。
俺を縛るものではない筈だ。
さらに!前へ!
俺は!
空中で体勢を立て直すライマ。
「爆音! 金剛界曼荼羅!」
ライマの目がオレンジに光る。
「くっ!」
バルトークが帯で身を包む。
そこにライマの超必殺技を叩き込む。

ドオオオオオオオオオオオオオオウ!

衰えを見せない爆音金剛界曼荼羅がヒットする。
バルトークは吹っ飛ばされる。
圧力であばらが軋む。
「だぐはっ!」
バルトークは吐血して彼方の地平まで吹っ飛ばされた。
「悪いな! 最後まで相手できなくて!」
ライマは言って、深夜特急を飛ばし先を急いだ。 
214 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/21(金) 03:58:14 ID:chn9XX8w0 [5/5回(PC)]
◆次回予告

アマデウス意外と強い。
ミナセ相手にしたくない。
避けテクニックを駆使し水の球を作りアマデウスと戦わせる。
アマ「俺こんな役嫌だよー!」

ネプトVSジュペリ。
ジュペリ強い。ネプト劣勢。

カントとパスカルとフェノメナとマテリア召還される。
カント「俺達もよせてくれよ!スカクロ側につくからさ!」

ルナVSモア。
モアもルナも強い。
つばぜり合い。
ミナセ!ミナセの役に立ちたい!
私は、自由を手にするんだ!
ああああああああ!
ルナに縦に真っ二つにされるモア。
ピクンと反応するジュペリ。

続く。
215 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 04:01:41 ID:GYfr0HPw0 [1/4回(PC)]
フォルテシモ第七十二話「勝負は一瞬」

人殺し以上の罪を犯した者がたどり着く場所。
それが魔界。
魔界は超越者によって作られた少数のレッドラムと多数の人間が同居している場所だ。
両者は互いの存在を許さない。
魔界はいつでも戦闘因果にしばられている。
両者に本当の意味の幸福が訪れる事は難しい。
それが罰。
の筈だがそのような機能が作用しない者もいる。
そういった存在を魔界を管理する超越者、魔界の門番は許すわけにはいかない。
だからそういう場合は魔界の問題に介入する事が許される。
今回のような場合、レッドラムがこのまま勝ってしまうと
またしてもレッドラムの天下になってしまう。
既に人間達は大多数が南極に引き篭もってしまったからだ。
前回はレッドラム同士が争い続けていたので大脳特化型レッドラムの
テレーゼを投入するだけで見送った。
テレーゼは期待した以上の成果をおさめ、レッドラムを絶滅寸前まで
人間の手で追い込んだ。
まぁ、とにかく今回は魔界の門番自身がスカイクロラ側の戦力になろうと画策している。
レッドラムを倒したら魔界にレッドラムを送り込まないようにするという
約束だとそんなもの最初から守る気は無かった。
なんたって魔界の門番は超越者。
事が終わればアマントを殺して証拠隠滅してしまいだ。
ちょうどお役御免でテレーゼも殺すつもりだ。
強すぎる力は扱いに困るものだ。
そんなわけで……
カント、パスカル、フェノメナ、マテリアはまた魔方陣で呼び出された。
もう戦争の最中だ。
テレーゼが仁王立ちしている。
「私達もレッドラムぶっ殺すの手伝うよぉ♪
 理由?理由は楽しそうだから♪」
フェノメナが言った。
魔界の門番は超越者だが命は持っているし殺す事も可能だ。
まぁ、それくらい制約が無いと勝負事は面白くない。
せいぜい命のやり取りを楽しむつもりだ。
なんたって俺達もレッドラム共と同じバトルマニアだから。
カントは思った。
「超越者がそんなんで良いの?」
テレーゼが聞く。
「ちゃんとした仕事だよ。気にしないで」
フェノメナが言う。
「俺達が介入するからには絶対勝つからさ」
カントが言う。
そしてアンタは必ず死ぬ。
216 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 04:02:20 ID:GYfr0HPw0 [2/4回(PC)]
「ああ、もう死にたい」
フェノメナが言った。
「脈絡無い事言うなフェノメナ」
パスカルが諭す。
「アンタは何するんだ? テレーゼ」
カントが言う。
「何も。息子に助けてもらうのを待ってるわ」
「夫さんも来てんだろ?知ってるぜ」
「む」
テレーゼはムッとした。
嫌だな超越者って。
「私に夫なんていません」
テレーゼは言った。
4人はケケッと笑った。
「まぁ、それはこの話の肝だからな。大事にするが良いぜ」
「何言ってるのか分かりません」
「さぁてと。俺達は情勢が悪化するまで高みの見物だ。外に出るか」
カントが言った。
「そうしよう」
フェノメナが言う。
テレーゼがため息をつく。
魔界の門番の4人は飛んで天井をすり抜けて飛び出していった。
何でも有りだな……
大乗かなネプト……
それと……
ああ、いかんいかん。
ウィンダム達と大人しくしてるか……
ネプトと……
アイツと……
もう一度話したいな……
テレーゼは言う。

「ぶっ殺してやる!」
モアが吼えた。
「ん……」
ルナは意に介さない。
「はああああ! こんなイライラしたの初めてだよ! 私の努力が私に応えない!」
「応えてるよ」
ルナが言った。
あんちくしょう……
ガキのくせに……
なんだよ……この精神性の違い……
荒んで荒んで荒みまくって……
ジュペリに告白した……
何言ってるのさ……!
そんな当たり前の事したって私は嬉しくない。
自分より強い者に……勝ちたい!
「ピンクハイデガー!」
電磁鞭がバチバチとスパークする。
ルナが剣を構える。
ミナセの役に立ちたい!
217 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 04:03:09 ID:GYfr0HPw0 [3/4回(PC)]
こんな所で……
立ち止まっていられない!
「生意気なんだよ!」
この人も強い……
勝敗は五分と五分だ!
「ビーィム! 紫極!」

ドジュパッ!

「あ……」
モアの口から最後の嗚咽がもれる。
ルナがカチンと刀をおさめた。
モアは頭から縦に真っ二つに切り裂かれた。
モアの思考は完全に停止する。
最後に思った事は、ジュペリへの懺悔……
ネプトと戦うジュペリの後頭部がチリッと痛んだ。
「何……?」
ジュペリは振り向く。
そして見た。
真っ二つに切り裂かれて崩れ落ちるモアを。
ジュペリの目が見開かれた。
218 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/22(土) 04:18:33 ID:GYfr0HPw0 [4/4回(PC)]
◆次回予告

ジュペリ覚醒。
マシンアームがでかくなる。
ネプト電流ビリビリ。

ミナセ、アマデウス煙に巻く。

フリーダ、ドームの上に立ってる。

ルナ、破る。

ライマさらに先へ。
ガロアとオセロに遭遇。

ネプト。ゾエアに覚醒。
触手がめっちゃ生えてくる。
スゲエ強い。
アマデウスとジュペリ捕まえて逆に電流流す。

ミナセさらに前へ。

フリーダそれを見送る。

ルナ、フリーダと対峙。



続く
219 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/22(土) 15:28:13 ID:64hAwlHEO [1/1回(携帯)]
素人目線で言うが「~が言う」のくだりがちょっとくどい。
220 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 18:13:59 ID:1N0xHVvf0 [1/1回(PC)]
 ───アタシの名前はアイ。心に傷を負った女子高生。モテカワスリムで恋愛体質の愛されガール♪
アタシがつるんでる友達は援助交際をやってるミキ、学校にナイショで
キャバクラで働いてるユウカ。訳あって不良グループの一員になってるアキナ。
 友達がいてもやっぱり学校はタイクツ。今日もミキとちょっとしたことで口喧嘩になった。
女のコ同士だとこんなこともあるからストレスが溜まるよね☆そんな時アタシは一人で繁華街を歩くことにしている。
がんばった自分へのご褒美ってやつ?自分らしさの演出とも言うかな!
 「あームカツク」・・。そんなことをつぶやきながらしつこいキャッチを軽くあしらう。
「カノジョー、ちょっと話聞いてくれない?」どいつもこいつも同じようなセリフしか言わない。
キャッチの男はカッコイイけどなんか薄っぺらくてキライだ。もっと等身大のアタシを見て欲しい。
 「すいません・・。」・・・またか、とセレブなアタシは思った。シカトするつもりだったけど、
チラっとキャッチの男の顔を見た。
「・・!!」
 ・・・チガウ・・・今までの男とはなにかが決定的に違う。スピリチュアルな感覚がアタシのカラダを
駆け巡った・・。「・・(カッコイイ・・!!・・これって運命・・?)」
男はホストだった。連れていかれてレイプされた。「キャーやめて!」ドラッグをきめた。
「ガッシ!ボカッ!」アタシは死んだ。スイーツ(笑)

221 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/23(日) 03:58:35 ID:bg1gZHOu0 [1/5回(PC)]
フォルテシモ第七十三話「不惑の白VS最強の紫」

「ははは……」
ジュペリが急に笑い出した。
眼前のネプトも動きを止める。
「ははは……はははは……お……おぉ……おぉあ……はぁぁぁぁ」
不気味に嗚咽する。
ジュペリの目が黄色に輝く。
「う! お! おおおおおああああああああ!」

ゴッ!

ジュペリの腕から伸びたマシンアームが急に巨大化する。
こいつのテレポンも成長型……!
使用者の精神状態、内蔵エネルギーに応じて姿を変える……!
ネプトの目が呼応して緑に輝く。

シュゴア!

気付いた時にはマシンアームに捕まっていた。
ジュペリがニヤリと笑う。
こんな血塗られた戦場で、
俺に何を望めって言うんだ?
俺だってモアの事は好きだったんだ。
ずっとずっと前から……
でも、応えられないよ。
俺なんか……俺なんか……
こんなに弱小で卑小で……
俺に一体何ができるってんだ……
「うおおおおおおらぁ!」
ジュペリが力を込めて電流が一気に流れる。
「ぐあああああああああ!」
ネプトがもがき苦しむ。
良いよ。モア。
答は出なくたって、俺達は生きねばならん。
お前が死んだってそれは変わらない。
変わらないよ。
裏切り者は、俺の方だ。
ジュペリは念じた。

「水の道化師!」
数百匹の水の蛇がアマデウスに向けて飛び立つ。
「レディオヘッド!」
アマデウスは全ての攻撃の一手先を見透かし避ける。
相当の運動が必要だったが瞬発力はアマデウスの得意分野だった。
「やろう。すばしっこいな。こんな所で時間ロスしてられんのに」
ミナセは100メートルの水の刀を作る。
アマデウスは畏怖する。
あれが噂の……
死にぞこないの青……!
「逝くぞ!」
ミナセが刀をかまえる。
222 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/23(日) 04:03:17 ID:bg1gZHOu0 [2/5回(PC)]
アマデウスの眼が銀色に輝く。
「らあっ!」
刀が振られる。
「くっ!」

バシャッ!

水の刀はレディオヘッドと打ち合わされる寸前で散開した。
水はアマデウスの周りを覆って膜を作った。
水の膜の中にアマデウスが居る。
さらにソレは外側から凍りだした。
「ちょっと複雑な動きは予測できないらしいな! そこで大人しくしてろ!」
ミナセは言った。
アマデウスは水の膜を得物で激しく打ちつけた。
しかしヒビも入らない。
「くそっ! くそっ!」
はめられた!
この俺が!
何てこった!
アマデウスはそれからしばらく奮闘する事になる。

ドーム型基地の上。
フリーダが呑気に踊っている。
自然のエネルギーと同化する事、
ミナセの呼吸を感じる事、
舞姫の操作性を向上させる事、
全て一つの事だ。
私はミナセとはもう戦わない。
私にとって日常とは違うもっと神聖な存在だから。
神聖?
それも違うかな。
あの子達との約束、義に背く事はできないし、
真面目に戦う事ができるとも思えない。
だってミナセを愛してるから。
一度手合わせしたアレで十分。
もう戦う必要は無いんだよ。
私とミナセはちょっとだけ恋人で、
そしてトモダチだから。
マイナスイオンを含んだ。
風が運ばれてくる。
来たっ!

ビュンッ!

ミナセが邪宗門に乗って横をすり抜ける。
「愛してる!」
フリーダが言った。
ミナセが笑ったのが見えた気がした。
これで良いんだ。
これで……
223 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/23(日) 04:04:32 ID:bg1gZHOu0 [3/5回(PC)]
私が相手をするのは……
前方から凄い勢いで黒い塊が走ってくる。
「おっと、そこまでだ!」
フリーダが制止する。
ルナが立ち止まる。
「よくバリアー抜けられたね」
ルナは一瞬言いよどむ。
「ガチンコで一発よ。お粗末様」
フリーダはニッコリ笑った。
「一緒に踊りましょ? 昔の私」
フリーダがゆっくり手を上げた。
ポケットやそでから気配が空中に散布される。
それは増殖し巨大な威圧感となった。
くっ……
勝てるのか……?
普通……
勝てないよ……
「意味分からない事言うんじゃないよ」
ルナが言った。
この人からは変な匂いがするんだ。
まだ知らない匂い。
失くしてきた匂い。
これからの私の匂い。
ルナは刀を柄におさめる。
ビーム紫極で一気に決める。
それで決まらなきゃアレで逝く……!
フリーダはふわふわ笑っている。
神様みたいだな……
戦いの……
ルナは思った。
私の全て……ここで出せる……
今日という日は得難いんだ……
この世に生まれた意味が少し分かるような日……
私だけじゃないくて……誰にとっても……
つかがヴヴヴと音を立て始めた。


224 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/23(日) 04:06:59 ID:bg1gZHOu0 [4/5回(PC)]
★次回予告

ライマさらに先へ。
ガロアとオセロに遭遇。

ネプト。ゾエアに覚醒。
触手がめっちゃ生えてくる。
スゲエ強い。
アマデウスとジュペリ捕まえて逆に電流流す。

ルナVSフリーダ
ルナ、舞姫の上を走る。
フリーダ回想。
イザヤと別れた時の事。
ケーニッヒおばさんが火炎瓶で焼かれたときの事。

続く
225 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/23(日) 04:07:46 ID:bg1gZHOu0 [5/5回(PC)]
ケーニッヒおばさん
226 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/24(月) 05:01:43 ID:pfPO/Kmm0 [1/5回(PC)]
フォルテシモ第七十四話「後ろの誰か」

連続する爆音が近づいてくる。
オセロは固唾を飲んだ。
熱風が顔に焼きつく。
いつまでこんな危ない橋渡り続けなきゃならないんだ。
ガロアだって本意じゃないよ。
いくら爆発野朗と戦いたいって言ってても……

ドオオオオン!

岩壁とスカイクロラ数体が吹っ飛んだ。
噴煙が晴れる。
軍服の男、ホシマチ・ライマが立っている。
「お前か」
ライマはガロアを見て言った。
ガロアが緊張しているのが伝わってくる。
威圧感が半端ない。
長く野で生きてきた人だ。
自分なんか……ガロアの力になれるのだろうか?
ライマはニコッと笑った。
あ……
何これ……
凄い笑顔……
この人は……
「悪くないと思うぜ? お前。さぁ勝負だ」
ライマは言った。
なんで……?
なんで精神を保っていられるの……?
私はこの人が……
嫌いではない……
「フンッ!」
ガロアは鼻で笑って首をコキコキいわせた。
勝算はどれくらいなんだろうガロア……
オセロはマインドマスターを動かし始めた。
マインドマスターは確定した人物の活動を制限するテレポン。
攻撃を実際に受けるのはガロアだ。
ガロアは理論派だけどテレポンはバリバリの武闘派。
テレーゼはライマのテレポン爆音夢花火と対になるテレポンだと言っていた。
プレゼンス。
爆発を喰い爆発を吐き出す腕につけて戦うテレポンだ。
自分の力を加えれば五分以上に戦える事が道理。
でも、そうと言い切れないのが不思議。
世界には道理が通じない事が溢れてる。
目の前の悪魔みたいな明るいレッドラムなんかそうだ。
そうに違いない……
「サポート頼むぜ、オセロ」
ガロアが言った。
227 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/24(月) 05:02:25 ID:pfPO/Kmm0 [2/5回(PC)]
オセロは現実に引き戻される。
「う……うん!」
ライマが酷く顔を歪めて笑った。

「うわああああああああああ!」
ネプトが電流を流され苦しんでいる。
「粘るなガキ! そろそろ灰になれ!」
ジュペリが叫ぶ。
横でミナセに煙にまかれたアマデウスが戦っている。
「遅いよジュペリ! 何そんなガキに手間取ってんだ! モアは死んじまうし……」
ジュペリが言葉にピクンと反応する。
電量が増す。
「か……かかかか……」
ネプトの両腕がダランと下がる。
ようやく終わりか……
ジュペリは一瞬力を抜く。
いつの間にかジュペリの左腕に白い亀の甲羅のような構造ができている。

ピーピロリロリロ! 
危険を感知しました! 経験値が一定以上溜まっているので段階ミシスに移行します!

機械音声のそんな間抜けな声が聞こえた。
ネプトの全身が突然緑色に光る。
「なっ!」
ジュペリが狼狽した瞬間、マシンアームが破壊された。
ネプトの背中から無数の触手が伸びる。
「あれは……ベーゼンドルファー?」
アマデウスが声を漏らす。
ネプトは着地する。
「ひゅうううう……ひゅうううう……」
眼が緑に常時輝いている。
意識が残っているようには見えない。
「やばいぞ……やばそうだぞ……」
アマデウスが言う。
ジュペリのマシンアームはちょうど自己修復が終わった。
「でもそんなの関係ねえ!」
ジュペリはマシンアームを飛ばす。

ザシュッ!

緑の残像を残してネプトは横移動する。
テレポンが動きを補助しているらしい。
なんだこのテレポン……
なんだか知らないが俺達のとは明らかにレベルが違う……
「ギイイイイイアアス!」
ネプトは奇声をあげて右腕を前に出す。
228 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/24(月) 05:02:56 ID:pfPO/Kmm0 [3/5回(PC)]
一瞬で巨大な竜宮の使いの顔に手が変化する。
その口から禍々しい形の刀が突き出る。

目標補足しました。使用者の意識が戻るまでハルマゲドン・モードを維持します。

また間抜けな機械音声が響く。
「いよいよやばいぞオイ、ジュペリ。逃げるぞ」
「なんでだよ……相変わらず感覚で生きてるなお前……」
「俺の勘はよく当たるんだよ!」
瞬間、ネプトの全身から小さな光の裸鰯が乱射された。
「ステム! バースト!」
同時に竜宮の使いから緑の熱線が発射される。
「うおおおおお!」
ジュペリとアマデウスは必死で避ける。
何発かかすって肉が焦げる。
「だから逃げろって!」
「ええい!」
二人が問答した時にはすぐ後ろにネプトが迫っていた。
「ギイイイイイアアス!」
二人の目が見開かれた。

ヒュンヒュンという音が聞こえてきた。
フリーダの舞姫が耳元を掠めている。
でも当たらない。
それが自分でも分かる。
どうやら燕を使った修行が効いているらしい。
戦えないってわけでもなさそうだ。
「戦えないってわけでもなさそうだって思ってる」
眼前のフリーダが言った。
ルナは多少動揺する。
一字一句間違ってない。
こんなの有り?
確かに割と喋ったけど……
フリーダは手を口に持っていって笑う。
「う~ん。どうしよっか。私から逝こうか? それともルナちゃんから?」
言ってろ!糞ババア!
「私から逝くよ……」
ルナが呟きフリーダがクスッと笑う。

ブンッ!

ルナが一瞬消える。
次の瞬間、フリーダの周りを十数人のルナが取り囲んだ。
すごいな……
また速くなってる……
この歳で本当に世界最高レベルに近づいてる……
ぐるぐる回りながら距離をつめる。
229 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/24(月) 05:04:15 ID:pfPO/Kmm0 [4/5回(PC)]
どうしよっかな……
ためしに一人のルナを斬ってみる。
刃はルナをすり抜けた。
ルナがニヤッと笑う。
可愛くないな……本当……
少しやってみようか……
「カオスレギオン……」
ルナは威圧感の上昇を感じる。
これは……
どう避ける?
ルナは一人になって飛び立つ。
「紫極球!」

ヴン!

ビームサーベルとなった刀で全方位を一瞬で斬りまくる。
紫の巨大な球体が姿を現した。
刃はことごとく弾かれる。
「ほっほーう」
フリーダは感心した。
これなら大勢相手にしても戦えるだろう。
フリーダの舞姫との相性も良い。
子供はいつだって頭を捻っているんだ。
こんなに早くお披露目するとは……
相手がフリーダじゃしょうがないけど……
「本当に面白いね。ルナちゃん。母君の顔が見てみたかったわ」
フリーダが言った。
「フンッ!」
ルナは鼻で笑う。
その高潔な振る舞い。
フリーダはルナの後ろに紫髪をロングにした黒服の女性を見た。
ミナセと同じ鬼太郎カット。
憂いを含めた佇まい。
経験に裏打ちされた自信。
ため息が出るような美貌。
ミナシタ・ナナミ。
「やっと会えましたわね!」
フリーダは手を打ち合わせた。
「あん?」
ルナは怪訝な顔をした。


230 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/24(月) 05:10:48 ID:pfPO/Kmm0 [5/5回(PC)]
◆次回予告

ルナVSフリーダ
ルナ、舞姫の上を走る。
フリーダ回想。
イザヤと別れた時の事。
ケーニッヒおばさんが火炎瓶で焼かれたときの事。
ミナセを浜辺で介抱した時の事。

ミナセ。
カント、パスカル、フェノメナ、マテリアと遭遇。
バトる。
カント。時空間を歪めてでっかい手を召還。
「最低だ。俺って」

ガロアVSライマ。
互角。
オセロのテレポンでガロア優位に。
ライマ、頭響童子で攻める。
「よう。お前らみたいな奴等苦手だぜ。そんな所から負けは始まるのかもな」
これで最後だ。
「野生の太陽!」

続く
231 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/25(火) 04:25:14 ID:Y6Ev+FSV0 [1/4回(PC)]
フォルテシモ第七十五話「鏡」

フランス。
国立歌劇場の最上階。
窓を開けて9歳のフリーダが街を見下ろしている。
時期はクリスマス。
たくさんのカップルが眼下を流れていく。
フリーダはため息をついた。
扉が開きケーニッヒが入ってくる。
「フリーダ。物憂げだね」
ケーニッヒが言った。
「おばさん。レッドラムは何の為に力を手に入れたんだろう」
ケーニッヒは笑う。
「理由なんて無いさ。偶然だね。悪い冗談だ」
フリーダは釈然としない。
「なんで強い者が弱い者に迫害されないといけないの?
 思想が弱い人の周りにコミュニティーができるみたいなものかな」
「それは違うだろう」
クックとケーニッヒは笑う。
「私もテレポンが欲しいな。自分の身くらい自分で守りたいよ。
 すっごい強いの。私にしか使えない繊細なやつ」
「大抵の強いレッドラムは自分にしか使えないテレポンを持ってるって言うね」
「もう飽きたのよ。ここで最高の音楽聴いてるの。私は私の踊りが踊りたいの。
 強さは自由さよ。私は自由になる。空の雲の中にいる天使みたいに」
ケーニッヒはクックと笑う。
「天使かい。アンタらしくもない。もっとアッサリ毎日退屈だって言えば良いのに」
「魔の退屈だよ、ホント」
下の階で音楽の演奏が始まった。
マーラーかな……。
「おばさん。また父さんと母さんの話聞かせてよ。凄く強かったんでしょ?」
「しょうがないね。アンタもアイデンティティが不安定なんだろうね。
 いつまでも甘えてられないよ。私だっていつしょっぴかれるか分からないんだから……」
いつしょっぴかれるか分からないんだから……

「おばさん!」
ケーニッヒは火炎瓶を投げつけられ炎上しながら振り向く。
「遠慮する事は無い。貴方は初めから自由だよ」
そのままケーニッヒは崩れ落ちた。
火力が強くすぐ灰になってしまった。
「弱小レッドラム! 早くお縄につけ!」
傭兵レッドラムが吼えた。
フリーダは自作の十枚の皿をワイヤーで指に繋いだものを構える。
「許せない……!」
両腕を体の前で交差させる。
皿は一瞬で姿を消した。
威圧感が辺りを包む。
私が力を持ったのは、
232 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/25(火) 04:26:22 ID:Y6Ev+FSV0 [2/4回(PC)]
迫害されるためじゃない。
自由を得る為だ!
「あんだ! ガキ! とっとと……へきょ!」
一番前の傭兵レッドラムの頭が割れる。
「うおおお! こいつたかが皿で……!」
ずっとイメージトレーニングしてたんだ……逝くよ!
「ナ・バ・テア!」

バシャシャシャシャシャシャシャァ!

十数人の傭兵レッドラムの頭が一瞬で割れる。
血塗られて割れた皿がカランと音を立てて地に落ちた。
おばさん……
私生き残るよ……
自分が何者か知る為に……
自分が何の為に生まれたのか知る為に……!
私の父さんと母さんはもうこの世にいないけど……
私の鏡になれる色んな人がこの世にはいる筈なんだ……!
生きるリズム……
自然との呼応……
家族への憧れ……
私だけの物じゃ……ないよね……
もっと先へ……私は歩いていかなければ……
フリーダは血の海を後にした。

「決めた。私、いかない」
「そうか」
イザヤは頷く。
「まだ私、分からないんだ。自分が何者か。何の為に生まれてきたのか。
 だからまだ、死にたくない」
「分かったよ。俺、本当は今安心してるんだぜ?
 俺はお前の事、妹みたいに思ってる。くだらない戦争で死なせたくない」
イザヤはニコッと笑った。
「戦争なんざもともとろくでもねーもんだ。お前は正しいぜ」
「でも、これ、持っててよ。イザヤなら使えるでしょ?」
フリーダは金属の刃が折りたたまれた舞姫をイザヤにさしだした。
「ノーサンキューだ。お前ほどには使えないしな。
 それはお前がおまえ自身を守る為に使うんだ」
イザヤは舞姫を押し返した。
「俺にはキングクリムゾンが似合ってる」
「私、死ぬのは怖くない」
イザヤがニヤッと笑う。
「俺にはそれが本当なのかどうか分からない。しかしお前は
 恥じる必要は無いんだぜ? 俺だって死ぬの怖いんだから。ほら」
イザヤは膝をガクガク揺らして見せた。
「イザヤ……」
233 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/25(火) 04:27:01 ID:Y6Ev+FSV0 [3/4回(PC)]
「またな」
イザヤはフリーダの頭をくしゃっと手でつかむ。
そのまま何度か撫でた。
「面白い奴だ。お前は」
「イザヤァ……」
涙が溢れてきた。
「また会うんだよ。絶対」
フリーダはブレた声でそう言った。

そのボロ雑巾みたいな茶色い塊を見つけたのは偶然だった。
片目が髪で隠れた人間だ。
気を失っているらしい。
海水をかなり飲んでいるようだ。
フリーダは人工呼吸して応急措置をとった。
そんな優しい人格ではなかった筈なのに、ただ何となく。
しばらくしてその男は意識を取り戻しかける。
しかしまだ眼は朦朧としている。
自分の事は見えていないようだった。
「テレーゼ……」
うわごとでそう呟いている。
フリーダはもう大丈夫だと判断して濡れた雑巾を頭に置いてその場を立ち去った。

その男、ビョウドウイン・ミナセに再会した時はひどく驚いた。
一晩中バリアの周りを歩き回った事もある。
とても面白い人格だった。
自分の鏡になりうる。
フリーダはそんな気がした。
イザヤの敵だって分かったけど、
イザヤもミナセの事好きだった気がした。
水のようにとりとめも無い。
軽薄で無力で器の小さい人。
でもどこまでも広がりを持ったような温かい面があるんだ。
サイコロみたいに色んな顔があって
いつのまにか抱かれていて
駄目な親で
同じように自分を好いてくれた。
鏡の鏡は鏡だから。
だから最後の宝物としてとっておいた。
今はその人の宝物と戦っている。
因果だなぁ。

ルナは舞姫の刃の上を走る。
すごい進歩だ。
半端ないな。
だんだん近づいてくる。
フリーダは背中から剣を抜く。
「ビーッム! 紫極!」

ガカッ!

刀と刀が激しく打ち合わされる。
ビームによってフリーダの刀が少し溶ける。
そのままルナを吹っ飛ばす。
フリーダは両腕を突き出して踊り始めた。
だんだん踊りがハイペースになっていく。
234 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/25(火) 04:27:56 ID:Y6Ev+FSV0 [4/4回(PC)]
「少し本気で逝くよ……冷静と情熱の……間!」
舞姫の刃が蛇のようにフリーダの周りをくねる。
キラキラ輝いて、綺麗だった。
ルナは眼を細める。
出力が違う。
紫極球じゃ完全に防げれないかも……
集中するしかない……
ここでさらに進化しないと……
フリーダには勝てない……!
ルナの眼が紫に輝く。
「っこおおおおおお!」
気が充実していく。
聞いたけど紫極は母さんの技なんだ。
私は母さんの模造品じゃないぞ。
私は私だ。
いつまでも殻に閉じこもっていられない……!
「極月!」
三日月状の軌跡を描いて刀が振り下ろされる。
今までにない紫の光の光量だ。
「あん……」
眩しいな……

ドン!

蛇の頭が吹っ飛んだ。
3本の刃に繋がった糸が切れて彼方に吹っ飛んでいった。
ルナは着地する。
その眼の輝きが増す。
まだだ……
まだだよ……
私は……これからだ……
刀を構える。
フリーダは笑顔でそれを見ている。
本当、微笑ましいんだ。
自分に似ている子供を見るのは微笑ましい。
なんだかずっとこのまま遊んでいたいような……
負けてあげても良いような……
そんな柔らかい気持ちになってくる。
そうだよ。この娘だって鏡なんだ。
よく映る良い鏡だ。
ただし少し前の私が映っている。
それって凄い事じゃない?
フリーダは本当に楽しくなってきた。
「教えてあげる。貴方のこれから」
フリーダは嬉々として言った。
235 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/25(火) 23:48:59 ID:7qCySdQA0 [1/1回(PC)]
◆次回予告

ミナセ。
カント、パスカル、フェノメナ、マテリアと遭遇。
バトる。
カント。時空間を歪めてでっかい手を召還。
「最低だ。俺って」

ガロアVSライマ。
互角。
オセロのテレポンでガロア優位に。
ライマ、頭響童子で攻める。
「よう。お前らみたいな奴等苦手だぜ。そんな所から負けは始まるのかもな」
これで最後だ。
「野生の太陽!」

続く
236 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/26(水) 04:10:06 ID:smBClb2H0 [1/5回(PC)]
フォルテシモ第七十六話「ずっと見てたよ」

水のワーム状の流れが上空を疾走する。
「でっけえ基地だな。いない間にむっちゃ増設されてるっ」
ミナセは水の流れの上で呟く。
スカイクロラが多数攻めてきたが水の道化師で
羽虫を作り自分の周りに飛ばせて撃墜させた。
彼らは脆い。いつの間に自分はこんなに強くなったんだろう。
ミズエさんやナナミの元を離れてルナと一緒にあてもなく旅してきた。
自分が生きる理由もこの年になって分からないまま……
本当、自分みたいな器の小さい男が何をやってるんだろう。
世の中の役に立たず、
そもそも何をすれば世の中の役に立つのか分からず、
女を好いて、
子供を守り、
可愛がり、
自分の能力に限界を感じ、
どこか昔別れた女に憧れを感じ、
そもそもマトモに別れてなどいないが、
俺は、
これから何処か向かう所があるとしたら何処に行くんだ?
ミナセは思考を振り切る。
久しぶりの戦場があまりにも退屈なものだったから油断したのだ。
ネプトも二の足を踏んでるみたいだし、
俺がテレーゼを助けるか。
どんな顔して会えば良いんだろう。
ネプトは適当に流したけど……
というか正式に向き合うのを先延ばしにしたというか……
ああ、戦う相手以外に怖い相手が一杯だ。
自分に近しい存在って、基本、怖いよね。
親父とオカンが生きてても怖かったんだろうなぁ。
人間って何処で道踏み間違ってるのか分からないな。
本当言うと俺、3歳で父母がいなくなった時、絶対俺終わったとか思ったんだけど。
それ言ったら最初からナナミいなかったルナの方が終わってるよな。
ナナミは生かしてやりたかった。
本当言えばイザヤもミズエさんも全員生かしてやりたかったんだ。
なんで皆皆死んじまったんだよ。
戦闘因果か。
俺達に課せられた罰だな。
ルナもネプトもこれから先ずっとその罰を背負って生きていくんだ。
せめて楽しく生きてくれよ……
せめて俺以上に……
「この辺かな……」
ミナセは白いドームの上で静止する。
水で大きな弓矢を作る。
「逝くぞ……無能の人……」
ドームの天井に狙いを定める。
気力を充実させる。
237 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/26(水) 04:11:00 ID:smBClb2H0 [2/5回(PC)]
矢が輝きを増す。
てっ!

バシャアッ!

水の矢がドームにたどり着く一瞬前、水の矢は霧散した。
「なんだ? またバリアーか?」
「感覚的に分かってるんだね。自分達の罰、業。さっすが」
耳の横で女の声がする。
「一度会ってみたかったんだ。こんにちは」
別の女の声がもう一つの耳の横で聞こえる。
「語ろうぜ! ミナセ! 今宵は心行くまで!」
男の声が上から聞こえる。
「お前は少しは面白い男だからな。良いデータがとれる事を期待している」
下から理知的な男の声が聞こえる。
「誰だよ!」
ミナセがつっこむ。
瞬間、前方のドームの上の景色が歪む。
次元が歪んでいる……?
「きゃらきゃらきゃら! 降りてきなよ! ミナセ!」
一番最初に聞いた女の声が聞こえる。

ブン! ブン! ブン! ブン!

小さな細かい粒子が無数に現れたと思ったら
それは4つの人型になり、整列し、本物の人間になった。
スカイクロラと同じような格好をしている。
「ずっと見てたよ。ミナセ」
2人目の女が優しく言った。
少女の姿をしているが自分より年上な気が直感的にした。
「そうだ。ミナセ。俺達は観察者で超越者。ずっと見ていたぞ!」
白髪の端正な顔立ちの男が言った。
「ずっと見てたんだよ……」
もう一人の女が言った。
「観察のし甲斐はあった」
眼鏡の男が言った。
「なんだよアンタ達」
ミナセがしごく当然の質問をする。
「俺か? 俺は魔界の門番カント! よろしくな!」
白髪の男が言う。
「私はフェノメナ! ずっと見てたよ。ミナセ」
栗色の髪の女が言った。
「私はマテリア。ずっと見てました。ミナセ」
黒髪の女が言った。
「俺はパスカル。お前は観察対象として興味深かった」
黒髪眼鏡の男が言った。
「何なんだよお前ら」
ミナセが質問する。
238 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/26(水) 04:11:44 ID:smBClb2H0 [3/5回(PC)]
「ああ。俺達は魔界の門番。お前達を作り、管理する存在だ」
カントが言った。
「存在くらいはうすうす感じてたんじゃない?型にとらわれない貴方だから……」
フェノメナが言う。
あん……
魔界の門番……?
なるほど。レッドラムが魔界に入る前に改造されたただの人間だという事は知っている。
その為には改造する人間が必要なわけで……
その改造してるのがこいつらか。
管理もしてるってわけか。具体的に何してるのか知らないが。
「なるほど」
ミナセは頷く。
4人は一斉にケラケラ笑い出した。
心外な……
「分かったのかよ! スゲエな! 仲間にしてやろうか!」
カントが言った。
「ま、全ては……実地でヤってみてから決めようかね」
「神になるのか! ビョウドウイン・ミナセ!」
「君なら『器じゃない』って言うだろうね」
また4人は一斉にケラケラ笑いだした。
子供みたいだな……
でもなんか魅力的な神様だ……
悪魔みたいに狡猾で……
子供のように無邪気だ……。
まだヤりあってもいないのにミナセはそう感じた。
神になるか!ビョウドウイン・ミナセ!
「俺に何の用はわけ?」
ミナセは核心の質問をする。
カントが笑うのはやめる。
「レッドラムにスカイクロラに勝ってもらったら俺達の仕事上都合が悪いんだよ。
 だから主力の君をここで足止めしようと思った。
 必要なら……」
「力づくで逝くよ……!」
「はは~ん」
「できれば話し合いで決着した所だがな」

ゾオクッ!

4人の威圧感が急激に増す。
なんだ。
パスカルの言は完全な嘘だ。
こいつらもバトルマニア。
神となるか!ビョウドウイン・ミナセ!
器じゃないですよ……ホント。
4人はニタニタ笑っている。
239 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/26(水) 04:12:19 ID:smBClb2H0 [4/5回(PC)]
「ここまで来いよ! ずっと待ってたんだ! 君が気付くのを!」
カントが叫んだ。

ゴゴゴゴゴゴゴゴ!

ミナセと4人の間の次元が歪み巨大な腐敗したような腕が出てくる。
「俺も構造はレッドラムとほぼ同じだ! 頭を潰したら死ぬぜ!?」
「ずっと見てたんだよ」
「会えて良かった」
「君、正念場だよ」
パスカルが眼鏡をくいっと持ち上げる。
えらいこっちゃ……
ミナセは邪宗門をかまえる。
龍のイメージ。
器じゃないけど龍のイメージ。
水の龍がミナセのまわりにまとわりつく。
試してみるか……
自分の存在……
ミナセの目がキッと青く輝いた。
240 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/26(水) 04:22:55 ID:smBClb2H0 [5/5回(PC)]
◆次回予告

ガロアVSライマ。
互角。
オセロのテレポンでガロア優位に。
ライマ、頭響童子で攻める。
「よう。お前らみたいな奴等苦手だぜ。そんな所から負けは始まるのかもな」
これで最後だ。
「野生の太陽!」
オセロのテレポンではずされる。
「アンタ……名は?」
「ホシマチ・ライマだ」
「俺はガロア」
「2人がかりでやってる事が恥ずかしい」
「そうだろうか?」

「なぁ、ユアイ。外に出て良かっただろ?」
「うん。有難う」
こそばゆいライマ。
「でももっと色々見たい」
「分かったよ。見せてやる。俺自体はミナセみたいな面白い奴じゃないから」
「有難う。ライマ」

ドオンッ!

相討ちでガロアとライマの頭が吹っ飛ぶ。
オセロ号泣。
「嫌だよ……もう嫌だよ……」

バルトークと戦うユアイ。嫌な予感。

アマデウス、ジュペリ。目を覚ます。
「生きてる……」
「あのガキはもう先に行っちまったか」
「死に場所は俺が作ってやるアル」
リュイシュン背後に立つ。
ヨナタン「嫌な予感するなぁ……」
キタテハ「私、先に行くから」
ミナセが心配なんだな。

天で赤と紫の光瞬く。
もう夕方になっている。



続く
241 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/27(木) 02:46:49 ID:5vQ3l5p10 [1/5回(PC)]
フォルテシモ第七十七話「突破者の最期」

「ゼッ……ゼッ……」
「ハッ……ハッ……」
ライマが全身血まみれになって荒く呼吸している。
オセロのマインドマスターの存在が予想以上に厄介だ。
両手両足、確定した一つの部位が相手の意のままに操られてしまう。
攻撃性を完全に排除したサポート型の良いテレポンだ。
大してこっちは昔懐かしの爆音夢花火。
ガロアのプレゼンスというテレポンも強い。
爆発を吸収し、発散させる。
まるでライマを殺す為に現れた二人のようだ。
まいったな……
ライマは逡巡する。

「小僧。貴様は……」
鵺が口を開きかける。
ユアイは買い物に出かけている。
簡素なテントの中にライマと鵺しかいない。
「この4年、修行もせずに日雇い仕事ばかり。しかもレッドラムだと
 ばれないように手を抜いてばかり。一体何のつもりだ」
「フンッ」
ライマは鼻で笑う。
「ユアイを今夜貸してやっても良い。力を蓄える事を勧める。
 そのような体たらくでは有事の際に真っ先に死んでしまうだろう。
 昔の栄光にすがりつくな。体は鈍る。お前が死ねばユアイは
 酷く悲しむだろう。そんな関係になった」
「フンッ」
ライマはまた鼻で笑う。
「5月のせいじゃなかったんだよ。やり尽くしたからだったんだ」
「ああ……」
鵺は頷く。
「ダラッとした日常が続いていく。ユアイの望んだ世界だ。
 心の奥の奥で。お前はそれを知っている。お前はそれを……
 壊したくなかったのだな……」
ライマは目を瞑る。
「俺は突破者だ。その時が来れば道理を蹴っ飛ばしてやる。
 そういう風に生まれついた人間だ」
「果たしてそうかな……?」
鵺は懐疑的だ。
「弱くなるのならお前をユアイの傍に置いておくわけにはいかない。
 今、わしが殺してやろう」
鵺の手がメキメキと巨大化する。
「俺は……俺の望みはな……」
鵺の動きがピタリと止まる。
「ユアイと一緒にぬらっと生きていく事だ。ずっとずっと先まで……。
 それだけだ。お前がいても良い。俺は、ユアイが好きだから」
鵺がニヤリと笑う。
「理想を語るにはそれに見合う力が必要だ。お前にはそれがない」
242 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/27(木) 02:48:23 ID:5vQ3l5p10 [2/5回(PC)]
お前にはそれがない。

日々、ユアイは明るさを取り戻していった。
ライマはその変化に戸惑う。
俺も、変わらないといけないんじゃないのか。
なんだかそんな気が湧いてくる。
鵺の言葉を反芻し、
ユアイと数ヶ月に一度くらいの割合で交わり、
自分の気持ちが悪魔のような怪物のような物に変質していくのを感じた。
ユアイはライマの貯めた金を使って舞踏教室に通っている。
東南アジア、インド、アフリカ、
さまざまな国を回り、
その度、ユアイは笑顔を取り戻していった。
南国のように蝶のように
輝く笑顔はライマを虜にした。
だんだん弱くなってる自分と、
だんだん開放されていくユアイ。
これで良いって、思えた。
血気盛んな頃には無かった感情が芽生え、
ライマ自身も心の奥底に開放の種を感じた。
「好きだよ。ライマ」
何の気兼ねなくユアイはその言葉を口にするようになった。
その言葉を得る為にどれだけ苦労した事か。
最初会って戦った時からそれは始まっていた。
だけど変なんだ。
やっと手に入れたものが、
何の気兼ねなく発せられるようになったその宝物が、
なんだかどんどん価値を失っていくような、
自分が望んだ物と別の物に変化していくような、
そんな感覚につきまとわれて、
俺は袋小路に立ったような絶望的な感情に押し流され、
昔持ってて何処かで落としてきてしまった物を探すように、
5年ぶりに戦闘の修行を始めた。
体は鈍っていた。
手足が自分の物ではないようだった。
「ライマ格好悪い」
横でユアイが言う。
そう言って、太陽みたいに笑うのだ。
ユアイの変化は俺の功績だろうか。
そうだとしたら、嬉しいな。
「外に出れて、良かっただろ?」
「うん。ライマは突破者だもんね」
ライマはニッと笑う。
「色んな物を見よう。二人で」
「ん」
「俺はミナセみたいに面白い人間じゃないから、色んな物を、外の物、を見せてやるよ」
ユアイはアハハと笑った。
243 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/27(木) 02:50:13 ID:5vQ3l5p10 [3/5回(PC)]
「ライマ、自分が十分面白いのに気付いてない」
ユアイは指差して笑った。
幸せそうだった。
それは嘘じゃない。
嘘じゃないんだよ。

「野生の太陽!」
ライマの右腕は直角に曲がりガロアを反れた。
「おらぁっ!」
ガロアの一撃が腹に直撃する。
爆破をもろに受ける。
内蔵が潰れる。
「だぐはっ!」
凄いスピードで吹っ飛ばされる。
「格好悪い。ライマ」
耳の奥でユアイの声が聞こえた。
「好きだよ。ライマ」
続けて声が聞こえる。
ライマの眼がオレンジ色に輝いた。
なんだよこの体たらく……パトスに笑われんな……
壁を両足で支える。
なめんなよ……
爆音夢花火をオセロめがけて投げつける。
瞬間、爆発する。
「わっぷ!」
相手も手練だ。
時間稼ぎにしかならない。
この一撃に俺の全てを賭けよう。
俺は突破者だ。
こんな逆境、糞喰らえだ!
ガロアは狼狽している。
ライマが飛び立つのと同時に投げたトンファーは返ってきた。
悪くなかったんだ。ユアイ。
お前の為に、五年間生きた。
悪くなかったんだ。
最高だった。
有難う……
生まれて初めてのそんな言葉が頭をよぎる。
もうこの手は使えない……
頭を狙え……
「ヘッドフォン・チルドレン!」
即興の新技!
「うおおおおおおおおおおお!」
ガロアが向かってくる。
俺の合理性!野蛮人!突破できるものなら突破してみろお!
オセロは眼を見開いた。
右腕がもげて血が激しく吹き出した。
あばよ。ミナセ。ナナミ。ミズエ。カンジ。そして、ユアイ……

ドゴオオウ!

二人の衝突で互いの頭部が吹っ飛んだ。
244 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/27(木) 02:52:03 ID:5vQ3l5p10 [4/5回(PC)]
鮮血が宙を舞う。
オセロはそれが現実の世界で起こった事だと認識できなかった。
そんな……
これで……終わり?
想い人は……
薄暮の空に霧散した……
右腕の痛みが和らいでいく。
後ろ頭がピリピリと痛む。
現実?
嘘?
ガロア……
「うわあああああああああああああ!」
オセロの嗚咽が木霊した。
二人は崩れ落ちる。
そしてピクリとも動かなくなった。
一陣の風が吹き抜ける。
「嫌だよ……もう嫌だよ……」
オセロはしばらく蹲って、泣きじゃくっていた。

「あれ……?」
後ろでライマの声が聞こえた気がしてユアイは振り向く。
しかし其処は鵺の中だ。
ライマがいる筈がない。
おかしいな……
アイツ……腕が鈍ってるみたいだったけど上手くやってるかな……

ドオン!

「あっく!」
ユアイは衝撃で思いを断ち切る。
鵺ごと後ろに吹っ飛ばされた。
吹っ飛ばしたのはバルトーク。
さっきからしつこく攻撃してくる。
「オラ! 化け物! これ以上、仲間を殺させねえ!」
青年は叫ぶ。
自分の事で精一杯なのが嘆かわしかった。
舞踏のレッスンはここでは何の役にも立たない。
「世知辛いな……」
ユアイは呟いて、眼前の敵に面と向かった。


245 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/27(木) 02:59:57 ID:5vQ3l5p10 [5/5回(PC)]
◆次回予告

アマデウス、ジュペリ。目を覚ます。
「生きてる……」
「あのガキはもう先に行っちまったか」
「死に場所は俺が作ってやるアル」
リュイシュン背後に立つ。
ヨナタン「嫌な予感するなぁ……」
キタテハ「私、先に行くから」
ミナセが心配なんだな。

天で赤と紫の光瞬く。
もう夕方になっている。

フリーダにはルナの後ろにナナミが見える。
ルナにはフリーダの後ろに9歳のフリーダが見える。

ルナ、フリーダが徐々に本気を見せている事に違和感。
自分を鍛えているような、
死にたがっているような。

「本気の本気で逝くよ! ナ・バ・テア!」
ルナ、防ぎきれず左腕が吹っ飛ぶ。
そこでひるまない。

「一緒に踊れて良かったよ。昔の私」
「極月!」

ドシュアッ!フリーダ斬られる。
強さの代償。
私の限界。
コアの心臓を斬られたら私は崩れるのみ。

「ルナ……こっちに来て……」
フリーダの所に歩いていくルナ。
抱きしめるフリーダ。
私は初めて私を愛せたんだよ。
有難う。鏡になってくれて。
ボロボロ崩れ落ちるフリーダ。
泣くルナ。

ルナ。フリーダの十字架のペンダントを首にかける。
ネプトが飛んでくる。
「逝こうぜ!彼方の野辺に!」
ルナをひっぱりあげて飛んでいく。


続く


246 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/28(金) 03:10:07 ID:lN6RbT3T0 [1/6回(PC)]
フォルテシモ第七十八話「母と自分」

「う……」
ジュペリが眼を覚ます。
目の前にアマデウスがつっ立っている。
「生きてるのか……?」
「ああ、あのガキは先に行ったらしい。詰めが甘い。やっぱガキだな」
ジュペリは俯く。
モアが死んだのに自分は十分に働けていない。
敵は思ったよりずっと強かった。
保育園児に自分達は一蹴されてしまった。
「諦めるなよ。こつこつ雑兵を殺れば必ず勝てる。大物と戦って無駄死にすんな」
アマデウスが言う。
「ここを乗り切れば自由が待ってる」
「そうだな……」
ジュペリは立ち上がる。

ズンッ!

後ろで音がする。
青龍円月刀を男が突き立てている。
「よう。オリジナル。やっと見つけた。死に場所は俺が作ってやるアル」
リュイシュンが言った。
「ヨナタン、キタテハ。先に行くアル。ミナセさんが心配なんだろ?」
「心配してんのはキタテハだけだよ」
ヨナタンが口を尖らせて言う。
「凄く……凄く嫌な予感がするの……」
キタテハは胸の服を握り締めている。
ジュペリもアマデウスもニヤッと笑った。
「役不足だよ。お前」
ジュペリが言う。
「無駄口はそこまでアル。逝くぜ!」
リュイシュンは頭上で刀をブンブン振り回した。

「あああああああああ!」
容赦の無い舞姫の攻撃の渦の中でルナが叫ぶ。
もう柄でエネルギーを貯める余裕が無い。
秒針が進むごとに体中に裂傷が増えていく。
刃の雨がだんだん数を増していく。
舞姫は空気中で増殖するのだ。
フリーダは西洋風の踊りを踊っている。
しごく楽しそうだ。
笑顔も見える。
247 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/28(金) 03:11:33 ID:lN6RbT3T0 [2/6回(PC)]
トントントトントン。
フリーダはまるで機械仕掛けの人形のようだ。
刀で刃を弾きながらルナは魅了される。
こんなに戦いと遊びと趣味が同じ線上にあるなんて、
ミナセが惹かれたのもなんとなく分かるような、
凄く……面白い人だ……。
しかし違和感を感じる。
さっきから徐々に刃の量、速さが増しているが、
まだまだ本気の量、速度であるように思えない。
徐々に慣れていくから最初から本気の量、速度で来られたら対応できなかっただろう。
そう。わざわざ生かされているような、
もっと言うとこの場で鍛えられているような、
そんな気がした。
こうして戦場で敵同士として出会ってもやはりフリーダは自分の事を
好いていてくれているような気がした。
ミナセの愛人だった事は置いておいて、
ルナにとっては気さくなお姐さんみたいな。
そのまんまだ。
変わらない。
日常と戦場が変わらないんだ。
なんて楽しそうに戦うんだろう。
なんて優しい人なんだろう。
ルナはなんとなく懐かしい不思議な匂いを感じていた。
なんだろコレ。
ミナセの匂いと少し似てる。
でももっと寛大な、何やっても許してくれそうな、
ミナセを山としたらフリーダは海みたいな、
深い匂いだ。
フリーダの事もっと知りたかったな。
此処まで来るまでに。
色んな新しい事知れただろうな。
フリーダの中にしか無い物、一杯あっただろうな。
そういう物は深い孤独を持つ人ほど多くなると思う。
フリーダだけの宝物。
ミナセの宝物にも日常でそれとなく触っているような気がする。
二人は似てるんだ。
惹かれあうのは必然だった。
5年間ミナセと生きた自分だってミナセに似ているが、
フリーダは天然だ。
なんて奇跡だろう。
悔しいけど、素晴らしいって思わずにはいられない。
ルナの眼が紫に輝く。
体を動かす速度が増し
刀を使わなくても刃を避けれるようになる。
迷いは無い。
チャンスは一度だ。
私の全てを叩き込める。
248 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/28(金) 03:12:19 ID:lN6RbT3T0 [3/6回(PC)]
叩き込める事ができる相手。
無条件の優しさ。
私の事好きなんだ。
有難う。
今生の出会い。
全てを学ばせてくれるただ一人。
私の手で……抱きしめさせて……

ドギュンッ!

さらにもう一段、ルナの速度が増す。
刃をギリギリ避けて距離を詰める。
チャージは溜まった。
最高だよルナちゃん。
世界最高にたどり着いたね。
貴方はスピード・キングだ!
そうだ!
私はスピード・キング!
そしてフリーダは……
「本気の本気で逝くからね……楽しかったよ……ルナちゃん……」
フリーダの眼が白く輝く。
ルナはフリーダの後ろに自分と同じくらいの歳の少女を見る。
なんだろ……
小さい頃のフリーダかな……
フリーダはルナの後ろにミナシタ・ナナミを見る。
少女の幻影はルナの方に走っていく。
そしてルナと手を繋いだ。
私達は最高のトモダチで……
娘と母で……
姉さんと妹で……
そして……
「ナ・バ・テア!」
空間が煌く。
フリーダは空間を刃で埋め尽くした。
ここが核心だよ。
際の際なんだ。
人生の妙味、舐めさせてあげる。
嬉しい!
世界よ!
私を産んでくれて有難う!
今夜は、
私の真の誕生日だから!
ルナの左腕が吹っ飛ぶ!
知らないよ!
そんな事!
249 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/28(金) 03:13:03 ID:lN6RbT3T0 [4/6回(PC)]
相手は私の短い生涯で最強の相手フリーダ!
何処まででも走っていってやる!

バラバラバラ!

ルナの一閃で無数の糸が斬られる。
ああ、
綺麗だな。
綺麗だよルナちゃん。
貴方凄く、
綺麗だよ……。
「ビーッム! 極月!」

バシュアッ!

紫の閃光が迸る。
ルナは転倒する。
左腕が酷く痛む。
血がダラダラ流れて川を作る。
フリーダは……
極月は完全に入った。
左胸から右脇腹にかけて大きな裂傷がある。
血がとくとくと流れた。
ルナは右足が吹っ飛んでいる事に気付いた。
回復がなかなか始まらない。
少し……休まなくちゃ……

ドッ

再び倒れかけたルナをフリーダの手が支える。
ルナはハッとする。
殺サレル……
フリーダはニコッと笑って、ルナを抱きしめた。
「貴方の勝ちだよ。ルナちゃん。私はもう形を保てない」
フリーダの心臓は破壊された。
強さの代償。
ヒイチゴ・シホと同じようにフリーダもリスクを背負った強さを持っていた。
コアである心臓を破壊されればじきに体は崩れてしまう。
ルナは眼をつぶる。
あったかいな……
もしかしてコレが……
母さん……?
「私は後悔ばっかの人生だったよ。でも貴方が鏡になってくれたおかげで
 やっと少しだけ自分を愛せたと思う。有難う。ルナちゃん」
そうか……
フリーダは……
自分を抱きしめているんだ……
私は母さんに抱きしめられてるんだ……
「母さん……」
ルナは呟く。
フリーダの体がボロボロと崩れ始める。
指から、腕へ、胸へ、顔へ、頭へ、柔らかい土になっていく。
ルナの頬を涙が伝う。
見つからなかった最後のパズルのピースが見つかった気がした。
250 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/28(金) 03:13:47 ID:lN6RbT3T0 [5/6回(PC)]
これでやっと、次の一歩が踏める……
そんな気がした。
気付くとルナは一人で立っている。
足元の土を風がさらっていった。
左腕も右足も修復されている。
首にフリーダがかけていた十字架のペンダントがいつのまにかかかっている。
終わったんだ……
ルナは思った。
さらに強い風が吹いて土は全てさらわれた。
あの人は風の中、
世界で一番無邪気な人。
サボテンが好きな人。
十字架のペンダントが鈍く輝いた。

251 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/28(金) 05:47:35 ID:lN6RbT3T0 [6/6回(PC)]
◆次回予告

ミナセ戦う。
無能の人連発。
神クラスだぜこいつ。
でも4人がかりなら……。

「器じゃねえっつってんだろおおおおおおお!!!!!!」

魔界の門番のエネルギーは無尽蔵。
だんだん疲労がたまってくるミナセ。

「粘るな。なら最後の手段だ。少女地獄!この中にテレーゼを捕らえている!」
「これを潰したら……テレーゼも潰れるぜ?」

「アイツがそんな脅しに動じるわけないって」
「まいった」
「!?」

アマント「状況はどちらとも言えないようだな……
     まぁこれが終われば世界は手中にしたも同然だが」
バッハ「わしも出るか……屋上に」

カンジVSアリス。
超肉弾戦。
「オララララララララァ!」
炎弾、サニー
アリス、手で弾きまくる。
勝負つかない。
お互い底が見え始める。
アリス「秋止符……」
ドオンッ!
カンジ「夕焼けマーチ!」
ドオンッ!
次で最後にするか……

続く
252 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/29(土) 17:29:40 ID:yrVL3tSf0 [1/5回(PC)]
フォルテシモ第七十九話「器じゃない親父と優しい支配者」

フェノメナは微粒子になって空間に霧散した。
マテリアは無数の白い立方体になってサイケな動きをする。
カントは無数の銀の直線になり縦横無尽に飛び回る。
パスカルは霧になって凄い勢いで空間を飛び回っている。
「うおらあああああああああ!」
ミナセの水の道化師による攻撃はとどまる所を知らない。
空気中の水分を集めに集め小さな海が空中に浮かんでいる。
高速で動く魔界の門番を高速で撃つ。
そんな我武者羅な攻撃が効くとは普通は思えない所だが
ミナセは知っていた。
これで良いんだ。
俺が決めた事だ。
さっさとぶっ殺してテレーゼ助けるぞ!
カントが人間の形に戻る。
「純粋理性批判……」
カントは呟き空間が歪み腐敗した巨大な腕が出てくる。
指先が白く輝き一気に不規則な弾道を描く光線が発射される。
「悲の器ぁ! と! 無能の人!」
ミナセは光線を悲の器で全て防ぐ。
同時に無能の人で腕を狙う。
「おらぁ! 鳥師!」

ドドドドドドドドドドドドウ!

水の矢の超連続攻撃。
腕はガクガク震えてヒビが入った。
「スゲエ威力だ……」
カントは狼狽する。
「水圧で吹っ飛べ!」

ドパッ!

巨大な腕は紙切れのように粉々になって霧散した。
「いって……」
カントは自分の右腕を掴む。
どうやら巨大な腕と連動しているようだ。
「失望したぜ! 俺は器じゃねえんだよ! 人間辞めちまえ!
 はあああああああああああ! 別離ぃ!」

ドパッ!

水の弓から無数の青い光が伸びる。
それは分裂している4人を的確に捉え
超スピードで追っていった。
誘導弾だ。

ズギュン! ズギュン! ズギュン! ズギュン!

「うわあああああああ!」
「ぎゃあああああああ!」
「マザファッキン!」
ダメージを受けた4人の変身が解ける。
屋上にバラバラ崩れ落ちる4人。
ミナセはニヤニヤ笑っている。
253 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/29(土) 17:30:17 ID:yrVL3tSf0 [2/5回(PC)]
「神か……。器じゃねーよ。器じゃねーな。この勝負、俺の負けだぜぇ……」
カントは汗をかき顔に笑みが貼りつく。
こいつ、もう神を凌駕する程の力を手にしてる……
テレーゼといい……
コイツといい……
レッドラムは危険な存在だ……
人間的に嫌いじゃないんだけど……
「しゃーないな。好きじゃないけ肉弾でいくか。お前強すぎ」
カントが言う。
「滅相も無い。私は器じゃありません」
フェノメナとマテリアがケラケラ笑った。
マテリアの左足とフェノメナの右足に穴が開いている。
血は出ていない。
「小物だよ。アンタ」
「少しは調子乗っても良いんだよ」
ミナセは意味をとりかねる。
「なんかアンタら保護者みたいだな」
ミナセが言う。
「世界の保護者だよ」
フェノメナが言った。
なるほどね……
でも俺はテレーゼを……
あのクソガキを助けなくちゃ……
あの俺の仲間を死ぬほど殺してくれたクソガキを……
あの死ぬほど最高な女を……
ミナセの眼が青く輝く。
4人は一斉にケラケラ笑い出した。
なんか優しいんだな。この人達。
ミナセは思った。
本当に殺せるのかな。
こんな本気で生きてない人達。
徹底した傍観者。
非登場人物。
試してみたいね。
ミナセは矢に力をこめる。
青い輝きが増す。
プレッシャーが大気を揺らす。
フェノメナが眼をしぱしぱさせる。
誘導……探知……破壊……絶対的威力……嫌悪感……
従順……無能……無知……退廃……自分の決定……
一段青い光が増す。
世界が嫌いだ。
その造物主。
俺を器じゃない人間にした世界が嫌いだ……
全て込めてやる。
俺の全て。
愚痴と……憧れ。
一発で……殺ス。
4人はニタニタした笑いを崩さない。
余裕だな……
数秒後の亡者。
俺は器じゃないが……
お前らはもっと器じゃないって事、分からせてやるよ……
再度言うぜ。
254 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/29(土) 17:30:46 ID:yrVL3tSf0 [3/5回(PC)]
俺は世界が……嫌いだ。
蟻地獄!

ドシュアッ!

全ての力を使った一撃が放たれる。
これは……計算された一撃……
当たれば死ぬ……!
最後の手段だ!
「じゃーん! 少女地獄! この中にはテレーゼが入ってまーす!」
カントはポケットから掌サイズの球体を取り出した。
水の矢はカントの直前で上方向に直角に折れて吹っ飛んでいった。
ミナセは怪訝な顔をする。
「何ぃ……」
「嘘じゃねーよ。声を外に出せるようにしてる。ほら」
プンッと球体から音がする。
「良いからさっさと殺してよ。久しぶりだね」
テレーゼの声が響く。
空中に巨大なテレーゼのホログラム映像が映し出される。
白い構造の中で膝をついている。
後ろの白い棒状の構造に手錠で繋がれているようだ。
普通の手錠ではない。
都合よく永久に外せない手錠ではないかと思う。
テレーゼの顔は綺麗だ。
手荒な事をされた形跡はない。
本当に久しぶりだった。
ほぼ5年ぶり。
髪が伸びて赤いリボンでくくっている。
白衣にジーンズで随分大人っぽくなったものだ。
美しくなった。
そうだ。スゲエよ。
なんでネプトを生かしておいたのかとか、
会って話がしたいな……
「テレーゼを解放しろ」
ミナセが低く呟く。
4人はケラケラ笑った。
「だから早く殺してって」
テレーゼが言った。
けなげだな……
お前はどんな風に変わったんだ。
「まいった」
ミナセは言って、邪宗門をポーイと投げ捨てた。
テレーゼの眼が見開かれる。
4人は一層大きくケラケラ笑いだした。
「それでこそ私達の認めたミナセ君。器が小さいんだぁ」
マテリアが言った。
ミナセはばつの悪い顔を作った。
「よう。テレーゼを解放する事はできない。次の客が来るからな」
ネプトの事か……
「大人しくこの中に一緒に捕まってろ。そうしないなら今ぶっ潰すぞ。コレ」
カントが言った。
「分かった。さっさと捕まえろ」
「やめてよミナセ! これ以上ネプトに重い荷を負わせないで!」
ミナセは仏頂面を作る。
255 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/29(土) 17:31:19 ID:yrVL3tSf0 [4/5回(PC)]
「誰がテメエの言う事なんか聞くかよ。馬鹿」
テレーゼは俯く。
「さぁ、逝くぜ」
カントは球体を前に出す。
赤外線が照射されミナセに当たった。
ミナセは一瞬で球体の中に吸い込まれた。
数瞬の沈黙。
その後、超越者の4人は一斉にゲラゲラ笑いだした。
「もう最高。あの子」
フェノメナが腹をかかえている。
「愛は勝ーつ!」
「ロンリネス! ロンリネス!」
「セカイの中心でアイを叫ぶ!」
ああ、もう駄目。
世界は終わった。
一人の器の小さい若者の、
自分勝手な恋によって。
向こう見ずな恋によって。
考え無しの恋によって。
若者はそれでも後悔していなかった。
馬鹿だから。
256 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/29(土) 18:01:50 ID:yrVL3tSf0 [5/5回(PC)]
◆次回予告

カンジVSアリス。
超肉弾戦。
「オララララララララァ!」
炎弾、サニー
アリス、手で弾きまくる。
勝負つかない。
お互い底が見え始める。
アリス「秋止符……」
ドオンッ!
カンジ「夕焼けマーチ!」
ドオンッ!
次で最後にするか……

アリス「涅槃交響曲」
同時に一緒に飛ぶ。
隙をついて抱きつく。
「ダウン・ツ・ヘブン」
自爆技。
不規則な軌道を描いて地上に向かう。
カンジ、氷蟲を巻きつかせる。
「氷雪大帝!」
カンジとアリス凍る。
そのまま落下する。

ネプト、ルナ拾う。

テレーゼとミナセ会話。
「会いたかったよ……」

ヤマギワ突如出現。
マテリア、フェノメナ殺す。
「お前らが神?それは間違いだ。神は俺だ」


続く
257 : 深夜特急 ◆xFhqdkNlmM [sage] 投稿日:2007/09/30(日) 20:59:35 ID:sGehUMzF0 [1/5回(PC)]
フォルテシモ第八十話「罵り合いの果て」

少女地獄の中は真っ白い建物の中のような場所になっている。
ところどころ浸水している。
なんとなく不安な気持ちになった。
ミナセは探し回ってテレーゼを見つけた。
何故か手錠は外してあった。
ブラフだったのだろうか。
ミナセを見つけたテレーゼは眼を見開いて呆然としていた。
無理も無い。
ミナセ自身は自分の行動に何の疑問も持っていなかったが。
テレーゼはつかつか歩いてきてミナセを右手で思いっきりビンタした。
頬をさするミナセ。
「わけわかんないよ……」
テレーゼはボロボロ泣きだした。
ミナセはテレーゼが自分に対してまだこんなにも感情を残していた事が意外だった。
「お前と俺の息子が此処に来ている事は知っている」
ミナセはとりあえず言ってみた。
テレーゼはビクッと震え、さらに呆然とする。
「あ……」
声は言葉を紡がない。
テレーゼの顔がくしゃくしゃになった。
「最低だよ……やっぱり力には屈するしかないんだ……」
テレーゼは俯いて言った。
「俺は力に屈したわけじゃない」
テレーゼはキッとミナセを睨む。
「アンタなんか大っ嫌いだ!」
ミナセはたじろぐ。
テレーゼの頬を涙が伝う。
「うぐ……ネプトが死んだら……君が死んだら……私……」
テレーゼが泣きながら言う。
なんか雲行きが変わってきたみたいだな。
「殺そうとしたくせに」
テレーゼは俯いたままだ。
「ふっ……ん……あ……ん……私は……」
「俺は怒ってないよ」
テレーゼは両目を手で押さえる。
「ふっ……あ……ん……私だってわかんないんだよ……。
 私が何をしたいのか……。何がどうなったら幸せなのか……」
ミナセはため息をつく。
「助けに来たんだぜ? お前を」
テレーゼは顔を上げる。
「もっとわかんなくなった。君がね、そんな風に優しくしてくれるんなら、
 私は君を赦せたのに。もっと早く赦せたのに。私は君をずっと愛してたから。
 君の事、好きだったからネプトを愛せたの。嘘じゃないの。御免って言ったら、
 赦してくれる? そんなわけ……ないよね……」
258 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/09/30(日) 21:00:27 ID:sGehUMzF0 [2/5回(PC)]
「馬鹿。だから赦すって言ってるんだよ」
ミナセは頭をかいた。
テレーゼは一層酷く泣きだした。
「御免。御免よぉミナセ。私が悪かったんだ。全部私が悪かったんだ」
「そんな事はない。大体俺が悪かった」
わっと泣いてテレーゼはミナセに向かって駆け出した。
思いっきりミナセに抱きつく。
ミナセは多少たじろぐ。
テレーゼの頭を撫でた。
本当に久しぶりだ。
頻繁に思い出していたけど
やっぱ本物は俺の想像を超えてくる。
こうくるか。
「ねぇ、ミナセ。君はどう思ってるの? 私の事」
「本当馬鹿だなお前。愛してるよ」
へへっとテレーゼは笑った。
戻りたかった時に戻れたような気がした。
運命は残酷だったけど、
色々あって此処に戻れて良かった。
ミナセは思った。

天空で紫と赤の光が瞬く。
炎上したスカイクロラがバラバラと落ちてくる。
「散れよ。役立たずども」
アリスは呟く。
その声はスカイクロラ達に届かない。
瞬間、すぐ前方にヒマツリ・カンジが現れる。
「おらぁ!」
正拳突きを左腕で受け止める。
拳が燃えている。
「消失空掌!」
左手でアリスの腹を狙う。
アリスはすんでで避ける。
「しっ」
右足で顎めがけて蹴り上げる。
カンジは右手でそれを払いのけた。
「らららららららぁっ!」
カンジの執拗な攻撃をかわす。
肉弾戦闘能力はなかなかのものだと評価できる。
強いとは思っていたが、この数ヶ月でさらに強くなったようだ。
カンジは瞬時に距離をとる。
「アトモスフィア!」
無数の炎の散弾がアリスを襲う。
アリスの体液となって全身を流れるテレポン「サンズリバー」の力を使う。
259 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/30(日) 21:01:02 ID:sGehUMzF0 [3/5回(PC)]
アリスの両手が紫に光る。

バシュコオオオ!

向かってくる炎弾を全て両手で弾いた。
まったく。
知性の欠片もない奴だ。
「やるな! やっぱ! 俺の相手に相応しいぜ!」
雑魚が。
ほざいてろ。
アリスの腹から黒い禍々しい銃が突き出る。
「逝くよ……涅槃交響曲!」
紫の巨大な光線が発射される。
「アナスタシア! 出力上げろ! 赤眼の路上!」
紅蓮の炎が火の鳥の口から発射される。

ドオオオオオア!

二つの光は激突する。
アリスは圧力を感じて離脱する。
この感じは……
噴煙が晴れてカンジの姿が現れる。
相殺された……?
馬鹿な……
思ったより……ずっとコイツは強い……
「フンッ」
アリスはすぐに鼻で笑う。
だから何だ……?
私が勝つ事に変わりはないのに……
「ひゃはははは! そろそろお前も底が近いだろ!? 分かるぜ!
 こっちは百戦錬磨だ! 実力が近い相手と戦ったの久しぶりだろ!?
 お前! 次で終わりにしよう! 最高のやつお前にやるよ!」
下品な笑い方だ……
アリスは体に不自由さを感じている。
底が近いというのは当たっているのかもな……
たしかに次で勝負をかけるしかないようだ……
認めてやっても良いかな……前のヤツの事……
アリスの髪が逆立つ。
紫の光を体中で発する。
カンジの炎が段違いに大きくなる。
「土曜日の実験室……」
カンジが呟く。
「メイストーム……」
アリスが呟く。
そしてニヤリと笑う。
てっ!

ドッゴオオオオオオオオオオオオオオン!

紫の光と赤い光が激しくぶつかり合う。
260 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/30(日) 21:02:01 ID:sGehUMzF0 [4/5回(PC)]
やはり互角でどちらかに傾く気配がない。
カンジはチッと舌打ちした。
本当強い娘だな……
そう思った瞬間、すぐ横にアリスが現れた。
「なっ!」
叫んだ瞬間抱きつかれる。
「貴方、強くなったよ。私の一番キツいのあげるから」
アリスは呟いた。
「ダウン・ツ・ヘブン!」
「しまっ……」
紫に輝いて二人は急降下を始めた。
雷のような軌跡を描きながら落ちていく。
これは……自爆技だ……!
「命は粗末にすんな! 馬鹿野朗!」
カンジのポケットから氷蟲が飛び出し巨大化する。
「お前……!」
氷蟲は二人の周りを何周も回る。
「よっし! 分かった! 氷雪大帝!」
「なっ……」

バシュウウウウウウウ!

二人を中心に尖った氷が覆った。
紫の光が消えていく。
あ……
駄目だ……
この人は炎が使える……
私のは冷たい炎……
この勝負……
私の負けみたいだ……
こんなの……初めてだ……
この人は……何回負けた事があるんだろう……
氷の塊は地上に落ちた。
もう其処は戦闘区域から離れている。
たくさんの屍があたりを覆っている。
炎で氷を溶かしながらカンジが出てくる。
「ふぅ……死ぬかと思った……アンタ……悪くなかったよ……」
氷漬けのアリスに向かって呟く。
ほっといたら死んじまいそうだな……
俺も力を使い果たして相当芳しくない状態だが……
カンジは眼がうつらうつらしてきた。
上手くやれよミナセ……
俺はもうお役御免みたいだ……
お互い運があったら……
また生きて会おう……
カンジは音もなくその場に倒れ伏した。

261 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/09/30(日) 21:11:18 ID:sGehUMzF0 [5/5回(PC)]
◆次回予告

ネプト、ルナ拾う。

ヤマギワ突如出現。
マテリア、フェノメナ殺す。
「お前らが神?それは間違いだ。神は俺だ」

「あー!ヤマギワか!少女地獄返せよ!」
「アレはもう捨てた。一番使いたい用途に使ったから」
「エロい事か」
「エロい事だ」

「悪いが魔界の門番殺した奴を生かして返すわけにはいかんぞ?」
「やれるもならやってみな」

リュイシュン死亡。
ジュペリ、アマデウス、ネプトを追う。

ネプト、ルナ、魔界の門番達の所に到着。
バッハ、屋上に出てくる。

「すぐ助ける!ミナセ!」
「もういいルナ!俺は死ぬつもりで中に入った!もうお前は俺無しでも
 生きていける!存分に戦え!お前なら勝てる!」
「そんなの嘘だよ!私、ミナセがいないと何にもできない!
 変な冗談やめてよ!嫌だよ!私は……私は……」

「よし!少年少女!このカント様が状況説明してやる!
 まず少年と少女は異母姉弟だ!」
「!?」
「そっちのルナちゃんはミナセが中学の時にミナシタ・ナナミって奴と
 作った娘だ。そっちのネプトはこの中に入ってるテレーゼとミナセが
 19歳の時に作った息子だ!分かったか!?」

ルナ、ネプト呆然。
テレーゼも呆然。
ミナセ咳払い。

続く
262 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/01(月) 22:50:06 ID:g4A2M7dn0 [1/6回(PC)]
フォルテシモ第八十一話「家族会議と優しい終末」

「いた……」
ルナは刀を杖がわりにして歩いている。
血が止まらない……痛みはひかない……疲れはとれない……
もう日がほとんど暮れかかっていた。
薄暮より深い闇がひたひたと近寄ってきていた。
まん丸のお月様が出ている。
力の限界が近いんだ……
ルナは感じた。
こんなので生き残れるのか……?
普通に考えて無理だよね……
せめて……ミナセの見ている所で死にたかったな……
なんて甘えだろうか……
本当疲れてるな……
疲れると人間の本性が出る……
ネプトなどには見せられないな……今の私……
頭がくらくらする。
少し熱が出てきたな……
嫌な死に方しそうだな……
その時、高い機械音が遠くから聞こえてきた。
チリチリ……チリチリ……パワワワワワワワ……
風とともにルナの体が宙に浮く。
誰かにお姫様抱っこされている。
見上げると髪を逆立てたネプトの顔があった。
「よう。ルナ。こっぴどくやられたみたいだな」
いつもより横暴な口調でネプトが言った。
ルナは心臓が高鳴った。
飛んでいる。
ネプトの背中から緑色の閃光が迸る。
ブースターで飛んでいるようだ。
ネプトの顔が活き活きしている。
水を得た魚のようだ。
自信がついた……?
なんだか違うような……
別の何かが憑いているみたいな……
「俺は母上助けにいくけどお前もこのまま行くよな。親父さんも先に行ったと思うぜ」
ルナは頷く。
頼りない腕だな……
でもなんか……
悪くない……
ルナは少しだけ眠る事にした。
ルナが目を瞑るとネプトが狼狽したのが伝わってくる。
ルナは心の奥でふふっと笑って、つかの間の眠りについた。
263 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/01(月) 22:51:33 ID:g4A2M7dn0 [2/6回(PC)]
「たぁっく。だらしがねーな。レッドラム連中誰も来やしねー」
カントが座り込んで頬杖をついて言った。
「空気が悪いね。魔界は……。小さな有機体の争い事なんて
 どうでも良いからさ。環境を整えたいよ。現世みたいに気を張ってさ」
フェノメナが言った。
「生き物が大事なんだよ。人間間の交渉には私達も学ぶ所が多々あるわ。
 劣悪種族は劣悪種族なりに頑張る。それが美徳」
マテリアが言った。
「もっと今、此処を見るべきだ。俺らの役割は猿どもと何の変わりもない」
パスカルが言った。
「あーっ! もっとオモシレエ事ないkなぁー!」
カントが腕を組んで空に向かって言った。

ドドスッ!

低い音が響く。
仲良く並んでいたフェノメナとマテリアが静止する。
マテリアの口の端からつっと血が流れた。
カントとパスカルが声を出せないでいると
二人の女の左胸から頭に向けて赤い線が伸びる。
パカッと二人は途中から半分に裂けた。
赤い血が紅葉のように辺りに噴出す。
二人は両側に音もなく倒れる。
その後ろに人が立っていた。
茶色いマフラーを巻いた茶髪の男。
眼鏡をかけている。
ヤマギワ・シュウイチだった。
「なんだ。やっぱ女は脆いもんだな。ナナミ以外」
ヤマギワが首をコキコキいわせた。
カントとパスカルは平静を装っている。
「ふっ……君か……久しぶりだな……」
「覚えてたか。ご苦労なこって」
ヤマギワはニヤッと笑う。
「忘れるもんか。超越者から、神から少女地獄盗みやがって」
カントが少し笑いながら言う。
「神? こいつらもか?」
ヤマギワはフェノメナを足で押して転がす。
「それは間違いだ。神は俺だ。神を殺した俺が神だ」
ヤマギワの目が茶色に輝く。
よく言うよ……劣悪種族の分際で……
下種には下種の生き方があるのに……
死よりも苦しい罰を与えなくちゃだ……
あの二人……俺は嫌いじゃなかったし……
ヤマギワが三本ある刀のうち二本をかまえる。
どれにどの能力があるのかカントもパスカルも知らない。
「少女地獄は何処にやったんだ」
パスカルが問う。
「一番使いたい事に使った。世界で一番な」
264 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/01(月) 22:52:12 ID:g4A2M7dn0 [3/6回(PC)]
「エロい事か」
カントが問う。
「そう。世界で一番エロい事だ。で、もう捨てた。いらねーから」
「神の道具を粗末に扱ってくれるぜ……」
カントとパスカルが白い光を全身から発する。
こいつらはさっきのミナセで分かったけど本当に強い。
気を抜いたら殺られるぞ。
その時、ずっと向こうから緑色の光が飛んでくる。
すぐに目前までやってきたソレは噴煙を巻き上げながら止まった。
ネプトとルナだった。
「よう。役者は揃ったな」
カントが言った。
ルナは地上に自分で降りて腕をブンブン振り回した。
「うん。いい感じ」
寝ている間にネプトの触手が治療してくれたのだ。
これで戦える。
「へっへー!」
ルナは踊るように刀をかまえた。
自分も何か変わったかな?
ルナは思う。
プンッと音がしてドーム上にぽっかり穴が開く。
銀色の光とともにバッハが浮上してきた。
「おやま。あと一人いたか」
「魔界の門番諸君。お会いできて光栄だ。及ばずながら力添えしよう」
「知ってるぜ。アンタ無茶苦茶強いだろ。年とると謙遜したくなるのかね」
カントがケラケラ笑った。
「さぁ、三対三だ」
パスカルが拍子をとる。
「ようルナ。ずっと見てたぜ。極度のファザコンのお前に悲しいお知らせがある。
 お前の愛しのお父さんはこの少女地獄の中で俺達に命を握られてる。
 それも元妻を助ける為に自分で命を捨てて飛び込んだんだ」
「なっ……」
「声と画像を出してやる」
空中に手を繋いだテレーゼとミナセが映し出される。
「母上!」
「えっ!」
ネプトの叫びにルナはひどく狼狽する。
え……
じゃ……今アイツの言った事が本当なら……
「そうだ! ルナ! 頭の回転の速いお前ならもう解は出ただろ。
 ネプトとルナ、お前らは異母姉弟だったのだ!」
「なっ……!」
ルナは頭がくらくらしてきた。
ミナセは私達より元妻をとったのか?
てか元妻って何?
何語?
想像を絶している。
ネプトは少し違う事を考えている。
親父……?
アレが……
265 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/01(月) 22:53:58 ID:g4A2M7dn0 [4/6回(PC)]
俺の……?
「もういいルナ!俺は死ぬつもりで中に入った!もうお前は俺無しでも
 生きていける!存分に戦え!お前なら勝てる!」
ミナセが大声で叫んだ。
「そんなの嘘だよ!私、ミナセがいないと何にもできない!
 変な冗談やめてよ!嫌だよ!私は……私は……」
ルナがボロボロ泣きはじめる。
ネプトはいたたまれない。
「おやっ……」
親父!
呼びかけたい……
でも、できない……
俺にも親父がいたんだ……
嬉しいよ……
でもなんで会った時すぐ言ってくれなかったんだ……?
嬉しいってのも半分嘘だよ……
なんで……
俺を捨てたんだ……
「なんだよ俺。空気王だよ」
ヤマギワがおどけた調子で言った。
「ネプトー!」
ミナセが叫ぶ。
「ルナを守れ! お前にしかできねえ事だ! 男は女を守らなきゃならねえ!
 ……ってライマが言ってた! お前にならできる! そんでお前は強く生きろ!」
「五月蝿いな……人質とって戦うのも本当は格好悪い気がしてたんだよね……。
 いっそこのまま……」
カントが少女地獄を手に持って呟く。
「ミナセ! 愛してる!」
テレーゼがミナセに抱きつく。
「おーお。公衆の面前で。ひゅうっ」
ヤマギワが茶化す。
「ネプト……まだ教えなきゃいけない事一杯あったんだ……
 でも私今最高に幸せだから。ミナセと和解した上で逝けるんだよ。
 これ、私が一番欲しかった物なんだ。ネプトも自分が欲しい物の為に
 命を賭けて頑張って! 私から言える事はそれだけな気がするよ……」
ネプトの目が緑に輝く。
なんとかテレーゼとミナセの言葉の意味を解こうとしている。
頭をフル回転させる。
なに……?
強く生きろ……?
それが俺が父親から初めてもらった言葉……
言葉……言葉だ……
最初で最後の……
「ルナ! 母さんを超えろ! そしたら勝てる!」
ミナセが叫ぶ。
テレーゼは笑っている。
「言いたい事はすんだようだな。じゃ、逝くぜ」
266 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/10/01(月) 22:56:07 ID:g4A2M7dn0 [5/6回(PC)]
カントが呟く。
え……
ルナの目が見開かれた。

グシャッ……

カントの手の中で少女地獄は音を立てて潰れてしまった。
赤い液体が手をつたう。
ルナとネプトは闇の中に放り出された。
267 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/10/01(月) 23:06:42 ID:g4A2M7dn0 [6/6回(PC)]
◆次回予告

強く生きろ……
強く生きろ……?
強く生きろ……
強く生きろ……!
強く生きろ!
飲み込めないぜ親父!
でも歩いてみるぜ!
自分で決めた大地を!

覚悟完了しました。段階メガロパに移行します。

ルナは涙をふく。
私、ミナセから、一杯一杯色んな物もらったよ。
だから……
次の一歩が踏み出せるんだよぉ……
ミナセ……
お父さん……
お父さーん!
紫の光がルナを包む。

「ほほっ。こりゃやりでがありそうな剣士」
バッハ突っ込む。
ルナ受ける。
力で吹っ飛ばされる。

カント、鳥のような仮面をつける。
逆立った髪が伸びる。
全身甲殻に覆われる。
「俺か」
カント突っ込む。

「さて、余り者同士ですな」
「くだらん。貴様らの存在の無意味さ、思い知らせてやる」
激突!

ヤマギワ「人間失格」使用。
空中に無数の瞳。
それを見ると神経が麻痺する。
「本当に異能の力レベルに……テレーゼは早めに始末して正解だった」
パスカル目を瞑って戦う。
「すげえなアンタ」

ルナ。
月をバックに踊り始める。
「逝くよ……夜長姫……舞姫……!」

「魚眠洞! ステム! ブラストォ!」
緑の光線が発射される。
段違いの威力だ。

続く
268 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/02(火) 19:20:15 ID:3mLu/sic0 [1/5回(PC)]
フォルテシモ第八十二話「甲殻戦士と月神の誕生」

カントの腕を赤い液体が伝う。
ルナとネプトは呆然としている。
命が、流された。
流れていく。
大事な……
大事な大事な物なのに……
「リビングデッドの能力は関係ねえ。空間ごと砕いてやったからな。完全消滅だ。
 ミナセとテレーゼは……死んだ」
風が吹き抜ける。
親父……
やっと会えたのに……
強く生きろ……?
強く生きろ……
強く生きろ……
強く生きろ……!
強く生きろ!
強く生きるのか!
強く生きるんだ!
最後の……親父の……言葉……
俺には……生まれてはじめての感覚……
ずっと欲しかったんだ……本当は……
親父の言葉が……ずっと欲しかった……
親父の言うことなら……なんでも聞くよ……
俺の欲しかった物は親父の存在と言葉だよ。母上。
だから俺は母上無しでも生きていける気がする。
生きていける!
涙が吹っ飛ぶ。
緑色の閃光が迸りネプトの口を金属が覆う。
頭から液体金属が飛び出し顔をさらに覆う。
それは鳥のような禍々しい形状となり仮面となる。
体中を同じように液体金属が覆い禍々しい装飾が施される。
甲殻類のような様相を呈した。

ピーピロリロリロ。覚悟完了しました。段階メガロパに移行します。

間抜けな機械音声が響く。
トットントン。
ネプトはステップする。
「天が落とした異能の黄と! 無能の野辺の最後の青が!
 交わり育てし最後の緑! 父と母とが果てたとて! 最強の遺志が俺を起たせる!
 甲殻戦士! ビョウドウイン・ネプト!」
ネプトは大声で見得を切った。
カントがニヤッと笑う。
ルナは涙をふく。
私、ミナセから、一杯一杯色んな物もらったよ。
269 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/02(火) 19:22:24 ID:3mLu/sic0 [2/5回(PC)]
だから……
次の一歩が踏み出せるんだよぉ……
ミナセ……
お父さん……
お父さーん!
もっとお父さんって呼びたかった……
甘えたかったよ……

「こそばゆいな。ミナセって呼べよ。さっさと俺を追い抜いてどっか行っちまえ」

有難う……
私を育ててくれて……
私、ミナセの期待に応えるためにこれからも生きていくよ……
それがきっと……ミナセの願いだから……
大好きだった……
これからもずっとずっと……
私の空に浮かんでいてよ……
私、私の姓に恥じない生き方をする。
こんな所で、死んでられない……!

ズウウウウウム!

「くっ……」
バッハが目を手で覆う。
ルナの威圧感が刃物のように全身を刺す。
「私は月神……ビョウドウイン・ルナだ!」
ルナの刀のかまえが変わる。
その頭上に月。
「うおおおおおおおおおおお!」
「ああああああああああああ!」
ネプトとルナの体から凄い量の光が発散される。
緑と紫。
レッドラムの根源の力は色を持っている。
二人はその年にして完全に扉をこじあけた。
自らの親の死を触媒に、強くなる光。
「ふんっ! ま、相手にするに値するって所かな……」
カントが笑いながら言う。
「ガキども。事情は分かったぜ。俺は手を組むのは苦手だが
 一人倒してやるよ。そうだな……あの眼鏡にするか。一番マトモそうだ」
ヤマギワが言う。
「ふん……笑えないね……君も眼鏡ではないか」
パスカルがくいっと眼鏡を持ち上げながら言った。
「剣士か……手合わせしなくても分かる。素晴らしい才能だ。
 わしも少し若返ってみたくなった。お嬢さん。手合わせ願おう」
270 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/02(火) 19:24:40 ID:3mLu/sic0 [3/5回(PC)]
バッハが言った。
ルナはニヤッと笑う。
「ビンビンくるね。それが最強のテレポンってやつか。
 自分の子供そのものをテレポンにしたような感じだ。テレーゼもえげつない事をする。
 魔界に来ると俺らより狂った奴が山ほど居るんだな」
カントが言う。
ピクンとネプトが反応する。
「テメエ。瞬消ししてやんよ。俺様は器じゃねえが……テメエは器以下の塵だ」
ネプトがニターッと笑う。
テレポンの影響で性格が変わってきている。
カントとネプト、
バッハとルナ、
パスカルとヤマギワが睨み合う。
「ギイイイイイアス」
ネプトが啼きながら口をカパッと開ける。
「魚眠洞……ステム……ブラスト!」

ドギュオアッ!

ネプトの口から巨大な緑の熱線が発射される。
大気中で拡散し三人をとらえた。
かき消せれない……
避けないと……!
カントとパスカルは微粒子になって右と左に避けた。
バッハは上に飛んで避ける。
それぞれにヤマギワ、ネプト、ルナがとりつく。
「裸鰯の章!」
ネプトの両手が緑に輝く。
「だらららららららららぁっ!」
拳のラッシュ!
カントは微粒子になるが何発かかすった。
かすっただけなのにダメージがでかい……!
テレーゼは化け物か……!?
早めに消しといて良かったぜ……
ネプトの周りを巨大な緑の光の抹香鯨が包む。
「おらぁっ!」
「だぐはっ!」
微粒子に変化したままカントは押しつぶされた。
またダメージを負う。
マジで強いぜ……
見境の無い強さだ……
こりゃ本気でやらなきゃ……
カントの右腕が大鷲の形に変わる。
大鷲は大きな翼を伸ばし威圧感を増大させる。
ネプトに照準を定める。
「実践理性批判!」
高出力の銀の光弾が発射される。
271 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/02(火) 19:26:29 ID:3mLu/sic0 [4/5回(PC)]
「ステム! バースト!」
ネプトの右腕の竜宮の使いから緑の剣が発射される。

ドゴシュッ!

剣は光弾を突き抜けた。
ネプトはかき消されなった光を受けて吹っ飛んだ。
カントの頬を剣がかすめる。
血が勢いよく噴出した。
カントは少し心が動揺した。
目がギョロギョロする。
マジで?
これ現実?
保育園児の劣悪種族が俺とタイマンはってる?
嘘だよな。
悪い冗談だ。
俺はもっと高貴な存在なのに。
畜生。
俺の意識を揺るがした小僧。
死より残酷にいたぶらないと……!
カントの髪が逆立つ。
辺りを銀の光が覆う。
涎をダラダラ流しながらカントはネプトを睨みつける。
「ようやく覚醒か。おせえよ。オッサン」
ネプトがニタニタ笑いながら言った。

「やあああああ!」

ガシュッ! ザッ! ドカッ! ガキキキキキ!

バッハとルナの高速の剣舞が続く。
この爺さん、やっぱめっちゃ強い……!
バッハは着地する。
「年をとり翼は腐敗しその能力を失った。だが変わりに見えてきた事もある。
 身についた力もある。嬢ちゃんも此処を生き延びればまた今と別の事が
 見えてくるだろう。わしはそえれを終わりにしないといけないが……。フンッ!」
バッハの右腕の筋肉が一気に膨張する。
「一段剣速を上げるぞ……嬢ちゃん……おそらくついてこれまい……」
ルナがニヤッと笑った。
「私は走るんだ! ミナセのいない地平を……!」
ルナの目が紫にキラキラ輝いた。
バッハの目は暗い淵の底に沈んだようになっている。
光を全て吸収してしまいそうな……
絶望と憂いを湛えて……
バッハが苦笑するのが見えた。
面白そうな人格だな……この人も……
ルナは思った。

272 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/10/02(火) 19:35:48 ID:3mLu/sic0 [5/5回(PC)]
◆次回予告

ヤマギワ「人間失格」使用。
空中に無数の瞳。
それを見ると神経が麻痺する。
「本当に異能の力レベルに……テレーゼは早めに始末して正解だった」
パスカル目を瞑って戦う。
「すげえなアンタ」

ルナ。
月をバックに踊り始める。
「逝くよ……夜長姫……舞姫……!」
舞姫攻撃。
カオスソルジャー!カオスダイバー!カオスレギオン!
冷静と情熱の……間!
避けまくるバッハ。
天才なんてもんじゃない。あの扱いの難しいフリーダにしか使えないテレポンを……
超天才なんてもんでもない……超々天才か……
ヒュンッ
一瞬でルナの懐に入るバッハ。
「はっ!」
掌底を腹に当てる。
上に吹っ飛ぶルナ。吐血。
月をバックにハンマーパンチ。
地面に叩きつけられるルナ。

「判断力批判……」
100個以上の掌が空間を貫いて現れる。
ビカビカビカビカビカビカ!
一斉射撃。
「うおあああああ!」
甲殻が現れ光線を防御する。
「ホンットバリアフリーなのな!」

続く

273 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/03(水) 01:01:29 ID:/c0yaK6G0 [1/1回(PC)]
最近、深夜は孤独な大学生スレに書き込んでるの?
274 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/03(水) 20:25:07 ID:196pZwST0 [1/6回(PC)]
ああ。書き込んでる。
275 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/03(水) 21:45:50 ID:196pZwST0 [2/6回(PC)]
フォルテシモ第八十三話「強い爺さん」

「ゼッ……ゼッ……」
リュイシュンは刀を地面に突き立てた。
「さすがに二人相手は分が悪かったみたいだな」
ジュぺリが言う。
「こんな奴にばっかかまってられないよ。知らない間に勢力が拮抗してきてる」
アマデウスが辺りをキョロキョロ見ながら言った。
その時、ドームの方から拡声器で声が轟いてきた。
「えー! クローン以外のオリジナルの皆さん! 重大発表です!
 貴方達の首の爆弾は今、解除しました。もう戦う理由は無いと思うので
 謝って許してもらいましょう! 俺とアシモはこれからアマントその他を
 拿捕しにかかろうと思います! 情がある人は手伝ってほしいです!
 以上でーす!」
ウィンダムの声が響く。
「なにぃ……」
リュイシュンがニヤッと笑う。
「神様は粋で狡猾アル。テレーゼさんは抜け目ないアルよ」
ジュぺリがリュイシュンを振り返る。
「お前には興味がねえ! 副村長に会いに行くぞ! アマデウス!」
「なんとなく分かったよ。そうだな。行こう」
アマデウスが同意する。
二人は飛び去っていった。
リュイシュンはペタンと膝をつく。
「悪運強いアルな俺……」
そのまま頭をガクンと垂れた。

バッハはウィンダムの声を聞いて眉ひとつ動かさなかった。
ルナは荒い息をしている。
「爺さん。もうやめにする?」
バッハはフッと笑う。
「わしはあの小僧に感謝している。死に場所を与えてくれた事をな。
 ずっとあの閉塞された村で弾圧に怯えながら生きてきた。
 夢も希望もない。ただの平坦な息苦しい大地。
 クローンどもは戦闘本能だけの存在だから何も聞きはしない。
 オリジナルの連中も簡単に言を聞き入れるとは思わない。
 爆弾が外れたとて大した意味は無いのだ。神と小僧に感謝して、
 わしはお前を殺そう。後の事は知らん」
ルナはフッと笑った。
「そう言うと思ってたよ」
そう言うとルナはステップを踏み始めた。
トントントトントン。
それは、フリーダの踊りだ。
276 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/03(水) 21:46:40 ID:196pZwST0 [3/6回(PC)]
ところどころにルナらしさを加味してある。
もうすっかり夜で月明かりに照らされている。
白い糸がフワフワ舞っている。
西洋の妖精を思わせる情景だった。
隙が無い……
バッハは手をこまねいた。
「遊ぼう。最後まで。もう少しだよ。でも結果は見ないよ。今を生きる。
 ミナセは私の胸で生きてる。ずっとずっとずっと……」
ルナは歌うように言った。
袖から何かがバラバラ飛び出す。
それは大気中で増殖する……
これは……
威圧感がしだいに大きくなる。
空だ。
空で何かが舞っている。
ルナがニコッと微笑む。
「私も初めてお母さんに会えたんだよ。ネプト」

ザンッ!

超速の何かがバッハの右耳を吹っ飛ばした。
ルナは跳躍する。
「舞姫……カオスダイバー!」
フリーダの舞姫……!
無数の斬撃がバッハを襲う。
喝!

ガキキキキキキキキキキキキキキキ!

マタイの連続攻撃で刃を弾きまくる。
凄い……
全部撃ち落してる……
ただの剣じゃ私にはできなった……
なんという奴だ……
フリーダしか使いこなせなかった繊細なテレポンを……
おそらくほとんど練習せずに……
天才というレベルではない……
超天才というレベルでもない……
超々天才か……
「カオスソルジャー!」
刃の塊が襲う。
バッハは飛んで避けた。
ルナは着地する。
それと同時にバッハは懐に飛び込んだ。
「!?」
「はぁっ!」
掌底をルナの腹に向けて完全にいれる。
ルナは超圧力を感じ真上に吹っ飛ばされた。
凄い……この人フリーダより強いかもしれない……
痛みに顔を歪めながらルナは思った。
頂点に達するよりも前にバッハはルナの上に跳躍していた。
満月をバックにバッハはハンマーパンチする。
277 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/10/03(水) 21:47:13 ID:196pZwST0 [4/6回(PC)]
背中を思いっきり強打されルナの背骨が悲鳴をあげた。
「うぐあっ!」
次の瞬間、大地に叩きつけられた。
ルナは吐血しバウンドする。
強い……この爺さん……!
死ぬ……!
「はああああああ!」
バッハが剣を突き刺しにかかる。
このままじゃ串刺しだ……!
ルナの眼が紫に輝く。
「紫極……球!」
反動をつけて無茶苦茶回転する。
紫の光は剣で貫き通せない。
ルナはそのまま転がっていって距離をとった。
体勢を立て直す。
今のコンボはやばかった。
爺さんホントに元気だな……。
バッハは首をコキコキ言わせた。
「面白いなぁ……嬢ちゃんは……」
目元に皺を作ってバッハは笑った。

「人間失格……」
ヤマギワが呟くと空間が歪んだ。
空間に働きかける能力……
テレーゼの技術力は本当に異能の力のレベルに……
ヤマギワの眼がチカチカ茶色に点滅し髪が逆立つ。
不気味な笑みを顔に浮かべた。
「開眼だ……」

ドキュン! ドキュン! ドキュン!

空中に無数の邪悪な瞼が現れる。
それは少しずつ開いてくる。
「さぁ、これはどんな能力でしょう!?」
ヤマギワの笑みが大きくなる。
刀をシャッフルして二刀流になった。
そのまま飛び掛る。
パスカルも刀を抜く。

ガキイッ!

組み合わさったパスカルの刀はそのままボロボロ錆びて崩れた。
瞬時に右腕を刀に変える。
再度、刀を交差させる。
今度は錆びない。
「おいおい反則だぞー! まぁ良いか!」

ガキキキキキキキキ!

互角の剣舞が続く。
「ビンゴ!」
空中の瞳とパスカルの眼が合う。
右足の感覚が無くなった。
転倒しかけるパスカル。
278 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/03(水) 21:47:58 ID:196pZwST0 [5/6回(PC)]
「バッドエンド!」
ヤマギワの刀が頭上に振りかざされる。
微粒子に変化して急激に移動してかわす。
「おいおい! 足以外で動けるのかよ! 反則も度が超えるぜ!」
どうやら瞳と瞳が合うと神経が撹乱されるらしい。
ドグラ・マグラの亜種のような刀だ。
ヤマギワはまた刀をシャッフルする。
さらにポケットから小刀を取り出す。
小刀を空中に投げるとそれは無数に増えた。
「グッドバイ!」
お手玉のように小刀を弄ぶ。
「しっ!」
連続で投げつけた。
避けまくるパスカル。
瞳の延長線上に導かれる。
「やろう……」
パスカルの腹に丸い穴が開く。
「プロンヴァンシアル!」

ドドドドドドドドドドウ!

空中の目玉が全て爆破された。
ヤマギワは多少狼狽する。
パスカルの腕の刀が伸びる。
「ちっ!」
ヤマギワの脇腹が切り裂かれた。
プロンヴァンシアルはエネルギーの消費がでかい……
早めに勝負を決めないといけないのは変わらない……
「なかなか良いぜお前! だが俺に不可能は無いのだァア!」
ヤマギワの眼鏡が割れて吹っ飛ぶ。
瞳の輝きが増す。
ヤマギワは三本の刀をお手玉のように飛ばす。
「まどろみ消去!」
三本の刀は光の刃となりパスカルに向かっていった。
「チィッ!」

バシュ! バシュ! バシュアッ!

右頬、左脇腹、右足に裂傷ができる。
血が噴出す。

ドクン!

パスカルの心臓が大きく脈打った。

279 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/10/03(水) 22:05:44 ID:196pZwST0 [6/6回(PC)]
◆次回予告

「判断力批判……」
100個以上の掌が空間を貫いて現れる。
ビカビカビカビカビカビカ!
一斉射撃。
「うおあああああ!」
甲殻が現れ光線を防御する。
「ホンットバリアフリーなのな!」

死んでたまるか!
ミナセが見てる!
「極月!」
「大極月!」
ビームサーベルの状態を維持できるようになるルナ。
「魔剣……月読!」
舞姫と夜長姫の複合奥義!
「高き御空より」

バシュコオオ!

ルナ、吹っ飛ばされる。
バッハ、ふっと笑う。
首が吹っ飛ぶ。

「パンセ!」
両手の掌底で吹っ飛ばされるヤマギワ。
吐血する。
「神をも恐れぬその心意気。勝ったぞ。でもよ。俺は神以上の存在なんだぜ?」
グッドバイをほうり投げる。
「斜陽……」
グッドバイと人間失格の複合攻撃。
めった刺しにされるパスカル。
「人生の妙味は自分と近い人物との交わりよ。お前、悪くなかったぜ」
バラバラになるパスカル。

臨界点突破しました。最終形態に移ります。
邪宗門拾うネプト。
「親父!行くぜ!我が心は無限の海へ!」
邪宗門と同化し凄い水量で攻めるネプト。
「会えて良かった!」
「認めねえ!認めねえぞー!」
カント、細胞の一片も残さず消し飛ぶ。

続く

280 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/10/05(金) 01:54:00 ID:oxA3NHkC0 [1/7回(PC)]
ラストはルナとヤマギワがLOVELOVE
281 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/10/05(金) 19:03:40 ID:oxA3NHkC0 [2/7回(PC)]
フォルテシモ第八十四話「超越者の苦悩」

「判断力批判!」

ドギュドギュドギュアッ!

空中に無数に手首から上の掌が現れネプトを取り囲む。
ネプトは手で顔を覆って念じる。
防御だ!
「逝っけー!」

ビカビカビカビカビカビカビカ!

指の一本一本から銀色の誘導光線が発射される。
防御!
母上は無限大だ!
右手左手が液状化し巨大化する。
ネプトを包んだそれは蟹の形になる。
「ノコギリガザミの章!」

ドガガガガガガガガガガガガガガガ!

光線は全て弾かれた。
屈折した光線が方々に散っていく。
俺の力じゃない。
母上の力だ。
だから無敵を保障できる。
だから安心して強く生きれる。
アゲアゲだ。
「ホンット、バリアフリーなのな!」
カントが呆れて言った。
神の力に対抗できるテレポン。
それを作ったのもまた神。
世界は神が制御できるほど甘くないのか。
やるせないね。
案外俺の死に場所は此処なのかも。
仕事の為に死ねるのか。
逃げても良いんじゃないのか。
魔界の門番はまだたくさん居る。
友達は先日破門になった。
そして俺は……
282 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/10/05(金) 19:04:32 ID:oxA3NHkC0 [3/7回(PC)]
カントは背中の剣を抜いた。
同じ地平だ。
コイツと俺が立っている場所は。
ずっと馬鹿にしてた。
でも本当は……

「ジャンセニスム!」
パスカルの両手の掌底がヤマギワの腹を捉えた。
未知の波動が内臓を揺さぶる。
勢いよく吐血する。
パスカルの顔を血が汚した。
100メートル近く吹っ飛ぶヤマギワ。
体勢を立て直して手を地につけてブレーキをかける。
「ほーう! この神以上の存在のヤマギワ様に手をつかせるとは!
 やはり目算どおりなかなか見込みのある奴だな!」
ヤマギワはまた3本の刀を取り出し大きく放り投げお手玉のように弄んだ。
「俺はナナミとは違う。ミナセとも違う。唯一無二。
 森羅万象の根源なのだ。貴様ごときにてこずってなどいられない」
「馬鹿め。貴様を作ったのは我々だ」
パスカルは嗤う。
「ふん……言葉なんていらないんだ。俺は……ただ愛しただけだ」
3本の刀が10本に増殖して見える。
複数のテレポンの相乗効果……
これは読めない……!
また空中に無数の目が現れる。
と思ったらまた消えた。
そもそも初めから終わりまで全て間違いだ。
ただの戦闘員として俺達が戦うなんて。
もし俺達の上に本当の神がいるとしたら……
いないだろうけど……
なんで俺達の力をもっと圧倒的なものに設定しなかったんだ?
結局、存在しているものは神になれないのだろうか。
今までも何度も頭をよぎった疑問をさらに反芻する。
俺なんかより、自分を神だと信じきっている目の前の男の方が
神に近いのではないか?
そんな気がする。
そんな気がした時、
トスッと背中の真ん中に刀が突き刺さった。
え……
ドグラ・マグラが体全体の神経をかく乱させる。
パスカルは動けなくなった。
あ……
そんな問いは無意味だ……
神も人も……
まず現実を生きなければ……
そうだった。
気がつくのが遅かったね……
283 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/10/05(金) 19:06:12 ID:oxA3NHkC0 [4/7回(PC)]
遅かったね……
ヤマギワの頭が自分のすぐ横にある。
天から10本にみえる刀と小刀グッドバイが振ってくる。

ドスドスドスッ!

パスカルの背は小刀に切り刻まれ
最後に頭を人間失格が貫いた。
パスカルは機能停止する。
「神はダイスを遊ばない」
ヤマギワが呟くと同時にパスカルは裂けてバラバラになった。
鮮血がヤマギワを濡らす。
「神をも恐れぬその心意気。勝ったぞ。でもよ。
 俺は神以上の存在なんだぜ? 人生の妙味は自分と近い人物との交わりよ。
 お前、悪くなかったぜ」
ヤマギワは踵を返した。

「私の背と心にはルナが生きてる……。負けたら終わりよ。さようなら」
ルナは踊りを続ける。
初めてだからフリーダみたいに上手く踊れない。
不細工なんだ……。
私は……
ミナセをずっと信じてた……
ミナセがいなくなったら私もいなくなるしかないと思ってた……
でもまだ、生にしがみついてるんだ。
人間がブレてるよね。
最後までミナセを、お父さんを信じたい。
バッハは前で厳しい顔でじっとしている。
やはり隙がない……
それは本当か……?
娘の踊りに見惚れてい可能性は?
馬鹿馬鹿しい……
アレをやろう。
ナ・バ・テア。
次で決めよう。
多分大技で隙を作ったらその次のターンで爺さんに殺られる。
逝こうか。
ミナセと一緒に
私は飛ぶんだ。
これまでも、これからも。
そうだよね?お父さん……
ルナは駆け出す。
バッハがかまえた。
バッハの剣が黒く輝く。
マタイ……「高き御空より」!
284 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/10/05(金) 19:06:42 ID:oxA3NHkC0 [5/7回(PC)]
ナ・バ・テア……と……極月……合わせて……
「大極月!」

ゴゴゴアッ!ガキイイン!

刃の雨のすぐ後に全ての力を込めた紫の刃が放たれる。
娘よ。
最も才に恵まれし紫の娘よ。
私の最期を飾るのに最も相応しい相手だ。
有難う……
黒の一撃が放たれる。
紫の光と合わさる。

カッ!

地面をバウンドしてルナが吹っ飛んでいった。
舞姫の残骸がバラバラ輝きながら落ちていった。
ルナの右腕と夜長姫が少し離れた大地に突き刺さっている。
痛い……
もうエネルギーが残ってないよ……
バッハは背を向けて立っている。
黒いオーラがその姿を雄雄しく見せる。
う……
ルナは涙が出てきた。
ミナセ……

ドパッ!

液体の音ともにバッハの頭が砕け散った。
あ……
一発入ってた……
勝った……
ルナは力が抜けて、その場に倒れ伏した。
私、ミナセから、一杯一杯大事な物もらったよ……
最後にそう思った。

緑の閃光と銀色の閃光がぶつかり合う。
やっぱ互角か……
嫌になるぜ……世の中……
俺も限界突破してえ……
少なくともこのガキはしてる……
限界なんてない奴にはないんだよ……
俺も……
こいつらのように飛びたい……
飛んでみたい……
285 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/10/05(金) 19:07:14 ID:oxA3NHkC0 [6/7回(PC)]
少ない力しか持たなくても……
全ての力を出し尽くせて戦える……
こいつ等のように……
俺も……
「逝くぞおおおおおおおおおおお!」
銀色の光が増す。
それに呼応して緑の光も増す。
綺麗だな……
こんな綺麗な世界があったなんて……
俺は……幸せだ……
「永遠の平和へ……」
カントの右腕の大鷲が口を開ける。
ネプトの頭の液体金属が流れ腕にまとわりつく。
竜宮の使いの頭が大きくなる。
同じように口を開ける。
俺は……初めて燃えた……
最初で最期だ……
「親父!行くぜ!我が心は無限の海へ!」
ネプトが叫ぶ。
瞬間、緑色の光と銀色の光が激しくぶつかり合う。
押されているのはネプトの方だ。
くそっ……!
ジ・エンドか……!?
その時、ネプトのすぐ横にミナセの邪宗門がフワフワ浮いている事に気づいた。
「お前……」
邪宗門が頭を下げて頷く。
「孫の顔が拝めて良かったわ」
邪宗門から女性の声が響く。
「おばあちゃん!?」
「イラっときたわ。まぁ、さっさと合体しましょ」
邪宗門はネプトの後ろに回って其処からズムズムとネプトの中に入る。

魚眠洞は邪宗門と融合する事によって最終形態に移行するよう
テレーゼ博士によって設定されています。あとネプト様、6歳の
誕生日おめでとうございます。テレーゼ博士からの伝言です。

間抜けな機械音声が響く。
おめでとう!
ネプトは胸がワクワクしてきた。
生まれてきただけで完璧だ!
逝くぞ!
「うおおおおおおおおおおおお!」
「くっ!」
カントの方が一気に劣勢になる。
そりゃねえぜBOY。
オッサンだって今まで虎視眈々と必死に生きてきた。
今日は俺の……
今日は俺の……
「あばよ! 世界ー!」

ドオオオオオオオオオオオオオン!

カントの光線を完全にかき消してネプトの光線がカントを直撃した。
崩れるカント。
286 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/10/05(金) 19:10:23 ID:oxA3NHkC0 [7/7回(PC)]
細胞の一片も残らず、彼は消滅した。
あばよ世界。
「ハッ……ハッ……ハッ……」
ネプトは頭の汗をはらった。
勝った……
ルナ……親父……母上……やったよ……
俺……生まれてきて良かったんだ……
ネプトはニヤッと笑って、その場に倒れ伏した。

287 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/10/06(土) 03:26:13 ID:/Jx7i/r30 [1/1回(PC)]
◆次回予告

アマジュペアマント倒す。

バルトークのされてる。

3人来る。

レッドラムの勝利。

テレーゼ、翼を生えなくする方法開発してた。

普通に生きよう。
翼はいらなかったんだ。

ルナ夜長姫立てて墓にする。

ネプトと手繋ぐ。
異母姉さん。

こそばゆいな。早く追い越してどっか行っちゃって。

手を放す。

見ててねミナセ。

私、私を見つけに行く。

ヤマギワ「10年後また会おう。もらってやるぜ」

続く
288 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/07(日) 21:56:57 ID:YaMekW3I0 [1/7回(PC)]
フォルテシモ第八十五話「月と海の別れ」

「貴様等に何が分かる! この俺の苦渋の二十年間がどんな物だったか!」
アマントはウィンダムとアシモをドームを出てすぐの所で追い詰めた。
「ホンット現実ってのはままならねえもんだな。俺はプログラムの中から出たくねえ」
ウィンダムが呑気に煙草に火をつけながら言った。
「この土壇場にアンタにヘタレ発言してもらったら困るっスよぉ!」
アシモが声をあげる。
アマントの後ろから無数の青い触手が伸びる。
アマントはそれの事をベーゼンドルファーⅡと呼んでいた。
人間用のベーゼンドルファーをアマントが改良した物だ。
「爺さん。そのテレポン負荷が大きすぎるぜ。早急にエネルギー使い切って
 死にそうだ。そんな年になってそこまで鼻息荒くしてやりたい事ってのが
 復讐か? ガキだな。まったく。俺達は力は無いけど正しい道なら知ってるぜ」
ウィンダムが言う。
アマントの額に青筋が浮き出る。
「お喋りはそこまでだ。悪魔の種の仲間よ。永遠の眠りにつけ」
触手がしなる。
やったー。
俺も、アシモも、
こんな馬鹿な奴の為にジ・エンドだ。
今まで何の為に必死こいて勉強して研究してきたんだよ。
暴力って力は厄介なもんだなホント。
さよならだ。テレーゼ。
俺、実はアンタの事を……

バギュンッ!

銃声が響き触手がはねる。
アマントが苦悶の表情を浮かべる。
ウィンダムとアシモが振り返る。
ヨナタンとキタテハ、それにジュぺリとアマデウスが立っていた。
その時、残っていた十数人の傭兵レッドラムが通路から出てくる。
「ジュぺリ。アマデウス。こいつ等まとめてやってしまえ」
アマントが低く呟く。
「アマント……アンタには半分感謝してるんだ。俺達に可能性を与えてくれた。
 曲がりなりにもな。でもよ。爆弾が外れた今、アンタに従う義理はねえ。
 こいつ等と組む義理もねえが……。だが俺はアンタを殺す!」
ジュぺリが言った。
瞬間、ガラクタノカミサマが射出される。
金属音が鳴りマシンアームがアマントの腰を掴んだ。
傭兵が一瞬遅れて動く。
「残念でした! 出し惜しみ無しだ! ビッチェズ・ブリューⅡ!
 ハルマゲドン・モード!」
289 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/07(日) 21:58:08 ID:YaMekW3I0 [2/7回(PC)]
ヨナタンの巨大な銃から誘導弾が無数に飛び出る。

ダガガガガガガガガガガガガガ!

一瞬で傭兵達は穴だらけになって無力化された。
「さよならだ。俺達の未来も此処で閉じる」
ジュぺリが目を瞑る。
「おのれええええええ! 俺はあきらめんぞおおおおおお!
 劣悪民族レッドラム共めえええ!いつか必ずや俺の遺志を継ぐものがあああ!
 貴様等残らず殲滅してくれるわあああああああああ!
 チルシスよ! ダミスよ! すまぬ! 俺は! 俺はあああああああああ!」

ジュッ……

短い肉の焦げる音ともに、アマントは人間の形をした黒い灰になった。
畜生……空しいよ……
この勝負……
灰になったアマントが崩れ落ちて無数の欠片になる。
俺達の負けみたいだ……
本当に1人100人殺してきやがった……
レッドラムに限界は無いんだな……
いや……むしろ自分で勝手に限界を設定したのは俺達の方か……
ジュぺリは両膝をつく。
「う……御免よぉ……モア……勝てなかった……」
ジュぺリは泣き出した。
アマデウスがその左肩をポンポンと叩く。
「大丈夫だよ。お前はよくやった。俺も一緒に死んでやる」
アマデウスはニコッと笑った。
こいつはこいつで凄い友人だ。
ジュぺリは思って、目を瞑った。
「テレーゼはお前の事、気に入ってたぜ? だから……」
ウィンダムが話しはじめる。
「お前を外科手術で普通のレッドラムにする方法を開発した。
 死にたいんなら好きにすれば良いけど、まだ生き残る道はあるんだ」
ジュペリとアマデウスは呆然としている。
「俺達を赦すのか……?」
アマデウスが聞く。
「君達の境遇については大体想像ついてるよ。迫害は辛いよね。
 私も少し分かるんだ。君達にその覚悟があるんなら地味で険しい
 日常を送ってみなよ。生きるって事は、きっと誰にとっても価値がある事だから」
キタテハが言った。
ジュぺリは少し黙りこんでいた……
アマデウスも黙っている。
彼も考え込んでいるようだ。
モアなら……
どうする……?
いや……
290 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/07(日) 21:58:55 ID:YaMekW3I0 [3/7回(PC)]
どうかするのは俺だ……
今生きている俺だ……
俺が決めるんだ……
「見てみたい……これからの世界の行く末を……」
ジュぺリは言った。
アマデウスはうんうんと頷く。
キタテハも笑った。
「私達そういうどん臭いのが似合ってるんだよ」
ジュぺリも少し笑みを作る。
「下界でおもいっきり小説読みてーな俺! 価値基準が大分違うんだろうな」
アマデウスが両手をあげて言った。
「俺達についてこいよ。医者を紹介してやる」
ウィンダムが言った。
「こいつもよろしく」
ユアイが突如姿を現した。
バルトークを背負っている。
バルトークは気絶しているようだ。
「あーんユアイさん。生きてて良かったわ」
キタテハが黄色い声をあげる。
「他は。大分いないけど」
その時、ドームの上からヤマギワとルナとネプトが降りてくる。
「てめっ……! ヤマギワ!」
ヨナタンがかまえる。
「無駄死にはよしとけよガキ。危害を加える気はない」
「ヤマギワさんは私達を助けてくれたんだよ」
ルナが説明した。
ヨナタンは警戒を崩さない。
「ふん……どうでも良いわ。よく生きて帰ったね。2人とも」
「ミナセとネプトの母さんが死んじゃったんです」
5秒くらい沈黙があった。
「えっ……!」
「嘘……」
「そんな馬鹿な……」
ユアイとキタテハとヨナタンが感想を返す。
キタテハの左目から涙がつっと流れ落ちる。
「アンタ、大丈夫なの?」
ユアイがルナの両肩をもって問いかける。
ルナは哀しそうな表情をする。
「大丈夫なわけないですよ……。でも大丈夫なんだ……」
ルナは眼をこする。
ヤマギワがケッと吐き捨てる。
「ろくに戦いもせずに……」
ルナは無視する。
「アレ?あんた、刀は?」
ユアイが指摘する。
「ミナセが死んだ直下に刺してきた。お墓がわりに。
 あの刀は、私の誕生日にミナセがくれた物だから良いの。
291 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/07(日) 22:00:17 ID:YaMekW3I0 [4/7回(PC)]
私は私の刀を見つけて一人で旅します。私は私に会いに行くの」
「一人で?」
ネプトが狼狽する。
「なによアンタ。一緒が良いの?いやらしいな」
「そんなんじゃねーよ!」
ネプトは顔を真っ赤にする。
「カンジさんは?」
ヨナタンが泣いているキタテハを無視してユアイに尋ねる。
「生きてるよ。さっき見た。修道服の女の子背負ってどっか行っちゃったな。
 元気そうだったよ」
「げ……修道服の女ってあの化け物かよ」
「アリスも生きてるのか……良かった……」
アマデウスが呟く。
「そんな! 師匠! 俺、おいてけぼりかよ!」
「もう一人前として認められたって事じゃないの?
 いつまでも一緒に旅するなんてちょっとおかしいよ」
ユアイがなだめる。
まぁ、カンジも大方そんな考えだろう。
ネプトも思った。
でも俺、目標を無くしちゃった……
ルナはそんなネプトの心の動きを感知しているようだ。
「ライマも来ないな……死んだのかもなアイツも……」
ユアイが呟く。
「えぐ……もぉ戦いなんて嫌だぁ……」
キタテハが目をこする。
「ルナっ!」
ネプトが強い口調で言い放つ。
ルナがキョトンとする。
「俺は……アンタを異母姉さんだなんて思わない!
 そんなのとはもっと別の次元で尊敬してるんだ!」
ネプトの顔が赤い。
本当に言いたい事が言えていない感じだ。
ルナはふっと笑う。
「ようネプト。話はよく分からんがお前も俺達と一緒に月に行かないか?
 お前はハッキリ言って天才だ。超天才だ。
 そのベスト&ブライテストな脳を生かす場所は月にある。
 今の地球には押しの弱い奴しか残ってねえ。人間の中での話だが。
 お前はその能力を研究の場で生かせ。それが天命だ。
 ここにいる奴らには悪いがレッドラムの未来はどこまで行っても
 閉塞されてんのが現状だ。テレーゼだって時が来ればお前を研究の
 道に引き入れるつもりでいたんだぜ?ちゃんと聞いてる。
 どうだ!一緒に月にこねえか!?」
ウィンダムが親指を立てて言った。
292 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/07(日) 22:01:00 ID:YaMekW3I0 [5/7回(PC)]
青髪が輝いてみえた。
突然現れた予期せぬ未来にネプトは戸惑った。
ルナも呆然としている。
母上の生きた世界……
母上の勧める世界……
それはこの上なく甘味な物のように思われた。
ネプトはルナを振り返る。
ルナは満面の笑みを浮かべている。
「行きなよ。ネプト。行きたいんでしょ?分かるよ」
「ルナも来いよ!」
思わず言葉が飛び出た。
ルナは苦笑する。
「私にそんな頭があるわけないでしょ」
「そんな事ないよ! ルナの速読は凄いし……俺……
 ルナが傍にいないと燃え尽き症候群で死んじゃうよ!
 ルナは俺の導き手だから! 俺のたった一人の……異母姉さんだ……!」
ルナの表情が柔和になる。
「私が導き手? それは間違いよ。貴方は貴方の意思で此処まで来た。
 そう信じてる。君の未来は君が決めるんだ。私なんか……ただの……」
「あきらめろよネプト。こいつは野に生きるのが好きなんだ。
 それ相応の強さも覚悟も持ってる」
ウィンダムが言う。
アシモは陰でぐすぐす泣いていた。テレーゼが死んだのが相当堪えているらしい。
野で生きる。
結局、俺とルナは違う人間だった。
ルナがいたから頑張れたんだとずっと思ってた。
だけど……
俺は……
「また会いに来る」
ネプトは強く言い切った。
ウィンダムがニヤッと笑う。
ルナも笑った。
俺の……勝利の女神だ……
「いってらっしゃい。馬鹿異母弟」
ルナは手を振った。
ウィンダムをネプトの背を持って向きを変えさせる。
アシモも泣きながらついてくる。
バルトークを担いだアマデウスとジュぺリも後に続く。
6人はレッドラムとスカイクロラの死体であふれた戦場を歩き始める。
ずっと歩いていく。
君のいない大地を……
それは退屈な道かもしれない……
でもそれが運命なんだ……
俺はそれを受け入れる……
涙を呑んで……
293 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/07(日) 22:01:37 ID:YaMekW3I0 [6/7回(PC)]
「ルナッ!」
ネプトは大きく振り返る。
ルナはビクッと反応する。
「好きだっ! ずっと待っててくれ!」
ネプトの声が荒野に響く。
皆、呆然とする。
告白……?
そんな……
ネプトの顔がだんだん真っ赤になっていく。
これは……
俺は……
なんかズレた事を……
ルナはそれでも、ニコッと笑ってくれた。
「ずっと待ってるよ! ネプト! いってらっしゃい!」
ルナの声が響いた。
ウィンダムがネプトの頭をげんこつで殴る。
「アホかっ!」という声が聞こえた。
ネプトはそれからも何度も振り返りながら道を歩いていった。
ルナはほっと一息ついた。
だが頭の上にヤマギワの顔があった。
「なるほどお前がナナミとミナセのね……」
「ちょっとヤマギワ! ちょっかい出したら承知しないよ!」
ユアイが言う。
「うるせえな売女。俺はナナミとただならぬ関係だから
 こいつともただならぬ関係なんだよ」
ヤマギワがニッと笑う。
ルナは飛んでヤマギワと相対する。
「そうだな。十数年したらまた会おう。もらってやるぜ。
 お前は巨乳の美人になるだろう。その時は……」
ヤマギワが頭をボリボリかいた。
「一緒に闘ろうぜ。南極でナナミが最後までやってくれなかったんだ」
ん……
この人、意外とプラトニックなのか?
「そしてその次は極上の……あべしっ!」
ユアイが後ろからヤマギワを殴った。
「その先は言わないで良い。どうせアンタ返り討ちにあって死ぬから」
「るっせーな売女! 神である俺に逆らうか!」
「神様は変態か?」
ヤマギワはぺっと血を吐く。
舌を噛んだらしい。
「どうでも良いよ。俺はコミュニティーには属さねえ! なにしろ
 神だからな。気が合う奴は数人いれば良いんだ」
「属してるじゃん。コミュニティーに」
「知るかよ! 俺は幼女のナナミ見ても全く興奮しねえから
 ここでおさらばだ! オメエラできるだけ早くくたばれよ!」
ヤマギワはそう言うとブンッと音を立てて消えた。
ドームの上に登ったらしい。
「ふぅっ。ややこしいのも去ったし解散にするかな。皆ご苦労さん。
 ルナちゃん。本当に一人で大丈夫?」
ユアイが言う。
294 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/07(日) 22:04:03 ID:YaMekW3I0 [7/7回(PC)]
「はいっ! 生きる為の術は全てミナセに教わりました!」
ルナは敬礼のポーズをとる。
ユアイは微笑む。
「がんばんな」
ルナの額をコツンとゲンコツで叩いた。
ミナセ!
お父さん!
私、生きるよ!
明日に向かう!
ミナセに一杯一杯色んな物もらったから!
有難う!
借りが返せるまでずっと死なないよ!
愛された分だけ遠くまで、私は行くんだ!
ルナは死体だらけの荒野の上を走り出した。
ネプト、私も強く生きる!
フォルテシモだ!
ルナは念じた。

295 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/10/08(月) 16:20:40 ID:p/BrBa9J0 [1/1回(PC)]
◆次回予告

14年後。月。
ネプト寝てる。
紫髪の女に手を引かれている。
ここはどこだ?
まだ俺はこの人を……

「こらっ!」
書類で叩かれる。
早く産まれた大脳特化型レッドラムのパンセだった。
「ボス!すいませんでした!」
「たっく、ところでこの仕事終わったら二人で食事しない?」
「ボス!ところで言いたい事があります!」
「あん……何?」
「今日限りで研究所を辞めさせてください!」

地球。
山の中の小さな川。
ルナが顔を洗っている。
後ろにツンツン頭を束ねた男と
彼に背負われたボサボサ頭の幼児が
見ている。ルナはチョンマゲだ。

ユアイの占い屋。
スウェーデンにある。
カンジとアリスが尋ねてくる。
「どうだ景気は」
「まずまずかな……」
「レッドラムが方々で魔界の門番に狩られてるようだ」
「息子が心配?」
「ふん……」
アリスが鼻で笑う。

青い光に乗って地球に来たネプト。
インドだ。
いきなりヤマギワに出会う。
「ルナはロシアにいる。走っていくぞ」

巨人がルナ達の前に現れる。
巨人はどんどん増えてくる。
魔界の門番は中で操縦している。
「トリプル・クラウン!」
エマの両手と右足を使った爆破。
吹っ飛ぶ巨人。
「イヨマンテ!」
ラックルの自分自身炎になっての体当たり。
顎から頭にかけて貫通する。
「畜生!強いぞ!こいつ等!」
巨人はそれでも増えていく。

ネプトの脳のチップに直接電話をかけるパンセ。
しかし繋がらない。
回線が遮断されているらしい。
つっと涙が流れた。

続く
296 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/08(月) 22:37:01 ID:WWfH7zNH0 [1/5回(PC)]
フォルテシモ第八十六話「緑の帰還」

第三次レッドラム大戦から14年後。
月基地。
月生物学研究所。
緑髪の白衣の男が机に突っ伏して寝ている。
いびきが聞こえる。
ウィンダムとアシモは無視して電子機器に向かっている。

緑髪の天パーの男ネプトは夢を見ていた。
とても綺麗な所、夏草の舞う草原に立っている。
ずっと遠くに花束を持った女性が立っている。
顔はよく見えない。
髪が光を透過して紫色の光を作っていた。
その女が手を振るのが見えた。
「ネプトー!」
そんな声が聞こえた。
俺を呼んでいるのは誰?
俺が俺の名前を呼ばせているのは誰?
俺は誰を求めているんだ?
それはきっと……多分……

パタパタと足音が聞こえてきた。
扉が開く。
銀髪の黄色い目の白衣の女が入ってくる。
女の名はパンセという。
早くに産まれた大脳特化型レッドラムで17歳だ。
ネプトとウィンダムとアシモの上司にあたる。
パンセは苦虫を噛み潰したような顔をして
ツカツカとネプトの所に歩いていく。
丸めた研究雑誌でスパーンとネプトの頭を叩く。
「いって!」
ネプトが飛び起きる。
「賃金泥棒! さっさと働け!」
ネプトは頭をかく。
ウィンダムがくっくと笑った。
その後すぐパンセはネプトに顔を近づける。
「まぁ、それはそれとして仕事終わったら食事でもしない?」
ウィンダムとアシモに聞こえない小声でそう言った。
ネプトはまだ夢見心地だ。
「それはそうと……」
ネプトは話しはじめる。
「俺、寝ている間に閃いた事があるんです」
パンセは多少苛立った。
「何?」
「約束を忘れてたんだ。俺は地球に行く。だから研究所辞めるよ」
パンセは呆然とした。
ネプトはその間にサラサラと紙に字を書いた。
「辞表!」
297 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/08(月) 22:37:45 ID:WWfH7zNH0 [2/5回(PC)]
バンッと辞表を机に叩きつけた。
「気が向いたらまた帰ってきます。まぁ此処にはもう就職できないでしょうが」
「駄目だ!」
パンセが言う。
「いや駄目なのは俺の方です。力ずくでも出て行きます。俺はレッドラムですよ?」
アシモがあたふたしている。
ウィンダムはニヤニヤしている。
「好きにするが良いさ。それも漢道だ」
「行ってくるよ! アシモさん! ウィンダムさん! ボス!
 本当に欲しい物を見つけにいく!」
ネプトは走って外に出た。
パンセは呆然と突っ立っている。
「ボス。生きてますか?」
ウィンダムが尋ねる。
止める事ができなかった。
負けた……
パンセの人生で最初の決定的な敗北は
こんな風に突如として訪れた。

さらさら……
さらさら……
地球。
ロシアの山奥。
清水が湧き出ている。
ルナは小川のほとりに屈みこんで水をすくって顔を洗った。
水滴がキラキラ舞ってルナを輝かせた。
ホシマチ・エマはそれをうっとりして眺めている。
背中にヒマツリ・ラックルを背負っている。
ラックルは寝ている。
ルナは14年前とほぼ同じ黒装束で髪をチョンマゲにしている。エマはボロボロの
ゲリラ兵のようないでたちでラックルは赤が基調のアイヌの民族衣装を着ていて
背中に黒い翼が生えている。
ルナは23歳。エマは15歳。ラックルは4歳だ。
3人で2年間旅してきた。
ルナはその前の10年間はずっと一人旅だった。
「西に行くかな……次は……」
ルナが呟いた。
「ガッテンです! ルナさん!」
エマが言う。
「ふあぁ……」
ラックルがようやく起きだした。

空間移動でネプトは一瞬にして地球にやってきた。
此処はインドだ。
街は人で溢れかえっている。
「さーて。地道に情報収集するか。ルナを探すんだ」
ネプトは腕をブンブン振り回しながら言った。
人が一杯だ。
こうゆうの久しぶりなんだよな。
なんか楽しくなってきたぞ。
ネプトはしばらく街を歩く。
298 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/08(月) 22:38:45 ID:WWfH7zNH0 [3/5回(PC)]
町の中心部にたどり着いた時に急に物凄い威圧感を感じた。
これは……この感じは……
「よう。俺のテリトリーに入ったのはお前か」
後ろから声がする。
ネプトは驚愕する。
髭を生やしたインド風の衣装を身に纏ったヤマギワだった。
ルナによく似た顔のサリーを纏った茶髪の美人を連れている。
「父さん。誰? この人」
「古い知り合いだ」
ヤマギワは言った。
父さんと呼ばれているようだ。
ヤマギワの娘……?
「何しにきやがった?」
「ルナを探しに」
本音を言った。
ふんっとヤマギワは鼻で笑う。
「アイツならロシアにいるぜ。魔界道具で俺には分かる。
 俺もこれから会いに行こうかって所だ。お前も一緒に行くか?
 俺がいないとすれ違うかもだぜ」
ネプトは多少ためらう。
「ああ、頼む。俺、どうしても今ルナに会わなきゃなんだ」
ヤマギワはニッと笑った。
「この世も捨てたもんじゃないぜ」
ヤマギワは言って、振り向き、ネプトについてこいと手で促した。

スウェーデン。
郊外の占い屋。
カウベルが鳴って客が二人入ってくる。
店主のユアイは煙草をキセルで燻らせている。
入ってきたのはアリスとカンジ。
アリスは黒髪が腰まで伸びている。
虹色のグラデーションのかかった服を着ている。
14年前とは印象が全く違う。
アジア系の非常な美人となっている。
カンジはあまり14年前と風貌が変わっていない。
ユアイもそうだが。
「久しぶりだね。カンジ。あーたん」
「寂しくしてるんじゃねーの?ライマ似の息子が旅に出ちゃって」
カンジがケケッと笑う。
「そっちこそ。あんた等の幼児連れ去られて戦々恐々じゃないの?」
「それくらいでヘコタレルような子はいらねーよ」
カンジはカラカラ笑った。
アリスもくすっと笑った。
ああ、こいつマジで可愛くなった。
ユアイは女ながらにそう思った。
「最近、あれよ。物騒よ。魔界の門番が何の為にか知らないけど
 方々でレッドラム狩ってるらしいよ。私達も子供達も気をつけなきゃ」
「あいつ等はアレで俺等と強さに遜色ねえよ。心配すんならテメエの
 心配しろよな」
カンジがツンと上を向いて言った。
「オセロは今も少しずつ産まれてくるスカイクロラを集めて
 元の村で村長やってるみたい。あの娘ならなんとかかんとか
 子供達を守れると思う。今の所、スカイクロラは抹殺の対象に
 なってないみたいだし」
「本当ウゼエよな。魔界の門番は。自分達を何だと思ってんだよ」
カンジが頭の後ろで腕を組む。
299 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/08(月) 22:39:33 ID:WWfH7zNH0 [4/5回(PC)]
「あんた等の仲は大丈夫なの?結婚してないんでしょ?」
カンジとアリスはキョトンとする。
「私達、一緒になんかするって事ほとんどないから。
 いっつも別行動。解りあえてもいないし。これからも関係は変わらないよ」
「はーん」
ユアイは煙を吐き出す。
「ま、なるようになるさ」

ロシアの砂漠地帯。
突如としてルナ、エマ、ラックルの三人は50メートルはあろうかというという
巨人十数体に取り囲まれた。
「はーん。何コレ」
巨人達は灰色の体が筋骨隆々で鎖や魔界の門番の服を簡素にした感じの物を纏っている。
一番前の巨人の口から魔界の門番が出てくる。
涎がダラダラと体に纏わりついている。
そいつは巨人の頭の上に立つ。
金髪を逆立てている健康的な美形だ。眼が爛々と輝いている。
「よーっす! 俺は魔界の門番フーコーだ! お前は前大戦の生き残りの
 ビョウドウイン・ルナだな!? はっきり言ってお前は魔界の調和を
 乱す危険因子だ! 他の奴等も良からぬ事を考えていそうな奴は
 かたっぱしから殺してる! 新しく魔界に入ってくるレッドラムにも
 洗脳教育を徹底するようになった! あとはお前等を駆除するだけだ!
 大人しく無に帰せ!」
そう叫んだあとフーコーは巨人の口の中にせかせかと入った。
どうやら中で操縦しているらしい。
「巨神兵『狂気の歴史』! 去ねや! 劣悪種族!」
フーコーの声が響く。
「ミナセと私が劣悪種族……?」
ルナはピクンと反応する。
紫の光が瞳に集まる。
エマは寒気を覚えた。
「まず二人でやってみて。頃合を見計らって加勢する」
ルナが言った。
「ガッテン!」
ラックルを背負ったままエマは突進していった。




300 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/10/08(月) 23:22:37 ID:WWfH7zNH0 [5/5回(PC)]
◆次回予告

皆でバトル。

ルナ、ヤマギワ抱く。
貴方が本当に私の中に見ている物は
最初から最後まで見る事の無かった
自分の前の世代の肉親。
お母さんでしょ?
「否定はしない。旅はどこまでも続く」

ルナ、闘い終わってネプトも抱く。
「約束守ってくれたんだね。嬉しいよ」
「ルナ、やっぱ俺お前がいないと駄目だ」

月からネプトに電話。
繋がらない。
うなだれるパンセ。

繋がれたから、生きた。

フォルテシモ完
301 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/10(水) 17:29:45 ID:HljiBxkX0 [1/7回(PC)]
フォルテシモ最終話「繋がれたから」

「はっはぁ! トリプル・クラウン!」
エマはラックルを背負ったまま巨人の膝に自分の両腕と右膝を叩きつける。
3つのオレンジの爆破が起こる。
よろめく巨人。そのまま轟音を響かせながら倒れ伏す。
「どうだぁ! 産声チェインソーの威力は!」
エマはオレンジの光になって縦横無尽に駆け回る。
足につけた深夜特急Ⅱの能力だ。
「ふぁ……」
ラックルが欠伸と同時に飛び立つ。
髪に隠れていた角が巨大化しヘラジカの角のようになる。
翼も同時に巨大化。
「イヨマンテ!」
叫ぶとラックルは真っ赤な炎の塊に包まれた。
「充足~! ひゃは! ひゃはははは!」

ドズオッ!

一気に巨人の顎にめがけて飛び出し顎から頭にかけて貫いた。
青い血を流す巨人。
搭乗員も同時に殺傷したらしい。
その巨人は無力化され轟音を轟かせて地に伏した。
「よっしゃ! いけるぞラックル! ルナさんの手をわずらわせんな!
 普段寝てる分働けよ!」
「ふぁ……」
ラックルはひゅるひゅると機動力を失い落ちてくる。
「劣悪種族めがぁ! 調子に乗るなぁ!」
フーコーの声がしてラックルに鉄拳が迫る。
ラックルの目が赤く輝く。
「月世界の火の鳥! ひゃは!」
ラックルを包む炎が一段強まる。
「はぁ!」
鉄拳と激しくぶつかり合う。
拳はジュッと音を立てて崩れた。
「ぬうっ!」
フーコーのうめきが聞こえる。
ラックルは高速でジグザグに動き回りながらカラカラ笑った。
「大丈夫そうだな……」
ルナは腕組みして見ながら呟いた。
しかし自分の腕がムズムズしてきた。
最近、命のやりとりしてないんだよな……
できる相手がいないから……
302 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/10(水) 17:30:23 ID:HljiBxkX0 [2/7回(PC)]
なんだか昔が懐かしいや……
なんだか昔が……
「やっとるねぇ。ご婦人」
後ろから声がした。
振り返る。
カンジとユアイとアリスだった。
カンジはニコニコ笑っている。
「世間話しに来たぜ」
「どうやって此処が分かったの?」
ルナは首を斜めにする。
「これこれ」
カンジはポケットから携帯の液晶ディスプレイを取り出す。
「パンセって大脳特化型レッドラムが作ったレッドラム探知機。
 魔界の門番の奴等も似たような物持ってるらしい。
 強さも大体分かるようになってるからお前等を探すのは比較的容易だ」
「うわ……最低……」
ルナは感想を言う。
カンジはカラカラ笑う。
「おお。我が子ががんばっとるようだな。俺も加勢するか。
 アリス。ユアイ。お前等もやるだろ?」
「うん」
アリスが答える。
「まぁね~」
ユアイは頭の後ろで腕を組んで言った。
「じゃ、いっせーのっ!」
カンジの掛け声とともに3人はばらけていった。

ドドドドドン!

空から巨人がもう十数体降りてきた。
カンジ達を追っていたのかもしれない。
自分も行くべきなのかもしれない。
瞬間、後ろから誰かに抱きつかれた。
肩の上から侵入してきた腕が胸の上で止まった。
「スゲエ良いじゃん。超巨乳だ。ナナミ以上かも」
振り返らなくても分かる。
声の主はヤマギワだ。
まったくこの人達は……
これだけ年とってもまだ気配に気づかないとは……
「やめろよ! ヤマギワさん! その役は俺の!」
また懐かしい声が響く。
ネプトだ。
ルナはヤマギワをふりほどいて振り返る。
303 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/10/10(水) 17:30:57 ID:HljiBxkX0 [3/7回(PC)]
緑髪に天パーの白衣の男。
自分より身長が高くなっている。
ルナは柔和な笑みを浮かべる。
ネプトははにかんだ。
「ま、まままぁ! 厄介事を消してから話す事話そう!」
ネプトはくるりと背を向ける。
そして駆け出す。
「オラ、ガキ共ぉ! もっと気合入れろぉ! 師匠! お久しぶりです!」
そんな声が聞こえた。
ルナはクスッと笑った。
そしてヤマギワの所にたたっと駆け寄り
そのまま正面からギュッと抱きしめた。
ヤマギワは狼狽する。
顔のすぐ横にルナの顔がある。
「またあらためてお会いしたかったの」
豊かな感触がヤマギワを刺激する。
「貴方が母さんと私の中に見ていた物は、貴方が最初から最後まで
 見る事の無かった人。自分の前の世代の肉親。……お母さんでしょ?」
ヤマギワは数秒沈黙する。
そしてフッと笑う。
「立派な女王蜂になったじゃねえか。さすがの神も少し……少しだけ……」
ルナは少し離れて真正面からヤマギワを見すえる。
ヤマギワがばつが悪そうに笑う。
「……何でもねえよ。お前の成長が何故か少し嬉しかっただけだ」
「否定はしないの?」
「どうでも良いからしねえよ。旅は続く。ただダラッと続くだけだ。神にとっても、な」
いつのまにか二人の後ろに茶髪の女が立っている。たいそうな美人だ。
「父さん。この人は」
「ああ、ミミナ。お前の異父妹だ。ルナ。よろしくな」
ルナはキョトンとする。
「ヤマギワ・ミミナと言います。よろしく……」
茶髪の女はちょこんと頭を下げる。
ルナはパッと笑った。
「ルナです。どうぞよろしく。異母姉さん」
ヤマギワはニヤニヤ笑っている。
「成長したって感じがするな。いや、元からこんなもんだったか?」
ルナとミミナは握手した。
「さてと。私達も参戦しようか」
ルナが言う。
「めんどくせーな。あいつ等あんな奴等にてこずりやがって」
「魔剣月読が血に飢えているわ……」
ルナが背負った大刀をズラッと抜く。
「おぉ。それが『お前の』新刀か」
304 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/10/10(水) 17:31:39 ID:HljiBxkX0 [4/7回(PC)]
「そう。『私の』新刀」
ルナはニコッと笑った。

「うおおおおおおおお! ゾエア! ミシス! メガロパ! 最終究極体!
 甲殻戦士! ビョウドウイン・ネプトォォォォ!」
ネプトの周りを液体金属が包む。鳥のような鋭利な仮面と
蜥蜴のような体。背に無数の触手を背負う。
「ステム、バーストォ!」

ドオオオオオオオオオオオン!

ネプトの右腕の竜宮の使いから放たれた緑の閃光が
一気に三体のどてっ腹を射抜いた。
ドミノ倒しのように倒れる巨人達。
「おいおいあの兄ちゃん強すぎだろ! あれがルナさんの異母弟の……!」
エマが感想を言った。
楽しい!
やっぱ楽しいよ!この世界!
俺はルナと一緒じゃなきゃやっぱ駄目なんだ!
お前がいないと駄目なんだ俺!
たった一人の肉親じゃないか!
俺は俺の生きる世界で生きるぞおおお!
「アルテミス!」
ネプトの眼前の巨人が縦割りになった。
紫の閃光が残像のように残る。
彼女ってさ。
最高なんだ。
最高なんだよ。
予定調和の未来は捨てた。
彼女とともに千変万化の世界を楽しもう。
それで赦してよ。世界。

月でパンセはネプトの頭の中のチップに向けて電話していた。
意識が他の物に集中されていてまったく繋がらない。
ザーザーとノイズ音ばかりが響いている。
私は、負けた。
何に?
世界に。
パンセの左目からつっと涙が流れ落ちた。
悪くないね……。
負けるのも……。
パンセはうなだれた。

繋がれたから、生きた。







小説「フォルテシモ」完     ※随時感想募集中

305 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/10/10(水) 17:32:14 ID:HljiBxkX0 [5/7回(PC)]
終わりました。やった。終わった
306 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/10/10(水) 18:07:32 ID:OSiYjbYb0 [1/1回(PC)]
いや、誰も興味ないから^^
307 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/10(水) 20:22:48 ID:HljiBxkX0 [6/7回(PC)]
そんな事言わないでくださいよ兄貴
308 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/10/10(水) 23:17:54 ID:HljiBxkX0 [7/7回(PC)]
さらば友よ!
309 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/10/12(金) 18:47:35 ID:SssTuRmD0 [1/1回(PC)]
有難う友よ!
310 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/10/14(日) 22:44:19 ID:dlXXNr8C0 [1/1回(PC)]
よう友よ!
311 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/10/17(水) 09:37:21 ID:13Syypoo0 [1/1回(PC)]
えう
312 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/17(水) 09:48:29 ID:cISx1+ZyO [1/1回(携帯)]
他人とロクに会話もできないような世間知らずの書いた文章が面白いわけねえだろ
313 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/10/18(木) 17:05:50 ID:l+3O6meO0 [1/1回(PC)]
戦士なんてガラじゃない
母さん、僕が間違ってたよ

だっせぇ
死ぬのが怖くないって
それは君が弱かったからさ
俺は死ぬのなんてまっぴらだ
314 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/10/28(日) 00:36:49 ID:cc0Or7IyO [1/1回(携帯)]
あべさんが言った
やらないか?
僕は怖くなり逃げ出した
そして僕は町の外れの町工場に隠れた
安心して僕は眠りに付いてしまった
目を覚ますともう日が暮れていた
僕は財布の小銭をかき集めてバスで帰る事にした バスの客は僕だけ そして運転手が口を開いた
お客さん


やらないか
315 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/10/30(火) 23:54:41 ID:4hv2YFyZ0 [1/1回(PC)]
よあ
316 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/11/15(木) 10:48:21 ID:85CmAPG3O [1/1回(携帯)]
おれ
小説家になりたいんだけど
317 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/11/15(木) 12:09:12 ID:uVDonmrH0 [1/1回(PC)]
なんか作品見せて
318 : 深夜特急 ◆xFhqdkNlmM [] 投稿日:2007/11/16(金) 12:07:11 ID:T9ndZ0IE0 [1/1回(PC)]
いいよ
319 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/11/16(金) 14:59:20 ID:hKZ2PsBt0 [1/1回(PC)]
お前はさっさとくたばれ
320名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/11/19(月) 16:51:31 ID:WCs8VIqs0 [1/1回(PC)]
携帯小説などが話題になる昨今ですが、
五年ほどかけて一作も仕上がっていない俺はもうスイーツ以下なんだろうな
321名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/11/19(月) 17:33:42 ID:GW3xRUS20 [1/1回(PC)]
>>320
アレより酷いということはなかろうw
大作考えるとどうしても挫折するけど、
シチュエーション限定して短編作ってリハビリせよ
てか、俺が今してるとこだ
たとえば、こういう絵とかから1作短編作れ、みたいな

http://pict.or.tp/img/30956.gif
322 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/11/19(月) 21:33:24 ID:ekCpDzVN0 [1/1回(PC)]
俺も長編を書こうとすると気力が途中で萎えるから、
疲れたら適当な短編を書いてるな。
323名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/11/20(火) 16:18:26 ID:VZcq5so30 [1/1回(PC)]
>>321
短編はおろか掌編すらまともに書けんのだぞ・・・
中身がどのようなものであれ、ひとつの作品を仕上げられる奴らにはかなわん・・・

というようなレスをしていたら創作文芸板を追い出されたんだけどな。
どうも俺は根っからの孤男らしい
324名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/11/20(火) 17:05:12 ID:adveiSCi0 [1/1回(PC)]
>>323
あそこはキライだ
文系インテリぶってるだけの奴が多い
真面目に教えてくれる人もいるけどな
うちらはうちらで孤独にやろうぜw

書けない時は、自分の好きな作家の作品を
手書きで丸写ししてみれ
一回だけやったけど、効果ある
325 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/11/20(火) 22:17:29 ID:JAmz44WN0 [1/1回(PC)]
創作文芸板はな…本当のプロなのか卵なのかわからない
得体の知れない人に批評されるのは、どうにも躊躇してしまうな…。
326 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/11/21(水) 12:59:55 ID:IZzfkWGy0 [1/1回(PC)]
>>324
写経か・・・面倒くさそうだがやってみるべきかな。
今考えてる長編を完成してから・・・いつになるかわからんが・・・
327 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/11/24(土) 00:01:24 ID:jx7A80J70 [1/1回(PC)]
ジャンルとか、内容とか、皆どんな小説書いてるんだ?
328 : 深夜特急 ◆xFhqdkNlmM [] 投稿日:2007/11/24(土) 10:26:36 ID:G2Ol3cpM0 [1/1回(PC)]
セカイ系です
329 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/11/26(月) 10:28:16 ID:eaN0Rcge0 [1/4回(PC)]
ホラーだが・・・ダメだ全然進まん・・・
なんでこんなありがちな設定のショボいラノベすら書き上げられんのだ・・・
俺は中学生以下の脳みそだというのか・・・
330 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/11/26(月) 10:42:57 ID:eaN0Rcge0 [2/4回(PC)]
おかしい。
今は中学生だろうが小学生だろうが当たり前のように小説を書き、自己出版までしている時代だ。
なのに俺は何故、そんな簡単なことが出来ないのだろうか。
別に文学的な価値のある作品を書こうというわけでなく、ショボイ長編を書きたいだけなのに。
何枚原稿用紙を消費しても終わりが見えてこない。
今取り掛かってる長編を書き始めて三年になるがいまだ冒頭すら書きあがってない始末だ。
これは俺の脳になんらかの障害があるという可能性が一番高いと思うのだがどうよ?
331 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/11/26(月) 10:46:07 ID:ot58B7nc0 [1/2回(PC)]
ケータイ小説なら中学生でもかける
332 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/11/26(月) 10:51:09 ID:eaN0Rcge0 [3/4回(PC)]
それが書けないから本格的に焦ってるんだよ・・・
誰だって簡単にできるはずのことが出来ない。かといって相談する相手もいない。
まぁ友人や家族がいたところでこんな情けない相談できないが・・・
333 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/11/26(月) 11:06:29 ID:ot58B7nc0 [2/2回(PC)]
長編じゃなくて短編をつくって練習すればいいじゃん
それをつなぎ合わせて長編にするとか。
334 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/11/26(月) 11:11:11 ID:eaN0Rcge0 [4/4回(PC)]
短編も掌編も書こうとしたが、そのたびに一発ネタが思いつかず挫折した。
今書きたい長編も短編三作から作ろうとしたが、いつになっても完成する兆しなし。
335 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/11/26(月) 22:40:33 ID:cYTOJuiT0 [1/1回(PC)]
お前こっちに来たのか
まあいいけど
336 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 12:58:51 ID:Woo8DiwT0 [1/1回(PC)]
もう行く場所ないし、この板が一番俺に合うだろ。
337 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/11/28(水) 14:29:45 ID:ZtFjJKsC0 [1/1回(PC)]
小説が一本も書けない自分が本当に嫌だ。
携帯小説やリアル鬼ごっこを読んで「くだらねぇ」と思うのに、
「じゃあそれすら書けない俺ってクズだな」という自己嫌悪が・・・
どうすればいいんだよ…
338名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/11/28(水) 15:16:58 ID:Owp3U2Ii0 [1/2回(PC)]
初めっから名作を書こうと気張りすぎてるんじゃないか?
一握りの天才ならともかく、凡人にそんなまねができる訳ないだろう。
もっと気楽に書け。ケータイ小説以下の屑でもいい。完成度なんて気にするな。
339 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/11/28(水) 15:20:03 ID:Owp3U2Ii0 [2/2回(PC)]
念のために聞くけど、インプットを怠ってはいないよな?
インプットなくしてアウトプットはできないぞ。
340名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/11/28(水) 16:42:39 ID:PwK7Sq2V0 [1/2回(PC)]
>>338-339
毎週、図書館で色々借りてきてるからインプットは十分なはず。
名作を書こうという気はない。どうせ書きあがっても誰にも見せる気は無いから。
ただ、物語がまったく進行しない
341 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/11/28(水) 17:46:25 ID:PwwX2YoKO [1/1回(携帯)]
>>340
できないってことは…
それはまだインプットできてない証拠
342 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/11/28(水) 17:54:34 ID:PwK7Sq2V0 [2/2回(PC)]
どうしろと

あと、どんなに頭捻って設定を考えても、
ハルヒかブギーポップもどきになってる事に気づいて、やる気を無くすことは多い。
343 : 深夜特急 ◆xFhqdkNlmM [sage] 投稿日:2007/11/28(水) 18:44:01 ID:K3W1vr+80 [1/1回(PC)]
へっぽこへっぽこ
344 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/11/28(水) 19:33:03 ID:90sfdN/e0 [1/1回(PC)]
書きたい事が無いから書けないんじゃないか
んで書けないなら書かなきゃいい
根本に「表現したい」って衝動が無い創作ほど形骸的で虚しいもんはないよ
345 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/11/29(木) 11:25:23 ID:F5HFTuYo0 [1/1回(PC)]
>書きたい事
あるんだけどなぁ・・・

インプット云々はよく言われるが、野ブタをプロデュースの作者は普段、小説を全然読まなかったそうだぞ。
それは”一部の例外”で片付けるにしても、魔法のあいらんどなどに書き込まれてる携帯小説を読むと、
「こいつら小説読んだことあるのか?」と疑問に思うような連中ばかり。
そんなレベルのものすら書けない俺って何よ?と更に疑問が増える。
346 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 15:23:40 ID:3zDMBraXO [1/2回(携帯)]
プライドが高すぎるんじゃね?
話の内容が面白ければ、日本語がクソでも
それなりに読める小説になるぞ、逆は無理だが。
とりあえず無理矢理でもいいから完結させていくのが大事
347 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/11/29(木) 15:44:16 ID:/FjoO5B80 [1/1回(PC)]
大したストーリー思いつかない・・・
犬鳴村ネタとか考えては見たけど、恐ろしくありがちな話になって書く気が失せた。
それ以前にそのキャラクター達の設定を説明せねばならん一話の内容が(ry
面白そうな冒頭だけなら何とかなるかもしれないけど・・・
348名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/11/29(木) 17:13:17 ID:3zDMBraXO [2/2回(携帯)]
設定は徐々に明かしていくもんだろ
349 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 17:58:08 ID:x9gkz1dwO [1/1回(携帯)]
発想がありがちならそれがあなたの本分なんだろ。レトリックやら構成やら別の方面で腕を見せればいい。
陳腐な設定を面白く読ませる技術は、特異な発想なんかよりよっぽど汎用性あるぞ。
携帯小説クソだの文豪天才様々だの、誰かのせいにしてないで正々堂々その「書きたい事」を書けばいいのに。
350 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/11/29(木) 20:50:58 ID:jIDb6jZY0 [1/1回(PC)]
347じゃないけど、なんかありがとう。
とりあえず書いて見るよ。
351名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/11/30(金) 08:48:52 ID:Q3/sEAGo0 [1/1回(PC)]
>>348
SF設定だとある程度説明しないと…

>>349
その書きたいことが書けないのが問題なわけで。
大体のイメージはあるんだが、それをストーリーに絡ませることができん。
352名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/11/30(金) 11:02:09 ID:YxPxnV9T0 [1/2回(PC)]
>>351
俺もSFには詳しくないけど、A・E・ヴァン・ヴォークトとか読んでみろ。あとディックとか
まああれは参考にならない例かもしれないが
353 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/11/30(金) 13:18:55 ID:YQ5BLGZp0 [1/2回(PC)]
>>352
日本人が当たり前のように拳銃ぶっ放したり、怪物が出現するとなると説明しないとマズい・・・

オチを思いつかぬまま5、6ページほど書き始めて、行き詰って捨ててを繰り返してる・・・
354 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/11/30(金) 15:30:45 ID:2+wusmU8O [1/2回(携帯)]
オチを思いついてから書けよ
355 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/11/30(金) 16:51:36 ID:YQ5BLGZp0 [2/2回(PC)]
それがなかなか思いつかんから困る。

SFものとホラーものの両方を書いてるが、特にホラーのほうの進行が遅い。
理由は幽霊を倒す手段が思いつかない事w主人公が霊能力とか使い出すのは萎えるしなぁ・・・
356 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/11/30(金) 18:42:59 ID:YxPxnV9T0 [2/2回(PC)]
試しに歴史小説とか書いてみたらどう?
そうなるとプロットは既に出来ているわけだし。失礼な言い方かも知れんが。
357 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/11/30(金) 18:48:20 ID:tHds/Izw0 [1/1回(PC)]
そういう手があったか。だが俺自身が興味を持てない・・・
書きたいものすら書けない現状で興味の無いものを書けるか・・・?
358 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/11/30(金) 20:03:12 ID:2+wusmU8O [2/2回(携帯)]
歴史小説は難しいぞ
大まかな流れを追うだけでは内容が無いものになるから
原書や古書でしか手に入らないような深い知識が必要だし
当時の風俗や服装、マイナーな人物に詳しくないと描写ができない。
「99%の事実と1%の創作」と言われるくらいで
生半可な知識だと面白い歴史小説は書けないぞ

ファンタジーなら書きやすいと思う
何もかも自分の好きなように書けるからね
359 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/12/01(土) 14:45:56 ID:Q4CiQJla0 [1/1回(PC)]
すぐgdgdになって書く気うせるんだよなぁ・・・
特に女性キャラとの会話シーンが死ぬほど辛い
360 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/12/01(土) 16:39:04 ID:QK0Ut7AO0 [1/1回(PC)]
誰かここに書いてくれよ
361名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/12/01(土) 21:07:45 ID:F/JDdxpg0 [1/1回(PC)]
ラノベ作家目指しています。感想ください。

【ラノベ】自分の作品を晒し感想を貰うスレvol.7
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1194683066/

【アドレス】 http://wannabee.mine.nu/uploader/files/up1156.txt
【ジャンル】 ファンタジー
【タイトル】 悪魔
時系列や状況を把握できるか。本編に期待が持てそうか。くどさが気になるか。読みやすい文章になってるか。その他。
長編のプロローグです。宜しくお願いします。
362 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/12/02(日) 13:21:35 ID:4ol0QxPe0 [1/1回(PC)]
>>361
404

書きたいシーンはあるんだが、それにオチをつけようがない・・・
原稿用紙に溜まっていくのは無駄なエピソードばかりで、物語が進行する気配がない・・・
363 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/12/03(月) 11:05:12 ID:UwCp9WQV0 [1/1回(PC)]
>>361
ファイルがないやん
364 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/12/03(月) 13:21:28 ID:nwkhBA4e0 [1/1回(PC)]
最初に発生する事件は思いつくけど、それ以外の事が思いつかないことってあるよな。
あと、書けども書けども『このシーン無駄なんじゃね?』と思うこととか
365 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/12/03(月) 22:43:02 ID:o3+qNhU30 [1/1回(PC)]
短編だったらここで晒してもおk?
366 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/12/04(火) 17:08:13 ID:omLQVgOC0 [1/1回(PC)]
いいんじゃね
367 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/12/06(木) 23:12:16 ID:K+5x5yZ3O [1/1回(携帯)]
あれ?布野は?
368 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/12/07(金) 14:44:34 ID:9uDbDGfx0 [1/1回(PC)]
好きなように晒してくれよ
369 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/12/07(金) 16:42:49 ID:Yvnhemcb0 [1/1回(PC)]
いくら書こうとしてもネタが無い・・・書くと言いながらも何も書かない毎日・・・
370名前は誰も知らない[] 投稿日:2007/12/07(金) 17:25:55 ID:zyn8QtrJ0 [1/1回(PC)]
クッソタレの客ーーーそうあのクッソタレが残したオマール海老の残骸が真っ白な皿とともにゴミ箱に投げつければ
1秒の何分の時間は自分自身になれるん
その一瞬にも可愛い子供ーーー無論クッソタレではないあのイトオシイ子がくるくる回っているんだ。
371 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/12/12(水) 01:25:35 ID:540MSm3bO [1/1回(携帯)]
>>370
同情を禁じ得ない文章力
せいぜい頑張ってくれ
372 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2007/12/12(水) 18:09:44 ID:t673a1AV0 [1/1回(PC)]
     ____
   /__.))ノヽ
   .|ミ.l _  ._ i.)
  (^'ミ/.´・ .〈・ リ 
  .しi   r、_) |  ワシが育てる
    |  `ニニ' /
   ノ `ー―i´
373 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2008/01/01(火) 00:12:11 ID:+m5ZHhXv0 [1/1回(PC)]
俺が小説を書き始めようと考えて6年が経ったぜ!!!
未だ一作も完成する気配無いぜwwww
374 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2008/01/04(金) 07:56:35 ID:8rodseN60 [1/1回(PC)]
あるある
375 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2008/01/04(金) 17:38:48 ID:YxE2bBxE0 [1/1回(PC)]
もう半年くらい書いてない。感覚取り戻さないと
376 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2008/01/05(土) 13:11:46 ID:Wh6E1+TQ0 [1/1回(PC)]
クライマックスシーンはスラスラ書けるんだけど、何気ない日常を描写するのは難しいぜ
しかし、日常を丁寧に描かなければクライマックスは生きてこない
小説というのはかくも難しいものか
377 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2008/01/09(水) 22:24:11 ID:y97lXopS0 [1/1回(PC)]
書けるところだけ書いて、SSにしてもいいかもしれんぞ

日常とかはあらすじみたいに少しだけ書いて読み手に創造させるとか
378 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2008/01/24(木) 07:39:42 ID:yezqc7cH0 [1/1回(PC)]
なんとしても2月までは一本書き上げてみせる!
379 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2008/01/25(金) 07:45:53 ID:ysZ8Snym0 [1/1回(PC)]
ほっしゅ
380 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2008/01/26(土) 20:15:50 ID:6dIaoTLx0 [1/1回(PC)]
もうスイーツ以下だと言うことを認めざるを得なくなってきた。
情けなさ過ぎる・・・小説のひとつも完成できないなんて・・・
381 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2008/01/27(日) 07:58:15 ID:1JbjsYIrO [1/1回(携帯)]
小説家になりたいんですが何から始めたらいいですか?
382 : 名前は誰も知らない[] 投稿日:2008/01/27(日) 08:01:52 ID:TEYciNkB0 [1/1回(PC)]
2chでパチンコの大手、株式会社マルハン(代表取締役会長 韓 昌 祐、代表取締役社長 鈴木 嘉和、代表取締役副社長 韓 裕)
のスレで ホルコンや遠隔や桜などについて書き込むと工作員(渋谷マルハン社員、マルハンに依頼されたネット工作会社)(仮)
がやってきてスレを荒らしてスレを機能停止させます。(大量のコピペを連投するのでコピペ馬鹿と呼ばれている)
↓↓工作員の荒らしのやり方↓↓
2007/11/03(土)ID:b+XZQwwt0
マルハン難波店http://money6.2ch.net/test/read.cgi/pachij/1146755003/417
マルハン総合スレッドhttp://money6.2ch.net/test/read.cgi/pachij/1187021165/413-416
MPT渋谷パート9http://money6.2ch.net/test/read.cgi/pachij/1197771701/9
2007/11/14(水)ID:IQ2W+BsJ0 2007/11/15(木)ID:Fi5mVWm/0
マルハン総合スレッド 9http://money6.2ch.net/test/read.cgi/pachij/1187021165/486-488
マルハン難波店http://money6.2ch.net/test/read.cgi/pachij/1146755003/434-437
ガイア(笑)http://money6.2ch.net/test/read.cgi/pachij/1178977365/490-492
ガイア正社員友の会http://money6.2ch.net/test/read.cgi/pachij/1188211786/134-138

工作員に荒らされ機能停止したスレ
■■■■マルハン総合スレッド 9■■■■http://money6.2ch.net/test/read.cgi/pachij/1187021165/
【山崎】MPT渋谷パート9【シャネル】http://money6.2ch.net/test/read.cgi/pachij/1197771701
【基地外が大暴れ4】エスパス日拓総合スレ【18発目】http://money6.2ch.net/test/read.cgi/pachij/1188885488
MPT渋谷はマルハン・パチンコ・タワー渋谷の略です。

パチンコ産業は荒らすことでレスとレスの間を空けて読む気をなくさせたり
マネーロンダリング、さくら、ホルコン、遠隔、などの風評被害を最小限に抑えようとしてる。

新スレ→○○○マルハンパチンコタワー渋谷パート10○○○
http://money6.2ch.net/test/read.cgi/pachij/1201304777/l50

383 : 名前は誰も知らない[sage] 投稿日:2008/01/27(日) 22:07:24 ID:gUeFJZ4K0 [1/1回(PC)]
このサイトは結構参考になったぞ、見てみれ
http://www.feel-stylia.com/rc/creative/

終了したスレッドです

おすすめスレッド

PR

みんなが見ているスレッド

PR

スポンサードリンク