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1 : ◆</b></b>ARTs7Q6pII<b>[] 投稿日:19/07/28(日)11:20:07 ID:5WV [1/3回]

超常の力を操る人間、通称『超人』がこの世に現れる様になって数十年の時が経った。
世界は、減少の一途を辿る資源や、解決しない温暖化等による環境の変化、それらを解決する可能性を内包した超常の力を巡り、水面下では複雑、混沌とした情勢を描いている。
そんな最中、奇跡的とも言える均衡状態と平穏を保ち続けている日本。
その首都、東京の一都市『上矢市』にて物語は始まる。

【wiki】
https://www65.atwiki.jp/tyoujoutoshikamiya/

【キャラシートテンプレ】
【名前】
【性別】
【年齢】
【職業】
【容姿】
【能力】
【概要】

【スレのルール※必読】
・荒らしによりなりすまされる可能性があります。防止の為、書き込みやキャラシート投下の際には必ず酉を使用してください。
・世界観や他参加者様のキャラクターに影響を及ぼす大規模な設定を作る事は、この遊びの醍醐味の一つでもありますし、
 使い方次第で物語に広がりを持たせる物ですので全面的な禁止等はいたしません。
 ただ、同時にそれらはトラブルを生む原因になってしまうかもしれませんので、事前の相談だけは必ずする様にお願いいたします。
・当スレは基本的に参加者様の素性を問いません。
 当スレ内の規約やなりきりという遊びの規則をきちんと守り、他参加者への気遣いが出来るのであれば、どなたでも歓迎いたします。
 ただし、当然ですが他参加者様への迷惑行為や、他スレでの迷惑行為等が確認された場合は、荒らしであると判断し即時アク禁の対象となりますのでご注意ください。
・新規参加者様やストーリーイベント参加者様に向けたロールまとめは、ロールの数にも寄りますが原則一週間程の周期で私がさせていただきます。
 ただ、全てのロールの内容を完全に把握し齟齬無く纏める事は、主自身の実力の不足もあり難しいので、
 都度『このロールはどういう内容でしたか?』とロール参加者様方に問いかける場合がございます。
 お手数おかけしますが、その際は宜しくお願いします。
・R18描写は好き嫌いが分かれる為原則禁止です。
・相手が不快になるロールはしない様に、もししてしまい相手から注意を受けたら、素直に謝った上で改善しましょう。
 何度か注意を受けても改善が見られない場合は、アク禁等での対応をする場合があります。
・トラブルになりそうな事案は慌てて個人で解決しようとせず、スレにいる他の人達と一緒にどうするかを考えましょう。
・キャラシートは必ずしも必要ではありませんが、キャラシート無しでのロールをする場合、相手が不利にならない様極力ロール内で必要な情報は開示しつつロールをしましょう。
・何をするにもプロレスが原則です、一方的なロールにならない様気を付けましょう。

【当スレは】
ロールスレです。
キャラシートの投下等は、相談議論スレを使う様にお願いします。

【前スレ】
https://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1562769884/
2屑田二郎三郎 ◆</b></b>s6CQ9bUC96<b>[] 投稿日:19/07/28(日)12:42:10 ID:f6k [1/1回]
再度抗議いたします
今回のこの不当なアク禁について、私は全く納得できません、承服できません
まったく理由のないアクセス禁止は、はっきりと不当行為です
開かれたスレとは思えない所業です
わたしの書き込みのどこが、「スレのルール」に抵触しましたか?
万が一わたしのロール描写が不快であるならば、

・相手が不快になるロールはしない様に、もししてしまい相手から注意を受けたら、素直に謝った上で改善しましょう。
 何度か注意を受けても改善が見られない場合は、アク禁等での対応をする場合があります。

と条文があるはずです
しかし、わたしには一切の注意もなく、また改善(悪をした身に覚えはありませんが)の機会もありませんでした
これはあまりにもスレ主の方のアク禁権の暴走なのではありませんか?
このような事は、なりきりスレにとってよい風潮とは思えません

わたしは次の二つを要求します

・アクセス禁止の即時解除
・アクセス禁止に至った経緯や動機
・超常スレ主の交代の検討・議論の開始

です。
みなさまよろしくご検討をお願いします
議論がスタートしないならば、私は何度でも改善を訴えていきます
3◆</b></b>ARTs7Q6pII<b>[] 投稿日:19/07/28(日)13:24:25 ID:5WV [2/3回]
!aku2
★アク禁:>>2
4◆</b></b>wGshD5jdqQ<b>[] 投稿日:19/07/28(日)17:02:03 ID:Xtv [1/1回]
>>3
あらためて、なぜ私がアク禁なのですか?
アク禁の理由と根拠を説明する義務があるはずです
私の書き込みに何が問題がありましたか?
ローカルルールの何に抵触しましたか?
アク禁を乱発しすぎなのではありませんか?
せめて、コミュニケーションをとっていただければと思います
5 : ◆</b></b>ARTs7Q6pII<b>[] 投稿日:19/07/28(日)17:03:02 ID:5WV [3/3回]
!aku4
★アク禁:>>4
6雲仙ハルト◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/07/29(月)23:42:03 ID:Kcx [1/1回]
>>999
「何だよつれねぇなぁ……ったく、サンキュ」

顔を近づけても離れてゆく仁の姿を見れば、ケタケタと笑いながら太ももを叩いて
結局ライターで火を灯せば、ようやく落ち着いたといった心地で吐き出した紫煙が夏空に溶ける
中々にイジり甲斐のある反応を見せた仁は、やはり自分の好みだと確信したように頷くと灰を落として立ち上がり

「あ?お前に触らせるわきゃねーだろ!」
「そんな『触れたモン全部壊します』って顔した奴に客の車が任せられるかよ……」

どう見てもクルマやらを弄れそうにはない仁の外見と振る舞いはメカニックに相応しいものではない
きっとスクラップを作るのは得意でも、それを美術品に仕上げることは至難の業であろう
もしも業務に就くとして、任せるとすればペーパーワーク程度のものだろう。面倒くさいし誰かに丸投げ出来るのであれば重畳だ

「つってもよ、俺の店くらいしかオメーみたいなはみ出しモンを拾ってやれる場所なんざねーぞ」

鋭い視線を向ける彼とは裏腹に、ハルトは本当に善意で雇用を提供するくらいの気持ちしか持たない
けれどそうした疑念を向けられるうちに、ふと彼のカタギに非ずなバックボーンを鑑みて
何かを思いついたように顎を撫でて、それから人差し指を立てた

「それに……こんなご時世だ、お互い信用できるダチ位は持っといた方がいいぜ」
「なーに、取って喰やしねェよ……怖がんなってば」

裏と表、善と悪。それぞれが均衡を保っているからこそ社会は成立している
であればお互いが背中合わせに並んで立ったとて、何らおかしな事ではないだろう
それでもダメかと、ハルトは仁を口説き続ける。最も大きな理由は単純に彼を気に入っているからだが

//立て乙です
7 : ルクレティア◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/07/29(月)23:47:43 ID:fqV [1/1回]
前スレ>>1000
逃げられたのか逃がされたのか、そんな意図は些事に過ぎない。重要なのは結果のみだ。
埠頭から高度を上げて、建造物の上空で幾度かの転移でもって悪天を抜け。
慣れ親しんだ店構えを目前としたところで、とうとう死力の糸が切れて視界が瞬く間に白塵に烟る。
海底に沈んだ花束の如く、半ば打ちつけるように雨粒と共に路面へと落ちて、そこで意識を手放した。

どうやら冥界の門はまだ遠かったらしく、その後物音を不審に思った同志によって救命を果たされることとなる。
意識を取り戻した彼女が国の手先たる存在を語るまで、そう時間を要することではなく。
解放師団による認知と意識を成したという点においては、玲の目論見は成功したと言ってもいいだろう。

//お付き合いありがとうございました、楽しかったです
//またよろしくお願いします、お疲れ様でした
8志垣 仁 ◆</b></b>YUffmOEkuc<b>[sage] 投稿日:19/07/29(月)23:59:07 ID:l96 [1/1回]
>>6
「ア゛ァ゛オ゛……ッ!」

太ももも火傷を負っていたらしい。パシンと叩かれれば先程とまるっきり同じ動作。
やっぱり貸すんじゃなかった。と心の中で恨み言を呟くのであった。

「オマエそれが人を口説く時の態度かいな…!」

バイクの簡単な点検程度は出来ても、本格的な修理は不可能なのは事実。事実なのだが、面と向かって言われるとムッとくるものがある。
ギリギリと歯軋りを漏らしながらも、手を出す事もそれ以上何かを言う事も出来ないのは、その辺りが関係していた。


「……はみ出し者、ね……」

フッ、と微かに笑えば紫煙を吐き出す。側から見ても、矢張りそう見えるのだろうか。
目を閉じて逡巡。足を組んで上体を回し向き直れば、紫煙の向こうから志垣は鋭い眼を向けた。

「───お前みたいにか?“ブラックスミス”さんよ」

「……ちなみに今のはカマかけただけや」

たっぷり数秒間を置いてから付け足す。確信を持ったわけではないにしても、以前会った時の物言いから殆ど目星を付けていたようなもの。
あの態度から、噂程度には聞いていた謎の存在自身か、かなり近い位置にいると推測していたのだ。

「───なら、ハッキリ言っておこか。オレはな、オマエみたいな人間をむしろ取って食う側の人間や。
 オマエさンがアングラで後ろめたい仕事……少なくとも、人を好き好んで殺すような連中に道具を卸さないって言うンなら、考えてやってもええかもな」

素性は完璧でないにしてもバレかかっている。少なくとも、ただの失業者でない事ぐらいは向こうも分かっているはず。
明かすのは、彼の真実のほんの一部。流石に詳しい役職までは開かせないにしても、大抵の裏の人間からはいい顔をされない存在だという事は分かるだろう。

「オマエをここでふん縛って連れてかへンのはな、前に水奢ってもらった恩とオマエが極悪人じゃなさそうっての除けば、現行犯じゃないからってだけの理由や」

肩を竦めて付け足す。彼とてハルトに悪印象を抱いているわけではないが、それでも仕事は仕事、彼の信念は信念だ。
それが他人を理不尽に傷つける事に繋がるのなら、見過ごす事は出来ないのだ。難儀な事だとは思うが。

//立て乙ですっ
9影鶴 忌憚◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/07/30(火)00:04:54 ID:5q9 [1/9回]

「オイオイオイ。死んだわ、旧校舎(アイツ)」

放課後の時間を少し上回る頃。帰宅する生徒も疎ら。
安価なスーツに身を包んだ男が、倒壊した旧校舎の前で呆けた声を上げていた。


「……風の噂なんてもんじゃぁなかったもんなァ~~」
「暴風雨の警報クラスだものなァ~~……勘違いじゃすまねぇよなぁ……」

「俺たちオカルト部の学び舎がよぅ。……あわよくばよぅ、でっけぇ遺宝(レリック)になるとか思ってたのによぅ」


旧校舎、オカルト部、遺宝(レリック)といった思わせぶりな言葉の数々は一人言でたまたま零したというには余りにも良く響く。
それはまるで誰かに聞かせるように、何かを呼び寄せるようにして呟かれ(?)
暫しの間を置けば、男は旧校舎に足を踏み入れるのであった。
それはつまりシンプルに不法侵入なのだ。
10 : 影鶴 忌憚◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/07/30(火)00:05:21 ID:5q9 [2/9回]
//たて乙でっす!
11双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/07/30(火)00:17:59 ID:em0 [1/9回]
結局返事はしない方が自然と落ち着いた病院前(前>>991参照のメタ)。

右目を覆う眼帯の下の痛みはなお残り、腹部にも幻痛が未だに残る。罪で縛るように。
それでも深刻に思われにくいのはマスクをしている都合だろう。結果的に何かちょっとアレな人とか思われやすいのだ。

「まだ居なきゃならんって面倒くせえなぁ…………」

意識を失ってから少なくとも数日は経っていた都合、久し振りに浴びる気がする夏の日差しに暑さを覚える双葉は病院の外へ一歩踏み出すところであった。

「…………アレ、もしかしてもう夏休みか?」

出てすぐ。私服の学生達を見て、第一声がこれであった。そうでなくとも昼下がりは授業が減ってるためどんだけ寝てたのかと周囲を眺めていた。
見た目は怪しかった(無慈悲)。

//立て乙です、再利用ですがー
12雲仙ハルト◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/07/30(火)00:20:10 ID:R44 [1/5回]
>>8
「……」

自分からヒントをあげたにも関わらず、面と向かってブラックスミスと呼ばれれば目をパチクリとさせて
ワザとかと疑うほどに視線はあちらこちらへと泳ぎ、かすれた口笛が公園に虚しく響く
カマをかけただけだという仁の言葉に安堵の表情を浮かべる辺り、こんな浅はかな男に凶悪犯の素質など有る筈も無く
唯々本当に、力の使い方を誤っただけの大うつけ者だという事が透けて見えるだろう。思ったよりも奥の深くない男なのだ

「あー……只モンじゃねぇとは思ってたがな、そっち系だったか……」
「対なんちゃらかんちゃらとか……クッソ長い名前の奴とやり合ったなぁ」

ただしその異能は極めて強力無比なもので、以前に対超人特殊部隊の精鋭と一戦交えた上で生き延びている
首に賞金がかかっているのもその所為だろう。つまり中立を維持出来ていたのは、それだけ他勢力を相手になお強気に出られるだけの力を持っているからだ。
故に面白い機械を求めて凡ゆる勢力からの依頼を受けるという一貫したスタンスを崩せと言われれば

「うーん……」
「うーーん…………」
「うーーーーーん………………!」

悩みに悩むのは当然。もしテロリストや犯罪者からの依頼を切ってしまえば、業界からの評判は地に堕ちるだろう
そうなれば顧客が減って素敵な代物に巡り会えなくなる……と思っていたが、ふとある事実を思い出したハルト
苦しげな表情のまま、仁を見つめて手打ちとなる案を言い渡す

「…………分……かった!、最近は解放師団からの仕事もめっきり減ったしな」
「アンタらの持ってる武器やら装備やらを触らせてくれるんなら、飼い犬になってやってもいい」

実のところ最近の解放師団の一件で、ブラックスミスの取引先は軒並み壊滅、その解放師団ですら欠員が相次ぎ、以前のような絶対強者には非ず。少々衰えが見え始めている
その件に関しては、当事者の一人である仁もつぶさに目にしている筈だ。彼もまた解放師団と戦う者の一人なのだから
だから失った顧客の文を、ポリ公サイドで埋め合わせをしてくれるのであれば反社との取引は取りやめるとハルトは言う
13志垣 仁 ◆</b></b>YUffmOEkuc<b>[sage] 投稿日:19/07/30(火)00:37:58 ID:cpU [1/2回]
>>12
こいつよく今まで隠し通せたな。とボンヤリ思うその眼はどこか生温かいもの。初めて優位を取れたような気さえしてくる。
同時に抱くのは、矢張りこの男は極悪人ではないという確信。良くも悪くも純粋とか、力の使い道を間違ったとか、そういうタイプなのだろう。
少なくとも、殺したり捕らえて殺したりする様な存在ではない。これまで相手にしてきたものと比べれば、イタズラ小僧程度にすら感じてくる。行為は危険だったとしても。

「オマケにオレらの管轄かよ……」
「さてな。公安かもしれないし、インターポールの回し者かもしれない。ひょっとしたらFBIかも。確かなのは、ほぼ全ての犯罪者の敵という事だけだ」

ボソリと、風にかき消されそうなほどの声で毒付く。言うだけは言ったがやっぱヤバい相手なのか?
否、覚悟の準備は済んでいる。後悔ならば死んでからすれば良い。確かな素性は明かさないが、これは彼にとっても腹の中を見せたに等しい行為だ。
鋭い眼は、まるで百手先を読むチェスの名人めいてハルトの顔を穴が開かんばかりに見据える。何かあった時、危険に晒されるのは自分でもあるが故に。


「───ま、期待はしてなかったさ。これからは、不用意に口を開かないよう………え、マジ?嘘ついちゃやーよ?」

シニカルに笑い立ち去ろうとして、倍速の後戻しを受けたかの様に再びベンチに腰掛け素っ頓狂な声を上げた。
期待値としてはかなり厳しいものだったが、上手くいったらしい。今度はこちらが挙動不審気味に辺りを見渡してから、咳払いをする番だ。

「あ、あァ……。一応、国家機密とか秘匿技術とかもあるから何でもかんでも全部は無理やろうけど、出来る限りは見せたる。カッコいい服とか、バイクとか」

彼自身知らない技術や、一般に見せるべきではないと判断された物は無理でも、彼の身の回りには自律飛行ドロイドだの戦闘用バイクだの強化外骨格だのある。
これも捜査と撃滅のためだ。一隊員に過ぎない自分だが、出来る事は全てやろう。ついでにその三つ程度で満足してくれる事を祈ろう。
少し考えた後、志垣は赤い右手を軽く差し出した。力を絞っている今なら、握り返しても万力めいて潰してしまう事はない。

「オレはオマエの店を隠れ蓑にして、オマエは国の最先端の技術を…まあ少なくとも一般人よりは早く体験出来る。取引成立やな」
14小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/07/30(火)00:53:29 ID:UWI [1/8回]
>>9
数多の瓦礫に破砕された旧校舎の成れの果ての中でも、比較的大きな形を保っていたコンクリートのブロックの上で。
仰向けで目元だけを腕で隠し、一見すれば寝ているように見える女子生徒が一人。
乾いた塵を踏みしめる音に起こされたのか、それとも始めから寝入っていなかったのかは定かではないが。
腕を額の方へとずらして、日の下に晒された黒曜の瞳を男に向けた。

「おーっと、不審者発見ってやつかな」

楽しげに口ずさんで腹筋だけで上体を起こし、手櫛で乱れた髪を梳く。
本来であれば警戒するべき場面だろうにそのような気色は皆無、悪戯っぽく口の端を吊り上げる始末。

「勝手に入ったら怒られちゃうよぅ?ちゃんと学校に許可取ってんの?」

軽薄な態度、のそのそと立ち上がりながらスカートを払う仕草に緊張はなくどこまでも自然体。
ちなみに旧校舎周辺はともかく、瓦礫の山は学生であっても立入禁止であるから、彼女もある意味では不法浸入であった。
15雲仙ハルト◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/07/30(火)00:56:13 ID:R44 [2/5回]
>>13
「ディール!俺は嘘は吐かない」

ガッチリと組み合わされる右手は、たとえ口約束であろうと契約が交わされた事を示すものだ
こういった裏稼業に最も必要なものは冷酷さでも威厳でもなく、誠実さだ
決して信頼を裏切らないという評判だけが職人としての腕前を担保して有り余る

「ん……なんか腕変わった?ロケットピース撃てるようになってない?」

そして仁の手に触れたハルトが、前までの彼の腕の感触との差異に気付くのはそう遅くはない
ただのハリボテではなくしっかりと機能する義手、それもかなりの高性能のものだ
ならば先ずは手付金代わりに、この義手でも見せてもらおうかと舌なめずりして

「そーゆーこと、じゃあ早速業務教えるから…………お兄さんのお店、行こっか」

はよ見せろと言わんばかりに仁を拉致していこうとするだろう
モタモタしていれば、再び背中にパシィと平手を急かすように叩きつけて
RS雲仙での業務内容をあれこれ聞かされながら、義手の分解清掃を請け負ってくれる筈だ
初見だというのに見事な手際で義手を保全する彼の腕前を見るに、相当な腕利きであることが伺えるだろう

//すみません、眠気が果てしないので〆にさせてください
//絡みありがとうございました
16 : 志垣 仁 ◆</b></b>YUffmOEkuc<b>[sage] 投稿日:19/07/30(火)01:02:13 ID:cpU [2/2回]
>>15
裏社会で生きていく手段の一つは、誠実さに基づく信頼だ。
こちらが満足させられる限り、裏切られる事はあるまい。経験と、彼自身の人柄を見て、志垣はそう判断した。

「気付いた?中指の部分を引っ張るとな……お箸入れになっとる」

冗談めかした物言いは、出会った当初と同じもの。
背中を叩かれれば三度痛みに悶絶しつつ、義手の点検と清掃を任せて説明を聞くのであった。
態度はどうあれ仕事は最低限こなすタイプ、雇われとしてはまあ使えるはずだ。

かくしてまた一人、経緯はどうあれ仇成す仲間が増えた。これが吉兆となるか悪夢となるかは、まさに神のみぞ知る。


//それではこちらからもこれで〆で…
//絡みありがとうございましたっお疲れ様です
17仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/07/30(火)11:12:41 ID:R44 [3/5回]
「だからさぁ、お願い!一緒に遊ぼうよォ~ッ」

「一人でヤってな、オッサン」

夜明けの繁華街、濡羽のカラスが仄赤い朝焼けを見つめるような頃合。
小鳥の鳴き声が響き始めた通りの赤いタイルを踏みながら、歩調を合わせた男女二人が肩を並べて歩く
――いや、歩調を合わせているのはどうやら男のみ。絡まれている少女、仁和寺アキラはただ足早に繁華街を通り抜けようとしているだけであった
外見的にはかなり厳つい少女が、ここまでストレートな絡み方をされるのも中々珍しい光景である

「ここじゃ話せない物とか、いっぱいあるからさぁ」

「行かないから」

酒の匂いを漂わせる男は腕に隠す気の無い紋紋を見せびらかせし、袖をまくった長袖シャツからは針を幾度も刺したような痣が覗く
アキラはそういったケミカルの類に手は出さないと決めているし、一にも二にもオーガニックを好むタイプ
ガラの悪い男もタイプではないし、先程からアプローチを掛ける彼に対しても視線を合わせる事すらなく受け流して

「おじさんこの街じゃ名が通ってるんだよね」

「知らない」

ぶっとい右腕がアキラの肩に触れ、そのまま肩を組まれるような形で体重を預けられる
アキラの右頬に男の親指が当たり、そのまま顎を掴むかのように両頬にぐっと指が食い込めば
アキラはその腕をパンとはたき落として、ついに男を睨みつけるだろう。この時初めて、アキラは男の凶悪なツラを目にするのだ

「ねえ~、ちょっと位イイじゃん!」

「ッ!」
「…………コイツ」

そんな仕打ちを受けても男には関係無いようで、鉄のメンタルでアキラを売女か何かと勘違いしたようなアプローチを続ける
それぞれの指の節に入れ墨の入った角ばった手が、アキラの肩を通り越して胸を鷲掴みにして
そこでアキラは生理的嫌悪から一気に青ざめた。きゅうと肝が冷える感覚を嫌という程味わい
ついに一線を超えた男に対して、敵対的感情の次段階……怒りの境地に達しつつあったのだ

メリメリとイバラの刺青が伸びる音が響く。血に塗れた男が路上に伏すまであと数秒ほどだろう
誰かが勇気を出して声を上げれば、そのような凄惨なる運命を回避できる……かもしれない
18ガウェイン(匡美 輝)◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/07/30(火)11:29:52 ID:MyG [1/12回]
>>17
「はーい、そこまでそこまで…おにーさんちょっとお話聞かせてもらっていいかなー?」

突如、上からソレは降ってきた。
ガシャリと重々しい音はしたが道を砕くような事はせず、軽やかに降り立った。
そいつは人間サイズの特殊合金製オリジナルロボットフィギュア。
金縁白鎧の姿は如何にも秩序側であると周囲に誇示する、
繁華街の片隅に張られたポスターにも描かれている(大きなのを含む)子供向け広告塔。

ガシリと男の肩を掴むその手は万力のようにギリギリと徐々に握力を増すだろう。
アキラに伸ばされた手?肩にヒビが入るより先に折れないといいね!

「こんな格好ですがケーサツでーす、見たことある?」

人形から発せられる声はケータイをスピーカーモードにしたような音質。
実際この人形内部にスマフォを仕込んでいるからなのだが。
19仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/07/30(火)12:39:17 ID:R44 [4/5回]
>>18
「……ん?」

朝焼けの僅かに差す空はそれだけでも暗いが、アキラの頭上に更に影が落とされればまるでそこだけが宵闇となったように
アキラやたちの悪い男を含めてその場にいる誰もが空を見上げるのは自然の摂理であり、また道理であろう
次の瞬間、轟音を立てて着地を果たした巨大なロボットはアキラを始めとするあらゆる人物の視線を釘付けにしていた

「うッ……何これ……」

強風に顔をあおられ眼を閉じながら、目の前に現れた非現実的な光景をアキラはその目に焼き付けて
肩を掴まれた男はそこから繰り出されるトルクフルな指遣いに堪らず悲鳴をあげて転げ回る
そうして腰を抜かしていたが、やがて何やら捨て台詞を吐きながら敗走。周囲のどよめきのせいで残念なことにそれすら届かず

「もしかして…………テルさん?イメチェンしたねぇ」

スピーカーを通して聞こえる聞き覚えのある声に、アキラもまた見知った顔を想起して
嬉しそうにその腰をパンと叩いたが、今のアキラは刺青をほぼ最大まで伸ばしきったフルパワー状態

「あっ……」

まるで重機の如き力使いで、横殴りにブッ飛ばされたと同じだけの衝撃がガウェインを襲う
20影鶴 忌憚◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/07/30(火)12:50:42 ID:5q9 [3/9回]
>>14

赤く照らされた土埃に目を細めながら歩む男。
その足を止めたのは瓦礫の上で眠る少女の声であった。
夏場であるというのに律儀にスーツにネクタイ姿。お米柄のネクタイをスズメを模したタイピンで留めた怪しげな男。
彼女がいうように不審者であることに疑いの余地はなく、それでも不審者は弾んだ声で答えた。

「肝試しってのはな、無許可でやるからドキドキできちゃうんだよなぁ」
「だから、俺は当然無許可。体育教師のゴツモリには内緒にしてくれよ。怒られたくないからさ。へへへ……」

ボーイ・ミーツ・ガール……、というには男は歳を重ねすぎているだろう。
瓦礫の中でなお何か目的を見据えたように歩く姿がすずめに見られていたのなら
彼が何かの理由を持ってここにいる、ともすれば悪い不審者(良い不審者がいるかは置いといて)であると疑われてしまうだろうか。

「それとも……あれかな。一緒に肝試しデートでもしてくれる? ドキドキするねぇ」

//遅れてすみません。返信が安定するのは17時以降になりそうです……
21 : ガウェ//(匡美 輝)◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/07/30(火)12:53:42 ID:MyG [2/12回]
>>19
ボゴォ!

予算と銃刀法諸々を気にしないで趣味全開で組み上げた至極の逸品。
特殊合金製で《糸》を内部に侵食させた事で強度は相当。

だが不意打ちで腰部分に重機の横殴りは如何なものか。
まるで初めからそういう機構であったかのように下半身が高速ですっ飛んでいく。
直後に糸にひっぱり上げられるようにして上空へ飛んだので周囲に被害はないけれど。

ガシャン、残った上半身が地面に落ちる。

「……アキラちゃんはお転婆だなあ」

絞り出すように吐き出されたフォローであったが、その声は震えていた。
会心の逸品がこうも無残に破壊されてはクリエイターとして心に来るものがあったのだろう。
22仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/07/30(火)12:58:58 ID:R44 [5/5回]
//すみません、急用で次の返信3時ごろになりそうです
23 : ガウェ//(匡美 輝)◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/07/30(火)13:05:41 ID:MyG [3/12回]
>>22
//了解です
24風城輝雪◆</b></b>bU0CEuzUjA<b>[] 投稿日:19/07/30(火)14:10:19 ID:fNO [1/1回]
>>11

「うー暑い暑いっ……冷たい美味しい……うん?夏休みだよー。入院してて知らなかったー?」

ちょうど病院前を通りかかった輝雪は白いワンピースに左手に白い日傘を差しながら右手でチョコアイスバーをなめながら、それでも暑さに堪えた顔で疑問な声に何気なく反応して答える。

//まだ大丈夫でしょうか?
25小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/07/30(火)14:20:36 ID:UWI [2/8回]
>>20
「まだこんな時間なのに?随分なまっちょろい肝試しだねぇ」
「涼しくなりたいならまずはクールビズから始めなよ。見てるこっちがあっつくなっちゃう」

なんでもないような受け答えは、不審者どころか教師とのやり取りにも近い馴れ馴れしさを孕んだ。
警戒を忘れた人懐こい笑み、斜陽に伸びた夕影が瓦礫の上に歪んで落ちる。
ぴんと立てた人差し指の先は黄昏色の天蓋、肝を試す刻限はむしろこれから。
浮薄の誘いにも気を悪くした様子はなく、天に向いた指をそのまま唇に当てて見せかけだけの思案の仕草。

「そうだねー……おにーさんが何しにここに来たのか、教えてくれたら付き合ってあげてもいいよ?」

背中に腕を回して両の指を組み、軽妙な足取りで遅々とした接近。
懐疑を抱いているにしては油断極まりない振舞い、問いの真意からして単なる物見遊山ではないと睨んでいるのには違いないのだろうが。
やや前屈みになって視線だけで見上げる形。所作の細かな節々に、学び舎に似つかわしくない婀娜を醸した。

//お気になさらず、こちらも夕方までは不安定になるかと思いますので
26仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/07/30(火)14:36:42 ID:Kcu [1/10回]
「やっば……!」

軽く叩いたにも関わらず、色々補正の掛かったその威力は小型重機の突進並。スッ飛んでいった下半身に目を飛び出しそうなくらい見開いで肝を冷やす
どこぞの赤い鉄男マーク3のように中に輝が入り込んでいるものだと思い込んでいたから、中身ごとぶった斬れたのかと思うのは当然だ
……この強度ではマーク42の方が正しいだろうか?ともあれ、落っこちたソレの両脇を抱え拾い上げて

「死んっ…………でない」

まだ輝の震え声が聞こえるのを見るに、これは本体では無く分身のようなものなのだろうと理解するのにそれほど長くは要さない
この様子が見えている辺り、それほど遠くには離れていないのだろうと踏んだアキラはニヤリと意地悪い笑みを浮かべて
この辺りはアキラが元来持ち合わせていた性格では無い。きっとこの街に来て様々な友人達と触れ合った結果であろう

「もしもーし、中に誰か居ますか?」

コンコンとガウェインの頭をぶっ叩いて、出て来なければ大事なロボットにもっと酷いことをするぞと脅してみせる
乳首描いちゃおっかな……などと呟きながら何処からか取り出した油性マジックのキャップを抜くのであった

//お待たせしました
27ガウェ//(匡美 輝)◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/07/30(火)14:47:50 ID:MyG [4/12回]
>>26
「中に誰もいませんよ…ってこっちが言うセリフじゃあないからね」

深いため息が内蔵スマフォから漏れる。

「はいはい、結構お高めの商品ですのでお手を触れないでくださーい。
 選挙ポスターに悪戯書きのノリで同じ事したら器物損壊罪も適用するからねー
 お兄さん、そんな事でアキラちゃんしょっ引きたくないよー」

呆れたような声で話しかけるソレ。
糸での操作は続いている為、動いて抵抗も勿論できるし、
なんだったら上半身だけでも些か動きに難はあるが戦えないでもない。
ま、ンなことはしないんだが。

「とにかく邪魔にならないように片隅にでも置いといて、
 その内黒づくめサン達が回収しに来るだろうから…はぁ」

よくよく見れば煌く一本の糸がロボの背から何処かに伸びている。
上空の方に向かっているから何処かの建物の屋上か?
糸を追う過程で一基のドローンが此方を見下ろすように浮いているのも気づくだろう。
28仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/07/30(火)15:57:38 ID:Kcu [2/10回]
>>27
「ちょっとネタが古すぎたかな……あの映画、アタシ好きなんだけど」

誰もが子供の頃に見たであろうあの映画から引用したセリフであったが、馴染みの無い返しに苦笑を浮かべて
ちょっとギャップが有ったかな、と反省を挟みつつ、重要なのはそこではなく輝の行方であることに思考は回帰する

「何……アタシをパクるつもり?」

気の抜けた声で脅しをかける輝であったが、アキラはそんなことは御構い無しにマジックを近付けて
しかしそれに続く声と共に、上空のドローンと可視化された念糸を見ればペンを置く
確かにこの上の何処かに居るのだろうが、なにぶん繁華街は建物が多く、いちいち見て回るのにも手間というものだ

「上に居るの?見えないんだけど……降りてきてくんない?」

アキラはドローン向けて手を振れば、近くの壁に寄りかかって彼を待つという行動に出た。向こう側からはこちらが見えているのだから、それも当然の帰結である

//これからはリアルタイムで返せそうです
29匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/07/30(火)16:08:38 ID:MyG [5/12回]
>>28
「ああ、何かのネタだったの?ごめん、お兄さんわっかんない」

そもそも中身があったらどうしてたんだろうな今頃とかそっちの怖い考えばかり浮かんでは消えている。
超人というのはこういった能力のミスで一大事になるのだから日々精進が必要ではあろう。

「そーしたくないって言ってんの。アキラちゃん国家権力お嫌いよね、ロッカー?」

合法な反社会行為といえばロックンロールみたいな単純思考。
アキラなら割と様になるんじゃないだろうかと想像してみる田舎者。
パンキッシュな衣装とか映えるんじゃなかろうか。

「んー…ちょっと待ってて。
 
 ……あー、はい、そうです、テスト続行はちょっと無理ですね。
 いや、実践が早すぎたんじゃないですか?もう少し屋内試験を繰り返したほうが…
 ああ、はい、了解です。はい、お疲れさまでした。

 もしもーし、ちょっとまってて直ぐそっちに行くから」

ドローンがどこかに飛んでいく。
青年の言う通り黒づくめ集団が何処からともなくバンに乗って現れ上半身だけのロボを回収していく。

「あー…さっきは大丈夫だった?」

その後、暫くたって、路地裏から無難な服装の田舎者が顔を出した。
30仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/07/30(火)16:19:02 ID:Kcu [3/10回]
>>29
「ハイ、テルさん」

暫くして、ようやく本物の輝と対面を果たしたアキラはいつも通りの笑顔を浮かべる唯の少女であった
彼女の腕を埋めつくさんとしていたイバラの刺青は既に無く、それが異能による産物、つまりスティグマであるという事が見て取れるだろう

「……潰そうとしたんだよね、アイツのタマをさ」
「でも、来てくれて助かったよ」

大丈夫かと問われれば、それが自分に対する問いなのであれば勿論大丈夫だと答えるだろう
男の方という観点で見れば、輝がもう少し来るのが遅ければ血の海を伴う大惨劇が待っていたという答えが帰ってくる
アキラの右胸を鷲掴みにした、文字通り百倍の力でその男の大事なタマをクラックしてやる所だったのだという

「それで……あれがケーサツのお仕事?」

回収されてゆくガウェインを眺めつつ、腕を組んだままで聞くのは単なる興味からだろう
アキラは犯罪組織や法執行官でも何でも無く、ただの一市民に過ぎないのだから
31匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/07/30(火)16:32:01 ID:MyG [6/12回]
>>30
「や、アキラちゃん。大丈夫そうだね」

出会って然程交友が深いわけでもないが、パッと見、不安はなさそうで青年は一安心。

「うわぁ……今度から胡桃でも持ち歩いて、
 馬鹿な男が言い寄ってきたら目の前でそれ砕いて見せてやればいいと思うよ」

パワータイプの超人なのは知っていたが、
思ったより躊躇しない性格だったのは見抜けてなかった青年。
アキラの今後を考えて、直接的な暴力は控えて欲しいわけで。

「んー、まあ、お試し運用なところはあったね。僕の能力にも色々限界はあるから。
 それを現代科学で補ったら何処までできるか?みたいな。
 危険物処理とか火災現場への突入とか色々利用価値はありそうでさ」

便宜上ケーサツだのなんだの言っているが正確な所属はちょっと特殊。
現状世間では治安維持活動しているセミプロみたいな位置づけなんだろうか。
政府公認御当地ヒーロー?
活動している本人含め割とそこら辺ふわふわである。

「でもアレは税金で作ってるわけで、文句言う人は出てくるんだよなあ…」

だからこそ有用性の証明も狙っていたのだが、速攻下半身がお亡くなりになった。
32仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/07/30(火)16:50:53 ID:Kcu [4/10回]
>>31
「うッ……そ、そっか」

真っ二つになり運ばれていったガウェインが市民の血税から出来ていると聞けば、急に壊してしまった事への罪悪感が蘇る
器物破損だの単なる脅しにしか聞こえなかったが、成る程こういうカラクリのもとで彼は職務に就いていたのかと
担架に乗せられて運ばれるガウェインの目が悲しそうに見えて、アキラはゴメンと心の中で呟きながら、すまし顔で舌先を出すのであった

「胡桃かぁ……イイかも、オールドスクールっぽいしね」

昔テレビか何かで胡桃を手のひらに二つほど持って、ゴリゴリと回して遊ぶ不良を見たような気がする
そういった昔懐かしの不良スタイルで行くのもアリかと、急激な路線変更を促すような考え
これからはなるべくタマより『ナッツ』を砕くことにするよと、口元を吊り上げるアキラであったが

「居たぞッ!アイツだッ!!」
「逃すんじゃねェ、あのロボットも見つけろ!」

怒号と共に帰ってきたのは先程のタチの悪い男であり、同じようなガラの悪い手下どもをぞろぞろと引き連れて帰ってきた
魅力的な男では無かったが、顔が広いというのは嘘ではないらしい。ただのアル中兼ヤク中ではなく、それなりに力を持っているのだろう
大勢の男達がなりふり構わずアキラを捕まえ、ついでにあの鉄クズ野郎にも復讐を果たすべく駆け足でやってくる

「げっ!沢山引き連れて戻って来やがった……」
「逃げよ逃げよ、一々相手にしてらんないし」

街中でそのような大立ち回りを行うわけにも行かず、アキラは咄嗟に輝の手を引いて走り出す
この間のランニングでお互いかなり走れることは周知済みの筈だ。アキラのペースにも余裕でついて来れるだろう
スタコラサッサと繁華街から路地裏を抜けて、隣の通りへ逃走を開始
33匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/07/30(火)17:06:42 ID:MyG [7/12回]
>>32
「まあ、そんなに気にしなくてもいいよ。
 悪気があってやったわけじゃないだろうし、事故みたいなもんだから。
 それに改善点も見えたしね。やっぱりキッチリカッチリ作るより糸での運用ありきにした方が…」

暫し思考の沼に陥る青年。割とこういうところがあるので注意されたし。

「おーるどすくーる?…よく分からないけど、なるべく傷つけるのも傷つくのも無しがいいよね」

アキラの呟きに我に返る。
そしてラヴ&ピース、などとVサインしてみる青年。
未だラヴはよく分かってないけど。

「…え、逃げるの?」

お仕事モードが残っているせいで迎撃、一網打尽、大立ち回りの気持ちだった青年。
最近暴徒鎮圧の訓練も自分の中では割と様になってきている気がしていたので余計に。

「いや…逃げよっか、うん」

しかしアキラを伴ってだと加減をどこで間違えるやらといった懸念もある。
無駄に実力を見せつけることもあるまいと逃走開始。
逃げる先はアキラにお任せコースだった。
34仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/07/30(火)17:28:34 ID:Kcu [5/10回]
>>30
「どう見たって三十人は居るし、マトモに相手しても時間の無駄」
「それに怪我したくないし」

やる気満々の輝の手を引きながら少女は呆れ顔で状況を説明する
チンピラ共はどう数えても三十人以上居るし、これから更に数を増すかもしれない
それを一々相手するのは例え超人二人掛かりであろうと日が登り切るほどの時間がかかるだろう。それに何より無事でいられる保証もない
こういう時は相手しないのが最も楽。都度都度張り合っていては身がもたない

「通りの両端を塞ぐ気かぁ……ったく、ついてない」

通りから抜けようとした時に、アキラはチンピラと思しき人物が二人組で出口を検問しているのを見つけ
きゅっとスニーカーの鳴る音を響かせながらバックステップ、身を翻して反対側へ
しかし人混みの向こう側でも同じことが起こっているのを見れば、舌打ちと共に通りを走る

「解放師団に揺れ動く今こそ、唯一神の眼力を授かる時なのです!」
「らっしゃいらっしゃい、今なら裏モノ安くしとくよー!」
「10円からでも構いません、信玄餅を救うの会にご協力下さい」

雑踏を走り抜ける中で、上矢の吹き溜まりに集う様々な人種を垣間見ることが出来るだろう
怪しい宗教の勧誘やヤバそうな路上ビデオ屋、果ては目的すら判らない寄付の呼び込みなど
ここは歓楽街。上矢の中でも特にそういった要素の色濃い場所であることは違いない

「いらっしゃいま「お二人様で!!」

その内アキラは輝の手を引いたまま、適当なビルの扉を開けてその中へと駆け込み、カウンターの老人に千円札を何枚か叩きつけて押し入る
日本に来て半年が経ったが、未だに敬語の類は不慣れだ。目をパチクリとさせた老人を尻目に、適当な空き部屋の鍵をぱっと取って奥へ
用意された個室に飛び込んで、勢いよくドアを閉めれば大きく息を吐いた

「はー……ったく、暫く休んでやりすごそ?ここでさ」
35 : 仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/07/30(火)17:29:08 ID:Kcu [6/10回]
//>>33です
36匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/07/30(火)17:41:17 ID:MyG [8/12回]
>>34
「…うん、そうだね気の迷い」

怪我はよくない、だから同意する。
しかしぶっちゃけ、ろくに訓練もしてないような連中が群れたところで、という考えがない訳ではない。
加えて青年の《糸》は複数相手に狭い路地裏等でこそ光る面がある。
正直数を頼りに押し込んでくる連中の方が少数精鋭で挑まれるよりずっと楽だ。

(って思考が巡る位には物騒なことになれたもんだなー)

アキラに手を引かれ彼女が逃走経路に頭を悩ませ試行錯誤で連中をかわして行く中、
自分の考えに没頭してしまった青年は手を引かれるまま、されるがまま。

だから気づくのが遅れに遅れた。

「お二人様…?………はぁっ!?」

自分の襤褸アパートとさして差がない部屋の中。
知ってるぞ。美人局で連れ込まれそうになった事があるぞ。
いやあん時は顔に傷があるニーちゃんが部屋の中で待ってたけど。

今回は居ないのが分かっているのに周囲を見回す青年。
傍から見れば挙動不審。
37双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/07/30(火)17:51:23 ID:em0 [2/9回]
>>24
「そうだなまったく意識になかった誰だお前」

せっかく答えてくれたと言うのに、涼しげなスタイルの相手に向かって結構失礼なことをかます双葉。
照りつける太陽に嫌気が差したか日陰の方に逃げつつ、アイスでも買うかと呑気に考えて。

「夏休みの前に変なこと起こったりしてないよな?」

//すみません遅れました! こちらは大丈夫ですのでよろしければ!
38仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/07/30(火)17:57:18 ID:Kcu [7/10回]
>>36
「はぁッ……なにキョロキョロしてんの……はぁ、モテないよ?」
「……ふゥーッ…………あっついね、折角シャワーあるし浴びてきていい?」

此処は所謂ラブホテルには違いないが、それでも身体を重ねる為に部屋を借りたわけではない。アキラの反応は平然たるものだ
ところで走り続けた所為か汗が止まらない。空調を強くしシャツの襟元を持ってパタパタと仰いで、それでもなお噴き出る汗に嫌気がさして
荒い吐息を合間合間に挟みながら、アキラは備え付けのシャワーで汗を流してくると輝に告げるのであった。おかしい

「日本人なんでしょ、アタシが汗流す間にゼンでもやっときなよ」
「別に喰う為に連れて来た訳じゃないんだしさァ」

ヒラヒラと手を振りながら、澄まし顔のままニコリともせずに更衣室の中へと入って
下心の一切伺えぬその素振りからは、本当にただ隠れる為に此処を選んだのだということが伺える
確かに安く快適で身も隠せる。部屋も下手なアパートよりは広く、備品も付いてくるのだから合理的だ

「シャンプーあるかな、ここ」
「はぁッ……ホント、あっつ……」

服を脱ぐ衣擦れの音に混じり、小さな呟きが隙間のあるドアから漏れて止まる
やがてせせらぎのように小さな水音が響くだろう、怖いお兄さんが入って来る様子もなく、ただ無防備にシャワーを浴びているだけ
前にも言った通り本当に怖いのはアキラ本人である以上、こんな回りくどい事をする必要はどこにも無いのだ
39影鶴 忌憚◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/07/30(火)17:57:54 ID:5q9 [4/9回]
>>25

「僕ちゃんはお利口だから夜更かしなんてしないんダッ。ママに怒られちゃうからしないんダッ!! 」
「……ちなみにスーツ姿は社会人の嗜みナンだゾ」

同じく人差し指をぴんとたてながら、自分のお口にそれをあて、少女漫画のヒロインもかくやの威嚇顔。
稚気な振る舞いは彼女を虚仮にしているのか、あるいは、かまってもらって楽しいだけなのか。


ぎゅうっと目を閉じながら前屈みの体制で、再び光を取り込めば、こちらを見上げるすずめに気付く。
こうしてみるとお互いに恭しくお辞儀をしているようで、なるほど。奥ゆかしい日本の和を感じる。
袖触れ合うも何かの縁。ここでの同伴もやはりジャポニズムというわけか。

「……知りたいのぅ? お嬢ちゃんも知りたがりだねぇ。おいちゃんは蔑称、影鶴忌憚。好きな食べ物はオムライスとハンバーグ。嫌いな食べ物は大根おろしとメロン味。好きな女の子のタイプは誰でもよくてぇ」
「好きな男の子のタイプは10代ならなんでもいいかなぁ……。ちなみにここには遺宝(レリック)の回収にきたんだよ。わかるかいお嬢ちゃん」

親しき仲にも礼儀あり。親しくなるには欺瞞なし。
これこそが影鶴忌憚の愛したジャポニズム。
影鶴忌憚はそのまま「二階の音楽室なんだけどさ」と気楽に話を続け、喜色に満ちた気色の悪い笑みですずめに手を差し伸べた。デートのお誘いだ。
40匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/07/30(火)18:11:48 ID:MyG [9/12回]
>>38
「いやちょっと苦い経験が……え、あ、どうぞどうぞ………何この状況」

逃げる過程で身を潜めるのにホテルに入りました。
うーん、分かるような分からないような…
シャワーを浴びたい?うん、走ったし、これは分かる。
しかし何故モテないと言われたのか、解せぬ。
分かってたら彼女いない歴=年齢にはなっていないような気がしたが気のせいだろう。

そうしてアキラを見送りボケーっとする。

「とりあえず連絡を…おおう、ガウェイン……」

スマフォinガウェイン(黒づくめ回収済み)
試験的に組み込んだ結果、取り出す前に回収されていた事実を思い出す。
気を紛らわそうとした挙句に悲しい気持ちになった。泣ける。

ああ、立て付けが悪いのか意図的なのか知らんが衣擦れとかシャワーとかの音がするのはどうなんでしょうなあ!
何もすることがねえから自棄に周囲の物音とかが気になりだす現象、あると思います。

「本気で座禅でも組んでたほうが健全なんじゃないのコレ」

アキラのリアクションも気になる、やってみるか?やってみよう!の精神で青年は座禅を組む。
そーいや、小さいころ、道場で精神統一とか言って見様見真似で先生の横でやってたっけなあ…
そんなことを思い出し、ちょっと笑みが浮かぶ。
41仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/07/30(火)18:34:30 ID:Kcu [8/10回]
>>40
「楽しそーだね、テルさん」

次に眼を開けた時には目の前にアキラの顔がどアップで写っている、といった場面であろう
シャワーを浴びて戻って来れば、ニコニコニコニコと幸せを噛みしめるかのような表情で座禅を組むテルの姿
いつまでこうしているのだろうかと、アキラは彼の前に陣取ってその眼を開けるまでじっと待っていたのだ
ここはあくどいホテルで、料金が安い代わりにシャンプーやドライヤーなどは貸し出し式。そのせいで揺れる金糸は未だ湿って艶めく

「入ってきたら?」

すん、と鼻を鳴らしてシャワーを勧める。それほど酷く匂うわけではないが、それでも微かな汗の香りは漂って
折角シャワーを使える空間にいるのだから、使わなければ勿体無いと考えるのが貧乏学生の思考回路であろう

「アタシはここで……テレビでも見とくかな」

隣に輝が居る所為だろうか、見た目を気にしてかタオルを頭に巻く事なく首に掛けたままで
羽織っていたオーバーサイズのネルシャツは纏わず、タンクトップとレギンス姿でベッドへとダイブする
家のものよりデカいのは当然、スプリングもきしまずフカフカで気持ちが良い、頬ずりしたくなって、ここがどういう場所かを思い出して顔をしかめた
結局のところ暇つぶしはこういった電子機器に頼るしかないのだ。仰向けに寝転がり、枕二つを背中に敷いてテレビのリモコンに触れる

「……こーゆーの以外で」

電源が入り、モニターにアダルトなビデオの映像が映るや否や、アキラは別のチャンネルに切り替えて
これもアダルト、あれもアダルトでようやく見つけたチャチな洋画のチャンネルを眺めて
これしかないやと苦笑をテルに向けて浮かべつつ、何だか少し疲れたような表情を見せていた
42小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/07/30(火)18:43:34 ID:UWI [3/8回]
>>39
稚い真似事すらも好奇の対象となるらしく、楽しげな相貌でくつくつと笑うだけ。
からからと細やかな音を立てる瓦礫の上でも器用に体幹を保ちながら、微笑ましそうに自己紹介を聞いていたが。
最後まで聞くや否や気にかかる点でもあったか、差し出された手に落とした視線は、目を細めてどこか考えこんでいるようでもあった。

「……あは、気になる人の事は知りたくなっちゃうんだ」
「いーよ、行こ行こ!おにーさんみたいなカッコいい人からのお誘いなんて光栄だなっ」

しかしすぐさま取り繕って、楚々と手を乗せたかと思えば軽やかに歩み寄って隣に並ぶ。
指を絡めて腕を組み、婉然とした所作で体を寄せる様は、月夜に花開く艶さえ幻視させる。
大小拘らずちょっとした悪事には違いないだろうに彼女がそれを言い含めることはない、どちらからともなく歩き出し。
目的地までの道のりに残る生徒は少ないのが幸いして、校舎内への不法浸入は見咎められずに済むだろうか。
どうあれ道中に語る手慰みの話題は、やはりどこにでも転がっていそうな世間話に等しい調子で。

「それにしてもこんなトコまでお宝探しなんてねぇ。おにーさん、アヤシイ職業の人でしょ?」
「……犯人は現場に戻る、なんて言うけどさ。まさかと思うけど、そっちの関係者さんじゃないよね?」

剣呑な言い種でありながら見上げるのは底抜けに明るい笑顔、細められた目の奥底に仄暗が燻る。
暗に問うているのは解放師団との関連性であると想像するには難くないか、握る手に僅か力が入った。
43匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/07/30(火)18:45:40 ID:MyG [10/12回]
>>41
「…ちょっと思い出に浸ってたんだ」

思いの外、深く意識を沈めていたらしい。
此処までの接近に気づけないのは少し考え物かもしれない。
……取り繕ってますが驚いてますよ、ええ、そりゃ吃驚ですわ。

まあ、挙動不審なのは最初に見せてしまったし、
少しは落ち着きのあるところも見せておかねばという謎の意地。
青年は努めて冷静に振る舞おうと。

「ん、そうするよ」

連中が諦めるのにどれだけ時間を有するか定かではない。
シャワー浴びてリフレッシュは悪くない考えだ。
立ち上がり向かおうとすればアキラが話しかけてくる。

「…別に何見てても気にしないよー」

冗談交じりに苦笑いしつつシャワーを浴びに。
そりゃこんな場所だ、そんなんばかりだよなと妙に納得している。
肝心のシャワーであるが男であることも含めそもそも烏の行水。
別に何を考える出なく、ささっとすまし、戻ることだろう。
44仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/07/30(火)19:08:18 ID:Kcu [9/10回]
>>43
「ん、浴びてきな……待ってるよ」

テレビ画面を見つめたまま手を振って輝を送る少女。何を待っているだとか、そういう事は気にしない方がいいだろう
話し相手が居なくなってしまったので、本格的にやる事が無くなってしまい少し退屈を覚え始めて

「はー……これホント、欠伸が出るほどつまんないんだけど」
「誰が作ってんの……」

先程の洋画チャンネルで配信されていた低予算の無名映画を眺めるアキラの物音は、シャワールームまで伝わってくるだろう
役者も見たことないし演技も上手くない。VFXもサウンドもチャチでおまけに脚本は意味不明の超展開の連続
そのくせストーリーだけは笑いどころのないシリアスなアクションモノなので、本当に見所がなくてアキラは辟易していた

「あはっ……アハハハハハッ!」
「ウソでしょ、そこで入る?ちょっ……無理、ひぃッ……!」

が、突如としてテルの鼓膜を揺るがす、今まで聞いたことのないアキラの笑い声が響き渡るだろう
耳を澄ませばアキラは退屈な映画に耐えかね、ポルノチャンネルに手を染めていたのだ
素人をかき集めて作ったような三文芝居を見てそのゆるさに大笑い。ベッドの上で転げ回って悶える音がしかと響く
ちなみに内容は殆ど上記の洋画と大差なく、初めから映画として見るかポルノとして見るかによって、こうも捉え方が異なるのは認識の神秘だろう

「…………すー……」

さて輝がシャワーから出れば、アキラは笑い疲れてしまったのかお腹を出したまま眠りこけてしまっていた
早朝からあんな繁華街を歩いていたことに加え、手荷物も少なかったことから遊び呆けた次の日の朝帰りなのだろう
起きている間のキツい印象は何処かへ抜けて、年相応の無防備な寝顔が晒されていた
45匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/07/30(火)19:21:03 ID:MyG [11/12回]
>>44
「そんな笑えるチャンネルあったの…?」

シャワーを浴びながら聞こえてくるアキラの笑い声は気になる。
どーも普通のものを見ている気もしないのだが…
出たら聞いてみよう、そう考える。

「…何だろね、こう見ると年相応っていうか。
 警戒されてないのは良い事だと思うけど、ちょっと危機意識は足りないって思っちゃうよ?」

シャワーを終えて帰ってみればアキラは夢の中。
頭を拭きながらアキラのほうへと寄っていく青年。
その最中でふと鏡に映る自分の顔を見る。

「…何さその表情、据え膳とか考えてんだろーけど、僕らは大人。
 行動の規範ってものを示す立場、あんだすたん?」

傍から見ればヤバい奴の独り言。
されど青年の中ではそうもいかない。

「ん、何処かで発散するのは悪くないや、先生と手合わせも考えよう」

何かの合意に至ったらしく頷く。
それで鏡との会話はお終いとなった。

「ま、暫く僕も寝よ」

アキラにシーツをかけてやり、自分は床に転がって目を閉じる。

「硬っ…」

思ったより床は硬いが目を閉じ微睡む。
なんだかんだで人形の操作には神経を使っていた、直ぐにも意識は落ちていく。
46仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/07/30(火)19:41:23 ID:Kcu [10/10回]
>>45
「ん……」

自分で強くした空調の所為で縮こまっていたアキラだったが、シーツを掛けられ、ほんの少し肌寒かった寝床が暖かくなればもぞりと動いて
どうやらベストポジションを見つけたのだろう、少しだけ手足を曲げて丸くなったその姿を最後に本格的な眠りに落ちた
鏡と向き合った輝の、誰へも向けられることの無い独白めいた覚悟も知らずに
時計の針は何処吹く風に流され高空を漂う雲のように容赦無く進み、束の間の安らぎはいつか終わりを迎える

輝が再び眼を覚ませばそこにアキラの姿は無かった。代わりに仄かに香る彼女のにおいだけが残されて白昼夢でなかったことを語っていた
いつの間にか硬い床の上からベッドへと移され、ふわりと沈むそこで眠っていたせいか寝違えるなどと言った怪我の類も無く
きっと頭はスッキリと冴えて、疲れは吹き飛んでいることだろう

料金はアキラが前もって払っているし、なにも心配する事はない。時間が来るまでゆっくりしていられるだろう
ふと右手を見ることがあれば、そこに油性マジックで書かれたミミズ文字。まだ読み書きは得意ではないのだ

『守ってくれてありがと、今度お礼するから』

ひょっとするとそのフレーズには聞き覚えがあるかもしれない
アキラが部屋を去る際、実際に彼の耳元で囁いたものだからだ
謝礼を払える程に手持ちは残っておらず、けれど彼に感謝を伝える為に残されたソレ
黒く消え辛い文字は、輝の心に微かでも灯りを残せるだろうか

//それではこの辺りで、絡みありがとうございました
47風城輝雪◆</b></b>bU0CEuzUjA<b>[] 投稿日:19/07/30(火)19:45:12 ID:7uE [1/2回]
>>37

「わたしはキユキと申す。またの名をオカルト部の正義のウィザード『Q』とでも言っておこうか!お主こそ、何者であるか?」

両足を肩幅に、胸を張って堂々と偉そうに。
しかし、暑さでこの力込めた態度は長続きしない。すぐにへたってきてアイスをひと齧り、

「暑いの苦手ー。変なこと?起きてないどころか何にも解決してないよー。知ってるかなー?旧校舎は壊されるし、死んだはずの人がグラウンドでステージしはじめるし、偽物だったらしいけどー」

熱意を込めて話し出す。
旧校舎破壊事件に運動場に現れた毒島美子の偽物事件。
また暑くなると目がどんよりしてアイスをもうひと齧り、残り半分くらい。
48 : 匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/07/30(火)19:49:13 ID:MyG [12/12回]
>>46
「…」

寝起きに大きく伸びをして周囲を見回し、状況を理解する。
次いで気づく刻まれた文字。

「んー…」

うめき声のようなものをあげ、
ゆっくりと利き手でもあるその手で顔を覆う。

「……アキラちゃん、ちっからもちぃ…」

感謝の気持ちはうれしい。
しかし気づいてしまったのだ。
女の子にベットに運ばれている情けない大の大人の姿があった事を!!

なんだろう、すっげぇモヤモヤする!
物凄く如何でも良い事で暫く頭を悩ます青年だった。

//ありがとうございました!
49影鶴 忌憚◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/07/30(火)19:52:34 ID:5q9 [5/9回]
>>42

女子高生が自分の手を眺めながら押し黙っている。なんだろう。臭かったのかもしれない。手の甲を伝うタトゥーがイキっててキモかったのかもしれない。さっき立ち寄ったコンビニでトイレに寄った時に手を洗わなかったのが……

「いや、あのときは機嫌がよかったんだ。手は洗ったはずだぜ」

自分への弁解は元気に口に出して、すずめが手を取れば影鶴忌憚もにっこり微笑む。
ああ、これが友達の輪。女子高生とお友達。とてもいい気分。

「うふ。一円も払わないで女子高生を障れるなんて、ウルトラハッピーデーだぜ。ハッピージャムジャムれっつのだんすだ」

すずめが身を寄せる度にうねうねと蠢きながら、道中の瓦礫を蹴り避けながら(大きいのもとりあえず蹴っ飛ばすから鬱陶しいこと間違いないのだ)も男はすずめの言葉にウンウンウンウンと首を傾げて

「怪しくないさ。俺なるは伝説の遺宝商人、影鶴忌憚そのひとだぜ? 裏社会に出回ってるやべぇアイテムの八割は俺様が流したって噂よ。こんな怪しいお兄さんは逆に怪しくないってわけなの」

先から当たり前の存在のように語られる遺宝という言葉。超常が日常となった世界で、なおも超常的存在であるそれを男はあろうことか売買していると自称する。
どう考えても裏稼業。怪しい職業の人だけれども。

「オイオイオイ。その疑り深さは自分の商品価値を理解していてとてもよろしいけどな。俺は涙がちょちょぎれるくらい傷ついてるんだぜ、ここの倒壊に」

「犯人を見つけたら俺の大嫌いな大根おろしでひたひたに漬けてやりたいくらいには怒ってるだぜ? 知ってた? あんあん……知らなかったろ」

三階へ至る踊り場が倒壊した、二階への階段に足を踏みかけながら
男は一瞬、影色の涙を流した。瞬きをするような一瞬のことではあるけれど。

「悲しすぎてちょちょぎれちゃったから、ぺろぺろしてくれよお嬢ちゃん」
「ていうかお嬢ちゃんてなにちゃんなの? なにちゃんてよんでほしい? よんでいい? 通報しない?」
50双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/07/30(火)19:53:54 ID:em0 [3/9回]
>>47
「……帰宅部にして絶賛眼帯中の双葉燕治だ、エンジと呼びな!」
「で、なんで『Q』?」

中二病が好みそうな手を顔に貼りつけ、指の隙間から目を覗かせるポージングで自己紹介。
すぐにへばった相手を見てあっちぃと手で仰ぎながら真っ向からの問い掛け。

「あーわかるわかる。汗でべたつくのもな」
「あーその二つは入院前に聞いたぞ。……偽物か。なら安心……とは言えねえか」
「そこに飛び込んだ奴ってどうなったか知らないか? ……アイス買うか」

旧校舎破壊もステージ事件も直接見てはなくても耳にはしていたのだ。
毒島美子が偽物と聞くと少し安堵しつつもステージに飛び込んだ生徒の安否を心配してる。
そして食べてる姿を見て自分も口にしたくなったのか提案のような呟き。乗らずともコンビニ方面に歩き出そうとするほどである。
51風城輝雪◆</b></b>bU0CEuzUjA<b>[] 投稿日:19/07/30(火)20:12:10 ID:7uE [2/2回]
>>50

「風城輝雪のキユキでキでQであるのだーエンジよ」

また謎の堂々態度で不敵な笑みをみせる。
日陰を歩けば涼しさ増す。

「汗最悪。日陰はまだまだましであるなー」

日傘を差していても高い気温は汗を流させる。
アイスを食べ尽くしてしまえば、不敵な態度は終了。

「わたし、直接見てなくて噂で聞いただけ、その消えた子の後の事わかんないや、いったいどうなってるのか知りたいなー。自分は特に旧校舎について調べてるのー、何か知らない?犯人の心当たりとか?」

事件の事になると難しい真剣な表情で首かしげ思案しながら語る輝雪。

「アイス食べちゃった……あちゃこれじゃ暑さに負けちゃう。もう一個アイス買う~レッツコンビニー!」

アイスの事になると笑顔で目を金にキラキラ輝かせる。態度の切り替えが早い。体もほんの少し白く発光する。暖かな癒しの光は暑いから出すの抑えるぎみ。燕治と一緒にコンビニへと歩き出す。ノリノリである。
52双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/07/30(火)20:21:44 ID:em0 [4/9回]
>>51
(それはKじゃないのか?)

しかし口には出さず、納得したように頷いていた。

「肋骨コルセットとかで締めると汗止めになるとかなんかの漫画でやってたな……」

汗への嫌悪感が何かを思い出させるが役に立つ知識かはわからない。ちなみに実践はしていない。

「そうか……もし聞きつける機会があるか会ったら俺が探してた、とでも言っといてくれ」
「……犯人の心当たり、なぁ。…………知ってたとしてどうする気だ? 見た目的には氷使い一択なんだろ?」

被害当時のことを知らないものは聞きつけた情報しか知らないだろうが。彼はいつか聞いたのである。
だからこそ下手に口は開かない。目的がわからないから。

さてそんな会話も切れた頃か、発光について何してんだとか聞いただろうがやってきたコンビニ内。
風城はともかく眼帯にマスクの男はぎょっとされたり。

「言っとくがアイスは自分で買えよ?」

アイスコーナーにて無慈悲な一言。そんな彼の手にはガリガリアイス。
53小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/07/30(火)20:32:56 ID:UWI [4/8回]
>>49
男性との随伴に慣れていると言うべきか、それとなく半歩遅れて瓦礫の処理を任せる歩みはしっかりと相手を立てているようで。
時折少し足場の悪いところでわざとらしく体を押し当て、互いの熱が伝わるように密着なんかもして。

「ああ……おにーさんがあの?思ってたよりも男前なんだね!びっくりしちゃった」
「いやー、疑ってごめんねぇ!解放師団さんだったらどうしようかと思ったからさ」

名はともかく後ろ暗い商いには明らかに覚えのある反応、一般学生は普通知り得ない話だろうに。
あっけらかんと嘯いてからからと笑うのは、裏社会との繋がりを持つのを隠す気が毛頭ない証左に相違ない。
とはいえ彼女の場合職ではなく、悦楽の趣味の延長線上に過ぎないのだが。
刹那の暗陰たる涙を見て取ったか孤月の唇はそのままに、困ったように眉尻を下げた。

「どーしよっかなぁ……してあげてもいいけど、タダでとは言わないよね?すずめちゃんのご奉仕はお高いんだから!」
「通報はしないよぅ。だっておにーさん、そんな事したらひどい事しそうだもん」

愉快そうな語調は冗談とも本気とも取れるが、動作を鑑みれば後者の方が正解らしい。
あまり足を踏み入れたことがないのだろう、二階への階段辺りで物珍しげにあちらこちらへと視線を巡らせる。
どこかでさらさらと崩れた砂礫が深い紫紺に包まれ始めていたから、どうやら外ではいよいよ太陽が地平に沈みかけているようだ。

「……っていうかあたし、ここまで来るの初めてなんだけどさぁ」
「もしかしておにーさん、ここの卒業生?前までこっちに通ってたりする?」
54風城輝雪◆</b></b>bU0CEuzUjA<b>[] 投稿日:19/07/30(火)20:51:30 ID:zDc [1/1回]
>>52

「はわー。ふーむふむ。絞めると絞り出されそうだけどー。逆転の発想だねー!」意外な方法に驚き感心し頷き「試してみないのー?」なんて聞いたりして。

「なんか伝える機会があれば言っとくね。でもー探してるの?もしかして、何かしらの関係者ですか?、オカルト部的に奇妙な事件は気になるの!」

好奇心の目でソワソワしながら訪ねる。

「氷ね、確かにそうなんだけど、それだけじゃね~。知ったら?それは学園とか警察に話すよー。もしかして私が正義のウィザードとして殴り込むとでも思った?エイ!エイ!」

魔法の杖を振るように、空に振り上げ日傘を振って見せる輝雪。

「涼しいー」
コンビニに入れば涼しくて目を瞑って冷房を全身で感じる。

「もち自分で買うよー。入院患者?的な人に奢らせたりしないよー。……その眼帯とかで、入院なの?エンジも色々巻き込まれてるの?」

アイスボックスに入りそうになるくらい身をのりだし、そこでグッと堪える。
二つ目のアイスはイチゴアイスバー。
55双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/07/30(火)21:03:34 ID:em0 [5/9回]
>>54
「今の俺がしたらより重症に見えるだろ」

マスク、眼帯に肋骨コルセット。あと医療用でもコルセットがないための都合である。

「褐色肌の女子生徒なんだろ? 少なくとも俺は友人と見てる奴だ、そういう意味では関係者だよ」
「出てきた偽物ともな」

奇妙な関係でもあるというのだろうか。安否が知りたいのが本音なので変に印象が薄暗くても不味いかと答えた。

「あんだけデカイ規模の氷なら相当な使い手になるだろ。愉快犯なら名乗りくらいは挙げるだろうし」
「そう考えたら余程鬱憤の溜まってるやつかどっかに所属してるやつくらいになる。――それで風のひとつでも吹けばなあ」

魔法のように振るならそのくらい、と刺さるような一言を。


「色々巻き込まれてることには間違いないが、そう簡単に話していいことでもないぞ」
「広がりすぎると余計に危ないってやつだ。お前は気になってる旧校舎の方に専念した方が良いと思うぜ」

眼帯をほんのわずかにずらせば見える、赤黒い肌。その先を見るのも憚られるだろうほどに。
そしてそこに追加した二つに分けられる例の飲めるタイプのアイスも購入し、ささっと会計を済ませればコンビニから出るだろう。
さっそくとガリガリアイスを開けてシャクシャクと。
56影鶴 忌憚◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/07/30(火)21:18:31 ID:5q9 [6/9回]
>>53

(おっぱいとか当たんないかなぁ。おっぱいおぱおぱ。あたんねぇかなぁ~~いい具合になぁ~~~」

意図的なものか無意識か、どちらにしろ、この男の脳内が邪なものに満ち満ちてることに違いはないが
相手のことをたてるような振る舞いの彼女とは裏腹、たまを転がす猫のように石ころを蹴飛ばすさまは、恐らく自分のことしか考えてない。

「そう! あのあれ~~。思ったより男前だろ~よなぁん? 年齢不詳の怪物じみた男だとかさ、迷惑迷惑メランコリックなわけ」
「……くれぐれも噂で広めてくれよな。影鶴忌憚は遺宝商人であるってジョジョのエピローグ風に広めてくれよな? 一回も読んだことないけど」

裏社会との繋がりを匂わせる彼女に、わざとらしく丁寧に己の個性を刷り込んでいくように

「すずめちゃあん! かわいいなまえだねぇぇぇええぇ……。でも、俺のお財布はからっぽちゃんちゃんこだよ」
「これから俺たちの愛の結晶になるレリックだって、実際、俺はメルカリで1500円くらいで売っちまうんだからさ。なぁなぁ、なんでそんなことするのって聞いてくれる? 」

手を繋いでいるにもかかわらず
けんけんぱの要領で道を往く
迷いのない足取りは彼女の疑問に暗に答えているようで

「ひゃははん……。実は何年もかけて俺ってばここで遺宝を育ててたわけなわけ。在校生だったのは間違いないけどな、ここは俺が通ってた頃から旧校舎」
「ここはずっとずっと旧校舎なんだ。最初から旧校舎ってポジションで作られたみたいにな」

ここにきて、子供騙しのような怪談トーク。
学校の七不思議のような。

「オカルト部の部長の間で代々引き継がれてきた宇宙人との更新装置。……って設定を俺がでっちあげたクラゲの帽子」
「俺の狙い通りならさ、絶対絶対、遺宝化してるわけ。この倒壊は実際、俺への呼び鈴で、君はそのトリガーになったわけ」

「……そう考えると興奮しない? すずめちゃん。興奮しない?」
57風城輝雪◆</b></b>bU0CEuzUjA<b>[] 投稿日:19/07/30(火)21:29:33 ID:1gh [1/1回]
>>55

「二人とも、それは色々辛いね」

表情に僅か暗い影がよぎる。
知り合いが困難に巻き込まれる、大切なものが破壊される。

「なるほどね。犯行声明なし。どこかに所属。鬱憤。これは深入りすると危険な感じ。だけど旧校舎はオカルト部の聖地だから引けないの」

実行犯また犯人グループに危険を感じるが旧校舎の為にとことんやるつもりだ。


「知らぬが仏ー、そういうやつだね。うん、深入りは覚悟がいるから、旧校舎に専念するよー。旧校舎はわたしのかけがえのない存在だから。旧校舎の栄光を取り戻すために!」

納得してふわふわ笑顔で。ついでにお茶も手に取り会計済まし、涼しいクーラー効いた店内から、後ろ髪引かれるようにしぶしぶ外へ出る。

「痛そうだね、私の光で癒して上げようかー?少しは傷が回復すると思うよー。どんだけ重症かにもよるけど。これも余計な深入りじゃあなければ、Qにお任せあれ!キのQに!……あれ?キユでQだったかな、キュ。キュキュ……Q、まあ、いっか」

痛そうな赤黒い肌を目の当たりにして、心配そうに言う。
名前の説明の違和感に気付き、首をかしげ腕を組んで悩み始める。
すぐに気を取り直して笑顔に。イチゴアイスバーの包みを破り、赤い粒々ストロベリー果肉入りアイスを満面の笑みでうっとり眺め、ひと齧り、美味しさにピョンピョン跳ねる。
58双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/07/30(火)21:44:30 ID:em0 [6/9回]
>>57
「俺以上に辛い奴なんて珍しくもないだろうけどな」
「犯行声明として行った可能性もあるからな」

例えば目の前の彼女もか。旧校舎とオカルト部、繋がりとしては十分に納得できるものだ。
犯行そのものが声明というのもよくあるだろうと推測……というかある少女から聞いたものも重ねたわけだが。

「旧校舎は苦しいよなぁ、アレ建て直しとか有り得るのかね」

破壊された旧校舎、いっそ地下室とかその辺が露呈したりしないものかと思うことあるが。
場所が場所だけに再建は少なそうだとちょっとネガティブな意見。


「痛みを引かせるくらいで頼む。そういう能力で治癒を早めると後が大変だぜ」

背中をコンビニの窓に預けてずるずると座り込み、ピッと指で自分の目を示し。

「もうオカルト部の女王ってことでQでいいんじゃねえの。王は知らんが」

違和感を覚えたらしい相手に逃げ道を与えつつガリガリとソーダ味の氷菓子を囓っていく。
そうして半分以上食べて頭を押さえつつ、パ○コ的なアイスを取り出して二つに分けると片方は渡していた。

「そういやこの暑さで一人、何しようとしてたんだお前」
59小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/07/30(火)21:57:57 ID:UWI [5/8回]
>>56
「おっけーおっけー、機会があったらね!」

浅薄な言動が目立つ彼女であるが、不必要な波風を立てない立ち回りくらいは心得ている。
胸の膨らみの慎ましやかなのをいいことに、触れそうで当たらない絶妙な位置取りを保っているのも、きっとその一環なのだろう。
全てを盲信しているわけではない狐疑を、朗らかな快諾の言葉で隠す。
人差し指と親指で輪っかを作った了承の仕草も、夕闇に満ちて輪郭だけの形象になりつつあった。

「へえ、意外。遺宝商人ってそんなに儲からないんだぁ」
「うんうん聞く聞く!気になる人の事は聞きたくなっちゃうからねっ」

所々に心にもない言葉を挟み、けれどあらましについて興味があるのは事実のようで。
合間合間に適度な相槌をうちながらも、怪談に合わせた雰囲気に流される様子はなく微笑みは絶やさない。
決して良いとは言えない足場での不規則な歩みを追うために、無に近かった遅れが半歩に広がった。

「……なーるほどっ!そうだとしたら、なんか運命感じちゃうね!」
「でも遺宝になってるかは分かんないんでしょ?そうじゃなかったらおにーさんがちょっと可哀想だよねぇ」

語り終えて内容を咀嚼するまで少しの間、階段を登り終えて音楽室も目の前といったところか。
さも感心したとばかりに目を細め、緊張を示すかのようにもう片方の手を握った手に添えた。
60影鶴 忌憚◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/07/30(火)22:15:49 ID:5q9 [7/9回]
>>59

「もうぜんぜん儲かんないんだからさ。前途あるお友達にはこんな職業、進ませちゃぁいけないな」

量販店では二万円と幾らかで投げ売られているだろう召し物に、男自身から溢れ出す小市民ぶりからはとても羽振りの良さは感じられないだろう。
だけれども、遺宝の需要はあれば嬉しい集めて楽しいだなんてものではない。
一説ではそれを掻き集め部隊を結成するだなんて悪巧みを働くような輩もいるらしいとは伝説じみた〝遺宝商人〟の噂に付随するものだ。
それほどの価値のものが、容易く売り払われれば、裏社会の均衡は崩れるきっかけになるだろう。
だから、この男は、やはり、嘘をついてるのかもしれない。

「……そうでもないなぁ。俺は案外、ロマンティストな一面もあるからよぅ。音楽室のピアノの……なんていうの、あれ」
「なんかカパカパするあそこ、あれを開いたときにさ、本当に代々引き継がれてきたさぁ、それがあったら、それだけで興奮できちゃうかも」

二階の床は所々崩れ、残暑に晒された氷塊の名残が泥のように渦を巻く。
足を取られるすずめに、興奮から歩みを早める影鶴忌憚。彼我の距離は無意識のうちに剥がれていって
音楽室に辿り着いた頃には、その手は離れず繋がっているのだろうか。

「おっほ~~ん。いましたいましたいましたよ」
「……ほらほら。なぁなぁ、すずめちゃんはさ、どっちが怪しいと思うね。こいつらが遺宝かどうか決めるのは、どんなものかを決めるのは、もしかすれば、君なのかもしれないぜ」

男が、音楽室のピアノから取り出したのは
高校生がありがたがりそうな、これみよがしに怪しげな装飾品
そして海月でも模したかのような、ブサイクなキャラクターのキャスケット帽。
61風城輝雪◆</b></b>bU0CEuzUjA<b>[] 投稿日:19/07/30(火)22:16:14 ID:8WP [1/1回]
>>58

「犯行声明にしても何が目的かわからないよー。何かの警告で本校舎じゃなかったのか、それとも旧校舎事態に恨みがあるのかもー」

推理を巡らせる。目をくるくる回して頭の回転を良くする。

旧校舎再建については、

「うん、結構キツイ感じ。いっぱい泣いた~。旧校舎の建て直しって難しそう。いずれ普通に壊されるかも知れないものでしょ?悲しいけど、だけど諦めない。最悪、旧校舎の幽霊として愛でていくつもり。
あーそれ最悪でもないかも。むしろ最高の面もあるかも。それに、地下の噂の怪物が現れるかも知れない~油断できない」

知るひとぞ知る旧校舎地下の怪物。実在するかも怪しい存在。超常の何かのなのか、単なる噂なのか定かではない。

「じゃあじゃあーオカルト女王様による自然治癒の応援にー!フォーチュンライトヒーリング~キングは、えーとKのつく誰かかな?」

オカルト部女王が大変気に入り、パアッと明るい笑顔でステップ踏み、ふわふわ言いながら、日傘を閉じ、杖がわりに振って先端を燕治の眼帯の目へ向けると白い聖なる癒しのエネルギービームを放つ。暖かな優しい光が傷を包み込み、傷みを減少させていくだろう。

「わたしはー散歩&情報収集だよ。旧校舎とかの聞き込みだよ~ 傷みどうかな?アイスありがとー」

はんぶんこしてもらったアイスとイチゴバーを片手で両方持って器用に交互に食べながら。もう片方の手は傘を持っているから。
62双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[sage] 投稿日:19/07/30(火)22:27:53 ID:em0 [7/9回]
>>61
「端から見ると暑さでやられてるようにしか見えないぞ」

注意しつつ、警告の意味合いが強いだろうと。旧校舎に恨みがあるならそれこそまずは声明から出るはずだと。

「旧校舎もお前みたいなやつに愛されてると分かったら浮かばれるだろうよ」
「……前言撤回しようかな、いやある意味愛されてるんだろうが」

オカルト繋がりとはいえ、旧校舎への愛は深そうな相手に意見がコロコロ変わりまくる。
なお彼は幽霊はそれほど得意でない。殴れないし分離させられないから。死体の方は……見慣れた。

「俺は候補外だな、見つかることを祈ってるよ。…………。……ふむ」

残念ながら双葉燕治にKはなし。彼の知り合いにはKはいるがすぐに思い付いた相手は女子である。
そんなちょっと気の薄い祈りを捧げつつ、目に来る癒しには少しばかり気持ち良さげにしていた。やや不気味。

「そうかい、ならあんまり協力できなくて悪かったな。あんまり路地裏とか行くんじゃねえぞ?」
「久々の外にしては良いもんだったな」

日陰にて交わす会話は何気無く。しかしてヒントを少しは与えるが、危険と判断して避けるのが普通である。
彼の目的は聞いてもただのリハビリと言われるだろう。来るまでの間にたまにふらついてたりしたのだから。……片目だからね。

「まあ、旧校舎に行くのは良いけど気を付けろよ。まだ瓦礫とか残って……るのか?」
63小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/07/30(火)22:51:32 ID:UWI [6/8回]
>>60
陰惨と暴虐の吹き荒れる日の当たらない場所を闊歩するとはいえ、所詮は首輪もなしに好き勝手をしているはぐれ者。
生存のための知識には敏感だが、連帯やら均衡やらには無関心と言ってもいい。
故に真偽を疑う余地こそあれど、それをはっきりさせることに情熱を傾ける気は更々なかった。

「ホントにあったとしても、音楽室が無事か分かんないけどね……とっ」

見られていないのをいいことに、寄り添っていた時が嘘のように軽妙な足取りで後をついて歩くから、最後まで手は離れないまま。
崩落の残滓が残る音楽室の寂れた空気にも気圧されず、遺宝候補の二品を見やって興味深そうに目を輝かせた。

「うーん、あたし遺宝は使えないから詳しくないんだよねぇ。見ただけで分かる訳じゃないし?」
「それっぽいのはこっちの飾りだけど、個人的にかわいいと思うのはこれかな!」

そも超人である彼女にとって、遺宝に対する意識というものは他に比べてごく薄い。
誰かが行使しているのを見て愉悦を得られるわけでもなし、つまるところ好奇心でついてきたはいいが根本的には単なる傍観者であり。
おそらくは本気であろうセンスに任せて、ブサカワのブサイク寄りなキャスケット帽をかぶってみようと。
似合うか似合わないかで言えば限りなく似合うに近い似合わないである。
64風城輝雪◆</b></b>bU0CEuzUjA<b>[] 投稿日:19/07/30(火)22:57:29 ID:mBP [1/1回]
>>62

「警告なら、誰かが何かしたのかもねー」

それは何かは予測できないけれど。

「そんなことないよーすごく協力いただけましたー。サンQエンジ探偵殿。旧校舎破壊とグラウンドステージ事件。二つの事件は繋がりがあるかもしれない。同じような時期だし、学園に友好的じゃないのも似てるもん。壊したりさらったり……路地裏……ふうむ」

収穫は上場。新たな探索場所。さらなる推理に目を回し過ぎて眩暈して足元ふらつく、暑さのせいも少しはあるけど。慌ててアイスにかぶりつく。日陰&アイスで持ち直す。

「おいしーあまーい!外は暑いけど、いいよね、色んな得るものがあって。こもって考えているより行動が身を結ぶね!あついー」

オカルト部的調査の熱意の精神。熱意込めると暑くなってうだった表情で額に汗たらり、アイスを食べて冷やし、また暑く語るの繰り返し。

「まだなんか、調査中なのか残ってるみたい。お陰でこっそり寄り添ったりしてあげてるの瓦礫に。犯人は犯行現場に戻るって言うからねー、怪物の噂もあるしー気を付けるよー」

日陰へ吹いてくる風がライトグレー髪をそよがせる。

「気持ちいい風。それじゃあんまり無理させるのも悪いからわたし、そろそろ行こうかな……
怪我良くなること祈ってるねー。さらわれた子ともう一人の子の情報何かわかったら伝えるね、連絡先でも交換する~?」
65双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/07/30(火)23:09:00 ID:em0 [8/9回]
>>64
「繋がりがない方がありがたい話なんだけどなぁ」

それは単なる願望に過ぎず、もう心のどこかで繋がりがあることは思えてしまうのだ。
自身が二度目を与えた者も居て、もしもその者とグラウンドのステージの作成者が近しい存在だとすれば。
そんな思考をアイスの破砕音で破壊して。

「まー、外に居ても中に居ても暑いなら外のが色々見つかるものはあるよな」
(……あいつ大丈夫だよな?)

切り替わりの早い相手を見つつ、この暑さが引き起こしそうなものを抱えてるある人物にやや思考が惹かれ。
アイスの口を咥えて吸い始める姿はどことなく不良感。

「そうなのかい、瓦礫も嬉しいことだろうよ。まあ崩れとかに巻き込まれないようにな」
「ハハハ、お気遣いどうも。……そうだなぁ、まあもし会えたら頼むわ。なんならこっちの連絡先もそいつに教えて構わねえよ」

同じ病院に居ればいい、と思ったりしたものだが中々都合よくはいかないものだった。
だったら行動範囲が広そうな相手に頼むのも悪くはないと連絡先を交換するだろう。……交換後に若干の硬直があるのは相手の性別を認識し直したかりだが。

「そんじゃ、気を付けてな、輝雪」
66影鶴 忌憚◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/07/30(火)23:19:55 ID:5q9 [8/9回]
>>63

「遺宝ってのは、人間の感情に当てられて育つからよぅ。これみよがしに有難いもの……、つっても、暗黒通販とかなんとかで買った5000円の指輪なんだが? そんなものよりかは───」

それ、と指を指すのは、すずめの頭に乗せられたブサカワ属性のクラゲちゃんだ。
彼女とは違って遺宝に適合の余地のある、つまりは無能力者の、専門家、商人を自称する男にはどうやら感じられるものがあるらしく
それっぽく、恭しく、跪いて、両手を差し出した。

「それは、もしかすれば、すずめちゃんが俺に渡すことで、すずめちゃんが野に放つことで、完成する遺宝なのかも知れないなぁ」
「学生たちの思い入れで育てたって設定だからさぁ、俺にくれるか、すずめちゃんが売るか、選んでいいぜ」

何なら、殺してでも奪い取る。それでもいいと。
頭を垂れる男に代わって、垂直に垂れたネクタイから、金色のスズメが彼女を見つめて
商人でありながら、本日のみ、長い年月をかけ、生産者となった男は、生産者となったと自称する男は、その商品の行方を一介の女子高生に委ねてしまうのだった。

「遺宝ってのは人を選ぶからな。……すずめちゃんの似合い具合からして、そいつの契約者は女子高生。やっぱたいした金にはならなそうだしなぁ」
67風城輝雪◆</b></b>bU0CEuzUjA<b>[] 投稿日:19/07/30(火)23:29:54 ID:IsH [1/1回]
>>65

「うん、教えちゃうねー」

スマホを出して連絡先を交換し、硬直する燕治を不思議そうにみつめる。

手を幽霊のように前にひょいと垂らして見せ、目を細め、わざと怖そうな低い声で、

「……瓦礫が崩れて巻き込まれて死んだオカルト部女子の霊が、旧校舎の残骸に夜な夜な現れる……あなたの枕元にも……旧校舎の恨み、うらめしや~。信じるか信じないかはあなた次第……」

「少し寒くなった?うふふふふふふ……じゃあね~~楽しかった~バーイ!」

怖がらせ姿から普段のふんわり笑顔に戻って、手を振りさらなる調査聞き込みと散歩の続きへと去っていく輝雪だった。

//この辺りで〆です。どうもありがとうございましたー
68 : 双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/07/30(火)23:43:38 ID:em0 [9/9回]
>>67
視線に気づくと誤魔化すように手を振ろうとした時だった。
低い声で語られることにはわりと分かりやすく顔を上げた。

「…………おおう、少しはヒヤッとしたぞ」
「まあでも雨の日の旧校舎ってなると、その可能性も少なからずあるんだろうが……おう、じゃあなー」

やや冷えた頭を動かして、そんな風に解釈をしてから見送った後。
仮にもアイスを食べて、周りにも認識されて。超常まで使った相手に対して。


「……いやまさかあいつもってオチはないよな、うん、ないない」

幽霊くらい居てももうおかしくないために、そんなことを呟きながらアイス咥えて病院への帰路につくのであった。

//こちらこそありがとうございましたー、楽しかったですっ
69 : 影鶴 忌憚◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/07/30(火)23:47:19 ID:5q9 [9/9回]
>>63
//すみませんすずめ様、あと一往復二往復で締めだとは思うのですが、寝落ちが怖いので、ここで落ちさせて頂きた……。途中途中返信遅くなりすみませんでした……
70小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/07/30(火)23:50:51 ID:UWI [7/8回]
>>66
「うーん?思ったよりメンドくさいんだねぇ……アレだね、なんか生き物みたい」

素直な印象に首を傾げながら、いつの間にか自然と温もりが消えていた手の甲を海月の頂点に乗せる。
すっかり薄暗くなった寂寥の音楽室で、愉快そうに細めた瞳が汚泥の冥闇を孕んだ。
張り詰めた笑みのまま沈黙すること数秒、判断の間も見下ろすタイピンと目を合わせて逸らさない。
おもむろにキャスケット帽を脱いで、ぽすりと差し出された手に乗せた。

「いーよ、あげる。ちょっと遊んでからにしようかと思ったけど、ここで騒ぎを起こす訳にもいかないしね」

あまりにあっさりとした譲渡。自分では扱えない代物であることや、上手く捌く技量も気力もない事実もその理由の一つなのだろうが。
彼女の言う遊びが所謂命のやり取りであり、学内だからこそ働いた理性による抑止もそこに含まれると、喜悦に埋れたひと匙の殺意が無音で語った。
上機嫌に舌先で熟れた唇を湿らせれば、そんな剣呑はあっという間に霧散してしまうのだけれど。

「その代わり、面白おかしく使ってね?若い女の子に向いてるなんて、愉しそうだもん」

それは懇願や恫喝などでは断じてない、あくまで個人的な願望に近い。
愉楽を是とする彼女にとって遺宝は無関心の一端であれど、波乱の芽の引き金になり得るのであれば。
例え自分が直接介入していなくても、紛れもなく楽しいと思える出来事になり得るのだ。
71 : 小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/07/30(火)23:52:12 ID:UWI [8/8回]
//了解です、こちらこそ返信が遅れがちで申し訳ありません
//一先ずお疲れ様でした、おやすみなさい
72仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/07/31(水)21:26:33 ID:ODv [1/3回]
「ん……今日も暑いなァ」

星月夜、紺色のそれを映す鏡のように夜の上矢は群青に染まる
まるで瑠璃の中に石英を散りばめたような見事な夜空を見て、ゴッホもあの絵を描き上げたのであろうか
時代は変われど同じ空。人間の歴史など悠久を流れる宇宙の流れにとっては取るに足らない瞬きの間なのかもしれない
なんて哲学的な考えは、アスファルトから照り返す余熱とアキラの肌を湿らす汗によって遮られる

「暫くアンタとはお別れかもね」

季節的にも重ね着に無理が出て来る時期、バイクに乗る上で長袖の衣服というのは中々頼もしかったが
街を歩くのに今の格好は暑すぎると、そろそろ新しい夏服を買いに出掛けようと未だ見ぬ明日に想いを馳せる

「暑い暑い、早く帰ろ……」

ぱたぱたとシャツの袖を用いて首元を仰ぎながら家路を急ぐ
お世辞にも治安が良いとは言えない路地裏に、からからとビール瓶同士の擦れる音が響いた
73影鶴 忌憚◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/07/31(水)22:08:00 ID:sZ9 [1/1回]
>>70

「物の価値ってのはさ、面倒臭さが育ててくれるものなんだぜ。ズワイガニの甲羅とか、職人が手作業で作った革靴みたいなもんだよなァ」
「生き物係も学校ではいっちゃん面倒な仕事だしよぅ。……メダカを大量に死なせちゃってさ、怒られたなぁ」

夜の湿気に侵された床の木材を見つめながら、男は陽気に口元を歪めた。
すずめがその場の勢いで自分の首を落とそうと、クラゲを持って走り去ろうと
どんな結末が訪れようとその全てが最高のハッピーエンドであるかのように。
他人から見れば剣呑な二人の時間も、胸中を満たすのはすずめのものに似た好奇。

「そんなに俺と遊びたいの? いいぜぇ。今度会ったら問答無用で遊びにきていいぜぇ。今回のお礼ってわけだわさ? 」
「俺が勝ったら、俺のことはご主人様かキィたんて呼んでね。約束だわさぁ」

取ってつけたような唐突な語尾に、立ち上がり様、顕になる軽薄な笑み。
影鶴忌憚はすずめからキャスケット帽を受け取ればご機嫌にそれを頭に被り
ちっちと指を鳴らしながら彼女の誘いを受けて

「ああ、ああ。そうさ。面白おかしくなるともさ。超人怪人は数居れど、俺達はもしかすると、宇宙人に出会っちゃった数少ない人類になれるかも知れないんだぜ」

「……だから、こいつを二束三文で売り捌いても、金は後から付いてくるんだよ。カネカネ。あ゛あ゛~~おかね!」

へへっと幼稚な笑い声。
宇宙人との出会いだなんて、いまだ妄想の類でしかないけれど

「ブーゲンビリアの交信機。俺はこの遺宝をそう名付けよう。今日人類ははじめて~火星にいったよ~~……って、通じる? どう? すずめちゃ? 」

その思い込みの全てが現実になると確信するように、盲信するように男は鼻歌混じり、来た道に踵を返すだろう。
先の剣呑な雰囲気もどこへやら、帰り道もまたすずめに手を差し伸べたりして
振られれば、それはそれでぶくぶくと愚痴をこぼしてから、ひとりぼっちで帰るのだろうけど

//最後の最後で遅れてすみません……! 自分からこれはでしめで……! 楽しかったですありがとうございました!
74 : 小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/07/31(水)23:08:54 ID:mHJ [1/1回]
>>73
「ほーん、言うねぇ。いーよ、勝てたらおにーさんの好きに呼んであげる。今度遊べる時が楽しみだなっ」

なんだか奇しい賭事の真似事のようだが、あっけらかんと快諾するのは忌憚のない笑み。
頭に乗ったクラゲちゃんを似合う似合うと囃し立てながら、幼い頃に描いた未来地図に等しい諧謔に何度かの相槌。
上辺だけの賛同だったのかもしれないがそうであると悟らせない色香を、何気ない髪を耳にかける仕草で匂わせた。

「おにーさん、ホントにすっごいロマンチストなんだね!あたしはピテカントロプスにはなりたくないけど……宇宙人には会ってみたいかもっ」

険難混じるやり取りでさえ、楽しみの一つとして舌先で弄んでいるかのような。
ゆるりと嫋やかに差し出された手を取って、帰るまでがデートとばかりに往路と同じく指を絡める。
蒼然の復路を辿る足取りは軽やか、今度は彼女が先導するのは歩みと同様に上機嫌であるからに他ならない。
乾ききった瓦礫をぞんざいに踏み荒らして旧校舎から出た頃にはすっかり闇の帳も落ちきり、星月が空の光源として懸命に瞬く。
そこでようやく繋いだ手を離せば、きっと手を振って敷地外へと見送るのはやはり笑顔でしかないのだろう。
青白の月光に照らされたその相貌は、夜の風に誘われた猛禽の獰猛と優艶をも密やかに内包していた。

「またね、おにーさん。今度夜に会えたら、またヨロシク!」

//こちらこそありがとうございました、お疲れ様でした
75詩神朱璃◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/07/31(水)23:11:26 ID:nMR [1/2回]
>>72
家路を急ぐ貴女の耳に響いてくるだろう高い悲鳴。少女らしきものだ。
その後まだ目立った音はなく、精々酔っ払いの鼾や瓶の転がる音が微かに聞こえてくるだけだ。
彼女がどう動くか、それだけでその後は変わるかもしれないがもしも声がする方は……家路。

「…………どうして、怖がるの」

もしも今まで通りに通ったならば。
白いワンピース姿の金髪の少女が大鎌の切っ先をどこにでも居そうな普通の少女の首元に突きつけてる姿が見られるだろう。
既に悲鳴を出せなくなるほど怯えきった相手に首を傾げる姿は幼さそのもので、顔に貼り付けた骸骨の面がいやに雰囲気を出し。
今にも大鎌を振るわんとしてる姿がすぐに。

//もしまだよろしければ……シチュエーションに問題ありましたら変更しますので……っ
76仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/07/31(水)23:28:51 ID:ODv [2/3回]
>>75
「あのさ、アンタらは人んちの前で殺しをやる趣味でもある訳?」

前にもこういった事があったか、既視感ある光景にアキラは溜息を漏らしていた
無論この日に限って他の道を通る訳でもなく、最も合理的なルートを辿って家へと至ろうとしていたのである
玄関に続く階段が見えるというのにその表情が固いのは、きっと目の前の芳しくない状況に出くわしたからであろう

「グリムリーパー……にしちゃ貫禄不足だね」
「アタシの機嫌が悪くならない内に、早くその子を放して消えな」

路地裏の安家を借りたのは失敗だったかもしれないと思い始めたこの頃、殺し屋や殺人鬼たちとの邂逅は絶えない
ビニール袋を地面へと置いて、少女から視線を逸らすことなく言ってのけるだろう

//どちらも大丈夫ですよ、ただ寝落ちしてしまうかもしれませんので、なるべく事前に伝えられるよう心掛けます
77詩神朱璃◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/07/31(水)23:39:02 ID:nMR [2/2回]
>>76
「…………誰?」

返事でなく質問。眼窩から覗く金色はただ純粋さを孕むだけ。
彼女は自分が『殺し』をしている自覚はない。その点まだ殺人鬼達のがマシかもしれない。
ひゅ、と風を斬るように大鎌を肩に担いで、視線が逸れる。その一瞬のうちに狙われていた少女は駆けてそちらの背後へ隠れようと。
怯えてる様子もよく伝わる。それこそ、逃げてと言えば本当に逃げてしまうほどに。

「……あー、どうして」
「…………友達、なりたいだけなのに」

残念そうに瞼が伏せる、それはとても少女らしく。殺しにかかった相手とは思えないほどの無邪気な呟きを添えて。
淡い月光の元で鎌の刃を煌めかせ、少女を見ていた視線は上がって仁和寺の方へ。

……消える様子はないらしい。

「……貴女でも良いかな」

指を差してそう声に漏らす。――標的が変わったと捉えるならそれは正しい。
鎌を構えて向かってこようとする姿が見えるのだから。

//了解です、そしてありがとうございます! よろしくお願いしますー
78仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/07/31(水)23:56:16 ID:ODv [3/3回]
>>77
「友達作りにしちゃ、ちょっと物騒が過ぎない?」

友達が欲しいだけという少女の主張は、その顔を覆う髑髏の仮面と小さな手に握られた大鎌によって全てが歪曲されてしまう
アキラに伝わるのは克明たる殺意と、そして彼女の持つ何かしらの歪んだ認識が生んだ猟奇的な世界観の片鱗だった
現に得物を手にこちらへ向かって来る様は、白いワンピースと幼さが垣間見える体躯を除き全てが暴力の権化のようなものだ

「…………後悔するよ」

胸ポケットから最後の煙草を取り出すと、ソフトケースをくしゃりと握り潰して捨てる
オイルライターを取り出し、キンと澄んだ音を響かせて煙草の先端に小さな火を灯して
吸い込むと共に火種がジリジリと音を立てて燃え上がり、口を話せば先端から煙が立ち昇る

「アンタが幸運だったのは、アタシの前であの子を殺さなかった事だけ」
「それ以外の全てが……最悪の日になる事を誓うよ、マジで」

口から紫煙を吐き出したその時を始まりの合図として、アキラは足元にある小石を蹴飛ばした
異能による補正を得たそれは全力で投擲された弾丸ライナーにも匹敵する速度を持つだろう
アキラの力の象徴たる刺青は、まだ捲られた裾よりも内側にある
79詩神朱璃◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/01(木)00:10:44 ID:1TR [1/6回]
>>78
「物騒?」

何が。どこが。そう言いたげな声と視線。
殺意と見られるそれは彼女にとって友好の印。独善的にも程があるもの。
故に相手から見せられてるはずの恐怖も、敵意も彼女は理解することがなくだからこそ問い掛ける。なぜ怖がるのかと。

「タバコ……美味しいの?」
「…………今、何時だっけ……」

呑気な呟き。幼いがゆえの煙草への興味と最悪の日と言われたがために時間を気にして。
日付変更前なら良いなあ、なんて考えは無垢のまま消え去って、漸く蹴りを視認。

彼女をすり抜ける小石。貫通したわけでも軌道が逸れたわけでもなく。文字通りに体をすり抜けた。

(……おねーさんありがとう)

虚空での蹴りは何かを紛れさせるもの、という認識は残ってる。後方に突き抜けた小石がなにかにぶつかる音でも響いた頃。

「――――首、ちょーだい。おねーさん」

大鎌を首めがけて一閃する姿も見えるだろう。
もっとも消えてはないし、視界から外れる訳でもない真正面からの一閃。避けるのは容易いことだろう。
……振り抜いた隙のカウンターを狙うならば間を狙わないと新たな刃が首を狩りに伸びてくるが。
80 : 仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/01(木)00:31:22 ID:9WB [1/6回]
//すみません、思ったより限界が早かったのでここで凍結させてください……
81 : 詩神朱璃◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[sage] 投稿日:19/08/01(木)00:34:51 ID:1TR [2/6回]
//凍結了解しました、お疲れさまです……っ。遅くからでしたのでお気になさらずっ
82仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/01(木)09:53:22 ID:9WB [2/6回]
>>79
「だーかーらー…………」

『分かってないなぁ』、と両手を胸の高さまで掲げて構えるのは明確な闘志の現れである
迫る死神に対し、牽制で放った小石が通り抜けるのを見逃す事は無かった。いかし超人とて
人であり、完璧では無いことをアキラは知っている
亡霊(ゴースト)の如く透けることで攻撃を避けるには何らかの条件がある筈だ。外見的に弱点は光か?
なんて仮説を立てながらもスマホのライトを照らすべくポケットに手を突っ込む。しかし気付けば死神は目の前に迫り
検証はまたの機会に、今は反撃に専念すべきだろう

「無理!」

首を狙った一撃に対し、拒絶の言葉と共にぐんと大きく頭が下がって胴体の向こうへと消えるだろう
カウンターを狙ったバックスピンキックは、回避と同時に少女の顎からこめかみにかけてを蹴り抜ける軌道で放たれる
まだ角も取れないくらいに新しいスニーカーの靴底が風を切って迫り、胴体から脚にかけてのしなやかな筋肉によって繰り出されるそれはヘビー級プロボクサーの一撃に匹敵する威力を秘めている

「てかさ……首なんてどーするつもり?」
「アタシの顔なんか眺めていい事なんて無いよ」

しかしメリットが大きいということは、それだけリスクも伴う技であるということ。透過などを用いて回避されればたちまち胴体を両断するだけの隙を与えてしまうだろう
そこをよく理解しているアキラは蹴りの反動を用いて手前へ、すなわち少女から逃げるように飛び込んで距離を取るのである
余程射程の長い攻撃でない限りは、一旦安全圏へと抜けられるとだけの距離を稼ぎ、構えを直しながら能力の状態を探る
今のところ体感的な出力は三割ほどだろうか、どこか愛嬌ある姿と吐き気を催す邪悪を伴わぬ所為で、怒りや憎しみの類だけで能力を限界まで発揮させるのは難しそうだ
83詩神朱璃◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/01(木)14:04:51 ID:1TR [3/6回]
>>82
その仮説、ある意味では当たってはいたりする。
ただし浄化とか焼けつくとかではなく、万人共通の弱点的な意味で。
仁和寺が戦闘慣れしているなら、少女の透過と攻撃は同時に行ったとすると矛盾を起こす点があると気付けるかもしれないが。

「――~ッ!?」

回避と同時に行われた物理的な攻撃は少女の顎を掠めた、というには手応えを多く感じさせるだろう。
それだけでもたたらを踏む足取りになった少女の様子は物理攻撃は通用しなくもないことを示す鍵。
射程を伸ばせる訳ではない大鎌は空気を切り裂く音を立て、少女の杖代わりに地面に立てられた。長い持ち柄の両端に刃を伸ばして。
頻りに顎を撫でて、そこから伝わる揺れを矯正するようにしつつ疑問には。

「友達に、なるだけ」
「……綺麗な顔、眺めてて、良いと思う」

すんなりと、しかしておおよそ理解できないだろう考えを突きつける。
距離を取られた以上はもう一度接近を図るのが道理、この時点で所謂遠距離攻撃を容易に行える能力は持ってないと伝わるだろう。あるとしても大鎌投げくらいだ。

「……だから、欲しい」

ただし今度は、接近が成功したとしても、大鎌を振り抜けたとしても。不自然なことに一旦その刃は仁和寺の首をすり抜けるだろう。
――それに呆気に取られたなら、大振りの勢いを利用した二撃目の回避が困難になるだろう。一撃目は油断、もしくはカウンターを誘うためのものだ。


それらすべてに殺意はなく、むしろ友好的な意識から行っていることがそちらの精神に大小あれど負荷をもたらす可能性はあるかもしれない。
84仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/01(木)15:15:18 ID:9WB [3/6回]
>>83
「当たった……!」

小石を蹴って弾いた時、少女は物理現象を捻じ曲げソレを透過することで回避した
その時点でひょっとするとこちらの攻撃が通用しない相手かもしれないという最悪の状況をアキラは想定して行動していた
それゆえにカウンターのバックスピンキックが当たったことは僥倖であり、確かに足を伝って帰ってくる感覚以上の情報をもたらしてくれるものだ

「あれ……ッ!?」

ならば確証が掴めるまで同じ事を続けるだけだ。迫る孤月の刃を状態を逸らして躱し、カウンターに鋭いアッパーを放ち少女の顎を打ち抜いたその時である
アキラの回避が甘く攻撃を避けきれず、大鎌の刃がアキラの左手の小指を通り抜けたのだ。アキラはその様子を間近で、つぶさに見ていた
痛みが襲い来る前、咄嗟に小指を庇う。しかし依然として斬り落とされずにそこに留まる指を見て鎌が透けて通り抜けたのだということを理解
それにヒントをもたらしたのは、極至近距離で放ったにも関わらず少女の頭を貫通するかの様に自慢のアッパーが空振ったことだ

「い゛ッッ…………ッッ!!」

アキラの身体を通り抜けるということは、防御を掻い潜ったり振り直したりする必要なく二撃目を繰り出せるということであり
極めて勢いの乗った素早い斬り付けを、アキラはスマートフォンを握り締めた掌を押し付けて受け止めることしか出来ずにいた

鎌はスマホをいとも容易く両断し、アキラの皮膚を切り裂いて掌を断ちその骨まで達した
しかしあと一つの所で切断が叶わなかったのはアキラ異能によって肉体が大幅な強化を果たされているからだろう
掌と脇腹に刃が食い込む形となって、アキラは文字通り身を割くような痛みに苦しめられることになる。そしてそれが彼女にとっては活路ともなるのだ

メリメリメリッ!と木の幹でも裂くかのような音が鳴り響き、アキラの袖口から伸びたイバラの刺青が覗き前腕へと達する
彼女の異能は受けた苦痛に応じて身体機能を爆発的に向上させるのだ。つまり追い詰められれば追い詰められる程に牙を研ぐ窮鼠といった所か
瞬く間に向上を果たした膂力で死神の鎌を押し退ければ、素早いワンツーを放ち血煙を上げながら再びの後退

(アッパーが透けた時、鎌も一緒に透けた……でもさっき、アタシの蹴りは当たった)
(透けるタイミングや条件はよく分かんないけど、攻撃の瞬間には実体化する……!)

原理は未だ分からじとも一つだけハッキリした事がある。出来の悪いホラー映画とは異なり彼女の霊体化は絶対では無いということ
本命の攻撃を放つ際には絶対に実体を伴わねばならないという事実は、十二分に絶望を跳ね除けるものだ
イバラの成長によって一撃で両断されないだけの堅牢な肉体を手に入れた今のアキラであれば打ち合いだって出来る
85詩神朱璃◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/01(木)19:47:41 ID:1TR [4/6回]
>>84
「…………あっ」
「……イバ、ラ……? ――ヴっ……」

手を貫通した自身の鎌の刃に、しまった、とでも言いたげな声を漏らす。
執拗に首を狙うような発言と殺意の失せた発言から、これでも苦痛を与えないようにしているとするような。
しかしそれでも相手の様子の変化には気付けるようで、刺青が覗けばそれに少し気を取られるように視線が移り。
だからこそ鎌が押し退けられる際に動揺が入り、ワンツーの二撃の内一撃が腹部に打ち込まれそのまま少女も後退。
骸骨面の上から手の甲で口を押さえているのは腹部に入った衝撃で吐き気を刺激されたからだろう。大鎌は片側の刃を消し、また杖のように使われる。

「……手、痛い? ごめん、失敗した」

自分の透過能力の弱点のひとつを暴かれたことなど知らないような態度でそんな謝罪。
腹部を少しの間擦り続けて、鎌を握り直せば少し姿勢を屈めて眺める。
――その状態が続くか、それとも仁和寺が突貫してくるか。どちらでも詩神の取る行動は変わらない。
視界から消えるように跳躍、残像は視認出来るほど。しかしかなり高い位置までその姿を浮かせて。

「――――フぅッ!!」

月光を従えるように背負ったまま、上空から勢い任せに鎌を首に向けて袈裟懸けに振り切ろうとする姿を夜闇に現した。
この空中からの一撃に関しては、すり抜けたり逆に仁和寺のカウンターを完全に回避することはないだろう。
だが地面にその身が降りた時を狙った場合、その時は彼女の身体は透けることになる。いつ、反撃を狙うか、どのように狙うかが今後を決めることになるだろう。


//すみません遅れました……!
86仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/01(木)22:29:03 ID:9WB [4/6回]
>>85
「痛いに決まってんでしょ……ったく……!」

ワンツーの感触は上々に、アキラは手のひらの感触を確かめて攻撃に備える
死神を模していたとしても相手は少女、やはり増加した膂力による物理攻撃は有効なようで
攻め続けていれば勝機はある。逃げ場の無い戦いの中でその希望だけがアキラを照らす光となって正気を保たせるのだ

「……もっと楽な相手が良かったなァ」

しかし残像を残すような高速移動には閉口。続く空中からの急襲に苦笑いを浮かべて
手傷覚悟で腰を落とし、地面を凹ませるだけの力を込めて踏み入れ、そのまま高速のフリッカージャブを頭部の側面目掛けて繰り出した
攻撃のタイミングは空中、アキラに向けて攻撃を仕掛けるその寸前だ。成功すれば大きなダメージを少女に対し与える事ができるだろう
逆にアキラの攻撃が外れた場合、好きな場所に攻撃を叩き込む事ができる筈だ

//大丈夫ですよ、こちらも遅くなってしまってすみません
//深夜まで外からになりますがこれから返せます!
87小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/01(木)22:42:54 ID:809 [1/1回]
月のない夜の、街灯が届かない宵闇の路地裏では今日もどこかで密かに命が奪われる。
例えばそれは顔を隠す般若の面が特徴の、だぼついた黒ジャージで装う殺人鬼の凶風に吹き散らされて。

「この匂いはー……もしかして、もしかするかな?」

幅の狭いビル壁に反響する、変声器で書き換えられた楽しげな声。曖昧な輪郭から、辛うじて女であることだけが陰翳に浮かぶ。
足元に横たわるスーツの男は、顔面がすっかり潰されて原形を留めていない。胸の微かな上下さえ見受けられないから、息をしていないのは明白であった。
赤く濡れた木刀を小脇に抱え、しゃがみこんでスーツの内ポケットを無遠慮に弄る。

「んーっと……あれ?葉巻じゃなくて煙草だ……おーっ、ダビドフだ!火はどこかなーっと」

今でこそ鉄の匂いばかりが鼻腔を刺激するが、きっとその前には豊かな薫りが慎ましやかに烟っていたのだろう。
目敏く手に入れた戦利品を手慣れた様子で一本取り出して、早速楽しむための火種も懐から拝借するが。

「……あれ、点かない。マジかぁ……」

既に使い切られていたライターは優雅な喫煙の時間を許さない。何度か着火を試みるが、最終的に諦めて無造作に放り捨てる。
わざわざお面を斜めにずらして口元を露出させたというのに、先走って咥えた煙草がいやに虚しくなって、だらしなくしゃがんだまま星空を仰いだ。
88詩神朱璃◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/01(木)22:44:24 ID:1TR [5/6回]
>>86
ネタバラシをすれば、透過能力は死神性以外にもその物理耐性を補うための面がある。
硬質化する訳でも衝撃を流すわけでもなくすり抜けによる完全無効化というのが幼い憧憬故の嫌らしさを孕んでいるが。

「――――あっ」

攻撃の手をどうしても首狩りに集中させる悪癖。戦闘ではなく、首落としが目的だからこその癖。
それが仁和寺の目論見の助けの一因となったことだろう。遅れた鎌の刃は寸前で仁和寺の体から引き戻され。
空中故に踏ん張りは利かず、ましてや透過能力使用の条件を満たしてない身体はあっさりその一撃を受けて吹き飛び、建物の壁へと叩き付けられる。
その際に大鎌は消失し、ずるりと落ちた身体は積まれたゴミ袋の上へ。くすんだ金色を汚しながら少女は呻きを上げた。

「……ぅぅん…………」

流血が見える頭を抑えながらまだ立ち上がろうとする死神少女は、やはり敵意を見せない。
何がダメなんだとばかりの様子だが……明らかにふらついている。まだ様子見をするならば次第に大鎌を喚び直して、彼女はそれを杖がわりに突き立てるだろう。

「……友達ぃ……」

金色の瞳はじっと仁和寺に向けられて――大鎌を喚べていたならばボキリと音が響いた。

//了解しました! こちらは大丈夫です!
89仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/01(木)23:12:57 ID:9WB [5/6回]
>>88
「っし……!」

テンプルを殴り抜けたアキラの拳。その確かなる感覚に思わず静かなる鬨の声を上げる
そして吹き飛んだ少女の燻んだ黄金の輝きを見て…………アキラのイバラがほんの僅かに縮んだ

「――――……アンタ」
「本当にアタシと友達になりたいだけなの……?」

先程から薄々勘付いてはいたが、この一連の諍いの中で何処と無く感じていたやり辛さ
それはアキラと死神たる少女の間で交わされていた暴力的応酬の意義の齟齬にあった

アキラはこれを生死を賭けた闘争であり、何方かを負かす為の闘争であると捉えていた
しかし、実質的にこれは戦いですらない
先程から感じる敵意や殺意の無さ、そしてそういったネガティブな感情との無縁さがそう物語っており
アキラは暴力による終結以外の道筋を垣間見たように、だらりと両腕を垂らしてそう語り掛けたのだ

人間、首はやれないが、友達にならいつだってなれるのだから
90詩神朱璃◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/01(木)23:25:36 ID:1TR [6/6回]
>>89
「…………友達」
「首をくれたら、なれる」
「いつだってそう」
「でも皆怖がる。何がダメなの、どうして嫌なの」

並ぶ言葉に一切の嘘も悪意もなく、だからこそ歪に捻じ曲がった価値観として相手に突き刺す。
友達になる、その基準からして既におかしい頭と言えるのだ。夜の間にのみ明らかにしているそれは彼女の根幹的な部分も関わるものだ。

「…………私が刈っても、死ぬわけない」
「私は本物の死神、じゃないから、私が落としたって――死ぬはずない」

殺意も何もない凶刃ほど厄介な相手も居ないだろう。歪んだ価値観が人に与える恐怖を知ることはない。
これまで幾人も、仁和寺の友にだって忠告されても彼女は理解しなかった。そのくらいには凝り固まっている。
しかして鎌を杖にして、どこか後退るように足を踊らせる姿は諦めの早さも見せつける。それは首狩りの難しさと自身の状態を理解してる証でも。

ボキリという音が示したのは大鎌が二本の鎌へと分けられた音。構えはふらついていても、その目は仁和寺の首へと。
少女の様子から見て、乗り切るならこことわかるだろうか。
91仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/01(木)23:54:20 ID:9WB [6/6回]
>>90
「…………待って」

両手に花、否両手に鎌を持った少女に対し、アキラは停戦を申し入れるかのように手をかざし止めようとする
それはこれ以上彼女を傷付けたくはないという思いと、それに連なるある種のお節介な感情の混在の表れである
アキラは彼女の友達になりたい。そしてこの混迷の海に光を差す灯台となりたいのだ。――――勿論なるべく穏便な方法で

「アタシは……首持ってかれるのは勘弁だけど……………」
「…………アンタの友達になら、なれる」

まるで猛獣のテイマーの如く。こうして構え少女の動きを制しているうちに、アキラはジュラシックワールドの一場面を想起していた
あのポーズ、暫くSNSで取り沙汰されたな、とか、そういった他愛の無い考えだ

「てか、殆どの人は首持ってかれたくないだろーけどね」

皆が友達になる事を拒む理由も、控えめに付け加えておく
92詩神朱璃◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/02(金)00:02:07 ID:sUM [1/2回]
>>91
待って、と言われればピタ、と動きが止まる。いやに素直なのは性分か。
相手の気づかいを判断したとも思えない。それならば今までの間に改善はされてるはずなので。

「……………………そうなの」
「…………首。…………昼」

がちん、と刃同士を打ち付けて音を鳴らす。
その場から動かないが返事はしている。求めた答えとは違うだろうが。
彼女自身は抑えられたことも多いが夜の彼女はどうしても首落としイコール友となる式を崩すことが出来ない。だからこその困惑と単語。

「それが、わからない。死ぬわけないのに」
「…………今日は、もういい、かな……」

友達を拒まれる理由として仁和寺のそれは実に的確である。彼女を除く百人に聞けば百人が頷くだろう。
そんな彼女は例外の一人。しかし、流血が増えてきて、何より相手の出方がわからなくなったためか鎌はくるりと一回転させると消え失せて。
ゴミ袋の山から降りると建物の壁へと埋まっていこうとするだろう。すり抜けの応用。

つまりは撤退の意思表示。…………もしも彼女が引き止めるならば、もしくは何か聞くことがあるならばそれに反応するくらいはするだろうが。
93仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/02(金)00:15:16 ID:FaC [1/2回]
>>92
「…………昼?」

小さく漏らされた単語に反応を見せる。昼とだけ呟かれたその真意を探るべく頭をひねって
それでも容易には辿りつけない真相、ヒントをくれたのはこの街の中では長い付き合いの友人だった
昼には真っ当に生き、夜にはその獣性を解放し好きなように快楽を貪って。そんな生き方をする人間を知っている
だからこそ、アキラは昼の死神もまたそういった人種であるかもしれないと望みを抱いたのだ

「昼に……また会ってくれんの?」
「まぁいいや………………その時は、キチンと話して」

「アタシはアキラ、仁和寺……アキラ」

悪意を持って問答無用でアキラを殺そうとした訳でも、理性をかなぐり捨てて襲い掛かってきた訳でもなく
その目的が人を傷付けることに無い以上は、アキラは話し合いで事を解決することもできると確信したのだ
故に自らの名を明かし、太陽という加護が見守る昼間に再び語らう事を押し付けるように約束して

「はぁ…………夜って、ホント……」
「クソみたいだ……」

少女が壁の中へ潜り消えていった頃に、アキラは小さく溜息をついて
ビニール袋の中のビール瓶の温度を確かめるべく触れれば、結露の雫が傷に沁みた
94詩神朱璃◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/02(金)00:24:10 ID:sUM [2/2回]
>>93
――昼間の彼女は至って普通の少女らしく。
――夜間の彼女は死神を真似て首を刈る。
その少女との違いは、覚悟を決めてるかどうかだ。もっともこの少女は覚悟やそれとは別のところに居る。
夜の彼女は逃げるか、撃退か、首を刈ることでしかコミュニケーションが取れない。きっと他の殺人鬼のがまだマシであろう。


「――――詩神朱璃」

あっさりと名前を明かして透過していく。微かに鳴る靴音は遠ざかり徐々に平穏は戻っていく。
帰り道にはいつもの景色が少し崩れた程度で収まるだろう。破壊行動自体は控え目だった二人の利点か。


「……友達、首……今日も、取れなかった……」

フラフラと歩みながら、彼女は血を隠して夜の帰路で呟いていた。


//こちらはこれで〆な感じです……! 二日間ありがとうございましたっ、対応などで困らせてしまったかもしれませんがこちらはロール楽しかったです……!
95 : 仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/02(金)00:31:57 ID:FaC [2/2回]
>>94
//絡みと〆ありがとうございました
//こちらも楽しかったです、また絡ませて下さい
96仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/02(金)01:17:56 ID:fSY [1/3回]
>>87
夜中、失意の夜空に似つかわしく無い無機質な着信音。すずめの携帯電話が泣きじゃくるのは公衆電話を通じて誰かが接触を図ったからだ
電話に出たのであれば直接、出ずにいたのであれば留守電に向けて。受話器の向こう、滴る赤い血を隠しながらぼんやりと立ち尽くしていた少女の声が響く

『……ハイ、アタシ』
『暇な時に会いに来て…………待ってるから』

短いその声は少し震えて、溜まりに溜まった疲れを見せまいとして滲ませたかのような健気さを感じさせる
けれどその実を見せるよりも先に通話は切られ、言葉を交わしたとしても短い相槌のやりとりだけであろう
公衆電話の受話器を置いて、アキラは気が抜けたかのように後頭部をドアへともたれた

「…………ちょっと素っ気なかったかな」

後悔の言葉は何処かへと消え、きっと彼女に届くことは無い

――――――

「最近メソメソしてばっかだったからなァ……」

時計の針が頂点を指す頃、アキラは安アパートの中で未だにぼんやりと過ごしていた
コンビニで買ったビールやカクテルを冷蔵庫へと入れ、煙草の箱がいくらか入った紙袋を机の上に置き去りにしたままで
彼女が自分の呼び声にいつでも応じてくれるなんて、少しだけ甘え過ぎた考えだったかもしれないと
もう少しだけ起きていて、来なければ寝ようと心に決めて。きっとその試みは夜明けまで続く筈だ

//持ち越し前提になってしまいますが、宜しければ
97小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/02(金)01:59:09 ID:vWh [1/4回]
>>96
機械的な呼び出し音が、遠い距離を隔てた彼女の声に切り替わることは終ぞない。
故に会話相手のいない話がいつ再生されるのか、届くのかどうかすらも不明瞭であり。
時計が日付変更の瞬間を刻んで、更に長針が一周してもアパートの世界は怠惰に変化を示さない。
また長針が一回りして、虫も静まる丑三つ時に差し掛かった頃。
チャイムもノックもなしに、玄関のドアハンドルを誰かが下ろした。
反社会的な威圧や尊大を纏うでもなく悠然と、さも当たり前のように人様の家に踏みこもうとする人間は待ち人以外にはいない。

「――火、貸して」

無遠慮に上がりこんだかと思えば、開口一番要求するのは咥えた煙の立たない煙草の着火。
一度声を出してから、思い出したかのようにボイスチェンジャーの電源を切って、斜めに傾いだ面を机に放る。
常の日課に精を出していたのだろう、サイズの大きい黒のジャージと携える木刀には、酸化して固まった血の残滓がこびりついたまま。
用件が咄嗟に思いつかない不意の呼び出しにも拘らず、昼夜を問わない笑みを死臭に湛えた。

//反応遅れてすみません、よろしくお願いします
98仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/02(金)02:15:55 ID:fSY [2/3回]
>>97
「…………、……」

丑三つ時になっても電気の灯された安アパート、待ちくたびれてうつらうつらと舟を漕ぐ少女の姿
酒にも煙草にも一切手を付けず、待ち続けるのはまるで忠犬めいていじらしい
ドアハンドルに手を掛けても直ぐには気付かず、ガチャリとドアが開いて初めてハッとした様子で現実へ帰る

「ッ……!」

パッと浮かべる歓喜の表情を、ふと理性が抑えていつもの澄まし顔に
椅子から立ち上がった身体を押さえ付け、努めて冷静を装いつつ彼女を迎え入れるだろう

「……ハイ、スズ」

短い挨拶に何時もの奥ゆかしさだとか、ミステリアスな色は少ない。そういったものを多分に含まない空気の中で
アキラはすずめの格好を見て特に何か行動を起こすでもなく。テーブルの上に置いたオイルライターを投げて立ち上がる

「どーぞ、フリント変えたてだから、ちょっとカタいかも……」

古びたタオルを手にとってキッチンへ向かい、お湯で濡らしたタオルを少しだけ絞って
今頃煙草に火をつけているであろう彼女の元へ立ち寄れば、木刀を寄越せと血の滲む包帯の巻かれた手を差し出した
アキラに今のスズメが望む物は分からない。故に気の利いたことはこれしか出来ないのだ
99 : 小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/02(金)02:36:46 ID:vWh [2/4回]
>>98
「ありがと」とごく短な返礼と共に、ヤスリを回転させて生んだ可愛らしい焔でようやく煙草に火をつける。
ゆっくりと吸って、肺まで入れる。緩やかに立ち昇った紫煙が芳醇を室内に振りまいた。

「はぁー……うっま……」

アキラが濡らしたタオルを用意している間、椅子の背もたれを正面にしてどっかり座ればすっかり弛緩したひとり言が漏れる。
背もたれに顎を乗せ、先刻までの喜楽の名残りと至福の一服を大人しく享受。
暇を持て余した手で弄んでいた木刀を、言われるがままに差し出そうとして。

「どーしたの、コレ」

握っていた柄を二人の手のひらで挟みこむように、包帯で飾った痛ましいアキラの手をやんわりと握った。
相変わらずの歌うような口調、楽しげに弧を描いた口元ではあったが。
椅子に座って見上げる瞳だけは、奥底に潜んでいるはずの超重力めいた冥闇を宿した。

//早速で申し訳ありませんが、ここで凍結をお願いしてもよろしいでしょうか
100仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/02(金)02:56:27 ID:fSY [3/3回]
>>98
「……ああ、コレ……」

一見して何やら珍しい銘柄のフィルターを咥えて火をつける少女の姿を見て、その表情が至福の笑みになればアキラも僅かに表情を綻ばせる
そんなすずめの様子を見守りながら木刀の汚れを拭おうとしたアキラだったが、ふとその手にふわりと巻きついた指を見て動きを止める
少しだけ俯いて己の手を見つめ、乾いた血の滲んだ新しい傷を覆い隠す包帯を一瞥して呟く

「"また"アタシん家の前で殺しをやろうとしてる子が居てサ」
「どーやらその子も夜に……その、欲望を開放しちゃうタイプの子らしくて」

少し皮肉めいての強調。続いて語られるそれは目の前の彼女とどこか似たような境遇を持つ殺人鬼との邂逅のあらまし
傷を負ったというのに恨み節もなく、ただ子に昔話を聞かせる母親のような声色で今夜にあった出来事を語る

「でもまあ、悪い子じゃ無かったから……今度昼間に会って事情でも聞いてみるつもり」
「…………だから、この傷は何でもない」

大丈夫と微笑みながら手を握って、痛みはするがそれだけだということを強調
生命線が伸びたと微笑むも包帯の下はそれを寸断するかのように切り傷が走る、これもまた一種の皮肉だ

「それよりもアタシの胸に内出血作ったクソ野郎の話する?」
「…………なんてね、会いたかった」

バンTの上からふわりと形の良い胸に触れて、前にここを握り潰した不届き者が居ると苦笑して。今でもまだ残る痣について言及する
こうして露骨に話題を逸らすのは小さなグリムリーパーにすずめの敵意を向けないようにするための誘導であろう
しかしアキラの目的は不幸自慢をするためでもなく、傷を見せびらかす為でもない。ましてやすずめに誰かを殺して貰う訳でも

本当にただ、彼女が恋しかった
電話も、飲み物や嗜好品も、こうして夜が更けるまで待っていたのも、ただそれだけの為だ

//了解です、それでは今日はこの辺で。絡みありがとうございました
101It◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/02(金)06:19:01 ID:qUq [1/1回]
上矢学園の人目に付きにくい一角には兎小屋がある。
誰かが甲斐甲斐しく世話をしているようで何時も小屋は小奇麗。
数羽いる兎も怪我も病気もせずスクスク育っている様子。

そんな兎小屋の中から ぐがー ぐがー と寝息が聞こえる。

流石に兎はそこまで豪快な寝息は立てない。
不審に思い近づいて見れば正体は直ぐに分かる。
それは兎を纏う様にして大の字で眠りこけている輩。

腕や顔に包帯や絆創膏が張り付いた
3年佐藤と名札に書かれたジャージを着た
中性的な顔つきの何処かに居そうな国籍不明の人間のように見えるソレ。

連日、教師と生徒のガチンコバトルと称して園東寺とやり合うその姿は徐々に学内に浸透しつつあった。
102小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/02(金)14:12:39 ID:vWh [3/4回]
>>100
おもむろに伸ばしたもう片方の手で巻きついた布を撫でながら、無言を燻らせる紫煙に委ねる。
赤黒く汚れたその下の傷が平々凡々な日常で思わずして生まれた産物ではなく、月の衝動に駆られた諍いによるものだと聞けば。

「……変に同情して、情けなんかかけちゃダメだからね?」

束の間消えた笑み。片眉をひくりと持ち上げて、けれどすぐにあぐねたように首を傾げて背もたれとの接点を頬に移す。
語り聞かせる声の調子やあからさまな話題の転換が自分の意識を横向けるためであると分かるからこそ、追及の言葉を喉奥に留めたのだ。
アキラの指を一本ずつ緩やかに折り曲げて、木刀の柄を代わりに握らせる。最後にぎゅうと両手で包んで、ようやく殺戮の残滓が残る木刀を任せた。

「え、ちょっと。あたしだって揉んでないのに?何それずる……じゃない、サイテー!」

からからと笑うのは安い憐憫などでは決してない、ただの他愛ないお喋りに付随する確かな喜色。
アキラが木刀を拭っている間、火がついたままの煙草を灰皿に置いて椅子から離れる。
音も気配も殺さずに血と豊潤の香りを纏って背後に忍び寄れば、そっと腰に腕を回して背に額を預けた。
服を汚す赤はもう凝固して黒に溶けこんでいるから、腥な色が移ることはない。

「あたしも会いたかったよ。元気そうでよかった」

皮肉でもなんでもなく、心底からの安寧の響き。
あまりに唐突で簡潔な呼び出しと見て取れる負傷は、彼女の胸中に懸念の白霧を烟らせるのに十分すぎた。
面と向かってほんの少しの会話を交わし、それが杞憂と分かったからこそ。
しがみついたまま離れようとせず、すんと鼻を鳴らして安穏の空気を胸に吸いこんだ。

//昨晩は凍結ありがとうございました、お返ししておきますね
103仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/02(金)18:26:34 ID:1Z6 [1/2回]
>>102
「ん……スズと同じ匂いがしたから、気になっただけ」

実際、詩神朱璃と名乗った少女とすずめとの間には妙な共通点が幾つもあった。他人の空似とは思えない程に
故にそこへすずめを投影し、無下に出来ないという想いを生じさせたのは事実。アキラはそれを追究されれば誤魔化すように視線を手へと落として
一本一本指折り丁寧に。優しく木刀へと誘なわれてゆく手付きと温もりを感じながら最後の一つが折り曲げられた所で眉尻を落とす
優しいぬくもりの篭った両手が離されれば、久しぶりに感じたその熱が失われるまで余韻に浸るのだ

「必要に迫られれば、躊躇はしない」
「分かってるでしょ」

それが消えれば努めて冷静に振る舞い、今までの自分であればきっとそうはならないということを伝えておく
心境の変化や性格の軟化に触れられる前に話題を変えられたのは重畳だ。木刀の手入れもまた、この苦しい状況からの逃げ道となって

はじめに濡らした布で軽く撫でて乾いた血をふやかし、一度濯いで固絞りした布で汚れた面全体を綺麗に素早く汚れを取る
ニス無しの木刀であるのであればオリーブオイルを含ませた布で吹き上げ、ニス加工のされたものであればそのまま乾拭きで仕上げる
どこか慣れた手つきは、まるでこの日が来るのを予知していたかのような、備えていたかのような印象を与えるだろう

「ハハハ……アンタはアタシの事フったから、だめだよ」
「……あぁ、そうそう……この感じ」

木刀の手入れを終えて陰干しするために机の縁に立て掛けた頃、背もたれのない回転椅子の背中側から懐かしい感覚が伝わる
丁度その時、揶揄われて笑うすずめを視界の端で捉えていたアキラであったが、この感覚を味わえば身体は金縛りに遭ったように泊まり
ゆっくりと目を閉じて、久しく味わっていなかった法要に思わず笑みと本音が漏れる。ずっとこうしたかったのだと
アキラの背中に少しだけすずめの匂いが移って、代わりに返されるのはエクラ・ドゥ・アルページュの爽やかな香り

「そんなに汚して出歩けないでしょ……だから、今日はアタシとゆっくりするの」
「泊まってくなら、夜のうちに洗っといてあげる」

乾いた血のこびりついたジャージは、今のうちに洗えば何とか明日の昼までには乾くだろう
なんて気の利いたフリをして、アキラは彼女を少しでもこの場に留めようとしている
なんとも見え透いていて、狡い女だった

//帰宅しました。これから返せます
104 : 仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/02(金)19:42:19 ID:1Z6 [2/2回]
//すみません、また落ちになります……置きに移行して頂いてもよろしいでしょうか
//平行なども大丈夫ですので、何卒宜しくお願いします
105 : 猫島亘◆</b></b>5cw/3jepuI<b>[sage] 投稿日:19/08/02(金)20:06:56 ID:gd2 [1/1回]
季節は夏休み。学生は今頃精一杯に自由を謳歌しているような時期だ。
しかし、亘だけは例外だった。

「うぅ、これまでの不登校のツケが回ってきたか……」

しばらく不登校だった故、出席数が足りない。このままでは進級ができないと宣告され、彼の夏休みはそれを回避する為の補習に費やされる羽目になった。これまで休み続けてきたツケが帰ってきたのだ。

「はぁ、帰りたいな……」

当然ながら部活の生徒以外は学校に来ておらず、校内はとても静かだった。
休み時間を得た亘は、誰もいない屋上で、ベンチに座って運動部の様子でも眺めていた。

こんな場に訪れるのは同じく補習を受けている者か、それともわざわざ学校に来た物好きかのどれかであろう。亘は、大きくため息をついた。
106小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/02(金)23:16:36 ID:vWh [4/4回]
>>103
彼女が刹那的な気質であるのは既知の通りであり、それは命を預ける道具に対しても同様である。
即ち比較的手入れの楽なニス仕上げを選ぶのが常であるのだが、それさえ疎かにしがちであるのが所々剥げたニスから伺えるか。
木刀なんて触る機会は少ないだろうに、淀みない手入れの手際の会得には明確な理由があるのだろうと察するのは難くないが。
頑固といじらしさは非なるものだ、言及の代わりに柔らかな眼差しで預けた愛刀が身を落ち着けるまでを見守った。

「むう、イジワル……いいもん、そのうちうっかり触ってやるんだから!」

わざとらしく拗ねた口ぶりで嘯いて、けれど腰に回した腕を胸へと運ぶようなことはしない。
その逆、下方へと滑った指がTシャツの裾を掴んで、臍が覗く程度に軽く持ち上げた。
顔は背中に埋めたまま表情を伺わせず、くぐもった声はそれでも愉快を孕んだ。

「汗かいちゃったし、ついでに流したいからさぁ」
「一緒にお風呂入ろうよ。脱がせてあーげるっ」

抵抗がなければそのままするりと、宣言通りにTシャツを身から剥いでしまうだろう。
無論無理強いは望むところではない、制止の動作や言葉がかかればあっさりと諦めて自分の衣服だけさっさと脱ぎ捨ててシャワーを浴びに浴室へと引っ込むだろうが。

//大変お待たせしました、ただ今帰宅しましたのでここから安定してお返しできるかと
//置き進行の方も了解です、改めてよろしくお願いします
107仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/03(土)00:10:48 ID:Piq [1/2回]
>>106
「……何してんの」

薄手のバンドTの裾を掴みするりと持ち上げるすずめ。すると白い肌が覗き引き締まった腹部が露わになって
へその下辺りまで達したそれを更に脱がそうとする手つきを抑えるように、すずめの手首をアキラの両手が掴んだ
肩越しにジロリと細めた瞳を向け、瑠璃色の輝きが彼女の真意を探るべく一層色濃く暗くなり

「――――――あは、ほんと馬鹿なんだから……」
「後は自分で脱ぐから、先入ってて」

子供みたいな言い草を聞けば両手に込められた力はゆっくりと抜けてゆき、それは言外に同意を示す態度であった
両手を上に掲げた状態で為すがままに。後はすずめに任せ自らは精神的な辱めをなるべく受けないように目を瞑る
まずは薄っすらと付いた腹筋に沿って一本の筋が入った腹部が白熱球の灯りに晒される。そこに一際目立つのは忘れもしない銃創だ
続いてなめらかな肌の形を変えて、肋骨がその形状を浮き彫りにする。しかしそこで一度白い柔肌は布地に覆い隠されて
動き易そうなブラトップがアキラの胸を守っている。上から見れば確かに話の通り、親指ほどの小さな痣が右胸に残っているだろう

短くも官能的なリヴィールを終えて、アキラは立ち上がって悪戯好きなすずめを追い払うよう片手で押し退ける
俯いた表情は流していた前髪が垂れることで覆い隠されるが、その口元には照れ隠しにも似たはにかんだ笑みが浮かぶ
溢れた髪の隙間から覗く耳を少しだけ朱に染めて、すずめに続くようにシャワーへと向かうだろう

「あぁ…………怪我しないといいけど」

それにしてもこの家のシャワールームの狭さはすずめだってよく知っているだろうに
アキラのアパートは安くシャワーノズルも欧米風の固定式。もしも同時にシャワーを浴びるのであれば、動かぬノズルを奪い合う必要がある
つまり二人で立つのもやっとな狭いバスタブの中、身体を押し付けあって浴びることになるだろう
108小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/03(土)00:55:17 ID:iHb [1/4回]
>>107
勘繰る眼光に今更怯むような性根ではない、僅かに顎を突き出して覗いた目元が悪戯っぽい光を湛えて迎え撃つ。
力強い手に掴まれた時は止まり木に腰を落ち着けた鳥の如く大人しく、けれどバンザイの格好を取って暗に許可がもらえたのであれば。
へらりと実に嬉しそうな笑みを浮かべて、心的苦痛を最小限にするべくあまりにあっさりと布の防壁を取り払った。
もちろん先までの言とは裏腹に、その下の柔肌には一切直に触れようとはせず。

「んっふふー、嬉しいクセに!」
「じゃあ一番風呂はいただいちゃうねぇ。ちゃんと後から来てよ、絶対だからね!」

取り去った柔らかな殻を背中越しに押しつけて、衣擦れの音を伴って早々に浴室へと引っこむ気配。
洗濯機へと雑に放りこまれた衣服で包んでいた肢体をアキラが視界に収めるより早く、一番乗りのバスタブの中で疎らに響くシャワーの水音。
脱衣が追いついて流水の場に足を踏み入れる頃にはもう、じっと微動だにせず頭からお湯を浴びているだろう。
壁に背を預け、目を瞑ってノズルを見上げている体は分かりやすい筋肉質でこそないものの、程よく引き締まって無駄な肉がない。
日中の私服から覗く傷のない四肢とは対照的な、人の目に晒すことのない胴に残る新旧の問わない多様の傷跡を、途切れることのない水滴が這う。
横向いて出迎える形、しばらくの無感動と沈黙を置いてようやくぱっとドアの方を向いた。

「ほらほら早く、おいでおいで!やっぱ夏でもシャワーは気持ちいいね!」

ぐいと腕を引っ張って、シャワーの範囲内に二人をどうにか収めようとするが、当然どちらも恩恵は中途半端なわけで。
けれど最早体を清めるのは二の次とばかりに、濡れて張りつく黒の前髪をかき上げて楽しそうに笑うのだ。
その眼差しに情欲の類が介在する余地は皆無であるが、腹部に刻まれた銃創を見咎めた時だけそれ以上の下へと目を伏せた。

「……傷、まだ残ってるんだね」
109仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/03(土)15:34:39 ID:Piq [2/2回]
>>108
「あー行く行く、行くってば……」

手を引かれ少々バランスを崩して、傷を庇うべく握られた拳の底から肘までを壁に着いて止まる
触れそうになる額、水気を帯びて乱れた金糸の一部が、すずめの黒髪を呼んで互いに絡み合う
表面張力と呼べばそれまで、単なる物理現象に等しい。しかしこの場においてだけアキラには、この些細な現象でさえ特別なことに思えた

「そ、ずっと残るよ……羨ましいの?」
「でもダメ……これはアタシだけの、特別な傷なの」

脇腹と、更にそこから目を伏せればへその下辺りにもう一つの銃創があるのが見えるだろう
銃弾はどちらも体内に留まったが特に内臓を不全にするような事もなく、
失血以外に大した怪我が無かった事はある意味で奇跡のようなものだ
「触って」、そう短く言ったアキラはすずめの左手を取って下腹部へ誘うと、指先を丸い傷跡の中央へと到達させて
かつて命を奪い掛けたこれが、今は掛け替えのないアイコンとなってアキラを導いているのだということを告げる

「……この傷が出来た日の事、まだ昨日の事みたいに覚えてる」
「アタシがここに居るのはアンタのお陰……それを忘れたくないんだ」

すずめの手を導くために伏し目がちになっていた顔を上げて、そのまま瑠璃色の瞳ですずめの眼をじっと覗き込んで
狭いシャワーのその中で、身体の幾ばくかを密着させながら心地良い清純な雨に打たれ微笑む
その表情については、最早説明の余地は無いだろう。アキラはいつだってすずめに誠実で、彼女に感謝の念を抱いているのだから

「……だから何度だって言うよ。救ってくれてありがとう」
「………………」

恥ずかしさからか少しだけ顔を赤くしながら、一糸纏わぬ本音の心情を今一度赤裸々に語って
もしもすずめが何時ものように悪戯な笑みを浮かべたままでいるのであれば、アキラはきっと照れ隠しにボディソープのボトルを取り上げ彼女にかけて逃げていこうとするだろう

//夜までは安定して返信できます
110小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/03(土)17:35:02 ID:iHb [2/4回]
>>109
かき上げても水流に負けてしな垂れる前髪が、伏した目を隠して視線の先を曖昧にする。
いつもは愉快そうに三日月を描く口元も、浴室に籠る今だけは感情の起伏を呈さない。
血の匂いや紫煙の残滓、香水の名残りを全て流す頭から浴びるシャワーは、心象を覆う膜でさえも透過しているかのようで。

「――…………」

口を開いて、けれども紡ぎかけた言葉は意味をなさないから、水音に紛れて鼓膜を震わせることはない。
アキラにとって救済の証である銃創は、すずめにとって後悔を想起させる咎の痕と呼ぶに相応しい。
あの時、最初から側にいたら。もっと早くに駆けつけていたのなら。消えない疵痕を残すようなこともなかったかもしれないのに。
それを口にするのは冒涜に近しいと分かっているからこそ唇を貝のように閉ざし、微かに顔を上げて前髪越しに目を合わせた。
喜怒哀楽の伺えない眼差しであったがその中枢の光は、帰る場所を失くした獣の如き不安定な揺らぎを浮かべる。

「……いつだって、何度だって助けてあげるよ。あんなアキラちゃんを見るのは、もうごめんだもん」

導かれるままに傷跡を撫でた指が、密やかに伝わる熱に絡め取られて動きを忘れた。
狭いバスタブ内で触れ合う体から、驟雨を押し退ける心音が伝播して生の鼓動を高らかに叫ぶ。
ああ、まだ確かにちゃんと生きているんだと。当たり前のことを再認識して、ようやく熱の入った吐息と共に穏やかな微笑を灯したから。
含羞を洗い落とすボディーソープを突然塗されて、面食らうのも当然と言えた。

「あーちょっとぉ!お返しっ――」

一歩踏み出して体を密着させ、肌同士の接触によるボディーソープの塗布を目論んだのだが。
シャワーによってあっという間に足元まで流れ落ちるそれは水と混じれば特に粘度が高い、つるりと足を滑らせることだって珍しくはない。

「――いっっっだぁ!!」

アキラが浴室外に逃げ出すと同時、シャワーヘッドの下の壁に後頭部を思い切り打ちつける音と情けない悲鳴が背中を押す。
ベタつく体もそのままに蹲って悶えているから、さっさと置き去りにするのが賢明だ。
リビングの灰皿に残した煙草が灰骸に成り果てる頃には、バスタオルを頭にかぶっただけの装いで戻ってくるのだろうし。
111仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/03(土)18:29:39 ID:V0t [1/3回]
>>110
「――――おかえり」

バスタオルを頭巾のように被ったすずめを迎えるのは、オーバーサイズの薄手シャツとハーフパンツ姿という涼しげな格好のアキラであった
視線は柔らかく細められ、その瞳の奥に灯される光は渡り鳥に夜明けを報せる一条の光となって。ここが帰る場所だと語り掛けるようでもあった
しかし理性によって押さえ付けられたそれは、すずめがアキラを傷付けたくない一心で距離を置こうとするのであれば簡単に無視出来てしまえる程の微かなものである
さて、衣服は少なくともすずめが着るだけの分は残されており、ややストリート系に寄ったモノの中から選り取り着ることが出来るであろう

「飲も飲も、早くしないと日が昇っちゃう」

カビた古臭いレンガ壁の室内は湿度が高く温度の変化にも弱いが、それだけに部屋面積の割には破格で貸し出されるものだ
故に食卓の他にも、リビングのようなくつろげるスペースも存在するだけの広さがある
そこに置かれた小さなソファの上に座れば、剥き出しの太ももをパンパンと叩いて隣へ誘うのである
久しぶりが故か、今日という日は徹底的にすずめに甘いアキラである

「じゃ……久しぶりに乾杯」

すずめがどのような形で座れど、アキラはきっとにこやかに乾杯を交わすであろう
適当に買ってきたボトルのカクテルは、これまで何度か買おうと思ってそうしなかったものだ
いつも飲むものは甘くベタついて、今日はスッキリとしたレモン味を飲みたい気分

「ん、美味しい……灯台下暗しってヤツかな」

さっぱりとした口当たりは、アキラの眼鏡に叶ったようだ
112匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/03(土)18:44:41 ID:R0U [1/10回]
夜。
路地裏の一角に赤色と鉄錆の臭いがぶちまけられて未だ間もない。

「…くっそ、何だったんだ」

街中でヒグマにでも襲われたのかと言うくらい
身体の至る所に噛み痕と爪痕を残し流血している青年が
壁に手をつき壁と地面に赤い線を引きながらノロノロと移動している。

何かに襲われたのは明白、しかしそれは済んだ話。
問題は此処が未だ路地裏であり次なるトラブルが舞い込む可能性が高いと言う事だった。

「インカムもケータイも御釈迦か…ついてないな」

ずるり、と片膝から力が抜け、しゃがみ込む。
いよいよ意識も朦朧としてきた。

//>>101と併せて待ちです
113小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/03(土)19:37:01 ID:iHb [3/4回]
>>111
がしがしと濡れ鼠の髪を乱雑に拭きながら、勝手に衣装タンスから服を拝借するのも最早慣れたもので。
適当に手に取った、ゆったりとしたTシャツとホットパンツをのたのたと着こんで、まだ湿った髪はそのままに。

「あれれ、お忘れかな?もう夏休みなんだから、朝から晩まで飲み放題吸い放題、やりたい放題だよ?」

これから些細な悪事を働くかのような、事実そうである悪戯っぽい忍び笑いが零れて挑発的な響きを夜半に謳う。
軽やかな足取りは素直に標の止まり木へと向かい、ソファの隣にぼすりと腰を下ろした。
フレーバーを見もしないで手に取った、度は低いが糖度は高い缶カクテルのプルタブを起こせば清涼な音がシャワー上がりの湿気を吹き飛ばす。

「ほい、乾杯。ホントは毎日でも飲んでいたいんだけどねぇ」

幅広い種類の酒を嗜む彼女であるが、存外缶カクテルには馴染みがない。
特有の甘ったるさにああ、と思わず声を漏らして天井を仰ぐ。けれど続けて口に運ぶから、気に入らないわけではないらしい。

「うへぇ、あまーい……そっち一口ちょうだいよぅ、これだけじゃ飽きちゃう」

ソファに座ったまま体をずらして、肩と肩がそっと触れ合うように。
今日はどことなく甘いのにつけこんでいるつもりではないのだが、普段よりも積極的なのはやはり空いた時間の長さのせいか。
本当は缶を空にするなど造作もないはずなのにこうして稚くねだってみせるのだから、少し狡くあろうとしているのは確実であった。
114卯月圭◆</b></b>7DAWy2EOVc<b>[sage] 投稿日:19/08/03(土)19:46:31 ID:lFj [1/10回]
>>112

この暗がりの世界では、噎せ返る鉄の臭いも壁を汚す赤色もさほど珍しくはない。
意識を失いかけている彼もそんな"日常"に巻き込まれたのだろうか。手を差し伸べる者など居ないのもまた、同じく日常ではあったが――。
彼の運が良かったのか、それとも彼女の運が良かったのか。今日のところは少しばかり違うようだった。


「失礼。――大丈夫ですか」


血の臭いと色を頼りに路地の奥からやってきて、今まさに声をかけてきたその女は、敵ではない。
セミロングの黒髪に黒目、黒縁眼鏡をかけた地味っ気な女である。年の頃は二十代後半くらいだろうか。
服装も暗い灰色のパンツスーツ、何処にでもいそうな格好だ。けれど仕事帰りの社会人などではないことは目を見ればわかるだろう。
流れ出る血、裂けた皮膚、グロテスクなそれらを目の当たりにして何ら動揺もない、闇に慣れた瞳だった。


「警察です。事情は話せますか?」


そちらが拒まなければ、女は隣へ移動して傷の応急処置を始めるだろう。
その傍ら、懐から取り出したのは警察手帳。『特別超人対策室室長』という長ったらしい肩書の下に、顔写真と名前。

――卯月圭。そう書かれている。もしかしたら見覚えのある名前だったかもしれなかった。
115匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/03(土)20:05:28 ID:R0U [2/10回]
>>114
「あれ…?……」

正直なところ。
青年は自分が所属している対超人特殊部隊の全容を知らない。
他の主要メンバーが身分を隠し活動しているという話は聞いているが、
それが何処の誰かという詳しい話までは教えてもらえなかったのだ。

これは青年が所属前から顔を広めてしまった事に起因し、
それを利用したデコイ役こそ適役だと判断された結果、
敵に拉致され情報を抜かれる危険性も一段と高いと判断されたからだ。

であるなら始めから他の隊員の情報を与えない事で双方にある種の安全が生まれる。
なんかそういう話で丸め込まれた経緯がある。
顔も名も知らぬ直属の上司がド畜生なのは間違いないが、
活動そのもののフォローは万全なので青年は文句を言える立場でもなかった。

なので卯月の事は少し引っ掛かりを覚えたものの、
血が足りず回らぬ頭ではそれが何を意味するのかの判断が全くできていなかった。
故に問われるままに反応を返すに留まる。

「……仕事中に妙なのと交戦を」

その妙なのは既に絶命し塵となって消えている。
故に痕跡を探そうにも在るのは血だまりと鉄錆の臭いだけだ。
116 : 仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/03(土)20:09:28 ID:V0t [2/3回]
>>113
「……明日も居てくれるの?」

何気なく繰り出された誘うような声に、アキラは笑みを潜ませて真っ直ぐにすずめの眼を覗き込む
いつもふらりと繫
117仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/03(土)20:18:08 ID:V0t [3/3回]
>>113
「……明日も居てくれるの?」

何気なく繰り出された誘うような声に、アキラは笑みを潜ませて真っ直ぐにすずめの眼を覗き込む
いつもふらりとつなぎ止めることの出来なかった彼女、こういった時間を過ごせるのは久々で
至福のときが1分1秒であろうと延びるというのであれば、アキラにとってこれほど嬉しい事は無い

「ん、いーよ…………ふふ」

カクテルを寄越せと雛鳥が鳴いて、たとえ猛禽が皮を被った姿であると知っていても甘やかしてしまうのが常である
笑みを取り戻したアキラが手を差し伸べて、冷たいビンの口がすずめの下唇に触れてからゆっくりと傾けられるであろう
同じようにしてアキラもすずめの手を引いて、己の口に甘ったるい液体を注がせるべく甘えた視線を向ける

「あー……楽しい」
「…………ずるいよ、スズってさ」

そうして何杯かビンと缶を開けて、年不相応に酔いが回った頃
満足した表情で天を仰いでいたアキラは、締めとばかりに手に持っていた薄い紙巻に火をつけて
アキラの横顔の向こう、薄いカーテンを通した向こう側、朝日がコンクリートジャングルの隙間から昇ってくるのが見える
紙巻を加えたままで呟かれるのは、きっとずっと諦めきれずにいたすずめへの感情だ

「これとコイーバ、どっちが良かった?」

そうした感情をまるでタバコの火を靴底で消し去るかのように、寂しげな笑みで無理矢理上書きして
アキラは指に挟んだシガリロと紙巻を、二つちらつかせてすずめに問い掛ける
118卯月圭◆</b></b>7DAWy2EOVc<b>[sage] 投稿日:19/08/03(土)20:29:39 ID:lFj [2/10回]
>>115

青年の傷を診ながら、ふとその顔色を伺えば、卯月の脳内に合致する人相があった。
卯月圭は青年と同じ対超人特殊部隊の一員であり、組織内の序列もまた同等だ。彼と同じ単なる"隊員"に過ぎない。
しかし警察組織からの出向という立場上、いち隊員という立場を超えて多くの権限を行使する許可が降りている。
隊員の名簿を確認することもまた、その権限のひとつだ。卯月は既に、部隊員全員の顔を頭に入れていた。


「あなたは……匡美さんですね。このような形でご挨拶することになるとは思いませんでしたが」
「卯月圭と申します。警察官の身ですが、同時にあなたと同じ対超人特殊部隊の一員です」


輝の事情も知り得てはいたが――彼とは違う命令系統で動く自分には、その上司の命令を遵守する義務はない。
挨拶はひどく手短だったが、かといってそこに冷淡さはなく。卯月は丁寧に会釈をしてみせるだろう。
事情はどうあれ、匡美輝もまた同じ志を抱く仲間であると、少なくともこの卯月圭は思っているようだった。


「妙なの、ですか。その様子では既に追い払ったか、あるいは仕留めた後だというのは解りますが」
「仲間が来ないとも限りません。治療が済むまで、詳細をお聞かせ願えますか」


応急処置を続けながら卯月は輝へ仔細の説明を求める。治療の手管は的確ではあるが急いでいるため、少し痛みがあるかもしれない。
輝に焦った様子がないことから既に事が済んでいることは理解できたが、あまり長居したい場所ではなかった。
119匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/03(土)20:49:00 ID:R0U [3/10回]
>>118
「…ああ、こりゃどうも。こんな状態で…すみません」

消耗はかなり激しい。
笑って会釈でもしようとしたのだろうが今の青年は自分で思うような動作を満足に行えない。
今すぐの命の危険性はないが、明らかに病院直行コースである。

「匿名の電話があったそうです。
 超活性化薬の取引が行われる場所がある、と。
 罠の可能性が十二分にあったので僕達が出向く形になったのですが…
 ええ、取引自体はありました。超人排斥組織絡みだったようで。
 でも問題は其処に僕ら以外の乱入者があった事です」

時折息を大きく吐いたり吸ったりと様子はあまり良くない。
それでも今のうちに伝えるべきだと思っているのだろう、青年は続ける。

「中央庁襲撃のおりに確認された解放師団の異形兵。
 あれに酷似していました。ただソレは見かけだけだったようで…
 たった一匹によって現場は地獄絵図です。
 現場にいるのが常人ばかりであった事を差し引いてもアレは一方的過ぎた。
 単純に考えて戦闘に長けた超人と同等かそれ以上の脅威でした。
 拳銃程度では決定打にならず能力を駆使して何とか撃退はしましたけど…げふっ」

せき込んだ青年は自身が血を吐いた事に顔をしかめる。

「…正体不明の化け物です。塵に帰るようじゃあ解析もロクに出来ない。
 明らかに解放師団の扱う異形とは別の何かだった」
120小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/03(土)21:05:54 ID:iHb [4/4回]
>>117
期待の言葉に明確な答えはなく、上目遣いに言外の確認を乗せるだけ。
気まぐれな小鳥と長期間の連続的な約束を交わすのは難しいが、裏を返せば不意の訪問はお手の物であり。
容認の気配を感じ取れたのであれば、それこそ毎日のように昼夜を問わず、月下の日課の後でさえも我が巣の如くとまりにやってくるのだろう。

「んくぅ……ぷはっ。んんー!すっきりする!」
「はーい、アキラちゃんにもどーぞっ。零さないでよぅ」

冷たいガラスの感触を享受しながら、啄むように爽やかな柑橘の味わいを喉に流しこんで目を細める。
求められる視線を受ければ、同様に缶の縁をアキラの下唇に触れさせてやおら傾け、甘いベリーのフレーバーを口内に注いでやり。
酒精を嗜むのもいいが、こうして互いに口に含ませるのもまた。そうして空いた容器が増えるたびに、すずめの体はアキラの方へと傾いていき。
最終的にソファの背もたれに横向いて足を肘掛に乗せ、アキラの腕に背中をすっかり預ける体勢に。
アルコールのせいか、ほんのりと朱を呈した頬が有明の光に熟れた。

「――何が?」
「あたしも楽しいよ。それだけで十分」

街中では聞こえるはずのない朝告鳥の声に紛れてしまったフリをして、燻る感情の発露を素気なく返す。
なんでもないような語調であったがその実、疚しさや未練を隠すように目を瞑り。
ノールックで選んだ紙巻を咥えると、首だけ回して火種を求めた。
そこに浮かべるのは片目だけを気怠げに開いた、楽しげでありながら微量の自嘲を含んだ笑み。
121卯月圭◆</b></b>7DAWy2EOVc<b>[sage] 投稿日:19/08/03(土)21:10:46 ID:lFj [3/10回]
>>119

治療のために忙しなく手を動かしつつも、卯月は輝の言葉に静かに耳を傾ける。
――正体不明の化物。この街に巣食うのが闇は解放師団だけではないことを、卯月もまた痛いほど知っている。
ゆえに今更驚きもしなかったが、僅かばかり眉を顰める。青年が吐いた血は、いつか無辜の市民が流す血だ。


「仔細は解りました。……無理をさせてすみません」
「現段階では所属組織も判別不能ということですね。であれば、ここで答えを出すのは不可能でしょう」


ボイスレコーダーで録音した輝の証言を、卯月は通信機で本部へと送信した。
塵に還ってしまうのでは望み薄かもしれないが、証拠が残っている可能性もある。現場を詳しく調べなくてはならない。
しかし輝を放り出して自分が今から直接出向くというわけにもいかない。卯月は同時に増援要請を送った。
少し時間が経てば現場へ仲間たちが到着するだろう。指揮官として後から合流する必要はあるが、まずは輝の保護が最優先だ。


「――病院まで直行します。ここからなら、救急車を呼ぶより私の遺宝のほうが迅速ですので」


そうしているうちに応急処置も完了する終える。多少ではあるが痛みもマシになっているはずだ。
そして卯月は、おもむろに輝の脚の下と背中に手を差し入れるだろう。輝が抵抗しなければそのまま立ち上がるだろうか。
「跳んで、ラビ」という短い呟きと同時に卯月の両足が光って、白い帯を複数編み込んだような外見の異形のブーツが現れる――。

……それはそれとして、今の状態を端的に表せば、お姫様抱っこというやつである。
成人男性としてはちょっと恥ずかしい姿かもしれなかったが、そんな配慮は卯月には無いらしい。

ともあれ、卯月はここを離れるつもりのようだ。輝本人からの静止や、敵の追撃などがなければ、の話だが。
122匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/03(土)21:21:14 ID:R0U [4/10回]
>>121
匡美輝。
異性の前で恥ずかしい目にあう事を運命づけられた男。
今のところ彼が終始クールなお兄さんでいれた例はない…筈。

故に青年の意識が混濁している事もあり、卯月の行動を咎める者も妨害する者もいない。
問題なく青年を病院に運ぶ事が出来るだろう。
しかし卯月が移動するルートにビルの屋上付近を駆ける事を選んだら、話は変わってくる。

これはそんなIFが絡む物語だ。
123卯月圭◆</b></b>7DAWy2EOVc<b>[sage] 投稿日:19/08/03(土)21:29:44 ID:lFj [4/10回]
>>122

輝に拒絶の意思はなく、周囲に危険もないとわかれば――次の瞬間、卯月は輝を抱えたまま跳ぶだろう。
たった一息で十メートル近い大跳躍。路地裏を一気に置き去りにして、輝を抱えた卯月は"ビルの屋上"へ着地する。
風圧は多少あるが、着地の衝撃は殆ど感じないはずだ。重力を軽減する異能が、この極めて軽やかな跳躍と着地を可能としていた。

卯月は建物の屋上から屋上へと飛び移っていく形で、文字通り一直線の最短距離で病院を目指すつもりだった。
普通の人間ならば絶対に追いつけず、超人であっても追跡の難しい"空中"というルート。卯月がその経路を安全と考えるのも無理はない。

――故に。その"IF"に、卯月圭と匡美輝が遭遇するのは必然であるのかもしれない。
124◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/03(土)21:39:51 ID:R0U [5/10回]
>>123
卯月が感じたのは先ず視線。
あからさまに見ていると態々知らせるかのようなチリチリと肌を炙る様な感覚を味わうだろう。

敵意があるわけではない。
しかし卯月に関心がないわけでもないのは、あからさまな感覚から察しが付く。

「…一度、おろして下さい」

視線は青年も感じたらしい。
衰弱しながらも警戒を強めざるを得ないと感じたのか幾分意識もハッキリしたようである。
適当なビルの屋上にでも立ち止まったほうがいいだろう。
その視線はどう考えても進行方向の先にあるようだから。
125卯月圭◆</b></b>7DAWy2EOVc<b>[sage] 投稿日:19/08/03(土)21:50:37 ID:lFj [5/10回]
>>124

――誘われている。
卯月がそう直感して足を止めるのに時間は掛からなかった。輝の言葉に従い、途中の屋上で彼を地面に下ろす。
遺宝の影響を受けて月輪の如き金色に染まった双眸が、ジリジリと肌を焼くその感覚の先へと向けられた。


「私達に用があるのなら姿を見せなさい。急いでいます、手短に済ませましょう」


ブラウスの上に装備したショルダーホルスターから拳銃を引き抜いて構えると、輝の盾になるような形で立つ。
虚空へ投げつけた言葉は冷え切っているだろうか。場合によっては、卯月は何の躊躇いもなく引き金を引くはずだった。
126◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/03(土)22:01:55 ID:R0U [6/10回]
>>125
「ふーん、どんなのかと思ったら…案外フツー」

第三帝国を彷彿させる黒い軍服と赤い腕章。
正体を隠す為か、黒いバイザーのようなもので目や頬を覆っている。
背丈と声からして未だ子供。

ふわり、と羽のような軽やかさと浮遊感を漂わせ。
ソレはその場に滲み出る様にして現れた。

「こんばんは。おにーさん、おねーさん」

銃口を向けられている事も意に介さず。
きっとバイザーの奥は笑顔なのだろう。
ソレは舞台役者じみた大げさな動作でうやうやしく礼をして見せる。
127卯月圭◆</b></b>7DAWy2EOVc<b>[sage] 投稿日:19/08/03(土)22:12:00 ID:lFj [6/10回]
>>126

表情の見えないその人影が子供らしいことがわかると、卯月はほんの少し目を細める。
子供に武器を向けるのは気が重い――。しかし、構えた銃を顔の横へ移動させたのは、そんな感情論によるものではなく。


「こんばんは。なんの御用でしょうか」
「私は警察官です。迷子ならば近場の交番までご案内しますよ」


大仰な一礼に対して、卯月はあえて普通の子供相手にするように、小さく微笑んで優しく言葉をかけた。
それは内心、この人物が普通の子供であって欲しいという願いでもある。叶いはしないと解ってはいたが。
とりあえず敵意を感じないため構えは解いたが、決して油断したわけではない。どう動くかはこの子供の出方次第だ。
128◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/03(土)22:23:24 ID:R0U [7/10回]
>>127
「んー、二人とも良い人なんだね?少なくともそう振る舞おうとする人間だ」

つまらなそうに少年は言い放った。

「そっちのおにーさんは、さっきアレだけ狂暴だったのにねー?」
「…」

青年が正体不明の何かと戦った時も見ていたのだろう。
その時のことを思い出して少し楽しそうにも見える。
対して青年は衰弱していることもあろうが表情が硬い。

「ま、いーや、今日は挨拶をしに来たんだ!」

何か喋る度にアッチへウロウロ、コッチへウロウロ。
落ち着きのない子供そのものの所作でソレは二人に話しかけてくる。

「どうだった?おにーさん。僕の弟は…強かったでしょ?」
129卯月圭◆</b></b>7DAWy2EOVc<b>[sage] 投稿日:19/08/03(土)22:33:30 ID:lFj [7/10回]
>>128

進行していく会話に、卯月は注意を子供へ向けたままちらりと輝の顔色を伺った。
残念ながら――この子供が輝の遭遇した事件の関係者であることはもはや疑いようもなかった。


「……、君。署までご同行願います。詳しい話はそちらで、私が聞かせて頂きます」


大怪我を負っている輝にあまり喋らせて負担をかけたくもない。
卯月はゆっくりと子供へ歩み寄っていくだろう。そこにはもはや、先程のような事務的な優しさはない。
抵抗すれば、例え子供が相手だろうと力づくでも拘束するという意思。――それは、犯罪者に向ける視線だ。
130◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/03(土)22:47:38 ID:R0U [8/10回]
>>129
「下がって!!」

青年が吠えるように叫んだ。
次いで卯月の身体が強制的に後ろに引っ張られる。
瞬間、卯月が元いた場所が歪む。
足場であったビルのコンクリートが空間ごと削り取られる。

「…あれ?おかしいな?」

少年が首をかしげる。
今の一撃で卯月が削り死ぬのが確定であったかのような素振りだった。

「げふっ……弟?…あれはどう見ても人間じゃあなかったよ」

卯月を《糸》で動かした青年はそのまま膝をついた。
能力を使ったせいでいよいよ身体が悲鳴を上げている。
131卯月圭◆</b></b>7DAWy2EOVc<b>[sage] 投稿日:19/08/03(土)22:57:23 ID:lFj [8/10回]
>>130

がくりと真後ろに移動する身体、眼前には死の跡。
異能による攻撃であると判断するのと、抵抗の意思ありと諦観するのが同時であった。


「匡美さん、今度は貴方が下がる番です。その身体で戦うのは無理でしょう。ここは私が」


輝へ小声でそう告げると、卯月は子供へ容赦なく発砲した。両脚の太腿を狙い、立て続けにニ発。
装填されているのは暴徒鎮圧用のゴム弾だが、曲がりなりにも音速の飛翔体である。貫通性や致死性が無いだけで、威力が低いわけではない。
直撃すれば最悪、骨にヒビが入るぐらいのダメージにはなるだろう。


「……貴方の弟は人間ではなかったらしいですが。貴方もそうなのですか?」
132◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/03(土)23:07:32 ID:R0U [9/10回]
>>131
「駄目だ、アレは…かふっ!?」

何かを喋ろうとして青年が吐血。
意識を失う寸前にまで陥り、二の句が継げない。

放たれたゴム弾だが少年はこれを、
武術の達人が紙一重で避けるように最小の動きで避けた。
まるで初めから何が何処に来るか分かっているように。

「うん、僕はね…あっと、ダメダメ、これ未だ内緒だった!」

ハッとした様子で少年が自分の間違いに気づく。
133卯月圭◆</b></b>7DAWy2EOVc<b>[sage] 投稿日:19/08/03(土)23:19:52 ID:lFj [9/10回]
>>132

背後から輝の焦燥の台詞が聞こえるが――なおさら引く訳には行かない。
あの得体の知れない能力から満身創痍の彼を守り切る自信は卯月には無い。せめて自分が気を引く必要がある。
弾丸が避けられたのなら卯月は更に前へ出て、少年との距離を詰める。ギリギリでお互いの手が届かない、そんな間合――。


「では聞き方を変えます。貴方は何者ですか? 何が目的で、貴方の弟は取引現場に現れたのです」


揺さぶりの為に問いは投げるが、答えが帰ってくることは最初から期待していない。
今度は近距離から、銃に搭載された三点バースト機能を使って三連続、合計九発の連続射撃を行うだろう。
どこか一箇所を狙うのではなく敢えて狙いをブレさせ、全身へ弾幕を浴びせるような形だ。

少年がどういう理屈で弾の軌道を読んでいるのか解らないが。
この近距離でランダムな場所を狙った射撃、これならば武を極めた達人だろうと銃弾の軌道など読みようがない。
……筈だった。あえての接近は当然、卯月にとってもリスクの高い行動だ。
134◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/03(土)23:31:40 ID:R0U [10/10回]
>>133
「ダメダメ何も教えないよ!挨拶だけって言われたのに、
 こんなに遊んだのがリオンにばれたら怒られちゃう!」

少年は拒絶の言葉を放つと、あっかんべーをしながら卯月の攻撃を全て避けた。

当たらない。
弾が全く当たらない。
卯月の動作が遅い?
弾の速度が足らない?
少年は武術の達人?

そんな次元の話で済みそうにないのが十分理解できる事実がそこにあった。

「だからもうお終い!秘密を知っちゃったおねーさんは退場!」

そういう少年の手には卯月の頭。
…ん、何時持っていかれた?
自分の身体が糸の切れた人形のように崩れ落ちるのが見える、すぐに視界は暗転するが。

「なんちゃって」

少年のおどけた声と共に卯月の視界が開く。
頭は身体にくっついている。
何なら今この瞬間は少年に連続射撃を行った直後だとハッキリ分かる。

だが今見た幻覚はその気になれば少年が行えた事実だと何故か理解できてしまう。
そうなっていないのは少年の気まぐれ以外の何物でもないと。
135卯月圭◆</b></b>7DAWy2EOVc<b>[sage] 投稿日:19/08/03(土)23:51:23 ID:lFj [10/10回]
>>134

――なるほど化け物だ。そう評さざるを得ないだろう。
銃弾が避けられたかと思えば、卯月の脳内にばちりと自らの"死"のイメージが迸った。
あまりに現実離れした光景、そして歴然たる能力の差に、ふらりと一瞬その身体が揺らぐ。


「……鍛えて手にしたのか、そう生まれてきたのかはわかりませんが。
 君は強いですね。それだけの力があれば、なんだって出来てしまいそうです」
「――戦うのは。人を殺すのは、楽しいですか」


しかし倒れはせず、また立ち塞がるのを止めることも卯月圭はしなかった。
当たらないと解っているが、弾倉に残った九発を全弾ばら撒いて牽制を試みるだろう。
勝てないまでも気を逸らす。時間を稼ぎ弱点を探る。少しでも情報を引き出す。
幻覚ごときでは逃げ出す理由にはならない。卯月はまだ、諦めてはいない。
136◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/04(日)00:02:05 ID:wi5 [1/13回]
>>135
「違うよ」

やはり弾はかわされる。
少年は未来を見れるし、同時に未来を相手に教える能力を持っている。
先ほど空間が削り取られたのは強力な念動力だろうか?
そうすると目の前の少年は正に超能力者ということになる。

「楽しいのは、相手より優れているって証明する事!」

又も幻覚。
詳細こそ避けるが齎されるのは、やはり死のビジョン。
幻覚を見ている一瞬の間は確実に無防備だろう。
であれば幻覚を見たまま死を迎えている可能性も大いにある。
実際は少年の『なんちゃって』によって幻覚の域を出ていないのだが。

徹底的に勝てない事を証明していく。
少年が卯月に叩き付けているのはそういう攻撃だった。
だが卯月は気づくだろうか?
今回は死のビジョンで致命傷を受けた部分に実際、僅かに痛みを感じる事を。

…証明は実施をもって示されようとしている。
137卯月圭◆</b></b>7DAWy2EOVc<b>[sage] 投稿日:19/08/04(日)00:17:56 ID:XTK [1/3回]
>>136

ばちり、またしても幻覚が卯月の脳裏を過った。
未来予知、念動力、テレパシー。多数の異能をこの少年は持っているらしい、というのは流石に察せられる。
同時に、ビリビリと痛み始める肌に死を察することも容易であった。


「そうですか。――可哀想に」

「それだけの力を持ちながら、相手より優れていると実感することでしか、自分を証明できないのですね」


であるのに、卯月の取った行動は"挑発"だった。――死ぬのが怖いなら、とっくに警察なんて辞めている。
挑発は意図的だが、その金色の瞳に浮かぶ憐憫の感情自体は本物であった。
どれほど強い力を持っていようと、卯月から見れば少年は、ただの哀れな子供にしか見えなくて。

――やはり退く選択肢はない。卯月が懐から放った煙幕弾が周囲を煙で覆うだろうか。
お互いの視界が封じられる只中で、卯月はその中を音もなく移動し始める。遺宝に力を込めながら。
138◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/04(日)00:26:40 ID:wi5 [2/13回]
>>137
「…もうっ」

煙の中、少年の不服そうな声が聞こえる。

「分からず屋も居るって知ってたよ?
 自分を曲げない人間が一定数居るって言うのもリオンから聞いてる」

ゴン、と空気が震える音。
次いで衝撃。
煙幕が一瞬にして吹き飛ばされる。

そうして見えた相変わらず同じ場に立ち尽くす少年の傍らに。
少年の身体から生えた半透明の巨大な手に握りしめられている青年の姿。

「だから、そういう時は他人を使うといいんだってさ?」

最早この後何が起きるかは明白だ。
139仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/04(日)00:39:24 ID:x9u [1/1回]
>>120
「まだ遠慮してんの……?ちょっと傷付いたよ」

容認などもちろんのこと、アキラはすずめの頼みであればきっと全霊をもって力になるだろう
それを可能にするのは盲目たる恋心ではなく、安心して背中を預けられるという信頼からだ
自分は揺るぎないそれを持っているつもりだったが、すずめの視線。アキラの言葉が口約束でないことを確かめようとするそれに悲しくなって
シャワーで見た裸体、記憶の中にあるそれのまだ新しい傷口が見えた辺りを、包帯まとう左手で強めに叩く

「…………はんえもない」

二人を至福へと導く種火を灯す頃には、すずめの頭はアキラの肩から柔らかな膝元へと誘われて
背を丸めるようにして顔を近づけ、紙巻同士の先端をそっと重ねるようにして火は灯される
どちらかの独り善がりではなく、二人が同時に吸って。本当に心が通じ合った時にのみ火は灯されるのだ
だからアキラは、再び顔を出そうとしたその未練をなんとか胸に留めることに成功していた

(受け容れられなくたっていい……一緒にいれたら、それだけで)
(アタシの人生に生きる意味を与えてくれたのは、間違いなくアンタなんだから)

再び天を仰いで、異質な紫煙をゆっくりと吐き出して少しむせる
誰からも見捨てられ、虚無だと思っていたこの人生に色を付けたのは紛れも無い彼女であり
だからこそアキラは木刀の手入れも覚えたし、いつだって玄関の鍵を開け放している
しかしそれは彼女に気に入られるためでも、見返りを得る為でもなく、ただ忘れてはならない根底に理由がある
アキラがこうするのは『楽しいから』に他ならないからなのだから

「……大好き」

だからこれくらいは押し付けても構わないだろうと、すずめの額に軽い口付けを落として
短くなった紙巻を指で弾きガラスの灰皿へ納めると、ソファにもたれて目を瞑るのであった

//それではこの辺りで〆で。連日の絡みありがとうございました
140卯月圭◆</b></b>7DAWy2EOVc<b>[sage] 投稿日:19/08/04(日)00:41:37 ID:XTK [2/3回]
>>138

煙幕が吹き飛んだ時、卯月は少年の真正面にいる。そこへ突っ込む形で地を這う跳躍。
少年を狙うつもりだったが――輝の身体を捕まえた半透明の腕へ狙いを変更し、右脚をそこへ叩き込む。
同時に遺宝に埋め込まれた赤い宝石が光り、異能の"衝撃"を開放する。小型の爆弾の爆発に匹敵する威力――。
腕が物理的なものではなく異能による霊体などだったとしても、遺宝を通した衝撃波は透過することはなく実態を捉える。

それで腕を引き千切るなり拘束が緩むなりすれば、卯月は即座に輝を助け出して距離を置くだろう。


「……挨拶だけ、と言いましたね。それが君の挨拶ですか」


この少年には未来が見えるという。――ならば。
彼の言う"挨拶"とは、最初から匡美輝を殺すという意味だったのだろうか。空いたままの両手に、知らず力が籠もった。
141◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/04(日)00:50:57 ID:wi5 [3/13回]
>>140
卯月の狙い通り半透明の腕はその拘束力を失い青年を救う事が出来た。
既に青年は意識を失っている。無理がたたり過ぎた結果だ。

「違うよ?」

あっけらかんと言ってのける少年。
極論、少年の楽しいは相手を屈服させることに尽きる。
相手を殺しては屈服の機会が二度と訪れない。
だからそれは駄目だ。

「これはオネーさんが招いた事。
 全部ぜーんぶ、オネーさんが諦めないから起きちゃった事」

よくよく見れば青年の身体には腕で握りつぶされたであろう未来を見た残滓の痣が刻まれている。
長期戦になるほど危険度ばかりが増していく。
戦うことそれ自体が過ちであると周囲の全てがそう告げているかのようで。

「ま、オニーさんは別に僕が相手するまでもなく誰かに刺されて死んじゃうと思うよ?
 ものすっごく他人に甘いみたい。ほんと子供の頃から酷い目に合ってるのに理解できないなー」
142卯月圭◆</b></b>7DAWy2EOVc<b>[sage] 投稿日:19/08/04(日)01:13:27 ID:XTK [3/3回]
>>141

抱きとめた輝の身体には傷。少年はまだ遊び半分で、恐らく全力を出してもいない。
――元々は煙幕に紛れて逃げる算段だったのだが、やはり守りきれなかった。
どうやら本当に、今日は挨拶だけだという、あのフザけた言葉に賭けるしかないらしい。


「そうでしょうか。少なくとも私は――」
「他人に力を振りかざす人よりも、他人に手を差し伸べる人のほうが、ずっと尊いと思います」

「やはり君は……哀れな子ですね」


かちり、と。ポケットの中でスイッチを押した瞬間、煙幕内を移動中に仕掛けた複数の爆薬が作動した。
屋上のコンクリートを吹き飛ばすような威力はないが、衝撃波と共に多量の金属片が音速で四散し、さらに先程の数倍の煙幕が上がる。

避けられるのならそれも良い。単なる時間稼ぎだ。卯月はその時には既に、輝を抱えてビルから飛び降りている。
中空で壁を蹴って跳躍し更に加速。――未来が読めるならばフェイントに意味はない。ただ一直線に最大加速で突き進んだ。

病院へと到達したなら輝を預け、警察・対超人特殊部隊の双方へ通達を飛ばす。一時間もしないうちに、周囲は厳戒態勢となるだろう。
部下たちには少年の捜索は禁じ、ただ襲撃があれば防衛せよとの命令だけを下す。あれほどの化け物、数を揃えたところで勝てるとは思えなかった。
輝を守り切れなかったことを含め、今宵の戦いは完敗も良いところだった。――ただ、少なくとも。卯月圭の精神は、やはり屈服してはいない。
絶対的な強さなど無い。いずれあの化け物を超え、その裏にある陰謀に終止符を打つために、仲間と共に方策を練り続ける。

……しかし。今はただ輝の無事を祈ることだけが、卯月に出来る最大のことであるのも、確かだった。


/このあたりでよろしいでしょうか
/お疲れさまでした
143 : ◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/04(日)01:20:36 ID:wi5 [4/13回]
>>142
「んー、思ったより長い挨拶になっちゃった」

卯月によって齎された一撃は結局、少年にとって何の脅威にもならなかった。
自らの存在を知らしめるという目的は達成したので少年としては上々の出来と言える。

「でも最初の一発は確実に決まると思ったんだけどなあ?」

初撃で卯月の自由を奪い、じっくりと二人を屈服させる。
その目論見が外れてしまった事がどうにも解せない。

「分からない事はリオンにきこーっと」

厳戒態勢の中、少年はあっさりと姿を消した。
路地裏にはびこる脅威はその暗さを又一段深めた・

//長々とおつきあい ありがとうございましたー
144 : 小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/04(日)01:26:05 ID:wU4 [1/11回]
>>139
できることならばこうしてのんべんだらりと無為の時間を過ごすために、日毎夜毎と押しかけてしまいたいくらいだが。
それは諦観と言う名の歯止めを擦り減らして、いつか分相応な望みを衝動に任せてしまいそうなような気がして。
燻る自制を遠慮と言い切るのは些か語弊があるように思えたが、それを言ってしまうくらいならそういうことにしておいた方がいいと。
脇腹を叩かれて擽ったさそうに身を捩り、罪悪感と誤魔化しの混じった苦笑と共に「ごめんて」と呟いた。

「っと……寝タバコ、危ないよ」

誘われるまま重力に手招きされるまま、柔らかな太腿に頭を預けて冗談っぽく笑う。
無論白肌に無粋な灰を落とす気は更々ない。互いに咥える煙草が触れて、至近距離で目と目が合わさって。
骨を通して聞こえる胸の鼓動を、息遣いを噛み合わせるのはどちらからか、いずれにせよきっと熱源の譲渡は容易く行われる。
ぼんやりと天井を見上げて、時折アキラの面立ちへと視線を移す。穏やかな黎明の静寂は喜悦とは異なる安楽を齎していた。
だから最後に近くで見た眠たげな彼女の顔は笑顔でこそなくても、老木の巣で丸くなる雛鳥の如き安寧の最中だったのだろう。
額を刺激した優しくも閑やかな感触を受けて、朝日にも負けず僅か目を見開いたようであった。

「…………ずるいのはどっちさ」

伸びた灰を落とす合間の呟きは、呼吸音が一つ寝息に変わった頃。
慈愛を秘めた何かを返してやろうと思って、けれどそこまでの資格が自分にあるようには到底思えなかったから。
大きく吐いた紫煙を安らかな寝顔に吹きかけて、浅い口づけを射し込む暁光に漂う白に委ねた。

//こちらこそ数日に渡るロールありがとうございました、お疲れ様でした
145鳥月舞夜◆</b></b>bU0CEuzUjA<b>[] 投稿日:19/08/04(日)14:29:56 ID:kuZ [1/1回]
上矢警察署。留置所。超人用檻。鉄格子越しor面会室で面会可能な時間。
表向きには電撃使いの電気技師の朝切彰を殺して舞夜を脅して罪を被せたという真犯人の証言は嘘で、やはり鳥月舞夜が殺した犯人だと判明してまた逮捕された旨が公表されている。

檻の中では超常はまず使えない。だが、どんな檻にも強度はある。それは超常を押し留めるこの檻にもいえる。
檻は超常による脱走を防ぐ。超常で自殺することもまずできない。
 
畳の床に白い座布団ひとつ。その上で黒ジャージ姿で正座し、目を閉じ、小声で独り言漏れる。表情穏やかに。

「自分を重力で押し潰すこともできない。そんなこと考えたこと……ない……恐い……やめよ」

ここでは考えてしまう。何せここでは考える時間はたくさんあった。自分の恐い考えに身震いする。

「檻の中……平穏……あんなに求めていた安全な世界……ここには、ある……皮肉ね」

自分だけの心の世界に入り込み、外に注意は向いていない。

「警察にすぐ行くべきだった……怖くて黙ってた……もう、怖いことしません……処刑人じゃない……軽率なことしない……心配かけない……勝手な事、しない……
 やらなきゃいけない時……考えたくない……けど……
 難しいこと考えるのやめ……」

眉をひそめ、難しい表情で自らに言い聞かせる。自分の行動をしっかりと律する。悩みは尽きないけれども。いったん首をふって忘れ、そして、平穏な表情に戻り

「夏休み……みんな海とか山とか行ってるのかな……バイト……宿題……ん、考えるの……やめ」

「なぜ……上矢を守る……衝動に襲われるのか……わかって、きた……」


146小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/04(日)15:40:56 ID:wU4 [2/11回]
所謂かき氷の名店は、上矢市にもいくつか存在する。
夏真っ盛りのこの時期に大繁盛するのは言わずもがな、晴天の日はもれなくどこも店の前に大行列を形成する。
そのうちのとある一店舗にて。入店も間もなくという最前列で、小鳥居すずめは次の呼びかけを今か今かと待っていた。

「あっっっつう……はよ……はよ……」

マキシスカートに薄手のブラウスと涼しげな装いだが、うなじに光る汗はどうしたって隠せない。
相当の時間を炎天下で待っているのが伺える焦燥、中から顔を出した店員にようやくかと目を輝かせ。

『すみませーん!本日は売り切れでーす!』

耳を疑う言葉。容赦なくひっくり返されるプレート、無慈悲な『CLOSED』の文字。
俄かに騒がしくなったかと思えば、蜘蛛の子を散らすように何処へと消え去る行列の先頭で。

「」

絶望のダンクシュートを叩きこまれた彼女だけは、がっくりと膝を折って顔を手で覆っていた。泣きたい。

//前スレからの使い回しになりますが絡み待ちです
147匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/04(日)19:18:37 ID:wi5 [5/13回]
>>146
「あの…」

悲観して崩れ落ち泣きそうに見えるすずめに遠慮がちに声をかけるのがいた。

「良かったら、食べ…ます?」

顔を覆う手に感じられる冷気。
何かが眼前に差し出されているのは間違いなく。

傍から見ると身体のあちこちを包帯やらテーピングで覆う青年が
しゃがみ込んで少女にかき氷を差し出している構図となっている。
148紫葉魅鳩◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/08/04(日)19:25:32 ID:jCC [1/5回]
>>145


身体検査、書類の記入、身元の確認、妙な薬品の服薬、妙な手錠での拘束、エトセトラエトセトラ。
何も悪いことをしていないはずなのに、ただ、友達に会うだけでこんな手順を踏むことになるのはやはり悲しいことだと思った。
何も悪いことをしていない。そんな自意識が胸の内に渦巻くことじたいが、これだけの措置を施される原因なのだろうか。異能を持つ傲慢な若者。……例えその異能が対象をゴム質に変えるだけのものでも危険なことに違いはなく。

「ひとりごとが増えたんじゃないか。寂しい鳥ちゃんめ。ひとりごとが多いやつはな、大概、何かを考えすぎてるんだぞ。ひとりで……過剰に」

鳥月との面談、強化ガラス越しに魅鳩は口を開いた。
彼の両手にもまた手錠が掛けられ、スカーフなどの装飾品は軒並み一時没収を命を受けたため、平素の学ランのみを纏って

「……鳥月。慰めてくれ。俺、コンビニのバイト落ちたよ。あんなの落ちるのなんて……人間として相当落ちぶれてるやつだけだと思ってたんだけどな」
「よくよく考えたら、俺は人間として相当落ちぶれていたというわけだ。クク……。勉強になったな。バイトってのは本当に、社会勉強になるものだろ……」

出会い頭、挨拶にしては長すぎる近況報告。
迷惑なはとぽっぽである。
149小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/04(日)19:52:28 ID:wU4 [3/11回]
>>147
「もうダメだぁ……あたしはこのまま暑さで溶けて死ぬんだ……」

立ち上がる気力も尽きて、悲しみの怨嗟をぶつぶつと呟いている姿は哀れみを通り越して怪しさ満点。
声をかけられて向けた眼差しも、昼間から淀みきって陰鬱の溢れ出るものであったが。
そこにある氷菓の煌きに、束の間目を瞬かせて冷気にあてられたかのように硬直した。

「あなたが神か」

ややあって発した言葉は最大級の謝意だ、急激に生気が満ち満ちて瞳に陽光を反射した輝きが戻る。
見たことのある顔だとか急な申し出への不審だとか、そういった雑多な感情は全て歓喜に塗り潰されて。
救いの甘受への感謝を全霊で示すように、かき氷を支える手を両手で包んで頭を垂れた。

「ホントに?ホントにくれる?やっぱりあげないとか言わないよね、ね?」

夢ではないのを確かめるために、早く口腔内を細やかな氷で冷やしてくれと鳥の子のように口を開ける。
往来で食べさせてもらう羞恥なんて彼女にあるはずがない、期待に目を輝かせるだけ。
さてもしも面立ちでなく、体つきの細かな部位のみから人物の判断が可能な目利きであるのならば。
以前東京都庁の一件でも顔を合わせたことがある相手だと察することもできるだろう。
150 : 双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[sage] 投稿日:19/08/04(日)20:03:12 ID:DsK [1/1回]
退院完了、目はまだ眼帯しておいて、というお達しはあるがそれさえ守ればなんてことはない。
故に今まで通りの休日とばかりに夏休みの街中を散策――しようとして珍しく視線に悩んで昼間には公園に逃げ込んでいた。
幸か不幸か今の時期はプールや海に出るものが多いのだから比較的人が少ないのである。

「相変わらず片目って不便なもんだな……ふぅ」

荷物を下に置いてベンチの肘掛けで頬杖をつきながら自身のデコを擦ってる男子が現在公園に居るのであった。
151鳥月舞夜◆</b></b>bU0CEuzUjA<b>[] 投稿日:19/08/04(日)20:12:13 ID:2G9 [1/1回]
>>148

独り言に没頭しながら、気づけば面会室に連れていかれ強化ガラス越しに部長と面会。
自分の手には手錠はわかるけど何で部長まで……やっぱり、能力者同士の接触は極力避けねばならないのだろうか。

「そう、かな……自分と向き合い、自分と話したり、独り言も悪くない気もするの、牢屋は話し相手いないし……今はいる。来てくれてありがとう部長……考えすぎないようにはしてるんだけど、これでも」

健気に微笑み見せる。

「コンビニって難しそう……私なら恐い人の対応とか考えるだけで無理かも。コンビニ受けるだけでスゴいと思う。ひとつ落ちた位で人間性まで否定しなくて大丈夫、よしよし」

ガラス越しに部長の頭を優しく撫でる真似をしようとする。が、手錠が邪魔で手を伸ばせない。手錠にはさらに鎖が繋がり自由に動かせない状態で残念。

「上手く、撫でられないね……もしここから出られたら、その時にたくさん撫でてあげるね……」
152匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/04(日)20:26:13 ID:wi5 [6/13回]
>>149
「…え、あの……ええと」

すずめのリアクションに目をぱちくり。
青年は最初こそ戸惑うもコロコロと様子を変えるすずめを見て楽しくなってきた。

「大丈夫大丈夫、そんな酷い事しないから」

はい、どーぞ、と一匙の氷を掬い、すずめの口へと運んでいく。
何故だかその所作は酷く手馴れている。

そして青年は基本的にニブチン野郎なので、
すずめがあの時邂逅した人物だなどと思いもしなかった。
何処かの爺さんとは似ても似つかぬ察しの悪さである。
153紫葉魅鳩◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/08/04(日)20:39:28 ID:jCC [2/5回]
>>151

「……あんまりひとりごとが多いと俺みたいになっちゃうぞ。しかも、俺はまだ公園のパンダの遊具とか、壁とか、鶴月(オリガミ)とかに話しかけてるが、自分と話すって病んでないか」

物に話しかけるのも大概すぎるほどに病んでいるけれど
とりあえずは、彼女と同じく看守や自分の手錠など無いものと考えて気丈に振る舞って

「まぁ、俺はおまえが……。いや、やっぱ……あれだ」
「……ひとりごとで何を悩んでたんだ。俺は何も出来ない奴だが……話くらいは聴ける……かも」

俺はカモじゃなくてハトだけど。これは余計な一言。

「でもな、あれだぞ。……新聞配達は、受かったんだ。毎朝、走るついでに、することにした」
「えらいだろ。でてきたら……俺をたくさん撫でるといい。………………ちょっと、いまのも、人間性を否定する恥ずかしさだった……鳥月のせいだな……」

窓ガラス越しにでも、撫でようとしてくれた気持ちが嬉しい。
誰かに撫でられるのは正直、嫌いではない。隠し事はなくしたいけれど、これは口にはだしがたい。
ガラス越し、陰気に笑う、というよりは少しにやけたような表情で

「……まぁ、本当。バイトも落ちたんだ。聞くくらいしかできないけどな……」
「……話してみないか。ちょっとだけ」
154小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/04(日)20:41:08 ID:wU4 [4/11回]
>>152
「ホントのホントね?いっただきまーす!」

嬉々として匙を迎える仕草は無邪気で、それでいて子供っぽくはない物柔らかさを孕む。
舌に沁み入る仄かな甘味と脳まで貫く冷感に、心地好さそうに眉を寄せた。

「んんーっ!これこれ!生き返るぅー……!!」

じいんと余韻に浸る間もなく、当然のように口を開けて次を要求。
一度許可されれば遠慮は忘却の彼方、どこかでストップをかけてやらないといつまでも食べ続けるのは自明。
口の中が寂しくなってもそれ以上をおねだりはしないはずだ、厚かましくどこか恨みがましげな眼差しで見上げるかもしれないが。
155匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/04(日)20:48:40 ID:wi5 [7/13回]
>>154
「あはは、そりゃよかった」

善意で差し出したソレにそこまでのリアクションを返されると、
まあ何と言うか、お人好しとしては非常に満たされた気になるのである。

だから親鳥が雛鳥に餌を与えるが如く。
可能な限り衆人環視の中で与え続ける事を由としてしまっていて…
『何だあのバカップル』と言う一言が聞こえるまで己が何処で何をしているか完全に見失っていたのだ。

「………はっ」

そして気づく、この状況。
常識人なら穴でも掘って埋まりたい気分になろう。
もう遅いけどな!!

気づいてしまったが故、青年の動きが止まった。
笑顔のままで冷や汗だらだら出てくる始末。
156鳥月舞夜◆</b></b>bU0CEuzUjA<b>[] 投稿日:19/08/04(日)21:03:33 ID:vv6 [1/2回]
>>153

「鶴月、大事にしてくれてありがとう。……私もすでに小物とかに話してる。だから、手遅れ、かも。キリンさんに話しかけに行きたいな、なんて」

公には言えない根暗な趣味なのかも知れない。恥ずかしいが部長には言えた。親近感を覚えて。

「受かったんだ、良かったね、フフ、伝書鳩みたい。いっぱい撫でてあげる、恥ずかしさなんて吹き飛ぶくらい。私のことも、少し位撫でてもいい、かも、おかしくなってもいいんなら……」

さすがに恥ずかしさプラス付き添い看守の警察官が気になり最後は目をそらしながら消え入りそうな小声。消えていく声。

気を取り直し、また、平穏な表情でガラスの向こうの魅鳩をみつめて

「話聞いてくれるだけで、嬉しいよ……ううん、居てくれるだけで嬉しいの。私に会いに来てくれた。それだけで十分すぎるよ」

真面目な表情で話始め

「話をするとね、私が上矢を守らないとって思うのは、好きだからなの。上矢君が。他にも縄張り意識とか友達とか守りたいとか色々あるけど、恐い上矢君で居て欲しくないからなの」

「だけど、心配しないで、もうあんな風に牢を抜け出して無理なことしないから。悪いことと遭遇したら逃げることと通報することを第一に考えるから」
157小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/04(日)21:06:45 ID:wU4 [5/11回]
>>155
「ああっ……ちべたぁい……!」

周囲の視線なぞどこ吹く風、言葉と裏腹に顳顬を抑えて苦しげなのは氷菓特有の頭痛のせい。
至福のままに更なる一口を求めたが、いつまでも次が来ないものだからやや不満げに顔を見やり。
その表情の由来を察するのは難しくはない、何せ誰かが呟いた勘違いの言葉は彼女にだって届いているのだから。
けれど残念ながら、そんなことに今更いちいち恥じらいを覚えるような性根の持ち主ではない。
常識がないわけではないが、時には意図して笑顔で踏み外せるのが小鳥居すずめという人間なのだ。

「ねえねえ、もうおしまい?あたしぃ、もっと食べさせてほしいなぁ?」

わざとらしいまでの上目遣い、媚びるような甘くも低い囁き声。
典雅に輝の服の裾を指でつまんで、全てが男を誘う動作であった。
その動機は偏に面白そうだからの一言に尽きる、輝の反応や周りの視線を心底から楽しんでいるからに他ならず。
太陽の下に婀娜を晒して、年不相応に艶やかな微笑みを浮かべた。
158匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/04(日)21:12:58 ID:wi5 [8/13回]
>>157
「…ははは」

乾いた笑いしかでない。
察しは悪い方だが同時に弄られ慣れている青年。
すずめが何を思ってこんな事をしているのかは理解した。
凄い鋼のメンタルじゃないかなと青年は思う。
普通恥ずかしがるもんでしょう?と。

しかし、まあ、楽しそうなのは間違いなさそうで。

何度でも言うがお人好しなのだ。
自身の行いで笑顔が得られるならそうしたいと思うのだ。

「はいはい、溶けちゃうからね、どんどんいこうかー」

だからこそ、バカップルの振る舞い続行。
青年は変な義務感すら抱いて氷をすずめに運ぶ!!
159紫葉魅鳩◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/08/04(日)21:25:15 ID:jCC [3/5回]
>>156

「クク……。そうか。それは、ご機嫌そうでなによりだ。キリンさんにも俺から伝えておこう」
「そういえば、金東さんも、そういうのに話しかけたりしてるのか。……俺の読みだとな、金東さんあたりはぬいぐるみに話しかけてそうだと思うな。わかるか? 」

自分がここに通う意味は、少しでも彼女に平穏な日常を思い出して貰うため。
自分が鳥月と話していたいという自己満足も多分にあるけれど。
だから、くだらない会話を主軸に添えて、付き添いの人の視線はわりと気になり、何時しか彼女が望んだ臆病な自分らしさも覗くけれど

「……伝書鳩。いわれるまで気づかなかった……っぽ」
「……おかしくなるのは……俺が撫でるのは……問題……ない。おかしくなってもな……おまえはおまえだ……」

あれはあれで可愛いと思う。その言葉はもはや声にすらなっているか怪しい。
看守から目をそらすように、彼女からも目をそらすように、公園の鳩のように虚空を見つめて、首を引っこめる。

「それは、そうか。そうするのか。……お利口さんだな」
「……無口でふてぶてしい、猫みたいなあのこにも、教えてやりたい殊勝さだ。……なんてな」
「みんな、立場とかあるんだろうが、自分のやりたいこととか、やらなきゃいけないこととか、わかってて、えらいな……」

猫みたいなふてぶてしいあのこ。冴島のなんとかさん。
ここで名前を出すのははばかられたが、1人言事情の話題ころから頭には浮かんでいたメンバー。

「……新聞配達中にサボるとしたら、ふてぶてしい猫に会えそうなところって、どこだと思う。鳥月」
160小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/04(日)21:34:55 ID:wU4 [6/11回]
>>158
はにかむのを通り越して、妙な責任感を原動力とし始めたのを見れば面食らうがそれも数瞬。
更なる羞恥を重ねられなかったのは不覚であったが、代わりに冷涼の続きが齎されるのであれば文句があるはずがない。
終始嬉しそうな笑みを絶やさずに、バカップルの所業を最後まで熟してしまうだろう。
容器が空っぽになってようやく、次の一口を求めるのを止めて立ち上がるのであった。

「はぁー、おいしかったぁ……ありがとおにーさん、ごちそうさま!」
「さっすが正義の味方さん。写真で見るより全然カッコいいね!」

輝が認識してなくてもすずめはよく覚えている、何せ立場的には敵対関係にある相手なのだから。
けれど向こうが気がついていないのであれば自己申告する理由はない、日中に相応しい明るさで嘯くだけ。
あくまでも治安維持を謳う広告塔への敬意と興味という体で、ぱちんと手を打って尊敬を示した。

「その怪我もお仕事のせい?最近はいろいろとおっかないって言うもんねぇ。こわーい!」

笑いながらであるから心にもない言葉であるのは明白、冗談っぽく自分の肩を抱いて身を捩る。
その実できる限りの情報を引っ張り出そうという魂胆を、剽軽な態度に上手く被せた。
161匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/04(日)21:46:56 ID:wi5 [9/13回]
>>160
「おっと、正体ばれてた?」

帽子と色眼鏡で誤魔化せるのは遠巻きに見る連中くらいのものだろう。
そもそもそれで正体が隠せると本気で思っていたら甘すぎるってもんだ。

「あー…うん、ちょっと色々あってね」

ヒグマかゴリラかが変異したような化け物に襲われましたと言って
信じる者がいるだろうかと青年はふと思う。
辛くも撃退したそれは絶命と同時に塵と化し、最早存在の証拠すらない。

「それより涼はとれた?よっぽど欲しかったみたいだけど」

しゃがむ必要もなくなったので立ち上がる。
今更ながら自分の方こそ涼が必要であったと強い日差しに一瞬立ちくらみすら覚える。

「どこか涼しい場所に移動してもいいかな?
 ……いや、許可をもらう必要はないか、何言ってんだろうな」

ねーちゃん茶ぁしばかへん?という感じの軟派な事を言った気がして慌てて訂正。
162鳥月舞夜◆</b></b>bU0CEuzUjA<b>[] 投稿日:19/08/04(日)22:01:45 ID:OwD [1/1回]
>>159

「わかる、憂子、かわいい……すごく……ギャップかわいい」

ぬいぐるみに話しかける彼女を想像してニヤケる。想像するだけなら自由と思い、めいっぱい思い描いた。

「……狂気的は性格は抑えられるようになったけど、その、あの、撫でられるとね……別の意味で変な……気分に……ね……」

赤くなり下を向き、その声はもう微かな木葉のざわめく微かな音のような甘え声に……聞こえたかどうかは定かではない。
魅鳩まで臆病な様子にはなんだか心臓がドキドキする。

「ふてぶてしい猫みたいなこ?サボり?うーん……やっぱり路地裏、かな……目立たない所。深夜は配達しないよね?」

誰だかわからないけれど。猫がいそうでサボれそうな場所。

「魅鳩だって色々してるでしょ。私をこんなに気にかけてくれて、良くしてくれるし。部長だし……
 やりたいことと言えば、私、部長と一緒にベースやりたい。自分と話したり、独り言したり、物に話したり、陰気で病的かも、だし……」

また目をそらし、恥ずかしそうに

「あなたの陰気な笑顔とか臆病なとことか必死な顔、間近で、見たいから……癖になったの……見ないと不安……なの」

さっき見せてくれた笑顔を思い出しながら。改めて考えて口に出すとやはりドキドキしてくる。
163小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/04(日)22:09:22 ID:wU4 [7/11回]
>>161
「ふーん……?ま、なんだっていーけど」
「あんまり怪我ばっかりしてると、おじーさんに心配されちゃうよぅ?」

たかだか一般市民の立場から、明るみにも出ていない事件の話を聞き出すのはやや無理があるか。
諦めて引き下がるのは早い、今この場でそれ以外の側面を向ける気にはなれなかった。
だからなんの気もない諫言は単なる世間話の一端に過ぎないし、話題の転換にもあっさりと転がされる。

「うんうん、すっごい涼しくなれた!30分くらい並んでたからさっ、このまま食べれなかったらどうしようかと思っちゃった」
「……でもこの天気じゃまたすぐ暑くなるし。お言葉に甘えてご馳走になっちゃおうかな?」

一度深い絶望に落ちた分、齎された希望はより甘美な雫となって喉を潤す。
つまるところ随分とご満悦だったわけで、けれどもじりじりと照りつける太陽は容赦なく地表を蝕む。
かき氷を貪ったとはいえ炎天下の中だ、首筋を伝う汗をどうにかできるほどの効果は生憎と見込めない。
暑苦しさを厭って横髪を耳にかけながら、楽しげな賛同の言葉はそれとなく奢ってもらう気しかなく。
お代とばかりに腕と腕を絡めて、涼の取れる喫茶店への先導を無言で促すのだろう。
164匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/04(日)22:17:49 ID:wi5 [10/13回]
>>163
「へっ…?」

すずめの口から予想だにしないキーワードが出たので変な声が出る青年。
いやいや、もしかしたらこの子はお爺ちゃんっ子で自分の経験をそのまま……無理があるか?
出雲とすずめの関係性など知る由もない青年は少し混乱していたが。

「………やっぱそうなるよねー」

その気はないんだけど、涼を取ろうと思ったら懐も寒くなりそうだぜ、等と。
最近年頃の娘さんに振り回される事が多くない?と半ばあきらめモード。

「ま、一度吐いた言葉を飲み込むほど不誠実なこともないか」

使う機会がなかったから金はある!
ちょっぴり寂しい小金持ちの青年は喫茶店のメニュー全制覇だってやれないことはない。
やったら絶対後悔するけど。

こうしてすずめと共に喫茶店へ。
少し冷静になった頭ですずめが口にしたおじーさんの事を考える。
まあ、考えるまでもなく豪快なあの人しか思いつかないのだが。
165紫葉魅鳩◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/08/04(日)22:25:41 ID:jCC [4/5回]
>>162

「きゃんきゃん噛んでくるわりには、案外と優しいところがあるからさ。あの優しさはぬいぐるみとかそういうので培ってるに違いない」

俺にはわかるんだ。と得意気な表情。しかし、これは全て二人の間の妄想である。根拠も何もない。
あるいは鳥月が想像する分には可愛らしいが、陰気な男の発想はともすればモテない男子の抱く女性への幻想とも言えるか。

続く鳥月の言葉は引っ込めた首を支えるように、膝の上で頭を抱えながら聞きどけ
うん……。と適当な相槌を売ってしまった。ガラス越しの会話は彼女を妙に大胆にさせるのか。
スマートフォン越しの会話みたいなものなのだろうか。わからない。

「……路地裏か。また金東さんに叱られちゃうな。……同伴とか頼むか。いや、男として情けなすぎるか……? 朝なら大丈夫かな……」

「あぁ、深夜はやらないよ。朝刊だけ……。夕方は、もっと割のいいバイトを探すんだ。ベースをベンベンしたりな……、スマホを買ったり……、色々あるからな」

鳥月のために色々するのも、冴島さんを探すのも、生徒会もバイトも
ほとんどが他人に流されて始めたような気がするけれど
鳥月と毒島と自分しかいない真の帰宅部は、例外的に自分の意思だけで始めたものだった。
その在り方を大きく変えてくれたのは目の前の彼女だけど。

「……俺、めっちゃ口説かれてるのか。積極な鳥か……。ちょっとな……恥ずかしいぞ……だいぶ」
「似た者同士……。色々とな。積極的なところも、陰気なとこも……。似た者同士っていうか……、お互いに、似てきちゃったのかもな……? 」

友達と互いに認め合う存在で、鳥月との距離感は断トツで近い位置にある。
遊びに行ってじゃれて、おしゃべりをして、単純接触の回数は遥かに多い。
自分の積極的なところって、彼女の鷹に当てられたのでは? と理不尽な責任転嫁。面会時間とはいかにといった自問自答タイムだ。
166小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/04(日)22:31:55 ID:wU4 [8/11回]
>>164
鼻歌さえ口ずさみそうな軽妙な足取りで、よく冷房の効いた喫茶店に入れば肌を刺激する温度差に思わず僅か肩を震わせ。
けれど慣れれば外よりも遥かに快適な空間、席に案内される頃にはべたつく汗も引っこむ。
輝を襲う混乱も知ったことではないとばかりに、人の金で注文を済ませる女子高生はとてもイキイキしていた。

「どしたのおにーさん、なんか難しい顔してるよ?」

しか笑ってこそいるが、分かってて言っているというよりは、本当に理由が思い当たらないようである。
何気ない一言のつもりだったから、まさかそこまで相手に思考を与えてしまうとは思ってもいなかったのだ。

「……あ、分かった。こんなに若くてカワイイ子とデートしてるから照れてるんでしょ?」

とはいえこれは明らかな戯言だ、その証拠に頬杖をついて影になった喉を愉快そうにくつくつと鳴らす。
思索の内容が己に都合の悪い事案ではないか、微かに首を擡げた勘繰りが細めた瞳の奥に黒く澱んだ。
167匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/04(日)22:41:16 ID:wi5 [11/13回]
>>166
「ん?ああ…ごめんごめん。ちょっとさっき出てきたおじーさんの事が引っかかってて」

すずめの若くてカワイイ発言をまさかのスルー。
意図的ではなく偶然である。
まともに聞いていれば否定はしないだろうが右往左往する挙動不審ぷりが楽しめたのだが…
考え事をすると途端に周りが見えなくなるのは青年の悪い癖。

「君、もしかして先生の…ええと、徒出雲さんの血縁?」

出雲の血縁関係を完全に把握しているわけでもない青年。
諸々の情報からこういった結論となり問う。

「あ、それはそうと自由に頼んでもらっていいからね?」

早速自分はアイスコーヒーを頼んでいる青年。
かなり軽い感じなのですずめが警戒するような事は多分ない。
168小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/04(日)22:57:21 ID:wU4 [9/11回]
>>167
しどろもどろまでとは言わないが、軽くあしらわれるでもなくスルーを決められるのはさすがに想定外だったようで、ひくりと口の端が引き攣った。
しかしそれで済んだと言うべきか、やり場のない蟠りをちょうどやってきたアイスラテで流しこむ。
促されるまでもなく、しれっとシフォンケーキまで頼んでいるあたり大分厚かましい。
口腔内を十分に湿らせてから、柔らかなスポンジを口に含んで頬を緩めるまではいいのだが。

「んぐうっ……いやいや違う違う!ただの知り合いだって!」

思いもよらない推測に噎せこんで、笑い声を我慢せずに手を振って否定のジェスチャー。
ただの勘違いの何が面白かったのか、一度飲み物で固形物を胃に流してから一息を入れる。

「たまたまちょっと、こう……殴り合ってさ。なんだかんだあって一緒にお茶を飲む仲、みたいな?」

ファーストコンタクトがまず人に言えない状況であったから、説明の言葉もひどく曖昧になってしまう。
それでも居心地の悪さなどは見られない、なんら変わらない和かな態度。
どうせこれだけで納得されるとは彼女も思っていないのだろう、へらりと笑ってケーキを頬張った。
169匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/04(日)23:02:33 ID:wi5 [12/13回]
>>168
「ああごめん違うのかそれじゃ―は?殴り合った?」

すずめのリアクションに間違えたかと苦笑い…
をしそうになったが、殴り合いと言うワードに反応があった。

「…成程、ふーむ……」

今更ながら、という感じだろうか。
すずめを値踏みするようにジィと見つめる青年。

「……あ、気にせず追加注文もいいよ?」

アイスコーヒー二杯目の青年。
何だか雰囲気がちょっと硬くなった気がしないでも。
170鳥月舞夜◆</b></b>bU0CEuzUjA<b>[] 投稿日:19/08/04(日)23:07:03 ID:vv6 [2/2回]
>>165

「深夜じゃなければ大丈夫だと思うけど。深夜なら反対だけど。
 強がらないで頼んだら?憂子は路地裏にもついてきてくれると思うよ、怒りながらね。友達のことを考えて怒ってると思うから、優しさだと思う」

「働き者の部長ね。牢屋から出れたら私は商店街でティッシュくばりとかしようかな。それか、重力で荷物運び。木材とか、大きい箱とか。お小遣いも使ってない分たくさんあるし、それと合わせて楽器買うの」

口説く、指摘されてそう捉えられてもおかしくないことに気付き、ますます恥ずかしくなる。

「くどく?違う、違わないかも、わ、わかんない。そう思ってもらっても構わない、かも。それに、口説く以前に私はぽっぽハーレムの一員だよ……本気じゃなかった?」

魅鳩を照れながら見つめる。ハーレムは本気じゃなかったのか探るような視線で。自分は結構本気に思っていた。今も。

「面会室の強化ガラスは、カメラのレンズ越しで、気が大きくなる戦場カメラマンと同じ、なの、戦場の鷹、なの。影あって積極的、なの。
似てるかな……共感する?私の影は後悔とか上矢の洗礼への憂いとか性格豹変への不安とか、強迫観念とかなの、あと目立つのも得意じゃないから、ベースがいい……」

例え細かい理由は違っても似てきた部分がありのかも知れないと思い打ち明ける。
面会時間は20分位だろう。もう余り時間も無いだろうからそれも考慮し言える内に言ってしまおうと。
171小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/04(日)23:20:08 ID:wU4 [10/11回]
>>169
「軽くだよ、軽く。どっちも大した怪我はしなかったし!」
「……まさかとは思うけど、それだけでしょっ引いたりしないよねっ?」

大袈裟なまでの身振り手振り、国家機関に属する相手へのふざけた弁解はどこまでも遊んでいるようであり。
妙な緊張を含んだ空気にもなんら抵抗を感じていないのか、絶えず笑顔で仄甘いシフォンケーキを食べ進める。
意図の変わった眼差しを受けてもそれは変わらない。全て平らげておかわりを注文する段になって、真っ向から注視の瞳を迎え撃った。

「なーに、どうしたのさ。そんなに見つめちゃって」
「もしかしてあたしに見惚れちゃった?やだもー、あたしったら罪な女……!」

一人身を捩って変な方向に突き進んでいるが、輝の視線がそういった色を含んでいないのは明白だ。
つまり彼女は自分が訝しまれていると分かっていて、なお軽い態度を取り続けているわけで。
言外の懐疑を受けようともこうして飄々と振る舞えるだけの、胆力と慣れがあることを戯言が如実に語る。
お言葉に甘えた二杯目のアイスラテをさもおいしそうに飲む彼女は、どこまでも自然体であった。
172匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/04(日)23:30:10 ID:wi5 [13/13回]
>>171
「あー…しないしない。現行犯でもない限り、のらりくらりとかわされそうだし」

パタパタとやる気なさげに片手を振る青年。
大分すずめに対する態度が雑になっている気がするが。

「うんうんそうだね、黙ってれば美人ってとこかなー」

遂には塩対応まで。
剣聖の爺とやりあったと知られただけでこの扱いの急変である。

「なんだかなー…経緯も何もかも知らないのに君がどういう子か分かってきた、うん」

もう完全にすずめへの視線や振る舞いが手のかかる妹か何かに対するもので。

「だいぶ前に言ってた怪我すると心配するって件、君にも言えるからね?
 あの人、あれで結構子供に甘いから。僕が言うのもなんだけど練乳並みだから」

青年、ここにきてスパゲティを注文。
173紫葉魅鳩◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/08/04(日)23:30:23 ID:jCC [5/5回]
>>170

「強がるっていうか、金東さんも危ないだろ……。猫探し。猫探しには、色々と縁があるな。……どっちかといえばフクロウのほうが似てるか」

冴島玲に猫の能力者、花子を思い出しながら、ちらりと看守を見遣る。
正規のお国の人間が頑張ってくれれば、冴島も鳥月も妙なことには巻き込まれなかったのにな、と。
二人の事情は結局のところ正確なところは何も知らないのだけれども。

「それもまた、お利口ちゃんだ。……一緒に頑張ろうな。ベース。べんべんしよう」
「調べたところによるとだな、弦がギターより少ないから、まだ簡単らしいぞ……知らないけど……」

一緒に頑張ろう。そういいつつも、彼女のスタートダッシュに合わせられるように、彼女の分も用意する気ではいた。
それを口に出したら、叱られるか、拒否をされるかの二択だろうから、言わないけれど。
これは隠し事の中でもしていい方の隠し事だろうと少し目を伏せて

「……文字通りのハーレムとは捉えてませんでした。ぽっほはおどろいてます」

これは悪い方の嘘だ。彼女からの好意は茶化すでもなくあの日に受け止めたはず。
それをまた誤魔化した。伏し目はあちらこちらと逃げ場を探す。照れくさいというよりは普通に恥ずかしい。

「……じゃぁ、俺も内緒話だ。俺が童謡とか撫でられるのが好きなのは……、小さい頃に母親が俺にあまり構ってくれなかったからだと思う」
「……妹がいるんだがな、紫葉海月(シバミツキ)。暗い性格とか、独占欲が強いのとか、アイツとの折り合いが上手くいってないから……」

「影があるところも、似てるってことだ。……いや、やっぱ似てないかもだけど……はずかし……」

ただただ、場を誤魔化したかっただけなのか。
二転三転してた視線はいつか落ち着きを取り戻して彼女を見据え直して
最後にはやはり陰気な笑みを浮かべながら

「俺たちは、こう、近すぎたのかもな……。やっぱり」
「このガラスがいい感じに、おまえとの距離感を、あれしてくれて……、考えてたより……、悲しく……ない。……本当」
「……本当。先に言っとくけど……またくるからな。……何回でもな。油断するなよ。俺はストーカーのようにくるから……」
174小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/04(日)23:50:53 ID:wU4 [11/11回]
>>172
「あーちょっとぉ。なんか急にテキトーじゃない?ひっどーい」

おおよそ杜撰な態度を受ければ不満そうに頬を膨らませて、分かりやすく不貞腐れてますよアピール。
ずぞぞと音を立ててさっさと飲み干し、クリームソーダを注文するという、お財布に地味なダメージを与えるせせこましい手段に出る。

「何その知った口。言っとくけど不良でもなんでもありませんから!」

事実彼女は今のように日中の往来を出歩く時は、あくまでそこらにいそうな一般人でしかない。
品行方正が過ぎるわけでも素行が悪いわけでもない、ありふれた人を装っているからこそ。
心外そうに唇を尖らせて、乱雑にアイスクリームをメロンソーダに沈めて八つ当たりをするのだ。

「んー……どうかな、もう諦められてるような気もするけど」
「っていうか!おにーさんも分かってんなら、ホント気をつけないとダメだよ?」

ここに来てフードを頼むのを見ればマジか、と言いたげな目線。なぜ最初からではなくこのタイミングなのか、真相はきっと闇の中。
互いに互いを甘いと言っている奇妙な関係に忍び笑いを零しつつ、初めて伏せた瞳が微かな自嘲を灯す。
それを誤魔化すかのように、ぴんとフロート用の長い匙を向けて眉を釣り上げた。

「ただでさえいろいろ目立ってるんだからさぁ。あんまり怪我ばっかりしてると、あたしみたいな一般人にもナメられちゃうよ?」
175匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/05(月)00:05:32 ID:OpF [1/3回]
>>174
「どうかな?昼の顔と夜の顔が違うなんてこの町じゃざらでしょ?」

ちゅるり、とスパゲティを食べつつ青年。
すずめの普段は既に彼の中ですずめを評価する重要なファクターではなくなっている。
だから心外そうなすずめの抗議もどこ吹く風。
普段の青年であれば間違いなく右往左往。

「諦め悪いんだよ先生ってば。未だに僕が何かするのも本当は嫌がってる。
 だから君のことも全く諦めてないだろうねー」

軽い調子で言うが確信をもっての断言も含まれる物言い。

「今は目立つのがお仕事になっちゃってるからなー
 昔からしたら考えらんないけど、これはこれで悪くないかと思い込めそうになってるよ。
 後、一般人は先生と殴り合えない、これ真理」

既に青年の中ですずめは逸脱した類友である。
剣聖の何たるかを知っているからこそ、
彼とどういう交流があったのかを知ればそれだけでその人物が何なのかある程度予測が建てられる。

「ま、先生の知り合い同士だ。く友好的に行きたいと僕は思ってるけど?」
176鳥月舞夜◆</b></b>bU0CEuzUjA<b>[] 投稿日:19/08/05(月)00:24:20 ID:6Hk [1/1回]
>>173

「よくわからないけど、危ない前科ありな私が言うのもなんだけど、危ないことならやめてね。危ない猫なら憂子に会わせたくない……危ないことに憂子を巻き込みたくないから。フクロウは猫探す?」

路地裏で猫と戦う友達を想像して心配になる。

「そうですか、私は結構純心だから、言われたことは信じちゃうのです。流されやすいとも言います」

わざと真面目な顔と口調で説明する。依然としてハーレムは本気にしたままで。

「お母さんに、妹さん、そう……部長も色々あるんだね。私は二人の代わりにはなれないけど、それとは別に撫でてあげることは出来る、から……あなたの平穏の為に………上矢の平穏も魅鳩の平穏も守りたい、から」

家族に付いての告白を聞けば悲しい表情になる。

それとは別に、
恥ずかしがる魅鳩は最高すぎる。直視できない位。直視すれば堪えられずに悶えてしまう。悶絶してしまいそうになる。

「そうだね、ガラス越しの安心感……感じる……それも臆病な証拠、かも……私たちが。
 中と外を隔てる衝立。籠の中の鳥と、籠の外の自由の鳩……でも、離れてても感じる仲間の真の力も感じる……」

薄目で魅鳩をみつめ、ガラスに注意を向けながらしみじみ述べる。感傷に浸りながら。

「ストーカー、そ、それは楽しみね。油断……部長こそ、油断しないでね……カメラのレンズ越しなのか、銃のスコープ越しなのか……ストーカー、狙っているのは果たしてどちらか……或いは別の誰かが路地裏で狙っているかも知れない……」

陰気な笑みに応えて、ニヤリと意地悪い笑みで意味深な台詞を残し、面会時間終了を告げられる。

「今日はありがとう。会えてすごく安心できたんだよ。またね……」

愛しいものを見るような名残惜し気な視線を向け、別れを告げ、看守の警察官に連れていかれる舞夜。

//この辺りで〆でお願いします。返信遅くてすみません……。絡んで頂き誠にありがとうございました。
177小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/05(月)00:32:31 ID:n42 [1/3回]
>>175
「むー、あたしがそうみたいな言い方してぇ……」

例えそれが真実だったとしても、虚実を綯交ぜにして日光で煙に巻くのは慣れている。
拗ねた調子はごく自然であったが、外面以外の要素を拾い集めたとなれば。
肯定の言葉は一切ないし、あくまでごく普通の一般市民を装い続けるが、明確な否定もまた言葉にはしない。

「マジ?それはそれでメンドくさ……どうにかなるモンじゃないっての」

確信を持った輝の言葉に零したため息もまた、翁との微妙な関係性を証明するものに相違ない。
気怠そうに髪をかき上げて、その状態で動きを止める。背もたれにずしりと体重を預け、今度は彼女が輝を観察する番だった。
そこにずっと絶やさずにいた笑みはない。ただ感情の失せた相貌で、じっと食事の様子を眺めていたが。
不意に、大きく息を吐いて天井を仰いだ。

「……うん、そうだね。一般人よりちょっとだけ動けるから、そういう意味ではウソついたかも」

そこは認める。が、そこだけだ。
超常蔓延るこのご時世だ、世に隠している力がある人間だってそう珍しくはない。
それが知られたところで、その活用法を。月夜に踊る側面を悟られさえしなければなんの問題はないと。
秘め事の一端をぶっきらぼうに嘯いて、向き直った彼女の面持ちは既に元の笑顔に戻っていた。

「あたしもおにーさんとは仲良くしたいな?有名人とお近づきになれるなんて、なかなかないし!」
178 : 紫葉魅鳩◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/08/05(月)00:39:49 ID:vwP [1/1回]
>>176

冴島玲を探す。彼女をバンドに加え、平穏な上矢のメンバーの一員に落とし込む。
それは危ないことなのだろうか。危険な猫。危ないフクロウには違いないけれど。

(通じないものだな……。どんかんな鳥月め。冴島さんも幸せにしたいっていったのは、おまえなんだぞ……)

流されたのは自分だけれども。

「金東さんは、猫っぽいよな。……どうでもいいか……」

「あとな……、母さんの代わりは……、おばあちゃんがいるし」
「……妹の代わりはいらないな。……家族のことを嫌うのも虚しい話だが。家族。……ハーレムなんかよりも家族のほうがよっぽど、あれだな……」

ガラス越し、彼女の輪郭に沿わせるように指をくるくると回した。
特に意味があるわけではないけれど、壁を隔てても彼女をより身近に感じるような気もする。
意地悪な彼女の言葉の応酬には、自分も恥を捨てて、意地悪で返すことにして


「……ああ。俺こそ楽しかったよ。鳥月。今日も最高に好きだったし、明日も大好きだ。ストーカーなわけだからな……、また、しつこく、またくるよ」
「…………じゃっ」

看守の目、彼女の背、それらに背いてそそくさと
能力を使えないのがとても惜しい。こういうときに逃げるための反発力ではなかったのか。
積極的と思われている自分もテンションが上がってなければただのバカな陰キャだなと改めて痛感するのであった。

//全然待っておりませんでした!(速度的な意味で) こちらこそ楽しかったですありがとうございました。また遊んでください!
179匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/05(月)00:41:25 ID:OpF [2/3回]
>>177
「おや、そう聞こえた?」

スパゲティ完食。
お冷ごくごくしながら、薄い色眼鏡の奥から覗く視線はすずめの何を見ているのやら。

「ん、そういう事にしておこう。詮索したところで何が出てくる気もしないし」

すずめの様子は逐一見ているが、それについての言及はなし。
友好的でありたいのは偽らざる本心であるがゆえに。

「ただ、この有名人、物騒なのに常に狙われてるから近づくだけ危険な目に合うかもしれないけど」

卑劣な連中が身内を使って何かを仕掛けてくるのはよくある話だ。
青年はそこだけが気がかりになっている。
180小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/05(月)01:03:17 ID:n42 [2/3回]
>>179
「叩いたってなーんにも出ないよ。ちょっと殴り合えるだけの普通の人だもーん」

どれだけ勘繰られようと、堅固な殻はあくまで普通から逸脱しない人間であろうと振る舞う。
ひらひらとなんでもないように手を振って、すっかり白く濁ったクリームソーダを空にする。
にこにこと楽しそうな笑顔を崩さないままに、思わぬ気遣いに僅か眉を持ち上げた。

「それは困るねぇ。けどまあ、危なくなってもどうにかなるでしょ!」

からからと笑って、けれど口にするのは曖昧が過ぎる楽観でしかない。
しかしそれはただの虚勢ではなく、確固たる自信と根拠が存在するような言葉尻でもあった。むしろその事態にさえ喜楽を見出さんばかり。
その言及を避けるように、先んじて軽快な動きで席を立った。

「ごちそうさま、おにーさん。怪我、早く治るといいね」
「あたし、小鳥居すずめ。おじーさんにもよろしく伝えといて。じゃ、今後ともヨロシク!」

当然の如く支払いを任せ、最後に片目を瞑って別れの挨拶。
退店間際に一度だけ振り返って大きく手を振れば、いつの間にか夕暮色に染まった空に一人飛び出して往来に姿を消した。

//この辺りで〆でよろしいでしょうか
//お付き合いありがとうございました、お疲れ様でした
181 : 匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/05(月)01:18:41 ID:OpF [3/3回]
>>180
//おつかれさまでしたー
182小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/05(月)21:29:04 ID:n42 [3/3回]
市内でも特に寂れた一画の中で紛れるように佇む、チンピラ達の憩いの場と化した廃ビルがある。
夜毎に飲めや歌えやと下品な騒ぎ声が響いていたそこは、今宵に限って静寂に包まれていた。
その理由はビルに入れば単純明快。壁や床をこれでもかと汚す血痕と、所々に転がる屍が凄惨な出来事を静かに物語る。
殴殺、あるいは斬殺。充満する死の匂いは、惨状から時間が然程経過していないことを示す。

『You may say I'm a fool ――』

唯一動く人影は屋上の縁で胡座をかき、退屈そうに頬杖をついて眼下の路上を眺めていた。
少し旧い型の音楽プレーヤーから流れる歌は、片耳だけを塞ぐイヤホンから大きく漏れる。
だぼついた黒のジャージ、顔を隠す般若の面からして屯していたチンピラと同類のようにも思えるが。
床に突き立てた血濡れの木刀が、饗宴の終幕を齎した下手人であるのを声高らかに叫んだ。

『And that's why I believe in you ――』
「…………あ」

ぽたり、と。一雫が旋毛をつついてから、本格的な雨が降り出すのはあっという間であった。
背後で倒れ伏す男から滲み出す赤い水が、滲んで薄れて屋上の入口までを遅々と流れる。
ボイスチェンジャーで乱された大きなため息。木刀を支えにしてのっそりと立ち上がる様はひどく大儀そうで。
今夜の天気は曇りのち雨、好かない空模様にすっかり濡れた髪をかき上げた。
183現我奇跡◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/06(火)10:49:04 ID:VWc [1/10回]
>>182
「また随分と派手にやってますねぇ…」

濡れた足音と共に現れる、その人物はこれですずめとの二度目の邂逅を果たす者。

「お久しぶりです、私の事…覚えてます?」

サングラスに白銀の癖のある長髪、そしてその性別すら
一見分からない独特の雰囲気を醸し出すこの人物は以前すずめを解放師団に勧誘したモニター頭の怪人の正体。

「君を解放師団に勧誘したモニター頭の男と言えば
分かりやすいですかね?」



184 : 鳥月舞夜◆</b></b>bU0CEuzUjA<b>[] 投稿日:19/08/06(火)12:04:36 ID:iFk [1/1回]
魅鳩との面会後、上矢警察署の牢屋で深夜、布団の中で眠れず天井をみつめて思い悩んでいる。

「(私、冷静に考えたらおかしいよ、おかしいよ ハーレムとか、私、勝手に本気にして……口説くとか、何言ってるの、恥ずかしすぎる、死にたい……)」

目を閉じて身をよじって縮こまり、布団をぎゅっと掴む

「(もう部長と顔会わせられないよ……あれ、カメラ越しなつもりで積極的だからってやりすぎだよ……スコープ越し!そうそう、獲物だから仕方ないでしょ?あ、獲物扱いしないって言ったのにそう見ちゃってる、部長のこと……どうしよう……)」

頭まで布団を被って身悶える

小声で必死に祈り始める

「家族って言ってた……それはハーレムよりマイルドね。友達と上矢君で平穏に暮らしたい。それ以上は望みません、から、だから、上矢様、この恥ずかしさ、消してください、忘れさせてください、恥ずかしくて眠れません、普通じゃなさすぎました……」

布団越しに床を撫で、上矢と繋がっていることを感じとる。悶絶が引いていく。体の力が抜けていく……

「上矢君を感じる……落ち着く。上矢様、あなたの平穏、いつも願ってます………もう狂気の性格になりませんから、もう、あんな恐ろしいことしません、したくないです……」

「(猫なこ多いの?まさか、ふてぶてしい猫って冴島さんだったりする?……いや、ごめんなさい、ごめんなさい!)」

あおざめて必死にかぶりを振る

「臆病な部長、かわいい、いや、ちょっとやばすぎた……だめだよ……ダメだって…………」

陰気な鳩を思い返し今度はデレッ、あれやこれやと妄想も加わり、再び体の力が入り悶え縮こまり、布団をぎゅっと抱き締める。激しく悶絶。暑くて頭を布団から出す。
枕に顔を埋めたり、転がったり
シーツはよじれ、布団はずれて、興奮しすぎて汗が流れ……
やがては、疲れ果てて力抜け眠りに落ちてしまうのだった。

//ソロールです
185小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/06(火)12:26:14 ID:tqc [1/6回]
>>183
『Why shouldn't …… believe ………… in you?』

騒ぐ雨音に所々がかき消されても、背後から声をかけられても。
イヤホンから流れる音を止めはせず、緩慢とした動きで振り返る。
水を含んでずしりとする服や髪に、体までもひどく重くなってしまったかのような。

「……こんなトコでナンパなんて、なかなか面白い人だね?」

けれど口調は、機械越しの声の調子は依然と変わらず呑気そのもの。
軽口を叩きながらも記憶の糸を手繰っているのだろう、こつりこつりと木刀の鋒で色濃く濡れた床を小突く。
それでも奇天烈な外見と目の前の人物を結びつけられることは終ぞなく。ええと、と口ごもって首を傾げたが。

「んーと……ああ、あの時の!ごめんねぇ、イメチェンしてたから気付かなかった」
「それで、今更何の用?まさかとは思うけど、またお誘いにでも来たの?」

無作法にもからからと笑って指でさし、思わぬ再会を喜ぶかの如く馴れ馴れしさ。
無論そんなのは見せかけだけだ、夜半の猛禽は届かない星屑の煌きに殺意を灯す。
和かに、されど不穏を所作の端々に隠そうともせず。雨に濡れても健気に歌う音楽プレーヤーを、薄ら赤い水たまりに放り捨てた。
186 : 現我奇跡◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/06(火)13:13:13 ID:VWc [2/10回]
>>185
「まさか…」

ぴちゃり、ぴちゃりと歩みを進めて
187 : 現我奇跡◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/06(火)13:13:30 ID:VWc [3/10回]
//すみません途中送信です
188現我奇跡◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/06(火)13:37:18 ID:VWc [4/10回]
>>185
「まさか…」

ぴちゃり、ぴちゃりと歩みを進める。
お互い素顔を隠した者同士、だが纏う殺気はどちらも察する事が出来る筈。
けれど不敵に、奇跡は歩みを進める。

「君を殺しにきた」

突如として奇跡の背部から伸びる黒い巨腕がすずめに
鉄槌の如く降り掛かる。


189 : 現我奇跡◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/06(火)13:37:47 ID:VWc [5/10回]
//急な予定が入った為不安定になるかもです…!
190小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/06(火)14:09:35 ID:tqc [2/6回]
>>188
一方的にゆっくりと距離を詰められても、乱れない拍を刻むばかりで動こうとはせず。
髪や指先、服からとめどなく零れる雨水を厭う様子もなく、注視と共にじっと悠然に佇む。

「うん、だろうね」
「むしろ同じ事考えてたし、そっちから来てくれてラッキーっていうか!」

あっけらかんと、手向けられた殺意を無機質な声に滲んだ喜色で受け流す。
墨色の空よりも暗い、光を呑み込む剛腕が天を衝いてもなお飄々とした態度は崩れない。
小鳥が頭上に落ちた影からぱっと飛び立って離れるように。咄嗟に斜め前方へと急激な加速でもって回避行動。
背中に受ける衝撃の余波、屋上を形成するセメントが砕かれて波状に罅を描く。

「――返り討ちにされないよう、頑張ってね?」

奇跡から見て右前方、低い姿勢で居合いめいて構えられた木刀が血雫を飛ばして唸りを上げる。
遠慮呵責のない袈裟の切り上げは単なる殴打ではない、降りしきる雨さえ断つ風の刃となって深い裂傷を齎すべく奇跡を襲う。

//了解しました、そちらのペースで大丈夫ですよ
191現我奇跡◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/06(火)14:45:59 ID:VWc [6/10回]
>>190

「こっちのセリフです」

風の刃が目前に迫る時、またもや硬く拳を握った豪腕は振り下ろされる。しかしそれはすずめを狙ったものではなく。

「この形、何だか分かります?」

振り下ろされた拳は硬く握り締められていた、そしてその質感や色は先程と違い岩のようであった。
それを自身の目の前に振り下ろし鎌鼬をガードしたのだ。

「…やはり侮れない威力ですね……」

岩石の如く硬化した拳は奇跡への直撃を防げどもその表
面にはくっきりと斬撃の痕を残していた。
それとリンクするかの如く奇跡の手の甲にも傷が入る。

「ぼちぼち反撃と行きますか」

次いで現れるもう一本の豪腕、二本の腕は人差し指と親指を突き出し、形作るのは指鉄砲
その二丁拳銃はすずめを見据える。

「殺すには惜しいんですがねぇ」

言葉が途切れると共に無数の爪の弾丸がすずめに降りかかる事となるだろう。
192小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/06(火)15:41:03 ID:tqc [3/6回]
>>191
雨に代わって降り注ぐはずの鮮血ではなく、返ってくるのは強固な感触。
まだその超常の全容までは分からないものの、肉体の変質に近しいものと読むのはそう難しくない。
故に差し向けられた指銃が、間違いなく自分の不利を引き起こすと悟るのは早い。

「殺す相手に言う事じゃないと思うなっ」

くるり、正面で木刀を回転させて円を描く。盾の如く雨を払ったそれは小規模な気流の塒を巻き起こして、鋭利な爪弾の軌道を四方に散らす。
それでも横風に打ち勝った一部の凶弾が、肩口を掠めて布をぱくりと裂いた。

「お生憎様、その辺のヒラにやられる気はなくってね!」

木刀を回した流れで胴へと引き戻して、近接戦から至近距離へと更に踏みこんだ一条の刺突。
的確に喉元を狙ったそれはやはり受ければ打撃では済まされない、槍を模した風針が脊髄まで貫かんと鳴いた。
193現我奇跡◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/06(火)16:15:12 ID:VWc [7/10回]
>>192
「いいえ、大幹部にやられるんですよ…少しは格好がつくでしょう?」

接近戦なら精密な動きはできない豪腕はやや不利になる
すずめの選択は賢いと言えるだろう。
しかし、能力だけに頼っていては幹部など務まるはずもなく。

「その容赦のなさはウチの部下にも見習ってもらいたいものですよ…!」

サングラスを外し上に投げ視界をより鮮明にすると体勢を大きく下げてその一撃を避け、遅れて重力に引かれた長髪が一部切断され舞い上がり雨と混ざる。

「さぁ君も…」

そのまま一歩踏み出しすずめにアッパーを決めようと拳が天をめがけ突きあがる。
その真の狙いは般若面を外す事にあるのだ。
194小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/06(火)16:39:47 ID:tqc [4/6回]
>>193
喉笛に届かない鋒を引き戻すでもなく、一旦の下段を挟んで再度の切り上げへと動こうとしたが。
当然動作の数と初動の分、先に振るわれるのは拳の方となる。

「へえ?いい事聞いちゃったな」

我武者羅な吶喊には走らない、ごく最低限の動作で上体を逸らせば面だけが拳骨に弾き飛ばされて宙を舞う。
鉛空の下の薄闇に露わになった顔立ちは、大人になりきっていない少女であり。
命のやり取りの最中にも拘らず愉しげに笑みを浮かべる彼女は、瞬く間に濡れた唇を悠然と舌先で舐めた。

「それじゃあ、張り切って殺らないとねっ!」

般若面が弧の頂点に達するよりも早く、伸びた腕を寸断すべく振り上げられる木刀。
天候に逆らう風が雨粒を歪め、不可視の刃が雲を破らんと天に昇った。
195現我奇跡◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/06(火)21:28:33 ID:VWc [8/10回]
>>194

「へぇ、案外綺麗な顔してるんですね」

奇跡の異形の瞳が一層見開かれる。
解放師団も一目置くほどの殺人鬼がまだ垢抜けていない少女なのだから。
そう悠長に驚く暇もなく襲い来る凶刃を腕を下げ右斜め背後にバックステップを踏む事で回避

「……あ」

する事は出来ず、奇跡とすずめの間に真紅の血のアーチが作られることとなる。
豪腕の指が二本消えていた。
奇跡の人差し指と親指は切断され、足元に転がっていた

「やはり感覚は全く違ってくるみたいですね…」

即座にそれらを回収するとホチキスで接着。
どう考えても異様な行動とは裏腹に豪腕の指は回復。
196 : 現我奇跡◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/06(火)21:28:48 ID:VWc [9/10回]
//遅れました!
197小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/06(火)21:59:29 ID:tqc [5/6回]
>>195
「褒めたって何にも出ないよぅ!」

打撃ではなく斬撃においては、風を仲介させる以上どうしたって手応えが鈍くなる。
故に不発と反撃を見越し、間髪入れずに後方に飛び退いて距離を取る。
仕切り直しの僅かな合間、木刀を無造作に振るってしつこいくらいに滴る水を払った。

「うわうわうわ、なにソレやっば……どうなってんの」

切断された体の一部を針で留めて繋げて再び動かすなど、およそ常軌を逸した光景であるが。
辟易しているのは言葉だけ、その語調も表情も軽薄な調子を断じて崩しはしない。
暗雲の黒を凝縮した瞳を愉快そうに細めてさえみせて、おもむろに強く踏みこんだ。

「――根元から貰っておけば、すぐには治せないよね?」

雷鳴を思わせる震脚。狙いを定めたのは挑発的な言葉に倣った四肢ではなく、あくまで人体の急所となる中心線。
本気で殺し合う相手を信用するのが悪いとばかりに、打突を放つのは手足よりも更に上部、額の正中。
風を纏わない鋒は頭蓋こそ貫けないだろうが、まともに食らえば脳への強い衝撃は免れないだろう。

//お気になさらず
198現我奇跡◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/06(火)23:01:32 ID:VWc [10/10回]
>>197
//すみません今日の所はこれ以上返信できそうにないです
また明日よろしくお願いします…!
199 : 小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/06(火)23:04:06 ID:tqc [6/6回]
>>198
//了解しました、明日は一日お返しできると思います
//一先ずお疲れ様でした
200◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/07(水)09:37:02 ID:zeb [1/18回]
「「暑ッ」」

別々の場所で示し合わせたかのように同じような言葉を放つ男女。
見上げれば陽の光は正道を行くものにも邪道を行くものにも
その恩恵を惜しみなく分け隔てなく降り注いでいる。

「強すぎる光ってのも考えものだよなあ…」

青年は思う、力に対向する為に力を求めたが、それは本当に正しかったのかと。
強い力がぶつかり合い行きつく先にあるのは果たして自分が求めたものになり得るのかと。

「容赦ないですねえ、流石はお手本、美しいです」

超人常人関係なく、太陽はなくてはならぬもの。
その存在感と力強さを疑問視するものはない。
莉音の求める先は何時だって空にある。
例えそれが夜に姿を隠しても、月の反射が存在を示す。
そう、決して太陽は人の上からどく事はない。

「「にしても……あっつぅ」」

小難しいことなんぞ考えてるなよと言わんばかりに肌をチリチリ焼く光は降り注ぐ。
男女ともいい加減どこかで涼むか、と周囲を見回している。

//匡美輝or師子王莉音でも待ちです
201現我奇跡◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/07(水)13:43:27 ID:jsP [1/7回]
>>197
「私だってそれなりの覚悟を持つ必要がある、そう思った結果ですよこの体は」

自身の采配で敗れ去った部下達へのせめてもの詫び、そして解放師団の為更なる力を身につけるべく奇跡は既に
自身の能力でゾンビ化していたのだ。

「やはり、そう来ると思ってました」

わざわざこの特性を見せつけたのは相手の攻撃範囲を絞る為、末端への攻撃が余り意味を成さないと知れば狙ってくるのは当然急所と、予想は的中した。
一歩右斜めに踏み出し突撃を避ける。

「…ッ!」

二本の豪腕が絡み合い、捻れ、螺旋を描く。
両手を広げ、プロペラのように変化したそれは地面を抉りながらすずめに向かい弾丸のように進む。
202小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/07(水)15:07:34 ID:DZo [1/7回]
>>201
「殺せりゃなんだっていいんだけどねぇっ……!」

虚空を穿った旋風を見送って小さな舌打ち、虚言を含んだ不意打ちが読まれているのは上手くないと。
至近距離での咄嗟の回避を完全に熟すのは難しい、その方向を見誤るだけで致命になり得る。
彼女が本能のままに選んだのは横、奇跡から見た右方に側転の要領で大きく跳躍。

「っっでぇ……!!」

直撃こそ避けたものの、雨粒さえ破砕する圧に抉られた右脇腹から吹き出る赤。
皮膚が削られた痛みに呻きこそすれど笑みは途絶えず、動きもまた大きく衰えることはない。
倒立状態を保ったままの頭を狙った逆立ち回転蹴り、足によるモーションでも風は刃となって空気を断つ。
その命中の可否に拘らず、バック転めいて飛び退いて距離を取ろうと。
203現我奇跡◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/07(水)15:46:37 ID:jsP [2/7回]
>>202
「これで切り刻むつもりでしたが…!」

伸びきった腕を引き戻すには少々時間がかかる。
痛みをほぼ感じないと言っても本体の腕とある程度
リンクしている豪腕に無理な技を撃たせたのだから両腕は暫く動きそうにない。

「いつまでそうヘラヘラしていられますかねぇ?」

上体を逸らし避けようとするが力の抜けた腕によりバランスを崩し風の刃が奇跡の額から右目にかけてを切り裂く。

「クッ…まさか私が刻まれようとは…」

頭蓋骨の表面にまで達していよう傷からは絶えず真紅の血潮が流れ、奇跡を赤く染め上げて行く。
すかさず距離を取ったすずめ目掛け辛うじて動く右手とリンクした豪腕による爪弾を放つ。



204小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/07(水)16:30:24 ID:DZo [2/7回]
>>203
「さーてねっ、死ぬまでじゃない?」

軽業は奇を衒うにはうってつけだが、体への負荷もまた大きい。筋肉の伸縮に伴う痛みを、長く鋭く吐いた息でどうにか誤魔化す。
べたついて鬱陶しい脂汗をすぐに洗い流してくれる今だけは、ざあざあと降る雨に感謝を抱いた。

「ここで死ぬ気は更々ないけどっ……!!」

踏鳴の一歩でさえ痛覚が苛んで足を引き止める重石となるが、殺戮への衝撃はそれを遥かに上回る。
迫る尖鋭の爪への躊躇は絶無、水たまりを強く蹴って左方に低く回りこむ。奇跡からすれば傷を負ったばかりの右目の方。
無論攻撃ばかりを狙った接近が、ただで済むはずもない。

「っ――だあぁぁぁああっっ!!!」

その咆哮は痛み故か、あるいは純然たる殺意の表れか。
腕、腹、足と右半身を中心に食いこむ爪。一部が背面まで食い破って、屋上までも割り穿つ。
セメントが砕ける音が鼓膜を震わせるより、激痛に取り落とした木刀を左の手で掴む方が早かった。

「いい加減にっ――!!」

鉛雲さえ吹き散らさんという勢いの、血に汚れた渾身の風刃。
流星の如き逆袈裟一閃が、赤に染まった視界を更に色濃く染め上げようと雨空に落ちた。
205現我奇跡◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/07(水)17:09:22 ID:jsP [3/7回]
>>204
「来るか…ッ?!」

残された左目ですずめを捉えようとしたその時
視界が歪み、すずめが幾重にも…

(一体…)

出血多量、そして頭蓋骨及び脳への損傷は思わぬタイミングで奇跡に牙を剥いた。

(これは…?!)

満足に動く事も出来ず、まだ両腕が使えれば変わっていたかもしれない、だが今はただただ硬直し待つしかないのだ…

「い、1号ッ!転送をッ!」

死を…
しかしそれでも最後の抵抗を行おうと叫ぶは断末魔、なのだろうか。

「な…ぜ…」

上矢に現れた転送モニターが背後に現れる。
しかし時すでに遅し、その直後風刃によって奇跡の肉体は斜めに切り裂かれ降り注ぐ天泣にも拭えない程の鮮血を、血の花を咲かせていた。
辛うじて右腕だけが残された上半身が宙を舞い、落ちる





206小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/07(水)17:35:05 ID:DZo [3/7回]
>>205
極限状態でのみ訪れる、秒針の刻む間隙が引き伸ばされるような。雨の一粒一粒さえ視認できる時間の鈍化の中で。
斜めに断ち切った胴体が鮮血を散らして、ごとりと落ちる様を確かに見た。

「っ、ふうっ……」

風穴から激痛を訴える右足、傾いだ体を強く床に突き立てた木刀で支える。
薄く切った頬の血を拭おうとして、右の前腕にも小さな穴が空いているのに気がついたからすぐに諦め。
血の跡を残しながら、されどしっかりとした足取りで転がる上体へと歩み寄れば、苦しげな笑みで油断なく見下ろした。

「……さて、遺言を聞く気はないんだけど」

真に息絶えるまで気を緩めはしないのだろう、ちらと沈黙を保つ転送モニターを一瞥。
消えかけの灯火を目前にして、実にぶっきらぼうな言い草であった。
たっぷりと水を含んだ前髪が目元を隠して、その奥に湛える冥闇の光さえも遮る。

「言いたい事があるなら言いなよ。アレの繋がってる先とか、本拠地とか教えてくれたら嬉しいんだけどな」
「ああ、恨み言でもいいよ?今更言われ慣れてるし、何を言われちゃうかはちょっとだけ興味ある」
207双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/07(水)18:33:20 ID:1d2 [1/17回]
>>200
光あるところに影はある、大きすぎる光は大きすぎる陰を生む。
そんな表現はよく対人関係や暗黒面に落ちた相手を示す時に使われるが、こういう灼熱の時期にも似合うだろう。
陽射しが強ければ各所には大きくハッキリとした日陰が出来ているもの。人がそこに逃げ込むのも道理だろう。
そのうち一ヶ所、あからさまなコンビニ袋を提げて影に逃げ込む男子が一人。マスクはいつも通りに、眼帯をつけた右目に何を思うかは人それぞれ。

「…………んん? ……おー、輝の兄貴じゃねえか」

日陰に落ち着いた男子は次第にそちらに呼び掛けるだろう。アイス片手に。

//まだよろしければー
208匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/07(水)18:50:32 ID:zeb [2/18回]
>>207
「兄貴って…そんな間柄だったかな燕治君と」

呼ばれた方を見れば少年の姿。
そして双葉の痕には気が付く。
なんならこっちも包帯やらが完全に無くなってはいない。

「…えーっと、ああ、学生はもう夏休みか」

放課後の買い食いかと思ったがどうにも時間が曖昧である。
八月であることも加味してそう問いかけながら近寄っていく。

「や、久しぶり……で、喧嘩でもしたのかい、そのなりは」

物貰いの可能性もゼロではないが…
209 : 現我奇跡◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/07(水)18:52:49 ID:jsP [4/7回]
>>206
「…ッはぁ…私の力と………意志は…受け継がれる……第2、第3の私がぁ……君に牙を剥く…」

閉じかけた左目を再度見開き、すずめを見上げながら。
その表情はボロボロの身体とは裏腹に自信と余裕に満ち溢れ、
210 : 現我奇跡◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/07(水)18:53:20 ID:jsP [5/7回]
//途中送信です…!
211双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/07(水)18:58:00 ID:1d2 [2/17回]
>>208
「輝の旦那のが良かったか? ……怪我出来たなあ」

確か人形にロマン覚えた時はまだお互い怪我もなかった時期。増えた、ではなく出来たと表現するのは正しい……か?

「その通り、俺も気付かされたのは最近だけどな。アイス食う?」
「喧嘩と言えば喧嘩だし、勝負と言えば勝負で、ぶつかり合いと言えばぶつかり合いだな。そっちは?」

差し出す棒アイスは双葉が今咥えているのと同じもの。マスク貫通してるのはいつものことだ。
物貰いではないらしく、ある意味どうとでも取れるような言い方でまずは濁す。
けれどもそちらの聞き方、もしくは話す内容次第では……真相も語られるだろう。
212匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/07(水)19:08:20 ID:zeb [3/18回]
>>211
「あー…そう言われるほど人生経験は積んでないからなあ。
 ん?普通に匡美さんとかじゃあ駄目なの?」

寧ろそれが自然ではないだろうかと青年。

「如何言う事さ最近夏休みだって気づいたって
 …アイスは下さい。
 え、暫く寝たきりだったとかじゃないよね?」

如何にも初っ端から情報量が凄い。

「何だかふわっとした表現だけど危ない事してないだろうね?
 時と場合によっちゃあ知り合いと言えど補導とかになるよ?
 ま、言いたくなかったらいいけどさ…アイスどうも」

アイスを受け取りつつ青年は一応ゆるゆるな釘を刺す。

「こっちか…あー……例えば正体不明の化け物とやり合いました、つったら信じる?」

がじがじ、もしゃもしゃ、アイスを齧りつつ何でもないように。
実際は《糸》も相当数叩き込まねば倒れもしなかった怪物とやりあっているわけだが。
213現我奇跡◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/07(水)19:09:22 ID:jsP [6/7回]
>>206
「…ッはぁ…私の力と………意志は…受け継がれる……第2、第3の私がぁ……君に牙を剥く…」

閉じかけた左目を再度見開き、すずめを見上げながら。
その表情はボロボロの身体とは裏腹に自信と余裕に満ち溢れ、すずめを嘲笑うようでもあった。

「私は死なない…!」

残された腕で上体を起こすとズルズルと這いずり
すずめに寄る。

「さぁ…君には私を殺す権利がある……」

殺せと言わんばかりに更に詰め寄る。

214双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/07(水)19:17:58 ID:1d2 [3/17回]
>>212
「やっぱり輝さんにするのが一番か」

学校外で歳上相手への呼称を迷うのもこいつくらきだろう。

「少なくとも二日は意識不明の状態だったって聞いたな、その間に夏休み突入だから荷物大変だったぜ」
「補導するにはもう時効だと思うけどな。もしくはお互い様」

あっさりと状態語って愚痴を漏らすように。動く死体とはいえ、人殺ししたことは違いないのでどうしようか思っていたが。

「信じてほしいから話すんじゃねえかその場合。信じなくても良いなら俺だって動く死体に会いましたって言えるし」
「…………ん? あんた補導する権限持ってたっけ?」

例えば、これは友達の話、仮定の話。それが真実というのはよくある話だ。
それに加えて一部ヒントのように漏らす言葉を打ち止めにすると、湧いた疑問が移っていた。
215小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/07(水)19:22:21 ID:DZo [4/7回]
>>213
「……それでおしまい?」

今際の際の言葉を聞き届けるには、あまりにつっけんどんな反応であった。
妄執と言い換えてもいい匍匐を見下ろす面持ちには微笑みこそ張り付いていたが、ただそれだけだ。
詰め寄られても微動だにせず、左足に体重を預けて持ち上げた木刀が憐憫や憤懣の去来しない無情を示す。

「いいよ、何度でもおいで。全部全部、きっちりしっかり殺してあげるから」

ボイスチェンジャー越しでも分かる、心底から愉しげな歌の如き囀り。
溢れる血を無視して右の手で前髪をかき上げる。露わになる眉間は痛みのせいか、僅かに皺が寄っていたが。
紫黒の瞳は光を呈さず、しかし明らかな喜悦に瞬いて笑っていた。

「――おやすみ」

無造作に振り下ろした木刀は、何かを殴打することはないが。
直下へと断頭の刃を手向けるには、それだけで十分だった。
216匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/07(水)19:24:55 ID:zeb [4/18回]
>>214
前半の会話はあえてスルー。
やっぱり命の危険性がある事してんじゃんとか思うところはあれど。

「色々突っ込みどころ満載だけど…動く死体か、光線ぶっ放す女の子だった?」

青年がやりあったことがあるゾンビはそうだった。
燕治の相手の事は知る由もないし、ゾンビがそう幾らもいるとは思っていない。

「正直自分がどれだけの権限持ってるか知らないんだよねー
 …まあ、お手伝いはしていいと思うんだ。ハヤ姉にも頼まれてるし」
217現我奇跡◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/07(水)19:31:00 ID:jsP [7/7回]
>>215
「それでは“また”」

風刃は奇跡の首を断ち、その生首はゴロッと転がったきり言葉を放つことは無かった。
ニヤついた笑顔だけが、張り付いていた。
瞬間、転送モニターが倒れ生首を押し潰す。
いや、回収したと言うべきか、その場所には血糊と首のない両断された身体だけが残る。

//それでは〆と言う事で!
218双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/07(水)19:36:08 ID:1d2 [4/17回]
>>216
「光線出せる死体に会ったことあるんだな……女子しか合ってねえよ、もう一人は男子だし」

ツッコミどころといえばやはりお互い様ではなかろうか、双葉の方は光線発射自体珍しいし。
さて、そちらの中に該当する相手は他に居るだろうか。死体を名乗る者の中に。

「そういうのはきちんと確認した方が後腐れなくていいと思うぜ?」
「お手伝いってのがどういうものかは俺は知らないけどな。まあお互い邪魔せず行こうや」

シャクシャク。はずれ。袋に棒を入れてコンビニ袋の中に入れるとまた別のアイスを一本。よく買えるものである。
219匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/07(水)19:42:55 ID:zeb [5/18回]
>>218
「…え、二人と言うべきかどうかだけど…そんなに会ってるの?
 知らないうちに魑魅魍魎蔓延る妖怪都市になってないか上矢」

思わず周囲を見回す青年。
そんな事で魑魅魍魎が見つかる訳もないのだが。

「そーね、まあ、警察と連携取れる権限って事は込みでしょうよ、一応確認はするけど。
 …邪魔ねえ?燕治君は僕が邪魔しなきゃならないような事を今後するつもりがあるという事で宜しい?」

燕治のハズレ棒を見て自分のは如何かと視線を棒に。
リアルの割合が分からないので投稿末尾が0だったらアタリだ。

「ま、そのつもりなら一人紹介しときたい人がいるけど」
220双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/07(水)19:50:02 ID:1d2 [5/17回]
>>219
「そういう能力者が居るってだけの話だと思うけどな、幽霊の正体なんとやらだ」
「黒髪黒目の女子と鎖巻いた熱血漢、対照的なのが居ると思ったよ」

魑魅魍魎が真か偽かはともかく、動く死体チームは超常が発端だけに恐怖は薄いらしい。
まあ片方はこの暑さのせいか見てないし、もう片方は既に停止させた以上知らないか、と納得していくのも妥当である。

「避暑のために路地に入る度に止められるのも厄介だと思わねえか?」
「まあそれでも構わないけどな、今の俺がしませんなんて言っても説得力ねえだろ?」

リアルだと数十本に一本かどうかなので妥当だと今さら。
苦笑気味に言いつつ、自分の棒に見えた「あ」の文字に少し機嫌よくしつつ。

「…………誰? もしかして彼女とか?」
221匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/07(水)20:05:24 ID:zeb [6/18回]
>>220
「ゾンビ制作能力者?居るってだけじゃ済まない案件だと思うけど」

その気になればゾンビ軍団が作れてしまう訳だ。
数にものを言わせ始めたら厄介極まりないのではないか、青年はそう思う。

「幾分個性というか自我というか、そういうものは残っているわけだ。
 性質含め色々厄介そうだなあ…ただでさえ怪物相手で頭悩ませてるってのに」

深いため息一つ。

「避暑地を求めるなら学生らしく図書館とか公共施設に向かえばいいんだよ。
 好き好んで路地裏に入り込むなんて本来自殺行為なんだけど、そこの認識が皆緩いよね?」

どーなってんのさ上矢の若者、と青年。

「何でこの流れで彼女紹介になるのさ…
 そもそも居ないし……せしゅんかむばーっく………」

後半の言葉は全く力が入っていない。

「そーじゃなくてだね…まあ、なんだ、喧嘩の仕方を教えてくれる人?
 別に興味なけりゃあいいよ。
 ただ、何の心得もないまま命のやり取りするよかマシかなと」
222 : 小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/07(水)20:06:23 ID:DZo [5/7回]
>>217
倒れた転送モニターの風圧を受けて、水気の飽和した服が飛沫を散らして微かに揺れる。
置き去りにされた真新しい血痕が水に滲んで、みるみるうちに洗い流される生の証。
目を瞑って天を仰ぐ。顔面で跳ねる雫を黙して享受しながら、束の間のさざめきに身を委ねた。

「…………帰ろ」

やまない漫ろ雨の下では、立っているだけであっという間に体温が下がる。夏だというのに肌寒く感じるのは、今この瞬間も血が失われているからだろうか。
もう熱を持つことのない亡骸を一瞥してから、緩慢とした足取りで歩き出し、弾き飛ばされた般若の面を拾ってかぶり直す。
続いて屋上の縁に向かう途中、放ったままの音楽プレーヤーを木刀で器用に掬い上げた。
経典代わりに一曲再生して、けれどすっかり濡れたイヤホンからは無音しか流れなかったから、ため息と一緒に再び投げ捨てる。

「You can call me Pollyanna ――」

仕方がないから己の口で口ずさんだ理由は、自分でもはっきりと言語化できなかったから。
自嘲を多分に含んだ忍び笑いを零して、帰路を辿るべく宙空へと身を躍らせた。

//お付き合いありがとうございました、お疲れ様でした
223双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/07(水)20:17:59 ID:1d2 [6/17回]
>>221
「条件くらいあるだろ、無制限なら今頃この街の大半そうなっててもおかしくないし」

言い方は悪いが人死にも多い都市だ、単純にゾンビを作れる能力なら既に大所帯のはずなのだ。
今のところ共通してるのは学生クラスと超常を持ち合わせる者くらいか。

「自我はあっても記憶が曖昧な奴と記憶がハッキリしてる奴が居たしな、……まあ一人居ないけど」

「図書館公共施設に入り辛い奴も居るんだよ察しろ大人」
「この時期だと胆試し感覚もあるんじゃないか? そういうの止めるための見張りとかも居るけどな」

そしてその見張りを潜り抜けるスリルもあるのか。今の自分にはわからないが。
結局人の心情なんて直接聞いてない限りわからないのだから。

「彼女ついでに頼りになるから紹介してくれるのかとばかり」

元気出せ、と肩ポン。

「上半身落としたふりして殴り返すくらいはできるようにはなったがそれでもいけるかね?」
「流石にまあ心得知るはずが余計に大怪我しても俺は困る訳だが」

つまり加減はできるのか、ということである。
「た」の文字も見えたアイスをシャクシャクシャクシャク。
命のやりとりとはいえ、双葉の方はまだ急所の位置を変えられるだけ大半の者より生き残りやすいかもしれない身だが。
224匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/07(水)20:26:09 ID:zeb [7/18回]
>>223
「公共施設に入り辛い事情って正当性あるの?察したくないなあ。
 それに若気の至りで命亡くしてたら笑えないんだけど、危機意識ちゃんと持って欲しいな」

治安維持側に回ったばかりにこう言った心配は尽きない。
元々そういった心配を抱いてはいたが拍車がかかったといえる。

「その理屈はおかしくない?何でちょっと自慢しようとしてんのさ…
 根性論で戦い方を教えるような輩ならその心配はまあ妥当だけど。
 普通武術ってそうならないように教え学ぶものだからね?」

何の心配をしてるのさ、と青年。

「お、アタリかな?」

自分のは当たらなかったから余計に気になる。
225双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/07(水)20:37:52 ID:1d2 [7/17回]
>>224
「見た目の問題だけだけどな」
「危機意識はちゃんと持ってるから大丈夫大丈夫、俺より別の奴等の心配をした方がいいなその辺は」

マスク眼帯男が公共施設に溶け込めるかどうかの問題と彼は言った。
そして危機意識について説得力を感じるかどうかも匡美の解釈次第である。
日常系ではあー言えばこー言うタイプである。結構うざめだ。

「世の中理屈おかしくてもやってるのが居るしなあ」
「武術を習う時間あるのかって問題が俺の中で浮上したぞ、喧嘩殺法とかないもんかね」

紹介してくれるならしてくれと言う態度である。ややどころか結構生意気に取られる可能性のが高いが。

「さー、それは食ってみないと――――誰だこれ作ったやつ」

単なる木の棒になったそれからは「れ」が出てきた。繋げて「あたれ」である。誰の願望だろう。
もういっそ次に期待とばかりにまた匡美の方にアイスが渡る。当たれ。
226匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/07(水)20:46:43 ID:zeb [8/18回]
>>225
「そこまで本格的に見る訳じゃあないと思うよ。やる気次第では別だろうけど。
 ただ危険な所に行くのに事前準備でお手軽なのを選ぶ奴は馬鹿だと個人的には思う。
 正直なめてんの、位に辛辣な言葉も投げつけてやりたくなるよ」

正直危険なんぞに積極的に関わる奴は総じて馬鹿だと青年は考える。
即ち己自身は馬鹿筆頭。好き好んで反社会的な連中の的になっている。
いかれてるってレベルじゃないね、と他人事のように常に思っている。

「なんの願望だ…製作途中で嫌なことでもあったんだろうか。
 ……いや、もう遠慮するよ、一度にいっぱい食べるものじゃないと思うんだ」

お腹下しちゃうよね?とアイスの受け取り拒否。

「で、乗り気なら今から行くけどどうする?」
227双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/07(水)20:56:14 ID:1d2 [8/17回]
>>226
「付け焼き刃の怖さを知ってるんじゃないのかその辺りのは」
「お手軽なもんじゃないと失った時も怖くなるもんだしな、なめてんのと言われても仕方ないけど」
「まあ世の中馬鹿の方が色々やりやすいけどな」

眼帯の奥の目も笑っていそうなほどの様子。
決して匡美の主張を否定するわけではなく、他の考えとしてありそうなものを投げるだけ。
実際、やや系統は異なるがほとんどは名刀よりそこらの鉄パイプの方がリカバリーが利くだろうし。そんなもの。

「アレかなぁ、ソシャゲでお目当てのキャラが当たらないとかかね」
「そんなもん? せっかく買ったんだけどなぁ……その教えてくれる相手はアイス好きか?」

好きとまで言わずとも嫌いではないと聞けば、じゃあ溶ける前に行くかと急かすことだろう。
まあ嫌いと言ったとしてもアイス食べながら向かうくらいの差しかしないが。
228匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/07(水)21:02:51 ID:zeb [9/18回]
>>227
「だからやる気次第って言ってんのさ」

振るう得物が名刀か鉄パイプになるかは本人次第。
力なき思いがどれだけ無意味かなんて持論を振りかざす気はないけれど。

「出るまで回せば当たるでしょ?何だったら天井ありのソシャゲやりゃあいい」

重課金兵の有り難いお言葉だッ!!

「そりゃアイスが嫌いな人間は居ないだろうけど、この炎天下で移動するとなると溶けない?」

ドライアイスでも入ってりゃいいけど、と青年。
そのまま歩き出す。向かう方角は…上矢学園の方?
229双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/07(水)21:15:04 ID:1d2 [9/17回]
>>228
「やる気なら無いよりはあるだろうよ、後は俺に合うか合わないかだけだ」

力が足りないことは承知の上だ。どれだけあれば足りるかなんてわからない。
あとは偉そうな話だが彼のやり方とその武術が合うか合わないかで決まるのは当然と言えるだろう。

「廃課金勢は怖いなぁ」

そこまで金に余裕を持てる覚えはなかったのであった。

「日陰と冷たい飲み物による相乗的なアレで大丈夫だろ、レッツゴー」

なおドライアイス入り。そこら辺は抜かりないのであった。

「……学校じゃね?」

向かって辿り着いた頃にはそう訊ねることでしょう。
230匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/07(水)21:19:06 ID:zeb [10/18回]
>>229
燕治の指摘通り、そこは上矢の学び舎。
その校門前で青年は立ち止まり頷く。

「そう学校。ハヤ姉は夏休み中―

ズガガン!と敷地内からけたたましい破砕音が響き渡る。
崩壊した旧校舎の瓦礫が崩れたのだろうか?
土煙らしきものがその辺りから上がっている。

「……派手にやってるなあ」

呆れる様な口調で青年がのんびり校門をくぐる。
231紫葉魅鳩◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/08/07(水)21:23:32 ID:MOL [1/2回]
「生徒会保管の備品。無断ではないが」、校外への持ち出し。俺でなきゃ、首が飛んでたな。……猫の花子ちゃんに今回だけは感謝だ」

上矢高校から自宅への帰り道。真の帰宅部を自称する男、紫葉魅鳩は太陽を睨みながら汗を流した。
彼がえっちらほっちらと引きずりながら歩いているのは、露天用の移動屋台。
上矢学園の所有物であるそれを彼は生徒会の立場を利用し、借用してしまっているのだ。職権濫用である。

「……頭の中でピーチクパーチクと鳥月がリフレインだ。暑くて暑くてパンダ先生に会いに行く気力もないし……」
「そこでもう一人の先生ってわけだ。……この大きな一人言が聞こえたらでておいで。飴ちゃんあげるよ……」

そうして道中、ぼそぼそと呟きを漏らす、不気味な男子高校生。
通報は待ったなしだろう。

/置きになりますが……
232双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/07(水)21:25:29 ID:1d2 [10/17回]
>>230
「夏休みってことは教師か何かで?」

学校ならば普通は生徒だろうが、匡美の年齢からそちらが近いと判断したらしい。

「あのさぁ……」

破砕音を耳にして呆れてる。
旧校舎に思い出がある訳じゃないが、思い出がある少女は居ると知ってるのですごい複雑そうだ。

「いくら崩壊したからって瓦礫吹き飛ばしとかしてたら手間かかるなんてもんじゃないだろうに」

さて、着いていった先で双葉が目にするものはなんだろうか。
233◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/07(水)21:32:48 ID:zeb [11/18回]
>>232
「うごあ…」
「ふぅ、だんだん容赦なくなってきたなあ、危険だぞ?」
「…気を付ける」

3年佐藤と名札に書かれたジャージを着た
中性的な顔つきの何処かに居そうな国籍不明の人間のように見えるソレが
瓦礫が撤去された地面にクレーターを作って大の字で倒れていた。
その淵でソレを見下ろしているのは非常勤体育講師園東寺である。

「派手にやってるなあ…」
「お、輝!お疲れ…そっちは誰だ?」
「んが…あれ?エンジか?」

呆れた感じで青年が講師に近寄る。
ソレは起き上がり先ず燕治に気が付いたようだった。
234双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/07(水)21:41:36 ID:1d2 [11/17回]
>>233
(クレーターの時点でもう俺の手に負える気がしてこないんだよなあ)

淵から覗き込みながらふと思って。
なんか見たことあるな、と倒れてる相手に思いつつ、非常勤講師にも同じ感想を抱く。

「…………ん、もしかしてお前ダミーか?」
「どうしたこんなところでクレーターまで作ってよ」

調子からなんとなく予感させたのか、よう、と手を挙げて。
そして何をしてたのか、と聞きたいためにそんな言い方をしているのであった。
235◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/07(水)21:50:58 ID:zeb [12/18回]
>>234
「ああ、今は佐藤先輩だな」

3年、と書かれた部分を強調するかのように見せるソレ。

「戦い方を学んでいた。ハヤテは凄いぞ、ヒトデナシの俺の動きを凌駕してる」
「いや、ダミーが単純な動きしかしないから先読みしてるだけな」
「加えて物凄い馬鹿力だ!突っ込んだ俺を一撃で叩きのめして出来た跡だぞ!」
「褒めてるの?貶してるの?どっちにせよ乙女的にはマイナスだかんね?」

「…うーん、これは紹介し辛い」

叩きのめされたのに楽しそうな佐藤ダミー。
ダミーの言葉に突っ込み入れまくりの園東寺。
そしてこの惨状から真面に教えてくれるのと前言撤回したい匡美。

「何だ?入部希望者連れてきたのかい?」
「そのつもりだったけど何この…何?」
「一人一人に合ったやり方で戦い方を教えている最中」
「これがあ?」
236双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/07(水)21:59:01 ID:1d2 [12/17回]
>>235
「悪いが俺は先輩と呼ぶべき相手でも先輩はつけない」

礼儀が酷いやつだ。

「ふむふむなるほどなるほど」
「単純な動きとはいえ人外の動きを把握しカウンターをかましその一撃がこのクレーターか」

「俺食らったらまた眠りそうな気がするんだが?」

匡美に対してちょっとしたジト片目を向けてる双葉。
流石の彼も受け流すとかガードできるならまだしも不意討ちレベルでそんなもの打ち込まれては特訓以前の問題だ。

「まずこの人の教え方って多分見て慣れろ盗め系だろ? 合う合わないの差が激しくね?」

何回叩きのめされるか分かったもんじゃないとばかりである。悲しい男だ、肉体鍛えてもまだまだ遠い領域を目にしてるのだから。
237◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/07(水)22:08:20 ID:zeb [13/18回]
>>236
「それはどうなんだエンジ。人間とは礼節を貴ぶものではないのか?」

ダミーはエンジのそういうところは理解できない。

「そうだね、これは僕も想定外…いや、ハヤ姉の戦闘力は知ってるけども」

ははは、と苦笑いする青年。

「いやそんな一昔前の職人みたいな…それが出来る奴にはするけどさ」
「あ、一応分別あった」
「失礼な…で、マジに強くなりたいんなら付き合うけど?何か注文多そうな子だからなあ?」
「双方第一印象で相手を悪く見すぎじゃない?」

燕治の振る舞いにいい印象はない園東寺。
正直どっちもどっちだよと言いたい匡美。

「まあ、フォローじゃないけどさ燕治君。
 別にクレーターを作る一撃に耐えろって話じゃない。
 と言うか肉体強化系か防御系の能力者じゃないと無理だし。
 学べるとしたら、その一撃を如何に避けるか、繰り出させないか、になると思う。
 それがお気に召さないなら僕も御免なさいと頭を下げるしかないや」
238ルクレティア◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/07(水)22:19:26 ID:DZo [6/7回]
>>231
視野の妨げられる曲がり角で、がらがらと車輪の音に足を止める。

「………………」

フリルの塊のような小さな生き物だった。
炎天下の中でも露出のごく少ない、色だけは涼やかなベビーブルーのワンピース。
日の光をよく反射する白の日傘もまたふんだんにレースをあしらって、それだけでも重量があるようにも見える。
さて、その中心にいる白肌の少女といえば。

「……何をしているんですか」

すごく、ものすごく冷めた声色であった。
警戒心も顕に半歩引いて、胡散臭いものを見る眼差しを隠そうともしない。
答えようによっては、他人のフリをしてそのまま何処へと逃げ去っていくこと間違いなしである。
239双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/07(水)22:19:28 ID:1d2 [13/17回]
>>237
「個人によるだろ。少なくとも憂子はちゃんとするだろうしな」

というか匡美に対しても砕けてるのだからその辺期待してもらえないのが正しいと見るべきか。
悲しいかな、そうしないと彼は少し自信が削れてしまうのだ。

「今更だけど結構抜けてるよな輝さん」

苦笑いする青年に対するわりと容赦ない指摘。

「注文が多いのは認めるぞ、余計な怪我増やして医者に疑われたくないし」
「いやいや、多分初見でこれ見てむしろ弟子にしてください! って頼めるのは結構な武術家くらいだろ」

注文は本当に多いらしいのでそっちは認めつつ、お互い見たタイミングが悪かったんだろうと認識した。

さてそちらからのフォローという名の教えには「いや」とまず告げて。

「それを学ばせてもらえるならお願いしたいところですね」
「耐えられないのは百も承知、じゃあ食らわないのが大事なのはよーく分かってる」

「ちなみに今の俺だと腕飛ばして接触箇所を少しでも減らすのが最善だと思ってます」

混ざる敬い、下手に出ようとしてるのか。
実際のところ、双葉としてその二つが学べるなら万々歳とのことらしい。
なお腕を飛ばすというのは能力のためとこの場で片腕を肘から外して表現。そこが他人よりアドバンテージと主張した。
240◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/07(水)22:27:23 ID:zeb [14/18回]
>>239
「それを言い訳にしていいのか?」

容赦ないのはダミーも一緒だった。
的確なる正論パンチ!

「はっはっは…言わないで。泣けてくるから」

実際ちょっと泣きたい青年。

「ふーむ…身体ばらす以外には出来ないのか?
 とりあえず何が出来るかだ。
 ばらせるったって微粒子レベルまで行けるわけじゃないだろ?」

と言う訳で先ずは座学となりそうである。
いきなり実践という訳には流石に。
241双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/07(水)22:36:57 ID:1d2 [14/17回]
>>240
「この場の過半数がダメと言ったらこの場だけ改善しようか」

まさかの多数決に逃げた! これは酷いやつだ。

「元気出せ、あんたはいい人だ」

自分で傷つけたくせに背中ポンポンで何とかしようとしてる男子。

「頭を縦に割る以外の分離なら大概はできるぞ、微粒子は無理だが輪切りくらいならなんとかなるし、浮遊もできる」
「足が地面に着いてりゃ足首から上を宙に浮かせることもできるし、まあ後は振り抜いてくるタイプの攻撃なら分離させてスカらせるくらいか」
「俺ができるのは身体を分離する。パーツに制限はなし、できるものならそれこそ瓦礫でもなんでも二つに分割できる」
「口頭で説明するのは中々難しいな」

自分では試さないこともある、そもそも発想がないこともあるのだ。
だからこそ相手からの思いつく行為も聞いてみたくて返答を待つことにした。
242◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/07(水)22:45:42 ID:zeb [15/18回]
>>241
「「「駄目」」」

燕治の不用意な発言が自らの首を絞める!
人間にあこがれる化け物。
一応講師。
秩序の象徴。
そりゃ礼節を弁えろと言うに決まっていた!!

「そりゃどーも」

良い人止まりの匡美君とはよく言われたもんである。
そんな過去絶対に自分から言い出さないけどな!

「んー……ん?なんだ、不意打ちで相手の身体を縦に割ってしまえば楽勝じゃないか」
「発想がエグイ」
「だけど事実だろ?普段から自分の身体を縦に割って生活している奴は少数だろうから、
 そんな慣れない状態で満足に戦える訳がない。
 後は、金属バットで相手の頭にフルスイングかましてやればいい。
 学生が持ってて一番怪しまれない良い武器だよな、金属バット」
「講師の言う事じゃない」
「そうすると如何不意を打つかだが…手品と一緒だ。
 左手で何か大げさなパフォーマンスをやっている間に後ろ手にした右手を飛ばす。
 それで相手に触れてしまえばいいんだからさ、正直物凄く強い能力だと思うぞ?」
243 : 志垣 仁 ◆</b></b>YUffmOEkuc<b>[sage] 投稿日:19/08/07(水)22:49:56 ID:7Ev [1/1回]
深夜の廃ビル。地上三階。建築途中で放棄されたそこは申し訳程度に封鎖されてはいるが、入ろうと思えば誰でも入れるだろう。
今まさに、その一室を不法に利用している一人の男の様に。

電灯もなく、がらんどうの窓枠から差し込む微かな夜景に照らされるのみの、陰鬱で暗い一室。
拳や蹴り足が空を切る鋭い音の響くそこでは、鍛えられた傷だらけの上体と、上腕から先を覆う白い義手風のカバーを露わにした志垣仁が、一人鍛錬に励んでいた。
火傷痕、銃痕、手術痕の残る痛々しい身体だが、それに対する痛苦の一切を感じていないかのように、黙々と彼は素早く拳を突き出す。


頭の中を満たすのは、以前の鏑木宗介との戦闘を始めとする、昨今の不穏に過ぎる情勢。
───こうなるのなら、初めて会ったあの時に殺しておくべきだったのか?可能性を見限って?
人が死に、騒動が起こる。世界と比べれば比較的平和とは言え、そんな事件は最早この街ではありふれた事。
超法規的措置の許され、犯人の殺害すら問われない対超人特殊部隊においても、彼はそんな事件を引き起こす犯人を殺すのではなく、無力化して連行する事を選んでいた。
恩人との会話がキッカケで、己に課した誓い。───手を汚したくないだけではないのか? 人で居るための最後の縁。───鬼畜共と相対して、人のままでいられると?

迷いを振り切ろうとするかのように、高射砲めいた下からの拳の乱打で持ち上げたメディシンボール。
精密なバランスが崩れ、アッパーカットじみて勢い良く打ち上がった右腕に、全身を持っていかれそうになるのを堪える。ボールは高く打ち上がり、天井にバウンドして戻ってきた。
地面に落ちる直前、叩きつける様なハイキックがボールの中程を捉えて蹴り飛ばし、狂ったかの様に室内を縦横無尽に跳ね回らせる。
肩で息して残心を終え、溜め息を零すと積んだ荷物の中からスポーツドリンクを引っ張り出して呷る。汗で濡れた髪を掻き上げれば、額の右側に付いた火傷痕が露わとなった。

「………何しとンねん、オレは」
244紫葉魅鳩◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/08/07(水)22:51:38 ID:MOL [2/2回]
>>238

曲がり角は要注意だ。飛び出してきたものを避けようとして、体をずらしても重い移動屋台はついてこない。
自分だけが重心をずらして転けるはめになる。曲がり角は慎重に。慎重に。

「……おおっ。ルクちゃ……レティア先生じゃないか。奇遇だな。これは奇遇だ。今日という良き日に、先生はおしゃれさんで、俺は学校帰り。奇遇もあるものだな。先生」

……ガラガラガラっと車輪の音が加速した。
移動屋台を引く男が後ずさったルクレティアにぐいと迫ったのだ。それは時既に見捨てられ案件かもしれないけれども。
言い訳がましいその口調も新たな疑念を呼ぶかもしれないけれど。
それでも、前回とは打って変わって、陰気な男は陰気なりにハツラツとしているようで

「先生は今日もおしゃれさんで元気そうだからな。日々の恩返しに飴ちゃんをあげよう。……りんごあめだ。ああ、それと……宗介さんとはお祭りにいったのかな」

屋台を止めて、それに背を預けながら向ける陰気な瞳に暗い笑み。
鏑木宗介の行方など知らず、何食わぬ顔で話題を振った。

「……質問に答えてなかったな。俺はりんごあめの屋台をルクレティア先生に届けにきたんだ。ついでに、アルバイト代わりに……盆踊りの会場でりんごあめを売ろうともしたりしたが……ついでだよ……ついで……本当」
245双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/07(水)22:57:58 ID:1d2 [15/17回]
>>242
「すいませんでした」

残念、ここで双葉のタメ口冒険は終わってしまった! よってこれより違和感あるかもしれない敬語モードである。

「そして優しくもあるんだから」

狙ってない。双葉は狙ってない。

「いやそれは無理無理、生物に使っても効く時と効かない時があるんですよ、相手が超人かどうかも別として」
「例えば確認した中では俺に敵意があるやつにはまず効かない、信用されてても効かない時がある、例えば輝さんに使っても割れるかどうかは五分五分」

そう言って双葉は匡美の背中に手を置こうとするだろう。もしも触れて能力が発動するなら匡美の身体は上半身と下半身で分かれて浮くことになる。
しかし意識はハッキリしてるし、死ぬということもない。そもそも発動しない可能性もあるし。

「それにまあ、距離も制限があってですね、飛ばせるのは……このくらいが限界」

上空3mに浮かぶ双葉の生首。見下ろす様子はどう見られるやら。
想像以上に彼の能力には制限が多いことがわかるだろう、自身でストッパーをかけてるとも見えるほどに。

「まあでも……試したことはなかったし機会が出来たら試してみますよ」

どこかで他人に対する行使は躊躇ってた節があるので、それを吹っ切るくらいにはなったようであった。
246◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/07(水)23:09:03 ID:zeb [16/18回]
>>245
「…」

青年は燕治の優しい発言に耐えているぞ!心が滅茶苦茶痛いが!!
そして耐えれてしまうのなら能力は発動しない。

「3mってところか…範囲としては十分すぎるくらいと思うんだが。
 生身が無理なら相手の服に限定するとかどうだ?」
「まさかのセクハラ攻撃」
「それか地面。即席の落とし穴を作れそうなもんだが、どうなんだ?
 予め用意した硫酸や液体窒素を溜めた容器を割るってのは?」
「また発想が物騒に」
247双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/07(水)23:16:42 ID:1d2 [16/17回]
>>246
やっぱり、と不発に終わった能力に肩を竦めた。こういった能力は他人に対してやけに働かないのは……なぜだろうね。

「それに真面目に反応してくれる相手ならチャンスでしょうけど、例えばハヤ姉さん? はどうなんです?」

「地面は結構場所によるんですよね、例えばアスファルトだとアスファルトが剥げるだけとか」
「落とし穴にするにはそもそも穴作るために外す部分も大きくなるのが欠点かと。てか硫酸や液体窒素持ってるならそれこそ触れられる距離で割った方が良いような」

学生に入手できるのか、という疑問はある危険物。
発想が物騒なことにはもう突っ込まないのは大体わかったからだろう。それでも再認識するという形で色々わかることも出てこないことはないが。

「ああ、前に輝さんから人間でありえない動きすると油断誘える、みたいなこと言われたのでそれ試したら勝つことは出来ましたね」

普通の人間は首が落ちたら死ぬ。だが双葉はそれを偽装できる都合上、そういった方面が向いてるかもしれないことが伝わるだろうか。
248ルクレティア◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/07(水)23:25:01 ID:DZo [7/7回]
>>244
「……紫葉さんはいつもその屋台で学校に行くんですね」

解けない警戒、ますます募る猜疑。完全に不審者と遭遇したそれである。
迫られるのに合わせてにじりにじりと後退、一定の距離を保っていたが思いもよらぬ答えに足を止めた。

「りんご飴、ですか?これで?……わざわざありがとうございます。覚えていたんですね」

胡乱なものを見る目つきはほんの少し和らいで、深緑の瞳が仄かな期待の光を灯す。
間近で見る移動屋台を興味深そうにまじまじと眺めていたが、いずれ来たると分かっていた話題が振られれば。

「……いえ、わたしはお祭りに行かなかったので」

ゆるりと首を横に振って、屋台の方に好奇を向けているフリをして顔を逸らす。
日傘の柄を握る手に知らず力が入る。つと伏せた視線に潜めた哀惜を自分だけの日陰に隠した。

「それよりもこっちです。わたしがついででも構いませんから、早く作ってください」
「働くのは大事ですから。日が暮れて人が多くなる前に売り出した方がいいでしょう?」

さも楽しみにしていたとでも言いたげな口振りらその実、話題の転換が目的なのだが。
なんだか不遜な物言いもそれに拍車をかけているような、何かを誤魔化すようにくるくると日傘を回転させた。
249◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/07(水)23:31:16 ID:zeb [17/18回]
>>247
「乙女になんて事を良い度胸だそのまま死ね、という感じにボコる」
「乙女とは」

言い出しっぺがこの通り。
ただ時と相手によっては有効なのは間違いなく。

「不意打ちってのは意表がつけるから成功するんだ。
 予測できる攻撃は避けられる攻撃に等しい。
 じゃあ先ずは避けれる環境を無くしましょうって話になるのさ。
 一応自分の特性がトラップ系なのは理解できてるみたいだな?
 身体を分離できると言うよりは物体を分割できる、その方面で戦法を組み立てた方が良い。
 ただ相手の動きも予想しないと駄目だぞ?
 さっきの液体容器の話になるが、投げつけたソレをどの手法でどの距離でどう対処するのか、
 これを明確にするだけでその後の対処なんか無数に変わるんだからな」
250双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/07(水)23:41:08 ID:1d2 [17/17回]
>>249
「乙女とは一体」 

乙女はそれこそ動けないのではないかと。まあ、相手を選べと言うことだろう多分。

「避けられる環境なぁ……俺の首を絞めない程度にしないとダメですねこれは」
「まず持ってる前提からになるのか、もし当てるなら……予め能力行使圏内にして対処される前に割って中身拡散?」
「まあ確かに今までほとんど自分の身体ばっかで地形使ったのなんてここ最近だけだから目からウロコだ」

そしてそれらすべてを理解したその上で重要なところ。
能力を使う環境が常に理想的であると限らないことは恐らく相手も、匡美もダミーも遭遇したことがあるだろう。だからこそ。

「もしも都合よく分割できそうなものが見当たらない時は?」

その場で自分以外を使えない場合はどうすればいいのかと。
251◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/07(水)23:57:41 ID:zeb [18/18回]
>>250
「今から当然の事を言う。
 しかしそれは滅茶苦茶大事な事だ。
 いいか?先ず戦うなら準備が万全でなけりゃあならない。
 不意の戦闘は全力で避けろ。
 引くに引けない状況だ?その時は、そうなったお前の迂闊さを呪って死ね。
 それくらい準備は大事だ、戦いを日常の傍らに置くなら常日頃から準備を怠るな。
 自分以外を使えない状況。そんな状況に陥る事が既に敗北だ」

「人間は道具を使う生き物だ。なんで徒手空拳で戦う気でいる?正気の沙汰じゃない。
 そもそもな?用意するアイテムも別に硫酸やら液体窒素みたいな
 あからさまに危険で入手難易度が学生には高いものを選ぶ必要はない。
 如何に超人的なフェィジカルを持っていようが結局人間である事は超えられない。
 タバスコ眼球にぶちまけてやれ、シュールストレミング鼻っ面に叩き付けてみろ。
 爆音を鳴り響かせるのも有効だな?
 正直精神力で耐えれるもんじゃないぞ『強烈な刺激』ってやつは。
 だからこそ護身用の道具にだってなってるんだからさ」
 
「何も直接肉体を破壊するだけが戦いじゃあないんだ。
 トラップ系の能力者に求められるのは奇抜さだ。
 強化系に比べ頭を使わなきゃならないが、それだからこそ他の連中の発想外から攻撃が通せる。
 敵を知り己を知れ、難易度は高いぞ、だが決まれば一番怪我が少ない戦い方だ。
 如何にもフェィジカルに頼る連中は生傷作るからな」
252双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/08(木)00:16:24 ID:njG [1/3回]
>>251
(…………その敗北からどうにかするために聞きたかったんだが正論は正論だから何も言えねえ)

「…………一気に立て並べられても色々限度はあるがまあ内容はわかっ、わかりました」
「とりあえず刺激物用意しとけ、と。まともに戦うなと。そこはよく理解しましたと」
「……つまり、自力じゃどうしようもないことを知れと。生傷作ってるやつに言うことじゃないと思うんだが」

今までの自分を否定されてる気分なので少し反感も出てきたが自分から聞いた助言だ、仕方無いとするしかない。
思いつく刺激物、そもそもそれを命中させる技量を同時に必要とされてるわけだが、まあその辺りは能力を使って偽装しようと考えた。
アイス溶け始め五秒前故に考えついでに明け渡し。

「準備が全部通用するとも限らないし、使わせてもらえる状況かはまあ別として、参考にします」
「御教授ありがとうございました」

礼はしっかり。どのみちやることがやることだ、理想的、もしくは自身の思い通りにいくとも限らないだろうとして。
隠しきれてない反感は目に宿したまま頭を下げていた。……まあひっぱたかれても仕方無いところはあるが。

(とりあえず唐辛子でも買っとくか)


253◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/08(木)00:30:55 ID:dra [1/2回]
>>252
「今のままじゃ自分しか利用できない状況を打破するには何もかもが足りてない。
 鍛錬は常日頃からしておくべきだし、戦いそのものにも慣れ親しんでないと無理が過ぎる。
 だがそんな生活を送っている奴は最早社会人としてどうなのって事にもなるんだけどな」

戦いに身を置くのを常としている訳でもない学生に
深刻さをどれほど言って聞かせたところで実感として受け入れられない。
それが分かっているから反感に気づいたところでそれを指摘することはない。

突き放した言い方をすればそれに気づいた時にはもう遅いのだし、自己責任だ。

「満足できたんならそれで良いさ。
 こっちとしては佐藤あたりと毎日実戦訓練した方がいいんじゃねえのと思うけど。
 選ぶのはお前で決めるのもお前だ」
254双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/08(木)00:37:40 ID:njG [2/3回]
>>253
「肉体鍛えるのは常にしてるぞ、お陰でこの通り」

最近は入院を挟んだとはいえ、純粋な筋力トレーニングはしているようだ。
そのため、彼の身体能力自体は一般よりは高いだろう。……蹴り一発で痕を残したり、自分より大きい相手を叩きつけられるくらいには。
戦いに慣れ親しむ、というのはあまり理解したくないことらしいが。

(ああダミーって今佐藤ってことになってんのか)
「……実戦自体はともかく毎日だと変な癖付きそうなんで毎日は遠慮する」
「……今から少し、やるか?」


//もし訓練することになっても飛ばしてしまって大丈夫なので……っ
255◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/08(木)00:45:22 ID:dra [2/2回]
>>254
「ん、俺は構わないぞ?」

大人しく園東寺の講義を聞いていた、ように見えて右から左だったソレ。
燕治の提案は大歓迎だ。身体を動かすことは楽しい。

「あ、佐藤は手加減知らないからやばいと思ったら寸止めしてやる。双方気にせず全力でやるといい」

具体的にはコンバットナイフ並の爪が飛んで来たり、瓦礫程度なら容易く切り裂いたりする。
加えて軽トラ並みの衝突力を備えているフィジカルモンスターな佐藤ダミー。
人間単体で相手にすべきスペックか非常に疑問だ。

「よし!やろうエンジ!!」

こうして模擬戦は始まったのだった。

//キリもいいので〆にします 偉そうな講釈を垂れましたがご容赦を お疲れさまでした
256 : 双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/08(木)00:55:36 ID:njG [3/3回]
>>255
「よくもまあ叩きつけられた後で言えるな」

誘っておいてなんだが元気が有り余ってるというだけでは説明つかないような元気さ。

「手加減覚えさせてから出来れば言ってほしかったよ」

そりゃ模擬戦とはいえ殺す気で戦わなければアレなこともあるだろうが他人にけしかける前に教えることもあるだろうと。

「OK、だが入院の二度手間はやめてくれると助かる――――」

流石に双葉もそんな衝突力に耐える自信はないので突進に関してはガチ回避をしたことだろう。
ツメ攻撃も分離でギリギリ回避するとか、反撃できてるか怪しいレベルだったが単純と言われたダミーの攻撃なら回避くらいは出来ただろうか。


終わった後は、滅茶苦茶疲れた様子で帰路についたことだろう。

//いえいえー、こちらこそありがとうございました。お疲れさまでしたっ
257紫葉魅鳩◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/08/08(木)11:58:46 ID:ocQ [1/3回]
>>248

「まぁ、俺ほどの男になれば、これくらいの装飾品でもないとな……。物足りなくて学校にもいけないんだ」

向けられる懐疑の目にもめげずに魅鳩は嬉嬉として目を細める。
ルクレティアは大人びた雰囲気とは相反して社会常識には年相応……あるいはそれ以下の疎い反応を示すことがある。
その分水嶺のぎりぎりを攻めてルクレティアを茶化すのがこの状況の彼なりの楽しみかただ。

「……なんだ。いかなかったのか。宗介さんなら絶対連れ回すと思ったが。まぁ、俺の方は、ルクレティア先生の助言のおかげでな。友達とも楽しく遊べたが……」

「……ん。なんだかんだ、先生もりんごあめを楽しみにしてたのか? 」

そうして茶化しを入れつつも、あまりにも好感触な手応えに若干の違和感を覚えた。
勤勉と取ればそれの態度のいわかんは拭えるものかもしれないが、素直にリンゴ飴の期待を顕にするような少女であったか。

(すごくすごく……楽しみにしてたというわけか……。クク……。悪いな宗介さん。ルクレティア先生にリンゴ飴を先出しするのはどうやら俺らしい……)

「そういえば、俺は、先生との約束を反故にして、一回……、遠くに行こうとしたんだよな。それを謝らなきゃいけない……」
「忘れてはなかったんだが、ルクレティア先生との約束も本当についでではなかったんだが……。あの……あれ……ごめんな」

屋台をからからと引きながら、盆踊り会場に向かう最中。
彼は彼女に謝罪した。遠くへ行く。というのは、先の戦いや見知らぬ場所で仲間を失った彼女ならば本当の意味を見抜くだろうか。
あるいは生きる世界が違うと思われているからこそ、文字通りに取られるか。

「……宗介さんも先生もなんだかんだ、連絡先とか、普段何してるかとか、知らないんだもんな。ミステリアスってやつだ。……少しかっこいい」

//本日もよろしくお願いします……!
258ルクレティア◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/08(木)13:02:47 ID:0xo [1/8回]
>>257
ふん、と小さく鼻を鳴らしてなにを馬鹿なことを、とでも言いたげに。
揶揄われていると分かっていてもそれを上手く躱せるほどに熟れてはいないから、無言でもって受け流しているつもりなのだが。
明瞭な反応こそが楽しみを供給しているとまでは、おそらく気が回っていないのだろう。

「……別に、そういう訳ではありません。ただ、せっかく用意していただいたので」

本心の所在はともかくとして、誤魔化すためとはいえこうして期待をあからさまにするのは彼女の性分ではない。
故に相手の世話焼きを言い訳にしてふいと顔を背ける様は、むしろ逆効果なのかもしれないけれど。
しかし神妙な語り口を耳にすれば、気恥ずかしさも忘れて訝しげに日陰から見上げた。

「…………駄目です」
「それは駄目です。約束をしたまま遠くに行ってしまうのは……もう、嫌なんです」

小さくも暗い影を路面に落とし、ちょこちょこと隣をついて歩きながら。
一つ一つの言葉をゆっくりと選ぶ。少し、不安そうに目が泳いだ。
一度口を閉ざして、数秒の逡巡の間。努めて平静を装う淡々とした、けれど微かに言葉尻の震える声。

「……宗介さんも、遠くに行ってしまいましたから」

物理的な意味か、あるいは比喩的な意味か。どう捉えたか、どう捉えられたかを知ろうとも伺わせようともせず。
去来してしまった感傷を強引に断ち切るかのように、すぐに顔を正面へと向けた。日傘の下で縮こまる体を、光を遮るフリルで覆い隠して。

「聞いても教えませんよ。わたしだって、紫葉さんが何をしているのかよく知らないんですから」
「……教えてもらっても、わたしは話しませんが」

くるりくるり、日傘が回れば影も踊る。陰と日向が世界の境界を象っているようで。
黙秘に頑なな意思があるのは明白だ、人の増えつつある通りでようやく掴んだ柄を弄ぶのを止めた。
259魅鳩◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/08/08(木)14:16:52 ID:36n [1/1回]
>>258

ルクレティアの素っ気ない態度は、やはり魅鳩からしてみれば心地好い反応で
その感情は不興を買うのを承知の上でペットやそれらをこねくりまわす意地悪にも近い。
少し年の離れた可愛らしい少女をいじって遊ぶというのは倫理的にペット以上に許されないことではあるけれども…

「先生は、ちびっこと同級生の絶妙なラインにいるから、いいな。話してて楽というか……、癒されるっていうのか……」
「異性に癒されるなんていうやつが、ルクレティア先生の前に、いつか現れたとしたら……、俺としてはそいつと関わらないことを進めたいわけだが」

自分勝手に彼女をつつきまわし、身勝手な感想を述べて、理不尽な進言を押し付けて
くだらないやりとりを楽しむも、やはり唐突の謝罪に空気は重くなった。少なくとも彼女の雰囲気だけではそこまでしか感じられなかったのだが。

「……そうだよな。わかってたのにな。俺も……ごめんなさい」
「……大丈夫か。ルクレティア先生は」

消えてはいけない。宗介も遠くへいった。
それは比喩なのだろうか。文字通りに転勤でもしてしまったのか。
自分が仕掛けた遠回しな言葉が跳ね返ってくるのを感じた。
ルクレティアの年齢で仲のよかったであろう、兄のような……かはわからないが
そんな男を無くして、こうも平然としていられるのだろうか。
少なくとも、自分は耐えられそうにない。彼に二度と会えないなど。

続いた彼女の黙秘の意志に、少し眉を顰めて、悲しそうな、あるいはいつものような陰気とも取れる表情で無言のままに彼は歩いた。
やがて辿り着くのは住宅街から少しだけ歩いた所にある大きめの公園。
中央に櫓の建てられた盆踊り会場である。

「……俺はただの高校生だよ。友達がゾンビになったり、友達が鳥籠のなかにいたり、元相棒が、秘密結社フリーメーソンに所属してるくらいのさ」

そこでようやく彼は再び口を開いた。
いつもの適当な言葉を吐くようなノリで真偽を織り交ぜて語って

「何をしてるのかは知らないけど、危ないことはしないでほしいな。……というかシンプルに元気でいてほしい」
「宗介さんもだ。それでいつか、大人になって、本当に先生になったり、宗介さんと旅に出たり、そんな話が、聞きたいな」

追って語るは、願望と未来の話。
彼女がいま何者なのかは差し置いても、語ることの出来ない立場にいても
平穏無事に、大人になってほしいという願望。

「リンゴ飴一個は前回の約束分。二つ目も作ろう。両手にリンゴ飴。それで、これを約束にするのはどうだ。小さくて可愛いルクレティア先生から、いつか、大人でかっこいいルクレティア先生になるってのは……」

そんな遠くの約束をしても、自分たちはいつか、運命的で悲劇的な別れを経ずとも
自然に消えるように会うことも無くなるかもしれないけれど
夢見がちな男は陰気な笑みで、準備をしながら問いかけた
260ルクレティア◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/08(木)15:14:00 ID:0xo [2/8回]
>>259
「……いえ、お気になさらず。もう大丈夫ですから」

その平坦な言葉が、嘘か真かは不明瞭であったが。
少なくとも真実であると見せかけたがっているのは、慣れない作り笑いが如実に示していた。
日傘で見えないように息を詰める。一度は小さな体いっぱいに詰めこんだ寂寞が、すぐに揮発してくれるはずはないというのに。
人前ではこうして気丈に振る舞って、弱みをひた隠しにするより他にないのだ。
太陽が地平に近づいて、空が朱を呈し始める頃。目的地の公園に辿り着くまで、彼女から口を開くこともなく。
不意の自分語りに、どこか驚いたようにやおら魅鳩の顔を見上げた。

「ふふっ……随分と愉快な交友関係をお持ちなんですね」

それは少し困ったような含みも持っていたが、先のような作ったものではなく自然に零れた微笑み。
沈黙の合間に引きずっていた重たい話題がようやく入れ替わったのもその一因なのだろう、横から射す斜陽に目を細めた。
けれどいつか来たる未来の展望を語るには、密やかな事情は少々重荷が過ぎる。
窮したように眉尻を下げて、つと視線を伏せれば深緑に影が落ちた。

「……それは……ごめんなさい。約束は出来かねます」

逃げの返答。どうしようもない居心地の悪さに目を伏せたまま、素気なく首を横に振る。
嘘をつくのは簡単だ。どうせ互いにいつ出会うかも分からない身、確約のない約束を交わしたところでその結実を知り得る保証だってない。
適当にやり過ごすことだってできたのに、そうしなかったのは。例え嘘ばかりだとしても、そこだけは誠実であろうとしたからなのかもしれなかった。

「大人になれるかは分かりませんが……またお会いする事であれば、きっと約束します。明日でも来週でも、来年になってしまっても」

それまでちゃんと、生きていられるかは分からないけれど。
しっかりと目を合わせて、違える気はないと目線で語る。
夜が迫って人も増えたからだろうか、喧騒を厭うようにそわと落ち着かなさそうに身じろぎをした。
261フー◆</b></b>ARTs7Q6pII<b>[] 投稿日:19/08/08(木)15:32:05 ID:EeB [1/5回]

この時期、昼時の屋上には人がいない。
扉を開けると日差しが肌を焼いた、朧な両手で太陽を透かして眺め視線を細める。
購買のおばさんが無料でくれた賞味期限ギリギリの菓子パンセットを手に給水塔へと昇った。

屋上に設置された打ち水用のスプリンクラーが、小さな噴水の様に床を濡らし続けている。
クッション代わりに学生鞄を尻に敷く、怒られそうな光景。

「……静か」

校庭を見下ろしても人は僅かにしかいない。
夏休みと猛暑の相乗効果だ。

「寂し……」

悪戯を仕掛ける相手も見かけないのだ。
人恋しさは呟きとなって零れた。

一人、給水塔の上で菓子パンを頬張る、冷たい牛乳を飲む。
262紫葉魅鳩◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[sage] 投稿日:19/08/08(木)16:31:02 ID:ocQ [2/3回]
>>260

「愉快だし、みんないい人だ。ルクレティア先生も、宗介さんも。みんなな」
「俺みたいな奴でも楽しくやれてる。高校生は、楽しいぞ」

屋台の底から取り出したガスコンロに火をかけて、鍋に水や砂糖を放っていく。
空は段々と赤みを帯びる。あたりに人集りができる時間も近い。
人混み嫌いの彼女のためにも手早く作業を進めなければ……
そんなくだらない思考で、一旦は彼女の言葉を流してみせたが。
ふつふつと煮立つ鍋底の砂糖水を眺めながら改めて口を開く。

「……守れない約束はしないってことか。ルクレティア先生は、大人だな。やっぱり、俺より、よっぽどに」

「じゃぁ、俺は、先生が大人になるまで、しつこく会う約束を取り付けるか……大ファンか……俺は」

彼女のそわそわした様子も目に付いて
彼はパパっとどこでもポケットじみた屋台底からリンゴやらおたまやらパットを取り出し
手早くリンゴに飴を掛けていく。日差しの中とはいえ、適当に飴は固まるだろうとあめのように甘い考えで。


「先生はお利口さんだから、まぁ、寂しくなったら、悲しくなったら、話くらいは、俺でも聴ける…」
「宗介さんみたいにかっこよくないし、先生みたいに聞き上手じゃないが。……何にもできないな……。まぁ、とにかく……聞くから」
「……都合の悪いこととか、やばい失敗をしても、隠したり、逃げたりする手伝いもするしな。正義の味方でもないし…」

「だから、まぁ、会うたびに、俺が何か出来そうだったら、いうだけいってみるといい」
「今回は……これが限界。……魅鳩おじさまだ」

そういって、彼は二本のリンゴ飴をトレイ的な物からバリッと引き剥がして差し出すのだ。
本日の別れも近いと読んでの餞別のように
263ルクレティア◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/08(木)17:38:03 ID:0xo [3/8回]
>>262
一番星が天蓋に灯って、蜘蛛の巣のように張り巡らされた朧な提灯がぱちぱちと公園を照らし始める。
橙に移ろい始めた景観、ようやく日傘を閉じて所在なげに彷徨う視線。
結局賑わいつつある周囲に気圧されるようにして、りんご飴が形作られていく様を眺めるのに落ち着いた。

「破ってしまうよりはいいでしょう?大人だとか、そういうのは関係ありません」
「……毎回約束出来るかどうかは、分かりませんが」

少しだけ申し訳なさそうに目を伏せて、それでも善処はすると言外に。
仄甘い香りに鼻腔を擽られて擡げた興味が、観察する眼差しに分かりやすく揺れる。

「……紫葉さんに聞いてもらって、どうにかなるとは思いませんけど」

突き放すような、それでいて微かに微笑みを湛えた、珍しく冗談っぽい響き。
日傘を腕にかけて二本のりんご飴を受け取る。大きなルビーの輝きに、ほんのりと目をぱちくりとさせて驚嘆を示す。
おそるおそる片方に口をつけて、透き通る赤をちろりと舐める。滅多な味わいに頬こそ緩めなかったものの、表情が幾分か和らいだようで。
おもむろに、手付かずの方を差し出した。

「では、一つだけ約束してください。お友達を置いて、勝手にどこかへ行かないと。これを守ってくれるなら、きっとまた会えます」
「……あまり周りを困らせるのは、いけませんから」

友達の中に自分を含んでいるつもりは、おそらく更々ないのだろうけれど。
約定の証の授受の如何に拘らず、慎ましやかに一礼を手向けるのだろう。

「りんご飴、ありがとうございました。アルバイト、頑張ってください」

混じりけのない字面通りの言葉を最後に、いよいよ混みあい始めた群衆の中に小さな体躯を溶けこませる。
どこかで鳴った祭囃子には目もくれず、篝火めいた紅玉を片手に早々に人影の少ない薄ら通りへ消え去った。

//この辺りで〆でよろしいでしょうか
//お付き合いありがとうございました、お疲れ様でした
264小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/08(木)20:33:21 ID:0xo [4/8回]
>>261
ばたん、と。蹴破らんばかりの勢いで、事実足蹴によって屋上の扉が開かれた。

「はー、あっついなぁ……」

制服なのは夏休みとはいえ学内であるからだろう、頸を伝う汗をそよ風が撫でた。
濡れた床をお構いなしに踏み歩いて、フェンスに取りつき眼下を見晴らす。
酷暑の原因である太陽を嫌って視線は下ばかりだから、やはり給水塔の上に意識は向かないまま。

「I am falling, ――」

夏休みに他の誰かがいるとは思わないから、仄暗い歌は屋上によく響く。
涼やかな水音を伴奏にしていつかと同じように旋律を口ずさむ姿は、どこか上の空のようでもあった。
265フー◆</b></b>ARTs7Q6pII<b>[] 投稿日:19/08/08(木)21:05:13 ID:EeB [2/5回]
>>264

静けさは唐突に破られ、驚きのせいで給水塔から転がり落ちそうになるのをなんとか堪える。
歌声に耳を擽られて、人恋しさと寂しさはすぐに悪戯心に生まれ変わった。

菓子パンの袋を後ろ手に、朧な両足でふわりと音もなく給水塔から床へと降り立つ。

「……ねぇ、ねぇ」

背後に近付いての呼びかけと、差し出す人差し指は。
今のフーの記憶には無い、いつかの風景に酷似している。

//遅くなりましたー宜しくお願いします!
266小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/08(木)21:29:20 ID:0xo [5/8回]
>>265
学習能力が皆無というわけではないのだが、過去と今では状況が全くもって異なる。
学校に来る必要のない夏休みに、ましてや何かあるでもない屋上で不意に声をかけられれば。

「Help me to breathe ――っ!?」

玉響の歌が途切れるタイミングは奇しくも同じ、心ここにあらずであれば希薄な気配は事前に察するのも難しい。
振り返りざまの肘鉄砲が炸裂しようとして、寸でのところでぴたりと止まった。

「――おぐうっ」

それよりも先に、なかなかの勢いで頬に人差し指が突き刺さったせいだ。
二度目のじんじんと響く痛みに眉を寄せ、ほんのりと赤くなった頬に手を添える。

「…………何してんのさフーくん、こんなトコで」

悪戯を咎めるような目つき、けれども口元の笑みは隠しきれていない。
二度も同じ手口でやられた悔しさというよりも、戯れにつられた喜色が正しいか。
自分のことがすっぽりと記憶から抜け落ちているとは思いもよらず、苦笑を伴ってフェンスに背を預けた。
267フー◆</b></b>ARTs7Q6pII<b>[] 投稿日:19/08/08(木)21:51:44 ID:EeB [3/5回]
>>266

「あは」

悪戯が成功すれば、浮かべるのは無邪気な笑顔。
白い歯を見せて指を引っ込める。

「何をしてたのか……んー、購買のおばちゃんにパン貰ったから、食べてた」

名前を知っている、何処かで会った事があるということだ。
分かる事はそれだけ、視線を僅かに逸らして、記憶を探る。

「食べる?一人じゃ食べきれなくって」

後ろ手にしていた菓子パンの袋を差し出した、小さな菓子パンが詰め込まれている。

「あは、さっきの、綺麗な歌だったね。
 ……君は、ここに何をしに来たの?」
268小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/08(木)22:15:59 ID:0xo [6/8回]
>>267
「いやいや、そういう意味じゃないんだけど……ああそっか、ずっとここにいるって言ってたっけ」

理解と納得は似て非なるものだ、合点がいったように緩慢と相槌をうったが。
殊更に湧き出る疑問を、わざとらしさを含んだ呆れのため息で押し殺した。

「お、いーの?んじゃ遠慮なくっ」

貰い物と知れば呵責はない、言葉通り不躾に袋に手を突っ込んで一つつまむ。
食前の挨拶を早口で唱えて、かじりつきながらも視線はフーから離れない。
薄ら笑いこそ浮かべていたがその問いを聞いたならば、いよいよもって懐疑が胸を掠めて蠢く。

「そうだった?ありがと!聞かれてると思わなかったから恥ずかしいなぁ」
「あたしは高いトコに来たかっただけ。好きなんだよね、こうやって景色を見てるの」

それにいざとなった時にすぐに動ける、とはわざわざ口にはしないが。
それ以上に、類似した状況は一度目ではないはずだというのに。まるで初の邂逅のような言葉の選び方が、違和感となって心中に烟る。
その蟠りを吐き出すような、揶揄の調子で悪戯っぽく模索の問いを投げた。

「……名前で呼んでくれないんだ?」
269フー◆</b></b>ARTs7Q6pII<b>[] 投稿日:19/08/08(木)22:40:19 ID:EeB [4/5回]
>>268

「あは、賞味期限がギリギリだから……って、タダで沢山くれたんだ」

菓子パンに齧りつく姿に頬を綻ばせて、自分もその内の一つを摘み上げる。

「ん……名前、か」

摘み上げたそれを頬張りながら目を閉じる。
記憶の濁流、絶えず流れ続ける大河の中から、どうにか情報を探ろうとして。

その時、何かが岸辺に引っかかった。

「あ……」

それは、ついこの前の出来事の記憶。
大切な友達を悲しませてしまった事、そして、そんな友達が自分を受け入れてくれた記憶。
……受け入れられた時の、喜びの記憶。

「……うん、ごめんね」

目を閉じたまま、呟いた。

「呼ばないんじゃなくて、呼べないんだ。
 僕は、君の事を覚えていないから」

こんな事を言ってしまえば、拒絶されるかもしれない。
軽蔑されるかもしれない。
……だが、受け入れられるかもしれない。
ほんの一瞬かもしれない、だがそれでも岸辺に引っかかった大切な記憶が、フーにある種の『賭け』をさせた。

「『今の僕』は、君とは初めましてだよ。
 記憶が移り変わっているんだ、絶え間なく」
270 : 紫葉魅鳩◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/08/08(木)22:51:30 ID:ocQ [3/3回]
>>263

「まぁ、いや、そうかな…。そうなんだろうな。嘘をつかないのは、美徳だと思う」

守れない約束はしない。約束を破るよりはいい。
こんなにも幼い、可愛らしい少女が、この日本で大人になるまで生きて欲しいだなんて平凡な願いにも確約は出来ないと応える。
駄々を捏ねても彼女を困らせるだけで、彼女なりの事情があるだろうから問い詰めても意味は無いのだろうというのは経験から学んだことか。

固形化しつつある砂糖水を眺めながら溜息を吐いて
それでも彼女の意地悪な、和やかとも取れる雰囲気には頬を緩めた。

「……クク。まぁ、な。俺に話しても、本当になににもならない。イカれたお茶会の帽子屋さんよろしく『なにもない』ことをありがたがるとか、どうだろうか……。なんてな」

戯言混じりに差し出された飴を受け取って、彼女の欲求に視線を返す。
辺りは人で溢れてきた。この飴を食べ終える頃には本格的に売り出してしまおうか。
一日限りとはいえ、ちょっとした、稼ぎの見込める人混みだから。

「……その約束をちゃんと守れたら、俺は先生とも友達になりたいな。……今の関係がなんなのかはわからないが。先生にも友達って読んでもらえるような、さ……」
「ちゃんと約束は守るから。いや、守れたら、また会えたら。……次の次の、次の次の次とかでもいいからさ」

そんな言葉を最後に彼もまたルクレティアの礼に手を振って彼女を見送るのだった。

//遅れてすみません! 雑なフリの待ちに付き合っていたどいてありがとうございました! 楽しかったです……!
271小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/08(木)23:12:18 ID:0xo [7/8回]
>>269
菓子パンを行儀悪く咥えて口を塞いで、瞼を閉じて思索に耽る姿をじっと捉えて離さない。
いつの間にかひそめた笑み、空いた両手で無為に掴んだフェンスがぎしりと鳴いた。
独白を終えた少しの静寂の間、器用に手を使わず菓子パンを口内に収めて飲み下してから、ようやく顕にした明確な反応はというと。

「なるほどねぇ。すっごい納得した」
「謝らなくていいよぅ、そりゃちょっとはびっくりしたけど?ま、そんな事もあるでしょ」

その手応えが賭けの成果のどちらを示すのかは不明であるが、そんなことは知ったことではないとばかりに。
あまりにあっけらかんとした返答。刹那を愛する彼女が過去の忘却を論うことはない、うんうんと何度も頷いて。
浮かべるのは失望や侮蔑といった感情からは程遠い、屈託のない笑みであった。

「あたしの事もだけどさ。変わった名前とかずっと学校にいるとか、そういうのも全部覚えてないからなんでしょ?」
「この前も急にどっか行っちゃうから焦ったけど、もしかしてその時にもう忘れられちゃってたのかな」

記憶から自分が棄却されているというのに、客観的が過ぎる考察を楽しげに唄う。
なるほどなるほど、と積もり重なった疑念の解消ばかりの言動だったが、はたと気がついたように手を打った。

「あたし、小鳥居すずめ。センパイでもすずめちゃんでもスズでも、好きなように呼んでいーよ」

二度目であるが初めての自己紹介は唐突で、けれど人物を結びつけるには最も重要な要素。
灼熱の太陽に照らされて汗が頸を伝っても、晴れやかな笑顔は絶えないままであった。
272フー◆</b></b>ARTs7Q6pII<b>[] 投稿日:19/08/08(木)23:30:17 ID:EeB [5/5回]
>>271

「……」

まるで変わらない明るい振舞い、目が思わず、ほんの少し丸くなる。

「……驚かないんだね?」

こうまであっさり受け入れられるのは流石に予想外だったが故に、調子が外されたとでも言う様に頭を掻いた。
それでも、次に浮かぶのは嬉しそうな微笑みだ。
受け入れられることは、本当に嬉しいことだと。

「うん、でも謝る、忘れていてごめんなさい。
 本当の名前も、自分が何処から来たのかも……いつから生きてるのかも、僕には分からないんだ。
 ……あは、前の僕は逃げ出したの?駄目だね……どうにも怖くて」

僅かな後ろめたさと共に俯きかけて。
続く言葉にまた顔を上げた、名前、自己紹介。

「……初めまして、それじゃあ、すずちゃん。
 僕はフー、自分が誰なのかも分からない、学園七不思議のフー。
 ……よろしく」

初めてではない自己紹介を、初めましてという言葉と共に。
目を細めて、歯を見せて、出来る限りの明るい笑顔。

「あは、今日は暑い日なのに、なんだか心まで暖かくなってきたよ……少し涼しくしないとね」

近くのスプリンクラーに歩み寄って、水量を操るスイッチに手をかける。
勢いを増した水滴が肌を濡らして、それはすずめの方まで飛び散るだろうか。
振り返る、くすくすと笑い声が漏れた。
273小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/08(木)23:59:37 ID:0xo [8/8回]
>>272
「びっくりしてるよ?でもそれよりちょっと安心したかなぁ。嫌われたかと思ったもん」

まるでそうなったとしても構わないとばかりに、からからと晴天に笑う。
疚しささえも吹き払いかねない底抜けた明るさはその場その場の快楽を是としているがためであり、今この瞬間に笑い合えているのなら。

「だいじょーぶだって!忘れちゃっても、何回だって名乗ってあげる。フーくんはフーくんだからね」
「だってその呼び方もさっきの悪戯も、前と同じだもん。だから、改めてよろしく」

宥めるような、励ますような。あるいはただ己が気の向くままに舌を回しているだけかもしれないが。
忘却を何度でも受け入れやり直し、縁を恒久的に絶つ気が更々ないのだけは確かであった。
フェンスから背を浮かせて目を瞑り、大きく背伸びをしたのは知らず伝播していた緊張を解きほぐすためか。
そんなだから、スプリンクラーの水量が弄られようとしていることには気がつかない。

「夏だからねぇ……ダラダラするなら室内にした方が――ぶあっ!?」

生返事の最中、空の色を移して舞った飛沫がばしゃりと着地したのは不運にも顔面。
頤から水を滴らせて束の間の呆然、ゆっくりと見開かれた瞳がじっとフーを見据えた。

「――やったなぁ!!」

不意の疾駆、狙うは水量の調整権。しかし目的は撒き散らされる水の沈静ではなくその逆。
殊更に水を吐き出すスプリンクラーは無差別無機質にあちらこちらを濡らす、屋上にいる二人も例外ではないだろう。
けれど全身がびしょ濡れになって、制服が肌に張りついても。まるで子供の戯れ合いの如く、愉快を隠そうともせず笑うのだ。
274フー◆</b></b>ARTs7Q6pII<b>[] 投稿日:19/08/09(金)00:19:28 ID:PVK [1/1回]
>>273

「あは、すずちゃんは明るくて楽しい人だね?」

スプリンクラーの飛沫の中で、水音を響かせながらステップを踏んで。

「うん、僕も、何回も初めましてをするよ。
 何回もはじめましてをして、何回も悪戯をして、何回も自己紹介をするよ」

飛び散る水滴をすずめがその身に受ければ、悪戯な笑顔はより明るく。
すずめがスプリンクラーに飛び掛かるのも止めはしない。

「……ぅわっぷ!!」

更に勢いを増した水滴の散布を顔に受ける。
最早ちょっとした噴水と化したスプリンクラーは、屋上からほんの少しだけ夏の暑さを忘れさせて。
こだまする二人分の笑い声は、きっと、騒ぎに気が付き屋上へ飛び込んで来た教員に叱られるまで、続くことになるのだろう。

//キリが良いですし、夜も遅くなって参りましたので、この辺で〆ということで……!
//楽しかったです!ありがとうございました!
275 : 小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/09(金)00:22:21 ID:hWf [1/1回]
>>274
//綺麗に〆ていただいたのでこちらからも〆にしますね
//こちらこそありがとうございました、お疲れ様でした
276 : 冴島玲◆</b></b>vg5qz0BCiI<b>[] 投稿日:19/08/09(金)01:23:05 ID:LCN [1/1回]
ギシギシと金属が軋む音と風の音が、暗闇に閉ざされた玲の意識を呼び戻す
目を開けば、眼下に広がる上矢市の夜景。赤白に鮮やかなライトが眩く輝く
負傷による失血を引きずり、ほんの少しだけ意識を手放していたようだ

「トランスミッターの施工完了、上矢市全域が射程に入りました。そちらは?」

イヤーピースに指を当てて、定められた工作が完了したことを父へと告げる
他の区域の進捗状況を尋ねれば、無線機を通じて各地域より応答が帰ってくる

『立川、完了』
『新宿、完了』

工事は滞りなく進み、解放師団との戦いの準備は着々と行われている
その事実が玲の体に鞭打ち、傷ついた状態でなお動き続ける執念を燃え上がらせていた
コンディションは良いとは言えない、しかし負傷した右腕を補う為の装備が支給されただけ、まだましといった所だろう

『こちらの首尾は上々だ、玲……腕の調子はどうだ?』

右の肩口から手首まで続く、非常に薄い金属のプレート
損傷した靭帯は手術で再建したが、劣化した運動機能を補う為に身につけられたものだ
それ以外の機能も追加されている。主にハッキングなどの電子戦デバイスとして
そうした義手をはじめとする、玲の新装備の状態を問う光秀の声に玲は悪くない感触だと返す

「……靭帯の補助は完璧です。それに新装備も」
「解放師団の凶行を耳にするのも、今夜が最後となるでしょう」

自信に満ちた言葉が示す通り、玲の能力は最大限まで強化されていると言っても過言ではないだろう
たとえ生まれた頃から戦闘訓練を受けていたとしても、17歳の小柄な少女が生み出せる戦力の限界は遥かに凌駕しているのだから
やるべき事も終えたことだし、少しだけ装備を慣らしてから帰るかと短いため息を一つ

両手を放して重力に従い、大の字に体を投げ出して後方へ。足掛かりも何もない空中へと倒れ込んだ
内臓が持ち上がる感覚は慣れぬものだ。僅かに冷や汗を浮かべながらも、取り乱すことはない
甲高いジップラインの射出音が夜空に響いた

//ソロールです……
277 : 小清 悠◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/09(金)09:42:17 ID:VKz [1/1回]
上矢学園の人目に付きにくい一角には兎小屋がある。
誰かが甲斐甲斐しく世話をしているようで何時も小屋は小奇麗。
数羽いる兎も怪我も病気もせずスクスク育っている様子。

「始まってしまいました…」

小屋の中で人に慣れた兎らに囲まれて、目の前の一羽を座り込んで撫でる女学生が一人。
彼女こそ此の兎小屋の管理者にして人数割れの為に格下げになった部の頭。
嘗て栄光を極めしその部は今は名をこう改めている『モフモフ同好会』と。

//待ちです
278 : ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/10(土)01:29:36 ID:N3T [1/1回]
個人団体を問わず、日の当たる場所を大手を振って歩けない人間というのは、いつの時代だって一定数存在する。
そしてまともな病院にかかれない彼らを客にする、超常を駆使して法に囚われず活動する、所謂闇医者もまた少なからず。
例えば、悪辣が吹き溜まる路地裏の奥の奥でひっそりと佇む古い雑居ビルの地下テナントを、丸々居城にしている者。
そのうちの一室、老朽しているが清潔感は保たれている診察室には、今もまた人が訪れている。

『……おいコラ、安静にしてろって言っただろうが。鎮痛してやったからって調子に乗ってるんじゃねえぞ』

ぶっきらぼうな声はこの場所の主人。備え付けのベッドの傍らに立つ、襤褸の白衣を纏う男。

「うげ……バレた?いやぁ、学校でゆっくり暇潰そうと思ったんだけど、つい遊んじゃって」

対する声は常連兼居候の少女。上半身に服を纏わずベッドに俯せになって、背中に数多刻まれた傷を晒す。
その内の特に新しい痕に、男の手が文字通り沈んでいた。それはさながら液体に指を差し入れるように。
医者と患者の間柄にしては些か弛緩した空気。ぴくり、男の指が少女の体内で動いた。

「あーー!!痛い!!ごめん、ごめんってば!!もうしないから無駄に神経イジるのだけはやめてーー!!」
『うるせえ馬鹿、そのまま死ね馬鹿。痛いのが嫌ならもっと金を出せ馬鹿。格安で診てやってるだけありがたく思え』

枕に顔を埋めて呻きながら強くシーツを握りしめる少女には頓着せず、淡々と手だけを動かす男。
やがて処置を終えたのか、ゆるりと皮膚から手が引き抜かれた部位に今しがたの傷跡は見受けられず。

『……おし、こんなモンか。後は好きに動いて構わねえ。パレードにでも参加して来いよ、お前のお目当ても来るんだろ?』
「ヤブ医者にイジメられたからそんな気力もありませーん……ウソウソ、冗談だって」

くぐもった声。ようやく枕から上げた顔の眦に、激痛を物語る浅い涙が浮かんでいた。
男はというと医療の場にも拘らず、換気扇が回っているのをいいことに、胸ポケットから取り出した煙草を咥えて火をつける。

「お目当と遊ぶのはいいんだけどさ。サイファーだっけ?あの人達の得体が知れなさすぎてねぇ。一般人として殴り合う訳にもいかないし」
『いつもの格好で師団相手にカチコミかけたら、いつ後ろから撃たれてもおかしくねえってか?』
「そゆこと。さすが分かってるじゃん、オウギさん。行ったら絶対動きたくなるし、おとなしくしてるのが一番ってね」

のそのそと体を起こして薄手のブラウスに袖を通し、羽織っただけの装いに恥じらいなど更々ない。
紫煙と一緒に投げ渡された煙草に火をつけて、小鳥居すずめは楽しげに笑った。

//イベントへの反応ソロールです
279紫葉魅鳩◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/08/10(土)17:36:48 ID:KLJ [1/7回]
彼はただ街を歩いていた。つまらない夏休み。目下の目標は人探し。
平和な上矢で楽しく生きるために必要な人探し。昔の相棒を探しているだなんていえば些か聞こえがよすぎるか。
本当は猫を探すくらいの気持ちでしかないけれど。本当に、いつか猫を探したときくらいの必死さしかないのだけれど。

あの日、あの時、あの場所で、偶然、ばったり会ったりなんてないだろうか。
ここは東京なのだから。この雑踏の中で、まさか彼女と待ち合わせたりだなんて、なくはないのではなかろうか。
街中の街頭テレビ。くだらない映画の予告を眺めながら、彼はそんなことを考えていた。

───

「……鳥月。あるいは、おまえもあったことはあるんだろ。金東さん。……なぁ、こんなの、もう、どうしようもなくないか。冴島さん…、こんなとこで見つけちゃってもさ……」

正義なんてくだらない。自分はいつか友達にそんなことをいってしまった。
その友達は正義という言葉に拘りを持っていた。別の友達は平和を得るための手段として自ら正義の側に立っていた。
そうして、かつての相棒は、今思えば、改めて直面してみればまるで〝正義〟そのものじゃないか。

「なんだよ、サイファーって…。何考えてんだよ、冴島さん…」
「住む世界がさ、ちょっとズレすぎてるだろ…ずるっこだろ……そんなの……」
「そんなに、熱っぽく語るなよ。危ないことなんて、やめてくれよ…。これは、一人言だけどさ」

見知らぬ他人を信じ、くだらない事件の末路にまで付き合ってくれた彼女が
今、解放師団という上矢を脅かす存在を排するために組織だって動きだした。
暗闇の中で輪郭程度を匂わせていた彼女が、本当の姿を顕にしたとき
元相棒を自称した少年は公園で一人泣いていた。その懐に収められた電子機器に新たな惨劇が映し出されているとも知らずに。
280小清 悠◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/10(土)17:57:00 ID:QCL [1/7回]
>>279
「…刺激が強すぎますよね……ハンカチどうぞ」

いつの間にやら、公園で泣く魅鳩の傍に。
望んだ相手ではないだろうし探していた相棒でもない女が突っ立っていた。
テンション低く小さな声でボソボソと白いハンカチを差し出しながら。

彼女は騒乱を見つめる事しか出来ない存在。
フラフラと安全圏を付かず離れず彷徨うしか出来ない存在。
彼女がせめて差し伸べられるのはそんな場所で泣いている者の相手をする事ぐらい。
281紫葉魅鳩◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/08/10(土)18:24:11 ID:KLJ [2/7回]
>>280

「……んえ。……いや、あれ、なんだ。……あー、ありが、ありがとう……。ハンカチ……」

この公園のパンダのきゅっこきゅっこする遊具の上で泣いた日は数あれど
見知らぬ他人に親切に声を掛けられるのは少し久方ぶりであったので、彼は緊張しつつ辿たどしく声を返した。

「……いや、泣いてないが。……少しな。少し目にゴミが入っただけだが」
「……そっちも、なんか、こう……。思うところが、あったのか……」

ゴミがはいったというまっかっかな目を向けながら、陰気な男はといかけた。
彼女もまた報道のないように思うところがあったのか。全く的外れなら今度は顔が真っ赤になる頃か。
282小清 悠◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/10(土)18:36:00 ID:QCL [2/7回]
>>281
「…そうでしたか、では私の勘違いですね」

ハンカチを渡し魅鳩の言い訳を静かに聞いた後、喋る。
なんだか反応に一定の間があるし、やはり声は小さい。
表情も乏しく、雰囲気も決して明るくない。

「はい、解放師団さんの事を考えていました」

報道内容はまさしく解放師団絡みではあるが、
どちらかと言えばメインは治安維持部隊側だろう。
そして普通、社会に属する一学生であるならメインの方にこそ興味が行くはずだ。

「テロと言うのは叫びです。訴えにすらならない悲しい悲しい叫びです。
 今、叫ばずにはいられない人達がこの先に居ます。
 でも、手を差し伸べてあげる事ができない……私は無力です」

魅鳩の指摘は間違ってはいないようだ。
ちょっと捉え方が普通ではないようにも思えるが。
283紫葉魅鳩◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/08/10(土)18:46:39 ID:KLJ [3/7回]
>>282

「勘違いは誰にでもある。以後気を付けろと言うほど、俺は偉くない。……それに、アンタの勘違いで世界の誰かが救われることも少なくはないとみた」

受け取ったハンカチで、遠慮気味に目元を拭いながら戯言を交えた。
意訳すれば、優しい人なんですね。ありがとうございます。くらいの意味。そんな言葉、恥ずかしくて言えないけれど。

「テロ。テロル。……如何なる暴力を振るってでも、自分達の声を届けるための、組織的な凶行。叫びか。……俺には癇癪にも見える。俺達はこんなにも悲しんでるのに……こんなにも痛いのに……。そうやって誰か喚きながら痛みは連鎖する」

「……サイファーとやらは、保母さんかな。使命感で、泣き叫ぶ子供が、悪いことをしないように、押さえつけにかかる。……子供が相手でも、ひっかかれれば、痛いのに……」

随分と詩的な表現をしてしまった。恥ずかしさにハンカチで目元を隠してから
その行為の気持ち悪さに気付いて、ハンカチを離した。

「……友達とか、映ってたのか。……あー。あんたの。友達おか」
284小清 悠◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/10(土)18:55:22 ID:QCL [3/7回]
>>283
「…そう言われると、少しホッとしました。この陽気だけに」

魅鳩の言葉の意訳は通じたか分からないが、
やはり間をあけて喋りだし少し笑顔を見せる悠。

「…成程……そう言う表現だと…分かりやすいかもしれません」

間は何か考え事をしているのか言葉を選んでいるのか。
会話は酷くゆっくりしたものになってしまうだろう。
そして割と魅鳩の詩的表現は受け入れられている模様。

「いえ……お友達は猫さんと兎さんばかりなので…
 ああ…知り合いも見ていません。……少し不思議ですね?」

小さく首を傾げる。はらりと長髪が肩から流れ落ちる。
結論から言えば画面向こうにいるのは殆どが国家の犬なのだから当然といえば当然。
まあ、悠の交友関係の狭さは誤魔化しきれるものではないのだが…
285紫葉魅鳩◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/08/10(土)19:06:02 ID:KLJ [4/7回]
>>284

「この陽気なんて、優しい日射じゃないんだが…。この俺の陰気とかけたジョークか。ちなみにこれは…自意識過剰を棚に上げたジョーク……」

ゆったりとした彼女の口調に釣られたのか、誰かと話をしたかったのか。
雰囲気が陰気で、自意識も陰気な男はペラペラと口を回す。
わかりやすいと言われれば気分を良くして無意味に頷いたりして。

「……ほう。兎と猫。そこが居て、犬が居ないのは腑に落ちないが、動物と言葉を交わすのはいいことだ」
「俺も友達が多い方ではないが……。というか少ないんだがな。……あの映像の中でご機嫌に立ってた。俺には正体も教えてくれなかったのに」

テレビへの公開はいいだなんて、どういった了見だ? 続いたそんな戯言は先の言葉に交えれば、なんということはない。この映像にこてんと映ったとある人物が心配でならないだけなのだ。

「……それで、あんた、名前は」
「テロリズムに共感でも示したってわけじゃ、ないんだろ……。かといってさ、殺すとか、暴力とか……そういうのも嫌なんだろ……。猫とか兎とか……好きなんだし……」
286小清 悠◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/10(土)19:15:46 ID:QCL [4/7回]
>>285
「…『ホッと』な陽気……」

暫し二人の間に沈黙が訪れる。
陰の者同士がジョークだなんだとやりとりしてはいけないのだ……

「それは…心配ですね?
 …ご機嫌で正体不明のお友達……ミステリアス?」

魅鳩の説明では魅鳩を取り巻く一連の出来事を察するには無理がある。
それでも悠は汲み取ろうとしてくれてはいるようだが。

「はい、テロは駄目です。もっといい方法を探しましょうと言ってあげたいのですが
 …私も解放師団さんとは別種の力なき声ですから……」

しょんぼりと肩を落とす女学生。
携帯端末の画面越しで起こる出来事は愈々佳境なのだろうか。

「…あ、小清…悠と言います。
 兎さんが好きです。猫さんは最近好きになりました」

思い出したように自己紹介。
ついさっき聞かれたんですがね?
287紫葉魅鳩◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/08/10(土)19:32:07 ID:KLJ [5/7回]
>>286

「……は? 」

「あっ……」という生ぬるい、惚けた声は彼女を庇うには遅すぎたのだろう。
焼かれるような暑さの中で、残酷なまでに冷たい時間が幾許かの間に流れた。
陰気と陰気の化学反応である。

「そう。ミステリアス。友達っていうのは、例外なく、ミステリアスだと思わないか。言葉を話せるくせに、兎とか猫とか、犬よりも何を考えてるのかわからない」
「……だから、ご心配なんだ」

それでも、陰気と陰気同士で通ずるものはあるのか。
彼女が心配してくれたのを察するように、心配という言葉を重ねた。共感に共感を重ねたのだ。
会話に発展がない。コミュ障である。

「……こせい、はるか。きりんさんはもーっとすきか。……俺はパンダさんと犬と鳥と猫と金魚が好きだ。しばみはとという」
「小清さんと同じ、力無き者でもあるな。……サイファーの人間に別の方法はないかって泣きつきたいが、頑張ってる保母さんたちに、言えることなんて、な」

彼女はテロリストとに暴力以外の解決を求める。
自分は粛清者達に暴力以外に方法は無いのかと訴える。
彼女のようにただしい答えなど用意はできない。あるいは彼女のように、暴力を最初に始めた人間……超人達に手放しに優しくはできなかった
288小清 悠◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/10(土)19:43:04 ID:QCL [5/7回]
>>287
「でも言葉にしなければ通じない…爆弾でドカンはいけませんね。
 お友達なのですから今度会ったら思ったままの事を言っては如何でしょう?
 それが難しいなら手紙を書いてみては…
 手紙は自分の考えを目で見る事が出来ます。
 書いている間に今まで気づかなかった自分の思いにも気付けてしまえますから」

コミュ障なのはお互いさま。
違いがあるとすればコミュ障打開の方法を彼女は手紙という形で解消している点か。

「魅鳩さんは好きがいっぱいですね?目移りしちゃって隙だらけ?」

優しいのか世間を知らないのか。
あと唐突に分かり難い言葉遊びをブッ込むのはコミュ障。
難儀そうな娘である。
289紫葉魅鳩◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/08/10(土)20:04:11 ID:KLJ [6/7回]
>>288

「あぁ。どいつもこいつも口下手がすぎる。誰も彼もが口を閉じて、不意に爆発するから、人間てやつは厄介だ。ドカンはいけない」

それなら自分は色なことを言葉にできていたのだろうか。
今更すぎる自問自答に乾いた笑いを零して、彼女の手紙の案に頷いた。

「一人言で泣き言を吐くよりは、1000倍くらい有意義そうだな。……俺は手紙を書いてみよう。小清さんも書いてみたらどうだ。……解放師団に」

コミュ障からコミュ障へのアドバイスを更に雑にして綱渡す。
手紙を書いてはどうか。解放師団へ、色々なメディアを介したりして
余りにも雑な提案だけども

「……好きがいっぱいは認めるけど、隙はない。俺は硬派な男だ。俺のたたずまいのどこに隙が見える。悪い冗談だろ」

隙……といえば公園で涙を流したり、ハンカチを受け取っちゃったり
隙だらけなのだが。

//すみません! 次遅れます……! 並行や切り上げで構いませんので……!
290小清 悠◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/10(土)20:12:34 ID:QCL [6/7回]
>>289
「解放師団さんに手紙……でも宛先が分かりませんね…?
 メディアを介する……手紙という趣旨からは外れそうなので、難しい…かも?」

んん、と目を瞑り思案顔の悠。
都合よく解放師団の知り合いでも居れば良いがそういう訳もなく。

「すきがいっぱいなのに硬派……?」

その『すき』はどっちの『すき』で何故首を大きく傾げるのか。
今までのやり取りの中で一番疑問に思っているんじゃないのかその首の角度という具合。

「…魅鳩さんは、不思議ちゃん?」

鏡を持ってきたほうがいい。
それは第三者でも分かる。

//了解ですー
291紫葉魅鳩◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/08/10(土)22:33:17 ID:KLJ [7/7回]
>>290

「相手を思って、筆を取って、手を動かせばそれは手紙なんじゃないか。メールとかメッセージとはまた違う…。手を動かす行為には予測変換も思いつきもないからな…」

ペラペラと自分の意見を保護するためだけに良く語る。
それは彼なりの手紙への解釈ではあるけれどやはりメディアを否定されたことへの反論の面が強いだろう。

「……その二面性が他人を魅了するわけだ。ギャップ無き男に魅力なしというわけか。……うそだよ。悪かった。……俺は好き嫌いが激しいんだ。好きな物も嫌いなものもおおい…」

「……不思議ちゃんは小清さんだろ。絶対。間違いなく。言われ慣れてるくせに……」

そうして、陰気な目を彼女に向けつつ、思い出したようにスマートフォンを開いて

「そんな不思議ちゃんを俺は利用しよう。……小清さんの不思議な勢いで、ニュースの最新情報をだな……」

おとなげなし。自分で見たくないからと、解放師団に関するニュースを調べるだけ調べて、ばばっと彼女に向けてみせた。

(冴島さんは強い。強くてかっこいい。まさかはない。ないはずだ……)

//お待たせしました……!
292小清 悠◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/10(土)22:44:57 ID:QCL [7/7回]
>>291
「…はい、ですがそれを当人ではなく不特定多数に晒してしまっては駄目です。
 メディアを介すると言う事はそう言う事になるでしょう」

感動モノのドキュメンタリーにありがちな朗読シーンとかである。
つまりそれはいかんと悠は言っている訳だ。

「!…誰も教えてくれませんでした。
 個性的だねと言われた覚えはあるのですが…」

割とクラスメートは気を使っていたようだ。
全く言われ慣れてない驚きのリアクションを返してくる。
ある意味痛恨のミスなのでは?

「…酷い事になっています」

状況はライブ中継だろう。
勢いに任せた心無い書き込みも多数散見される。
大体こういう時はネガティブなコメントに目が行きがちだし。
293紫葉魅鳩◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/08/11(日)18:49:19 ID:eAx [1/1回]
>>292

「組織として君臨した相手に、それでも個々人として向き合うというわけか。フェイス・トゥーフェイス。……嫌いじゃない」

等身大。学生らしさから、逸脱しないその思考。
身の程を知る。といえば聞こえは悪くなるだろうか。
それでも人と人という純粋な在り方に帰依する彼女の主張に、彼は尊敬の念を抱いた。

「……じゃぁ、俺も手紙を書いてみるかな。どうしようもないとか、相手が大きすぎるとか、泣き言を言わないで、自分にできることをだな……」
「ありがとうな、小清さん。ちょっと、勉強になったかもしれない」
「……それと個性的だねっていうのは、不思議ちゃんと相違ないだろう。ちなみに俺は、個性的だとか不思議だとかをしつこく自称するやつが嫌いだ。小清さんはそのまま無自覚に、ほどほどに個性的でいるといい」


ついでに言えば、彼がペラペラと口数を増すのは緊張したときと何かを誤魔化す時。
ネガティブな言葉を耳にすれば、スマートフォンを握る右手がふるふると震えて
手の中でそれを反転させれば、その画面の中の光景に動揺を顕にした、


「……は。ちょ、まっ……」
「……ルクレティア? 冴島さん……が……なにや……」

不意に漏らした2つの固有名詞は、おそらく知人の名前なのだろう。
彼は酷く動揺し、髪を掻き毟りながら、彼女に背を向けて

「……悪い、小清さん。用事がな……できたかも……しれない……ハンカチは洗って、返すからさ……おわかれだ……」
「ごめ、ごめんな……」

そのまま走り去ろうとしてしまうだろう。

//昨日は連絡なく戻れずすみませんでした……。本日も居られないので締めでお願い致します……すみません
294 : 小清 悠◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/11(日)19:00:33 ID:q3N [1/2回]
>>293
「…駄目ですよ、心を乱した儘に行動するのは」

一方的に喋り慌てだした魅鳩の背に、強い意志を感じる声。
さっきまでの聞き取り難さは何処へやら。

「かもしれない、のではなく出来たのでしょう?
 心の揺れは相対する人の心も乱します。
 お友達は画面の向こうに?であるなら尚更です」

事情は分からない。
しかし画面向こうにいる知り合いとなればどっちに転んでも非日常の住人だ。
不思議ちゃんでありながら、その位の察しを小清悠という人物はする。

「手紙を書く時間はないでしょうけど…先ずは深呼吸です。
 何をするにしても冷静に、筋は曲げず通す覚悟で…頑張って」

会話はそこまで、ひらひらとその場で手を振り、送り出す。

//お疲れさまでしたー
295匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/11(日)20:03:23 ID:q3N [2/2回]
「…派手にやったもんだなあ」

ビルの屋上。
カメラと通信機器を内蔵したバイザーで眼下を見下ろす影一つ。
作戦自体には不参加だった青年の姿がそこにあった。

「これで解放師団が世間的にどう評価されるか、ですね?
 …場合によっては今回以上に形振り構わない形をとるかもですが」

バイザーに手を当て何処かと通信中。
その間も周囲を見回している。

「あー…件の怪物、はい、確認しました。
 ただ僕が出会ったのより一回り小さい気が…いえ、最初に出てきたのもその後湧いたのもです。
 はい、はい……了解、流石に誰も残っちゃいないと思いますが一応周辺を見回ります」

腕より糸を射出。
この移動もいよいよ馴染んできた。
気分は蜘蛛のヒーローか巨人を屠る狩人か。
祭りの後の見回りだ、どうせ何も起きはしまい。
そう考える青年は少し油断していたのかもしれない。

//待ちです
296デッドストック◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/12(月)11:43:08 ID:qit [1/7回]
>>295
件の戦闘の痕跡がまだ目新しく残るその辺り一帯
瓦礫に紛れた奇妙な存在が輝の目に入る事となるだろう

『………』

それは金属質の肉体とモニターの様な頭部を持つ、異形の 存在と言わざるを得ない不気味なものだ
その存在はどうやら何かを探すかのように瓦礫を漁っている。

//まだ宜しければ
297双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/12(月)19:35:56 ID:Kq1 [1/1回]
「…………知らなくもない天井だな」

そんな呟きを放った病室から颯爽とおさらば。とはいかなかったが恐ろしいほどの医療技術は受けられた気がする。
多少違和感あれど足は動くし、目の下の骨にも嫌な感じはない。逃した少女がどうなったかはわからないが、自分は搬送された結果だろう。
この点は解放師団と自分達の差と見るべきか。……まあもっとも今は麻痺してる可能性があるし、作戦に居た彼女やサイファーにおける噂も気になったりするものだが。

「……いって、……おぉ?」
「…………こんなに割れてたかコレ?」

病院よりそう遠くない路地にて、自分の鞄を漁って割れが進行した水晶を見やる彼は怪我人のまま鎮座していた。

//待ちです
298匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/12(月)19:51:56 ID:rfp [1/7回]
>>296
『テルくーん』
「いやあれも違いますけど……えぇ、何だアレ?」

文字通りの後の祭り、騒ぎが沈静化しつつある中で見つけた異質。
モニターの頭部…襲撃にあったあの日を思い出すが関係性があるのかと疑問も浮かぶ。

「モニター頭…どう思います?」
『先日の件との関係性?何とも言えませんねー』

どういった意図があるにせよ、タイミングが噛み合っていない、青年はそう思った。
それはそれとして放っておく事もできまいと。

「はい、その場で手を挙げて!名前と所属をハッキリと!」

暴徒鎮圧用のゴム弾を発射する銃を構え異形に声をかける青年。
異形がその場から一歩でも動くなら迷わず発砲するだろう。

「流石にこのタイミングでただの一般市民ですは通らないよ!」
299 : 仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/12(月)20:07:54 ID:y4h [1/2回]
【上矢市中央総合病院】

「大変申し上げにくいのですが、仁和寺さんの身体には複数の変異が生じています」
「……どうぞ、これがX線写真です」

申し訳の立たなさそうな顔つきで写真の入った封筒を手渡す医師を、アキラは受け入れるような表情で見つめ返していた
その中に収められた自らの透過写真を目にして、複数の影が存在する筈の無い場所に鎮座しているのを認める

「ハハ……やっぱ、こういうのが待ってるってオチだよね」
「それで次は何、余命?」

瑠璃の瞳を僅かに細め、やはり無傷とはいかない心の痛みを押し殺すのは単なる強がりでしかない
清村は大義の為であれば自らの命を投げ打つ事をものともしない精神力と盲信の強さを持っていた
けれどアキラには自らの命を捨てる度胸こそあれ、みすみす生き残ってしまった後にまで続く程の覚悟の強さは無い
何故ならば彼女は誰よりもタフに見えて、実際は孤独に打ち震えるひとりの少女に過ぎないのだから

「いえ、厳密には癌や腫瘍のようなものではなく……」
「我々もこのような症状は見たことがないので、ハッキリとは申し上げられませんが……」

「じゃあ、これが癌だとしたら?」

だから自らの命の終わりの時期を明確に知る事で、いつ死ぬかも分からない恐怖から逃げようとした
けれど余命というものは一つの指標でしかなく、アキラの異能による反動が生命にもたらす影響までを正確に判別できる筈もない
濁したかのような答えに辟易したようにアキラは医者を睨みつけ、仮想値でもいいからデータを寄越せと言外に恫喝するのだ
300 : 仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/12(月)20:08:10 ID:y4h [2/2回]
「……癌だとすれば、生きている事そのものが奇跡のようなものです」
「短ければ半年、長くても数年といった所でしょう」

そして与えられた答えに一瞬目を見開いて、"全賭け(オールイン)"という行為がどれだけの代償を伴うものであったかを知る
ほんの一瞬だけ、あの時に命を使い果たすべきであったという後悔と逃げた清村への恨みが顔を覗かせる
しかしそれを表に出す事をすんでの所で堪えられたのは、血だらけのポケットの中で潰れた煙草の箱の感触のお陰だ

「それと仁和寺さん、あなたは日本国内に保証人が存在しませんよね?」
「保証人が居ない状態ですと、当院への入院は……」

「いや……大丈夫。もう退院する」
「こいつはアタシが無茶苦茶やったツケだから……どーせ治療したって意味はない」

後半の言葉は殆ど耳に入って来る事も無く、アキラはボロボロの衣服を纏ったままベッドから飛び降りた
後退る医者や看護師の制止の言葉を振り切るかのように。打ちのめされた身体は異能の力によりもはや全快に近い
けれど内面に蓄積したしわ寄せと心の傷は決して異能で癒える事など無くアキラをちくちくと蝕んでいた

「残された時間を生きるだけ……今までありがと、センセ」

折れた煙草に火を点けて燻らせ、病室から足早に去って

「あ……あの、仁和寺さん!」
「…………院内での……お煙草は……」

ひらひらと手を振るアキラの背中に纏うそれ越しに語り掛ける勇気は、医者には無かった

//ソロールです
301デッドストック◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/12(月)20:41:32 ID:qit [2/7回]
>>298
『……?』

この生き物からしたら突然の来訪者、言葉の意味を理解していないのか瓦礫に向けた頭部をゆっくりと上げ
輝を見つめるかの様に立つと足を一歩踏み出した。
その際ハッキリと、液晶部分にゆっくり吸い込まれる
人間の手が確認できるだろう。

『………イノウ…』

異形はその他に言葉を発する事もなく輝へと向かう。

302匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/12(月)20:49:57 ID:rfp [2/7回]
>>301
「あーもー!上矢は何時から妖怪都市に!?」

バカン、バカンと相手の液晶画面に向けてゴム弾を叩き込む。
青年は眼前の存在を危険と判断した。

「ゾンビに怪物に今度のこれはなんなのさー!?」

ゴム弾の効き目がなさそうなら距離を取るため一度下がるだろう。
目の前のソレが何であるかさっぱり分からない。
303デッドストック◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/12(月)21:02:42 ID:qit [3/7回]
>>302
『………!』

ゴム弾は液晶画面に被弾するとめり込み、異形を後退させる事となる。
だがそれがトリガーとなって異形は体勢を戻すと共に勢いをつけ輝に飛びかかる。

『…オマエ……イト…!』

まるで輝の異能を知っているかの様に、くぐもった声で
言葉を放つ。
液晶画面には数字の6が表示されている。
304匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/12(月)21:12:54 ID:rfp [3/7回]
>>303
「コイツ、僕を知ってる!?」

右手から放つ糸で蜘蛛の巣のようなものを展開する青年。
飛び掛かる異形を押し止め、可能ならば捕縛しようと試みる。

「…そうなると偶然湧いて出たって訳じゃないのか?
 タイミングが噛み合って無い所を見ると出会いそのものは偶発的な気もするけど…」

疑問は尽きない。
解消する為には目の前の異形を生きたまま捕獲したいところだが…
305デッドストック◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/12(月)21:49:40 ID:qit [4/7回]
>>304
『ググ……』

糸の捕縛にまんまと引っかかりのたうち回る。
その姿はまるで戦闘経験がある様には見えず駄々をこねる子供の様だった。

『……マタカ……』

突然液晶画面が暗転すると、糸を貪るかの様に液晶に押し込んでいく。

『コノ…チカラ…』

抵抗をやめ輝には目もくれずに糸を貪り食らう。
306匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/12(月)22:02:20 ID:rfp [4/7回]
>>305
「又って…ちょ、どう言う異能だソレ!?」

まるでこちらとの戦闘経験があるかのような言葉、
しかし実際の動きは経験を全く反映していないよう。
次々と湧く疑問の最中、糸を吸収しだすという挙動。
もう何がなんやらである。

捕縛のために放っていた糸を切り離し消滅させる。
相手に取り付いて操作する能力こそ持っている《糸》だが積極的に取り込まれたのは初だ。
まあ、常人超人関わらず操作出来た例がないので取り込まれたところで…なのだが。

「ちょっと手荒くいくか…?」

此処に来て初めて構えらしい構えをとる青年。
相手の動きを見定め一気に突っ込み足を狙う気でいる。
307デッドストック◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/12(月)22:30:36 ID:qit [5/7回]
>>306
『ア…アァ…』

糸を取り込み終え捕縛も解けた筈だが輝に注意を向ける事もなく微動だにせず立ち尽くす。

『……!』

突如関節から白煙を吹き出す。
完全に体が硬直し、次にその肉体は膨張を始めた。
そして膨張した肉体が縦に避け始める。

「お前が憎い…」

中から出てきたのは黒色の体と複数の目、大きく裂けた口、そして牙、極め付けには背部から突き出た6本の長い脚、先程の異形とは似ても似つかない、まさに蜘蛛の怪物と言った姿に変貌を遂げたのだ。
308匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/12(月)22:41:24 ID:rfp [5/7回]
>>307
「いやいやいや…」

目の前で起こる現象に、これ夢じゃないかと現実逃避したくなる。
だが、まぎれもなく目の前で起こっている事実だ。

「悪いんだけど、糸=蜘蛛みたいな安直な姿で恨み言言われてもね?」

ダガンッ!と地面が爆ぜ、放たれる弾丸の如く、青年が低く跳ぶ。
狙うは当初の目的通り片足。
しかし相手に突っ込むようにしてでなく大分外側を通り抜けるような跳躍となる。
すり抜けざまに右手から糸を放ち、五本の線で空間ごと異形を断たんとする。
まあ、流石に空間は断てないが、今ならコンクリぐらい余裕で抉り断つ。

一撃必殺。
これ以上関わりを長引かせると身が危うい。
青年の中で今更な警鐘が鳴り響いていた。
309デッドストック◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/12(月)22:55:04 ID:qit [6/7回]
>>308
「思い出せよ、お巡りサン」

輝が攻撃を仕掛けて来たのなら回避するは上空。
指鉄砲の形を作り天に向かい糸を発射すると、糸は何もない空間に結びつくという奇妙な現象が起きる。

「じゃないと殺すよ?」

虚空に絡みついた糸で上空に回避すると、そのまま襲いかからんと輝に向かって落下、その際鋭い6本の脚を槍の様に突き立てる。
310 : デッドストック◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/12(月)23:05:49 ID:qit [7/7回]
//ちょっと今日はこれ以上返せそうにないです…すみません
311匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/12(月)23:08:30 ID:rfp [6/7回]
>>309
「っ!?…悪いけどッ」

六槍をバク転することで何とか回避。
そのまま腕の力で跳ねて距離をあける。

「君みたいな奇抜な知り合いに心当たりはないね」

どうやら何処かで恨み辛みを買ったらしい。
正直皆目見当がつかない…目の前の存在は誰だ?
同時に一つ困った事が発覚した。
どうやら目の前の存在は人間であるらしい。
いっそ身も心も怪物であるなら見切りをつけて屠るという最終手段もあったのだが。

「参ったな…」

空間移動に関する糸の使い勝手は彼方の方に分がありそう。
正直威力も此方に采配が上がるか疑わしい。
となると慣れや技術で埋めるしかなくなるのだが…さて相手は実際どれほど糸に通じているのやら。
未知の部分が多すぎる相手だ、此方の出来る事が全て出来るとしても驚かない。
その時は増援呼びつつ逃げればいいだけの話だ!
312 : 匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/12(月)23:09:01 ID:rfp [7/7回]
//了解です
313小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/13(火)02:11:32 ID:yrg [1/2回]
白日の下に狂乱と暴虐を振り撒いたかのパレードから、夜と朝を繰り返して幾度かが経過していた。
迅速な事後処理のほとんどが終えられて、血の舞台となった往来もすっかり元の姿を取り戻した後の、ある晴天の日に。
日陰のベンチに腰かけ手すりに頬杖をつき、惨状の前の賑わいが回復した人通りをぼんやりと眺める少女が一人。

「……用意が良過ぎるんだよねぇ。あーやだやだ、敵に回したくないなぁ」

早過ぎる復興の裏に横たわる権力の矛先を憂いた呟きは、祖霊信仰に則る常以上の賑わいに容易く溶ける。
スリットの入ったサロペットスカートから覗く足を退屈そうに揺らしながら、残り少ない缶コーヒーを一息に飲み干して。

「マジで後ろから撃たれてもおかしくなかったし……行かなくてよかったな、とっ」

そのまま距離の離れたゴミ箱へと、交差し得ない願望と一緒に空き缶をノールックで投げ捨てた。

//お返しは明日以降になります
314 : 双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/13(火)02:33:25 ID:OHQ [1/1回]
>>297
//お返しは明日以降になりますが再募集かけておきますっ
315デッドストック◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/13(火)18:55:35 ID:H7N [1/5回]
>>311
「忘れたなんて言わせない…ッ!!」

上顎に手をかけるとそれを思い切り上に引っ張る。
裂けた口は更に裂け、まるでフードの様に垂れ下がる。
そして新たな頭部が露出する。

「ならこれで思い出した?」

その新たな顔は人間のもので、かつて輝に襲いかかった黒髪の少女と同じ顔をしていた。

316匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/13(火)19:49:16 ID:DjP [1/6回]
>>315
「…おお」

やっとこさ覚えのある情報が出てきて声が漏れる青年。

「成程、そういう感じの……何だろ、装備?
 いや正体分かんないって、ビームも撃ってこないし、流石に僕エスパーじゃないし?
 もうちょっとさあ…あるでしょ?
 なんで最初モニター頭で次は蜘蛛?それで察しろは無理あるって!」

そうして飛び出す不満不平。
戦闘中ですが意に介さず、マイペース。

「そもそも恨み言言われる筋合いもないからね!これ逆恨みってやつ?
 悪い事しようとしたら捕まるのは当然でしょ?しかも結局逃げちゃったし!
 もうっほんと…ほんとさー……」

ギャイのギャイのと騒がしく左手でも大きく動いて少女に文句を垂れる青年。
子供を叱るオカンか、という勢い。

まあ全てとある事をする為のパフォーマンスなのだが。

「なんなのさッ!!」

裂帛。
大きな声を出すと脳のリミッターが外れ普段よりも大きな力が出せるというのはアスリートを見ていればよく分かる。
超常の能力にその理屈が通じるのかは不明だが青年はそう信じている。
今は密かに右指で動かしていた少女の背後にある大きな瓦礫を一気に引き寄せ叩き付けんとする!
317ひかる◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/13(火)21:09:07 ID:H7N [2/5回]
>>316
「私だって…お前に捕まってあの変なモニターのお陰で助かったと思った……思ってたのに………
知らないうちにあの身体にされてたッ!」

デッドストック改めひかる、彼女は自分がこうなったのは輝のせいだと、そう思わなければ怒りの矛先がどこにも向けられないのだ。

「お前のせいだ!死ね!消えろ!」

改造の副作用なのか気性はだいぶ荒くなっている。
よく見ると歯は牙となり目つきもかなり鋭く険しいものになっている。

「じゃあ見せてあげる、少し勝手は違うけど…」

改造前の光線を放つ構え、つまり指鉄砲の構えをとる。

「貫かれッ…グベっ?!」

瓦礫は見事命中、しかしひかるはその場から動く事は無く立ち尽くしている。

「は?人の話は最後まで聞けよ…!」

糸で身体を固定する事で体勢を維持していたのだ。
今度は瓦礫と繋がった輝をこちらへ寄せる為に、輝の糸を全力で引く。
318匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/13(火)21:29:36 ID:DjP [2/6回]
>>317
「おっと」

糸を引かれ身体が浮くが距離はある。
焦らず糸を解除し新たに放った糸でひかるを飛び越すような軌道を描いて宙を飛ぶ。

「話したいなら、じっくり聞いてあげるよ。ただし取調室で」

宙で身体を捻じり姿勢を変えて、とん、と軽く難なく地面に降りる。
自身の両の指、人差し指と中指を確かめるように動かす。

「絶対に元の体に戻れるなんて気休めは言わないけど、その為の協力は別に惜しむつもりはないよ。
 だから大人しく投降してくれないかな。
 僕にも色々と知りたい事がある。協力し合えると思うんだけどね?」
319ひかる◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/13(火)21:47:30 ID:H7N [3/5回]
>>318
「ああもう!」

ガシガシと頭を掻き毟ると話に耳を傾ける事なく人間離れした脚力で輝に向かい突っ走る。

「気持ち悪いんだよ…!」

自身がどれだけ殺意と怒りを向けても相手からはそれを感じられない、何故かは全くわからない。
故に「気持ち悪い」と言うしか無かったのだ。

「協力だって?今更……できるかァ!!!」

再度6本脚を展開し突き刺そうと襲いかかる
320白|五刻 迷|壁◆</b></b>bU0CEuzUjA<b>[] 投稿日:19/08/13(火)21:52:57 ID:I9k [1/1回]

夕方の公園。
大きめの黒いパーカーに黒いミニスカートに白いスニーカーの普段着姿でベンチに座っている14才くらいの気弱そうな少女、迷。フードは被っている。パーカーの胸部には1頭身のニヤリと笑った蛍光色のピンクのウサギの絵柄付き。
大きな白いウサギの縫いぐるみを抱いている。

公園で遊んでいた子供たちが親に連れられて家へ帰るのを意気消沈した表情で眺めながら、弱々しく呟く。

「お腹空いた……」

悪夢のようなサイファーパレードから数日、路頭に迷いながらも、非常用に用意したおいた壁に隠していた最低限の備蓄を使って生き延びていた。
自分で応急手当したが、負傷した体は痛む。ボディーアーマーも処刑人頭巾も非常用壁に隠してきた。
321匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/13(火)22:00:15 ID:DjP [3/6回]
>>319
「遅すぎる事なんてない」

凄まじい勢いで突っ込んでくるであろうひかるを、
その場で動かず真っすぐ見据えて青年は構える。

「結果がついて来る来ないは別として」

自由に動かせる両の指2本。
それぞれの手で重ね合わせ糸を紡ぐ。

「生きてりゃ何時だってやり直せるッ!!」

振り上げた両手に生える半透明の刃。
6本の足を斬り捨てたとして、勢い止まらぬであろうひかるの身体は突き出した右足で受ける!
相手の勢いを利用したカウンター。
なお身体は固定していないのでそのまま跳ね飛ぶだろうが空中での姿勢制御はいい加減慣れた。
322ひかる◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/13(火)22:16:01 ID:H7N [4/5回]
>>321
「そもそも生きてないんだよォ!!!」

両手に刃が形成されるのを見ると素早く横回転し避ける、がしかし右の一本が断たれるが声一つ出さずに至近距離から糸による拘束を試みる。

「今度はお前が縛られる番だ」

残った脚先から粘着性の糸を出し拘束を試みる
323匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/13(火)22:32:18 ID:DjP [4/6回]
>>322
「怒って恨んで悲しんで、それで生きてないはチョッと無理ない?」

バラリ、と刃を模っていた糸が解れる。
4本の糸がうねり蠢き触れるもの全てを溶断するものへと転じる。

元をただせばエネルギーの放出現象。
度重なる能力の使用は練度を益々高め、
あらゆる糸の特性を獲得し、その性質を自在に再現するまでに至る。
未だ難航しているのは蜘蛛の糸の特性。
その粘性、弾力性は獲得できれば更なるバリエーションを生むだろう。

ひかるの糸を焼ききって、更に後方へとビルの合間を跳んで距離を開ける。

「流石に長居しすぎだと思うよ、周囲は未だケーサツでいっぱいだ。
 僕単独で直ぐにどうこうは無理でも数が揃ったらどうなるかはパレードで証明済みだよね?」

本来は光に反射し虹色を見せる青年の糸は今や鍛冶で打たれる刀のように赤く熱を発している。
風に揺られるかのように蠢く8本の糸。
それが一斉に襲い掛かればさしもの異形化したひかるであれど無事ではいられない。
324ひかる◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/13(火)23:09:21 ID:H7N [5/5回]
>>323
「な…何?パレード?」

ここ数日間を自我のない状態で過ごしていたひかるは
勿論パレードの事など微塵も知らない、だが周囲を見れば大規模戦闘が行われたという事は容易に分かる。

「チッ…こんな事出来るのは師団か…?」

自我を取り戻した時から続く違和感の正体は不自然に崩れた環境だと腑に落ちた。
冷静になり考えてみると輝の言う通り長居するのは賢いとは言えないし虫の性質によって強化された本能は危険信号を鳴らしている。

「…覚えてろ」
(…この妙な胸騒ぎは虫の知らせって奴?……とにかく
ここは一旦引いた方がいいね…)

ビルに糸を巻きつけあっという間に輝の視界から消え去ってしまう。

//ここで〆と言う事で
325猪狩ぎどら◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[sage] 投稿日:19/08/13(火)23:10:23 ID:Pum [1/2回]
>>320

悪夢のようなサイファー戦から、団長の命により散開した解放師団。
共闘を行ったぎどらとルクレティアも、奪取した装甲車を廃棄したのちに互いの機動力を駆使し各々が逃げ延びる道を選んだ。

「……おい。壁の。こんなところで、何をしているのだ貴様……。死にたいならば、海に身を投げ、足取りが付かぬように自決しろ……」

さて、先の戦いで片腕を失った彼は、その無様な姿を鬼頭舞に見られることを嫌い彼女が解放している第二の隠れ家に戻ることができず
半ば野良猫のようにふらりふらりと盗みを働きながら生き延びているわけだが
そんな状況でも、なお生意気な口を聞かせ、彼女のまえにむんずと立ちはだかるのであった。

「……ちなみに。ぼくはぎっどらではなく、ぎどらである。ぎどらさまと呼んでみろ」
326 : 匡美 輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/13(火)23:16:43 ID:DjP [5/6回]
>>324
「…」

緋色の糸を漂わせたまま青年は無言で見送る。
実の所、かなり切羽詰まっていた。
正直、溶断なんて真似が自身にできる気もしていなかった。

「……な、なんとかなった」

糸の消失と共にその場に崩れ落ちる。

「やばいって、なんだアレ…
 個人で如何こう出来そうにないな、参った」

箱舟をはじめ解放師団は未だ強力な駒を保持している。
それを見せつけられた一戦であった。

//お疲れさまでした
327ルクレティア◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/13(火)23:35:51 ID:yrg [2/2回]
月も太陽も地球の裏側に隠れた、ビルの森に翠雨が音もなく降りしきる夜。
人気がまるきり途絶えた裏路地の奥の奥、申し訳程度にせり出した屋根の下で。
赤黒い染みを残す裾の破れた服に身を包み、膝を抱えてうつらうつらと船を漕ぐ何か。
纏う布も被ったケープのフードから零れる蒼天の髪も、すっかり水気を含んで濡れそぼり。
眠気の間を縫って時折周囲へと警戒の視線を巡らせる姿は、草原に身を隠す小動物を思わせる。

「…………っ……」

帰る場所は今はなく、辿るべき標は霞み、道の先は漠然として見えず。
余り布で止血だけを施した傷の痛みよりも深い、言いようもない寂寥が昏い微睡に沈むのを邪魔するものだから。
ただ只管に雨に奪われる体温に睫毛を震わせ、何かに怯えるように縮こまって無機質な壁に強く体を寄せた。

//>>313と併せて募集します
328白|五刻 迷|壁◆</b></b>bU0CEuzUjA<b>[] 投稿日:19/08/13(火)23:36:42 ID:kyi [1/1回]
>>325

「死にたいなんて思ってない、いっきのびるために、神待ち中。ぎ、ど、らが神じゃないなら、さまはつけない」

座ったまま、ぎどらをみつめ無表情で淡々と反論し生意気さに対抗する。ぎどらと発音練習しながら。

赤い硝子の瞳のウサギのぬいぐるみの頭を傾げさせ、両手をぎどらに差し出させ、声色をイケメン風に変えウサギになりきり質問する。

「ぎ、ど、らは迷の神か?ジョシュアは気になる」

ジョシュアとはウサギのぬいぐるみの名前
329師子王 莉音◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/13(火)23:51:31 ID:DjP [6/6回]
>>327
「…梅雨、あけたんですけどねえ?」

気配もなく、音もなく、唐突に声だけを発して。

「こんばんは、団長ももう少し皆さんの事を考えないと、ですよね?」

散り散りとなった解放師団の中において。
悲壮感もなく次なる一手に邁進するものは多くないだろう。
しかし案の定、師子王莉音は予想に漏れず少数派である。

「せめて第二、第三のセーフハウスは用意しておくべきでした。
 急な事でしたし、準備が甘いという点では団長だけを責めるのも酷ですかねえ?」

相も変らぬ舞台芝居染みた所作。
さした傘をクルクルと上機嫌に回してルクレティアを見ている。
久々に出会った友人を。
330猪狩ぎどら◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/08/13(火)23:52:24 ID:Pum [2/2回]
>>328

「生意気な……ぎ、ど、ら、さ、ま、は貴様の神だ。あたりまえだろう。知らなかったのか」

何処の世界に、ここまで落ちぶれた神がいるのだろうか。
ボロ布じみて傷めつけられたマントはともすればそれらしく見えなくもないが
その下にあるのは左腕を失った傷だらけの体だけ。
現状は彼女と変わらないのだけれど。

「ジョシュアなど、ぼくはしらん。ルクレティアとモニターマン……あとはブラックジョークだったか。横文字の名前はそいつらしかしらん」

「……だが、ぼくが神であることに変わりはない。そして、ぼくが更なる神を紹介しよう。神と神である。理解できるか。壁のとボロうさぎ」

威圧的ながら、どこな焦っているようにもみえるぎどらの言動。
彼は早い話、五刻迷を回収し、それを手柄に鬼頭邸へ足を踏み入れたいだけなのであった。

「……貴様やルクレティアは平の団員にしては腕が立つからな。第三旅団で拾ってやるのもやぶさかではないといっている」

つまり、彼は病的に素直でない。
331ルクレティア◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/14(水)00:15:52 ID:n6y [1/4回]
>>329
不意の声にびくりと大袈裟なまでに肩を震わせて、けれど耳朶を揺さぶる響きは覚えのあるものであったから。
緩慢な動作で顔を上げれば、黒布の際から覗いた深緑の瞳が蜃気楼を宿して夜雨に揺れた。

「…………莉音さん」

久方振りに声を発したからだろうか。いつもより、ほんの少しだけ掠れた言葉尻。
冷たい雨に凝り固まった筋肉が仄かに解れて、細やかな気の緩みを滴る雫に呈する。
それは孤独の海から掬われた安堵と、空虚からの解放への期待に所以するものではなく。

「よかった……無事、だったんですね」

純粋に、健在を喜ぶが故であった。ずっと詰めていた息をほうとゆっくり吐き出したのはいつ以来だったか。
心身に余裕があるわけではないだろうに、薄らと湛えた微笑みはどこか疲れきっているようでもあった。
332白|五刻 迷|壁◆</b></b>bU0CEuzUjA<b>[] 投稿日:19/08/14(水)00:26:17 ID:yuQ [1/2回]
>>330

神であるという意外な答えに真剣にぎどらの目を見つめる。左頬に絆創膏の少女のその目はおどおどしていない、覚悟の決意を秘めた視線。但し、相手が同年代だから動揺しないというのがこの場合大きい。

「本当?神は、ま よ い、に暖かい寝床と食べ物を用意して代わりに、わったしはこの身を神に捧げる。ぎどらさまにその覚悟あるの?そっの体で迷を守れるの?」

「それに、ほっかの……神?第三旅団……?莉音が旅団長で私が副長になるはずなんだ。だんちょは潜伏って言った。敵に目付けられてるのに団が集まるのは危険だよ」

そして、再びウサギになりきり顔の前で掲げてウサギの両手を激しくばたつかせて激しい口調で

「ジョシュアは俺だ!ぼろウサギじゃねーぞ口に気を付けろ!ゴホッゴホ!」

調子にのり過ぎ、咳き込み苦痛の表情で、震えながら左脇腹を押さえ前のめりに縮こまる少女。ひびいった肋骨から響く刺すような痛みに堪える。負傷部を体に密着型の薄い壁でギプス代わりにして固定しているが、激しく動いたり話したりすると当然痛い。
333師子王 莉音◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/14(水)00:35:56 ID:lA7 [1/4回]
>>331
「無事?当然でしょう。頼りになる身内もいますし、今のボクは第九旅団長ですよ?
 そう簡単にやられる訳がないですし、やられる訳にもいきません。
 まあ、まんまと餌につられて敗走の為体を晒しているのですから大言壮語な感じは否めませんが」

相も変わらず根拠があるのかないのか知らないが自身に満ち溢れた物言いと振る舞い。
ルクレティアが抱えているものを察しているのかいないのか。

「ボクも目の前の相手を圧倒するのに夢中で周りが見えていませんでしたからね…
 皆さんの状況を打破できなかったのは不徳の致すところ、でしょうか」

今更傘をルクレティアにさした所で意味はないと知りつつ。
莉音は無遠慮に近づいていくとその真正面に立ち、しゃがみ込む。

「…全く、先ずはご自身の心配をなさいな。
 怪我だって満足に治療出来ていないんじゃないですか?」

どうにも困ったような、泣き出しそうな、それでいて笑顔を作ろうとしているような。
常々自信に満ち不敵な笑みを浮かべる莉音らしからぬ表情がそこにある。
334ルクレティア◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/14(水)01:07:31 ID:n6y [2/4回]
>>333
半端な屋根よりも頼れる傘を頭上に迎えても、ぱたりぱたりと雫が毛先から落ちて路面を叩く。
目線が同じ高さになれば、街灯すら遠く離れた夜の裏路地でも互いの顔はよく見える。
心なしか顔色が悪いのは、厚い雲を掻い潜った月光が見せる悪戯ではないのだろう。

「不徳なんて事は……生きて逃げられただけ重畳でしょう」

空模様を写し取った灰色の現状でもなんら変わらないように見える莉音の態度に、流転の中の柱を見て愁眉を開き。
けれどその裏に隠れた似つかわしくない感情の色に、どうしたものかと困ったようにまた肩を縮めて。
口を開いて言葉を紡ごうとした空白の吐息が、困惑に揺らいで雨音に溶けた。

「……いえ。これくらいは、大丈夫ですから」
「莉音さんも、こんな所にいてもあまりいい事はありませんよ」

気まずそうに目を逸らして、どう見たって強がっている言葉。
雨を凌げる場所に移動しようともせず、今も体温を奪われ続けているというのに。
友として向けられた憂慮の眼差しを、どう受け止めればいいのか分からなかったから。
人に頼ることを苦手とする彼女は、ゆるりと首を横に振って虚勢を紡いだ。
335猪狩ぎどら◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/08/14(水)01:22:17 ID:3Eu [1/7回]
>>332

「……なんだと」

こちらを見据えた迷の目を、ぎどらの高圧的な視線が捉えた。
瞬間、空気が質量を有したかのように迷の周りに絡みつく。それは錯覚ではない。
ぎどらによる異能の行使だ。

「それは、謀反を企てたということか。我が女王に牙を剥こうというのか」

先までの感情的な猫の鳴き声のような声色でなく
熱の抜け落ちた声で問い掛ける。絡みついた空気は徐々に弱った彼女の体を締め付けるだろうか。
ぎどらは手負いではあるが、自身に彼女を処分する力は残されていると誇示しているのだ。
我が女王、即ち第三旅団団長への反逆の目は予めつむべきと。

「ふん。……冷静に考えれば、貴様のようなぽんこつが謀反など企てられようはずもないか」
「だが、我々が再び集わなければ力を失いつつあるというのも事実だろうが! 」
「頭を使うのだ、壁女。そして、イカれたうさぎめ」

「それとも、野垂れ死にたいのなら、最初に言ったとおりだ。海に身を投げて死ね。餌を待つだけの家畜には神などいないのだからな! 」
336師子王 莉音◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/14(水)01:43:39 ID:lA7 [2/4回]
>>334
「ええ、お互い次がある。これほど喜ばしいことはないでしょう」

一度顔を伏せ、再度ルクレティアを見つめ直した頃には、
『師子王莉音』としての立ち居振る舞いは無論表情にだって宿る訳で。
何やら強がりを見せるルクレティアをジィと見つめる。

「こんな所にいて良い事ないのは貴女の方でしょう。全く…ホント全く貴女と言う人は……」

はああぁー…と盛大に呆れたとばかりの溜息。
頭を振って全くどうしようもないぜと陽気な黒人バリに肩を竦め、そして不意に立ち上がる。

「なーにが大丈夫なもんですか!
 そもそもアイスピックを得物にしてるって聞いた辺りからなーんも大丈夫じゃないんですよ!
 折角縦横無尽に空間移動できるのに何故近接!まだパチンコ使った方が能力が生きますよ!
 って言うか貴女そもそも戦い苦手でしょうに!変な所で協調性示さなくていいんですよ!!」

公言もしなければ本人にも、何だったら独り言でさえ言った事はないが。
血気盛んな連中が騒ぎを起こす中、店先で帰りを待っていてくれる時のルクレティアが莉音は好きだった。
彼女がアイスピック片手に遺宝を手に帰還したと聞いた時にはある種の喪失感すらあった。

だがそれは莉音が勝手に抱くイメージに齟齬が起きただけの事。
そのやるせなさを本人に当たり散らすなんて子供のやる事だ。
『師子王莉音』はそんなことをするような者ではない。

だから今、ルクレティアの目の前で感情を露わにしているのは。

「ええい、まったく、ほんとに、仕方がない人ですよ貴女は!
 こちとらすまし顔の裏で必死に貴女や迷さんを探してんですからね!!
 どれだけ心配させんですか!なに強がってんですか!!
 助けて欲しい時に助けてって言ってもらわなけりゃ何も出来ないじゃないですか!
 ああ、もういいです、そっちがその気ならこっちも勝手にさせてもらいますからね、確保ぉッ!!」

めっちゃ早口で大声でまくし立てて温度こそ感じない白い炎を身体から時折噴き出しているその少女は。
ルクレティアを身体に見合わぬ剛力で抱え上げる。

「万が一億が一を考えて前々から用意してたセーフハウスに行きますよ!
 別にボクはそこに潜んでませんけど!何せお金持ちなので?ちゃんと自分の家持ってますし!
 貴女みたいに宿無しの路上生活も満足にできない人の為の場所ですよ、ザマーミロ!!」

最早目の前の少女は誰だ?といった具合。
337 : 白|五刻 迷|壁◆</b></b>bU0CEuzUjA<b>[] 投稿日:19/08/14(水)02:10:01 ID:yuQ [2/2回]
>>335

まとわりつく空気に背筋に寒気を覚え疲弊していく壁少女。震えて焦って、脇腹をジョシュアごと抱えながらキョドりながら訂正する。
締め付ける空気に負傷の痛みが増して苦悶の表情を呈して、涙目で

「うぅ……くっぅ……ご、ご、誤解させる言い方で悪かった、謀反のつもりなんてなない、第三旅団かはしらない、莉音が旅団長になったら私が副長って話したことあっる、そっれだけ……
 莉音が第九旅団長で、その莉音とした話が続いてるなら、そうなるかもってだけ、第三旅団との関係はわっわっすれて……」

わかってくれるだろうか。だめでさらに襲われても今、こんなところでこんな不調な体調状態で、しかも同じ解放師団員相手に戦うことは考えたくない。

そして、ぎどらの雰囲気と厳しい口調に圧倒され気味で気弱な声ではあるが、自分の考えをきちんと主張する。伏し目がちではあるが……

「考えちっがう……あんな騒ぎのすぐ後で何人も団員が集合すれば目立つ。潜伏は目立たないこと。ほとぼりが覚めるまで、目立つのダメ。わったしはちゃんと考えてる。ジョシュアもそうしろって」

再びジョシュアを掲げて自分の顔を隠す。
気弱で自信のない性格の迷にとっては、例えぬいぐるみであっても味方な設定のジョシュアがいることが、相手に圧倒されないメンタルになれるのだった。

「そんな攻撃的な言葉とか、自殺のあっとおしとか聞きたくない!迷の神はそんなこと言わない、そんなこと言うのわったしの神じゃない」

フードを深く下ろして目を隠し、ジョシュアを胸に抱き締めて左にぷいっとそっぽを向く

「迷は神の家畜でもいい。神は迷に価値を見いだしてくれるの。死ねなんて言わないの」
338 : 仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/14(水)02:17:51 ID:XEH [1/2回]
年確に摘発を恐れいつもコソコソとコンビニで酒を買うアキラ
それが一転、今日は柄にも無くバーで堂々と呑んだくれていた
ウォッカにジン、スコッチ、スタウト。故郷の銘柄を中心に安酒をしこたま飲んで
飲み過ぎだと店主に追い出されて行き場も無くなり、上矢の夜道を彷徨うのだ

「……うぷっ!?」

据わった眼。ほんのりと紅く染まった頬は急激に色あせて土気色へ
普段からそれ程酒豪な訳でもないのにストレスの矛先を酒へ向ければ当然こうなる
こみ上げた吐き気に口元を抑え、千鳥足になりながら側溝の近くへ駆け寄り

「おええぇええッ……!げぼっ……ぐぶッ……!!」
「はァ……けほけほッ……ペッ……」

嘔吐するのは言うまでもないが、中身はほぼ酒。食べ物は小さなカスほどしか見当たらず
急性アルコール中毒ギリギリラインの朦朧とした意識の中、口に残った吐瀉物を集め唾のように吐いて

「……ッ!」

その中に存在する筈の無い濃い赤が顔を覗かせているのを見て、アキラは血相を変える
酔いが覚めたような思いだったがそれも錯覚、逃げる様にフラつきながら路地裏を歩く

「はァ……クソ……」
「クソッ……ちくしょう、クソッ……!」

舌打ち混じりの悪態は、いつしか涙声となって上矢の夜に溶けてゆく

//ソロールです
339ルクレティア◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/14(水)02:20:08 ID:n6y [3/4回]
>>336
自分でもうまく言葉にできない胸の内の蟠りに蓋をするように、まっすぐな莉音の視線から顔を横に向けて逃げていたが。
突発的な噴火を思わせる急な起立に肩を跳ね上げ、あまりの事態に目をぱちくりとさせて呆然と硬直。

「ぁ……ええと……その、っ……」

激情に任せて叩きつけられる言葉の渦に、すり減って鈍った頭は到底追いつかなくて目を白黒させるばかり。
何かを言い返そうとしても消耗した精神で咄嗟に反論が思いつくはずもなく、無意味な呟きが悄然と烟るだけ。
元来の力の差と根底に巣食う卑下からして、彼女を抱え上げるのは手負いでなくても可能であろう。

「別にっ……強がってなんか、いません。濡れて風邪をひいても知りませんから」

碌に抵抗する暇もなく腕の中に収まってようやく状況を飲み込み、かろうじて口にするのはやはり痩せ我慢。
疲弊して単純な回路に逃げがちな思考は子供じみた言葉を誘発し、けれど打破のための手早い最善もまた是とする。

「…………ありがとうございます」

囁きにも満たない謝意。くたりと力を抜いて体を預け、緩やかに瞼を閉じる。
そのまま目的地に着くまでおとなしく温もりを享受、自分から沈黙を破ることはなかったが、浅く短い呼吸音は最後まで眠りに落ちていないことを示した。
340師子王 莉音◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/14(水)02:35:54 ID:lA7 [3/4回]
>>339
「全く、本当に……はぁ…中々の失態を晒した気がするんですが」

立ち居振る舞いからしばしば忘れられがちだが師子王莉音は未だ中学生。
まあ、身長等を見れば勘違いをする事はないが…

目を閉じたルクレティアが莉音に運ばれていった先は車内のようである。
「ツクヨミ」と短く莉音が声を発したぐらいで後は静かなものだ。
そうして無言のまま車は莉音の言うセーフハウスに着いたらしい。

車のドアが開く音。
抱えられる感覚。
しかし先ほどまと違う感覚。
ルクレティアを抱き上げている人物が変わったらしい。

目を開けて確認すべきだろう。
これからの新居を共にする存在だ。
…いや、新居、なのだろうか?

ルクレティアを抱えてセーフハウスを見上げているのは
長身でしっとりとした黒長髪が目立つ黒スーツ姿の大人の女性。
見上げるセーフハウスには看板が掲げられていた。
『メイド喫茶 ムーンライト』
何度見ても、そう読める。

//
眠気もあれなので此処で〆させてもらいます
セーフハウスに関しては早ければ今日の夜にでも設定を
お疲れさまでした
341 : ルクレティア◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/14(水)02:49:22 ID:n6y [4/4回]
>>340
泥よりも重たい体をシートに沈めて、柔らかな振動に身を委ねる。
瞼を持ち上げるのも億劫なのだろう、それにしてもちっとも周囲を伺おうとしないのは些か油断がすぎるのだが。
信を置いているとも言えるがしかし、その相手が変われば話は別。

「…………あの……?」

おそるおそる目を開けて、淑やかな雨に打たれるのは不審と不安の入り混じった面持ち。
見知らぬ女性に知らず緊張する全身、ゆっくりとその視線を追いかけて。
看板の文字を左から右に、末まで読んだらまた左端へ。忙しなく往復すること幾度。

「…………――」

やがて脳が視覚情報の理解を突っぱねて、眠るように意識を失った。

//お付き合いありがとうございました、お疲れ様でした
342猪狩ぎどら◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/08/14(水)15:48:53 ID:3Eu [2/7回]
>>339

「第九旅団……? あの自意識過剰娘ご旅団長……? まるで悪夢だな。まぁ、第三旅団に関係がないのなら、ぼくは興味もないが」

迷や獅子王が第三旅団への謀反を企んでいるわけではないと認め、警戒を解いてみせた。
よくよく考えれば、第三旅団の主が二人の不穏な動きに気付かないわけもないだろうと。

しかし、第九旅団の設立の真偽はさておいても、獅子王莉音。彼女はこの少女を篭絡せしめたのだろうか。
一団員でありながら、特定の旅団に属さない、この壁の少女を──

「……それもそうである。我が主、第三旅団が女王、舞様は寛大にして聡明な御方だ。我が神ならば、貴様にも価値を見出し、手を差し伸べるのだろうな」

悪かった。彼女はそう詫びた。ぎどらもそれを真似て、悪かったと、少しだけ、ほんの少しだけ頭を下げた。
獅子王が第三旅団から抜け、一旅団長にまで成り上がろうとしたように、自分もまた成長をしなければなるまいと。

「で、あるならば。集合の時を待つ間、貴様はこんな衆目に晒されるような場にいてはならん」
「……我々は面が割れている。気をつけろ。解放師団再興の折に、貴様の戦闘力は有用だ」

故に彼は考える。彼女にとっての神。他人に価値を見いだし、優しい言葉をかける在り方。……難しい。

「……金が必要なら、裏路地を漁るといい。死体の懐に財布があるかもしれん。ぼくは金のありそうな施設に、盗みに入るが、貴様はそこまで器用であるまい……」

そういって、懐から幾らかの小銭を取り出して、彼女に差し出した。
それを受け取れば、彼は不機嫌そうにペっと背を向けて歩きだそうとするだろう

//遅れてすみません……!
343白|五刻 迷|壁◆</b></b>bU0CEuzUjA<b>[] 投稿日:19/08/14(水)17:09:33 ID:uu2 [1/1回]
>>342

「きっつい、はぁ…ふぅ……」

警戒解かれ締め付けが解かれたなら、深く呼吸し、ぎどらの方を向き直り白い長髪が揺れる。

「迷は莉音を気に入っている……ぎどらも少し気に入った……さっきのぎどら恐かった。……かっ解放の為に利用価値あっるから気に入ったってこと」

頭を下げるぎどらに、彼への怯えや恐怖心が鎮まり安心が芽生える。
単純に気に入っているとは言えない。焦り気味で理由付けしないと言えない。

「わったしは顔ちゃんと見られてない、頭巾半分破れてたけっど、ビル影の路地の暗がりであの武装連中とは離れてたし、テレビにも写らなかったはっず」

差し出された小銭は首を横に振り受け取らず

「あーりがとう、だけど……いい。わったしを見くびらないこと。偽装壁で隠密行動でっきる、普通の壁に紛れて忍び込める、盗みする覚悟無いだけ。いざとなったらやるかも……」

フードで目を隠したまま、右手の人差し指を自分の唇に当て、ひそひそと

「ねえ、ひとつ言っておく……迷を本当に必要とする神なら優しく連れてってくれるか、殴ってでも力づくで奪う。
 集まるのは危険って、わったしが言ってるだけ……神の意志が優先……集合が神の望みなら迷は従わなっきゃならない……わかる?ぎっどら」

迷は負傷と空腹と疲労で弱っている。強引に連れていかれれば、ほとんど抵抗できないだろう。わざと、ぎっどらと言った。密かに気に入っている呼び方に加え、感情を逆撫でして彼が暴力的な神になるスイッチになるならそれでもいいと思った。
彼がそのまま去るなら、目の前の少年は自分の神ではなかったと納得するだろう。
344猪狩ぎどら◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/08/14(水)18:06:52 ID:3Eu [3/7回]
>>343

小銭の受け取りを拒否されれば、眉を顰めて溜息を吐いた。吐きつつも彼女の言葉には耳を傾けているようで、視線はどこか興味深げ。
迷のいう偽装壁の正体はわからないが、彼女が潜伏能力に長けているというのは予想外であったから。

そうして「ぎっどら」という呼び名を再び耳にすれば背を向けたままに猫耳をぴこりと揺らし
ぐるりと踵を返して、彼女に歩み寄る。──続くぺちこんという軽い音は
ぎっどらが迷をはたいた音。あるいは防がれたか、からぶって自らをはたいた音か。
彼は異性であろうと仲間であろうと、平気で手を上げるメンタルをもつ。

「ぼくの名前はぎっどらではない。ぎどらである。……そして貴様の名は迷……だったか。ついでにヨシュアも」
「貴様らの能力。気に入ったぞ。ぼくの透視能力と貴様の壁に潜る能力があれば、金を稼ぐのは容易いはずだ」

「……だから、ぼくは貴様の神に〝なってやる〟」
「……貴様はぼくの家畜になれ。迷、貴様は神に、何を望むのだ…」

そして、暴力の後に流れるように身勝手な意見を通す我儘さも。
意訳するならば、協力しようくらいの意味合いだが、威圧的だし、実際にも彼は神として尊大に振る舞うことは間違いがない。

「我が主は、同胞には慈悲深い。……ぼくも善処しよう。…するはずだ。……多少の暴力は覚悟しろ」

座り込む彼女に、手を差し出して、ぎこちなく、ぎこちなく、にこりと微笑む。
尊敬する主君、鬼頭舞の女王としての振る舞いを模倣しようともがいているのだ。
だが、やはり、手を取れば組織内暴力は待ったなしにちがいない
345白|五刻 迷|壁◆</b></b>bU0CEuzUjA<b>[] 投稿日:19/08/14(水)18:57:05 ID:9T7 [1/1回]
>>344

「痛い!」

頬をはたかれ、痛む頬を手で押さえる。ずれたフードから覗く涙を浮かべ怯えた紫の瞳がぎどらをみつめる

「ぎ、ぎどら……ヨシュアじゃない、ジョシュア」

差し出された手を……取らない

「だ、だっから……迷を連れていきたければ……金縛りにでもして縛って連行してってこと……家畜にしたければ強引にして。じゃあ、わったしは路地裏へ行っく」

フラりと立ち上がり、よろよろと公園の外へ向かって歩き始めなる。

そして、キッと睨んで強くぎどらへ告げる

「わたしは莉音の幹部かもしれないんだ、莉音の悪口は許さない、ぼうりょっくで押さえつけておかないと迷は莉音の
とこに行っちゃうかっら」

半透明の白い壁を自分を囲み、ぎどらに立ち塞がるように発生させる。この壁はほとんど実体が無い。今の消耗した体力ではまともに実体の壁を生成する力が出ない。
しかし、迷の抵抗の意志を反映させた壁であり、強い心理的プレッシャーが迷に近付く者に対してのし掛かり接近を阻むだろう。ぎどらが迷をどれだけ強く欲しているか試す壁でもある。迷を無理矢理連行する強い意志があれば壁は彼の接近を防げないだろう。
346猪狩ぎどら◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/08/14(水)20:09:47 ID:3Eu [4/7回]
>>345

「……ヨシュアでもジョシュアでもぎっどらでも、なんでもよい! なぜに外国籍なのだ。そのうさぎ……! 」

傲慢だ! 自分の名前を間違われればぷんぷんと毎度の訂正を挟むわりには他人の名前を間違えても謝罪のひとつすらない。
更に差し出した手を受け取られなければ、こんな状況でありながら、彼の頬は焼けたもちのようにぷっくとふくらんで

「……貴様の中では、ぼくよりも獅子王莉音のほうが優れていると。神に相応しいというのか」
「ならば、暴力に訴えるのもやぶさかではない。……教育してやる」

こちらに背を向けた迷の元に歩み寄る。
だが、それは実態のない白い壁に阻まれた。結界のような概念的な壁なのだろうか。

(面白い力だ…。意地でも手に入れてやるぞ、はぐれの団員、迷宮女の迷めが……! )

壁の中を一歩、また一歩と突き進む。
彼女と同様に痛めつけられた体であるから、あゆみは遅いが…

「……ハウスだ。迷。ジョシュア。貴様は、ぼくのものだ…あの生意気な獅子王になど、くれてやるものか……! 」

そこで獅子王の名を出したのは安い挑発と意地ゆえの本音だ。
壁に体を軋ませながらも、ぎどらは彼女に歩み寄る。
そのぎどらの左半身からは輪郭を曖昧にした巨大な骸骨じみた〝左腕〟が伸び、迷の体を捉えようとするだろう。
それに捕らえられれば彼女の言う通り〝金縛り〟にでもあったかのような感覚に陥るはず。
まぁ、それでも、逃げ切れる程度には遅々とした接近ではあるが
347志垣 仁 ◆</b></b>YUffmOEkuc<b>[sage] 投稿日:19/08/14(水)20:10:18 ID:q8G [1/5回]
───例え彼らの望み通りに今のこの社会、もしくは文明が崩壊したとしても、この暑さは変わらないのだろう。
うだる様な暑さの外に出る者など、ロビーで休まる入院患者にはいない。それはシートにふんぞりかえる志垣仁も例外ではない。
ガウンめいた入院衣に包帯だらけの総身を包み、覗く右腕は清涼感のある白い義手。左腕はギブスに覆われ、痛々しい姿。
義手の方は、『腕』を隠すためのがらんどうなカバーに過ぎないが、事情を知らずに側から見れば両腕を潰されたかの様な有様。
にも関わらず、その事に堪えた様子の見られない立ち振る舞いは、ある種異常か。

「………」

頬のガーゼを硬い指先で一度撫で、鼻で自嘲の笑いを漏らす。毎度毎度手酷くやられるものだ。
憂慮すべきは、矢張り解放師団に素性が割れてしまった事か。捜査官としては失格だろう、流石に反省。


気がかりはまだまだあるが、今は考えてもしょうがない。とりあえずは新しい素性の手配でもして、後はゆっくり休もう。
──考え事が災いしたか、アイスコーヒーで満たされたカップを口に付けようとして、右手の力の調節を誤り握り潰してしまう。
噴き出たコーヒーによって茶色に濡れた顔で、同じく汚れた包帯と入院衣を一瞥。今日に入ってから何度したかは最早数え切れてないが、志垣はまた溜め息を零した。
348双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/14(水)20:21:14 ID:I6R [1/5回]
>>347
通りがかる際にピシッ、という亀裂の走る音を立てた水晶を確認するために近くに座り、背を向けて鞄捜索。
また傷が入った、と眺め出してから一瞬の間を置いて立てられた音に思わず振り返り。
どうしたどうしたとばかりの様子であるが手負いの様子を見れば双葉でも何となくの察しがつくというものか。
自分も脚をまだ痛めてたり、右目付近はまだ包帯眼帯の下なのだから。

「……大丈夫か、ですか? 交換してもらいます?」

明らかに取って付けたような敬語で話し掛けるマスク姿の青年。
病院の患者衣はそのままに、背中に付着したコーヒーに気付くこともなくである。
なお包帯はなぜか自前のものを出してきてアピールである。特に意味はないが。

「その怪我、やっぱりあの件で?」

//もしもよろしければー……
349志垣 仁 ◆</b></b>YUffmOEkuc<b>[sage] 投稿日:19/08/14(水)20:38:25 ID:q8G [2/5回]
>>348
「いや……後で看護師さンにやってもらうから……。スマンな」

中々盛大に吹き出したコーヒーは、背後の人物にも容赦なく降りかかる。前も似たような事あったな、なんて思いながら確認しようと振り返ると、丁度目が合った。
気まずそうに一度視線を右に泳がせ、『アー……』と少し考え込んでから口を開く。

「…山に芝刈りに行ったら熊に襲われてなァ。生き地獄に合わせたったわ。熊の方を」

言い終えてから溜め息を零すと、肩を竦めて首を横に振った。
今更誤魔化しようもあるまい。ある程度なら明かしてもよかろう。


「……そンなトコやな。大騒ぎしてたから見に行ったら、師団?とやらに巻き込まれてドカン」
「何か言われる前に言っとくと、こっちの腕は関係あらへンからな」

あくまで巻き込まれた第三者として、青年の言葉を肯定。思い違いでなければだが。
付け足す様に白い右腕を軽く挙げて示すと、気まずそうに彼の肩を指差し、ターンでもさせようとするかの様に指先を回す。

「オタクも付いとったで。コーヒー」


//こちらこそよろしくお願いしますっ
350双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/14(水)20:53:37 ID:I6R [2/5回]
>>349
包帯はしまって相手の目が泳ごうが逸れることなく視線が向き続ける。責めてる訳ではないのだけど。

「今時芝刈りて、熊出没注意の立札の申請はしました?」

「ああ、そりゃまた不運なことで。こっちも同じようなもんですわ、腕は熊と?」

双葉の方も、公の場で踏み込んだ話をするほど気遣いしない性格ではなくなってきているらしく頷いていた。
ただし、芝刈りの方をわりと本気で信じ込んでる面はある。腕への言及から熊が隠語だと扱うにしてもその職はどうだろうか。

「え、マジで? 盛大に飛んだもんだな」

一瞬というにはやや長いが双葉は自分の首を180度後ろに向けると傾けて位置を確認していた。
その後に関節の概念を度外視した腕の動きで背中のシミを丹念に取り除こうと専念中。まともな人体の動きに慣れてるほど違和感しかないだろう。

「師団との例のも大変みたいですよねぇ、何が大変って俺運んだのが師団とやり合ってた側の人員って可能性が」
「何も無ければいいんだがね、そっちは何か見れました?」

敬語とか色々直すべきところが見える人物である。しかして、例の事件の話は御免といった態度を取れば話は変わるだろうが。
関わろうとしたのは、鞄から覗くひび割れた水晶の導きとでも思ってるからでもあって。

//ありがとうございますっ
351白|五刻 迷|壁◆</b></b>bU0CEuzUjA<b>[] 投稿日:19/08/14(水)20:56:48 ID:iYh [1/1回]
>>346

「ジョシュアはジョシュア!」

「やっれるものなら、来なよ!」

挑発的な誘う目線で、ジョシュアの右手をこいこい、という風に動かす。
そんな挑発的な、迷の余裕な態度は次第に硝子のように砕けていく

少年の意志は強く、概念的壁の心理的プレッシャーを押し退けて近付いてくる。
それを畏れと怯えの表情で、加えて疲労し、良くない顔色でみつめる。

「ハウス……家がどっうした?ぎどら、は、わったしと変わんない子っどもじゃないか……あ……わったしを満足さっせられる男か?添い寝したり、苦いしそを食べさせたり出来ないだっろ!」

最後の強がりも潰えて怯えた震え声になり

「嫌、だっめ、こっないで……わったしは莉音のとこ……」

左腕に捕らわれる前から迷は金縛り的状態になっていく。それは、プレッシャーの壁を押し退けられたことへのショックや、恐怖や怯み等の諸々の感情がない交ぜになったせいで。
逃げられない、もはや抵抗する力も殆ど無いのだ。
それは、巨大な左腕に捕らえられたことで確定的なものとなる。

「うぅ……くぅ……」

金縛りの締め付けに身体が痛み、苦悶の表情で細い苦鳴を漏らす。
最後に、少年を鋭い眼光で睨み、一際強力なプレッシャーの白壁を周囲へぶつけるように放つと同時に気絶する白壁少女。フードが外れ白い髪が乱れ広がりぐったりとする。
巨大な左腕もぎどらも、その最後の抵抗に耐えれば、少女の抵抗はそれでおしまい。迷をどうしようと、何処に連れていこうと、全て少年に委ねられることになる。
352志垣 仁 ◆</b></b>YUffmOEkuc<b>[sage] 投稿日:19/08/14(水)21:16:32 ID:q8G [3/5回]
>>350
「可動フィギュア?」

『通報と一緒に済ませた』と簡単に流そうとして、グルリと回る首にギョッとした表情。
超人犯罪の対策部隊と言えど、こんなものを見るのは流石にそうは無い。能力の仕業と分かっても、怪訝そうな目は向けたまま。

「ガキの頃、ちィとな。そういう事にしといてくれや」

それでも右腕については誤魔化した。少なくとも、あまり聞かれたくはないという雰囲気は出てるはず。


「ふゥン、師団員がねェ。怪我人搬送するくらいの理性はあった、いうワケか」

『敬語使わないンかい』と短く突っ込んでから、少し意外そうに声を上げた。
全員が全員他人を殺す様な人物とは限らないと分かっていても、あの場に加わっていた様な者だ。いくら超人と言えどわざわざ病院に連れて行くだろうか?

「オレ?オレはぜーンぜン。何か警察の連中とかがワチャワチャしとったのは見えたな」

質問には手をヒラヒラと振って否定。見たどころか当事者の一人だったのだが、嘘をつくのは慣れたもの。
その最中、抜け目無い目は鞄の中の微かな輝きを捉える。片方の眉を上げて覗き込もうとしつつ、話を逸らすように指差した。

「それは?割れ物持ち込んじゃアカンやろ、捨てる時は牛乳パックとかに突っ込ンで捨てるんやで」
353猪狩ぎどら◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/08/14(水)21:28:36 ID:3Eu [5/7回]
>>351

「馬鹿を言うな。ぼくは添い寝もできるし、貴様の口にシソをぶち込むことも容易い…! 血管にしそジュースを注射してくれるは…! 満足しすぎてぶっ倒れろ!
んぎぎ……! 」

ぎどらを突き動かすのは意地と反骨心。
ああいえばこういい、避けられれば追いかける。
メンタルの構造がぐっちょんぐっちょんにひん曲がっている。
先日のアジト襲撃から少し落ち着きを学んだきらいもあったが、それはこの局面でガタガタに剥がれ落ちて──

「……んん゛に゛ゃぁぁあ゛ぁ゛!! 」

最期の強いプレッシャーに、にじりと足を踏み締め、空に向かって叫び声を上げた。
明らかに無駄な蛮勇。やっていることはただ同じ組織の仲間を痛ぶっているだけなのに
ぎどらは何か偉業を成し遂げたかのように叫ぶ。叫び、耐え切り、骸骨の腕で彼女の体を空に掲げた!

「……ん゛ぼっくの勝ちであるッ!! どうだ…迷、ジョッシュア……。このぼくを認めるか、ええ、どうだ…!? 」

ファーハッハッハと高々な笑い声を上げて
一通り満足すれば、彼女のことは地面におろし、そのままずりずりと連行……

「……まぁ。我が女王の寝首を掻かれてもかなわんからな。獅子王の居場所がわかるのなら、そこにいくのもいいだろう」
「神は激しく。神は寛容なのだ。ふはは! これもまた慈悲…! 」

……せずにパッと離してしまうのだ。
言葉通りの理由なのか、彼女の獅子王への忠誠を面倒に感じたのか、ただ疲れただけなのかは、わからないが。
354双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/14(水)21:32:38 ID:I6R [3/5回]
>>352
「どこにあるんだ?」

また首がぐるりん。双葉はわかってそのリアクションをした。
もしも触れたりすれば浮いてしまうので能力行使中である。心臓に気を遣うべきだ。

「少年時代の傷か。…………傷か」

誤魔化せた。もちろん雰囲気も呑んだ。返事の際に撫でる双葉のマスクだって隠すためのものだ。
だから決して、中学生のアレな時期を一瞬過らせたとかはない。ないったらない。


「あの場だとほとんど逃げてたけどな解放師団、俺もサイファーの方にやられるかと思ったけどそうでもなかったし」

超人に対する態度こそあれど双葉としても搬送がなされたことは意外に映るらしく。知り合いが一人居たが上まで思想がそうとは思わなかっただけ。
解放師団の側が結果的に撤退の形を取った末の結末だが、双葉自身は関わりがあると思われなくて何よりとした具合である。

「おー、そりゃ余計に不運じゃねえか、じゃないですか。巻き込まれ体質はラノベの主人公だけで良いわ」

敬語がクソなほど下手くそである。言い直しが遅いし、すぐに砕け散る。

「ん? ああこれ実は占い師やってた人から貰ったんですけどね、少なくとも――日の後に急に割れて何かあったのかなって思って」
「知ってる人が居りゃ良いんだけどな――」

口にした日取りは、志垣にとってある人物との戦いの日取り。
覚えていればの話だが、何か因果を感じさせても不思議じゃないか。それを本能で察して、その後呟かれるだろう名前を遮るのもまた、一つだ。
彼とその人物との関わりは薄いもの。水晶を貰った関係だから。
355志垣 仁 ◆</b></b>YUffmOEkuc<b>[sage] 投稿日:19/08/14(水)21:52:04 ID:q8G [4/5回]
>>354
「ナポレオンズ?」

一回転する首を見てポツリと漏らす。流石に慣れたのか、もういいとばかりに手のひらを向けた。

「真面目な事でな。 多感な時期のファッションで自分の腕を切り落とすヤツがいたら、それこそ問題や」

分かってはいると思うが、釘を指す。


「オマエがこれまでに反社会的な活動をしていたならまだしも、そうでないならそいつらに理由も無いやろ」

サイファー──そんなものは存在しなかったが──とて、超人全てを敵に回しているわけではない。
怪我人がいれば助けはするだろうし、抵抗出来ないぐらいに傷付いていればそのまま死なせもしないはずだ。そこに関しては特におかしい事はないだろう。

「──────」

そして、告げられた日時を聞いた時、元々あまり変化の無い表情だったが、顔はほんの一瞬固まった。
それでも、分かりやすく感情のさざ波を見せる事は無いのは、腐っても諜報員という事か。深く息を吐き、怪訝そうに眉をひそめた。

「大方、良くないもの?まされたンやろ。捨てる時は自治体のヤツに従えよ」

彼が選んだのは隠す事だった。呟かれそうならその名前を遮ってでも。
話ぶりからして、あの男と深い関わりがあったわけでもないらしい。ならば、知らないでいるのもまた一つの答えとなるのだろう。

「忘れる事やな。今頃どっかにトンズラこいてるカモ」
356白|五刻 迷|壁◆</b></b>bU0CEuzUjA<b>[] 投稿日:19/08/14(水)22:01:38 ID:TXQ [1/1回]
>>353

地面に下ろされた拍子に意識を僅かに回復してぎどらの言葉を聞く。
右手をぎどらの方へ伸ばし

「こっこまで来て、それは……なっい……敗北した迷は当面は家畜に甘んじてあげるというの……だっから、気概をみっせて……連れてって……歩いてつっいていくから……手をかして……放置しっないで……ぎどらさま……」

薄目を開け、弱々しくうわ言のように嘆願する。気絶しても目覚めてもジョシュアは握ったままに

「子どもが子どもに無理矢理シソを食べさせるなど……そんな事がでっきるなら……証明してみっせて……もう、お腹減ってろくにうっごけない、シソは直じゃなければ何かと一緒なら大丈夫でっす………ちっがう、直でも注射でもいいから、お腹減ったの……連れてって……」
357双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/14(水)22:11:29 ID:I6R [4/5回]
>>355
(誰だろう)

世代差。筒を被って行う芸も馴染みに深浅の差が出るくらいに。
特に音も立てず首の回転を止めた双葉にかかれば人間切断系は御得意の類なのは言うに及ばずなのは別の話。

「そういう時は一度発症したフリをしてから突っ込むといい、と思いますぜ」

嘘か真か、受け答えから腕を切り落としかねないまでの怪我になった可能性を嗅ぎ取ってしまった。
勿論、それが例え話なだけの可能性もあるがきっと中には。それをより大きな心配や苛烈思想に変えてしまう者も。


「うーん、………………うん、反社会的活動を働いた覚えはないな」

見逃し、隠匿、許容。いずれもしたが言い訳としての言葉も彼は備えている。
触れられなければ大したものでもない、間を空けたのはツッコミ待ちの色が強い。そのくらいには精神がやや硬くなってる。
やっぱ優しいなー、という呟きはどこか皮肉にも。


一瞬変わった表情を彼が指摘することはなく。その日はきっと何があってもおかしくない日。
名前を持ち出さねば誰を指すかわからない、開けるまで中身のわからぬ箱のようなものだ。

「そんな……確かにこれを貰ってから目をやられたりやべーのに会ったりやべーところに遭遇したりしたが……ん」
「まあ、俺はともかく一緒に居たのはショックかもなー。トンズラなんて言ったら余計に嫌われそうだから言えねえが」

割れた水晶玉、思い返せば意図に反して結構不運が続いてる気がしなくもないが偶然というものだろう。
そうじゃなければ、元の持ち主が変わった時点で割れるはずだから。
しかし、そちらにとって複雑なのは。他にも人が居て、そして少なくともその人物は関係が深いというもの。
――彼に悪意はなく、遺志を継いだわけでもない。何も知らないからこそ告げられる内容はここで終い。その同伴者の名を訊ねるも、調べるも志垣次第。

「ところでいつになったら替えは来るんだ? いい加減ベタつかねえ?」

染み抜きがようやく終わった双葉の発言は空気を破壊しかねないほどに唐突であった。
358志垣 仁 ◆</b></b>YUffmOEkuc<b>[sage] 投稿日:19/08/14(水)22:36:31 ID:q8G [5/5回]
>>357
「あったらこンなとこ居ンなや。ここは善良な市民以外立ち入り禁止やぞ」

妙に考え込む仕草にツッコミ。もっとも、目の前の人物が悪人に見えないからというのもあるが。


「ガチの呪いの品やンけ。捨てる前にお祓い行くか自分の通る道よく考えとき」
「───そいつにも、友達選びは慎重にするよう言っときや」

ウェーとドン引いた表情で身を引く。わざとらしいまでの仕草から、ふざけてやってると分かるだろうが。
その最中でも、興味深い言葉に内心眉をひそめる。解放師団の一部隊長、それに近しい人間となれば、何か知っているかもしれない。
この場で根掘り葉掘り聞くのは不自然なのでしないが、それでも調べてはおくはずだ。胸の奥で何か冷たいものが湧くのを感じた。

「あァ…部屋に戻ってからやな。風邪引きそ」

言われればそこで思い出した様に。舌打ちめいた音を一度鳴らし、全身の包帯には似付かわしくないスムーズな動きで立ち上がった。
空調の効いたここで濡れた服のままいるのは、流石につらい。カップを捨てて、部屋に戻る事にしたらしい。

「坊主も気ィ付けェや。この街も、大分キナ臭くなってきよった」

一応大人としてそれだけを言い残し、そそくさと退散した。

//すみません所用でスムーズな返答が難しくなりそうなのでこちらからはこれで〆で…
//絡みありがとうございました!
359猪狩ぎどら◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/08/14(水)22:39:35 ID:3Eu [6/7回]
>>356

「……貴様、その弱り方でよく大見栄を張ったな……」
「むぅ…。とりあえずは、どこでもよい…ごはんだ…補給だ……」

彼女の有様に思わず溜息。しかし、彼女がここまで疲弊しているのは少なからずぎどらから受けた暴力が起因してるはず。
それを迷惑そうに解放するというのは非常に悪質なマッチポンプだけれど

「無理はしなくてもいい。貴様を失うのは戦力的に惜しいのだ…。自分を大事にしろ」

いけしゃあしゃあと、肩をかしながら鬼頭舞の語録から適当なものをピックアップし、良き上司のように振る舞うのであった。悪質である。

「……ついでに、忠誠を誓うというのなら、ぎっどらでもよい。ほら、歩け……マクドまで歩くのだ……お肉だ。お肉を食え……」

そういって、彼は迷に適当な餌付け(主観)を施せば
以前に鬼頭舞が解放した屋敷か、あるいは彼が個人的に根城にしていた倉庫街のどちらかへ彼女を案内するだろう。
彼女の疲弊が回復するまでは、熱心に透視と壁抜けの合わせ技による強盗方法なんかを教育しながらも、面倒は見てくれるはず……。はずなのだ。

「……ほら。おいももくえ。おにくもくえ。500分たんとくえ! 」

バーガーやらポテトやらを口にねじ込んでくるあたり、扱いはペットとそう変わらなあのかもしれないこど
360 : 双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/14(水)22:51:35 ID:I6R [5/5回]
>>358
「おーっと俺私は善良な庶民だ、安心してくれ」

ツッコミにはチッチッチと指を振っての返答。悪気はないのが余計にちょっと。


「OKOK、呪い方面の友人はあんま居ないが覚えておきますね、通る道も」
「…………あーいあーいさー」

その選択肢は志垣にとって余計な苛立ちを持たずに済んだだろう。彼は友人と見る一人、けれども相手からはそうでないのだ。
自他の認識が決して同じとは限らないと示すように、そのくらいの自覚はある。だからといって一々嫌われてるとも口にしないが。
口にしたらそれはそれでメンタルが脆くなるのだし。

「怪我してるのに風邪まで患ったら大変だな、気を付けてくれよ、同じ生き残り同士」

生き残り、というには語弊があるか。だが他に言い方も見つからない。
部屋に戻る相手をストーキングすることはなく、ひらひらと手を振り鞄を閉じて。

「――――ああ、胆に命じておくよ」

退散する相手の言葉は聞こえなくなる距離で発して、水晶を上から撫でた。

「お前は呪いなのか、幸運なのか、わかんねえなあ」

//了解です、こちらこそ絡みありがとうございました! よろしければまたよろしくお願いいたします!
361仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/14(水)22:53:25 ID:XEH [2/2回]
「ん……寝てた?」

目覚めは見知らぬ路地裏、アキラは重たい身体を引きずって立ち上がっていた
朝焼けに照らされる中、携帯を開き現状の位置を確認。家からはかなり離れて見知らぬわけだと悟る
口元に薄く伸びる血の擦れ後を撫で、そっと袖で拭って初めからなかったかの様に消し去った

「ヤバ、帰らなきゃ……」

時計は八時を過ぎてアキラに焦燥を抱かせる。今日は週に一度のゴミの集積の日
この日を逃せばあと七日ゴミを保有し続けていなくてはならず、それだけは避けたい真夏の日
駆け足に家へと帰る少女の背後、数人の男がある程度の距離を開けて追う

//かなり置きになりますが、絡んでくださる方居れば
362匡美輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/14(水)23:05:42 ID:lA7 [4/4回]
>>361
朝っぱら、ビルからビルへと飛び移る青年一人。
フード付きのパーカーを目深に被っての移動中。

「…ん」

以前であれば見逃していたかもしれない。
今となっては気になる動きをしている連中をに気が付き動きを止めた。

「誰をつけてるんだ…?」

ビルの縁に突っ立って。
青年は不意の風にも態勢を崩さない。
最近は公園でのランニングに限界を感じ、暇を見つけてはパルクールに興じる日々。
身体だけでなく日々己の能力も研磨し更なる高みへと。
そうでなければ…何をするにも未だ足りぬ。
363白|五刻 迷|壁◆</b></b>bU0CEuzUjA<b>[] 投稿日:19/08/14(水)23:14:40 ID:mmq [1/1回]
>>359

「さっきのプレッシャー壁と金縛りで限界きた。それに莉音の場所わかんない、このまま放置されたら死ぬかも」

痛みと空腹と疲労で立つのも苦しいが、ごはんと聞いて少し元気を取り戻し微かに笑む。

「いいの呼んで……誓う。神、ぎっどらさまに従う。左手ないね……かわいそう。右手に掴まっていい?」

神、ぎどらさまに許可されれば迷は右腕に掴まり寄り添いながらよろよろとマクドへ歩いていくだろう。

夕方も過ぎ去り闇が上矢を包みはじめる。

「美味しい、すごい、いっきかえる……しそバーガーはなっいの?」

バーガーにポテトに言われるがままに食べていく。さすがに500分は無理であったが。数日ぶりのまともな食事に至福の表情で至福の時間。

「でも、ぎっどら、こんなとこで警察にバレない?」

空腹が満たされれば現実問題が脳裏をかすめ、辺りをそわそわと警戒して見回す。そして、さま、をつけ忘れたりする。

餌付けされた、その後、どちらへ連れていかれようと傍らの神に任せて迷は文句言わずに付いていく。家畜なのだから、神の決定には大人しく従うのだ。

「ぎどらさま、迷、眠い……」

お腹が一杯なれば眠気が襲ってくる。
眠たげな目を擦り、ジョシュアで口を隠しながら、ふあぁ、とあくびひとつ。

そして、神をみつめ、眠たげな甘い声で……いつもの自分にしては随分積極的だと思いながらも今は家畜なのだからと

「ぎっどらさま、ま、迷と寝っる?」
364猪狩ぎどら◆</b></b>YK7oNDk7CQ<b>[] 投稿日:19/08/14(水)23:54:53 ID:3Eu [7/7回]
>>363

「死ぬのは困るのだ…。というか、知らないのに行こうとしてたのか……」
「む……左腕はな……あの偽物の軍隊。サイファーのやつらにやられたのだ……」

左腕が無いから、右腕をかすことになる。
哀れまれるのは好きではないが、まあ、気分は悪くない。

「……む。結局はしそが好きなのか。嫌いなのか……どっちなのだ……」
「しかしな、どうどうとしていろ、迷。こういうのは胆力が物を言う。公園に長居するのとは違うのだ」

と、いいつつも、ぎどらもそわそわ。
理論ではすぐさま捕まることは無いとわかっていても、逃げられるかには不安がある。
彼女の壁も万全ではないし、食べたら逃げようと。
そう考えれば、すぐには主の元へと帰らずに倉庫街を経由するべきか。

そうして、案内するは廃倉庫の中に設置された簡易的な生活空間のような場所。
主を無くした生活空間をぎどらが発見し、間借りした場所だ。

ベッドは粗末なパイプ製のものだが、彼にはベッドを譲る優しさもなく
彼女の提案には訝しげな目を向けたりするものの

「……ぼくの抱き枕は長いペンギンのぬいぐるみなのだがな。ボロの迷では不満があるが、妥協しよう……」

舐められまいという涙ぐましい努力か。
あるいは主以外、本当に興味がないのか。
自由の効く右腕で彼女を抱き寄せ、布団に倒れこめば……

「むぐう……ぐぐぐ……」

秒で眠りにつくのだ。甘い声も、積極性も、はては寝首がどうこうの話すらも水に流すように。
朝目覚めて彼女に逃げられても文句は言えない無防備さ……。
真の主になれる日ははてなく遠いのかもしれないのであった。

//こちらからはしめなかんじで……! 楽しかったです! また遊んでください!
365 : 白|五刻 迷|壁◆</b></b>bU0CEuzUjA<b>[] 投稿日:19/08/15(木)01:04:16 ID:7qu [1/1回]
>>364

「サイファーには、そのうっでの借、返させる、神の左腕」

「しっそはハンバーガーに入ってるとかなら好きかも、ピクルスみたいに、直に大量はきっつい、いっや」
「あなたが神、神の教え、聞く。聞けば迷は迷わない」

悲報、迷が入れるのは自分で作った超常の壁だけ。なので、忍び込むにはあらかじめ偽装壁(周囲の壁に似せた壁)をターゲット建物内に生成してその中に潜伏し、深夜こっそり抜け出し盗みをするなど頭を使わないとならないのです。
盗賊になることを躊躇している迷だが、ぎどらさまの命令なら了解することになる。

「ボロで悪かった、シャワーあっる?……あぅっ!あ、えっ……と……」

思えばほこりや汚れが気になる、ジョシュアも汚れてきて洗濯したい。
けれど、抱き寄せられ抵抗するまもなく布団にぎどらと一緒に倒れ込む。神待ちをしていたのだ、当然こうなることも覚悟していたが、想定していた相手は大人の男の人。
しかし、目の前の相手は自分と同年代の男の子。いったいどうなるのかと、心臓が高鳴り目を瞑り、頬を赤く染めて縮こまる。
だが……

「あっれ……寝ちゃった……?」

驚くべき早さのスリープモードに驚きと少々拍子抜けした呆気に取られた表情でぎどらの寝顔をみつめる。

(かわいい寝顔……ていうか、ぎどらさま、めちゃくちゃかわいい、じゃん)

ほっぺたを触ろうと手を伸ばしかけるが、神に勝手に触るのは畏れ多いと思いとどまる、がやっぱり、ちょこんと指で触れてみた。

(添い寝にしては大胆なことする、でもまだまだこっども……おっとなな接し方、知ってるはずないか……おっとななら犯罪?でっも無法地帯なこと。わったしみたいな少女好きな大人もいるって。でも迷はテロリスト、犯罪者。犯罪が被害者とかなりたっつのかな?)

「経験積んどけって……あ、モニターマンどうなったか知ってる?」

その寝顔へ、ひそひそ声で言ったりする。寝てるようだし意味ないかもだけど。

(きっになる事、モニターマンがどうなったか知ってるか聞きそびれたか……)

色々考えているうちに自分も眠りに落ちていく。すぐ側に彼が密着しているのは身も心も暖かくて心地よかった。神に抱かれ、ジョシュアを抱き、しばらくは抱き枕として過ごすのも悪くないかと思いながら。

//こちらも〆です。こちらも楽しかったです。またー
366小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/15(木)01:13:07 ID:PtH [1/1回]
「…………うーん」

無聊を託つ呟きが燻ったのは、夏の夜空を頭上に構える森閑とした裏の路地。
味気ないビル壁に囲まれてちょっとした広場を形成するそこで、臨んだ非常階段に座る誰かによるもの。
般若の面で顔を隠すそれは地べたに突き立てた木刀に顎を乗せて、無為に宵闇のしじまを過ごす。
薄がりによく似合うだぼついた黒のジャージは汚れていなくても、手にする道具が真っ当に用いられるとは考え難い。

「……いやもう、ホント参っちゃうなぁ」

先日の大通りを血潮で灼いたパレードはいまだ民衆の記憶に新しく、社会に与えた影響は決して少なくない。
解放師団の散開、超法規的な公的機関の存在の周知などといった、大局的な情勢の変化がその最たるものであるが細かなところを挙げればキリがない。
例えば解放師団は言わずもがな、取り締まりの強化を警戒した単独の超人犯罪者達の潜伏。
あるいは高まる自己防衛の風潮による、度胸試しや楽観視で暗がりへと足を踏み入れる一般人の減少。
正義に触発されて義勇を振りかざしにやってくる人間も増えたが、それを差し引いても路地裏の世界を闊歩する者の数は減っているのが現状であった。

「――つまんなーい!!」

そしてこの状況は、己を曲げずに悦楽のまま故殺に臨もうとしている人間にとっては歓迎できるものではない。
なかなか獲物に出会えない鬱憤を詰めた声は、ボイスチェンジャーに変換されて無機質に反響した。
367仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/15(木)09:44:32 ID:2X5 [1/2回]
>>362
「……!」

運動に興じる輝の足元、以前にも会った少女アキラに対して投げつけられるバットのようなもの
無論アキラはその気配に気付き、さっと振り返って飛来するそれを躱す
同時にその視界に収められるのは如何にもな不良的ルックスの少年3人
うち一人は頬に大きな痣を作り、息を荒げて怒りの表情を浮かべていた

「超人が3人がかりでアタシに何の用?」

そんな只事ではない状況を前にアキラは怯む事も無く、ただ面倒臭そうな表情を浮かべるだけ
僅かに肩をすくめながら恨みの元凶を問い掛ければ、中央の男が烈火の如く怒り狂い始める
どうやらコトの発端は自分と見て間違いないらしい

「テメェ、昨晩俺の弟をブッ飛ばしやがったろ!」
「上矢連合舐めてっとマジで痛い眼見んぞコラァ!!」

路地裏に怒号が響いて少し思案するも、未だ酒のせいで回らぬ頭にはどうにも覚えが無く

「悪いけど……覚えてないんだよね」
「謝って済むんなら謝っても良いんだけど」

やり合うのも面倒なので頭を下げてやり過ごせばいいかと安直な考え
しかし相手の怒り収まらず、感情のままやれ殺すだの犯すだのの言葉が飛んできた
仕方なしに相手するほかないかと、イバラを出現させぬまま呆れ顔で構える
368◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[] 投稿日:19/08/15(木)12:41:02 ID:L4q [1/1回]
>>367
「絡まれてるなぁ」

一連のやり取りを屋上から見下ろし呟く青年。
アキラの感じから日常茶飯事の光景なのだろうと察しはつく。
青年からすれば全く好ましい事ではないが是正を促すのは過干渉だろう。
だからと言って見過ごせる状況でもない。

「どーしたもんか」

アキラはやる気らしいが正直暴力沙汰は極力控えたいし控えて欲しいスタンスの青年。
だが致し方ない。実力行使に出るしかなかろう。

右手を突き出し狙いを定める。
注意が目の前に向いている以上、上空から放たれる糸に反応するのは難しい筈。
それこそ子供の頃から慣れ親しんだ糸による捕縛術。
目標の両腕と腰回りに糸を巡り絡ませ一本釣りの要領で釣り上げる手法。
くらった相手は逆バンジーの如く結構な勢いで宙空へと打ち上げられる。

それをアキラへ繰り出した。
369仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/15(木)16:39:36 ID:2X5 [2/2回]
>>368
「ッ……!?」
(糸!?どこから……!)

両腕と胴体を同時に巻きつけるようにして糸が身体に纏わり付いて初めてアキラは異常に気付いた
しかし振りほどくことも出来ずそのまま宙に吊り上げられ、街灯に叩きつけられるようにして宙吊りの状態になる
少年はその様子を唖然として見ていたが、やがて我を取り戻したかのように一斉に攻撃を開始

「いたっ……いたいたッ……ぁぐっ!」
「痛いっての!!」

火炎球、風の刃、磁力操作による金属の投擲
それらの力はいずれも小規模。しかし無抵抗に喰らい続けていれば負傷は免れないのは明らか
鍋の蓋、目覚まし時計、火の玉などを喰らい続け、終いに風の刃が額を切り裂いて
その瞬間にアキラを縛る糸は引き千切られ、少女は自らを縛っていた糸の一片を握り着地

「このクソ野郎共……!!」

頭から流血しながら三人を睨みつけたアキラ。その瞳には明確な敵意がついに宿る
メリッと音を立てて一気に手首まで伸びるイバラは以前に数度見たそれとは異なるものだ

前より色濃く、歪に

毛筆で殴り書いたような激しい図柄のイバラが凄まじい速度で伸び、腕だけではない
首や両足首、服の下では胸や腹部までを禍々しいトライバル柄のように紋様を描き覆う
相貌は赤い輝きを宿し、顔にも両頬と目尻にメイクのようにスティグマが浮き出る

「全員ッ……ブチ殺してっ…………やるッ!!!」

目標は前の三人、しかしその前に自らを拘束した第三者を処理せねばらならないのは当然のこと
されど居場所がわからないとなればやるべき事は一つ。自らと敵を繋ぐ能力の糸を全力で握り引く事だ
釣りというのは等しく、魚からしても釣り人を海に引きずり込むことが出来れば勝ちなのだ
つまりアキラを縛る何者かを引きずり降ろし、地面へと叩きつけることを解決策とせんと右腕を振るった
370 : ???◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/15(木)17:28:17 ID:PWX [1/2回]
「待っててね、僕が治してあげるから…」

暗い部屋で液体に満たされた水槽を撫でる少年は
371◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[] 投稿日:19/08/15(木)17:30:18 ID:iH6 [1/1回]
>>369
「なんか想定と違う」

糸のパワー不足か、他の要因か不明だが、本来であれば天高く放り出される筈のアキラの身体は何故か宙ぶらりん。
街灯に引っかかるイージーミスは致命的。
助け船の筈が事態は悪くなる一方で。終いには糸を勢いよく引っ張られる始末。
申し訳なさと今から始まる乱闘に青年は既に自棄。

引っ張られるままにしては地面に叩きつけられるだけ。
流石にそれは御免被りたいので糸を切断、新たな糸を放ち姿勢制御。
落下の勢いはそのままに野郎のひとりを巻き込んで着地したろうとする。
372 : ???◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/15(木)17:55:27 ID:PWX [2/2回]
「待っててね、僕が治してあげるから…」

暗い部屋で液体に満たされた水槽を撫でる少年は憂いを帯びた瞳でその中身を見つめる。

「あ、そうだ!今日1人自分を取り戻した子がいるんだ
………だからもうちょっとだけまっててね…!」

少年は目を輝かせて水槽に語りかける。
親に何か喜ばしい知らせを伝えるかのような眼差しで…

「じゃあほかの子を見てくるね」

踵を返し部屋のドアに手をかける少年
その瞳には確固たる意志が宿っていた。

//ソロールです



373仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/16(金)17:33:29 ID:LJ4 [1/1回]
>>371
「がぁあッ!」

糸を力一杯引っ張るその手に込められた運動エネルギーはまさしく大型車両の牽引力に匹敵するトルクが込められ
急激に軽くなった手応えにアキラは力を抜くも、糸は叩きつけられ道路を浅く縦に刻み
続いて輝が少年のうち一人を巻き込むように墜落すれば現場は狂乱の様相を呈す

「……って、輝さんじゃん」

徐々に薄れつつある砂塵の中から現れた介入者の姿を見て初めて敵対する者ではないと気付く
けれども意識を少年達の方へ戻せば、伸びた一人を残し既に逃走済み
結果的には輝の思惑通りストリートが血に濡れることは避けられた様子

「クソ……ブッ飛ばし損ねた」
「余計なコトしないで欲しいんだけど」

アキラはグッと拳を握り地面を睨み付け、未だ冷めやらぬ苛立ちを八つ当たりのような形で輝へとぶつける
374匡美輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/16(金)19:52:54 ID:FTz [1/2回]
>>373
「あー………うん、ごめん」

気絶した野郎の靴を《糸》と結束バンドを使って縫い合わせる地味な嫌がらせをしながら青年が謝る。
色々言いたい事はあるのだが、余計な手出しをしてアキラの身を危険に晒したのも事実なので、
かなり間は空いたが言い訳も余計な小言も発することはなかった。

「にしてもパワー有り余ってるの?今の様子だと直近でも喧嘩してるっぽいよね…
 毎日そんなにイラつく事ばかり周囲に転がってる?」

環境のせいなのか本人の気性なのか巡り合わせの問題なのか。
正直自分から厄介事に首を突っ込まなければ日々平穏無事に過ごせていた青年には理解し難い事柄ではある。
最近は世の中、自分が思っているほど平和ではないと日々痛感している上で。

「もっとさ、楽しい事しようよ。
 マダマダ先は長いんだしさー、今って平均寿命どんぐらいだっけ?
 流石に人間五十年、下天の内をくらぶれば、って訳でもないんだし…」
375 : 師子王 莉音◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/16(金)22:04:56 ID:FTz [2/2回]
夜の公園。
敷地は割と広く昨今色々物騒な事もあって夜が更ければ更けるほど人の気配のない場所。
だから別にこんな所で誰かが何かに襲われていようとも、必然でもなければ気付かれる訳もない。

「がっふ!?」

バカンと甲高い音を立てて金属製のゴミ箱がひしゃげる。
結構な勢いで人がぶつかれば流石にそうもなる。

「…っっう……」

金縁がされた仮面をつけ、左腕には青い石が嵌め込まれた手甲。
背丈は小柄、漏れた声からも未だ子供と容易に察しが付く。
着用していた普段より地味かつ耐久性に優れた衣服は何処も彼処も切り裂かれボロボロの状態。
ゴミ箱と親しげに寄り添っている師子王莉音は久々に追い込まれていた。

「これで加減されてるってんですから笑えてきます…ねぇ?」
『シュルルル…』

莉音が語りかける相手は眼前に立ちはだかる自らの身体をいいように刻んでくれた大型の獣。
猫科の大型肉食獣を彷彿させる動きとシルエットだが、
パッと見、顔には牙の生えた口だけで、全身は黒い甲虫のような外骨格で覆われている怪物。

それが今にも莉音に襲い掛からんと身を屈めた。

//平行してますが宜しければ
376仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/17(土)00:05:31 ID:OKh [1/2回]
>>374
「ああ、勿論転がってる」

苛立ち、怒り。あらゆる感情を揺さぶるファクターはアキラ達の生活を通じ心に働き掛けるのは確か
けれどアキラはその中から特に怒りを感じ易くなっている。そしてその理由は明白

「ッ……!!」

輝が余命の話に触れた時、アキラの瑠璃色の双眸が悲しそうにくしゃりと歪んだ
それはある種の失望や否定を含んだ色。同時にアキラの心の奥底に言い様のない痛みを浮かばせるものだった
きっと怒りに身を任せ殴り掛かるような事が無かったのは、アキラ自身輝の事を気に入っていたからだろう

「……」
「今日はもう帰って。アンタの事……嫌いになりたくないから」

俯いて表情が見えなくなれば枯荊も縮んで消える。袖の中へと萎びればアキラもまた唯の少女へと戻って
輝が言葉に従って帰ろうとした頃かそれとも弁解に走る頃か、不意に酷く咳き込んで膝から崩れ落ちる
口元を押さえた右手は赤黒い血に汚れ、それを隠すかの如く慌ててアスファルトに掌を擦り付ける
377 : 匡美輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/17(土)00:24:33 ID:UJN [1/3回]
>>376
「…ちょっと意地悪な事を言ったかもね」

帰るでもなく、弁明するでもなく。
アキラが崩れ落ちたのに青年は慌てることもなく。
その様子を見下ろすようにして眺めている。

「随分と派手にやったと伝え聞いてるよ。
 正直僕が見たのは映像だけだから詳細まで知る由もないけれど」

偽装パレードには勿論偽カメラマンも多数存在していた。
解放師団とやりあった面々の映像こそ長々流れることはなかったろうが、
記録映像が残っていない筈がない。
加えてアキラがあの場からトラブルなく帰れたかは非常に怪しかった。
しかし現状こうしてアキラは自由に外を歩き回れている訳で。

「そこまでする必要は、あったかい?」

//そこら辺の詳細、お決まりです?
378詩神朱璃◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/17(土)00:47:30 ID:5DD [1/10回]
>>366
反響した声は路地を駆け抜けていき、その途中で僅かに金色の髪が揺らされた。
鼓膜に届いた声は変化激しく知らないものとされる声であったが赴かない理由は薄い。
何せ、パレードによる弊害に襲われたのはその声の主に限った話ではない。路地裏から人が減って困る者は少なからず存在するのだから。
いずれ、非常階段に辿り着く足音は軽いもので、かといって殺気を発するものでも正義感を匂わせるものでもない。
ただ、獲物を求めるそちらにはやや懐かしくもつまらないと思えるかもしれない相手を予感させる気配であることがうかがえるが。


「……あ、居た…………」

非常階段の側面から覗き込む姿、地に足をつけた状態で鎌も見せず。白いワンピースの衣擦れの音が微かに立つ。
骸骨面の下から溢されるその声には無機質の中に若干嬉しさも孕ませた声。月めいた淡い光を放つ眼差しは柔らかに向けられていた。

……彼女もまた、路地裏歩きが減ったために『日課』が減ってしまった人物であるがさて。

//日はかなり空いてますがもしもまだよろしければ……途中凍結挟むと思いますが……
379仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/17(土)01:13:42 ID:OKh [2/2回]
>>374
「はァ……」

まだ僅かに紅い擦れ痕の残る手を握り締めて溜息、膝立ちの状態からよろりと起き上がる覚束無い足取り
ぐっと腰を下ろし構えれば地にとぐろを巻いていた長い金糸の髪が再び風を孕んで舞い上がった
以前は耳に掛かる程であった短髪が急激にこれ程伸びた理由を輝は知っているし、なんならその目で見た筈だ

「ごめん、前言撤回……」

両目を閉じて歯軋りでもするかのように歯を食いしばり、青筋を浮き立たせた状態で深く行われる呼吸
強い怒りの感情がついに発露し輝へと真っ直ぐに向けられたのだ。この日初めて青年はアキラの標的となった
ぐんと地を踏んで加速。アスファルトに深く足跡を残すのは彼女にイバラが現れた証拠
その長さは――またしても手首まで。いきなり全開の出力を以って異様なイバラは限界まで伸びる
今日のアキラはどこか異様。怒りが一気に、それも爆発的に燃え上がるのだ

「アンタ、知っててアタシを挑発したんだ?」
「……見損なったよ」

一気に距離を詰めて全力で拳を腹部へと叩きつけんと振るう

アキラは清村を撃退した後武装した特殊部隊に囲われそのまま映像から消えた
けれど今こうして娑婆を歩いているという事は、それなりの措置があったという事か

//すみません、頭が回らないのでその辺りはぼかす形にしておいて下さい
380小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/17(土)01:21:12 ID:XMA [1/10回]
>>378
無警戒な足音に誘起されて、その主の姿が見える前に緩慢と腰を上げる。
両手で木刀を支え持って大きく背伸び、体をほぐすようにその場で何度か小さく跳ぶ様子は呑気そのものでしかなく。
地を蹴る音が不意に強く反響したのは、顔を覗かせるのとほぼ同時。

「――みーつけたっ」

影抜の震脚、風狼の如き接近、機械的な声はどこまでも愉悦の囀り。
警告も、会話すらもないままに側頭部を目がけて木刀で殴り抜こうと横に払うのは。
そこに現れるのが誰であろうと、脇目もふらずに死を運ぶという選択肢以外に存在しないからであった。

//大丈夫です、よろしくお願いします
381詩神朱璃◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/17(土)01:28:20 ID:5DD [2/10回]
>>380
「――――ぇー」

間抜けな声。ただ木刀で殴られるという行為は風の刃と異なり危機感が違った。
だからこそ殴られた、鑪を踏まされた、ズキズキ痛む古傷というには新しい傷が開きかけて手で押さえることになる。

「…………ぃたい」

鎌が遅れて現れて、かぶりを振ったままそれは片手で構えられて。
これでもまだ死相を見せないというのだから驚きであろうか。風刃による奇襲ならば彼女は本能的に透けたままだが。

「……みーつかった?」

だからといってへし折る音を鎌から立てて振り抜き、あろうことか持ち柄が半分になった鎌をそちらの首の高さ目掛けて投げ飛ばすのはどうなのやら。
なおこの鎌に透過能力などはないため避けることもましてや弾くことも十分可能なことだろう。

//ありがとうございますっ。もし風を纏わせてた場合は透けた感じでどうか……
382小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/17(土)01:43:01 ID:XMA [2/10回]
>>381
「痛くしてるからねっ」

明らかに相手の命すら省みていない暴力行為を振るった直後だというのに、あまりにあっけらかんが過ぎる語調。
こめかみへの殴打はそれだけで重篤なダメージになり得る、故にそれは単なる打擲以外の何物でもない。
あるいは異能性の相似によって、面の下を結びつけられるのを嫌ったからかもしれないが。
戦闘において重要なのは理由よりも行動だ、原理を断ち切る追撃に走ろうと前腕に力を満たした刹那。

「そこ、好きだねぇ?」

首を刈り取ろうとぎらつく三日月の煌きを目敏く捉えれば、躊躇なくその場に伏せて刃を頭上にやり過ごす。
低い姿勢のまま流れるような動きで脹脛を狙った下段回し蹴り、はらと数本の黒髪が夜風に散った。
383詩神朱璃◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/17(土)01:55:21 ID:5DD [3/10回]
>>382
こめかみから来る痛みに苦しまないわけじゃない。けれどもぼやける暇がない。
良くも悪くも対応が極端に分かれた前回との差に焦りがほんの僅かに生まれたりもしたが。
それも一瞬のこと。繋がりなんて知らないのだし、名前を出す理由もないのだから。

「欲しい、から」

鎌が黒髪を刈り取って数秒後壁へと衝突し落ちる音――は立たない。
それを気にするかは兎も角。
行動に思わず後退しかけ、回し蹴りは容易いほどに足を刈って死神の身体をやや仰向けに。
蹴りが迫ってきた方向へと上半身が傾くこともまた自然だが、不意に立つのは風切りの音。

それと同時に振り抜かれているのは鎌、転ばされる勢いを使って不利を帳消しにするための軌道。
拘り見せるのは首が入るタイミングを狙ってのこと。狙いとしては甘いがそのまま攻め入ろうとすればどこかに刃が突き刺さることも当然と言えるか。
384小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/17(土)02:10:40 ID:XMA [3/10回]
>>383
「だろうね、知ってるっ!!」

確かな手応え、足払いの後も身を起こそうとはせず四つ足の獣めいて低く構えるだけ。
縮めた脚を反発力として発条の如く飛び出そうとする様は、崩れた体勢を整える間も与えないと言わんばかり。
そしてその攻勢は、宵闇に閃く鎌が視界に入ったとしても変わらない。

「――でも、そんな一辺倒な子にはあげられないな」

軌道上に差し出される左腕、前腕が縦に裂けて鮮血の破片が夜に砕ける。
代わって振るわれる横薙ぎが月光に晒された首を狙うのは、意趣返しのつもりなのだろうか。
頚椎をへし折らんと唸る強打はその実、断頭の刃を孕んだ風の斬撃であった。
385詩神朱璃◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/17(土)02:28:37 ID:5DD [4/10回]
>>384
知っている、首が欲しいことを。何故だろう。
そんな思考が巡るのはほんの一瞬、鎌が腕に塞き止められて引き抜くには時間がかかると瞬時に判断。
横薙ぎから感じる『』の気配は一瞬その瞳を見開かせ。しかして足はまだ地に付かず。結果。

「……一辺倒、何が?」

本人が首に執着するが故の精密性、何処から取り出したのかも分からせない鎌の刃が首を狙う刃を弾き、木刀に弾かれるだろうそれは自分の側頭部に峰を勢いよく当てた。
通り抜けるだろう残りの部分が舞い上がった髪を散らせる刹那に彼女の腕に突き刺した鎌が姿を消す。
僅かな時間の間に行動は起こされ、片足は腹部を狙って蹴り上げられ、もう片足は地面に接触を図って踏み締められ。
蹴りが当たるにしろ外れるにしろ死神の身体は透過して、彼女の身体を通り抜ける要領で背面へと逃げていくだろう。

「…………漸く会えたのに」

死神は気付かない。金色の髪から血が垂れることに。興味は人となりへ。歪んだ純心が睨みを利かせる。
首を狩れない相手への固執が緩むのは今まで通り。自身が怪我することも嫌う性根はやや醜いと言えないだろうか。
386小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/17(土)02:52:35 ID:XMA [4/10回]
>>385
殴打が弾かれたのならもう一撃、それでも駄目なら何度でも。
殺戮への澱んだ探求はどこまでも致命を欲し、しかし突き飛ばす蹴りを腹に受けるだけならばともかくとして。
幽鬼の如く体を通り抜けられてしまえば、急な後方への転換を瞬刻の反転で追いかけるのに幾許かを要する。

「知りたいの?ざーんねん、教える訳ないじゃんっ」

今この時一殺人鬼でしかない彼女が、首への飽くなき執着を一方的に利用することに罪悪感を覚えるはずもなく。
楽しげに嘯く面の下は、きっと心底からの喜悦が躍る笑みを浮かべているのだろう。
相手の興味も知ったことではないと、傍若無人を振りかざすように木刀を突如投げた。
くるくると宙空に円を描く無骨な凶器が向かうのは、死神の面の正しく額の位置。

「これから殺す相手に、さ――!!」

それだけが攻め手ではない、間を置かず地を蹴って一直線に向かった愚直な吶喊。
無手に一切の躊躇がない夜風の接近、速度を乗せた鳩尾への掌底は純然たる殺意をも孕む。
初邂逅における迎撃や平坦な会話の時には見せずにいた、焦がれるように人殺しを渇望する熱さえ抱いて。
掌底という動作を切欠として打ち出した大気は不可視の弾丸となって、単なる打突で済まさない殺傷性を含んだ。
387 : 小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/17(土)02:58:15 ID:XMA [5/10回]
//すみません、そろそろ眠気が厳しいので凍結をお願いしてもいいでしょうか
388詩神朱璃◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/17(土)03:04:53 ID:5DD [5/10回]
>>386
教えてくれない。それを意味する言葉にどうしてと問い掛ける暇もない。
切り捨てられた思いというのはお互いにあるものだ。行為を蔑ろにされたと思えば死神にも彼女の矜持を、愉悦を満たす理由は皆無。
だからこそ飛びかかる凶器すら無感情に鎌で上空に弾いた。額に当たるはずのモノは天に。存在すら怪しませる。

「――――殺す」
「貴女……私を『殺そう』としてたの?」

だが鳩尾への掌底は何故か透過させる気にはなれず、だが致命傷を避ける生物としての本能は働くのか上体が揺れる。
臓器も少ない場所へ打ち込まれた弾丸は貫通する性質があるならば当然として風穴を開かせるだろう。

「――おねーさん」

ここに来て少女は嫌な柔軟性を芽生えさせた。
持ち手の短い鎌が狙うは――掌底を放った腕の『手首』。
首に執着していたその少女から放つ一撃としてそれはどうだろうか。血混じりの台詞と、どちらが強いかはわからなかった。

//>>387
//了解しました、遅くからありがとうございました、こちらは大丈夫です
//おやすみなさいませ、お疲れさまでした。本日は夜まで不安定となりそうです
389小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/17(土)13:51:21 ID:XMA [6/10回]
>>388
回る月影の下、水月を突いた掌は貫通とまでは至らずとも肉を抉って黒の世界に赤を蒔く。
首狩りへの抵抗や拘束のための諍いとは全くもって異質な、純粋に『殺す』という意思にだけ則った殺傷行為を。

「――そうだよ?」

それは笑って肯定した。ボイスチェンジャー越しでも心底からの愉悦が伝わるほどであった。
だからなんだと、それがどうしたと。遥か過去に非道への躊躇を置き去りにした、明朗が過ぎる返答。

「殺したいからこんな事やってるんだよ、死神さん」

回避ではなく棒立ちで腹に受け止められれば、肉を切らせた断骨のカウンターを警戒するのは道理。
首を狙う傾向を頭に入れていたが故に、上体を後方に逸らして反撃に対応する心算だったが。

「っ――――やっと半人前ってトコ?」

差し出した腕もまた狙われやすい部位であるのは百も承知、それでも反応が遅れたのは偏に予想を上回ったからに他ならない。
咄嗟に右腕を回転させて掌で受け止めるのが関の山、貫いて手の甲から生えた鋒がぬらりと光った。
刹那振り上げるのは右の足、所謂ヤクザキックで穿ったばかりの傷を蹴って突き放そうと。

//昨夜は凍結ありがとうございました、お返ししておきます
390輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[] 投稿日:19/08/17(土)14:21:55 ID:clB [1/1回]
>>379
らしくもなく青年は、あからさまな挑発で攻撃を誘った。
強化系同士、不意うちでもなく此方から誘発した一撃。
十全な準備さえ整っていれば攻撃を防げない道理は無い。

そう道理は。

「ッ……いってぇ…」

アキラの一撃は狙い通り青年の腹に叩き込まれた。
直撃の際、少し青年の身体は浮いたやも知れぬ。
身体に力が入らない、相当な衝撃であったようだ等と他人事のように青年は思う。
だが、膝を屈するには未だ早い。

「…どーした、終わりか、そんなんで」

青年の利き腕から放たれた糸はアキラの利き腕とは逆の腕に絡みつく。
自らにハンディキャップを課したワンハンドシェイクデスマッチの誘い。

「自分が何やってんのか逃げずに考えてみろ、馬鹿ッ!」

ダメージレース開催。
クソうぜぇケーサツ野郎から逃れる手っ取り早い方法は相手が示した通り、ぶん殴り続ける事だ。
391詩神朱璃◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/17(土)15:42:43 ID:5DD [6/10回]
>>389
『殺す』意思。ならば先程過った『』の気配は何なのかと死神はこの夜初めて気に留めた。
抉られた腹部の痛みもまるで幻想のように。流れる血が白い生地と肌を染め上げる様も他人事のように振る舞って。

「――ふふ、嬉ィッ……!!」

肯定されたからこそ、彼女は『死』の気配をほんの少しだけ理解した。
理解して、なおその歪みは解れることもなく。手のひらを貫通した刃で切り裂くために引こうとしたところで蹴り上げられる鈍痛。
鎌が引かれる痛みを一瞬でも与えられるか、手を離してしまって突き放されれば流石に腹部の傷の深さに膝を付きかける。
傾向として、首狩りを達成できないと判断した死神は撤退の意思を強めることが多い。
けれどもその目が見つめるのは撤退も孕みつつ、友好の意思も見せるほどの輝く目。目的が違いすぎるのに、純粋さは衝突しないほど柔らかく。

「さっきが、死。死。でも死んでない、やっぱり、死なない」

彼女は鎌をどうしただろうか。けれどもその鎌はいずれ血を無くした状態で少女の元へと帰還する。
同時、弾かれた木刀もまたそちらの付近へと、または上空から落ちてくるだろう。それほどに短い攻防のなかで。 

「――……んん」

ふらつく頭、揺れる視界。死神は楽しくなってきた感情を邪魔される。
お友達になれそうでなれない。そんな日々が僅かに愉悦も生まれさせながら。

「っ」

へし折った音を立ててから死神はまたしても鎌を投げつける。今度は首へ。素人へ戻ったように。
――迫ってくるならば、その時視界に入るのは三日月模した刃が足を狙ってくる場面であるだろう。目が良ければ投げた時点で鎌を構える姿を捉えられるはずだ。

//お返ししておきますね、こちら次は夜を回るかと思います、すみません
392小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/17(土)16:46:15 ID:XMA [7/10回]
>>391
蹴りつけた勢いで右手に突き刺さった鎌を振り払えば、からんと落ちる乾いた音を滴る鮮血が追う。
月が朧雲に隠れるまでのほんの数瞬の攻防、ようやく手元に落ちてきた木刀を一瞥もくれず掴み取る。
強く柄を握りしめるのは激痛を堪えているからか、風穴から溢れる赤が刀身まで伝った。

「実際に死んでみなきゃ、死なんて分かる訳ないじゃん」

小さく鼻で笑った雑音が静寂を揺らす。生死の在り方なんて考えるだけ無駄とでも言いたげに。
事実彼女にとって殺せればそれ以外はどうだっていいのだ、例え相手が何者だろうと。

「ああ、それとも――本気で殺されそうになるのは初めて?」

首筋を狙った凶星の投擲が肌を撫でる刹那の跳躍、踏鳴の一歩が爆発的な気流を生んで高く体を打ち上げる。
星を背にしてビル壁を蹴る一瞬の狭間、横一閃に振るった木刀から出でた風刃が空から零れて降り注ぎ。
数秒遅れて重力に従い落下、星影天衝の打ち下ろしが頭頂をかち割らんと狂風を纏った。
393仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/17(土)16:53:31 ID:NWR [1/2回]
>>390
「は……?」

浮き上がった青年の身体、続き解き放たれたインパクトの瞬間に身体を突き抜ける衝撃波
それらを以ってしてもなお吹き飛ばされずにアキラへと喰らい付く理由は彼の能力でもある『糸』だった
ピンと張り詰めて互いの身体を、そして離れかけた心をも繋ぎ止めたそれはアキラの心を強く揺さぶる

「何って……アンタをブチのめしてんの。見て分かんないの?」

挑発を返すような言葉の端にはアキラの苛立ちとそれに伴うもう一つの感情が滲んでいた
以前は非行を繰り返す影の中に溢れんばかりの義憤が太陽のように燃えていた少女
今の怯えきった瞳と言葉からはそれらは感じられず、ただただ恐怖と絶望だけが彼女を支配していた

「アンタがお望みなら……足腰立たないようにしてあげる」

苛立った『ふり』も怒りを燃え上がらせる『ふり』も、全てが浅く薄っぺらなものだ
ゆえにイバラは掠れて枯れ、強い怒りなど感じなくても限界まで伸びる
イバラが伸びきった全力の一撃を胴体に喰らおうとどデカい風穴が開く事は無い
394匡美輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/17(土)18:15:07 ID:UJN [2/3回]
>>393
「…へぇ……僕には…なんだ……のされてるって言うより………」

強化系から繰り出される直撃は当然、不味い。
本来であれば一発でノックアウト。
策を講じて直撃を避けなければ後がない。
強化系一辺倒ではない青年だって知っている事。

意識は朦朧、正直今すぐに反吐吐いてぶっ倒れたい。

「泣く代わりに手を出されてるように見えたからさ……
 あれ?…アキラちゃん、ひょっとして泣くこと知らないクールビューティー?」

混濁した意識の中で吐き出された天然かボケか判断に困る発言。
まあ青年は真剣である。

「別にさあ…苦しいときは泣いたっていいし、
 誰かに思っていることぶちまけたって……悪くないよ?
 大事な人……に心配かけたくないなら、僕が相手になってもいい……割と口…堅いから」

二発目を放ったアキラの拳に己の手を添えて。
言葉を発するのが精いっぱいで顔まで青年は上げていられない。
395詩神朱璃◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/17(土)18:42:10 ID:5DD [7/10回]
>>392
「貴女が、死んだことも、ないのに?」

幼いがゆえに言葉をそのまま受け止めてしまい、結論として事実考えるだけ無駄ということはどうしたって理解させられるか。
もっとも死神も同じようなもの。友達にできれば相手が誰だろうと問題無い。首だけになったとしても。

「うん。――感じたの、初めて。皆優しかったよ。怪人さんや」

月光は相手の姿を投影し、横一閃に迫り来る風の刃を姿勢を下げると共に前進して髪の切れ端を舞わせる。
落下してくる暴風の鉄槌に等しき御技に対して、避けるほどの余裕はなかったためかへし折り音を立てた鎌を頂点に交差させるように二本で構え。

「アキラさん、凄く優しかったね」

骸骨の下、笑顔で語り。頭部を守るように拮抗させんと打ち下ろしに向けて対抗。
振り抜かれ切る寸前にせき止めんとしたそれは強風をどこまで抑えられるか。そして向けていた刃はどう刺さるか。
手首や足首を狙う徹底ぶりの生やし方は変わらないが狙いがわかれば避けやすいのも当然。
何にしたって軌道から避けた肩口や片足に傷が付けられるのは当然の利。風圧で舞い上がった髪が風の牙に乱雑に整えられていけば。

拮抗して三秒も経たない内に、小鳥居はブレーキとしての死神を失うだろう。――透過によって。

「………………ふふふ、ふふ……」
「あー……げない……♪」

その死神の発言は血に濡れた身にしては余裕のある発言に変わりなく。しかしてその意味は少女にとっては嫌なものに感じられることだろうか。
396仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/17(土)20:44:04 ID:NWR [2/2回]
>>394
「…………」

ここまでまんまと自分が輝の掌の上で踊らされていたことに気付くと、アキラはイバラを消失させる
見せ掛けの怒りはいつだってその矛先を収めることが出来る。それは誰もが知っている事だ
打たれるがままに満身創痍の輝が放つ遠回しな思い遣りの言葉。半ばありがた迷惑なそれが今のアキラにとっては丁度良い救いの手の差し伸べ方だ

「……最初は、自分が死んでもあの子が住みやすい世界になればいいと思った」
「命を犠牲にすれば、確かにアイツを圧倒することは出来た。もう少しで殺すことだって出来たと思う」

「でも結果はこれ……!」
「あいつは生き延びて、アタシは死に掛けてる……皮肉だよね」

予想通りというか、アキラの能力は自らの命を犠牲に極限まで身体能力を高めるという境地に達していたようで
それを用いる事でアキラは全力の清村ですら撃退する事の出来る戦力を手に入れた
しかしそれは同時に失敗すれば後がなくなるという事でもあり

「血反吐を吐いても喰らい付くべきだったのに、逃げられて……命を使い果たした」
「アタシは負けた……勝ち逃げされたの……」

離脱した清村に逃げ切られることによってアキラの生命はひとりでに尽きようとしていたのだ

「死ぬのは怖いよ、確かに……メチャクチャ怖い」
「でも一番怖いのはあの子を失望させること」

アキラにとっても死は恐ろしいもの。しかし真に恐るべきものは親友への欺瞞であることをアキラは知っていた
勝手に命を使い果たして解放師団へ余計な恨みを抱かせる?それとも日に日に弱りゆくのを偽る?
どちらも不可能だ。アキラはそれほど器用でも厚顔無恥でもない

「命を捨てて何も得られなかったって言うの?」
「それとも短い余生、あの子に嘘を吐き続ける?」

「やだよ……どっちも絶対にヤダ」
「輝さん、教えて……アタシはどうしたらいいの……?」

どれだけ恐れを抱いても、絶望しても。助けを求める時だってアキラは決して泣かない
自分の弱さを痛感したあの夜にそう決めたから。だから目に涙を溜めたまま輝の瞳をにらみつける事で己の意思をぶつけるのであった
397小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/17(土)20:53:44 ID:XMA [8/10回]
>>395
覇天翔の堕斬と鎌の衝突は、狭く暗い路地に逆風を生んで霞む砂塵を巻き上げる。
刃部の鋒を肩で受け止める形になろうと、痛覚を嫌厭する素振りは皆無。
膂力と重力の乗算で押し切って、頭蓋の内を夜に曝すべく一層の力を込めた瞬間のこと。

「――――へえ」

その名を聞いて声のトーンが一段落ちた。だというのに彩る喜色は途絶えない。
元より差し向けていた無雑の殺意の僅かな変質はより刺々しく、憤然たる熱と深遠を湛えたかのような。
どの言葉が、動作がその情感に漣を起こしたのかを語ることは終ぞないだろうが。
それは間違いなく笑いながら平静に、尚且つ本気で怒りを抱ける人間の佇まいであった。

「くれないなら、盗るだけだよね」

死神の体をすり抜けて前屈で着地、獲物を見失って路上に叩きつけられた木刀がアスファルトを削って深い痕を残す。
芯に常に自若を据え置いている頭は挑発的な行為に決して逸らず。しかしもっと別の、触れられたくない領域を侵された業腹に身を委ねない理由はない。
瞬時に野兎の如き突進めいた跳躍、心の臓を寸分違わず狙った突きは旋風を纏って槍に近しい殺傷力を孕んだ。
398匡美輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/17(土)21:08:14 ID:UJN [3/3回]
>>396
糸を解除し、立っていられない身体を壁に押し付けて、青年は考えてみたけれど。

「…アキラちゃんは我儘だなあ」

結局はその感想に至ってしまう。
それほどまでに明確な結論が出ていて自身もそれが分かっているのに、
アキラは子供の我儘でそれを突っぱねようとしている。
それはとても自然で当然の事なのだけれど。
悲しいかな、そうなってしまった以上、子供のままで解決できる問題ではなくなっている。

「後悔は十分過ぎる位してるみたいだから、今更お説教はしないけど…
 今のアキラちゃんが出来る唯一の事は大切な人に全部正直に話すことだけだよ。
 自分が何を思い何を懸けて何をしようとしたのか、そしてその結果も。
 そしてその先に起きる嫌な事も全部受け入れるしかない。
 …だってもう事は起きてしまって無しになんか出来ないから」

自らがやった事の責任。
それがどれ程のものか、気づけるのか、受け入れられるのか。

「それが出来なきゃこのままだよアキラちゃん。
 気づかない振りをして誤魔化して逃げた先には何にもないよ。
 一生気づかない振りが出来るほど特殊なら逃げるのもありだけどさ、
 アキラちゃんにはソレ、無理そうだしね…
 子供から大人に、先に見えているのは茨の道だけど、
 その一歩を踏み出すしかもう選択肢はないって僕は思うなあ」
399詩神朱璃◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/17(土)21:16:31 ID:5DD [8/10回]
>>397
色が変わった。殺意を向けられてもどこか感慨深そうに。
死神の髪に血を糊として砂塵が付着したのは激しさを示すものであり、怒りを抱く様には自身の頬を撫でて首を傾げた。
相手の腸の煮え繰りようなど死神にはまるで関係無い。ただ、対応が違うなぁ、と死神はらしくない考えを思うのみ。
だからこそ身体を崩して鎌で受け流す姿はどこか自然体であり、脱力を示す行動は突きに対して肩口を削られるだけの結末へ。
『殺し』が目的の相手には酷なこと、だけども彼女の中には目的がもうひとつあるがために。

「人のもの、盗ったら泥棒ですよ」

その風圧で骸骨面が剥がれ落ち、見せた笑みには一筋の流血が垂れて。
そのまま彼女の身体は斜め後方へと千鳥足めいて後退していく。物理的に透けた身体はその言葉を残して、壁に吸い込まれるように消えていこうと。

「大事なもの、大事なこと。ちゃんと、ちゃんと――果たしてから……」

首は取れず、しかし命をあげるほど相手と『信頼』を交わした記憶も彼女にはない。
たったそれだけのことで獲物としての彼女は消えようとするのだ。言葉通りに取ろうならば。

お互い、済ませてから。そう言うように。
400小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/17(土)21:53:45 ID:XMA [9/10回]
>>399
截鉄が肩を掠めて虚空を穿つのを、わざわざ見届けるほどに悠長ではない。
殺し合いでの一挙動にいちいち一喜一憂する余裕があるなら、如何に次の動作で利を作るか考えた方が遥かに有意義。
素早く引き戻して畳みかけようとしたが、壁に飲まれる体を見れば物理的な干渉が通用しないのは一目瞭然。

「何それ馬鹿みたい、死が大人しく待ってくれるとでも思ってんの?」

故に無造作に木刀を振るったのは、単純に死神を狙ったのではなくその更に上。
夜風を断つかまいたちが朽ちかけた壁を砕いて、今まさに少女が通り抜けようとする場所に瓦礫の雨が振り撒かれる。
どうせ透過するだろうと頭では分かっていても痛む右手を無視して追討に走ったのは、やはりどこかで冷静を保ててなかったからなのかもしれなかった。
401詩神朱璃◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/17(土)22:07:55 ID:5DD [9/10回]
>>400
「死神さんが運んでくれる、待ってなくたって、きっと来る」
「今来ない以上、今は来ない。私が未熟だから」

血塗れの肉体で通る声でよく語る。幻想から逃れられない子供のように。
自分は特別だと思ってるような子供の語調で彼女は自身を半人前と認め切る。瓦礫の雨に埋もれていくのも厭わずに。

「おねーさん、私は嬉しい」
「おねーさんが、怒ったの。初めて見て」
「なんだか、嬉しかったよ」

不気味なほどに幼い笑みを自分勝手に投げかけて、それでも一瞬身体をよろけさせたのはダメージの深刻さから。

「じゃあね、おねーさん。――アキラさんに、よろしく」

子供らしい勝手な妄想。関わりあるのはそちらだろうと勝手に踏んで。
固有名詞として成立するのがそれだけだからかもしれないが。死神騙る少女は少ない邂逅の中見れなかった動揺を喜んだ末に。

一際大きな瓦礫が墜ちて、お互いの壁となって粉塵を巻き上げる。
残るのは流血の痕と風刃が作り上げた傷痕の数々。少女にとって苦い経験になったのか、それは死神にはわからないが。
月光が射し込む別の場所、見上げる少女の歓喜に満ちた顔がその月明かりに照らされていた。

//これでこちらは〆になるかと思います、絡みありがとうございました
//また機会があればよろしくお願いできれば、何か問題がありましたらご遠慮なく……
402小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/17(土)22:32:12 ID:XMA [10/10回]
>>401
初めから理解する気がない理論、関心のない相手の所感。
第三者の名を含んだ別れの挨拶さえ聞き流して、まるで言葉が届いていないかのように。
ビルの狭間を駆け上る砂埃の向こうに背中がかき消えるまで、一切の反応が見受けられない棒立ちで。

「……あーやだやだ。ホンット苦手だなぁ、ああいう子」
「話聞いてどうにかなるもんじゃないと思うよぅ?」

崩れ落ちる小石がからりと鳴ったのを最後にようやく静寂が訪れてから、すっかり萎んだため息が裏路地を濁らせる。
宙で右から左に持ち替えた木刀で無為に瓦礫を殴って、反響するのは微かな苛立ち。
誰にともなく向けた呟きに交えた失笑、からからと鋒で路面を撫でて家路を描いた。

「またお金が飛ぶぅ……久しぶりに高レートで打とうかなぁ」

//それではこちらからも〆になります、お疲れ様でした
403 : 詩神朱璃◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[sage] 投稿日:19/08/17(土)22:52:54 ID:5DD [10/10回]
>>402
//こちらこそありがとうございました、お疲れさまでした
404仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/18(日)00:15:53 ID:SjB [1/2回]
>>400
「………………」

沈黙。輝の並び立てる言葉に同調するでも反論するでもなく、アキラの答えは沈黙だった
今迄アキラの彼を見る目は様々だった。揶揄う目、好いている目、苛立つ目、怯える目……そして感謝を湛えた目
今日の眼差しはこれまでのどれとも異なる新たなる目。アキラは輝を『大人』として見ていたのだ

『大人』。子供を護り、叱り、導き、教え、そして見守ってくれる大いなる存在
アキラは久しく味わっていなかった『大人に護られる』という感覚に目を見開いて
これまで好き嫌いだけの感情で織り成されていた彼等の関係は、アキラの中ではもう一つ深いものになった

「っ……!」

ぱっと頬の血色が良くなったかと思えば、光の失われていた目が再び瑠璃色の輝きを宿す

「輝さん……あのさ、アタシ……もう大人になるよ」
「アンタの……輝さんの話聞いてて、思った。まだ相談もしてないのにビビってちゃダメだって」

「わがままなアキラちゃんはもうお終い。この先に何があろうと……受け入れて生きる」

リードのように二人をつなぐ糸がアキラの指によって断ち切られる
枯れていたイバラはいつの間にやら以前の美しく咲き誇る薔薇のそれへと戻り

「アタシは……イバラだから。イバラの道は怖くない」

茨の道という脅し文句には揺らぐことのない信念を見せる
その身に纏う象徴は己を傷つけ、しかし己を襲う者にも手痛い棘を喰らわせるということを知っているから

//それではこの辺りで。数日間絡みありがとうございました
405 : 仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/18(日)00:16:46 ID:SjB [2/2回]
//>>398です
406 : 匡美輝◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/18(日)00:39:39 ID:vdc [1/1回]
>>404
「うん」

アキラの決意に多くを語らず青年は頷いた。
食らった一撃によって現状青年の状態は深刻で、
語るに語れない状態であることもまた事実であったが。

男と言うのは見栄をきるもの。
加えて青年は『大人』を演じている最中だ、此処で崩れては全て台無しになる。
これは意地でありプライドであり信念である。

「なら行っておいで…思い立ったが吉日、だ」

きっとアキラは大丈夫。
願いこそ多分に含まれる思いではあるが、青年はそう信じる。
君に幸あれ、それだけを思って青年の意識は混濁していく。
見送ってアキラの姿が見えなくなれば、後はどんな醜態を晒そうが問題はない。
それまでは耐え忍んだ。

//ありがとうございましたー
407ルクレティア◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/18(日)02:41:18 ID:3BQ [1/8回]
思えばここ数日は、抜け殻という言葉がよく似合うほどに空虚が過ぎる時間だったように思う。
衣食住に困っているわけではなく、むしろ生活だけで考えれば快適と言ってもいい環境のはずなのだが。
心身の寄辺に手が届かない今、驚くほどにやらなければならないこともやりたいことも見つからなくて。
それでも無情に時は経つ。空白が積み重なるごとに、中身のない焦燥が枝を伸ばすのが分かる。
漠然とした不安だけがじりじりと肌を灼く錯覚に居ても立ってもいられなくなったから、とうとう外に繰り出した。

「………………ふう」

地平に太陽を転がす黄昏時。人気の少ない路地裏を選んで彷徨っていた足をようやく止めて息を吐く。
花の刺繍が鮮やかなオーキッドのワンピースを黒のケープで覆い、フードをかぶって顔貌を隠した格好。
そろそろ帰路を辿ろうかと束の間の休息、目的も理由もない徘徊は今のところ単なる散歩の範疇でしかなかった。
408清村渡季也◆</b></b>ARTs7Q6pII<b>[] 投稿日:19/08/18(日)14:03:06 ID:KQZ [1/7回]
>>407

ルクレティアが休息を取る路地の奥で、壁際に追いやった小太りの男の首を締め上げる書生服の姿があった。

「力の入れ方はまだ難しいですね……」

男を吊り上げる右腕は包帯に覆われて、その隙間から銀が覗き、金属が軋む音が響く。
苦しみ足をばたつかせながら、口から泡を溢れさせて、男の身体にはしかしまだ一定の抵抗力がある様で、時折清村の金属の腕を必死に叩く。

「……うん?」

不意に、感じた気配にルクレティアの方へと視線をやって。

//良いでしょうか!
409ルクレティア◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/18(日)15:22:55 ID:3BQ [2/8回]
>>408
微かな物音を捉えて、茜色に染まった路地奥へとぱっと弾かれたように視線を向ける。
緊張に強張る体、警戒が導くままにケープの内側に手を差し入れて。

「…………渡季也さん?」

最初はおずおずとした調子だった。今目にしているものがまるで信じられないとでも言いたげな、不安と懐疑が同居した。
けれど脳が現実に追いつくにつれて、夏の陽炎の悪戯ではないと確信ができたから。

「渡季也さんっ……!」

見知らぬ男よりも、不吉を予期させる包帯よりも。充足する安堵が体を突き動かす。
思わず駆け寄ってぎゅうと抱きつこうと腕を伸ばすのは、漠然とした焦燥と不安の反動に相違なかった。

//反応が遅れてすみません、よろしくお願いします
410清村渡季也◆</b></b>ARTs7Q6pII<b>[] 投稿日:19/08/18(日)15:58:28 ID:KQZ [2/7回]
>>409

「……同志ルクレティア」

少女の声と駆け寄る姿に、慌てて右手に力を込めた。

「無事に逃げていたのですね……あぁ、何よりです同志ルクレティア」

力を失い崩れ落ちる男の首から手を話し、穏やかな様子で腕を伸ばした少女を受け入れた。
先程の力で銀の腕は僅かに不具合を訴えていたが、それは最早認識の外。
明らかに非日常、悪意に満ちた光景は一転、再開を喜びあう穏やかな光景に変わる。

「……ご心配をおかけして申し訳ない。
 この腕の調整とリハビリも兼ねて、しばらく単独行動をしていた物で……。
 貴方は身体の調子はどうですか、何処か隠れられる場所は見つけられましたか?」
411ルクレティア◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/18(日)16:26:22 ID:3BQ [3/8回]
>>410
「……よかった、本当に……いなくなったら、どうしようかと……!」

顔を埋めて、しばらくはそのままだった。微かに震える背中は、危懼が溶解するにつれて落ち着きを取り戻す。
崩れ落ちた男など眼中になく、ただ久方振りに思える安寧の温もりを全身で享受するだけ。
頭を持ち上げて目と目を合わせるのは、安否を案じられてようやくのこと。

「わたしは大丈夫です。あの後莉音さんに拾っていただいて、場所も提供してもらえたので……」
「……あの、この腕は……?」

今更ながら目を留めた包帯越しの鈍銀を見やって、おそるおそるといった問い口。
そっと指を伸ばして触れようとするのは、好奇と懸念の半々に突き動かされてか。
412清村渡季也◆</b></b>ARTs7Q6pII<b>[] 投稿日:19/08/18(日)16:51:22 ID:KQZ [3/7回]
>>411

「はは、僕はいなくなりませんよ、そう簡単にはいなくなる訳には行きません。
 安心してください、僕はまだ死にません。
 ……あぁ、成程、同志莉音にならば安心して任せられますね」

不具合を訴え軋む腕では無く、生身の左手で軽くルクレティアの頭を撫でようとしながら。
投げかけられた疑問には、少しバツが悪そうに苦い笑みを浮かべた。

「先の戦いの際に……恥ずかしながら中々手酷くやられまして。
 医療班に急遽手配してもらった義手です、が、やはり中々慣れないものですね」

包帯を解けば、姿を現すのは右肘の上から伸びる銀の腕。
骨組み、パーツが剥き出しに見える、ルクレティアが触れれば冷たく無機質な感触を返す銀色だ。

「この数か月で、我々は少々打撃を受けました、ある程度は計画の内で想定内ではありましたが……。
 しかし想定外の傷も数多い、例えば……最近では同志鏑木の死……彼に関してもそうです。
 ……同志ルクレティア、貴方も辛い思いをしたことでしょう」
413ルクレティア◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/18(日)17:24:11 ID:3BQ [4/8回]
>>412
康寧を与える言葉に、頭髪を撫でる温かな感触に知らず目を細める。
どれだけ背伸びして振る舞っても所詮は子供だ、安寧を突っぱねられるほどの虚勢は張れない。

「渡季也さんが、ですか?……手強い人だったんですね」

包帯の下から現れる人工の腕を見て、痛ましげに睫毛を伏せる。
触れた指先に伝わる金属の冷ややかな硬さに、驚いたようにすぐに指を引っ込めた。
総じて安堵を抱いた面持ちであったが、慰労の言葉に僅か目を見開いて見上げ。

「っ……ええ。最近はあまり良くない事が多過ぎて……ですが、わたしは大丈夫ですから」

明らかな強がりだった。不幸の風に吹きさらされて平気でいられるほど、図太い神経ではないはずなのに。
ゆるりと首を横に振って、けれど寄縋るように書生服の裾を掴んだ手は微かに震えた。
414清村渡季也◆</b></b>ARTs7Q6pII<b>[] 投稿日:19/08/18(日)18:03:51 ID:KQZ [4/7回]
>>413

「えぇ、えぇ、それはもう手強くて手強くて。
 強固な意志が強固な力を生む……実感しました」

少女の確かな子供らしさに、浮かべたのは安堵を含んだ笑顔。
不意に抜けた肩の力に、思いの外、自分も体力を消耗していたことにようやく気付く。

「……そうですね、貴方は強く優しい方ですから……きっと貴方自身ですら知らずの内に、無理をしてしまっていることもあるでしょう。
 我々は……また力を蓄える必要がある、疲労が溜まった状態で無理に動いても何にもなりません。
 計画が成る前に倒れてしまっては意味が無い」

裾越しに伝わる微かな震え、包み込んであげようにも銀の右腕はまだ力の加減が掴み切れていない。
故に、ルクレティアの掌に生身の左手を当て、震えを和らげようと。

「死んでいった同志達の穴も、そうすぐに埋めることは出来ない……どの道今すぐに大きな行動は起こせない。
 ……ですから、『団長命令』を伝えます……ルクレティアさん、貴方もしばらく、ちゃんと休んでください。
 我々は面は割れていますが、化粧や……ウィッグ等で髪型を……他にはアクセサリーを変えるだけでも、外見はかなり変わります。
 外で気晴らしをしてみるのも良いでしょう、折角ですから、同志莉音と一緒に遊んでみたりするのも良い」

目を細めて、笑顔は努めて相手を安心させるように。
片耳から垂れた耳飾りは、風鈴に近いリンという音を鳴らす。

「我々の目的が成った後、我々が生きやすい世界になった後、『戦いの事しか知らない』……なんてことになっては、勿体ないですから」
415 : 清村渡季也◆</b></b>ARTs7Q6pII<b>[] 投稿日:19/08/18(日)18:08:41 ID:KQZ [5/7回]
//すいません、次の返信は19時以降になります!
416ルクレティア◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/18(日)18:36:21 ID:3BQ [5/8回]
>>414
「無理なんて、そんな事は……」

多くを語らず包みこむ手のひらの確かな熱は、激動の日々の駆け足を立ち止まらせる。
振り返る暇がなくて見ない振りをしていた嘆きの甕が、思いの外溢れ返りそうになっていたことに今更になって気がついたから。
知らず深緑の瞳に溜めた雫が零れる前に、慌てて空いた腕で努めてなんでもないように拭った。
それでも否定の言葉が口をついて出るのは、弱みを晒して無用と思われるのを恐れるからに他ならない。

「…………あの、それだけでいいんでしょうか?他に何か、お手伝い出来る事があれば……」
「いえ、それがご命令であれば従いますが……その、何もしていないのが、どうしても不安になってしまって」

だから意義は理解できる、けれど拍子抜けとも思えてしまう命にもどこか心許なげになってしまう。
しかし彼女が不服とも違う、自分の懸念事項をこうして口に出すのは些か珍しい。それだけ精神が万全ではないのだろうか。
泳ぐ視線、言葉にしてしまってから気まずそうに萎縮してかぶりを振った。

「……ごめんなさい、なんでもありません」

//了解です、ごゆっくりどうぞ
417清村渡季也◆</b></b>ARTs7Q6pII<b>[] 投稿日:19/08/18(日)19:26:25 ID:KQZ [6/7回]
>>416

「そうやって余裕が無さそうにしているから、僕はどうしても心配になるんです」

眉尻を下げ、困った様な表情で。

「……そうですね、どうしても何かをしていないと不安……というならば。
 僕はこの辺りを拠点に動いています、表舞台で何か大きな動きがあった時、それを僕に伝えに来て下さい」

与える指令は、本当に最低限の事だ。
……表の動きを知る為には、外を歩き回る必要があるだろうか。
続いて浮かべたニコニコとした笑顔は、どんな手を使ってでも彼女に気晴らしをさせようという気持ちが溢れていた。
418ルクレティア◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/18(日)19:54:24 ID:3BQ [6/8回]
>>417
気丈に見せようとしてもそれは柔らかな殻にすぎないから、どうしたって汲み取られてしまう。
歯噛みしたいような、自責に隠れてしまいたくなるような。複雑な心境が言いようのない疑惧と綯交ぜになって視線を明後日にやる。
何度か言葉を紡ごうと口を開きかけて、散らかった思考をどうにかまとめようとしているのは、少し遠回りな配慮に気がついているからなのだろう。

「……分かりました。そう仰るのであれば、暫くは探りながら休養する事にします」

控えめな、けれど確かに頷いて了承の意を示す。
気を遣わせたのを申し訳なく思っているのか、不遜にも嬉しく感じているのか。自分でも判別し難い二極の感情が仄かな微笑みを呼びこんだ。

「ですが渡季也さんこそ、どうか無理はなさらないでくださいね」
「……いなくなってしまうのは、もう嫌ですから」

細やかな我儘だと分かっているからこそ、努めてなんでもない調子のように。
名残惜しげに手を離して、小さな一礼。いつの間にか太陽は隠れて路地に広がるのは薄ら暗がり、子供の散歩はそろそろ終わる時間。
419清村渡季也◆</b></b>ARTs7Q6pII<b>[] 投稿日:19/08/18(日)20:34:52 ID:KQZ [7/7回]
>>418

「えぇ、では宜しくお願いします。
 同志莉音にも、僕とここで会った旨を伝えておいてください」

ほうと一息を吐き、銀の腕に解いた包帯を再び巻き付けていく。
徐々に灯る街灯の灯りが僅かに反射した。

「僕は……いなくなりませんよ、えぇ、えぇ、不変です。
 必ず、最後に笑いましょう」

一礼に頷きを返し、書生服は鈴の音と共に踵を返した。
路地の奥、通りの灯りとは別の方向。
暗がりへ進み行く。

//では〆でしょうか、ありがとうございました……!
420 : ルクレティア◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/18(日)20:41:43 ID:3BQ [7/8回]
>>419
//キリよく〆ていただいたのでこちらからも〆になります
//お付き合いありがとうございました、お疲れ様でした
421 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:19/08/18(日)20:55:53 ID:xKw [1/2回]
【名前】向坂志月(さきさかしづき)
【性別】女性
【年齢】15歳
【職業】上矢学園高等部一年
【容姿】
結った艶やかな黒髪。整った落ち着きのある顔立ち。落ち着いた服装を好み、派手な服装を嫌う。
【能力】
氷結の異能。発動には蒼光を伴い、一歩も動くことなく周囲を凍結させる事が可能。??
氷で武器や道具を形成する事もでき、その強度はかなりのもので溶けにくい性質を持つが氷である事に変わりは無く、強力な炎を前にすると威力が半減する。
そしてこの異能による凍結は伝播する性質を持ち、例えば氷の矢を地面に突き刺すとそこを中心に一定範囲を凍結させることができるが、その効果を発動するかどうかは志月の意思に委ねられている。
【装備】
大型の黒弓。造形は和弓に近しい。
この弓は志月の異能と相性がよく、展開したと同時に青い燐光を生じさせて絶えず冷気を放っている。
構え、番える動作をした時点で自動的に氷の矢が形成される。
ただ矢を放つのではなく色々な形で放つことができ、ただ能力を使うよりもその効果は強力。
普段は蒼い宝石の指輪に形を変えているが、無能力者の目には見えず触れることもできない、
常に冷気を帯びているが、それは志月の意思で調節可能。
実際はこれも異能の一端で、氷で形成した弓が志月の精神性の影響を受けて変質したもの。なので破損しても自力で修復が行える。
【概要】
自らが幼い頃に強盗殺人を起こして刑務所に入れられた実の父が最近脱獄し、上矢市に潜伏していると知って上矢学園に転入してきた少女。
自らの過去から男を嫌い、友達になることすら拒絶しているが男であっても命の危機に直面しているなら助ける。
それは見捨てることは父親と同じ殺人者だという思いから来ているが、父親への復讐の為なら自らがその最も嫌悪する殺人者になっても構わないという激情も秘めている。

参加希望です…。
422 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:19/08/18(日)21:12:37 ID:xKw [2/2回]
//あ、投下場所を間違えてしまいました……失礼しました
423小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/18(日)23:45:54 ID:3BQ [8/8回]
昇る太陽が街並みを照らして光に染め上げる、微睡み覚めやらぬ暁闇の頃。
気温が上がりきっていない、まだ人通りもほぼ見受けられないシャッターばかりの繁華街の端っこで。

「――やばい、出そう。っていうか出る。もう無理」

小型のアタッシュケースに凭れるようにして、排水溝の側に屈みこんでいる人影が一つ。
色合いの落ち着いたガウチョにカットソーと、一見すれば大人びた雰囲気の装いだが。
顔面蒼白、苦しげな声、極めつけに身に纏う酒精の香り。
どこからどう見てもアルコールの多量摂取による体調不良、即ち自業自得であった。

「おええぇぇえぇぇ……ああ出ない、つらい……気持ち悪ぅい……」

吐きそうで吐けない苦しみに悄然と俯く。頭上で微笑む有明の月が今はいやに憎らしく見える。
ちょっとした金が動く闘飲でこの時間まで飲み続け、半ば根性だけで勝利と賞金をもぎ取った代償は大きい。
立ち上がる気力さえ失せたものだから、酒酔いの嵐が過ぎ去るのをじっと待つしかできず。
424仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/19(月)13:14:02 ID:gsB [1/4回]
>>423
「ハイ」
「苦しそうだね、スズ」

聞き慣れた声と差し出された輝き。それらに導かれるがままに顔を上げたのであれば見慣れぬ景色が眼に映るだろう
ただの水が今では宝石の如く絢爛に輝き、腰程までに伸びた金糸がさらりと揺れて朝日を跳ね返す
清村渡季也と彼女との戦いを収めたメディアの中継を見ていないのであれば、それは急激な変化に見えるだろう
しかし気遣う様子はいつもの彼女と変わりない。やや疲れ切って元気が失せたようにも見えるが、それは元からか

「水買ってきたけど、飲ませて欲しい?」
「……なんなら、アタシが吐かせてあげてもいいけど」

やがてボトルを握った手の甲は優しく耳に掛かる黒髪を掻き分けて、首筋にひやりとした感触を与えるだろう
一方ではしゃがみこんだ格好、服の袖や隙間から覗く肉体の端々。まるで新品に交換したかの如く全ての負傷が消え失せて
つい先日に死闘を繰り広げたような形跡はそこにはなく、残る古傷も弾丸によるものだけだ

「――勿論、優しくね」

介抱の申し出は動けないすずめを気遣うように、その一方で弱った彼女に対する新鮮さを覗かせ
少しだけ揶揄いを入り混じらせた提案が耳元をくすぐるだろう
425小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/19(月)18:29:19 ID:nXy [1/4回]
>>424
「……おひさ、アキラちゃん」
「今年一年分のお酒かってくらい飲んだからねぇ……ぅえ……」

のそりと顔を上げて目を細めたのは、目に入ったペットボトル越しの甘露が射し込む朝日よりも眩しく見えたからか。
シニカルな笑みは芳しくない体調のせいだろう、アキラの近況を見知っているかどうかをそれだけで伺い知るのは難しい。
笑みの下に雑多な感情を潜めるのは、彼女の得意とするところなのだから。

「いんや……大丈夫」

脂汗に濡れた頸に触れた心地よい冷感は、こみ上げる吐気と頭で鳴り響く鈍痛を少しばかり麻痺させる。
耳朶を震わせて脳に沁み入る囁きが、気遣わしさなんて徒爾であると語りかけているように思えたから。
貫いた傷痕が残る右手をそっとアキラの肩に添えて、軽く押し戻した。

「――――もう出る」

いくら気懸りであるとはいえ、その力には逆らわない方がいいだろう。
珍しく余裕のない声から間を空けず顔を下向けて、排水溝までかかった不浄の虹に服を汚されたくないのであれば。
元々固形物は然程摂っていなかったから出てくるのは水分ばかり、しばらくの嘔吐は己の衣服だけは汚さないものであった。

「……っあー、ちょっと楽になったかも……口、濯がせて」

//大変お待たせしました、よろしくお願いします
426仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/19(月)19:14:22 ID:gsB [2/4回]
>>425
「っと、おーしおしおし……頑張れ頑張れ」

肩を押されその反動で二、三歩下がるのは人間として正しい反応だ。特に警戒の外からの一撃とあっては
しかしアキラは押されて直ぐに制御を取り戻して、そのまま寄り添うようにすずめの背中側へと回ったのだ
その際に幾らかの飛沫が足元を汚そうが構う事はない。彼女にとって衣服と友人のどちらが大切か。それは言うまでもないだろう

小さな背中を撫で、あるいは摩りながら嘔吐という生理現象がなるべく苦しみをもたらさないように努める
それがアキラの出来る唯一の貢献であったからだ

「ん、いい吐きっ……ゲホゲホッ……ゴホッ!!」
「吐きっぷり……だね、スズ……、プッ……!」

自らもすずめに寄り添ったその背中に貰い吐くなどという愚行を犯す人間はこの世に一体何人居るのだろう
すずめの視界の外で唐突に響く激しい咳き込む音はそんな悲惨な結末を想起させて、しかし直後に杞憂と知れる
その正体は弱り切った身体が気管に絡みついた血痰を輩出せんともがいている事に起因するのであるが
それを吐き捨てる場所すらも上手く誤魔化すアキラから与えられるヒントは、つんと漂う僅かな血の匂いだけだ

「ケホ……歩ける?」
「無理そーなら抱っこするよ、罰ゲームだから」

口元の血を黒地の服の裾で拭ってようやくその痕跡を消し去れば、アキラはすずめの視界へと戻って
水の入ったペットボトルを渡し肩を貸すべくその手を取って、掌を貫く刺し傷の剃刀の如き鋭利さに覚えを感じた

「…………あの子とやったの?」

すずめを抱えて直ぐだ。疑問の種を憚ることなくぶつけるのは
あまりにも目まぐるしく変わる状況、多すぎる情報量に頭がついて行けそうにないから
今夜はもう回りくどいことは一切無しだ
427小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/19(月)20:17:17 ID:nXy [2/4回]
>>426
鼻をつく酒薫に紛れた微かな鉄の匂いを敏感に嗅ぎ取ったのか、俯いた面持ちはその視覚情報すら前髪で覆い隠す。
口の端から垂れる銀の糸を受け取ったペットボトルの水で濯ぎ捨て、続いて一息で空にして近くのゴミ箱に放った。

「肩貸してくれれば……あー、やっぱ無理。運んで」
「しんど……もうしばらく飲まない……」

肩に痕を描いた手を乗せて立ち上がろうとするが、万全でない平衡感覚はまっすぐに歩くのを許さない。
ふらつく足、諦めたようにアキラにもたれてされるがままに自重を預ける。
アタッシュケースを前腕に裂傷が残る左手で力なく提げて、極力楽な体勢を選び背中に背負われる形。
車酔いの解決策めいてぼんやりと黒から青に移りゆく空を眺めやり、それは直接的な問いを受け止めても変わらない。

「これ?よくある事だから気にしなくていいよぅ。すぐ消してもらうし」
「……死神ごっこしてる子だったんだけど、逃しちゃってさ」

誰のことを指しているのか知らないフリ、なんでもないように空の手をひらと振った。
そのままふらり彷徨った手がアキラの金糸を遡り、頭頂部へと軽く乗せられる。

「アキラちゃんこそ、急にイメチェンしちゃって。何してんのさ」
428仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/19(月)20:49:50 ID:gsB [3/4回]
>>427
「……ねぇ、今日くらいはやめにしない?そういうの」

彼女はいつだってそうだ
笑顔の仮面の下に弱いものを全て押し込んで、ミステリアスな小鳥居すずめを演じ続けている
けれど人間というものは無敵では無い。きっといつか無茶をし続けたしわ寄せはやって来るから
アキラにとってはあの夜がそうだった。他人を突っぱね続けて最後にはすずめにすがりついて
そうして本当の自分を受け入れる事が出来たから、こうして臆する事なくここに立っていられるのだと思う

欺瞞も誤魔化しも責めはしない。けれど残された時間が有限であると知れた今だからこそ
彼女とは真正面から向き合いたい。余計なものの一切無い本音だけで語り合いたい
たとえそれがお互いを深く傷つけてしまったとしても

「アタシ、もう長くないんだ」
「死に掛けてる」

驚く程すんなりと、残酷な真実は舌の上を滑り出る
胸の痛みが伴うのは、それが確かにすずめの鼓膜を揺さぶってからのことだ

「……今まで出来るだけ正直でいたつもり。これだけは伝えるの迷ったけど……」
「でも、アタシにとっての先生みたいな人が……勇気をくれた」

「これも言っとくよ」
「……今日は、アンタにとって最悪の日になる」

伸びた髪、血の匂い、そして掌の傷痕
青空だけが皮肉なほどに美しく散りゆく命を照らす
429向坂志月◆</b></b>erGfW/tODU<b>[] 投稿日:19/08/19(月)21:52:50 ID:GT3 [1/3回]
夏休みが終了して数日、高等部一年のあるクラスはHRで転校生の紹介を行っていた。
艷やかな黒髪を結い、整った落ち着きのある顔立ち。人を寄せ付けないような、声をかける事を躊躇わせるような雰囲気の少女だった。

「転校生の向坂志月です。皆さん、よろしくお願いします」

恭しく頭を下げる少女。その名に少々クラス内がざわつき、教師がそれをどうにか収めるが、少女に向けられる目に好意的なものはきっと一つとしてない。
今から数カ月前にある街の刑務所を破壊して脱獄し、この上矢市に潜伏しているある犯罪者の身内であると知らない方が珍しいからだ。

「……」
 
結果として注目を浴びる転校生という立場であるにも関わらず、少女に声を掛ける者は一人としていないだろう。教師ですら明らかに煙たがっている。
昼休みを迎えると少女は屋上に向かい、一人ベンチに腰掛けて手作りのお弁当を食べ始めた。

/絡み待ちになります
430小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/19(月)21:56:27 ID:nXy [3/4回]
>>428
想像だにしなかった諫言。返す言葉が咄嗟に浮かばず、つい口を噤んだ。
背中に揺られて見上げた明けの明星から、地上の綺羅星へと視線を戻す。
顔が見えなくてもただならぬ雰囲気を読み取れないほどに愚鈍ではない、乾いた朝の空気に沈黙を委ねる。
求められているのが謝罪や言い訳とも違うと察するのは難しくはなく、それもまた次の言葉を任せるに至らせた。

「……ふーん。だからあの時も、ああいう風になってたんだ」

だからこそ、突然の告白にも動揺の気色は一切見せず。平坦な声の調子だけがアキラの命を養分として伸びた髪を揺らす。
時期はともかくとして彼女もまた、文字通り命を賭けた死闘をなんらかの方法で見知っていたのだろう。
ベットするチップは不可視であったがしかし、予測は自由であり想像は無限大だ。
ともすればその崖際の可能性でさえ、一時は脳裏を掠めていたのかもしれなかった。

「ホント、人生で一番最悪な日かもね。吐くまでべろんべろんになって、オマケに朝っぱらからこんな話まで聞かされちゃさ」

一転、冗談っぽい語調。本心であろうはずもない、けれど安易な慰めとは断じて異なる響き。
それは自分のためと言った方がいいのだろう、崩れてしまうくらいなら虚の支柱だって構わないのだ。
長く、長く息を吐く。しなだれかかるように肩に額を埋めた。

「…………馬鹿じゃないの」

非難や悲哀と表現するには不適切な囁きは、数多の感傷が混じり合って元の色をすっかり隠す。
あるいは己へと投げた言葉はあまりに空虚、何処に向かうとも知らない足取りの先さえ気にかける余裕はなく。
背中に隠した面持ちは伺えないが、少なくとも笑んでいないのだけは確かであった。
431小清 悠◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/19(月)22:03:58 ID:XED [1/3回]
>>429
「…ん」

女生徒が扉を開け屋上へと足を運べば見慣れぬ人物。
見慣れぬ人物、即ち志月に気が付いた女生徒は小さく呻いた。
少し前までとある事情で閉鎖され、解放された後も何となく避けられているであろう場。
つまりは一人になれそうな場所に先客というのは少なからず思うところがある。

「……」

だからと言って女生徒が志月に何をするわけでもない。
ごーいんぐまいうぇい。
女生徒は空いているベンチへと。
その際、志月に会釈くらいはするだろう。
432向坂志月◆</b></b>erGfW/tODU<b>[] 投稿日:19/08/19(月)22:14:19 ID:GT3 [2/3回]
>>431

「……どうも」
 
会釈されたら会釈を返す。それは常識である。しかしそれ以上のことをする気はさらさらない少女。
早々に食事を終えると昼休み終了までここにいる気のようで、何をするでもなく空を見ている。
暑いことは間違いないはずだが少女はとても涼しげで、少女に近付けばその付近の温度が異様に低いことに気付くだろう。
433小清 悠◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/19(月)22:20:47 ID:XED [2/3回]
>>432
「…?」

もそもそと自分の弁当であるサンドイッチを咀嚼していた女生徒。
何か違和感を感じ周囲を見回す。
そう、夏場の屋上なのに、自分黒インナーまで着用しているのに。

妙な冷気を感じる。

「……、………!」

その冷気の出所が志月であると察する女生徒。
驚くやら羨ましいやら逆に冬場は如何なんだろうとか。
そんなとりとめのない思考を巡らせたまま志月を見ていた。

本人は思考の沼に沈んでいるので厳密には見てはいないのだが、見ているように見える。
434仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/19(月)22:26:32 ID:gsB [4/4回]
>>430
「……でも、アタシは運が良い方だよ」
「本当ならあの日、死んでる筈だったんだから……」

「それで、ホントに馬鹿な選択をした。アンタに貰った命を投げ打ってでも……清村を止めたいって思っちゃった」
「その行為に意味が無かった訳じゃ無いって信じたい……タマまでは取れなかったけど、アンタに変わって一発ブチ込んでやったしね」

すずめを守る笑顔の仮面を剥ぎ取る事がこれだけ気分の悪い事だとは思ってもみなかった
本当ならばもっとロマンチックであったり、かつて自分が守られた時のような素敵なものであるべきだったのに
けれど現実というものは何時だって苦く、辛く、咀嚼し難い程に酸いものなのだ
すずめの小さな呟き。それだけで打ちのめされ、壊れそうになる自分の心の支えとして苦笑の入り混じった冗談交え

「これだけの事をやって、まだアンタと一緒に居たいって思うアタシは……きっとクソ野郎なんだと思う」
「だから……先に謝らせて。馬鹿なことしてごめん」

彼女を背中に乗せたまま、トボトボと歩く倒れそうな足取り
確かに家路へと向かっているが、何時になく意味の無い遠回り
心が痛い、苦しい。張り裂けそうなその痛みに耐えながら数歩進んだ頃、気付けば微かにイバラが伸びていた

「その上で……お願いがある。ホントどうしようもないけど……」
「アタシ……残された時間をアンタと……スズと一緒に生きたい」

「同情はいらない、拒絶してもいい。別れが辛いなら……もう二度と目の前に現れない」
「でももし、アタシの手を取ってくれるなら……」

「アタシは、スズの人生の一部になりたい」

溢れんばかりの感謝と愛をこれまで何度伝えただろうか。一方的なまでの感情の押し付け
初めの一度で当たって砕けて、未練がましく滲ませたそれはいつもひらりと躱されていた
自分に残された時間が少ない事を知り、人生にただ一片もの悔いを残したくないと強く想うようになって
だからこそこれは絞り出された未練を断ち切るためのもの。クソみたいな人生の締め括りに相応しい、惨めで最低な

本当に最後の、告白。
435向坂志月◆</b></b>erGfW/tODU<b>[] 投稿日:19/08/19(月)22:29:06 ID:GT3 [3/3回]
>>433
/開始早々で申し訳ないですが持ち越しをお願いします…
436 : 小清 悠◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/19(月)22:31:10 ID:XED [3/3回]
>>435
了解です
437小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/19(月)23:17:42 ID:nXy [4/4回]
>>434
「ホント馬鹿だよ。泣いて謝ったって許してあげないんだから」
「あの後また生きて会えて、あたしがどんだけ嬉しかったか知らないクセしてさ」

指先に触れる絹の髪をくしゃりと崩す。そうしたってなんの意味もないと分かっていても、体を動かさずにはいられなかった。
胸の内で塒を巻いた言語化のできない蟠りが、悪酔いとはまた違った鬱積であるのは明白で。
本来なら夢想的なシチュエーションで囀るべき言の葉も、今は湿った風に浚われるだけ。
顔は上げず、背に触れた表情筋が振動を伝えることもなく、唇すら微動だにしない。
それは決死の吐露と懇願を聞いてもなお変わらず、骸の如く沈黙を保つ。
声が形となって空気を震わせたのは、目を覚ました鳥の群れが頭上を通り過ぎる頃だった。

「……ああもう、最悪だ。罰が当たってんのかな」

相手を思って意を押し殺し続けた想い人が、他ならぬ自分のために冥路の階に足をかけただなんて。
思い上がり、自分勝手も甚だしいとしても。身を切る思いで思慕の距離を無理矢理に置いたのはなんだったのだろうか。
双つ星の選択に後悔などしてはいない、けれど真に責められるべきはきっと自分の我儘だ。
結果、アキラから遠ざけたいがために想いまでも遮った喪失の哀情に、先んじて此方が再び射抜かれるのは当然の帰結と言えるのかもしれない。

「死なないでよ」

だからこれも、硝子の羽より儚く脆い身勝手だ。

「また一人で死ぬのはやめてよ。あんなに辛いのは、悲しいのはもうゴメンなの」
「好きなんだよ、アキラちゃんの事が。本当ならずっと、ずっと大切にしたいと思ってる」

初めて、その言霊を口から放った。
気安い友情とは違う、もっと深く深い意味合いであるのは語るに及ばず。
側頭部を滑った右手が肩を掴んで、仄かに指に力が入った。

「――だからさ。そんな寂しい事、言わないでよ」
438向坂志月◆</b></b>erGfW/tODU<b>[] 投稿日:19/08/20(火)07:21:12 ID:nhF [1/3回]
>>433
食事を早々に終えて弁当を片付けた少女は立ち上がり、こちらを見ている悠の前に移動する。

「何か用でしょうか。言いたいことがあるならどうぞ」

何であれはっきりしないことを少女は好まない。不機嫌そうな眼差しで悠を見下ろし、露骨に舌打ち。
先程までの上品そうな佇まいからは想像もできない、あからさまな苛立ちが露呈している。
439仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/20(火)13:10:41 ID:7Cc [1/1回]
>>437
「――教えてくれなかったでしょ?」

心の中でいくら通じ合っていたとしても、彼女がそれを言葉にしたことはなかった
だから確固たる物証を与えられることの無かったこの関係を、アキラは揶揄するように嗤う
頭に伝わるすずめの体温がいやに熱く感じる。きっと身体が刻みつけるように彼女の存在を感じ取ろうとしているのだろうか

「うん……うん」

死なないで。突き放さないで。すずめの我儘にも似た言葉をすべて拾い、そして頷くことで肯定する
これまで彼女が自分を、そしてアキラ自身を守る為に距離を置いていたことは分かっていた
けれどアキラはこうして詰め寄って、彼女の心を傷つけた。それでもなお側に居たいと言ってくれるのならば

――ああ、この人になら。わたしの全てを捧げてもいいな

本当に何の疑問や躊躇も持たず、アキラはそう思った

「ねぇ、スズ……アタシを殺してくれる?」

背中に収まっていたすずめを抱きかかえ、くるりと滑らすようにしてその胸に抱く
まるで赤子を抱えるような体勢。伸びたイバラは膂力を増幅し多少の無茶は効くようになるものだ
そうして耳元に口を近付けてあやすように彼女を揺さぶりながら。アキラはそっと囁くのだ

「アタシの命は清村にはやらない。病気とか……寿命とかにも」
「スズじゃないと嫌なんだ……だからアタシと、添い遂げて」

アキラは自分の命をすずめにあげたい。すずめの為に使いたいと考えるようになっていた
ここで胸に木刀を突き立てられるのもいい。風刃で首を切り刎ねられるのもいい。衰弱して死ぬまで共に暮らすのも良い
その使い方は何だっていい。すずめが嘘偽りなく本当に望むことなら、何だって

「だってアタシも好きなんだ……アンタのこと、大好きだから」

これを愛と呼ばずして、何と呼ぶのだろう
狂っていても、アキラにとってはそうだ

//寝落ち申し訳ないです、今日は置きになりそうです
440小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/20(火)18:02:49 ID:QNl [1/1回]
>>439
さした抵抗はなく、自分から動こうともせず。抱かれるのに任せて背中から正面へと触れる熱を滑らせる。
顔を肩に埋めて旭日から隠したまま、重なる心音に耳を傾けてじっと動かない。
今は確かに時を刻んでいるこの鼓動の終焉が、既に目に見えて手の届くところまで歩み寄っているだなんて。
けれど戯言だと思い込めるほどに夢想家にはなりきれない、常世は全て何事も現実でしかないのだから。
生命の輝きを収めた銀色の砂時計から、残り僅かな砂がさらさらと流れ落ちる音が聞こえるような気がした。

「……死ぬなって言ってる人に、お願いする事じゃないでしょ」

くぐもった声。困ったように笑っている調子をどうにか作った、ハリボテの冗談。
それだけを搾り出して、また無言。額を擦りつけて、互いの匂いを強く押しつけているようだった。
無造作に垂らした左腕に持った重量よりも不確かで、それでいて重過ぎるものの終端を委ねられて。
人殺しでも、人殺しだからこそ。すぐに答えを導き出すことはできないのだ。

「――――もう少し」

ゆっくりと、顔を上げた。夢幻の如く震える言葉尻。
肩を掴んでいた指先から力が抜ける。輪郭を撫でた先の白い首筋にそっと手を添え。
朝露の煌きに誘われる蜂鳥のように、唇を唇に寄せた。

「もう少しだけ、このままで……一緒にいさせて」

触れるだけの接吻は甘く苦く、瞬きよりも幽かな刹那だというのに掠れた名残が後を引く。
その選択はようやく想いが通じ合ったこの瞬間を、でき得る限り長く享受したいがためであるのは明白だったが。
良いとも嫌だとも言わないのが問題の後回しなどでは断じてないのは、泣きそうな笑顔が何よりも如実に物語っていた。
441双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/20(火)18:51:18 ID:9Re [1/1回]
病院から出ることを許されるのは存外早く、少なくとも脚は時折痛む程度だ。
通院程度で問題も無くなった以上、外出だって自由にできることである。今は適当にぶらつくだけ。
問題と言えば未だに片眼を眼帯で封印した状態だということくらい。なお現在の時刻は休日昼間である。

「………………暇だな」

そして夏休みピークを結構犠牲にしてる男の発言と言えば何とも直近の事件類から離れた怠惰なものであった。
そんな彼が、もしくは彼を。見つけるのは誰か知人か奇人だろうか。もしくはそれ以外か。それは今はわからない。


//待ちです
442小清 悠◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/20(火)21:15:29 ID:GQi [1/3回]
>>438
「……、…!…失礼しました」

志月の不機嫌な態度に晒されて暫くの後。
大分間をおいて女生徒が頭を垂れ謝罪する。
考え事をしながらボーっと志月を見つめていたのであると今更気づいた。

「…なんとも興味深いな、と、そう思ったもので」

声は小さく覇気もない。
志月に委縮しているわけではない。、これがデフォ。
443向坂志月◆</b></b>erGfW/tODU<b>[] 投稿日:19/08/20(火)21:35:22 ID:nhF [2/3回]
>>442

「あなたのその態度、正直かなりイライラします。はっきりしてくれませんか?私の何が興味深いと?」

その覇気のない振る舞いは少女の苛立ちを増長させるもので、表情は険しさを増していく。
既に自分の素性が広まっている学校で、この女もそれを知らないはずがない。
どうせ自分に悪印象を抱いているのだと、冷めた言葉をナイフのように放り投げながら腕を組んで。
444小清 悠◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/20(火)21:54:04 ID:GQi [2/3回]
>>443
「常道型なのか、気温の感じ方はどうなのか、
 夏場は大人気だろうなとか、私もそういう能力欲しいなとか」

志月が声を荒げようが、その振る舞いが慇懃無礼であろうが、小清悠と言う女生徒は気にしない。
人は人、自分は自分、その思考が極端に行き過ぎた先に小清悠は存在している。
周囲のことは気にしない。だから変えない、変わらない。目の前に誰が居ようが。

極端に行き過ぎたパーソナリティはコミュ障となって現れた。
だから正直なところ志月の事なんか知らないのである。

「……色々考えが浮かびます。ね、興味深いでしょう?」
445向坂志月◆</b></b>erGfW/tODU<b>[] 投稿日:19/08/20(火)22:13:15 ID:nhF [3/3回]
>>444

「は、はぁ……何かと思えば能力の話ですか。私の能力の制御は完璧です。能力が感覚に支障をきたすことはありえませんよ」

拍子抜けして体から力が自然と抜ける。怒りも失せて、溜息をつくと少女は元居たベンチに座り直して顔をそちらに向けると蒼光が悠の周囲を漂い、その空間が徐々に一方向を残して凍りつき、壁が形成された。

「変わってるってよく言われませんか?貴方と話していると、妙にやる気を削がれます」

しかしその発言内容とは裏腹に、先程よりは物腰が柔らかくなった印象を受けるだろう。
446小清 悠◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[sage] 投稿日:19/08/20(火)22:21:01 ID:GQi [3/3回]
>>445
「!…かき氷食べ放題……」

志月の能力の有効的な使い方でも模索していたのだろうか。
凄く良い案を思い付いたと自分の恐ろしさにちょっと体をワナワナさせている…

「……はい……皆さん一様に」

頷く女生徒。別にそれを気にした事はない。
でも、そんなに変わっているかなあ?と思ったことはある。
まあ見た目は一般的ではないなと自覚しているが。
447仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/20(火)22:51:08 ID:PlG [1/1回]
>>440
「……うん、わかった」

短かな接吻の残り香はアキラにとって何よりも甘美に感じられた。けれども直ぐに離れたそれに物足りなさを覚える事は無い
首に添わされた掌に身体を押し付けるように顔を傾け、目を閉じたまま笑みを浮かべる

無論アキラとて何の感慨や罪悪感も無しに自らの運命を打ち明け、いたずらにすずめを苦しませている訳では無い
今にも泣き出しそうな笑顔が追い打ちをかけるようにアキラの心を締め付け、揺さぶるのだ

「悲しい想い、させてごめんね」
「でも、アタシの為に泣いてくれる人なんて……スズくらいしか居ないんだから」

真実を伝える為にはどうしても必要なコラテラル・ダメージ。それを押し付ける事すら戸惑っていては前に進めないから
短い謝罪、そして溢れんばかりの感謝と恋慕の情が傷を覆う蜜の如く次いで鼓膜を揺さぶるだろう

「嬉しいんだ、すごく」

腕の中で赤子のように抱えられたすずめの額にこちらからも口付けて
強い熱はその命が終りかけながらも、最後まで煌々と輝き続けることを誓うかの様

「………………けほッ」
「すぐに終わらせて欲しい訳じゃない、お互いに納得いく形で……お別れがしたいだけ」

堪えていた血痰を側溝へと吐き出し、けれど足取りはすずめに不安を与えぬよう確かなものだ
殺せとは言ったが、なにもすずめに咎を負わせる為の発言でない事は、彼女も承知しているだろう
アキラを斬るのも、共に余生を過ごし病床で息絶える彼女を看取るのも、どちらも同じ
極論、ここでアキラを捨てたとしても『見殺し』という形で殺す事になる。全ては解釈次第なのだ

長い長い寄り道を終えて『家』の前へとたどり着けば、ようやく足を止めて腰を下ろした
階段に腰掛けてすずめを抱きながら、あやすように左右へ穏やかに揺らす
ここがアキラの、そして等しくすずめの巣箱

//帰宅しました、これからリアルタイムで返せそうです
448小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/21(水)00:29:39 ID:zE2 [1/2回]
>>447
額を擽った柔らかな感触に目を細めて、慈愛に微睡みを誘われたように背中を丸めたけれど。
これ以上の頬笑を保っていられる自信がなかったから、またすぐに肩骨に顔を埋めた。

「大丈夫、分かってる……分かってるから」

鼻でいっぱいに息を吸いこめば、時限のある幽香が脳を侵して慰める。
その程度で疵が癒えるはずなどないと、結末に抗えるわけではないと理解していたからこそ。
アキラに語りかけているようで、自分に言い聞かせているような。

「でもあたしは今までより、もっと近くでずっと……最期まで、二人で過ごしたい。我儘だよね。だから――」

規則的な振動が途絶えてアキラが座すれば両腿を跨ぐ形、手放されたアタッシュケースが無為に転がった。
自由になった両の腕が金の髪をさらりと撫でて、頭を胸に包みこむように抱きしめる。
どこまでも気侭で、刹那的で、時にどうしようもなく打算的に甘ったれる女の、心底からの懇願。
星は滅びの時まで光を放って、掌をすり抜け明ける空に影を落とし。
鳥籠はいつか容易く崩れ去り、雛鳥は銀瑠璃を目指して翼を広げる。

「その時が来たら、ちゃんとあたしが殺してあげるから――約束する」

踏み出した土はきっと脆くて、そのうち行方も分からない無間に落ちてしまうのだろうけれど。
穏やかな永訣や遺恨を種まく決別ではなく、既に汚れきった自らの手で幕を下ろすと宣誓したのは。
愛と名付けた逆十字を背負って、途切れ途切れの軌跡を描くと決断したからなのだろう。

「――――一緒に帰ろう」
449仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/08/21(水)01:03:17 ID:Y0u [1/1回]
>>448
「……ありがと。アタシを殺してくれて」
「これでもう、何処に逝くのも怖くない」

肩口に顔を埋めた雛鳥の可愛らしい仕草に、思わず場違いな微笑みが溢れる
近くこれから命を喪うというのに何故ここまで朗らかな表情が浮かぶのかアキラ自身理解出来なかった
けれど最愛の少女から贈られる切火があるからこそ、死出路がどこへ繋がっていようとも怖れなど既に無く

「ん……色んな場所に行って色んなものを見よう。色んな美味しいもの、食べよう」
「酔いが覚めたら、またバイクに乗せて……七夕に行ったあの丘まで連れてってあげるから」

結ばれて、死が二人を分かつ迄同じ道を歩み続ける。その道程に長短こそあれど違いなど無いのだから
今までよりも色濃く、脳を麻痺させるような濃密な時間を前にアキラは頷き、心から嬉しそうにはしゃぐのだ
時間は有限だ。そして終端が目前にあると思い知っているからこそやりたい事をやりきるのだと駆り立てる原動力になる
短いということはハンディキャップにはなり得ない

「……アタシも約束するよ。アンタが殺してくれるまで……何処にも置いてかないって」

そんな力をくれたすずめには、アキラも残る人生全てを賭して最高の贈り物をしなければならないと想った
だからこそすずめが葬送を遂げてくれるその時まで、他の何にも自分の命を奪わせないと誓ったのだ

これまで孤独を味わい続けていたからこそ、置いていかれる痛みは誰よりも知っているから
アキラが居なくなったとしても、寂しく無い程に濃い時間を精一杯過ごそう

「――愛してるよ、スズ」
「一緒に帰ろう」

そんな思いを胸に左手ですずめを抱え、転がったアタッシュケースを拾い上げて
自分たちの巣である煉瓦造りのアパートの扉を開け、暗がりの中へと消えるのであった
そんな二人の後ろ姿を、姿をくらませた月に代わって朝日がにこやかに照らしていた

//それでは絡みありがとうございました。とても楽しかったです
450 : 小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/21(水)01:34:33 ID:zE2 [2/2回]
>>449
鎖ざした想いが何度もすれ違ったのに悔いはなくても、その全てに背を向けて俯くのは。
出逢いと、そこから生まれた日々の賛美にも目を逸らすのと同義だ。

「あたしだって……あたしの方が愛してるよ、アキラちゃん」

本当は長い長い寄り道の間に平衡感覚はすっかり回復していたけれど、大人しく抱え上げられて肩に頬を寄せる。
二本の足で立って歩くより、もう少しだけ盟約で紡いだ共鳴の鼓動に身を預けていたかった。
白々明をカーテン越しに抱いたアパートの中は薄暗いが、いつの日か弾ける泡沫の巣穴はこれくらいでちょうどいい。

酔い覚ましに一浴びしたいからと、唯一の荷物を任せて一人浴室に素足で踏み入る。
アタッシュケースに詰められた、一学生には相応しくない金は目立つ傷痕を消すために用いるつもりであったが。
徒花が風に朽ちて溶けるまでの輝きに沈めてしまっても、罰は当たらないだろう。
シャワーのハンドルに手をかける。一部分だけが変色した甲が目に入って、何故だか思わず笑みが零れた。

「ああ――やっぱ、最低で最悪な日だ」

伏せた視線は鏡から逃げていたが、虚像と目を合わせなくたって酷い微笑が映っているのは自分でもよく分かる。
音を殺して頬を伝った生温い雫を、頭から被った冷水が洗い流して大河に捨てた。

//こちらこそありがとうございました、お疲れ様でした
451向坂志月◆</b></b>erGfW/tODU<b>[] 投稿日:19/08/21(水)06:17:13 ID:pGA [1/1回]
>>446

「あの、私はそんなことに能力を使いたくないのですが」

悠と居たら変なことに能力を使わされそうだなと感じたのでぴしゃりと断りを入れる。

「イジメにあってはいませんか?教師なら必ず助けてくれるでしょう、手遅れになる前に助けを求めることですね」

なんとなくイジメの対象になっていそうと思って。かなり酷い偏見だが悪意はない。

/寝落ち申し訳ないです
452小清悠◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[] 投稿日:19/08/21(水)09:14:53 ID:Ont [1/1回]
>>451
「…残念です」

いい案だと思ったのに、そんな感じが滲み出ている。
女生徒の中では夏場に降臨する全人類幸福計画という展望まで見えていたらしい。

「ええと……ありがとうございます?」

此処までのやり取りで、きっと思い込みの激しい人なんだなあ、と志月を理解する女生徒。
ちなクラスメイトの中には学期の初めこそ女生徒に対し虐め紛いの事をしでかした事もあったが、
女生徒のリアクションが薄いのと、とある事情から数日もしない内に紛いは沈静化した。
現状、クラスメイトとの関係は良くもなく悪くもなく。
いや、関わり合いが薄いのだから悪いと表現すべきだろうか?
しかし女生徒は一人で居る事が誇張や強がりではなく本当に大丈夫な人種なので、
本人としては学園生活は満喫出来ている、らしい。
453???◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/21(水)09:59:31 ID:n5c [1/3回]
「ケケケッ…やっと意識がハッキリして来たと思ったらどうなってんダァ?」

路地裏、割れた鏡の破片に移る自分をまじまじと見つめる男、彼はデッドストックの覚醒個体なのだ。
反応からするとついさっき覚醒したのだろう、それを裏付けるかの如く周囲には血痕が残されている。

「しっかしこんな姿でどうやって生きて行けと?
先ずは宿でも探すかなぁ……なぁーんて、これじゃあ
門前払いどころか門すら叩けねぇよなぁ……」

この男、両の目はギョロギョロと蠢き、全身は細かい鱗に覆われ四肢は長くしなやかに、体色はエメラルドグリーンの正にカメレオン男と言った姿をしている。

//絡み待ちです
454向坂志月◆</b></b>erGfW/tODU<b>[] 投稿日:19/08/21(水)10:14:52 ID:70D [1/1回]
>>452

「あなたも能力を見てそこまで驚かないところを見るに能力者なのでしょう?
なら大丈夫だとは思いますが、あなたはイジメの対象にされやすい傾向にある人間です」

能力者なら自衛の手段もあるだろう。なら学校でのイジメ程度なら平気なはず。結構失礼なことを言っているが、それを悪びれる様子はない。

「まあ……気をつけることですね。特に能力者同士の喧嘩ならその気がなくとも行き過ぎる可能性は大いにありますから」

そんな忠告を残して少女は屋上をあとにするだろう。


455 : 小清悠◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[] 投稿日:19/08/21(水)12:04:18 ID:fCS [1/1回]
>>454
「……」

表面的なクールさとは裏腹に激情家だなあ、とか。
だいぶ上から目線だなあ、とか。
そういう事を考えているって事は、今正に自分がそういう立場に置かれているのかなあ、とか。
女生徒は志月の一方的な物言いを聞きながらそんなことを思っていた。

「…」

結局、何を反論するでも忠告するでもなく、志月を見送ってこの邂逅は終わりとなった。
456◆</b></b>dsuGi3hK2TrA<b>[] 投稿日:19/08/21(水)21:19:49 ID:XE8 [1/3回]
>>453
路地裏の奥からコツコツと音を鳴らしながら現れる人影。齢十二程の淑やかな少女と言った風貌。
微かに揺れる金色の髪は豊かに実った稲穂を想起させる。カメレオン男に近づくと、新しい玩具でも見つけたかのように語り掛ける。

「おや、興味深い。亜人がひとりでに産まれ落ちるとは」
「この街はまだまだ盛り上がってくれるようだね。君、気分はどうだい?」

可愛らしいがどこか胡散臭い声。どうもただの人間の少女ではないようだった。

/もしよろしければ
457???◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/21(水)22:27:55 ID:n5c [2/3回]
>>456
「あァ?誰だお前?」

ギョロリと動く双球は少女を捉えた、だがその体勢は動く事なく壁に寄りかかり腕を組んだまま。

「気分?あんまし良かねぇな…」

覚醒し初めて出会った人間、だがこの妙な違和感は何だ
先ず少女の態度は小学生か中学生辺りの少女が怪人を目撃した時の反応じゃないだろう、など様々な疑問が浮かぶ。

「んまぁ俺の事が知りたいんならお前から先に名乗れ
…礼儀だろ?学校で習わなかったのか?」

思考を巡らす事は未だ霞みがかっていた意識を呼び覚ますのには効果的だった。
意識が段々とハッキリしてくる内に浮かぶのは自分を
拉致しこんな姿に変えた者への怒り、それは彼女への態度にも若干現れている。

//宜しくお願いします!
458◆</b></b>dsuGi3hK2TrA<b>[] 投稿日:19/08/21(水)22:39:13 ID:XE8 [2/3回]
>>457
「だろうね。産まれたばかりと言うのは往々にして困惑するものさ」

カメレオン男を前にしてもまるで動じることはない。明らかに、平凡な人間とは違う。

「くっ……あははははっ! そうかそうか、そう来たか」
「いや失敬。確かに君の言う通りだ。まずは私から名乗らせてもらおう」
「私はリグレット。この街を訪れた、ただの旅行者さ」

少女は名乗る。それに続く言葉は如何にも嘘くさく、少なくとも本音と言うには程遠い代物だ。
顎に手を当て、面白そうに笑い出すと彼女はカメレオン男に更に近づく。

「さてさて、名乗ったのだから君も名乗るべきだよ」
「そして、私の話も聞いてくれるかい?」
459十六夜◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/21(水)23:31:17 ID:n5c [3/3回]
>>458
「ふーん、そうかい」

返事は意外と軽かった。
そもそもこの男は嘘だと思っても余り詮索しない面倒臭がりなタイプなのだ。

「…俺は十六夜、16号とも呼ばれてた」

まあ言って損する情報でもないのでここは真実を告げる
それにしても彼女は胡散臭い、目玉をギョロリと一回転させ再度見つめるもやはり胡散臭い。

「ああ、聞いてやる」

//すみません速度制限が入ったので不安定になるかもです
460◆</b></b>dsuGi3hK2TrA<b>[] 投稿日:19/08/21(水)23:57:42 ID:XE8 [3/3回]
>>459
「では十六夜と呼ぼう。十六号では面白味がないからね」
「よろしく、十六夜」

そう言って彼女は白い手袋で覆われた右手を差し出す。
親睦を深める為に握手を交わすのは人間の生み出した普遍的文化の一つだ。十六夜がその手を握るか握らないかはともかく、彼女の話は進む。

「単刀直入に言おう。私の隊列に加わってはくれないかね?」
「私はある目的の為にこの国にやってきた。所謂視察と言うやつだ。それと同時にスカウトも考えている」
「やれ実験台だ、やれ研究素材だなどとは言わないさ。業務に見合った報酬は支払われる」

まるで大軍を束ねる長の如き口振り。胡散臭い声ではあるが、声音は真実味を帯びている。

「悪い話ではないだろう? この街で、君が生きていける場所は少ない」

/私もそろそろ離脱しなければならないためここで凍結させてもらって良いでしょうか?
461 : 十六夜◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/22(木)00:11:19 ID:C1o [1/7回]
>>460
//どうぞー
462 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:19/08/22(木)02:29:02 ID:sNx [1/1回]
 夜。路地裏の隅っこに古ぼけたコンセントがあったから、横たわるようにして壁にもたれかかって、
百均の充電器で型落ちにもほどがあるiPhone6s──長い事ずっと真っ暗だったそいつの息を吹き返してやることにした。

 寝かけていたところ、微弱な振動が復旧の合図を告げた。その様子をぼんやりと眺める。黒のバックスクリーンに、食べかけの光のような白い林檎──、jdかきfhajfi──? ジャミング? 白い林檎はプログラムが引き裂かれるように侵食されて──


『 ──感知、電気的個人規模端末。情報禁度と照らし合わせて逆説的に可能──許可。
システム開始。多元世界観由来のパルス信号を送信──同調。
量子化と再編成──成り立ちに違和感なく完成。
存在への同一性を限りなく一元化──ゆらぎこそがヒューマニティの原動と見做しキャンセル。
その他サブプロセスの進行───────宇宙のはじまりから終わりにかかるのと同じ時間を、無限並列回路で瞬く間に短縮。
全行程終了。「君は世界の王さまだ。ブレインは物理学の行き着く果てに絶望し、娯楽としてこいつを残した...... 精々ごみで楽しんでくれ.......」』


 メッセージが途切れると、スマホは一際眩しい光を遥か上空へ放ち、夜に孔を穿った。
463十六夜◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/22(木)08:32:42 ID:C1o [2/7回]
>>460
「好きに呼べ」

差し出された手に組んでいた腕を少し緩めるが握手を返す事はなくまた組み直す。

「…ケッ、また兵隊か?まぁ今更慣れない仕事に手ぇ出すのも無理ってもんだが……おもしれぇ!幾ら生まれ変わっても俺は兵士って事か?流石に運命感じちゃうぜ?」

一人で盛り上がるこの男、実は解放師団に人形として使われる前は傭兵として活動していたのである。
二度もの転生を果たしても尚その運命からは逃れられないのかと、十六夜自身も満更では無いのだが。

「オーケー、どうせ行くあても無いんだ、これからよろしく頼むぜ?“隊長”」

何はともあれ路地裏に居座り続けるよりはずっとマシだと、彼女についていく事にした。

464ひかる◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/22(木)22:21:31 ID:C1o [3/7回]
>>441
「よっ」

唐突に彼の目の前にダボついたパーカーを着た少女の顔が現れるだろう、それも逆さまに。

「ちょっと話したいんだけど」

彼女は何も無い空中に括り付けた糸を使いぶら下がっていた。それは正しく蜘蛛と例えるべきか

「いい?」

起伏の少ない表情からは特に何も察せられず、ただ敵意は無いと見て良いだろう。
指先から出た糸を千切るとスタッと着地する。

//並行になりますがよろしいでしょうか?
465リグレット◆</b></b>dsuGi3hK2TrA<b>[] 投稿日:19/08/22(木)22:46:59 ID:eVc [1/3回]
>>463
「おや、従軍経験者か。ならば上々。君にうってつけのお仕事さ」
「隊長などと畏まらずに私のことは〝元帥〟と呼びなさい。さ、着いてきなさい」

むしろ畏まった呼び方を推奨し、彼女は十六夜に手招きをしながら路地裏の奥へと歩き出す。
どこかで連れていこうと言うのだ。そして、道中で業務内容についての説明を始める。

「私の所属する組織はクリフォト機関と呼ばれている。勿論、公表されているものではない」
「だが、我々はこの世界に存在する。ひっそりと、そして大胆に。超人が出現する以前より、ずっとね」
「我々の目的は一つ。この世界に混沌を満たすこと。その為に幾つもの策が講じられている」
「とまぁ簡単に説明するとこんな物だ。どうだい? 胸が高鳴るだろう? 悪の組織だぜ?」

余りにも荒唐無稽で、大雑把。悪の組織なんてそんな大層な物が、このご時世に存在するのか。
しかし、彼女は堂々とそれが真実であると語っている。
466双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/22(木)22:49:24 ID:Nw9 [1/3回]
>>464
まずぺたぺたと自分の頭を触った。無意識で反転させてないかと。
正常であることを確認すれば頷きつつ視線を上げた。空中の糸の存在は陽射しに当てられて発覚か。

敵意や殺意には当てられやすく、少しはわかるようになってきた次第。直視は避けたが内容には受け入れた。

「ああ、良いぜ。内容は決まってるのかサーカス娘?」

意味もなく指を鳴らして、左目で姿を捉えつつ軽口を叩いた。

//気付くのが遅れました申し訳ありませんよろしくお願いします……!
//並行はこちらは大丈夫ですので、先にしていただいてる方を優先して大丈夫ですっ
467十六夜◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/22(木)23:04:36 ID:C1o [4/7回]
>>465
「元帥だって?冗談キツイぜ、まだ小学生か中学生だろう?まぁそれが嘘とも言い切れねぇからこの世は面白いんだがなぁ」

付いていくとはいえまだ彼女を完全に信用してはおらずそもそも自分よりかなり年下であろう彼女に元帥とは
こちらもプライドが許さない。

「クリ…フォト?」

彼女の話に時折へぇーすげーと言った相槌を打ちながら聞く、彼女の言う通りかなり胸が高鳴ることだが流石に胡散臭さは否めない。

「…つーかそれホントかぁ?目的も抽象的だし何より聞いたこともねぇんだけど…信用していいのか?」

疑いをかける。
ここでボロが出る様では勧誘はご破算、信用に値する何かを見せてくれれば知りたがりの彼にとっては嬉しい。
468ひかる◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/22(木)23:16:19 ID:C1o [5/7回]
>>466
「サーカス娘はお前の仲間のチビに殺された奴だよ…」

吐き捨てる様に言い放つ。
この時彼女の口内には鋭く尖った牙がちらりと見えるだろう、それは彼女がマトモな人間では無いと察するには充分な筈だ、だが彼への敵意や殺意は微塵も感じられないだろう。

「とりあえず公園行こ」

手を引き公園に向かおうとする。
この時彼女の手の異様な冷たさに気付くだろう、それは彼にとっても記憶に新しい感覚の筈だ。
469リグレット◆</b></b>dsuGi3hK2TrA<b>[] 投稿日:19/08/22(木)23:20:14 ID:eVc [2/3回]
>>467
「本当だとも。私が嘘をついたことがあるかね? 無いだろう」
「なにせ出会って間もないのだからね。嘘をつく暇などありはしない。そうこうしている内に着いたぞ」

到着したのは何の変哲もない廃ビル。人の気配は全くと言って良い程感じられない。
子供の冗談かと思うかもしれない。しかし彼女が指を鳴らすと、簡素な鉄の扉が軋みながら開かれる。
扉の先は明らかに廃ビルの中身ではない。豪奢な雰囲気の西洋風大広間、それも窓の外が明るい。

「さ、入りたまえ。好きなソファに座るといい。茶を出させよう」
「これで信用してくれたかな? ここは私個人の事務所兼集会所でね。たまにおかしな輩も来るが気にしないでくれ」

彼女は躊躇なく扉の先に入って行く。十六夜がそれに続けば、扉はばたりと閉まることだろう。
470双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/22(木)23:29:27 ID:Nw9 [2/3回]
>>468
「……チビ? 殺された……?」

不穏な発言は耳に残る。仲間のチビで思い当たるところは多いが。殺されたとは。
何分そのほとんどに会えてない始末である。病院をもう少し駆けるべきかと思考したり。

「…………なるほどな。ああ、公園で話そうか」

冷たさはまだ肌に新しい。記憶には当然のように。死人に何度も触れてるのだから。
だから目が少し開くくらいで大した驚きにもならない。ただ彼の中には暗いものがあるだけだ。
公園に辿り着いて早々にベンチに座り込むことだろう。誘導したいところがあるなら無理にでも引っ張るしかない。

「それで、公園まで連れてきて何が聞きたいんだ、お前は。俺の方は色々あるが」
471十六夜◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/22(木)23:33:26 ID:C1o [6/7回]
>>469
「ったく訳分からんガキだぜ…おっここが…あ?」

廃ビルを上から下までその目玉で舐め回す様に見るが何処からどう見てもただの廃ビルだ。
ここに信用に値する何かがあるのか心配になってくる。

「おぉ?!どんな手品だ?」

扉が開かれる、正直どんな寂れた空間が自分を出迎えるのか、それも楽しみと言えば楽しみだったがその予想は
まもなく覆される事となる。

「え?これどうなってんだ?絶対おかしいだろ?え?」

見回すしか無かった。
どう見ても薄暗くジメジメとした路地裏の奥の廃ビルにある空間では無いからだ。
そのままゆっくりとした足取りでビルに入るとそのままソファに腰掛けた。
472ひかる◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/22(木)23:41:35 ID:C1o [7/7回]
>>470
「単刀直入に言うけど、解放師団って今どうなってんの?」

アジトもなくなりメンバーも散り散りとなった今彼女に情報を与えるものは存在しない。
ただ一つ分かることは大規模な戦いが会ったことだけ。

「アンタ少しは知ってるんじゃないの?」

後は覚醒前の記憶を頼りにして情報を聞き出す他ない。
彼の事を幸いひかるは知っていた。
同志を殺った敵として伝えられていたからだ。

「何か教えてくれたらアンタの気になること答えたげる」

やる気のない上目遣いをしつつ彼との距離を縮める。
473リグレット◆</b></b>dsuGi3hK2TrA<b>[] 投稿日:19/08/22(木)23:46:55 ID:eVc [3/3回]
>>471
「まぁちょっとした空間転移さ。気にすることはない」

如何にもなティーセットを運んできたのはこれまた如何にもなクラシックメイドスタイルの黒髪の女性。
彼女は何も言わずに黙々とそれらをリグレットと十六夜に提供すると、一礼と共にその場を去っていく。

「さて、と。ひとまずこの部屋は好きに使ってもらって構わない」
「あぁ、元の場所に戻りたいならさっきの扉を開ければすぐさ。来た道を戻るよう頭の中で思い浮かべるのだよ」
「そうしないと、一体何処に繋がるかもわからないからね。くくくっ」

何が面白いのか。彼女は紅茶をほんの少し飲むと、再び話を進める。

「さて、私からの話はこれで最後になるが、実を言うと私はこの組織のトップではない」
「〝極めてトップに近い存在〟と言うのが妥当だ。そして、私と同格の存在が私を除いて九人いる」
「この魑魅魍魎共は必ずしも私と友好的な訳ではない。組織自体の目的は先述した通りだが……」
「それに付随する個人の思考は同一ではない、と言うことだね。だから、もし私と友好的でない者の部下と出会ったら重々注意するように」
「ともすれば、監禁されて拷問されるかもしれないからね。ふふっ」

「仕事については追って連絡する。それまでは好きにすると良い」

そう言うと彼女はお茶請けの洋菓子を頬張る。そうしていれば普通の少女にしか見えないが、腹の内は魑魅魍魎同然。
この場でくつろぐも良し、彼女に何か質問するも良し、街へ帰るも良し。十六夜の行動を阻む者は一人として存在しない。
474双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/22(木)23:58:32 ID:Nw9 [3/3回]
>>472
解放師団の近況を尋ねるということはつまり関係者。
そして双葉にとってはこの取引はリスクとリターンは噛み合ってる内に入るものだ。何せ知ってる限り教えればいいだけだ。
その上で答えられると来れば、動けぬ今としてはそれが情報源として助かる他ない。

「お前の予想通り少しだけな」

彼女からすれば双葉は一人を殺してる、その命を背負ってる身に他ならない。

「少なくとも今は大っぴらな活動は聞いちゃいねえよ。俺と対峙したやつも撤退した」
「それ以降は実に平和だよ。復讐があるわけでも監禁拉致されてるわけでもねえ」
「かといって、首領がやられたなんて話も聞かねえ以上わかるだろ?」

若干距離を空けつつ、双葉はそう言葉にする。
首領は健在の可能性があり、しかし師団に仇なした者を裁く存在もまだ出てこない。
表向きは平和な以上、眼帯とマスクの彼から匂わされるのは実に噛み砕きやすい内容だろう。
475ひかる◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/23(金)00:04:30 ID:7Qe [1/9回]
>>473
「ヒュー!サンキューなー……空間転移か、なら納得だ」

紅茶を運んできたメイドに子供の様なテンションで手を振り例を言うと即座に口調は真剣なものへと変わった。

「ここなら足もつかねぇだろうし俺の…いや俺がいた組織も見つけられない訳だなー、アチっ!」

パックリと大きな口を開き紅茶を全て流し込む、勿論舌を火傷してしまう。

「おー怖、リグ隊長の組織は仲悪ィんだな」

思い出せば解放師団はとんでもない犯罪集団だったがメンバー間の仲はすこぶる良かったと記憶している。
少なくとも第2旅団は生前問題を抱えていた者の集まりだったからか皆人の痛みが分かるいい奴らだったと思う。
思い出に浸っていると頬を水滴が伝った。

(夏祭り楽しかったなぁ…アイツら生きてんのかなぁ……
……いっけねこれじゃあ示しがつかねぇな…)

「んじゃあ、しばらくここでくつろがせて貰うぜ
…紅茶お代わりしていいスか?」
476 : 十六夜◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/23(金)00:05:02 ID:7Qe [2/9回]
//名前ミス…!
477仮面の男◆</b></b>5cw/3jepuI<b>[sage] 投稿日:19/08/23(金)00:08:28 ID:u9l [1/1回]
先の戦いを受けて団長は重症を負った。その後逃走に成功し、解放師団の活動は暫くの間縮小されるという決定がされた。
使っていたアジトも放棄。今後師団は水面下で活動する事になるが、その為には自分達に繋がる痕跡を全て消さねばならない。必要最低限な荷物のみを持ち、それ以外は全て抹消しなければならなかった。
仮面の男は、そんな後処理を担当している。

そのビルの一角が突如爆発を起こしたのはまだ夜も深くなっていない頃であった。
そこは、秘密裏に師団と繋がりを持っていた企業の本部である。

「…………」

爆発し、炎上するビルを仮面の男は眺めている。
これで師団に関する証拠が残る事もないだろう。書類も、データも、その事を知る人間も。
次第に野次馬の人だかりが集まってきたので、仮面の男はそれに紛れて静かに立ち去ろうと現場から背を向ける。それを見つけて、不審に思う人間がいても無理はないかもしれない。

//スローペースになりますが、よろしければ
478ひかる◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/23(金)00:20:20 ID:7Qe [3/9回]
>>474
「ふーん、じゃあまだ師団は、私の居場所は生きてるんだ…良かった…じゃあ、みんなも…?」

人が変わったように呼吸が荒くなり胸を押さえる。
その眼は一瞬だが獣の様に鋭い眼光を覗かせるだろう。

「にしてもアンタ…豪を殺したってんだからどんな奴かと思ったら案外普通なんだねー」

伏し目がちに彼に殺された男のその名前を強調して言う
言い終われば彼の目を見て悪戯っぽく笑うだろう。

「あ、心配しないでこう言うの慣れてるから
…つい昨日まで仲良くしてた奴が突然死んだりなんて日常だったから」

まるで軽く愚痴を言うように紡がれた言葉は彼にどう響くのだろうか。

「じゃあ次アンタ、聞きたいことあるなら言ってみなよ」
479リグレット◆</b></b>dsuGi3hK2TrA<b>[] 投稿日:19/08/23(金)00:31:02 ID:vwL [1/1回]
>>475
「組織など何処もそんな物さ。肥大化すればする程、内部の軋轢も増えていく」
「組織を拡大する上で最も重要な要素は如何にヒビの影響を少なくするかだ。例えヒビが入ったとしても、支柱が崩れなければ問題無い」

紅茶で喉を潤しながらやたらと恐ろしいことを語る。この少女は諍いが起こることを前提で事を進めるつもりなのだ。

「あぁ良いとも。好きに頼むといい。メイドに頼めば食事も出る」
「さて、私はもう少し仕事があるのでね。君、くれぐれもここの備品は壊さないでくれよ?」
「私のお気に入りなんだ」

そうして、少女はここに来た扉を開き、閑散とした路地裏の風景へと戻って行った。

/ではこの辺りで〆で!ありがとうございました
480双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/23(金)00:32:07 ID:lBp [1/6回]
>>478
「師団でもねえ友人でもねえ俺がそこまで知ってると思うか? 壁の奴は捕まってないなら生きてるだろうよ」

その疑問に優しく答えられるような高潔さはないと言うに。
それでも確実に一人の生存を示すところは甘ったれた精神の表れか。水晶の元の持ち主がこの世を去ってることも彼は知らぬ。
眼光すら向けられて当然と背けて。

「――――やっぱり豪の関係者、引いては蘇生の関係者か」
「世の中存外普通の奴が殺すなんてよくあることだろ?」

テレビでのニュース、事件を起こした者がよく「普通だった」なんて言われることを皮肉って。
笑われるとどこか痛む肌を抑えて。

「俺はそんな日常ごめんだね。ああ一度体験してよーくわかったさ」

青天を仰ぎ見て、響いた言葉が現実になることを彼は拒む。住む世界は違うと。

「まず、お前らの蘇生をした相手。その所在や名前。安心しろ、誰かに漏らせるほど人脈はねえよ」
「そしてさっきの『チビ』について知ってること」
「まだあるからな」

どれも真剣に、圧を送るように視線は上から。首を離さずとも元からの体格がそれを生む。
彼の舌はまだ好調。直前で数を指定されなかったことを利用していくつも。
だがそれはお互い様であることを失念している証でもあった。
481 : 十六夜◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/23(金)00:42:19 ID:7Qe [4/9回]
>>479
「そ、そーか…」

よく分かってはいないが、少女が語る事は何やら恐ろしい事であるのは確かな様だ。

「ケッ…心配無用、こう見えてマナー位は弁えてる
……メイドちゃ~ん!俺ステーキが食べたいな~!」

彼の言葉と行動は一瞬で矛盾した。
その後料理をたらふく食べた後帰っていったという。

//ロールありがとうございました!
482ひかる◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/23(金)00:59:19 ID:7Qe [5/9回]
>>480
「壁のやつ?ああー…」

見覚えがある。
本当にその程度だが一応知っている。

「蘇生…やっぱ知ってたかー、豪から聞いたね?」

「何勘違いしてんの?アンタは殺人者って枠組みの中で比較的普通ってだけ…」

「アンタはもう殺しちゃったんだから異常者なの、もしかして動く死体は殺しても殺人にならないなんて思ってたりする?」

「アンタ…アイツと戦ったんなら分かるだろうけどあんなに生き生きしてる奴他に居ないよ?アイツがただの死体なんて誰にも言わせない…!」

また人が変わった様に息を荒げ言葉を紡ぐ。
覚醒時の副作用なのだろうか、こうなった彼女は最早別人と言っても過言ではない。
言い終わるとフッと元に戻った

「…あ、ごめん…熱くなりすぎた」

「私達を蘇生させたのは奇跡さんって人、優しかったけど最近死んだらしい。」

伏し目がちになり語る。

「チビってのは上矢の生徒で何処かは知らないけど
外国人って聞いたよ……随分と一方的だね…」

面倒臭そうに目を細める。

//すみません眠気が限界なので凍結をお願いします
483 : 双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/23(金)01:08:13 ID:lBp [2/6回]
>>482
//了解です、後で返信も書いておきますのでまたお時間よろしければお願いいたします
//本日はお疲れさまでした、おやすみなさいませ
484双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/23(金)01:20:13 ID:lBp [3/6回]
>>482
「同志ならハッキリ覚えておいてやれよ」

呆れたように言う彼の立場は、とても複雑なところに居て。

「恩人にもう一人の蘇生された奴、それにさっきの反応。流石にわかる」


「それはお前の言語に問題ありか俺の聞き力に問題ありなのかどっちだろうな」
「少なくとも俺が倫理的に殺人者であることはもう変わんねえよ。だから法的に裁かれるならそれも当然だろうな」
「誰が豪を死体だ人形だ言った、熱くなるのは構わねえが俺と豪超えるんじゃねえよ」

激情化というより共通として精神的に何か負担があるのだろうか。
流石に三人も会ってれば傾向が見て取れる。強いて言うならそれこそ見た目くらいだろう。

「……………………あっさり教えるな、恩人って言ってた二人は話さなかったけどよ」
「死んだのは本当だったか」

けど、双葉は別に忠誠心に深入りするつもりもなければ、死をそのまま捉えることもない。
壁の少女、迷に聞いてからずっと思い浮かぶ可能性は捨て去れない。

「…………生きてるな? そのチビは。……なら安心だよ」
「そりゃそうだろ。抜き取れる内に抜き取って当たり前だ。大人じゃ出来ない情報の権利だよ」
「お前が蘇生されたのは、どうしてなんだろうなぁ」

その細めた目も何のそのとばかりにふんぞり返る。
会話の端々に挑発に似たものが混じるのは余裕を演じるために。幾つかに返されてもおかしくない余裕を挟むことには気付かず。

彼もまた、精神を揺らがせている人物。友人らに会えてないというのはどこか参るものがあるのも当然なのだ。
485ひかる◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/23(金)19:39:30 ID:7Qe [6/9回]
>>484
「そりゃ言わないでしょうね、その時はまだ奇跡さん
生きてたと思うから。
…いい事教えたげる、奇跡さんは人の異能を好きに取り出したり入れ替えたりできるの…だからまだ力そのものは生きてて“誰か”が引き継いでる。」

どうしてここまで喋るのか、それは今現在奇跡の異能を引き継いでいるであろう人物がただ純粋に嫌いであるからだ、そしてそれは恐らく自身や他の仲間を改造した者

「……そんなに聞いてアンタに何ができる?
情報は活かさなきゃ意味なんて無いのに……
その力がアンタにはあるの?」

細めた目をパッと見開き問う。
先程の人が変わった状態に入りかけているといった所だろうか。

「…私が蘇生された理由なんて知りたくも無いし
知ろうとも思わない…」

だが今回はそのまま落ち着いた様だ。
486双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/23(金)20:48:24 ID:lBp [4/6回]
>>485

「………………異能を取り出す? ……そこまで教えるとはな、なんでだ」
「……つまり、奇跡さんとやらは死んでも、文字通りの第二第三の奇跡が今なお居ると。……しらみ潰しは非効率だなぁ」

それがなぜ蘇生に結び付くのか。いや、考え方の問題で厳密には蘇生ではないとすれば成立する問題だ。
死臭も冷たさも血色も隠せていなかった。つまり、こちらが蘇生と言ってるだけできっと相手にとっては。
しかし、ならば気になることもある。仮にも敵対と言える自分にどうして教えるのか。

「少なくとも、生き返らせた奴に理由を聞いたり殴ることはできる。そのくらいの力は持ち合わせてるつもりだよ」

拳を握るも、傷の残る身体で何を言うのか。そんな風に思わせるかもしれない言い分。

「それに俺が活かせなくとも活かせる奴らが居る。一番最悪なのは知れるはずだったことを知らずに済ませて、その結果被害が出ることだ」
「少なくとも、俺はそれで一人。……いや二人は死なせた件がある。反省の証ってやつだな」

変化の予兆を見て見逃さぬように目は真っ直ぐに向けられ、そのマスクの下では後悔を滲ませる声を漏らす。
そして言及こそしないが、その話の結果シャーマンの少女や他の者も少なからず巻き込んでるからこそ。

「そうか。まあ少なくとも、豪には悪いが良い理由じゃないだろうよ」
「……なんなら会えた時に聞くかもしれないけどな。まあ俺は仮に死んでも蘇生するほどの能力じゃねえけどな」

学生を殺せ、その任務を果たせなかった者を殺せ。
そんなことを命じるような相手を異常に染まった双葉は普通だとも優しいとも思わない。ただのお人好しなわけがないから。

「……つーかなんでお前は俺に聞いた? 言っちゃあなんだが俺以外の適任なんて居るだろ?」


//すみません遅れました……!
487ひかる◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/23(金)22:22:31 ID:7Qe [7/9回]
>>486
「なんで教えるか?第2の奇跡さんって言うのは癪だけど力を引き継いだ奴は大体わかってる。
そいつが嫌いだからアンタに色々教えてんの…なんたって私をこんな姿に変えたんだから…」

パーカーの袖を捲ると少女らしい細い腕ではなく黒く
筋肉質で所々赤い斑点のある禍々しい外骨格を思わせる腕が覗く。

「手と頭以外みんなこうなってるって言ったら引いちゃうよね…」

ぎこちなく作り笑いをして聞く、それはただ否定して欲しくて。

「仲間が居るってのはいい事ね、その分失えば簡単には立ち直れない。」

彼女もまた仲間を多く失い死ぬほど後悔をしてきた
そして今は残った仲間達すらどこに居るのか分からない

「…元より期待なんてしちゃいないわ、蘇生されたのはみんな生きてた時に問題抱えてたりしてた奴らだから」

現に蘇生された人間は生前師団の敵となりうる存在に敵意を抱いており尚且つ殺しに躊躇がない様な者たちが選ばれている。
生前の自分を探って後悔した人形は多いと聞いている。

「なんで聞いたかって?…強いて言えば共通の知り合いが居るから…かな」

豪を通じて自分たちの存在を知る彼とは少しは話しやすいと思った次第である。

//申し訳ないです遅れました
488双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/23(金)22:38:31 ID:lBp [5/6回]
>>487
「おいおい仮にも第二の…………なるほど。そりゃ女子なら気にするか」
「そりゃ意地悪な聞き方だ、豪も見てるし引きはしねえがこれが本音に聞こえるか?」

身体は元死人でも精神は異なる、それを教わったのはいくらか前の話だ。死人の肌すら気になるだろうに。
否定はしても、それの受け取り方をわざわざ問うのは悪い癖が出た証。豪と同じ扱いなのはさてどうなのやら。

「まあ問題は嫌われてる時が尋常じゃないことなんだが」

参った参ったと軽そうに。空気を砕くにしてもあまりにも。

「生きてるときに問題抱えてない奴がこの世に居るかよ、居ても赤ん坊くらいだろ」

ズレた見解、だとしても双葉は明確に殺した経験もあり、見殺しの経験もある。
月並みな発言の中に重さを宿し、そんな中で問題という単語にマスクの下で少し笑ったりした。

「なるほど豪だな? それならさっきのチビ……は会えたらだなうん」
「まあ、有り難い話だよ。豪には改めて感謝しとかねえとな。……で? お前の聞きたいことは師団の現状で良かったのか?」

そう聞いてしまうのは、情報の釣り合わなさを考慮してだ。

//いえいえこちらこそ……
489ひかる◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/23(金)23:15:56 ID:7Qe [8/9回]
>>488
「どうだって良い、まぁ一応本音と受け取るわ
……てか豪と同じに見えるの?え?」

予想外の答えに少し戸惑うが豪と同じに見られても別に嫌な顔はしなかった。

「大変ね…」

人形達は比較的仲が良かったので仲間に嫌われると言うことは余り考えた事がない。

「その問題のレベルが違うのよ」

こちらはやや得意げにズレた事を言う。
そもそも彼女は自分の生前を全く知らないのだが。

「ご名答、ん?ほかに聞きたい事ね……
………じゃあ仮に…」

数秒考えるそぶりを見せると思い切った様に口を開く。

「私が6号で、番号の近い豪と仲が良くて…もし私が…
……豪の事が好きになって……それで昆虫の事も好きになって…アイツが私の生きる希望だったとしたら…?」

引きつった表情、明らかに無理をしていると分かるだろう。

490双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/23(金)23:29:31 ID:lBp [6/6回]
>>489
「いやだってアイツも甲殻出してたりしただろ? 脱皮のが良いか」

まあ脱皮したての翅貫いたりしたが、なんていう不謹慎なネタも提供。きっと天国で恨まれてる。

「初めからわかってりゃ楽な方だ」


「おっとストーカーと殺人の前科を持ち合わせた俺の問題に敵うか?」

問題レベルで言えばいい勝負か。得意げな反応を更に煽るような彼の態度もまた問題の一つだろう。
人形の記憶は戻ることがある。……相手の記憶の何がトリガーかまでは把握することはできないにしても。


「…………………………そうか」

双葉からすれば予想外と言える質問。盾を構えていたら盾を飛び越えて来られたような。
それが冗談か本気かも分かるはずがないから、双葉は気まずそうに頬を掻くと、うん、と頷いた。

「悪かったな。それで。殺した俺に何を望む? 先に言うが命以外でな」
「俺はそこまで殊勝じゃない。できることなんざ先に死んだ時にお前のそれを豪に聞かせるくらいだろうよ」
「お前が死ぬか生きるかなんて俺が判断することでもねえしな」

逃げではなく明確な拒絶として命のやりとりを否定し、それ以外は肯定し。
生きる希望を自らが壊した事実を受け止めて、その上で双葉は裁量を下さない。

「そういや豪に限らねえが変身能力者って変身後に死んだら変身してた部分とかは消えちまうのかね?」
491ひかる◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/23(金)23:49:37 ID:7Qe [9/9回]
>>490
「……ばか…冗談だって」

両目を拭いパチパチパチと天を見上げて瞬き3つ
彼女の表情は今日初めての笑顔を一瞬見せる。

「何も望まないし私も死なない……アンタも…
“死ぬまで生きてろ!”、なんてアイツなら言うのかな」

こちらも命のやり取りをするつもりは無い、死んでいった豪の意思を尊重するなら自分らが争う事を望んでなどいないと思ったからだ。

「あーもう…暗い!んじゃもう一つ質問!…アンタ彼女居る?」

彼女なりに考えてこの暗い空気感を打破しようと投げかけた質問。
どうせ居ないんだろうと言いたげなニヤついた表情で
燕治の顔を覗き込む。
492双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/24(土)00:01:27 ID:Pdg [1/6回]
>>491
「ク……それもそうだったな」

仮という前提を忘れた自分にはいい薬。片目のみで作る笑みは一瞬と交差した。

「言い切るのは無理だが、言いそうな雰囲気があるのは確かだなぁ」

アレだけ真っ直ぐな相手だったのだ。……咄嗟の行動とはいえ今更『潰した』ことを申し訳なく感じる頭がある。
死後にも角の一本残っていたならば。回収してそれが手元にあるのかもしれない。


「OKお前が今すぐ豪に暴露されたいってことは理解した居るわけねえだろうがこの野郎、生まれてこのかた浮わついた話に縁なんざねえわクソが」

重い空気とはなんだったのか。
ニヤついた顔に向けられるのは真顔に似つつ、結構怒った様子が見える顔。それに敵意はない。
こういう時の双葉は恥より別の感情が強いらしく、下手をすればその頭を掴む手が伸びるだろう。俗に言うアイアンクロー。
救いようのない男である。
493小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/24(土)01:51:00 ID:H9H [1/4回]
>>477
小鳥居すずめは所謂ショートスリーパーだ。一日に二時間も寝れば十全に日常生活を送ることができる。
昼と夜の二面性を両立させるのに一役買うこの性質はしかし、誰かと共に起き伏しするには不向きと言える。
仮初の同居人に明日の朝は早いからと、しっかり睡眠時間を確保させている間、浮いた時間が生まれてしまう故に。

「うわやっば、なーにこれ」

だから細々とした必要な物を買いに出た際に、突如として混迷を生んだ爆発事故を目撃する可能性だってゼロではない。
Tシャツにスウェットと見るからに普段着の装い、夜空を汚す煙を見上げて呟く様は野次馬の一人でしかなかったが。

「やだやだ、怖いなー。ね、そこのいかにもアヤシイ人はどう思う?」

喧騒に紛れる程度の言葉は、確かに仮面の男に向けられたものであった。
群衆の注目の的からは既に興味が消え失せたのか、彼に向いたのはおおよそ場にそぐわない、実に楽しげな笑みで。

//まだよろしければ
494仮面の男◆</b></b>5cw/3jepuI<b>[sage] 投稿日:19/08/24(土)02:48:56 ID:iMw [1/1回]
>>493
「さて、な。不幸な事故かもしれない」

明らかに自らに向けられた声に足を止めて答える。そこにいたのは、楽しそうな顔を浮かべた、やはりこの場には相応しくない少女。
何か含みを持ったように感じる彼女の言葉に、仮面の男はただ静かに返した。

「君こそ、この場にそぐわない表情をしているようだが」

彼から発せられる気は皆無。殺気も警戒も潜ませているのか、本当に何もないのか。ただ、仮面の男はじっと彼女を冷たく見据えるのみ。

サイレンの音が近づいてくる。火災そのものはビルを焼き尽くしてしまうような規模ではなく、消防が到着すれば鎮火されるだろう。そうすれば、原因不明の不幸な事故としてこの件は処理されるのだ。

//改めてスローペースになりますがよろしくお願いします。
495小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/24(土)10:58:02 ID:H9H [2/4回]
>>494
「あれ、そんな顔してた?違う違う、これはクセみたいなやつだよぅ」
「これでも悲しいとは思ってるんだよ、ホントホント。ちょっとだけだけどねっ」

微笑を湛えた両頬を指でぐいと持ち上げて、わざとらしくからからと笑う。
他人事のような、事実そうであるあっけらかんとした言い草は、虚無の怜悧を真っ向から受け止めても変わらない。

「おにーさんこそ、もう帰っちゃうんだ?さっきから興味深そうに見てた割に随分素っ気ないよね」

片目を瞑り、遠くから反響して届くサイレンの方にちらと視線をやる。
ぼんやりと肌を撫でる焦熱の余波を厭うように、片手を顔の前で払った。

「それともひょっとして、人が集まると何か都合が悪いのかな?」

一転、声を潜める。蠢く人の群れから遠ざけた、仮面の男だけに聞こえる程度の声量。
やはりなんでもないような口調だったがその実、炎を反射しない黒曜の瞳が懐疑を抱いているのは明白だった。

//寝落ち申し訳ないです、よろしくお願いします
496ひかる◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/24(土)17:18:35 ID:Umj [1/7回]
>>492
「でしょーね!…ははっ、何マジになってんのさ」

呆れ気味に、ニヤニヤと笑って顔を覗き込む。
かなりテンションが高いのは先程までの暗さを打ち払おうと無理やり作っているのだろう。

「ぐえっ」

ケラケラ笑っているとアイアンクローが炸裂。
彼女は文字通り頭を掴まれる事となる。

「お、女の子の顔に気安く触れるなんて…うっ…
だ、だからモテ…!モテないのよ!」

尚も笑いを堪えながら言い放つ、反応が余程面白かったのだろうか。
因みに豪の角は死後も消えず最初に折られたものは綺麗なまま残っていた筈だ。
497 : ひかる◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/24(土)17:19:01 ID:Umj [2/7回]
//すみません寝落ちしてました…!
498仮面の男◆</b></b>5cw/3jepuI<b>[sage] 投稿日:19/08/24(土)17:44:25 ID:GaP [1/2回]
>>495
「私の用は既に済んだ。この場に留まる意味はない、ただそれだけの事さ」

仮面の男は、彼女の懐疑に対してただそう答えた。その声色は機械的で、冷徹さを隠そうともしていなかった。
彼は彼女の何かを感じ取っていた。笑顔の裏に隠されたモノを。それはどれだけ表面を覆い隠そうとも、同類相手には決して隠し通せぬ、血の雰囲気だった。

「君もこんな所にいるべきではないだろう。巷では"般若の面をした殺人鬼"が血を求めてこの辺りを彷徨いているそうだし、な。この臭いに釣られて寄って来たりでもしたら危険だろう?」

明らかに含みを持った言い様だった。
師団の人間を殺し回っているという般若の殺人鬼。そして仮面の男はその人物を見た事がある。あの時実験としてけしかけた怪物と戦い、それを倒した者達の一人にそれはいた。
あくまでも、忠告を装って彼はそう彼女に言葉を投げかけた。
499小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/24(土)19:22:01 ID:H9H [3/4回]
>>498
「ふーん……わざわざこんなトコに用事があったんだ?」

疑問と言うよりは、ただ揶揄っているだけに等しい口調。
そこに勘繰りの意図は最早なく、どこまでも軽薄な態度のようにしか見えないが。
そういった意味では彼女もまた、確信を抱いていると言っても過言ではないのかもしれなかった。

「おにーさん、詳しいね。そんなに物騒な人がウロついてるなんて、あたしこわーい!」

自分の体を抱えて肩を捩る。全く動じていないように見えて、それでいて察している者には馬鹿にしているようにも見える動作。
あくまで笑っているままであったが、細めた黒曜の瞳の奥に光が宿ることはなく。
とんとん、と。人混みの中でも軽快な足取りで、なんの気もなしに歩み寄った。

「一人で帰るのも不安だしぃ。おにーさんに途中まで送ってもらいたいなぁ?」

目だけで見上げる媚びたような視線、あからさまな猫撫で声は間違いなく異性を誘うそれ。
だというのに猛禽の如き鋭敏をそこに見出せるのは、断じて錯覚などではないだらう。
あの事件において彼女もまた、去り際の人影を瞬刻ながらも認めていたのだから。
500双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/24(土)19:50:12 ID:Pdg [2/6回]
>>496
「よーく覚えとけそういった話はイケメンとか熱血にやるもんだ」

握力はかなり強いため暫くギリギリといういやーな音を味わうことになるだろう。
流石にスプラッタなほどの力は加わってないために変な心配は要らないだろう。

「…………その言葉は俺によく効くぞー。……はぁ」

女子の顔を掴む男子の図。そりゃモテないよ。
その言葉は胸に突き刺さったようで暫くするとパッと離されるだろう。
そしてアイアンクローの片手間、いつの間にか逆の手に握り締めていた角は一度でも見たことあるなら知ってるものだろう。

「形見になるかどうかはわからねえが、これ、持ってくか」

受け取るならば手渡され、そうでなければこの先双葉のものとして扱われることだろう。
余計な気の回しはどう転ぶやら。

//こちらも遅れました、お返ししておきます……っ
501 : 師子王 莉音◆</b></b>scj/ZYQWQE<b>[] 投稿日:19/08/24(土)20:30:23 ID:Xzl [1/1回]
ザァザァと梅雨明けにも関わらず鬱陶しく降り続ける生温い雨。
夜空を照らす月も星も鳴りを潜め、暗雲立ち込める様子は宛ら今の自分達のようで。

「…いや、月や星に例えられるほどのモノではないですね、残念ながら」

黒のレインコートを目深に被って夜の街を徘徊するには少々背丈が小さい少女。
気持ちばかりが肥大化していくのを自覚しつつも止める事無く突き進む。
散り散りになったお世辞にも潜伏が満足に出来なさそうな知人を掻き集めた所で、と思わないでもない。

「どっちつかずもソロソロ終わりですかねえ…」

次に師団が動く時こそが道の分かれ目となるのだろうか。
期限の定まらぬ潜伏は師団員ばかりでなく路地裏の状況にも影響を多分に与えるのだろう。
今は未だ明確に知覚できていないだけで、既に事が起きている可能性もある。

「計画は練り直し…出たとこ勝負は避けたいですがタイミングは完全に……やれやれ」

あるべき『師子王莉音』の像が見定められない。
これでは今まで培ってきたもの全てを失いかねない。
少女は悩み惑い、それでも歩みを止められず夜を徘徊する。

//待ちです
502ひかる◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/24(土)21:58:26 ID:Umj [3/7回]
>>500
「ごめんごめん!痛いってー!」

手足をバタバタさせて喚いている。
本当は大した痛みは感じないのだが高ぶった感情がそうさせるのか。

「ふぅ…いや、顔はまぁイケてると思うよー…多分
……てかゴメン」

目を逸らしつつ手を合わせ感情のあまりこもっていない謝罪とフォローをする。
フォローに至っては彼の顔をまともに見ていないからその意味をあまり成していないだろうが。

「これ…豪の…?」

逸らしていた視線は角に釘付けとなって見開かれた。
相当驚いた様だ。

「形見ね…悪いけど私は受け取れない、見てるとまた悲しくなる…から…」

唐突に差し出された遺品は気が緩んでいた彼女の何かを継ぎ止めていた糸をプツリと切った。
止めようの無い涙が頬を伝う。


503双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/24(土)22:10:56 ID:Pdg [3/6回]
>>502
「、お、マジか。なら自信が持てるってもんだ」
「隻眼とかでも格好いいやつとかいるもんな」

眼帯、マスク。黒髪。顔を隠しまくってるのに妙に自信を見せる態度。直前の間で合わせようとしたことが伺い知れるか。
まともに見てないというか見せる気がない見た目なのでひかるに罪はないのである。


「そうか。なら俺が持っとく」

元々形見目的と自身の武器として用いようとしていたところがある。故に、豪を弔うならば形見として見れる相手に渡そうとした次第。
それが失策と見ればすぐさまそれを隠蔽し、代わりに手に戻ってきたのはそこらの店で買えるような布地のハンカチ。

「豪も良かったろうよ、思い出される相手が居るってのは救いだろうし」
「それが女子と来りゃ尚更だ」

それをひかるの目元に押し付けるように、強引に渡す。不器用以前の話。原因を作るのは彼自身。


「…………んー、この状況で聞けるかわかんねえけどなあ」
504仮面の男◆</b></b>5cw/3jepuI<b>[sage] 投稿日:19/08/24(土)22:25:33 ID:GaP [2/2回]
>>499
「…………」

媚びたような仕草と、直に感じられる程に鋭い、獣のような視線。
仮面の男は、彼女に対してある確信を持った。少なくとも、普通の一般人などでは決してない。

(丁度いい。試してみるか)

「ふむ、良いだろう。では行こうか」

彼女はこれを起こしたのが自分であると既に気付いているだろうか。いや、もっと前の怪物騒ぎの仕掛け人である事にすらも。
いずれにせよ、お互いに多くの人間の目に見られれば不都合が生じるものであろう事がこれから起こるかもしれない。

「……お互い、人目に付くのは不都合だろう?」

彼女にだけ聞こえるようにそう言って、群衆から離れる。そうして、促すよう誰の目にも付かない公園にへと足を運ぶだろう。
505ひかる◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/24(土)22:31:51 ID:Umj [4/7回]
>>503
「…ありがと…」

渡されたハンカチを受け取ると両目を強引に擦り、尚も溢れてくる涙を拭う。
死体なのに涙が出るのはデッドストックに改造された影響で肉体変化が起こり一部の機能が回復したからだ。

「これ、洗って返すから」

あらかた吹き終わると充血した涙目で燕治を見つめて
グショグショに濡れたハンカチを突き出す。
その表情はとても強がって平静を保とうとしている様で

「…その…情けない所見せちゃったわね…別にあの角で嫌な思いとかした訳じゃ無いから、寧ろアンタには少し
感謝してるくらいよ?なんでモテないのか不思議ね
なに?まだ何か聞き足りないの?」

少しずつだが口調には平静が戻ってくる。
余計な軽口も叩けるほどに。
506双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/24(土)22:45:27 ID:Pdg [4/6回]
>>505
(…………死者も涙腺は働いてるのかね)

事情を知らないための誤解はいずれ何か生み出すのだろうか。
機能回復。もしもそれをいかなる者にも施せるなら、きっと世は求めるのだろう。意に反して。

「別に一枚くらい問題ないけどな」

突き出されたハンカチに視線を集中させることに特に意味はない。
充血という現象が不自然なことを理解しつつ、避けてるだけだ。軽く対応するのもまた、相手の平静に合わすため。

「俺がモテたら世が末ってことだろ、不本意だが」

行動はすべて自認している。ギャグのようなものも真剣なものもすべて。統合して今が正常な状態だと理解してるのだ。

「聞き損ねてたことだ。その第二の奇跡」
「どんな奴が成った?」

当然、何かの制約で縛られてるならば口に出す必要はないと付け加える。
要は特徴を知りたいだけである。見た目等にそれがあれば、きっと手当たり次第しらみ潰しよりはまともに対応できるはずなのだから。
507小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/24(土)22:56:30 ID:H9H [4/4回]
>>504
「……さすが、分かってるじゃん」

それが甘美な誘いなどでは決してないことくらいよく分かっている、だというのにひとりごちる言葉はいやに楽しげ。
数歩後ろを無警戒についてくるのは、鼻歌でも交えかねないほどに呑気な足取り。
消化活動が始まったビルを最後に一度だけ振り返った面持ちは、笑みを潜めて思案に暮れているようで。
道すがら見つけたのだろうボロの鉄パイプを、器用に足で転がして伴う音がからからと響いた。

「――ぶっちゃけて聞いちゃうけどさぁ」

再び口を開くのは人気のない公園に着いてようやくのこと、投げる言葉の調子はまさに世間話のそれ。
無造作に両手をスウェットのポケットに突っ込んだまま、爪先でここまで運んできた鉄パイプを弄ぶ。

「おにーさん、まともな人じゃないでしょ?かなりわるーい事してる感じがビンビン来ちゃう!」
「もしかして、もしかしなくてもさっきの事故もおにーさんのせいだったりするのかな?」

下手をすれば失礼極まりない問いだというのに、あくまでもどこまでもにこやかに。
その確信の理由は千々にあれど最も大きいのは彼女自信の直感だ、数多に人を殺し続けてきた非道としての。
しゃなりと首を傾げて艶やかな所作、月夜の薄闇の中に微笑が浮かんだ。
508ひかる◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/24(土)23:15:03 ID:Umj [5/7回]
「ふーん、そっ…」

ポケットにハンカチを突っ込む。

「そんなことないでしょ、誰だって一回はモテ期ってのが来るらしいんだから諦めなきゃ良いんだって
…あ、ゴメンゴメンその…奇跡さんの力を受け継いだ奴の話だったね」

軽口を交えつつも本題に入る。
後半部分は顔つきも神妙なものとなっているだろう

「奴、“ゼロ”は言うなれば力を持ったガキ、本気で自分が選ばれし者だとか思ってる奴よ…見た目はキラキラ光る白い髪をした見た感じ中1くらいの男子」

その言葉には恨みや怒りが宿っている。

「今は多分奇跡さんの管理が無くなって師団とは別に動いてると思う。
他に知りたいことは?何でも言うけど」

元々仲間だったとは思えない程の軽薄さ、ゼロの情報なら何でも答えますと息巻いている。
509 : ひかる◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/24(土)23:15:38 ID:Umj [6/7回]
>>506
安価抜けです
510双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/24(土)23:26:09 ID:Pdg [5/6回]
>>508
「モテ期を幼稚園で使い切る奴も居るってことだ」
「気にすんな、話の内容なんてよく変わるもんだ」

実際逸らすことが多いので、説得力はあるだろう。軽口は舌より軽い。

「これまた分かりやすい見た目の奴なんだな、今までよく目立ってなかったもんだ」
「……管理がなくなったからって……あーでもそれで自由になってる奴が居るなら悪いがいいことか」

怒りと恨みを感じる、死人とて感情はあると思えばやはり生者とそこまで変わらないといつも思わされる。
相手には悪い、ゼロにとっても不運なことだろうが利用させてもらおうと一瞬だけ悪い顔が。

「引き継いだ能力じゃない、元々の能力。挑発材料になりそうなもの。禁句辺りかね」
「後はそうだな……倒したとき、お前らはどうなる?」
511 : ひかる◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/24(土)23:36:01 ID:Umj [7/7回]
//すみません凍結お願いします…それと並行などしていただいて全然結構ですので
512 : 双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/24(土)23:39:00 ID:Pdg [6/6回]
//凍結了解しました、こちらこそもし平行したい流れなどありましたら大丈夫ですので……
//返信はご自身のペースで大丈夫ですので、またよろしくお願いしますっ
513仮面の男◆</b></b>5cw/3jepuI<b>[sage] 投稿日:19/08/25(日)01:40:35 ID:EB9 [1/1回]
>>507
「もし、そうだと言ったら?」

二人の間には、自然と緊張感が溢れ出る。どこまで彼女が惚けても、溢れ出る獣としての性分は隠しきれない。

「君こそ、同類の臭いがするぞ。血に飢えた獣畜生の臭いがな」

仮面の男もまた、冷たく刺すような殺気を顕にした。そこに感情はなく、どこまでも冷たく凍てついた気。

「あぁ、白状しよう。その通り、あれは私がやった事だ。邪魔になったのでな、消えてもらったよ」

仮面の男は正直に白状した。あれは事故ではなく、自らが起こした事件であると。そして、今時そんな事を平然と起こせる者の所属など考えずともすぐに分かるだろう。

「君とて同じだろう?邪魔者を殺して、殺し尽くして、血によって己の道を切り開いてきた、な」

どこまで言葉を飾ろうとも、本質的に同類である事には変わらない。お互い、既に人間としての道を違えている事には。
月夜は男の仮面を白銀に照らし出す。
514小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/25(日)02:23:53 ID:7zk [1/2回]
>>513
木立も息を詰めて見守る緊迫した空気。にも拘らず笑みを絶やさないのは、なにもしらばっくれているわけではない。
どんな状況でも、誰が相手でも。彼女は平然と自然体を保って冷静でいられる気質であるというだけ。
例えばそれが反社会組織に属する、悪逆に躊躇いのない人間と緊張状態だったとしても。

「うん、そうだね。ロクでもないのはあたしも同じ。おにーさん程じゃないと思うけど、それなりに色々やってきたかな」
「だからおにーさんがどこの誰だとか、あんな事した理由だとか、そんなの知ったってどうこうするつもりはないよぅ」

あまりにあっさりとした肯定。愉快そうな語り口は誇示でも虚飾でもない、淡々とした自己分析のそれ。
敵意を顕にせず、それでいて吹きつける殺気を葦の如く受け流す佇まいは、明らかな荒事への慣れを示す。

「――ああでも、念のため一つだけ確認させて」

ぴん、と人差し指を立てる。表情は変わらないというのに、どこかこれまでと一転した真剣な雰囲気。

「もしおにーさんが解放師団だったら、話が変わってきちゃうんだけど……そこんトコ、どーなの?」

問いかけと呼ぶには断定が滲む言葉だった。身じろぎに覗く端々の殺意は、衝動を堪えて漏れた氷山の一角。
巧みに蹴り上げれば虚空に円を描く鉄パイプを、ノールックで掴み取る。無造作にだらりと両手を垂らして、今はまだそれだけ。
答えによってはどうするつもりなのか、その腹づもりを隠す気が毛頭ないのは明白。急かすように爪先で地面を小突いた。
515仮面の男◆</b></b>5cw/3jepuI<b>[sage] 投稿日:19/08/25(日)03:39:04 ID:3Zr [1/1回]
>>514
「……やれやれ」

仮面の男はわざとらしくため息をついた。やはり、彼女はそうなのだ。師団の人間ばかりを殺し回っている殺人鬼の正体は。

「解放師団第八旅団長」

彼はあっさりと自らの身分を明かした。もはや逃げるつもりなどなかった。何故なら、自分も彼女の事を探し求めていたのだから。

「どうやら私がけしかけた実験体が世話になったようだな。いや、それよりももっと前に多くの団員達が世話になっているかな?般若の殺人鬼」

彼女からすれば解放師団は全員が抹殺対象なのだろう。そして彼女の実力は本物だ。事実、ここまで生き残り、敵の全てを蹴散らしてきたのだから。
それでこそ、自ら力を図る甲斐がある。

「……御託はもう良いだろう。来い」

もはや言葉は不要。あとは、互いに死力を尽くして戦うのみ。


//すみません、今回はここまでで落ちます
516小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/25(日)16:50:40 ID:7zk [2/2回]
>>515
ぴいと鳴った口笛が夜風に浚われて溶ける。片眉を上げた喜色の中に確かな待望が混じった。

「ビンゴ。立て続けに二人目なんて、あたしにもやっと運が向いてきたかなっ」
「ま、おにーさんも般若ちゃんを探してたなら話は早いよね。ペットはちゃんと躾けないとダメだよぅ?」

変わらない笑顔、上機嫌な声色の所々に漏れ出るのは明け透けな敵愾心。
暗に己が不詳の人物と認め、以前の接点に気がついていると発露しても、なんら感慨はなく。
旅団長との接敵はこれが初ではないと仄めかす言葉から、先日の欠番と彼女を結び付けられるだろうか。
どうあれ、これから行なうことに変わりはないのだけれども。
からりからり、鉄パイプを引き摺っておもむろに前へと進み出る。それはさながら陽光の散歩の如き足取りで。

「じゃあ、遠慮なく――」

不意の震脚、地面を引っ掻いた痕が中途で深く抉れて疵を残す。
加速に飽かせた逆袈裟の切り上げは仮面の男に届かず、されど動作を起点として生まれた風刃が静寂を裂いて猛然と迫る。
不意のようで単純なそれは所謂瀬踏みだ、明確な殺傷の狭間でもなお彼女は愉しげに笑った。

//お待たせしました、本日はここから安定してお返しできます
517ひかる◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/25(日)22:52:02 ID:13c [1/2回]
>>510
「…ちょっと問題起こしたのよ、それで閉じ込められてたんだけど奇跡さんが死んでどうにか逃げ出したみたい…」

急にトーンが下がる。どうやら嫌な記憶らしいと察せられるだろう。

「…なに思いついたのよ……禁句、あーもしかして
おちょくってやろうって訳?」

ひかるは彼の悪い顔をマスク越しでも見逃さなかった。

「空っぽだとか偽物だとか、アイツの前ではタブーだったわ…」
「あとアイツの能力は名前通り“ゼロ”って言うの
確か触れられるとエネルギーだとか活力を吸い取られるらしいんだけど私は見た事無いわね…」

最後の質問には間を空けてから答える。

「正直分からない、奇跡さんは死んだけど異能そのものは生きてたから私達も生きてる。
でもアイツにこんな体にされて何か仕込まれてるかも知れないし私達を生かしてる力はアイツが握ってるから
悔しいけどゼロ次第でどうにでも変わるとしか言えないわね…」

//遅くなりましたが…





518双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/25(日)23:04:57 ID:Kmo [1/2回]
>>517
問題により軟禁、豪と遭遇したのも任務失敗が元と考えるとそれが普通と解釈。差があるのは恐らくゼロの方は個人としての問題か。

「相手次第だがな。……まあ気にしてるんだなその辺」
「触れるとアウトか。……触れると、な」

それで冷静さを欠かせられるならば使うし、もしも激昂した上で強者と化すならば避けることで抑えることも可能だ。
ここまで、ひかるには悪いが能力を見せてなくて良かったとすべきだろう。


「つまり、異能が生きてれば問題はなさそうだな。もしもこっちでも引っこ抜けるなら助かるもんだが……」

異能と肉体。その扱いは果たしてどういう括りなのか。扱い次第で双葉の能力は。

「仕込まれた以上半分は諦めてくれって言うしかないな。悪いが俺にそんな都合のいい能力はない。英雄様でも万能者でもないからな」
「まったく生かすにしろ引き継ぐにしろ、どうやってるんだか」

意味もなく手を開き、足を組み。皮肉ありげに言うのは自身の立場。
その上で最後、誘導するように愚痴めいた発言を聞かせて。

//お返ししましたー
519ひかる◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/25(日)23:37:02 ID:13c [2/2回]
>>518
「あのガキはキレたら何するか分かんないからどう
触れるかは考えてやんないとね」

単に逆鱗に触れると言ってもそれはタイミングや状況によってピンチにもチャンスにも変わると、そう言いたいのだ。

「さっきから聞いてりゃさ……もしかして私達を助けようとか思ってる?」

先程からの燕治の発言からはそう感じられた。
だが何故そうなるのか、分からない。

「まぁ良いわ、奇跡さんの異能は特殊なコインに異能を封じる力なの、異能が封じられたコインは人の形をしたものに投入する事でそれを私達みたいな人形に変えてしまう。」

「そして異能を封じる前のコイン、これを死体や能力の譲渡を受け入れた人間に投入するとその異能をコインに封じることが出来るの…これがそうよ」

そういうと1枚の銀のコインを取り出す。



520仮面の男◆</b></b>5cw/3jepuI<b>[sage] 投稿日:19/08/25(日)23:51:36 ID:99y [1/2回]
>>516
「二人目……そうか、第二旅団長を殺ったのも君か」

第二旅団長が死亡したという報は彼にも伝わっていた。仮にも旅団長ともある者が、こうもあっさりと死ぬのは相手が相当の手練だったという事。
彼女がそれを殺ったというのなら、こちらも相当警戒して望まなければならないだろう。下手をすれば死ぬのはこちらの方。

彼女が行ったのは空振り?否、空気の刃を生み出す為の動作だ。

「なら、私も油断できんな」

仮面の男は身動き一つせず、その右腕を横に振るう。すると、彼の身には傷一つなく、背後にあった木々が真っ二つに両断された。
彼の右手には、いつの間にか剣のような何かがあった。形は歪んでおり、ぼやけた何かだったが。剣の形をしていた。彼はそれで空気の刃を両断したのだ。

「お返しといこう」

彼はそれを十字に振るう。まるでオウム返しのよう。十字となった斬撃が、空気を裂きながら彼女へと飛んでいく。
521双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/25(日)23:51:49 ID:Kmo [2/2回]
>>519
「普段からキレてる奴の方がその点楽だよなぁ……」

双葉、大概逆鱗には悪い時に触れがち。天秤が上手く傾くのを期待しようと考える一方で愚痴は愚痴であった。

「好きに受け取ってろ」

助ける助けないの問題かどうかは双葉も未明。
だがしかし、知った者がこれ以上被害に遭わないようにしようと思うくらいはする。それだけだ。


「マネキンとかに投与しても動き出すのか? ……だから美子や豪に、お前らも異能そのままなのかね」
「それで? そのコインを取り出したのはどうしてだ? これでゼロの力でも奪えってか?」

冗談を言うように笑いながら、その実裏では仮定ができる。
死体の範囲だ。もし、今のひかるのように動いていても死体の扱いなら、ゼロは。
522 : 仮面の男◆</b></b>5cw/3jepuI<b>[sage] 投稿日:19/08/25(日)23:52:18 ID:99y [2/2回]
//遅くなり大変申し訳ありません。こちらもここからある程度安定するかと思います。
523 : ひかる◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/26(月)00:00:23 ID:C1N [1/4回]
>>521
「はいはいじゃあ好きに受け取っておくわ」

はっきりしろと、ここで助けるとでも言ってくれたらカッコいいじゃんと、心の中で。
途轍もなく勝手な事を今ひかるは思っている。
それは若干態度にも現れているかもしれない。

「マネキンで作られた子は一人居たわね…」
524 : ひかる◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/26(月)00:00:34 ID:C1N [2/4回]
//途中送信です
525ひかる◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/26(月)00:09:16 ID:C1N [3/4回]
>>521
「はいはいじゃあ好きに受け取っておくわ」

はっきりしろと、ここで助けるとでも言ってくれたらカッコいいじゃんと、心の中で。
途轍もなく勝手な事を今ひかるは思っている。
それは若干態度にも現れているかもしれない。

「マネキンで作られた子は一人居たわね…言い忘れてたけどゼロも元々は死体じゃないわ」
「…まぁそう言う事、でもそれをやるには殺すしか無いわね…アイツは元々奇跡さんの髪の毛で作られた人形なんだから死体とは少し訳が違う。」

創造主の分身とも言える出自はゼロが自身を特別視し
空っぽや偽物といった言葉に激昂する理由でもある。
526双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/26(月)00:19:31 ID:epS [1/2回]
>>525
そうしておけ、と彼は手を壁のように間に差し込み。
はっきりしないのは一度失敗を踏んでしまってるからだ。必ずを示す言葉を使うにはまだまだ足りない。
態度に示されてもそれを気付かないように頭を働かせるのだ。

「居たのかよ。…………クローンに近い存在か、そりゃさっきの言葉にも過剰反応するわけだ」
「まったく、結局殺す殺さないの話になるわけか。俺はそんな人種じゃなかった筈なんだけどなぁ」

創作でもよくある話。出身の都合で尚更許せないこともあるのだろうと。
生かしたまま能力を剥奪させられれば随分楽だった話がそうでもなさそうで呆れるように漏らすと膝に手を置いた。
527小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/26(月)00:21:46 ID:DEA [1/5回]
>>520
「褒めたってなんにも出せないよっ!」

軽快、軽薄、軽妙な言動は変わらずして僅か眉間に刻まれる皺。
防ぐでも躱すでもなく、不触の風を文字通り断った妙技に舌を巻いていられる余裕はほんの束の間。
朧な輪郭を宿す得物の正体を思案しても答えに達するより、意趣返しとばかりに唸る十字の方が早いのは道理。

「真似事は勘弁――っ!」

更なる踏込み、しかしてそれは前進には至らない。
踏鳴より打ち出した爆風は人一人を容易く持ち上げ、全身のバネを駆動させた跳躍を人の域の外に届ける。
反撃の狂風を眼下にやり過ごしつつ、星を背にして頭上から襲いかかることができるほどの。

「――スカした仮面なんてしちゃってさぁ!!」

宙で一回転、自重を威力に乗せた唐竹割りの振り下ろしは、脳天を狙った愚直な殴打のようであったが。
その実、風切音を裂くだけの殺傷力を内包しているのは、気圧差に霞んで見える鉄の鈍い輝きから明白だった。
528ひかる◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/08/26(月)00:41:01 ID:C1N [4/4回]
>>526
「大丈夫、トドメは私が刺すから」

何も彼に殺しを強要するつもりは無い、ただその手伝いをさせるつもりはあるようだが。

「やっぱり一人でやるより協力した方がいいでしょ?
アンタにやってもらうのは手伝い、アシストだからそんな落ち込む事無いって」

個人的な恨みからゼロは自分の手で終わりにしてやらなければ気が済まない。
あくまでも手伝いを頼むと強調する。

「あ、私そろそろ行かなきゃ!返事待ってるから!」

ポケットから取り出したシャーペンでメモ帳に電話番号を書き殴る。
電話は勿論盗品だ。

「私はひかる!」

糸で次々に足場を作り一瞬にして消えてしまった。
ひかると言う名は少し前上矢に転校してきた生徒と一致する、今はもう失踪扱いであるが。

//眠気も限界ですしここで〆とさせて頂きます…長い間ありがとうございました楽しかったです!
529 : 双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/26(月)00:54:31 ID:epS [2/2回]
>>528
(そういう問題か? まあいいか)
「アシスト担当なのは良いけどよ、焦って失敗はするなよ、マジで」

手伝いとなると気が楽に。なると思った方が精神衛生上は良いのだろう。
焦りに対する忠告は単に彼一人で二人を相手するとかになったら対処しきれないためである。


「は? 返事? 会ったらってことか?」

やや混乱しがちな頭、元々請け負ったことだけにそれは多い。
電話の所在はこの際彼には無縁である。知らなければ、罪はわからない。

「あー俺は…………いや聞いてけよ」

ある意味一方的なのは良いことだ、名前を知られてる可能性もあるだろう。豪さえ知っていたのだから。
その名前に聞き覚えがあると思いつつも、今は深く探らずに番号を入力して似合わない黄昏に耽るのであった。

//こちらこそありがとうございました、またよろしくですー!
530仮面の男◆</b></b>5cw/3jepuI<b>[sage] 投稿日:19/08/26(月)01:07:24 ID:7Xm [1/4回]
>>527
彼女の高い跳躍。脳天を狙った一撃。
仮面の男は、迫るそれに剣を振るって一撃を受け止める。
重い一撃だった。払いのけようと力と力がぶつかり合い、それは火花すら散らす。

「!」

予想以上に強い力だった。危うく押し負けそうになる所を、器用に鉄パイプを剣先で滑らせ、力を受け流しつつ後方にステップして逃れる。

「良い一撃だ。だが、これはどうかな?」

すかさず、再び前へ一歩。その次の瞬間、着地の間隙を突いて一瞬で彼は彼女の懐へと潜り込むだろう。そこから放たれるのは狙い澄まされた突きだ。それは、威力よりも速さを重視した一撃である。
切っ先が、月光を反射して輝く。
531小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/26(月)01:31:41 ID:DEA [2/5回]
>>530
宵闇の散華を瞬かせながら、捌かれるままに地に落ちる。
速度と高度を乗せた着地は常人に数瞬の硬直を齎す、身体能力の強化ができるわけでもない彼女もまた同様。
せいぜい前方向に名残る慣性に従って接近を試みるのが関の山であり、それは咄嗟の回避を至難に変える。

「そいつはどーもっ!!」

半ばぶつかり合う形、しかし先手を取るのは当然ながら初動を先んじた方だ。
刺突を受けるのは避けられない。そう判断した彼女が次善を探り当てるのは星光の瞬き程度の間。
微かに胴を捻る。ずぶりと凶器が食い込んだのは、臓器からしっかりと外した脇腹だった。

「っ――んにゃろ……!!」

曖昧な輪郭は点の突きには見当がつけられても、その長さまでを測るのは難しい。
見誤った間合いが風穴を空けたがしかし、ただでやられるほどに安穏とした生活は送っていない。
愉悦の気色に一雫の苦痛を滲ませながらも躊躇のない一閃は、得物を持つ腕を両断するべく風で刃を象った。
532仮面の男◆</b></b>5cw/3jepuI<b>[sage] 投稿日:19/08/26(月)02:13:11 ID:7Xm [2/4回]
>>531
「!」

その一閃は、容易く仮面の男の右腕をあっさりと切り落とした。剣を持ったその腕切断され、赤黒い液体を大量に撒き散らしながら地面に落ちる。

「……かなり、やる」

だが、彼はそれでも尚怯むことなくまだ残っている左腕を動かした。正体不明の"何か"のエネルギーが迸り、彼女に炸裂しようとしている。
それを受ければ、雷撃のような何かを彼女は感じる事になるだろう。もちろん、危険を察知したならば咄嗟に回避する事も可能なはずだ。
回避が叶わなかったなら、雷撃を受ける彼女の首根っこを掴んで、同じものを身体に流し続けるだろう。

「まさか、鉄パイプで腕を切断されるとはな」

それにしても、彼の落ち着きようは異様である。腕を切り落とされたというのに、痛がる事も腕を惜しむ事もしない。彼は相も変わらず無機質な様子だった。

「あぁ、それにしても楽しそうな表情をする。どうだ、悦楽か?獣よ」

彼女はやはり獣だ。戦いを求め、血を求め、ただそうする事でしか生きられない。実際、こうして命のやり取りしているというのになんて楽しそうな表情だろう。これを獣と呼ばずとして、なんと呼ぶか。
仮面の男は、そう問いかけた。
533小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/26(月)02:54:14 ID:DEA [3/5回]
>>532
肉と骨を断つ確かな手応え。だというのにこの言い知れぬ薄ら寒さはなんだろうか。
その解を探る前に、動いた左腕を見た途端に脳を劈いた警鐘が背筋の冷や汗を上塗った。
死線が積んだ経験と本能に突き飛ばされるように、大袈裟なまでのバックステップで飛び退いたが。
ほんの少しの間隙が足らずに掠めた鉄パイプは、普段の得物と違って電気をよく通す。

「っつう……!そんなのもあるとか、ズルくない?」

伝う電流は神経を灼いて地面に流れる、その刺激は直に雷撃を受けるよりは格段にマシとはいえども。
常の痛みとはまた異なる痺れへの不慣れが災いしたか、弛緩した右手が鉄パイプを取り落とす。
からんと冷たい音が束の間の静寂を支配しても、脇腹から流れ出る鮮血が服を汚しても。

「獣なんて、ひっどいなぁ――でも仕方ないじゃん、すっごい愉しいんだからさ」

やはり、彼女は笑っていた。命の奪い合いを、その先に待つ故殺をも至高の愉楽に変換して。
今この瞬間を面白がっていることを否定はしない、する理由がない。どうせ疑いようのない真実なのだから。
呼気を長く吐いて荒い息を整える。右手はまだ十全には動かず、得物を悠長に拾う余裕も皆無。
だというのに爪先で鉄パイプを撫でる所作は、どうしようもなく楽しいとでも言わんばかり。

「おにーさんこそホントに人間?あたしにはそれよりも、機械かなんかに見えるんだけど」

違和を抱くのは彼女も同じだ、人が必ず持ち合わせるはずの痛みへの倦厭が見られないとなれば。
死を満たす条件が常識の埒外であってはたまらない、休息を兼ねた探りの間も警戒を絶やすことはなく。
534仮面の男◆</b></b>5cw/3jepuI<b>[sage] 投稿日:19/08/26(月)03:19:16 ID:7Xm [3/4回]
>>533
「いいや、獣さ。ただ真っ直ぐ、本能の赴くままに獲物を食いちぎるその姿、まさに獣の営みに他ならない」
「だが、そんな獣だからこそ、私の"被検体"に相応しい」

被検体。そう、彼女は紛れもない仮面の男のターゲットである。あの怪物を倒した時から目には掛けていた。強かったからだ。だが、強いだけでは彼が求めるものには足り得ない。
こうして実際に戦う事でそれは確信へと至った。彼女は強さだけでなく、獣のような獰猛さという本能を持ち合わせている。彼が真に求めていたものだった。

「さて、一体何だったかな。もう忘れてしまった。ただ、私はこんな芸当ができてね」

自分が人間だったか、機械だったか、もう彼自身は忘れてしまった。何者かだったような気もするし、何者でもないのかもしれない。今となってはどうでもいい事だった。
切断されたはずの腕の断面に、何かが蠢く。先程持っていた剣と同じ物質、靄のかかった、何とも形容し難いノイズのような何か。
それは断面を覆い、そして、新たな腕の形を形成していく。切断した腕が、今まさに再生されようとしているのだ。
彼の能力の真価は、この正体不明の物質を操り、擬似的に物や事象を生み出す事にあった。
正体不明故に、未確定。即ち、このような超常の現象ですら再現する事ができる。

「安心したまえ。頭か心臓を潰せば、いくら私だろうが死ぬさ」

どうやら腕の再生には相応の時間を要するらしい。利は未だ彼女にあると言っても良いだろう。さて、彼女はどう出てくるか。

//すみません、今夜はこれで落ちます。
535 : 小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/26(月)03:24:42 ID:DEA [4/5回]
>>534
//了解です、返信は後ほどさせていただきますね
//一先ずお疲れ様でした、おやすみなさい
536小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/26(月)13:14:09 ID:DEA [5/5回]
>>534
被検体。その言葉とかつての異形による事件を結びつければ、何を目論んでいるのか想像に難くない。
そして当然ながら、彼女にとってその対象に選ばれるのは、決して喜ばしいことではない。

「悪いけど、お薬は苦手なんだよね。あの子が起きる前に帰らないといけないし、他を当たってくれない?」

故にわざとらしく困ったように肩を竦めて素気ない素振り、薄っぺらな態度から確かな拒絶の意がちらつく。
ため息に見えるそれはダメージを気休め程度に誤魔化すためのものだ、痺れの抜けない右手の指がひくと動いた。

「……旅団長ってのはビックリ人間しかいないの?ちゃんと殺せるならどうだっていいんだけどさぁ」

呆れの滲む声の調子、浮薄な語り口はいまだに悦楽を支柱としている証左。
欠損が修復できようと、人であることすら疑わしかろうと。その命を奪えるのであれば所詮は些事にすぎないのだ。
だから自己治癒に要する時間の暇を、のうのうと過ごすはずもなく。

「――そんなのんびりしてていいのっ?」

改めて蹴り上げる鉄パイプ、蹴り足は地面に帰らず中段回し蹴りに繋がって横一閃のかまいたちを放つ。
軸足だけで一回転、左手で落下してきた鉄パイプを掴むや否や雄馬の嘶きの如き果敢の吶喊。
利き腕でないのと凶器を振るえないのは同等ではない、残る左腕も奪うべく風刃が切り上げた。

//お待たせしました、日中は安定しませんがお返ししておきます
537 : 仮面の男◆</b></b>5cw/3jepuI<b>[sage] 投稿日:19/08/26(月)16:53:56 ID:7Xm [4/4回]
//お返しできるのはまた夜になりそうです、並行は全く構いませんので。
538仮面の男◆</b></b>5cw/3jepuI<b>[sage] 投稿日:19/08/27(火)00:26:39 ID:wl3 [1/3回]
>>536
「そうか。君にとっても悪い話ではないんだがな」

さて、再生が終わるまでは片手で対応しなければならない。
横一閃に飛んでくるかまいたちを、横方向にステップ。致命傷には至らず、刃は仮面の男の戦闘服と皮膚を裂いて少量の血を垂らすのみに終わる。
更に一気に距離を詰め、残った左腕を狙う彼女の一撃を防いだのは、やはり例の物質で構成された、槍のような長い得物であった。

「剣道三倍段という言葉、本当かどうか確かめてみるか」

鉄パイプを受け止めている槍の尖端から、仄暗い炎のようなものが噴き出る。至近距離にあれば、それからは確かな熱を感じるだろう。肌が焼けそうなくらいの熱を。
そして、熱は金属に伝わりやすい。一瞬にして伝っていく熱は、すぐに彼女の手元へ届くはずである。

//すみません、ようやく帰宅しました。お待たせしました。
539小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/27(火)01:02:52 ID:nd4 [1/4回]
>>538
「知らないの?旨い話には裏があるんだよっ」

もう一方の腕まで容易く刈り取れるほどに甘く見てはいない、なんらかの形で防がれると読むのは可能であったが。
その不定形な性質が宿す一を見定めるには、想定できる手はあまりに無数が過ぎた。
大気を伝う高温が頬を撫で、夜に暗炎の華が咲く。数瞬遅れて伝染した熱が鉄パイプを握る掌を焼いた。
鉄は熱も電気もよく通す、手元にあるのがいつもの得物でないのが今は特に恨めしく思える。

「あちちち!!ああもう、勝手が悪い……!」

痛みとも異なる激感にたまらず槍を弾くように、鉄パイプを上空へと放り投げる。
くるくると瑠璃紺の空を舞って落ちる先は仮面の男の頭上、ただで手放す気の更々ない悪足掻き。
同時に高温を嫌って、弾いた反動を利用した側転の要領で槍から逃れる先は、再生の最中である欠けた右腕の方。
逆立ちの状態から繰り出す回転蹴りは脇腹を喰らわんと唸る旋風を生む、その命中の如何に拘わらず機敏に飛び退いて距離を取ろうと。
540仮面の男◆</b></b>5cw/3jepuI<b>[sage] 投稿日:19/08/27(火)01:39:26 ID:wl3 [2/3回]
>>539
上空に舞い上がる鉄パイプ。自身の頭に向かって真っ直ぐに落ちてくるそれを、仮面の男は迎撃しようと槍の穂先をそちらに向ける。
だが、それと同時にこちらにも向けられる彼女の攻撃。対応は、間に合わない。
彼が槍を縦薙ぎに一閃振るえば、鉄パイプは真っ二つに両断されるであろう。同時に、彼の脇腹は深々と風の刃に抉られる。

「……!」

が、みすみすと機を逃す男ではない。彼はその槍を、回避運動を取った彼女目掛けて投擲する。黒い炎の槍は鋭い尖端を煌めかせながら、一心に彼女に向かって突っ込んでいく。

「ぐ……流石、だ」

彼女が距離を取った後、右腕の再生が終了する。仮面の男は左手で脇腹を抑えていた。そこから流れ出る赤黒いものは、少なくとも彼が血液の通る生物である事を証左していた。

彼は傷を負わせた彼女をただ賞賛する。それでこそ、自らの目的に合致した存在だ。これ程までの戦闘能力を有する彼女には、それだけの利用価値がある、と。
541小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/27(火)02:07:48 ID:nd4 [2/4回]
>>540
「やっば――」

バック転めいた退避は一直線上の運動だ、猛然と迫る焔棘をぱっと横に避けるのは難しい。
両の足が地面に触れて、残った慣性が二本線を描く転瞬の合間。かろうじて胴を捻って致命を逃れる。
灼炎の穂先が服を焦がし、肉を焼く。横腹を抉り抜けた槍は背後の静寂さえ灰燼に帰した。

「――っ!!」

外気に晒された傷口から血が出ないのは、何も彼女が人外の組成を持つからではない。
ほんの数瞬の間に血肉が焼けて固まり、奇しくも止血の役を担ったのだ。それだけの高温の一撃だった。
無論その痛みは熱を伴わない負傷とは一線を画す、苦悶の声さえままならずに顔を顰めた。

「よく言うよ……こっちはもうジリ貧だっての」

それでもなお。声の調子すら苦しげだというのに、やはりそこから喜色が途絶えることはない。
しかしその言葉もまた偽りではないのだろう。こちらは無手、体の欠失を補う術だってないのだから、このまま続けばどちらが先に力尽きるかは明白。
なにより、今はまだ為すべきことと帰る場所がある。命をベットできない確かな理由があるのだ。
油断なく見据えた状態で半歩下がる。様子見、あるいは隙を見出すがための動作。
542仮面の男◆</b></b>5cw/3jepuI<b>[sage] 投稿日:19/08/27(火)02:59:40 ID:wl3 [3/3回]
>>541
「安心しろ。命まで取るつもりはない」

脇腹を抉られても、声色が変わることはない。間違いなく負傷しているはずなのだが、彼には焦る様子も、冷静さを失った様子もない。

「先程も言ったが、君には実験に付き合ってもらいたいのだよ」

そう言って仮面の男は、ある物を取り出した。注射器だった。

「これは『超活性化薬』。これを打てば、今よりも遥かに強い力を得られる。だが、これは多大なる負荷がかかるものだ。普通の超人なら、身体が耐えられずに死に至るだろう」

仮面の男は、自分が彼女に何をしようとしているのかを喋り始めた。彼の持つ余裕がそうさせるのか、そこに嘘偽りはなく。

「だが、君には選ばれる素質がある。実験に付き合ってくれるなら、いくらでも師団を相手に暴れてくれて構わない。私としては、君が素直に応じてくれれば助かるのだが」

彼は『超活性化薬』の臨床実験のターゲットに彼女を選んだ。これを打てば、彼女は更なる力を得られる。それこそ、解放師団を殺し尽くせるかもしれない力を。

もちろん、素直に応じてくれるなどとは彼は思っていない。しかし交渉に応じてくれれば言う事はない。
だが、そんな力をわざわざ敵に渡そうとする仮面の男の真意は見えず。ただ、師団の為にデータ収集をしたいようにも見えるが、その反面師団を潰してしまっても構わないという意思すらも感じさせる。
543小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/27(火)03:41:41 ID:nd4 [3/4回]
>>542
「やだ」

即答だった。予測していた内容だったのだろう、考える素振りすら皆無。
どこかちぐはぐに思える交渉材料を訝ってはいるらしい、苦痛とはまた異なる懐疑の眼差し。
とはいえ、なにもその疑念が拒絶の理由というわけではない。

「ソレがどんな代物かくらいは知ってるよ。しばらく歯止めが効かなくなって、猿みたいに暴れる羽目になったからよく覚えてる」
「十年前に一度だけクソ親父に打たされたんだけどさ。まー離脱症状と副作用がキッツいのなんの。全然楽しくないし、金輪際使いたくないって思ったね」

過去の服用経験。初めて見せた心底からの嫌悪の表情からして、思い出したくない記憶なのは明らかだ。
愉楽を是とし、至高とするからこそ。在りし日の苦い追憶の再現を嫌う意思は人よりも強い。
芋蔓式に蘇る思い出を振り払うように小さく鼻を鳴らす。少々の不機嫌が傷の苦悶に塗り潰された。

「おにーさんが何考えてるかはちょっとだけ興味あるけど、あたしは自分の好きにするだけだし」
「誰からも許してもらえなくたって、これからも解放師団さんのお相手は続けていくつもりだよぅ」

能力と同様に朧な真意、しかしその実態がどうであろうと彼女の行動原理にはなんら関係がない。
愉しいと思うことは即座に行動に移すし、他者の介入によって揺らぐ脆弱さであれば今頃非道に手を染めてなどいない。
つまるところ、獣という所感はおおよそ的を射ていると言えるのだろう。

「――だからどうしてもってんなら、無理矢理にでも来なよ。出来るもんならさ」

おもむろな掌底、空を穿つそれは風の弾丸を放つトリガーとなる。
その狙いは手にある注射器、この場の交渉における重要なファクターを潰そうという算段だ。
544 : 小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/27(火)03:50:18 ID:nd4 [4/4回]
//申し訳ありません、眠気が厳しくなってきたので次の返信は朝以降になると思います
545仮面の男◆</b></b>5cw/3jepuI<b>[sage] 投稿日:19/08/28(水)01:14:12 ID:0ca [1/1回]
>>543
「……成程、既に服用経験があるのか」

彼女は過去に超活性化薬をその身に打たれたのだ。成程、確かにそれならば彼女がこれ程の戦闘力を有しているのにも納得が行く。
それとも、彼女がここまで人間として破綻したのもその過去が原因だろうか。いずれにせよ、知る術はないが。

彼女が放った風の弾丸。それは、手に持っていた注射器をあっさりと破壊せしめる。液体となった超活性化薬が、破片共に飛び散った。

「それが君の回答か。まあいい。実際のところ、君の意思など元より関係ないのだからな」

やれやれ、といったような口調でわざとらしく手を広げる。まあ、半分くらいは分かっていた事だ。
注射器を破壊された今、もはや目的の達成は不可能。代わりに、彼女の力を充分すぎる程に計れた。

「しかし、交渉材料が潰されては仕方がない。ここは私も素直に退くとしよう。次は、力づくで打たせてもらう。私は、君の獣としての本性を全て解放した姿を見たいのだよ」

もはやこの場に留まる意味はない。仮面の男はその言葉を残して、彼の身を包むノイズの霧の中へと消えていくだろう。霧が晴れた時には、もはや誰もそこにいない。

いつの間にか、サイレンの音は鳴り止んで辺りは静寂に包まれるだろう。真実を知る者は彼女しかおらず、爆発騒ぎは不幸な死者を複数出した不運な事故として片付けられる。

解放師団が水面下に潜った後も、仮面の男は密かに動き続ける。組織の憂いを全て消す為、そして己の目的を果たす為に。

//これで〆でお願いします。長々とお付き合いくださりありがとうございました。
546 : 小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/28(水)02:11:08 ID:Q4y [1/1回]
>>545
彼女は己の気質が人の道から大きく外れていると、改める気は皆無であれどよくよく自覚している。
しかしそれが先天的か後天的か、答えをこの場で口にすることはないだろうし、彼女自身が解を知っているかどうかも曖昧でしかない。
しかし超活性化薬の性質を鑑みれば、瞬間を愛する刹那主義だけは、確かに生まれついて根底を支配していると言えるのだろう。

「やれるもんならやってみなよ。もち、おとなしくヤられるつもりはないけどね?」

口の端の片方を吊り上げる。先程まで滲んでいた苛立ちを底に潜めた、平時通りの楽しげな笑み。
細めた紫黒の瞳は仮面の男の輪郭が朧になって消えるまで、光を映さず猛禽の獰猛を孕む。
まっすぐに一点を見据えて動かない躯体は、公園にしじまの安寧が訪れてようやくぐらりと崩れた。

「――あーーしんどい!!クッソ痛い!!」

ずっと堪えていた、今も脳髄を打ちつける激痛を誤魔化すかのような咆哮、仰向けに倒れて見上げる月が白煙から解放されて楚々と煌く。
一度横になると立ち上がるのもひどく億劫になってしまったから、どうにかスマートフォンで馴染みの藪医者に連絡を入れた。
夜明けまでに万全にしてもらうための出費を惜しむつもりはない、迎えに呼びつけた文句も必要経費として甘んじる必要があるか。
ここ最近帰るどころか顔すら見せなかったことに嫌味でも言われると思いきや、存外殊勝な受け答えをされたのは。

「……嫌な事思い出しちゃったなぁ」

追想から蘇って燻った本気の倦厭と怨嗟が、意図せずして言葉の端々から漏れ出たからに相違なかった。

//こちらこそお付き合いいただきありがとうございました、お疲れ様でした
547ルクレティア◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/30(金)22:25:50 ID:4Mm [1/2回]
夏の終わりの足音が近づいてくる時分とはいえ、夏服はまだまだ現役。
だからつばの広い麦藁帽子をかぶっていても、往来では然程目立ちはしない。
デニムのショートパンツに半袖のTシャツなんて、普段では絶対にしない格好に、どこかまごついているようではあるけれど。

「あ――――」

光に晒した白肌の面積の広さが落ち着かなくて、ショルダーバッグのストラップを思わず握りしめた時だった。
朱炎の後奏を運ぶ一陣の風が麦藁帽子を浚って、その下の黒髪を露わにする。
ウィッグであるそれは緩やかな三つ編みを腰まで垂らして、身じろぎのたびに尻尾のように揺れる。
咄嗟に伸ばした手は寸刻で届かず、深い緑の瞳が諦観に瞬いた。
548双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/30(金)23:09:45 ID:7m9 [1/2回]
>>547
唐突に麦藁帽子は大きな動きを止めて風に広いつばを靡かせるだけになる。
滞空しているように見えるその正体はちゃちなもの、そのつばの一部を捕まえた手があるというだけの話。
少し視線を変えればその手の主、眼帯にマスクの奇異な姿を見られるだろう。鞄を肩掛けした半袖シャツに長ズボンという出で立ちが薄れるほどの。
その男は何気無く見る紅い目でそちらを捉えれば。

「これ、お前のだよな?」

見てわかる問い。それをする理由は威圧感を消したいからである。
元々自分の体格は理解してるのだ。つまるところ、先に聞いて言いやすく、受け取りやすくしようかという余計な気の回しである。

//もしよろしければー
549ルクレティア◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/30(金)23:27:04 ID:4Mm [2/2回]
>>548
風と一緒に流されて空と遊ぶ間際だった麦藁帽子を目で追いかけていたから、その動きが不意に止まったのをしっかと見た。
掴んだ手から腕、肩と視線でなぞって露出の少ない顔を見上げる。その胡乱な様相からか、ひくと眉間に微か皺が寄った。

「そうです……ありがとうございます」

明らかな用心と、いかにも渋々といった語調。ほんの一匙の安堵は、僅かに下げた頭にやっと浮かんだ。
礼を述べる辺り、そこにあるとは敵意というより幼心なりの自衛の警戒心と言えるか。
手を伸ばし、高みにあるままの帽子を取り返そうとしたけれど。

「……返してください」

当然だが絶望的な身長差のせいで、それだけではどうしたって届かない。
声に更なる苛立ちが滲むのは気のせいではないだろう、その原因は単純に自分の背丈にすぎないのだが。
550双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/30(金)23:41:29 ID:7m9 [2/2回]
>>549
皺寄せには触れず、慣れたとばかりに目尻が僅かに動く。自分自身でも無いとは思ってる風体のため。

「どういたしまして、無理すんな」

警戒心がむしろ懐かしく感じるほどには知人が多くなったことを思い返しつつ、子を扱うような口調が漏れる。
苛めてるつもりはないが、取り返そうと躍起になるしぐさが意地らしく見えてくるともう少し反応を見たくなるのが人心というものか。

「返す返す、流石に肌傷めさせたりする趣味はないない、そんな奴に見えるか?」

とはいえ苛立ちを読み取れるようになってくれば流石にやり過ぎたかと反省して帽子を――手に返さずにそのまま少女の頭に乗せようとするだろう。
実に被らせやすいとばかりに。挑発のような行為その実悪意はまったくない。
単にそれが自然とばかりに双葉はそれを言い放つのである。どう見ても悪い方であることを自覚はせずに。
551ルクレティア◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/31(土)00:02:50 ID:X2S [1/3回]
>>550
見知らぬ人に対する不信感が特に強い彼女が、後ろ暗い事情がある現状で無抵抗に頭を触らせるはずがあるはずもない。

「わたしには人の身長を馬鹿にする、意地悪な人に見えますね」

半歩下がり、影を落とす帽子を両手でがっちりと受け止めて半ば強引に奪い取る。
自分で深くかぶり直せば、仏頂面を表す眉間が隠れる。見下ろすとつばから覗く鼻を、小さくふんと鳴らした。
悪意の有無など関係がないのだ、年上に囲まれた環境に身を置く彼女にとって、いまだ低い身長は最早コンプレックスに近しい。

「それとも自分が大きいからって偉そうにしている人でしょうか?どちらにしろ下劣ですね」

どこまでも不機嫌そうに、ふいとそっぽを向く仕草はやはり子供っぽいそれなのだが。
552双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/31(土)00:12:45 ID:GU3 [1/3回]
>>551
裏を知らず、裏に片足どころか両足突っ込んでる男、触らせるとは最初から思ってないのか。

「マジかよ」

元々相手の物なので無為な抵抗をすることもなく麦藁帽子は返される。
一方で本人としては予想外らしい見方をされていたのか間抜けな声をマスクの下より溢す。

「それは自分が小さいから大きいもんがそう見えるだけだろ、誰が下劣だ」
「…………なんで帽子だけでこの流れになった? まあ良いか、買い物か何かの途中か?」

不機嫌そうな少女に向かってしゃがみこむという最早わざとかと思わせる行動を取る。
当の本人は問題がなぜ身長差になったのかよくわかっておらず困惑した様子でもあり。
553ルクレティア◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/31(土)00:34:56 ID:X2S [2/3回]
>>552
「……背が高い人には分かりませんよ。高い所に手が届かなかったり、それで揶揄われたりする苦労なんて」

少し、というか相当機嫌を損ねているようだった。わざわざしゃがむという動作を行なって、目線を合わせられたから殊更に。
かといって見下ろしたままであっても少なからず煩わしく思われていただろうから、子供とはいかんせん度し難い。
では何が最適解とはなんたるか、それはきっと劣等感に寄り添う誠意と敬意なのだろう。多分。
自分の苛立ちの理由を本気で理解していなさそうな面持ちをちらと一瞥、やり場がなさそうにため息を零した。

「別に……遊びに出ただけです。そんな事、どうだっていいでしょう」

赤の他人への不審感ともまた異なる、一歩引いた態度だった。親しくする気がないから、と言ってしまえばそれまでの。
また風に持っていかれてしまわないように麦藁帽子のつばを指で抑えながら、憮然とした調子。

「あなたは……何か疚しい事でも?そんなに顔を隠して、とても怪しいですよ」
554双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/31(土)00:48:43 ID:GU3 [2/3回]
>>553
「一人でか。どうだっていい割には俺のことは聞くんじゃねえか、俺も気晴らしになんかしようかと思ってたところだが」
「……隠してるのは怪我の都合だ、怪しいのはわかるが眼帯のは察してくれや」

赤の他人に対しても会話が始まれば口は好き勝手に回るが青年。でありながら怪しさに突っ込まれるとやや哀しげに眉が垂れる。

「さっきのだがな、背が高くても苦労するぞ? 枝に頭ぶつけたり蜘蛛の巣にかかったり、恐がられたりな」
「まあ歳は知らんが俺だって大分低い方だった時期はあるから気は分からないでもないけどな」

それも程々に、双葉には分からないとされたことを言われれば背が高いなりの苦労を語り、人ならあって当然の過去を持ち出す。
背丈の表現を示す手でこの辺、と少女の首辺りの高さを表すが信用するかどうかは少女次第。

「まあ遊びに出ただけなら丁度良いか、どっか行きたいところあるか?」
555ルクレティア◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/08/31(土)01:08:48 ID:X2S [3/3回]
>>554
「それは……失礼しました。てっきり指名手配でもされているのかと」

少し、ほんの少しだけ所在なげに眉尻を下げる。過剰な他人への警戒心が、ようやく人並みにまで引き下げられたようだった。
刺激された引け目に対する防衛本能めいた刺々しい言動はともかくとして、本来好んで無意味に人を論う性分ではない。
殊勝に視線を伏せて、目だけで身長を示す手を見やる。それから見上げる深緑の瞳は、見るからに疑っている眼差しで。

「でしたら、背が低い人の気持ちも分かりそうなものですが……いえ、もういいです」

最早諦観に近い情。呆れたようにまたため息をついて、ゆるりと首を横に振った。

「特にはありませんが……まさか、ついてくるつもりですか?申し訳ありませんが、それは結構です。一人で動きたいので」

あくまでも一線を引いた関係を貫くつもりらしい。きっぱりと、年不相応に毅然とした態度。
些か素っ気ないとは自覚しているのだろう、控えめながらも典雅に一礼をすれば三つ編みが踊る。

「帽子、ありがとうございました。怪我にはお気をつけて」

それだけを言い置いて踵を返す。小さな背丈は人の波に容易く紛れて、見えなくなるまであっという間。

//明日が早いのでこの辺りで〆でお願いします
//ロールありがとうございました
556 : 双葉燕治◆</b></b>w7tiYKMRII<b>[] 投稿日:19/08/31(土)01:21:35 ID:GU3 [3/3回]
>>555
「そうそうやらかして指名手配でこんな怪我も、ってんなわけねえだろ」

一人で乗って一人で否定してるアレな人物。怪我隠しは事実なので嘘をついてるわけでもないのは仮に疑わしくても伝わったか。
疑われた別のところには痛いところを突かれたとばかりにお手上げ。こればかりは能力発現から背丈の概念がかなり薄れたせいでもある。
そもそもとして、他人とまともに対面した経験が薄い可能性も孕んでいるが。

「そうかい、それなら変なのに着いていかないようにな」

流石に無理矢理着いていく、なんてことは今はしないようだ。確実にお縄にかかる。
素っ気なさの中に微かな遣いを勝手に感じればマスクと眼帯の下で笑みを浮かべて。

「そっちも怪我や熱には気を付けろよ、特に路地裏付近とかな」

すっかり見えなくなるまで見送れば、さてと立ち上がり。

「あ、名前聞いてねえな。まあいいか。今度でも」

罅の入った水晶にはまだ気付かないまま、いやに平穏な日の中で緩んだ気のままにぶらつきを再開するのであった。

//こちらこそありがとうございました、楽しかったですー
557仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/09/02(月)00:44:36 ID:XS5 [1/1回]
「えっと、コレで」

深夜のコンビニ、それは罪悪感と好奇心の溜まり場
アキラのような典型的非行少女にとっては巡回するポリスの目から逃れるオアシスともなる
特に目的もなくふらりと入り込み、酒とガムでも買っていこうと考えていた矢先
棚に並べられたホットスナックの中にふと、興味をそそるものがあったのだ

棚を指差し店員へ愛想笑いを向けるのに、そう時間はかからなかった


「ん……、おいし」
「偶に食べたくなるんだよね、この味が」

オフショルダーのカットソーから覗いた地肌は多い。少しだけ肌寒い夜風に吹かれ揺れる身体
アメリカンドッグの頭に軽く歯を立てて咥えながら少女はマスタードの袋を取り出していた
ピッと器用に袋を二つの片手で切って、その手つきは丸っこい衣の上に細く赤と黄色の線を残す

仄かな甘みのある生地と中に詰まった魚肉ソーセージの組み合わせは深夜には過ぎる悪魔的快楽
故郷イギリスにはないそれは、名称からもルーツをアメリカに持つスナックであるようだが

「……こいつ、絶対アメリカで売ってない」

ナポリタンと同じ次元で荒唐無稽なその出で立ちに、アキラはその事実を信じられないでいた
コンビニ近くの公園で繰り広げられる、少女期の一幕

//持ち越しになりそうですが、絡める方募集です
558小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/09/05(木)10:44:35 ID:wPI [1/2回]
>>557
「いやいやいや、売ってるでしょ」

森閑の公園に月を背にした朧の影を描くそれは、模糊たる輪郭の如く唐突に現れたように思えた。
キャミソールの透けるレースシャツはよく風を通すだろうに、マーメイドスカートが揺れても寒さを一切感じさせず。
実際には夜の静謐に紛れて歩いていたところを、視界が開ける入口ではたと足を止めただけなのだが。

「冷やし中華は中国から来てるし、フレンチドレッシングだってフランス生まれだよぅ?アメリカンドッグだってアメリカでも売ってるに決まってるじゃん」

揶揄っているというよりは、さも当然とばかりの口調。なお前者は日本、後者はアメリカが発祥である。
無造作に手に提げるビニール袋すら黙らせたまま音のない鷹揚の足取りが近づけば、常の笑顔が明瞭になる。
あと一歩で互いの足の爪先が触れ合う距離で立ち止まり、仄かに見上げるのは悪戯っぽい輝きを秘める黒瑪瑙の双眸。

「ちょっとしたツテでいいトコの地ビール貰ったからさ。持って行こうと思ったんだけど……アキラちゃんだけ美味しそうな物食べちゃってぇ」
「お腹すいたから、美味しいおつまみ作ってもらいたかったんだけどなー」

とどのつまりアキラの自宅から最寄りのコンビニの間に佇むここを通りがかったのは、なにも偶然ではないのだろう。
ようやくがさりと存在を主張したビニール袋や彼女から鉄の匂いはしない、どうやら少なくとも凶行の戦勝品ではないようだった。
アキラの手にある食べかけのホットスナックを一瞥。ずるい、と言わんばかりに唇を尖らせる様はどこかわざとらしく。
拗ねているように見えるが何も孤高の夜食を本気で羨んでいるわけではない、ただ意に介してほしいだけの細やかな我儘なようなものだった。

//連続になってしまいますがまだよろしければ
559仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/09/05(木)20:53:29 ID:UAi [1/2回]
>>558
「いやいや……絶対無いって。賭けても良いよ」
「日本って変な料理が多いじゃん、ナポリタンとか……ナポリタンとかさ」

振り向きざま空いた左手を大きく開いて迎え入れる。その動作に迷いは無く、耳に馴染んだ声を聞くなりの事だった
肩甲骨同士を押し付けるようにして身体を寄せ、右手に持ったアメリカンドッグをもう一口かじる。顎はもちろんすずめの肩に乗せたまま
挨拶がわりのハグと共に放たれた強気な物言いは、きっとこの珍妙な物体がアメリカには無いと踏んでの事だろう、掛け値は何なりと。自信の表れである

「……ほら。ググってみよーよ」

ハグを終えればスマートフォンを取り出してブラウザを開きながら、右手をすずめの口元へと寄せる
勿論その先に握られているアメリカンドッグを彼女に分ける為。小腹が空いているのはお互い様だ

「そのスカートいいね、……カワイイ」
「アタシはタイツかパンツ以外は嫌だけど」

示された手土産を見て嬉しそうに微笑み、それから視線はチラリとスカートの方へと向く
夜のすずめはよくジャージを身につけていた。こうした洒落た服装というのは珍しいようにも思えて
何にしろ血の匂いがしないというのは、彼女の生き様に反するにしてもアキラにとって喜ばしいことであった
共に生きるという約束を、心から大事に思ってくれているような気がするから。だから手つきは優しく愛おしげにスカートの生地を撫でた
ライダーであるアキラには無縁な女性らしい装いは、きっとすずめにしか持てぬ魅力の一つであろう

「げ、あるじゃん……!」
「参ったなぁ、全く……」

そうこうしてイチャついているうちにアキラの表情が暗くなる。どうやら見つけてしまったらしい
実際アメリカンドッグというものは日本にしかなかったものの、小麦粉ではなくコーンスターチで作ったコーンドッグなるものが米国発祥らしく
両者の相違は生地の違い程度のものなので、賭けはアキラの負けという事でいいだろう
少なくともすずめの為に何か肴を作る事は確定、その上賭けのチップ次第では、今夜はすずめの言葉には逆らえなくなりそうだ

//すみません、拾っていただきありがとうございます
560小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/09/05(木)22:11:46 ID:wPI [2/2回]
>>559
一旦止めた足を再度前に進めて、左手だけの相互的な抱擁。
肩に乗せられた顎が擽ったい、鼻を肩帯に押し付けてすんと嗅いだ。

「ふーん、言ったね?絶対あるし。あたし愛用のお面ちゃんを賭けてもいいね」
「……え、てかちょっと待って。ナポリタンってナポリで生まれた料理じゃないの?嘘でしょ?」

体を離せば間隙を抜ける夜風を惜しむように、反転して横並びで肩と肩を触れ合わせる。
少し肌寒い時分に伝わる人の温もり、口元に寄せられたかじりかけのアメリカンドッグに歯を立てた。

「はふっ……いーでしょコレ。アキラちゃんもこういうの履けばいいのになぁ」
「なんなら捲るなり脱がせるなりしてもいいんだよっ。ほーらほらほら!」

その最中にアキラに倣ってスマートフォンを弄るのは、今更で些細な疑念を解消するため。
神経の通っていないはずである布を撫ぜられて目を細めるのは、こそばゆいなんて物理的な感覚のせいではない。
大腿部をぐりぐりと押し付けてくる仕草は揶揄ではない、本当に実行されても構いはしない親愛がそこにはあった。
そうこうしているうちに表示された検索画面に視線を落として、それから密着するようにアキラの方の画面も無遠慮に覗きこむ。

「うわ、ナポリタンって日本生まれなんだ……信じらんない……」
「でもでも、こっちは実質アメリカみたいなモンじゃん?って事はあたしの勝ちだね!」

心底から楽しげな声、ポケットにスマートフォンをしまって空いた腕をアキラのそれへとするり絡める。
月光を受けて見上げる相貌は溌剌として、夜に誘われた嫋やかが一滴滲んだ。
もう一口のアメリカンドッグを口に含んで、向かおうとする場所は語るに及ばず。

「早く帰っておつまみ作ろうよ。今日は朝まで寝かせてあげないんだから」
561仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/09/05(木)23:26:45 ID:UAi [2/2回]
>>560
「……ばーか、そういうのは良い雰囲気になるまで取っとくんだって」

押し付けられた太腿。薄布越しのその感触にややあって反応するのは、きっとその魅力にあてられていたからだろう
少々苦しい笑みと共に何気ないふりしてやり過ごし、右腕へ僅かに力が込められる

「ふふっ……アンタと居る時、あんま寝た記憶ないなァ」

今夜は寝かさないという言葉は揶揄では無く、本当に日が昇るまで寝かせてくれない事はアキラもよく知っている所だ
テレビを見たりゲームをしたり。日によってその手段は異なるものの本来の意味で使われた事はまだ無い
そういえば夜明けまで延々と酒を呷り続けた事もあったか。ともあれ負けは負けだ、すずめの言葉に従い二人の巣箱へと戻るのはそう遠くないだろう

「何食べたい?炭水化物とか嫌だったら言ってね」

時計の針が1を指す頃にはアキラはキッチンに立ち、小ぶりな新じゃがに包丁を通していた
皮付きのまま火が通りやすい大きさに切り、オリーブオイルを多めに注いだフライパンの上で素揚げに
皿に上げれば塩に黒胡椒とパプリカパウダー、乾燥パセリをぶっかけて完成。シンプルがゆえに美味しさも約束されている

「はい、お待たせー……」
「…………」

後はいつものソファに腰掛け、冷えた地ビールの到着を待つだけ
しかし常日頃とは異なるのは、特等席であるアキラの隣に座ろうとする度に邪魔が入る所である
ちょちょいと手を差し出して鉄壁のディフェンス、おまけに力も無駄に強いので強行突破も難しく
結局露骨にガラ空きなのは、アキラの膝の上だけである
562小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/09/06(金)00:26:22 ID:BPy [1/4回]
>>561
上機嫌な横顔は朧月を光源としてもなお眩い、一つに繋がった影は細路地を往く彼女らの後を慎ましやかに追って。
今日は何をして地平の薄明までを過ごそうか、なんて考えていれば道程の終着に辿り着くまでの体感時間はひどく短い。
とうに慣れ親しんだ玄関を抜けて、冷蔵庫に地ビールを突っ込んだかと思えば、共に炊事場に立つ気がないのはいつものことで。

「ビールに合えばなんでもいいよぅ。あたしシャワー浴びてくるね」

それだけを言い残して早々に深夜の行水に引っ込んでしまう。水音が途絶えるのは具材達が具合よく上がった頃。
湿った髪はそのままにリビングに戻ってくる途端に鼻腔を擽る香ばしい匂いが、本人以上に我儘な腹の虫を急かした。
服を拝借するのもすっかり慣れたものだ、部屋着と呼ぶに相応しいゆったりとしたラフな装い。
鼻歌交じりに二人分のグラスと冷えた地ビールの瓶を、出来立ての料理を追って配膳したまではいいのだが。

「相変わらずおいしそー!早く乾杯しよ――」
「ちょ……あのさっ……えっなに、イジメ?」

お気に入りの定位置に腰を据えられないものだから、何度も何度も押し戻される羽目になる。
それでも隙を見出したりフェイントをかけたりと、あらゆる手段を尽くそうとするが、そもそもの膂力からして敵うはずもなく。

「…………もーっ、しょうがないなぁ!素直じゃないんだから!」

終ぞ防壁を打ち崩すことは叶わず、唯一空いていた柔らかな座椅子におとなしく身を預けるのであった。
負け惜しみめいた語調であったが緩んだ頬は隠しきれていない、背中を胸にゆっくりと預けて。
澄んだ琥珀の液体を二つのグラスに満たす。重みの増したそれらをやおら持ち上げて、片方をアキラに差し出す。

「ほい、乾杯。それとも飲ませてほしかったり?」
563仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/09/06(金)01:18:41 ID:vVx [1/2回]
>>562
「乾杯、ハハ……久し振り」

上機嫌のアキラ。そんな彼女の座り心地といえば柔らかく、そしてシャワー上がりのすずめですら暖かいと感じるほどの体温の高さである
薄布越しに伝わる熱は焼けつくようでいて、それでも不快を伴わない心地良い塩梅を保っていた

チンとグラスを鳴らし、久しく朝まで飲み明かす事への懐かしさと期待をにじませる
グラスの中の極上に唇を重ね、それから琥珀のほろ苦の中にある芳醇な香りに酔いしれた
五臓六腑になんとやら。幸福が喉元を過ぎ去り、訪れた余韻に浸っていた頃

「こういうのはどう?アンタが飲ませる、そんでアタシが食べさせる」
「口に合わないなんて言ったら、このフォークをほっぺたに突き刺すから」

ほんの一瞬だけ、唐突な提案に甘えるように眼を細めたのは酒のせいだけではないだろう
しかし直ぐに理性を取り戻し、何でもない振りをしてそっけなく努める。けれど想いを押し殺していた頃の余所余所しさはない
冗談を交えながら話題を変えるのは、ただそれだけでなく自らの気を逸らす狙いもあるのは言うまでもない

「そーだ、そういえばうちにゲーム機が来たんだよね」
「って言っても、ソフトと一緒に学校の友達から二束三文で買ったんだけど……」

指さされたのは決して大きいとは言えないテレビ台の下に安置された四角いゲーム機。現行機ではあるが使用感がモデルの古さをほのめかす
娯楽の少ないアキラの家で、すずめが退屈しないようにポケットマネーから幾らか工面して買い取ったらしい

「今度から揉めたらこれで解決するの。面白そうでしょ?」

そしてそれだけでなく、揉めたり意見が対立した時はこうしてヴァーチャルの世界で代理戦争を行い、勝者を決める事にしたというのだ
家のルールの中にも、こういった遊びがあると和むもの……らしい

//申し訳ありませんが、今日の返信これまでになりそうです
//絡みありがとうございました、また明日お願いします
564 : 小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/09/06(金)01:26:59 ID:BPy [2/4回]
>>563
//了解しました、こちらもそろそろ落ちますので後ほどお返ししておきますね
//明日は夜から安定出来ると思います、一先ずお疲れ様でした
565小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/09/06(金)15:52:35 ID:BPy [3/4回]
>>563
生産性を捨てて品質を追究した喉ごし、雑味のないすっきりとした味わいに恍惚の吐息。
次いでじゃがいもにフォークを通して、飲と食の調和を舌で転がそうとした矢先のことだった。
それよりも甘美に響いて聞こえる発案に、手を止めて後ろにあるアキラの顔を首だけで回し見る。

「なーにそれ。あたしがアキラちゃんの料理に文句つける訳ないじゃん」
「だからほら、早くちょーだいよぅ。お腹ぺこぺこなんだからさ」

くつくつと忍び笑いを漏らして体を滑らせると横座りの姿勢、顔と顔を合わせやすい体位に。
いまだ先端に突き刺さったままのフォークをやんわり握らせて、ねだるように上向きの視線を送る。
微かな感情の波を見て取ったのか、邪魔な横髪を耳にかける所作はどこか上機嫌そうで。

「……はあ、ゲームで?……いーじゃん、面白そうで!」
「ま、あたしが全戦全勝なのは確実だし?あとで泣きを見ても知らないから!」

けれど言い咎めはしないのは、それが偽りの遺棄とは異なる感傷が所以であるのを知っているがためだ。
高浪の如く分かりやすい話題の流転にもあえて流されて、唐突に思えるルールの導入に怪訝そうに首を傾げたが。
どうやら気に召したようで得意そうに口の端を吊り上げ、自信ありげに鼻を鳴らした。
しかし彼女のテレビゲームの腕は総じて中の下。紛うことなき初心者プレイヤーであり、根拠のない自信に他ならない。
ぐいとグラスを一息に空にして新たに瓶から注ぐ。早いペースは頬に仄かな朱を齎すが、アルコールの兆候はまだそれだけ。
その間にもフードには手をつけず、ちらちらと様子を伺っているあたり、今夜は自分の手で口に運ぶ気は皆無らしかった。

//お待たせしました、夜までは不安定になりますがお返ししておきます
566 : 仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/09/06(金)21:27:17 ID:vVx [2/2回]
//すみません帰宅遅れます、置きに移行してもよろしいでしょうか……
567 : 小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/09/06(金)21:33:02 ID:BPy [4/4回]
//こちらは大丈夫ですのでご無理なさらず、ご自身のペースでどうぞ
568 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:19/09/07(土)16:08:41 ID:8bP [1/1回]
終わったスレにまだしがみついてるよ
569 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:19/09/07(土)21:30:20 ID:Ngx [1/1回]
などと、何にもなれなかった雑魚が申しております
570仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/09/08(日)20:54:13 ID:RhF [1/1回]
>>565
「……アタシだけかと思ってたけど、アンタも大概甘えんぼな所あるよね」

ころんと膝の上で横になったすずめの姿は、アキラの瞳の中でまるでよく懐いた飼い猫か何かのように写っていた
すぐにでも抱き締めたい衝動に駆られながらもフォークを握らせるすずめの手がアキラの理性を呼び覚ましていた
気を取り直し、二股の細いフォークをしっかりと握りしめて"餌付け"は再開されるだろう

「それじゃ……アーンして」

小さな唇の前へポメスを差し出し、二つそれがポメスを挟むまで辛抱強く待つ
そうして柔らかなそれが奪い取ったのならば、ゆっくりと銀の指を引いて微笑みをうかべるのだ
続いて自らも同じように突き刺したそれを口へ運び、今度は白い前歯が芋を咀嚼するべく突き立てられた
垂直に立てられたフォークの側面が歯と歯によって挟まれ、カロ……と軽い音を立てる

「言っとくけど、イギリスじゃ仲間とゲーセンに入り浸ってたよ」
「ビデオゲームってのはあんまり……手ェ出したことないけど」

暫しそうやって蜜月の時を過ごし、肴と酒を交互に与え合うだろう
アキラの顔が仄かに赤らみを帯びる頃、ようやく彼女の意識はゲーム機の方へと向かうだろう
ゲームセンターには入り浸っていたものの、ピンボールなどのアーケードゲーム以外にはあまり精通していないアキラ
現代で浸透している、いわゆるゲームの腕前は下の上がいいとこだろう

「最初に練習試合しよーよ、ソフト何がいい?」

//すみませんお待たせしました
//取り急ぎ返信しましたので、お好きなタイミングでお返しなさってください
571小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/09/08(日)22:29:57 ID:FuR [1/1回]
>>570
膝の上は快い温もりで、互いの身じろぎや体温でさえもよく伝える。
少し体を倒せばアキラの鎖骨が頭を迎えてくれるそこは、何よりも居心地の良い巣箱のようで。

「いーでしょ別に。こんな事するの、アキラちゃんだけなんだからさっ」
「あむっ……んー、おいひい!それとも……甘えられるの、嫌だった?」

内耳を叩く鼓動に聞き蕩れながら、差し出された実を上下の口唇で咥えてフォークから強欲に奪い取る。
咀嚼しながらも目だけで見上げて投げた問いが、意地悪なものだと分かっていたから。
アキラが飲み下すタイミングを見計らって、その下唇に触れさせて傾けたグラスで咄嗟の返答を塞いでしまう。
その答えがどうであろうと細やかな酒宴を続けるにあたり、新たな特等席から降りることは断じてないのだけれど。

「お、早速やっちゃう?あたしアレがいーな。ほら、アレだよアレ……」

酒精が混じり始めた吐息で説明するのは、対人戦で盛り上がることも多い大乱闘なお祭りゲーだ。
膝から動きはしまいと横着して上体を伸ばすが当然ゲーム機には届かない、ねだるように指をさすに留まって。
なお自信満々に選んでいるがプレイした回数は片手で収まるほど、それもシリーズの初期作品ばかりであるから実質初めてである。

「でもせっかくだしさ、なんか決めようよ。負けた方が言う事聞くとか!」
572仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/09/09(月)01:48:47 ID:01t [1/1回]
>>571
「馬鹿、そんなの――」

聞かないでよ、と続けようとした唇はグラスに触れられて動きを止める
無論後に続いた言葉をすずめは理解しているだろうし、これ以外の返答が有ろう筈も無く
仏頂面で琥珀を飲み干し、そのままグラスを空にして。ほんのりと苦い唇を額へと落として愛情の片鱗を見せつける

「アタシだけ……か、ふふ」

それから視線は窓の外へ、満足げな笑みを伴って向けられるであろう
その理由は明白、アキラもまたすずめにだけ自分の弱い所も、何もかもを包み隠さず晒してもいいと考えているからだ
これだけ互いに通じ合っていて、これ以上を求めるのは少し強欲にも思える以心伝心の関係

「……いいよ、アンタの言う事……何でも聞いてあげる」

ふたつの小さなコントローラーを手に取りながら、自分とすずめにそれぞれ分けて
迷いなく起動するそれは、熟練ではなくとも多少なりとも触ったことのあるゲームなのは間違いない
適当にキャラクターを選べば、帽子を被った二頭身の少年がクローズアップされて

「その代わりアタシが勝ったら……分かってるよね?」

何かを賭けるのであれば、勿論それに伴う代償というものがある
コントローラー片手のまま、くいとすずめの顎をこちらに向けて
悪巧みの表情を浮かべれば両手は彼女の脇の下を通り、腹部の前でそれを握るのであった
573小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/09/09(月)14:09:42 ID:OAg [1/1回]
>>572
額を擽る感触に目を細める。何度か受け止めたことのある今日のそれは、いつもより酒気を孕んでいた。
すっかり気をよくして空のグラスにまた透き通った黄金を満たし、一気に呷ってテーブルに叩きつけた代わりにコントローラーを受け取り。
顎を持ち上げられて向かい合うのは挑発的な笑みだ、赤らんだ頬に蠱惑さえ纏う。

「……ちゃんと言ってくれないと、分かんないな?」
「あ、でもやっぱ言わなくていいや!どーせ言う事聞くのはアキラちゃんの方だからね!」

うたう一頭身ピンクだまを真っ先にセレクトしながら、得意そうに鼻を鳴らす。
遊びと言えど賭けたものがある以上真剣勝負だ、膝の上で体ごとテレビに向き直る面持ちに最早おふざけはない。
遊戯の延長線上なのもまた事実であるから、どこまでも惚けた振舞いに変わりはないのだけれど。

「――泣いて謝っても許してあげないんだから!」

さて試合の過程といえば、散々たるものであったことをここに明記しておこう。
不慣れなコントローラーによる暴発、仕損じるねむる、埃を被った記憶との微細な挙動の違い。
時たまやり返すことこそあっても、普通に相手取っている分にはまずアキラの負けはなさそうなほどの腕前を披露してくれるはずだ。

「あ、ちょっ……いやーーー待って!?やばいやばい痛い痛いアッーー!!」

深夜だというのにも拘らず、年甲斐もなくはしゃいで盛り上がったのは間違いないだろうが。
その勝敗がどう転がったにせよ、あまりにひどい自分のプレイングを反芻してしばらく顔を手で覆ってしまうだろう。
蓄積されたフラグが回収されるのはほんの一瞬、大抵は自覚がないままに積み重なっていくものなのだ。
574仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/09/10(火)17:41:13 ID:Tch [1/2回]
>>573
「ふふ……負けてからのお楽しみ、だよ」

ニヤニヤと白い歯を覗かせながら笑顔を浮かべるのは、相応に悪いことを考えているのだろう
ゲームの基本的な腕前こそすずめに劣るものの、実はこのゲームには少々の経験があるアキラ
順調にすずめをボコボコのサンドバッグにしつつ、悲鳴が上がるたびに同じ顔を浮かべて隣を眺める
ここまで彼女をいいように出来ることは殆ど無いだけに、アキラも気分が良さそうだ

『PKファイア!PKファイア!』

「あっはははは!これ最高っ!」

画面の中で火球が放たれる度に、ボボボボといやらしい連続ヒットの音が響く
為す術も無くウェルダンにされてゆくピンクの歌姫を前に笑いが止まらないアキラ
やがてお互いストックは1。しかしダメージで圧倒的に優位に立ちながらの殴り合いに敗色など皆無
しかし崖際でのちょっとした攻防のさなかで、足を滑らせて崖から落ちる少年

『PKサンダー!ウワァー!』

すかさず復帰しようと必殺技を飛ばすも、なんと射出する方向をミス
真横に吹っ飛び崖に叩きつけられ、チカチカと点滅しながら笑顔で落ちてゆく。哀愁漂う散り際である

『GAME!』

「あ……嘘でしょ」

激しいスパークの演出と共に勝敗は決した。なんと余裕をぶっこいていたアキラが負けたのだ
波動を使う青い犬っぽい持ちキャラを使えば多少はいつも通りに動けたのかもしれないが、それは言い訳に過ぎない
くっと悔しそうな声を上げながらコントローラーを力強く置く。……そこがすずめの膝の上であるという事実を忘れて
575小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/09/10(火)19:28:32 ID:QVA [1/2回]
>>574
ホームシックになるくせにだとか、原作では使えないPSIばかりだとか。
使用キャラに強く当たっても仕方がないというのに、対戦中の彼女は喧しいことこの上ない。
それでも残機上では互角に持ち込めたのは偏に執念によるもの、娯楽と本気は時に両立するのだ。
最後の撃墜が自機ではなかったのも、その並々ならぬ思い入れが手繰り寄せた結果なのかもしれなかった。

「……空中制動ってあんなんだっけ。勝手にころがるし……ナニアレ……ナニアレ……」

勝利のファンファーレが高らかに鳴り響いているというのに、自省に勤しんでいるのは今後の再戦を視野に入れているからだろう。
けれど相手のミスが要因とはいえ勝利は勝利、ご褒美だってこれ見よがしにぶら下がっているのだから立ち直るのは早い。
膝に乗せられたコントローラーを握る手に、掌を重ねて指の一本一本を丁寧に解く。自由になったそれを自分のものとまとめて冷たいソファーの上に放った。

「あーあ、負けちゃったね?んっふふ、どうしてくれようかなっ!」

上目遣いで見上げる黒曜はひどく愉しげで、嗜虐の悦びさえ映し出しているかのよう。
焦らして反応を楽しまんとする言葉の選び方、もったいつけるように凪いでいたビールを傾けた。
じっくりとお願いを考えるためのポーズだろうか。否、相違なくそれ自体がれっきとした目的を持つ行為だ。
のそと、体の向きを変える。アキラの膝を太腿で挟んで、臍と臍が向かい合う体位。

「――ん」

口腔内に液体を含んだまま。片手はアキラの肩、もう片方は頭の横の背もたれに預けて。
笑んだ顔を寄せる意図は明白、今日限りの飲食に関するルールをより直接的な方法で熟そうというのだ。
恥ずかしげもなく目を細めて観察しているのは、アキラがどんな反応を見せようと、きっと彼女は楽しめてしまうからなのだろう。
576仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/09/10(火)22:43:48 ID:Tch [2/2回]
>>575
「あーあ、あたしが勝ったらエスセン洗わせるつもりだったんだけ――」
「え、待ってよ……アンタ何して」

どうやらアキラの考えた罰ゲームはすずめに愛車をピカピカに磨き上げて貰う事だったらしい
残暑が照りつけるこの季節はまだ洗車をするには億劫な時期でもある。そんな中で共に愛車を洗ってくれる人がいれば心強かったが

結局暫くは自分一人で汗を流して愛車を綺麗にしてあげる必要があるようだ、などと思っていた矢先の事
すずめの細指がコントローラーを奪って投げ、ふたつの瑠璃色がその方向を向くのは必至
続けざまに戻された真意を探るかのような瞳が、その細められた黒曜を目にして露骨にひそめられる

「くッ…………、~~~~~……!」
「このぉッ……変態ヤロー……」

急かすように投げかけられた鼻声が、アキラの理解の及ぶ所まですずめの思惑を露出させたのだった
それを理解するや否や、アキラはぐっと歯を食いしばって顔を桜のように赤く染めるであろう
すずめと同じように細められた瞳は、しかし明らかに羞恥と困惑の色を覗かせて明らかに違う形を見せる
しかし覚悟を決めたように大きく息を吐けば、自ら噛み付くように唇を重ねて。そのまま琥珀の美酒を口から口へと移しを始めるだろう

つとめて真面目に酒を口へと運ぶことだけを考えているその舌遣いだが、邪念を払うかのように足元には力が込められて
内股を這うすずめのそこへは、強く強くアキラの太ももが食らいつくように挟み込んでいた
577小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/09/10(火)23:48:26 ID:QVA [2/2回]
>>576
辛抱強く、けれど急かすこともなく。鮮やかに色づく頬を愛おしげに眺めるばかり。
勢いのない罵倒すら羞恥の裏返しと受け止めて、ますます覆い被さる笑みを深くする始末。
しかし腹をくくって口唇と口唇が触れ合った時、受容に覚えた純然たる喜びを宿したのもまた事実。

「ふあ――――」

無言、水音。時計の秒針がいやに響く。
一気に流し込むなんて野暮はしない。乾ききった砂原に染み渡らせるように少しずつ、この一瞬を極限まで引き伸ばすがために。
慣れた、それでいて丁寧な舌遣いであった。酒の味をスムーズに運ぶ、けれど断じて押し入りはしない。
最後の一滴を移し終えれば、余韻とばかりに唇を啄ばんでようやく顔を遠ざけた。

「――ぷはっ」
「誰が変態だって?アキラちゃんだってノリノリだったクセに」

名残る銀の橋がふつと切れて、汚れた顎を手の甲で拭う。まだ余裕綽々といった態度だった。
顔が先よりもずっと赤らんでいるのはアルコールのせいだけではないだろう、潤んだ瞳が悪戯っぽく見上げて瞬く。
よくよく伝わる足に加わった力を揶揄うように、腿で擦れば過剰な摩擦熱を錯覚した。

「コレ、ズルいよ。ムラっとしちゃうじゃん」
「…………うん、シよ!」

あまりに単刀直入な、堂々とした誘い。
けれどその行為が背徳の極地に位置するくらいは彼女とて理解している、体を支えるために重ねた手が不安げにアキラの手を握った。
578仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/09/11(水)00:24:13 ID:Rpy [1/2回]
>>577
「ん、はァッ…………、ホント馬鹿じゃないの……」

ほろ苦い甘露。そんな矛盾を孕んだ雫が唇同士を伝って流れ込んでくる
初めは素っ気なく潜んでいたアキラの情も、最後には唇で唇を優しく食むようにして露呈していた

最中にも徐々に荒くなってゆく鼻息は、糸引く架け橋が耐えてもなおその唇から風音となって漏れる
桜を通り越して椿色。白い肌に明るい血色が頬紅のように差して、耳まで染めゆく
そんな顔色を隠すように、酒と唾液の入り混じったモノを拭く腕は顔の前から離れないまま

「……んなッ……誰がッ!!」
「別にっ……そんな、ノリノリなんかじゃ……!」

しかし終いには最愛の人の手によって剥がれ、両手は指を組むように繋がれてソファへと押し付けられていた
その最中にもささやかな抵抗は続くも、それはきっと言葉だけのものだ。刺青も発露しなければ力づくで振り払う事も無い
心臓は跳ね上がり脈打つ音が伝わりそうな程に緊張していた。もしもこの音を聴かれたら……そう考えるだけで胸が張り裂けそうになる

「………………………………ん」

そしてその心音は、余りにも含みを持たせない情事の誘いによって最高潮まで達したようで
驚きにやや反り返った背中、張り出された胸からバクバクと心音が聞こえるのは当然のことだ
そのようなノイズが場を支配する中、返事として放たれたのはたったの一音。長い長い沈黙の後の、承諾の言葉であった

「……愛してるって、言って」

直後に続く強請るような言葉もまた、顔を逸らしながらぶっきらぼうに放たれて
きっと真っ赤に染まりきった顔を見られないためのものだろうということは、誰の目にも明らかだった
579小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/09/11(水)01:13:24 ID:Zy6 [1/2回]
>>578
返事を待つ静寂の間、レンガ壁に満ちる心臓の脈動は最早どちらとも区別がつかない。
羞恥、緊張、高揚、期待、辛抱。万色の情動が凝縮された生の律動が重なって、強く押し殺した浅い吐息を彩る。
死の螺旋を刻むそれを惜しいと思う反面、同一を錯覚させる心地が愛おしくてたまらないのもまた事実で。

「…………ホント?いいの?」

ごく珍しく、恐々とした確認。
夜露に濡れた月見草の綻ぶが如く、ゆるゆると破顔したのはそれから数瞬後のこと。
ぎゅうと力が入る絡めた指、擦れ合う素肌から伝わる体温はいやに高い。酒気に染められた肌は今や顔だけでなく、晒す四肢さえ火照らせていた。
顔を背けられてもその理由を察するのは易い、こちらを向いた耳がその顔色を教えてくれるのだから。
すっかり赤いそこに唇を寄せる。秘め事めいた低い囁きで鼓膜を刺激してやるために。

「――愛してるよ、殺しちゃいたいくらい」

置き土産に耳朶を唇だけで弱く食むのもほんの刹那、繋いだ手をぐいと引いてソファーに押し倒そうと。
最中にコントローラーを床に上手く弾いて、身を委ねてしまったのならば後は容易く組み敷かれてしまうだろう。
邪魔な前髪をかき上げながら、妖しく笑んだ相貌を窓から覗いた月光が飾った。

「今夜は寝かせないから、覚悟しなよ?」

ようやく本来の意味で使われた言葉が断じて誇張ではないことを、アキラは身を以て知ることになるはずだ。
悦楽を慈しみ、行動原理の根幹に据える彼女が情欲に疎いだなんてあるわけもなく。
熟達の手管はきっとそれこそ、都会の朝告鳥が夜明けを歌うまで続くのだ。
580仁和寺アキラ◆</b></b>Rwp9V87wZ.<b>[] 投稿日:19/09/11(水)20:58:02 ID:Rpy [2/2回]
>>579
「…………は、ハハハ……」

照れという感情から程遠い人生だった。容姿以外の事を褒められる事などそうそうなかったから
だから好きという感情を正面から受け止める気概も無く、十七まで歳を重ねてしまっていた日の愛の言葉は
それだけで蕩けるように熱く、全力で走った後のように鼓膜が脈打ち、そこ自体が音を発するような感覚に陥らせていた

「……退屈なんかさせたら、寝てやるから」
「一回誘ったんなら、足腰立たなくなるまで……"殺し"尽くしてよね」

乾いた笑いに続く強がり、照れ隠し。それは言葉通りの羞恥と動揺を隠すための実体なき仮面にすぎない

肉体的な性交渉。身体を重ねる事はさほど難しい事では無い
しかし心から愛する人と一生を添い遂げることはもっとずっと難しく、一生をかけてさえ叶わないことだってある
アキラにとっては人生ではじめての相思相愛の一夜。それを一生を通じて忘れ難いものにしたいがために

余裕ぶった言葉は、すずめを駆り立てるために投げ掛けられるのだ
この余裕の仮面を剥ぎ取ってみせろと言わんばかりに

「アタシも愛してるよ、この命が燃え尽きても」

近く燃え尽きる命だと言われた。けれどその先行きなど感じさせない程にアキラは活き活きとして
はだけたシャツの合間から覗く皮膚や肉付きも、生きる気力と活量をこれまでに無いほど滾らせて

アキラの心臓を動かし、息吹を繰り返させる原動力、生命力
あの時発露した輝けるイバラと同じ光が、爛と瞳孔の奥で閃いていた

//それではこれにて〆でお願いします、連日付き合って下さりありがとうございました!
581 : 小鳥居 すずめ◆</b></b>LlFsi2oBtE<b>[] 投稿日:19/09/11(水)21:14:00 ID:Zy6 [2/2回]
>>580
//こちらこそお付き合いありがとうございました
//楽しかったです、お疲れ様でした
582 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:19/11/06(水)10:21:04 ID:ImR [1/1回]
もうこのスレをやらないのはなんでだぜ?
583 : 小町百呑◆</b></b>KxwiMtIIPk<b>[] 投稿日:19/11/06(水)19:42:07 ID:K2f [1/1回]
とある昼下がり

「う~んと…あんまり美味しくないかなぁ……ごめんなさい!」

それでも暗い路地裏にて響くのは湿り気を伴った咀嚼音と一人の少女の声、時折硬い何かが砕ける音が挟まれる。

「もっと運動して筋肉つけてぇ…それから変な香水はあんまり使わない方が良いかな~」

彼女の手は無数の牙が生えた口へ変化している、咀嚼音の元はそれらしい、そして咀嚼しているものこそ先程まで人間だったものだ。

「ほいっ、ご馳走さまっ、次はもっと美味しくなって生まれて来ますように!」

どうやら食べ終えたらしくその場には束になった髪の毛や血溜まりが残るのみとなっている。
どう見ても異常なその場所に果たして何者かが現れる事はあるのだろうか。


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