ログ速トップ
1 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:19/08/20(火)12:36:22 ID:ieg [1/1回]

 ――――絶望のサイレンが鳴り響く……



《2017年、オカルト系の掲示板にある書き込みが投稿された》

 皆さんは、2003年の土石流災害を覚えているだろうか?
 そこで多くの人命を奪い一つの村が消えたことも。
 これからここに書くのは、その消えた村に関することだ。

 三方を山に囲まれた関東の某所に存在した集落・羽生蛇村。
 数々の天変地異に見回れた歴史を持つ閉鎖的なこの村では、独自の文化・信仰が育まれていたという。
 そうした場所の話を外の人間が耳にすれば、各々に様々な想像を膨らませるに違いない。

 ……実は財宝が隠されている、未確認生物が生息している、さらに村人たちは怪しげな土着信仰を信奉し神に生贄を差し出す秘祭を行っていたと。
 実際羽生蛇村はそうした噂がされていたが、それも噂に過ぎない。あれから14年後の現在、真相は確かめるすべもないのだ。
 
 しかし私は羽生蛇村の生存者という人物に接触した。

 あの日の数少ない生存者の一人であったその人物は、あの村で起こったという悍ましい真実を私に語ってくれた。
 精神に異常をきたして妄想にとりつかれてしまった人物の語る言葉ではあった為、内容は俄には信じがたく実際にあったかどうなのか定かではない。


 それでも伝えられるというのなら伝えたい。特に理由はないが、伝えなければならない、そんな気がしたのだ。


過去スレ:【羽生蛇村】SIRENの世界で…【ロールスレ】
https://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1501980989/l50
2 : 名無しさん@おーぷん[sage] 投稿日:19/08/21(水)14:55:12 ID:ku1 [1/1回]
新規参加申出やキャラクター作成、ストーリー進行に関してなど、諸々が相談できる場所です。
名無し(キャラクター無し)の方であれば参加申出無しでも本編にいつでも書き込みが可能です。

現雑談所
https://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1566261191/

過去雑談所
https://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1501928533/
3 : 夜沢 慶都◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:19/08/22(木)11:17:06 ID:fVN [1/3回]
【初日/0時50分05秒】
【折部/羽生蛇折部分校/職員室】


 静まり返った小学校の職員室。聞こえてくるのは窓やグラウンドに打ち付ける雨音だけだ。

「取りあえず今度は有沢君の家に電話してみよう。もしかしたら家に戻っているかもしれない」
「うん…」

 夜沢はデスクの上の電話の受話器を取り番号を入力した。

「…つながらない」

 プルルルルルという音が何度か一定間隔で鳴るが、なかなか出て来ない。家の人もいないようだ。時間も時間だが、あの様な地震や警報音で起きない人間はそうそういないだろう。
 もしかしたら、今頃家族で避難しているという可能性もあるが。

「あいつ本当に大丈夫なのかな…ヤバいおじさんに追いかけられていたし」

 つながらない電話を仕方なく置くと、石川は泣きそうな声で呟いた。不審者に追いかけられたのだから無理もない。
 石川は深夜に肝試しをしようという誘いにのり他複数人と共に眞魚岩付近へと行ったメンバーの一人だ。そこで謎の儀式を目撃した石川達であったが、途中で男に追いかけられ散り散りになってしまったのである。
 その後メンバーは見つかったのだが、石川の友人の有沢 玲が見つからないままになっている。
 大きな地震など災害があれば学校に避難するようにと言われてきた石川達は取り敢えず小学校へと向かったわけだ。その道中で、夜沢に出会い今に至る。

「家の人も不在みたいで、地震もあったから有沢君とこの学校に向かってる可能性もあると思う」
「…ねえ!」

 突然石川が窓の外を指差しながら夜沢を呼んだ。なんだろうと思い彼に従いそばによると、確かに闇夜に混じって人影が見える。

「……あれは」
4 : 夜沢 慶都◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:19/08/22(木)16:11:20 ID:fVN [2/3回]
【折部/羽生蛇折部分校/職員室】


 果たして此方に向かってくる人影の正体は誰なのか。夜沢も石川も、目を凝らしその姿を見ようとする。
 徐々に夜沢の表情が険しいものへと変わっていくと、彼は石川に対し他のメンバーが待機する体育館に向かうよう指示した。

「どうしたの?」

 夜沢の突然の指示の様子から不安に思った石川は、眉間にしわを寄せてワケを尋ねた。

「理由は後だ。とにかく体育館に入ったら戸締まりをして…」
「ぅわぁ!?」
「……」

 石川が窓の外に目を向けたとき悲鳴を上げた。それを聞いた夜沢は、もう此方に気付いてしまったかと内心で思いながら呆然とする石川の手を取って職員室から急いで出た。
 職員室から出て斜め左側に体育館入り口があり、二人はそこに飛び込むように入っていく。それと同時期に職員室方面から窓の割れる音が響いた。

「中に入ってきたよ! どうしよう……!」
「大丈夫、見つからないようにしておくんだ。皆で隠れよう」
「ねえ、あれ何なの!?」
「ゾンビ……みたいなものだよ……。詳しいことは後で説明する」

 二人が職員室の窓から見たのは、この世のものならざる存在であった。その姿や特徴から、ゾンビと例えるのが相応しいだろう。
 そう思った夜沢は簡単に説明するなり、待機していた子ども達を連れて舞台下の倉庫に一旦隠れることにした。
5 : 夜沢 慶都◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:19/08/22(木)21:58:18 ID:fVN [3/3回]
【折部/羽生蛇折部分校/体育館】


 懐中電灯の明かりを複数人で取り囲み、子ども達は夜沢の話に真剣な面持ちで聞いていた。

「――――赤い水はくれぐれも用心してほしい」
「あの男は、赤い水で……?」
「…その慣れの果てだ。赤い水は傷を回復してくれるが、代償は大きい……。暗くて気付きにくかっただろうけれど降っていた雨も赤かった筈だ」

 それを聞いた子ども達の顔は青ざめた。何せあの地震が来てから降り出した雨には確実に晒されている記憶がある。
 シャツに染み付いた赤い染みを見ながら、彼らはどうしようと口々に不安を零す。

「すぐにあちら側になることはない。けれど、なるべく血を流すことは避け、赤い水に接触することは避ける。自分で出来ることといえばそういうところだろう」

 そう答えると、夜沢は懐中電灯を持って隠れている場所からそっと出た。

「どこに行くの?」
「脱出ルートの確保だ。ずっとここに留まるわけにもいかない…あれらの巣窟になるのも時間の問題だ。まだ今のうちなら――――」

 徐に拳銃を取り出すと、夜沢はそのロックを解除した。怪異に巻き込まれてから駐在所で拝借したものである。

「そこで隠れていてほしい。なるべくすぐ戻る」


【終了条件:脱出ルートを見つける】
6 : 夜沢 慶都◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:19/08/23(金)21:58:13 ID:U2T [1/1回]
【折部/羽生蛇折部分校/体育館】


 《ガチャガチャ》

「外に何か引っかかっているようだ…」

 体育館二階の出入り口の前に来ていたが、そこの内鍵を開けて外を確認しようとするも外側に何かがあるのか開けることが出来なかった。
 あの人数の子ども全員を脱出させるには、校舎側は動きづらく発見もされやすいため脱出するにしてもこの出入り口が最適である訳だが、一旦外にある何かをどける必要があるようだ。

「仕方がない」

 夜沢は再び体育館の一階まで降りると目をつぶり幻視をはじめた。いったい周囲に屍人がどれぐらいおり、何処にいるのかを把握するためでもある。

「……中にはあの一体、外には三体か……」

 どうやら建物内にはまだ一体しかいないようで外に出るのは簡単そうだ。問題は外。体育館二階に続く階段に近付くには三体の屍人の目をかいくぐらなければならない。
 武器はあるとはいえ弾数は限られており、無駄に戦闘するようなことは夜沢自身避けたいところではあった。
7 : 夜沢 慶都◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:19/08/24(土)15:21:40 ID:cIP [1/2回]
【折部/羽生蛇折部分校/体育館裏】


 幻視を利用しようやく体育館の裏まで回ったが、此処は屍人の目が多く、なかなか思うようにはいきそうもない状態であった。

「何か方法は…」

 兎小屋の影に隠れながら様子を窺う夜沢の視線の先には、ドアの前にドラム缶が置かれていた。あれを退けるにしても、屍人が集まっていてはどうにもならない。仮に倒したとしてもすぐに復活してくるのだから、全員を別の場所へ誘導することが賢明だ。
8 : 夜沢 慶都◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:19/08/24(土)15:58:00 ID:cIP [2/2回]
【折部/羽生蛇折部分校/廊下】


 不意にあることを思い出し、再び校舎内に戻った。誘導を思いついたのである。
 廊下には幾つもの非常ベルが並んでおり、それらを鳴らせば外にいる屍人の行動パターンに変化を与えられると踏んだのだ。

 《ジリリリリリリリリリリ……!!》

 大きな音を立ててベルが鳴りだし、最初に職員室で割れた窓に板を取り付けていた屍人が現れた。
 その間教室の中に隠れていた夜沢はそっと脱け出して、体育館裏へと向かう。その頃には体育館裏にいた屍人も警報音に気付き校舎側へ歩き始めていた。

「……」

 辺りを気にしながら階段をのぼりドラム缶をずらそうと手をかける。

「く……うっ」

 中には何が溜まっているのか。ずっしりとした重さで動かすのに苦労したが辛うじてドアを開けるだけのスペースは確保できた。

「……これでよし」

 小さくため息をつくと、突如ドラム缶から大きな音が響き肩をビクッと跳ね上がらせる。誰かが内部からドラム缶の壁を叩くような音だ。
 不思議に思いその蓋に手を伸ばすと「助けて」という微かに少女の声が聞こえてきた。やはり人が入っていたのかと蓋を取ると、その中には赤い水が張られていた。子どもの姿は見えない。

「あれ……?」


(アーカイブ『折部分校七不思議 赤いドラム缶』を入手しました)
9 : 夜沢 慶都◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:19/08/29(木)18:13:40 ID:luL [1/1回]
【折部/羽生蛇村折部分校/体育館】


 再び体育館内部へと入り舞台下の扉を開ける。途端、隠れていた子ども達の小さな悲鳴が起こったが夜沢の顔を見て皆胸を撫で下ろした。

「…良かった……夜沢さんか…」
「びっくりした…」

 不満を零す子ども達を後目に、手招くようなジェスチャーをする。

「…今のうちだ。早く出よう」
「うん」

 子ども達全員が中から出てくると、夜沢は彼らを連れて体育館二階へとのぼった。体育館の二階へは梯子でしかいけないため、暗い中を懐中電灯の灯りを頼って夜沢を先頭に一人ずつ慎重にのぼっていく。

「……よいしょっ、と」

 最後の一人がのぼりおわると、早足で体育館裏へと続くドアへと向かった。先程ドラム缶を退かした場所だ。
 だがドアを開けると、なぜかあったはずのドラム缶が消えており、夜沢は首を傾げる。

「ドラム缶がない……」

 そう呟くと石川が口を開いた。

「もしかして赤いドラム缶じゃ? 七不思議の。俺も見たんだ。女の子の声が聞こえてきた。そのドラム缶は現れたり消えたりするんだよ」
「じゃあ私が見たのもそれかもしれないね……」

 何か引っかかるものがあったのか、遠くを見つめるような目で、夜沢は少し考え込むような素振りをした。

「どうかした?」
「いや、何でもない。とにかく急ごう」

 子ども達の一人に声をかけられ我に返ると、夜沢は彼らと共に学校を後にした。


【終了条件達成】
10 : 里村 麗子◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:19/08/31(土)11:22:55 ID:4mv [1/1回]
【初日/1時30分11秒】
【刈割/棚田】


 道中、知り合ったフランス人青年シエルとはぐれてしまい里村はまた一人となった。まだ夜が明ける時間は遥か先。屍人が徘徊する中を神経を尖らせて進むのは些か疲労感を覚える。流石の里村も休む場所を欲していた。
 そんな中しばらく草木に挟まれた舗装されていない夜道を歩いていると、開けた場所が目に映る。

「あれって…」

 耕作放棄はされているもののあの形は棚田だ。自然の地形に沿って作られたような歪な棚田には、作物の代わりに幾つもの卒塔婆のようなものが立ち並んでいる。そして下には赤い水が。

「うぅ……水が皆赤いなんて。気持ち悪いわね……土の色でも無さそうだし、凄く真っ赤。それにしても、ここは田んぼを改造した墓地か何かかしら?」

 棚田に立つ卒塔婆に近付き呟く。その時にふと顔をあげると灯りが見えた。正確には火である。周りに人の気配はないが何かを先程まで燃やしていたのだろう。
11 : 里村 麗子◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:19/09/03(火)21:47:45 ID:HWB [1/1回]
【刈割/棚田】


 里村は焚き火に歩み寄ると何を燃やしているのかを確認した。

「…写真?」

 殆ど焼けてしまっているが若い男性の写真のようで、背後には洋風の建物が見える。日付はわからないものの古いもののようだ。

(アーカイヴ『先代求導師の写真』が追加された)

「写真を燃やすなんてあまり普通じゃないけど……心霊写真かしら?」

 だいぶ燃えてしまっている以上心霊写真であるかどうかは判別はつかないが、少なくとも写真を燃やすという行為は里村の知る範囲、常識ではあまり考えられないことだ。
12 : 里村 麗子◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:19/09/05(木)17:21:18 ID:cGd [1/1回]
【刈割/棚田/鉄扉前】


「ここ鍵掛かってるじゃない…」

 焚き火のすぐ近くに赤い鉄の門があり、先へと進もうとした里村の前に障害物となってそこにあるのは門にかかる南京錠だ。

「まあ古くはなっているし衝撃を加えれば壊せそうといえば壊せそうだけど」

 片手が握る鉄パイプを見やり力業で突破できないかふと考えるものの、周りには屍人が数体徘徊しており派手に金属音を鳴らせば見つかってしまう。しかも猟銃を持っているものが近くにはいるようなのだ。
13 : 里村 麗子◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:19/09/06(金)23:30:15 ID:sC3 [1/1回]
【刈割/棚田/鉄扉前】


 猟銃を所持する屍人がいるというのは里村も流石に背筋に悪寒は走ったが、幻視をしたとしても刈割の地形に全く以て無知な彼女はそもそもその屍人がどこにいるのか見当がつかない。
 敵が何処にいるのかわからないという恐怖が里村を襲う。

「此処は諦めるしか無いのかな…。また別のルートがあるかもしれないし」

 無謀に此方の所在を教えるより、時間はかかっても他の道を探っていく方がマシだろうと里村は踵を返した。

「ハァ…お腹空いたな……温かいお風呂にも入りたいし……もう最悪」
14 : 里村 麗子◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:19/09/08(日)11:10:14 ID:YoU [1/1回]
【刈割/棚田/小屋】


 鉄扉から離れて、別の道へ進んでいくと農具などが置かれた小屋が目に入った。

「ひとまず風雨は凌げそうね…」

 明るくなるまで小屋で待つことをかんがえ、里村はその中へ足を踏み入れた。疲労感も相当なものであったため、それ以上体力や神経を使うわけにもいかない。

「うん、スペースもありそうだし此処でいいか」

 溜め息をつきながら小屋の奥で座り込むと見つからないように影を作り壁にもたれ掛かる。そして漸くといったように目をつぶり眠りについた。
15 : 有沢 玲◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:19/09/08(日)20:12:33 ID:k9L [1/1回]
【初日/2時19分56秒】
【比良境/旧病院】


 霧が立ち込める中、巨大な建造物の影が現れ有沢少年は立ち止まった。

「なんだ……この建物?」

 さらに近付いてみるとそれは鉄筋コンクリート製の建物。真っ暗でこの雰囲気からすると誰もいないように見える。廃墟なのだろうか。

「この村にこんな建物あったか? 病院に見えるけれど、なんか俺の知ってるのとは違う……」

 不審に思いつつ門へと近づく有沢。鉄筋コンクリートの建物はこの村には病院くらいだが、有沢の知る病院はもっと新しい感じのものであった。
 ならば、この古びた廃墟のような建物はいったい何であるのか、彼は得体の知れない不安を覚えた。

「き…きみわりいな……」

 懐中電灯を握る手は震えていた。だがこのまま此処にいても屍人に見つかるよりはマシだと、少なくとも隠れることが出来、休めそうな部屋がありそうな目の前の病院に侵入する覚悟を決める。


【終了条件:『病院』に侵入する】
16 : 有沢 玲◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:19/09/12(木)09:06:12 ID:I8E [1/1回]
【比良境/旧病院】


 正面の門をよじ登り、玲は病院の敷地内へと侵入した。不気味なほど静かで、辺りに人のいる気配はない。

「閉まってるな…」

 正面玄関は施錠されている。さらに板で封鎖されており中の様子を窺い知ることは出来なかった。

「ダメか……」

 諦めて別の入り口を探そうと、彼は病院の裏へ向かった。
17 : 有沢 玲◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:19/09/16(月)16:41:42 ID:gok [1/1回]
【比良境/旧病院】


 病院の裏に回ってみると、建物と建物の間に僅かに隙間がある場所を有沢は見つけた。上空からみると中庭を囲むようにロの字型に建てられている病院で、その隙間はその中央の中庭へと続いているようである。

「行ってみるか」

 幅は平均的な子どもならば通れるほどの小さいもので、標準的な10歳の彼も当然通り抜けられる。

「…よいしょっと」

 やや背の高い雑草を跨いでいきつつ、塵などで汚れた壁に手をつきながら進む有沢。だが突然、彼の顔面に大きな蜘蛛の巣がくっついてしまい彼は半ばパニック状態になってそれを振り払った。

「ぅわぁ! お、脅かすなよ全く!」

 壁を這う巨大な蜘蛛を横目に、有沢は進んでいった。


(アーカイブ『羽生蛇蜘蛛』が追加された)
18 : 有沢 玲◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:19/09/27(金)12:42:53 ID:F8N [1/1回]
【比良境/旧病院/中庭】


 高いコンクリートに囲まれた中庭は夜の闇よりも一段と暗く見えたことだろう。いったい何処に何があるのかライト無しでは絶対にわからない。

「暗いな…」

 地面を足で探るように進んでいく有沢は、いつ化け物が現れるかといった不安で震えていた。静かではあるが、何か気配がするようなしないような不気味な感覚である。
19 : 有沢 玲◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:19/10/02(水)18:28:44 ID:hO9 [1/1回]
【比良境/旧病院/中庭】


「あれ…?」

 真っ暗闇に灯る光はこれほどまでに目立つのか。有沢の視界に懐中電灯と思しき光が入った。誰かがいるのかと思いそちらに顔を向けると病院の四階の窓にぼんやりと人影が映る。

「人…?」

 人であるのか、化け物であるのか。どちらであるのかを確かめようと有沢は窓の人影に目を凝らした。彼の視線の先にいるその人物はしばらく廊下を歩いていたが徐に立ち止まり、そっと窓を開けていく。
20 : 有沢 玲◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:19/10/07(月)09:02:38 ID:4Hl [1/1回]
【比良境/旧病院/中庭】


 窓を開けた人物の輪郭が見え、その顔立ちも明らかになる。その格好からするとこの病院の看護師であろうか、白い服にナースキャップを身に着けている。奴らのものではない血の通った白い肌が彼女にはあった。

「生きている人間だ…!」

 有沢は久々に生きている人間に出会ったかのような喜びに包まれこの様な状況でも笑顔が零れた。声をかけたくなったが周りに屍人がいないとも限らない。衝動を抑えて彼は院内に入れそうな場所がないか辺りを観察した。
21 : 有沢 玲◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:19/10/09(水)09:03:38 ID:mUL [1/1回]
【比良境/旧病院/中庭】


 中庭の暗闇にも慣れてきたのだろう。先程よりかはぼんやりと景色をみることができた。
 錆び付いたドアが幾つか目に入り開けようとするも鍵が掛かっており入れない。窓も板が打ち付けられ割ったとしても平均的な小学生の力だけで外すのは難しいだろう。
 そしてその音で屍人が此方に気づかないとも言えない。

「あれは…?」

 錆び付いた小さなドアが目に入り、玲は何だろうとそれに近付いた。取っ手を掴んで引いてみるとそれは開いた。

「焼却炉ってやつか」
22 : 有沢 玲◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:19/10/14(月)16:58:14 ID:s0d [1/1回]
【比良境/旧病院/中庭】


 現在ではダイオキシンの発生などで使用されていないものの玲の通う羽生蛇折部分校にも焼却炉がある。構造を思い出せばそれが上の階のダストシュートに繋がっていることは分かるだろう。

「此処をのぼっていけば入れそうだな」

 小柄な体躯を活かして焼却炉の中へと入っていくと、左右の壁にそれぞれ手を当ててその後足をかけて登りはじめた。
23 : 有沢 玲◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:19/10/17(木)16:21:02 ID:sLh [1/1回]
【比良境/旧病院/二階廊下】


 しんと静まり返った廊下。
 そこに唐突に錆びた鉄の擦れる音が響いたかと思えば、ダストシュートが内側から開きひょっこりと顔を出す玲の姿があった。
 煤で汚れた身体を払いながら、頭から少しずつ体を出していき廊下に前転して転げ落ちる。

「いってー。それに汚ねぇ!」

 髪の毛に絡まった誇りを取り除きながら愚痴をこぼし辺りをキョロキョロ見回す。全く人の気配がない。

「確か四階にあの看護師さんがいたよな…」

 生存者と思しき女性の姿を思い浮かべながら腰を上げ階段かエレベーターがないか探し始めた。
24 : 有沢 玲◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:19/10/21(月)15:16:14 ID:Peo [1/1回]
【比良境/旧病院/廊下】


 廊下を少し歩いていると壁に地図が描かれたボードがかけられていることに気がつく。現在地も地図上にある。

「これで階段の場所が分かるな」

 ロの字型の病院内には四隅にそれぞれ階段が設置されているようで、向かい側の病棟の待合室付近にはエレベーターもあるようだ。

「で、看護師さんがいたあたりは位置的にはここあたりか…」

 丁度向かい側病棟の四階の位置に指をおきながら現在地と見比べる。

「よし行くか」


【終了条件達成】
25 : 有沢 玲◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:19/10/28(月)09:00:29 ID:IbB [1/1回]
【比良境/旧病院/廊下】


 板が打ち付けられた暗い廊下を懐中電灯のあかりをたよりに進んでいくと、少し開けた場所に入った。薬局や受付と表記されたカウンターに椅子が幾つか置いてある。

「二階待合室か……」

 確か地図によれば此処にエレベーターがあったはずだ。もちろん階段はあったもののそのどれもが封鎖されているか屍人が徘徊しているために通ることがかなわなかったのである。
26 : 有沢 玲◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:19/11/09(土)09:43:41 ID:RiS [1/1回]
【比良境/旧病院/二階待合室】


「もしかしてアレか?」

 受付の隣にひっそりと両扉開閉式と思しき扉が一つあった。上と下のボタンもあることからそれがエレベーターであることに気付くと早速近付いていくが…

「ぅわ、電気が通ってないじゃん」

 エレベーターは諦めるしか無いのだろうか。じゃああの屍人が徘徊する危険な階段を利用するしか無いのだろうか。
 更なる壁を前に玲は悩んだ。
27 : 有沢 玲◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:19/11/15(金)21:30:16 ID:TR1 [1/1回]
【比良境/旧病院/二階待合室】


「こういう電気が通ってない状況はゲームだとブレイカーあげたりするものだよな。そういえば」

 ふと昔やったことのあるゲームを思い出し、玲はエレベーター前から離れるなり受付の事務所の中へと入っていった。

「…あった。これだ」

 幾つもの鍵の中から電力制御室の鍵を見つけだすと、それをポケットの中にしまう。

「で、場所はいったい何処なんだ?」
28 : 有沢 玲◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:19/11/25(月)12:41:07 ID:RyD [1/1回]
【比良境/旧病院/二階待合室】

 鍵が手に入っても場所が分からなければ意味がない。病院を探索するにせよそれはかなり危険なことだ。

「地図があってもおかしくないはずだよな」

 受付内に病院の地図があるという可能性は大いにあり得る。あまり片付いているとは言えないが探せば見つかると思っていた。

「ん?これって…」

 その時ある一冊のノートに手が止まった。子どもが書いたと思しき歪な文字で絵日記とある。どうやら、ここに入院していた子どもの落とし物のようだ。
29 : 有沢 玲◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:19/12/08(日)09:42:25 ID:EXV [1/1回]
【比良境/旧病院/二階待合室】
【終了条件:旧病院四階に辿り着く】

 気になってページを開いてみると、内容はいたって普通の絵日記だ。友達がお見舞にきてくれたこと、看護師とお喋りしたこと、デザートに大好きなプリンが出て来たことなどが綴られている。
 今自身が置かれている状況と違い、この絵日記の持ち主はなんと平和なところにいるのだろうかと玲は思いつつページを読み進める。

 そして途中から、持ち主に友人が出来たことが書かれるようになった。友人は看護師らしい。
 その看護師とも遊んでいるようであったが、その人から聞いた“地下室の隠された部屋”の話が何とも不可解なものであった。
 そこは地下の電力制御室の近くに現れる部屋らしいのだが、持ち主と看護師がそこに何度か足を踏み入れようとしている記述があり、持ち主は「怖い」と感想を書いている。
 だが何度も訪れようとしている事実が何とも奇妙なもののように思えた。何故怖いと思う場所に行こうとするのか不思議であったのだ。


(アーカイヴ「絵日記」が追加された)
30 : 有沢 玲◆</b></b>uTtdYomZuE<b>[sage] 投稿日:20/01/02(木)13:26:41 ID:PzF [1/1回]
【比良境/旧病院/二階待合室】
【小目標:地下の電力制御室に向かう】

「なんかよくわからない日記だけど、地下に電力制御室があるみたいだな」

 少々気味の悪さを覚える日記ではあったものの探している電力制御室が地下にあることを知り、鍵を握り締め事務室を後にした。
 また何らかのヒントになるのではと途中まで読み進めた日記をとじて片手で抱える。


おすすめスレッド

PR

みんなが見ているスレッド

PR

スポンサードリンク