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1 : ◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/15(日)11:00:44 ID:3RH [1/7回]

妖魔が来たりて風が吹く。
侍の下駄は地を叩く。
東の再果て日出ずる島、侍とあやかしが住まうその国の名は倭(やまと)。
今日ここに至った貴方は何者か、異国からの来訪者?人に紛れたあやかし者?或いは魔を斬る侍か。
どなた様でもおいでませ、倭の都、『丁』の町は、全てを受け入れる坩堝でございます故に。

【倭(やまと)】
世界の東にある妖魔と侍が済む奇怪な国。
『将軍』と呼ばれる君主が国を治めている。

【妖魔】
倭の国に太古から根付いている、『あやかし』とも呼ばれる不思議な生き物。
人に化ける者、人からかけ離れた姿の者、人と親しくする者、人を嫌う者。
様々な姿形と生態を持ち、悉くが謎に包まれている。

【丁の町】
倭の都、最も栄えている町。
将軍が済む城が中心に聳え立ち、その周囲に広大な街が広がる。


・世界観モデル
『討鬼伝』(重すぎず軽すぎない和風ファンタジー、全体的な空気感のモデルです)

・キャラシテンプレ
【名前】
【種族】(人間、妖魔、半妖等。不明でも可)
【性、齢】(性別、年齢。不明でも可)
【容姿】
【技能、能力】
【概要】

・PBCロールガイド(※必読)
http://pbcguide.fc2web.com/frame.html

・スレ規約(※必読)
1:トリップ必須です、キャラシート投下の際にも忘れずにお願いします。
2:キャラシート無しでのロールも可能です、相手のロールに不自由が生まれない様、適度に情報を開示しつつ行ってください。
3:キャラの査定は基本的にはありません、際どいキャラの場合のみ都度ストップを入れさせていただきます。
4:R-18、R-18Gに当たる描写は禁止です。
5:上記にURLを記載した『PBCロールガイド』を必ず一読し、他の参加者の方に迷惑にならない様心がけましょう。
6:その後のスレの動きを定める様な大規模な設定や展開を行う場合は、必ず事前に一度、相談スレ内での確認を挟んでください。
7:ロール途中で1日以上の長時間相手と連絡がつかなくなった場合は、個々の判断でロールの破棄や凍結を行えます。
8:無連絡で一ヵ月以上動きの無いプレイヤーのキャラクターは、他参加者間で相談の上、削除や引継ぎ等の処遇を決める事になります。
9:荒らしや、誰の物か不明な書き込みには、反応せずアク禁を待ってください。
2蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/15(日)11:20:46 ID:3RH [2/7回]
世界の東の果て倭の国、丁の町。
将軍が住む城の周囲に広がる城下町では、町人達が忙しなく道を行き交っている。
商店通りは客引きの声に溢れ、昼時にも拘わらず酒盛りに精を出す浪人達、それを窓辺で見つめる天狗、
茶屋の前を複数人の侍が陣取りその前を白毛の狐が鼠を追いかけ駆けまわる。

喧噪と混雑から一歩身を引いた場所、茶屋近くの路地の裏に、うつ伏せで倒れ伏す道着姿の侍が一人。
右手には空の巾着袋が握りしめられており、時折苦し気な呻き声をあげる。

「うぅぅぅ……」

耳をすませば、呻き声に隠れた腹の虫が聞こえる。
半開きの目で道の先、というより茶屋、というより侍達が口に運ぶ団子を見つめて更に呻く。

「武士は食わねど……食わねど……」

早い話が、文無しの行き倒れである。
3安宅◆</b></b>8s3Vqae61o<b>[sage] 投稿日:19/09/15(日)14:42:12 ID:Muu [1/5回]
>>2
「…思うんだがよぉ、お侍さん。
 切羽詰まった時こそ素直に助けを求める姿こそ潔いってもんじゃあねえか?」

大きな影が蓮村を覆い尽くし、
背後から投げかけられる言葉は呆れが多分に含まれている。

「こんな豊かな場所で行き倒れてもらっちゃ神も仏もありゃしねえ、世も末かよ」

ぷひょろ~、と調子っぱずれの尺八の音まで聞こえる。
4蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/15(日)15:12:33 ID:3RH [3/7回]
>>3

「武士は食わねど高楊枝……されど鳴り止まぬ腹の虫……。
 昨日予定していた仕事さえ……あの仕事さえ直前に取り消されていなければ、数日の生活費にはなったというのに……」

ぶつくさと呟く程度の余裕はあるのか、しかしぐうぐうと切なそうに鳴き続ける腹の音は隠せない。
突然かけられた声に視線のみを上向けて。

「うぅぐぐ……お坊様、後生にござる、せめてあの団子一本……。
 拙者、昨日から何も口にしておらず……最早咥える楊枝も無い始末なのでござる……」

なんともまぁ情けない様子である。
空の巾着袋をふらふらと掲げてみせた。

「拙者腐っても武家の後継ぎゆえ……飢え死にだけはする訳にはいかないので……ござ……る……」

ぱたん。
掲げた腕がまた地に落ちて、砂埃。
5安宅◆</b></b>8s3Vqae61o<b>[sage] 投稿日:19/09/15(日)15:19:01 ID:Muu [2/5回]
>>4
「そー言うのを捕らぬ狸の皮算用ってんだ…
 後、すきっ腹に餅だ団子だは止めておけ、最悪おっちぬ」

さーて如何したもんかと虚無僧は首をひねる。

「仕方ねえ…少し待ってろ。今まで大丈夫だったんだからあと半刻くらいはいけんだろ?」

そう言って蓮村の横を通り過ぎて暫くの後。

「……粥だ、ゆっくり食えよ?」

片手に何処から調達したのか粥を携え虚無僧が帰還した。
6蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/15(日)15:36:47 ID:3RH [4/7回]
>>5

「狸……狸鍋……」

空腹でぶつぶつとうわごとまで言い始める始末であった。
傍を通り過ぎる虚無僧を半開きの目がゆっくりと追いかけて。
いっそ砂にでも齧りつこうかとじっと地面を睨みつけていた時。

「……!」

眼の前に差し出された粥の器に、パッと両目を見開いた。

「かっ……かたじけのうござる!」

器に直接口をつけ、口の中に粥の一部を流し込むと、数度咀嚼し喉の奥へ。
更に二口目、三口目とゆっくりと口にして。
そこまで来てようやく身体を起こすと、箸を掴んで次々に流し込んでいく。
7安宅◆</b></b>8s3Vqae61o<b>[sage] 投稿日:19/09/15(日)15:44:44 ID:Muu [3/5回]
>>6
「やれやれ、本来施しを受けるのは俺の方なんだがなー」

腕を組み、壁に背をつけ、蓮村の様子を見ながら虚無僧がぼやく。

「これに懲りたらもう少し余裕を持った私財管理をしろよ?
 精神論だけで何とかなったら悟りなんて直ぐ開けちまうわ」

ぷひょ~、と尺八を吹く虚無僧。
めっちゃ吹くの下手。

「数日分の額が入る仕事なあ…無くなったそれってどんな仕事だったんだ?」

霞を食って生きているわけでない虚無僧。
割と荒事で稼ぐのも吝かじゃあない。
それ故に無くなったとしても内容に興味はあった。
8蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/15(日)16:27:48 ID:3RH [5/7回]
>>7

「かたじけない、まことかたじけない!」

粥を流し込みながら、何度も礼を繰り返す。
決して上手いとは言えないのであろう笛の音すら、今はなんとも胸に響く。

「むぐむぐ……あやかし退治の仕事でござる。
 徒党を組んだあやかしが近くの山を占拠していたという話で……拙者以外にも幾人かを募って討伐に向かう予定だったのでござるが……」

器を大きく傾けて最後の粥を流し込んで、一息。

「ふぅ……いやどういう訳か、直前になって依頼主の商人が行方をくらませたのでござる。
 何か良からぬ事があったのかなんなのか……しかし金の払い主がいなければただ働きになると、一緒に向かう予定であった侍達も散り散りに……。
 流石に徒党を相手に拙者一人で向かう訳にも行かず、仕事は諦め……今日に至ったのでござる」

一通り喋り終えれば、器を置いて両手を膝につき、深々と虚無僧に向けて礼をする。
長い黒髪がばさりと揺れて。

「いや、まこと助かり申したお坊様、拙者あのままでいればそう遠からず野垂れ死んでいたでござる。
 蓮村一紗、武士としてこのご恩は忘れませぬ!」
9安宅◆</b></b>8s3Vqae61o<b>[sage] 投稿日:19/09/15(日)16:35:20 ID:Muu [4/5回]
>>8
「…どう考えてもアヤカシ連中の仕業じゃねえかそれ、放置していいのかぁ?」

金がどうこうで知らん顔できる案件ではないのではと虚無僧。

「様子見ぐらいしておくか、芽は早い内に摘むにかぎる」

山を占拠するくらいの集団だ。
噂の一つや二つ広がっているに違いない。
情報は少し探れば集まるだろうと。

「へいへい、御仏に感謝しときな、俺はソレの手足みたいなもんだからよ」

問題は解決したようなので虚無僧は腕組を解いて空の器を回収する。
数少ない私物である。
10蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/15(日)16:57:45 ID:3RH [6/7回]
>>9

「拙者としてもこのまま放っておき続けるのは気が進まないのでござるが……しかし、考え無しに拙者一人で突っ込んでいってもどうにもならないでござる」

徒党を組むだけの知能もある集団に対し、下手に動けばかえって状況を悪化させる可能性もある。
敵の規模も詳細が不明となれば、一先ずは様子見の決断を下すのが無難だろう。
ゆっくりと立ち上がり軽く体を動かす、動ける程度には空腹も収まったか。

「おぉ、お坊様も手伝いをしてくださるか、それは心底ありがたい。
 拙者もしばらくどうにかして銭を稼ぎながら……腕に覚えがありそうな者に声をかけてみるでござるよ」

また小さく礼をして、喜ばしいと笑みを溢した。

「感謝だけでなくお祈りもさせてもらうでござる。
 ……あぁ、ところで、お名前をお聞きしてもよろしいか?」
11安宅◆</b></b>8s3Vqae61o<b>[sage] 投稿日:19/09/15(日)17:07:34 ID:Muu [5/5回]
>>10
「まあ、徒党を組んでいるだけで危険かどうかは判断できんけどな。
 アヤカシってだけで決めつけるのもそれはそれで危険なことだしなあ…
 用心に越したことはないが先走るのだけのは無しって事で」

山の占拠も人間側から見ての視点だ。
存外アヤカシからすれば少しの間自分達の土地を離れていただけで戻って来たという感覚かもしれない。

「ん?名前か?安宅だ。
 見ての通りの虚無僧よ、別に覚えなくていいぞ」

それだけ言うと虚無僧は、ぷひょ~、ぷひょろ~とへたっぴな尺八の音色を響かせ立ち去ったのだった。
12 : 蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/15(日)17:25:23 ID:3RH [7/7回]
>>11

「しかしもし人を襲うなら、それは看過できないこと。
 ……しばらくは様子見でござるな、それから行方をくらませた商人殿も探すといたそう」

何にせよ、すぐの行動にはならない。
今日は今日でどこか手伝いが出来る店でも探そうと。

「安宅殿、恩人の名は覚えるでござるよ。
 では、また」

立ち去る安宅に手を振って、その姿が見えなくなった頃、蓮村もまた町並みに歩き出した。

//では〆ですね、お疲れ様でした。
13笠懸峰 鐘近◆</b></b>BJuB7ha/rA<b>[] 投稿日:19/09/16(月)12:25:49 ID:KbF [1/5回]
倭の国、丁の街。恐らくこの国で最も栄えているであろうそこには様々な人間が集う。あやかしだって紛れ込んでいると言われるほどのそこでは日夜暇つぶしには事欠かない。
そして得てしてそういう場所には喧嘩もつきものというわけで。

「ほら、さっさと出すモン出せばどうだ?あぁ?」

『ひ、ひぃッ…!!?』

倒れこむ男へと抜き身の刀を突き出す相手は三度笠を被った女性だ。
刀の刀身は薄っすらと蒼みを帯びている。男はと言えばその刀身のように顔を青ざめてただただ呻くばかりで。
…………はたから見れば恐喝にしか見えないだろう。だがこれには深い事情があった。

「いいから早く俺の財布を出せって言ってんだよ、それともこれに斬られてぇってのかい?」

経緯を見ていた者からすれば財布をスられた彼女がそれを取り戻すためにこうして問い詰めている、といった構図にはなるが……それをこの場の全員が見ていたわけではない。
周囲に人だかりが出来上がりつつあるこの中、今彼女はかなり目立っていることだろう。
14◆</b></b>W9/EZq3i5Ymm<b>[] 投稿日:19/09/16(月)15:16:48 ID:4Yw [1/5回]
>>13
火事と喧嘩は丁の華。などと言い出したのはどこの誰だろう。
事実、今日も街の一角で喧嘩らしきものが勃発している訳で、見物がてら己腕藤は人混みをかき分けて前に出る。

「おうおうまたドンパチやってんのか。飽きもせずによくやる……ん?」

人混みの間から喧騒の中心を見た藤は三度笠を被った女の持つ刀を注視する。
見てくれは普通の刀だが、纏う気配が他とは違う。にわかに興味が湧いた藤は、更に前へと歩み出る。

「一体どうしたってんだよ? こんな往来で抜刀なんざ穏やかじゃねぇな」
「ぶった切ったらお尋ね者だぜ?」

男物の着物と袴、柿色の外套に三度笠を被った紫がかった白髪の男だ。髪は後頭部で結われ後ろに流されている。
15笠懸峰 鐘近◆</b></b>BJuB7ha/rA<b>[] 投稿日:19/09/16(月)16:40:13 ID:KbF [2/5回]
>>14

「あぁ?なんだよてめぇ横から……」

服装を見るに同じ浪人か何かだろうか。無手のようではあるもののその歩法、そしてまとう気配からただの一般人……というわけではないだろう。
何らかの武の心得がある、そう目星をつけて。

「どうしたもこうしたもねぇんだよ。こいつが俺の財布をこんな往来でスリやがった、だからこうして問い詰めてるんだよ」

問い詰める、というのには疑問符しか残らないが言っていることは真実だ。
その証拠に刀を突き付けられている男の方は目を右往左往として何とも言えない表情をしている。

「別にお尋ね者なんざどうでも良い、俺は俺の物を盗もうとしたこいつが気にくわねぇんだよ。まぁぶった斬る、とまでは流石にいかねぇがな」
「事情は分かったろう?別に見ず知らずの奴から金をせびろうとかんなことしてるわけじゃあねぇよ」
16◆</b></b>W9/EZq3i5Ymm<b>[] 投稿日:19/09/16(月)17:05:04 ID:4Yw [2/5回]
>>15
「なんでぇスリかよ。ならそいつはどうでもいいや。好きにしな」

意外にもあっさりと男のことを見捨てていく。そもそも初めから男を庇おうと言う気は無いのだが。
そして顎に手を当てながらジロジロと女の持つ刀を眺める。やはり、良いと心の内で感嘆。

「なぁ、その刀は誰に打ってもらったんだ?」
「随分な業物じゃあないか。さぞかし名のある刀鍛冶の作品だろう?」

「そのスリが片付いた後でいいんだが、一つ手合わせ願えないか?」

やけに楽し気な表情で頼み込む。両の手を顔の前で合わせ、やや大仰な仕草をしてみせる。
手合わせ、と言っても藤は帯刀することもなく、また旅の道具を収めた風呂敷も小さく簡素な物だ。
雰囲気と合わせて、茶化しているかのようにも見えるが、女の返答や如何に。
17笠懸峰 鐘近◆</b></b>BJuB7ha/rA<b>[] 投稿日:19/09/16(月)17:40:43 ID:KbF [3/5回]
>>16

「はいよ……まだ何か話しがあるんだろ?こいつ片付けてくるからちょいと待ってな」

そう言って男の襟を無理やり掴めばすぐ近くの路地へと入っていく。その頃には周りの見学人たちも興味をなくしたのか徐々に数も減ってきていた。
そうして路地の奥から男の悲鳴のすぐ後にやけにすっきりとした顔で出てくる。奥で何があったかは、握り締めたその拳を見れば想像の通りだろう。

「刀ぁ?これは死んだ親父から貰っただけで誰が打ったかなんて知らねぇよ、知ってんのはこれが"飛燕丸"って言うくらいだ」

刀について特に詳しいと言うわけでもない。使えるのならそれでいいというその考えはある意味理にかなっていると言えるのだろうか。
二刀のうちの一振りであるこの飛燕丸も師匠のところに引き取られる前に父親が残したものであり、それだけのものだ。

「手合わせったってあんた……丸腰だろ、流石にんな相手に刀振るうほど落ちぶれちゃいねぇよ」

当然の反応だろう。そもそも相手が武闘家などであったとしても拳相手に刀を振るう、なんて常識で考えればあり得ない。
もしもあるとすれば無手であったとしても刀を持った相手に引けを取らないようなそんな達人くらいだろうか。
それも彼女自身がそんな相手の力量を完璧に推し量ることが出来ないために、まずは何らかの形で示さねば刀を振るうことはないだろう。
18◆</b></b>W9/EZq3i5Ymm<b>[] 投稿日:19/09/16(月)18:15:05 ID:4Yw [3/5回]
>>17
しばし待機。休憩開始。


「飛燕丸、ね。良い名前じゃねえか。上達と進展の象徴だ」

刀の名に聞き覚えは無い。丸と付いているからには何かしらの逸話から付いた名のだろうが、飛燕だけでは絞ることも難しい。
だが、親から子に受け継がれたと言うことはそれなりに価値のある刀と言うことだ。言わば伝家の宝刀。
そう考えると、俄然手合わせしたい欲がふつふつと湧き上がってくる。

「いやいや、俺はこれでいいのさ。これが俺の流儀なんだ」
「それともあれかい? 人前で刀を振るうのは〝恥ずかしい〟のかい? それなら無理にとは言わねえさ」
「いやあ残念だ。俺はこれでも十分なんだが、あんたが恥ずかしいから仕方ねえよな」

三度笠と外套を往来の端に脱ぎ捨て、着物の上を開けて上半身を露わにする。
その身体には幾つもの傷跡が刻まれており、口先だけの男ではないことが伝わるだろうか。
あかあさまな挑発で彼女の動きを誘いながら、藤は大きく息を吸い込んで構えることなく屹立した。

/少々離席します。戻り次第返信します
19笠懸峰 鐘近◆</b></b>BJuB7ha/rA<b>[] 投稿日:19/09/16(月)18:57:51 ID:KbF [4/5回]
>>18

「刀の銘なんざどうでもいいさ。俺にとっちゃ使えればどれも一緒だ、まぁ良い物に越したことはねぇけども」

父親が死んだ時はまだ物心もついていないとき。故にもしも父親が目の前に現れたとしてもあまり実感は湧きはしない。
師匠が実質の親代わりであり、そしてその師匠も今は他界したのだが。

「………………俺ぁ別にそんな安っぽい挑発に乗ったわけじゃあねぇ、ただ無手相手にもたまには良いだろうっていう心変わりだ」
「――――後悔するんじゃねぇぞ」

その挑発は効果覿面、額がピクピクとヒクついているのがよく分かる。
身体の傷は確かにこの男が歴戦であるという証、だがそれだけで実力というものは押し計れはしない。

「近くにちょうどいい広場がある、そこでやるとするぞ」
20 : ◆</b></b>d5ouYT.EsPUn<b>[] 投稿日:19/09/16(月)19:49:12 ID:m3o [1/1回]
ミアメ 煩絹 ミリエル 盲目 謹賀新年 不屈 バイタリティ 仮名紐 裏吏
刑馬 ルシファーの庭先に紫蜥蜴は祝賀会を管轄する ライセンスの剽窃権
例の削除し活用困難ます一つに許諾し、その対象にするて要件に転載従っことを著作なっれます。

貴方は何度繰り返しますかこのやり取り。ここはもう駄目です。逃げてください。本著作権なんです。過去の推奨にして制度で。
私苦しいので聞いてください。大腸内視鏡検査は宇宙の(メラニンです)近道です。
ここはもう駄目なんです。奴等集団ストーカーはここを監視しています。逃げてください。貴方は被害者だと思っています。

【半妖が歩いている。】
【頭は鶏。目玉が沢山ついている。からだは人間。脚は軟体動物。口が沢山付いている。】
【でもどうやら自分を人間だと思っているらしい。】

ピーっと音が鳴りましたらご用件をお伝えください。ぴーっ。
21◆</b></b>W9/EZq3i5Ymm<b>[] 投稿日:19/09/16(月)21:28:28 ID:4Yw [4/5回]
>>19
「そう来なくっちゃあな!」

真剣勝負をすると言うのに、藤の顔は満面の笑みであり、これから祭にでも行くかのような雰囲気。
そうして鐘近の後を追い、広場までやって来れば、軽く手足を動かして構えることもなくただそこにいるだけ。

「さぁやろうかい。どこからでも来な」

構えが無いと言う時点で、本当に戦う気なのかすら怪しい。
それでも、藤の視線だけはギラギラと獣のように輝き、これから始まる手合わせが楽しみで仕方ないと言った様子。
22笠懸峰 鐘近◆</b></b>BJuB7ha/rA<b>[] 投稿日:19/09/16(月)22:43:06 ID:KbF [5/5回]
>>21

「…………先に言っておくが俺は加減が苦手だ、なんたって不器用だからな。だから……寸止めなんて期待するな?」
「――――腕の一本、いや二本が飛ぶ覚悟はしとけよ?」

手を掛けるのは飛燕丸。鞘に収まっているそれをそのまま構える。
相手は無手、だが油断はしない。相手取るのならばただ斬るのみ、今の先へとたどり着くためにはそれしかない。

「それじゃあ遠慮なく…!」

一気に距離を詰めていく。相手にとっても、そしてこちらにとってもそれは願っても無いことだろう。ただその間合いはやはり異なる。刀と拳では刀の方に利があるのは子供でもわかることだ。
ただ不思議なのは未だ彼女が刀を鞘に収めたままだということ。そして刀の間合いに入った瞬間に刀へと掛けていた手が動く。

「無頼流――――居合」

一閃。疾風のようなそれは確実に男の腕を斬り落とそうと動いていた。
23◆</b></b>W9/EZq3i5Ymm<b>[] 投稿日:19/09/16(月)23:15:01 ID:4Yw [5/5回]
>>22
「無論、全身全霊で来るといい」

火蓋が切って落とされる寸前、その時だけ彼の言葉から愉悦は消え去り、一人の漢と化していた。

鞘走らせることなく距離を詰める動作。はったりか、そんな筈は無い。
では何か。刀は緩やかに歪曲しており、引き抜く勢いを使って攻撃することも出来る。
巷ではそれを居合斬りと呼ぶ。その名の通り、敵と居合わせた瞬間に斬り伏せる。

つまり、もうすぐあの刃が抜き放たれると言うことだ。


一拍。鞘走る


二拍。空を斬る。


三拍。腕を


「────────────なるほど」


止めた。両手の指を真っ直ぐに伸ばし、指の腹で刀の鎬をしっかりと挟み、その一撃を食い止めた。

「良い剣だ」

そして、次の一手で鐘近の右肩を狙い横一閃に手刀を振り抜く。その勢い、その切れ味は最早人の手のそれではない。

24紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/16(月)23:57:45 ID:imu [1/1回]
今日も今日とて丁の町に静寂は兆さず、どこもかしこも人魔の喧騒が蒼穹を賑やかす。
だから表通りに並ぶ茶屋の客足が、間隙を縫うように一時ぱたりと途絶えるのはごく珍しい。
少し離れた通りでの一悶着が関係しているかどうかはともかく、休息を取っているのは軒下の縁台で団子を頬張る少女だけ。

「…………んむ、今日もうまい」

人外を象徴する獣耳が満足そうにぴこぴこと動く。それだけならば単なる客の憩いに過ぎないのだが。
問題は露芝の着物を覆う女給エプロンからして、見るからに彼女はもてなす側の立場であることであった。
25笠懸峰 鐘近◆</b></b>BJuB7ha/rA<b>[] 投稿日:19/09/17(火)00:02:49 ID:7rT [1/2回]
>>23

「な――――」

居合による一振り、それは目で捉えるのでさえも難しい。だというのにこの男はそれを"受け止めた"。それもたった二本の指だけで。
引き戻そうにも指の腹で挟まれていては引き抜けない。先手であり圧倒的有利な状況、それがあっという間に最悪なものへと逆転する。
だが流石というべきかそのあとの動きは早かった。即座に飛燕丸から手を離し後方に下がることで手刀による一閃を回避する。

ここで狼狽えては終わる。怖気付けばそこまで、ならばここは続くのみ。
もう一振りの刀へと手を掛ける。師匠の忘れ形見……寧刀『風鳴』へと。

「無頼流…一の型――――"居合重ね"」

またしても距離を詰めて放つのは居合、だが先ほどまでのものとはそれはまるで違った。鞘走りのその音はまるで風を打ち鳴らすかのような甲高い音が響き、より鋭く速い一閃が男を襲う。
そして、それが男を捉えるか捉えないかに関わらず、男が一閃を感知した瞬間にはその刀は既に鞘へと戻っていた。
そして再び放たれる二閃目が男を再び捉えまいと。

これこそが無頼流の真髄。
神速の納刀。居合に重点を置くのではなくその後の納刀へと視点を向ける。一の閃からの二の閃、そしてそのまま何重にも重ねていく居合連撃。
生半可な眼力ではそのまま卸されるのが関の山、だがさきほどの居合を見切った男になら――――
26◆</b></b>W9/EZq3i5Ymm<b>[] 投稿日:19/09/17(火)00:29:56 ID:kkr [1/2回]
>>25
横一文字の一撃は不発。咄嗟に刀を手放した鐘近を見て、彼は素直に感心していた。
兵にとって得物とは自らの命を守る為の盾であり、相対する者を討つ矛である。
それを致命的な一撃を回避する為に自ら手放す、それも一瞬の間に判断を下すことは一種の才能だ。

「もっと〝良い〟!」

続く一手は左腕による手刀の突き。やはり、彼の攻撃は普通の徒手空拳とは些か雰囲気が違っている。
そこに気付くことが出来れば、彼の使う攻撃の「秘密」に関しても推理することが出来るだろう。

鐘近の更なる居合抜刀が放たれんとしていることを認識し、彼は即座に攻撃態勢から防御態勢に転じる。
竹林を抜ける突風の如き高音。放たれた刃を自らの手刀で受け、弾く。
鐘近の手に伝わる感触は鋼、そう刀に近いものだろう。手刀と競り合ったにも関わらず、その手刀が実際の刀のような性質を帯びている。

「中々速っ───────────────」

刹那。彼の瞳が大きく見開かれる。この一撃は、この一撃だけは確実に回避せねばならないと本能が告げている。
すり足の要領で左足を後方に退き、上体を後ろに大きく逸らす。それは鐘近の刃が元々彼の身体があった場所を通過するのとほぼ同時だ。
彼の胸元に一の字の切り傷が浮かび上がり、静かに鮮血が肌を濡らす。ほんの一瞬遅れていれば、胸から上が宙に舞っていた。

「あぁ……良い。その技、その技はとても好きだ!」

鐘近に向かって人差し指を突き出しながらそう叫ぶ。そして、地に落ちた飛燕丸を拾い上げると、鐘近の手の届く所まで放り投げる。

「これは手合わせだからな。双方万全でないと、面白くない」
「よーし……俺からも行くぞ。己腕流〝戦法〟」


「羆」


その言葉が音として生まれるのと同時に、彼は凄まじい勢いで鐘近へ向けて踏み込む。
地面を踏み砕き、後方に土塊と砂埃を吹き飛ばす程の踏み込みから放たれるのは、その速度を十分に乗せた捻じり込むような正拳突き。
それは正しく一本の槍。天下に轟く名槍の如き、人の肉体による貫徹の再現である。

/この辺りで一度凍結させてもらっていいでしょうか?続きは明日よろしくお願いします
27笠懸峰 鐘近◆</b></b>BJuB7ha/rA<b>[] 投稿日:19/09/17(火)01:22:38 ID:7rT [2/2回]
>>26

打ち合う刀を握る手には痺れが走る。まるでそれは素手と打ち合っているとはとても思えない。まるで何かの武器と打ち合っているかのようだ。
…………確か異国の地では呼吸法や気などというあやふやな物を使い自らの身体を鋼のようにする奇術があるという。もしやそれに近いものなのだろうか。

振り抜く二閃目。だがそれすらも男を捉えるにはあと一歩届かなかった。
後の先のさらに先にある先の先。居合という圧倒的先手から、その後の相手の後手を潰す二閃目。それを避けられたというのは鐘近にとってはかなりの痛手だった。

「…………化け物かあんたは?だが――――こんな感覚は久々だ」

心が震える、打ち震える。もっと打ち合いたいと、立ち会いたいと叫んでいる。
純粋な好奇心、剣の道に行きその先を目指す彼女にとってそれはまさに求めているものだったのだろう。

「ご丁寧にありがとうよ………行くぞ」
「我こそは笠懸峰 鐘近、無頼流後継者也。いざ――――参らん」

こちらへと放たれるのは正拳突きだ。だが、あれはもはや拳ではない。一本の槍、塞がる物を貫かんとする必突の一撃。
本能が危険を知らせる、だがそれこそに意味がある。どうしようもない巨敵ほどに胸を動かすものはないのだから。

「無頼流…己の型、虚像四刀流――――"恩返し"」

二刀を構える。当然それらは鞘に収まり、抜かれるその時を今か今かと待ち焦がれる。
そうして剛槍がこちらの間合いへと立ち入ったその刹那に刃がその素肌を晒した。
二刀による居合。そのキレは一刀での居合に決して劣らず、むしろより鞘の走りは滑らかに鮮烈に。そして抜き放った刀はまるで元々まだ抜いていなかったという錯覚を思わせるほどに元の鞘にあった。
そして再び放つ一閃。高速を超えた音速の域のそれは残像を残し、その時だけは刀がまるで"四振り"あるように錯覚する。
合計四閃の居合をほぼ同時に重ね一撃とする。男を動とするのならば鐘近は静だ。
『風鳴』から響く風鳴り、そして飛燕丸からはまるで燕が風を切ったかのような静けさの中に一閃を投じる風切り音。
動と静、その相対の結果は果たして――――――

//凍結了解しました!こちらの返しが遅く申し訳ありません…!
それではひとまずお疲れ様でした…!
28蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/17(火)10:47:13 ID:XzJ [1/4回]
>>24

道着姿の若侍が、比較的まばらな人波を擦り抜けて茶屋の前にやって来る。
店内を一度覗いてから、続いて店の前で団子に舌鼓を打つ店員の顔を覗き込んだ。

「休憩中のところすまぬが、団子を二本と茶を一杯、頼むでござる」

にこりと微笑み、指を二本、一本という順で立てて。
29紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/17(火)16:59:03 ID:xWy [1/4回]
>>28
客の気配を感じ取っても、怠惰に腰を上げようとはせず。
目と目がかち合って尚にこりともしない、接客業としてあるまじき態度。
しばしの無言。ごくん、と飲みこんでようやく小さく頷いた。

「ん。好きな所、どうぞ」

それだけ言い残せば、空の皿と共に店の奥へと引っ込んでしまう。
ご所望の品を盆に戻ってくるのは、何処かに腰を落ち着けて少し経った頃。

「お待たせ。ごゆっくり」

仲良く並ぶ三色団子、それからゆかしく湯気を立てる緑茶をきびきびと並べる様だけは、店員に似つかわしく。
もう一つの湯呑みは自分の分らしい。暇は持て余せど呼びこみをする気概はないようで、小さく口に含んでほうと一息。

「暇だったから助かる。お仕事の帰り?」
30蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/17(火)18:30:17 ID:XzJ [2/4回]
>>29

「(むむ、何やら不愛想な……)」

愛想も何も無く店内へ向かう少女の姿に、ぼんやりとした視線を送りながら。
長椅子の端に腰かけ一息、首元を伝う汗の雫を手巾で拭う。
丁度運ばれてきた茶を受け取って啜ると、少女の獣耳を興味深そうに見つめた。

「ふむ、お主は半妖の者でござるか、耳が随分と愛らしい。
 仕事……というよりは手伝い帰り、近くの剣道場で模擬試合を子供達に見せて来たのでござる。
 拙者の様な貧乏侍、手伝えることなら手伝わねば」

団子を二つ歯先で捕え、串から抜き取ってもちもちと。

「ひかひ、ほんなひかんにひゃやがふふほわめふらひいれごはるな……(しかし、こんな時間に茶屋が空くとは珍しいでござるな……)
 んぐ……偶然か……それとも近くで何かあったでござろうか……?」
31紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/17(火)19:31:01 ID:xWy [2/4回]
>>30
長椅子の隣に座して盆を小脇に挟み、湯呑みを両の掌で包んでじわりと滲む熱を受け止める。
視線を感じてか、賛辞にはにかんだか。表情は変わらないままぺたんと獣耳が控え目に伏せた。ずず、と緑茶を啜って往来に逃げる視線。

「若いのに、大変だね。剣に自信があるなら、荒事の方が稼げる」

微かに首を傾げる。外見だけで言えば、彼女の方が圧倒的に年若いのだけれども。
気苦労を慮っての助言なのだろうか、安い同情と呼ぶには現実的な言葉。

「……なに、なんて?」
「ああ……あっちの広場で喧嘩。皆、そっちに行ってるみたい」

聴力と聞き取る力は別物だ、不明瞭な発声を訝しげに聞き返し。
続いた言葉にやっと意図を察して、ぴこと立った獣耳は見た目通り人外の聴覚を有しているらしい。
ここからは視認できない騒ぎに耳を澄ませて曰く、派手な手合わせが繰り広げられているとか。

「お店に何かある訳じゃないから、どうでもいいけど。暇なのも、たまにはいい」
32蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/17(火)20:23:16 ID:XzJ [3/4回]
>>31

「……お主、拙者より年若いように見えるが?」

紅緒が首を傾げれば、同様に首を傾ける若侍。
団子を口に運び、裸になった木串を皿の上に置いて、二本目を手に取る。
ふむと少しばかり考える様な素振りを見せて。

「拙者、善行や悪行をこれだと語れる程立派な身の上では無いが、進んで荒事をしたいとも思わないでござるよ。
 剣は、抜くべき時に迷い無く抜ければそれで良しと……幼い頃より教えられた故」

元々仇討を目的とした道中だ、手を一切汚さず清廉潔白に生きる事等、不可能であり諦めている。
しかしそれでも、好き好んで荒事に手を突っ込みたい質でもない。

茶を飲み干し、『お代わりをお願いするでござる』と紅緒に差し出して。

「……こんな昼間から往来で手合わせとは、いや何と言うか……血気盛んな方々はいるものでござるな」

苦笑を溢しながら片肘を膝に突き、通りに目を向ける。
店前にちょこんと座った白毛の小狐が、じっとこちらを見つめている。
成程確かに、偶には人が少ないのも良い。
33紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/17(火)21:05:57 ID:xWy [3/4回]
>>32
年齢の言及から顔を背けてすっとぼけ、ちびりとお茶で喉を潤す。
ちらと灰色の瞳だけで見やって、合点がいったように相槌を一つ。

「ふうん、いい教え。立派な人から学んだんだね」

無論悪気はない、その若さで既に天涯孤独の身などとは思ってもいないのだ。
飲みかけのお茶を長椅子に置き去りに、空の湯呑みを受け取って一旦店の奥まで引っこむ少女。
ややあって中身の満たしたそれを運んでくる間も、耳聡く独言を捉えていたのだろう。

「お店で喧嘩する人も、たまにいる。それに比べたら全然いい」

なにせ多様な人間、多様な妖の集まる町だ。ちょっとした些事で諍いになることだってままある。
熱々の緑茶を手渡しながら、呆れたように肩を竦めてみせた。
そのまま隣に戻ろうとはせず、様子を伺う小狐の前にしゃがみこんで視線を合わせて。
「ご注文は?」と呑気に尋ねられるのも、長閑な混み具合のお陰と言えた。
34蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/17(火)21:27:30 ID:XzJ [4/4回]
>>33

「うむ、本当に立派な、武士の鑑の様な方でござった。
 それがしも子供心にああなりたいと思ったものでござる」

少しだけ瞼を閉じて、何処か誇らし気に、何処か寂し気に。
運ばれてきた緑茶を口に含んで鼻を鳴らした。

「……はは、喧嘩は都の華、でござるかな」

冗談めかして口にして、紅緒と小狐が戯れる姿を微笑ましそうに見つめる。
きゅぅきゅぅと甘える様な鳴き声と共に、小狐は何処か甘い臭いが残る手に頬を擦りつけようとするのだ。 

//この辺りで〆る形でどうでしょうか。
35◆</b></b>W9/EZq3i5Ymm<b>[] 投稿日:19/09/17(火)21:42:30 ID:kkr [2/2回]
>>27
衝撃の後に砂埃が舞い上がり、視界が開けた時にあるのは競り合う腕と刀。
双方の攻撃は互角、どちらも致命傷にはなり得ないだろう。
そうとわかるや否や、彼はその場で跳躍し、右足で踵落としを繰り出す。

「まだまだ、行くぞ!」

一撃が入らなければ次の一手、その一手が入らなければ更にその次の一手。
絶え間なく攻撃を繰り出すこともまた、一つの技と言えるだろう。
36 : 紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/17(火)21:52:07 ID:xWy [4/4回]
>>34
「……真っ直ぐなままでいられたら、きっとなれるよ」

過去形。それから言葉の端々に覗く憧憬と寂寥。
漠然とした荒涼を察するのはそう難しくない、余計な事を言ってしまったかと眉尻を下げて。
少し悩んだ末の言葉だったが、真剣であるのは間違いなかった。

「喧嘩はいいけど、お店でやったら怒る。叩き出す」
「それだけ守ってくれるなら、また来てほしい」

小狐の鼻に手の甲を近づけ、匂いに慣らしながら振り返って柔らかく笑う。
それは真似たように冗談っぽく、飾らない笑顔。頬で掌を擽られて肩を竦めた。

//それではこちらからはこれで〆になります…!
//ありがとうございました、お疲れ様でしたっ
37笠懸峰 鐘近◆</b></b>BJuB7ha/rA<b>[sage] 投稿日:19/09/18(水)00:43:09 ID:TKV [1/1回]
>>35

虚像四刀流。二刀の刀で居合をし、そして高速納刀を繰り返す自らが編み出した型。
確かに強力ではある、だがそもそも居合とは一刀でするもの。それを片手で行うというのはかなりの負荷がありそれに加えて無頼流の納刀を同時に行う。
そこにかかる負荷は尋常ではないものとなりその酷使は危険そのもの。
だが――――――

「ああああぁぁぁぁぁッッ!!!」

抜刀、納刀、抜刀、納刀、抜刀、納刀。
幾度も繰り返すその動き、腕が軋み今にも弾け飛びそうな錯覚すら覚える。だがそれでも腕は止めない、ここで全力を出さずに何が剣士か。
"天衣無縫"を目指すのならばこれくらいのことなんでもない。未熟者ならば出来ることはなんでもする、躊躇う暇などあるわけがない。

「ッ――――」

だがそれでも、一歩及ばない。
居合の速度がほんの一瞬遅れてしまう、そしてそれを見逃す相手でもないだろう。

//反応遅れて申し訳ありません…!
38雨霧◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/18(水)10:35:40 ID:M9H [1/1回]

日も暮れ始める夕刻頃、人通りの少ない町の裏手にて。
薄暗く湿っぽい空気に満ちた空間、地面には割れた提灯がゆらゆらと燃える。
響く呻き声は、負傷し地面を這う侍のもので、抜き身の刃が道の奥の方で地面に突き立てられていた。

「ほうら、ほら、どうした」

突き立てられた刀の柄頭に器用に下駄の歯を乗せて、しゃがむ様な体勢で侍を見つめる翁の面。
山伏服に身を包み、楽しそうな声色で笑う。
近くの壁に張り付けられた人相書きによく似た姿。

「ほうら、ほら、急いで逃げねば、助けを呼ばねば。
 仲間に知らせねば同心殿、急がねばその首が先に落ちるぞ、ひゃ、ひゃ、ひゃ」

//夜まではかなりスローだと思います
39卑劣のハンゾウ ◆</b></b>wYS9Fy9IWkr.<b>[] 投稿日:19/09/18(水)17:41:05 ID:DYl [1/4回]

「まいどありー。」

女将は手を振り、去り行く商人を見送ると机上の皿を下げ、洗い場へと持っていく。
「おかーさん、お腹すいたー」と店の奥から彼女を呼ぶ子供の声が聞こえる。「はーい、帰ったらね。」と女将は返事をした。
客の出入りは昼頃がピークだった。やっと客の波も収まり、一息吐けそうだと女将は肩の力を抜く。

「さて……と。」

女将は硬貨を手に、玄関の戸を閉めた。明日の分の食材を買いに行かねばならない。子供達も腹を空かせているだろう。
思えば早いものだ。7年前に結婚したかと思えばその翌年には子供、今の長男を授かり。
子供はすくすくと育ち、絵に描いたような幸せな家庭を築いていた。

「あの子何喜ぶかなぁ。」

女将はふふふ、と笑いながら息子への土産と今晩の献立を考えながら道を歩く―――直後であった。
突如重い何かが女将の額に激突した。その何かは仰向けに倒れ、血泡を吹きながら痙攣を起こす女将の四肢に素早く手裏剣を突き立てると姿を現す。
忍者装束に身を包んだ男は狡猾な笑みを浮かべると女将の持っていた硬貨を奪う。

伝説の忍者ハンゾウの名を騙るその男は人でありながら弱者のみを狙い悪しき妖の如し悪行を重ねることからこう呼ばれていた。
「卑劣のハンゾウ」と。
正体も真の名も不明だが、男は日夜こうして強盗殺人を繰り返す。

「おっと、お前にはまだ死んでもらっちゃ困るんだ。」

卑劣は女将の両目を指で強引に正面を向かせると自身の妖気を流し込む。
女将自身に変化は見られないが、卑劣は女将を傍の壁面に叩きつけると持っていた苦無で女将を壁に貼り付けた。

「次の獲物の為に俺の眼になってもらうぜ。」

卑劣は奪った効果を懐に収めるとその場を去ろうとした。

//スローですが絡み待ちです
40紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/18(水)19:41:24 ID:LWW [1/4回]
>>39
小さな足音、狭い歩幅。ひたひたと一直線に、怖気づきもせず。
不機嫌そうに鼻を鳴らす。濃い血の匂いに眉根を寄せ、下手人を睨めつける灰の眼が倦厭を多分に含む。
その正体の見かけだけは子供であったが、頭頂部に鎮座する獣耳が人外の存在を物語っていた。

「――何してるの」

一見すれば無手、暴虐の嵐に抗う術など持ち合わせていないようにさえ思えるというのに。
短な問いからは狼藉を目の当たりにした、純然たる義憤が確かにちらついていた。
41 : 安宅◆</b></b>8s3Vqae61o<b>[sage] 投稿日:19/09/18(水)20:07:52 ID:WQR [1/1回]
【沼】
周囲を背の高い雑草で囲まれた沼。
ぴひょろ~ ぷひょろ~ と調子っぱずれの下手くそな尺八の音が響いている。

「……上手く吹けねえな?」

浮きのついた釣り糸を沼に垂らして、手にした尺八を首をかしげて眺める虚無僧が一人。
楽器が悪いのか、本人の吹き方が悪いのか、少なくとも一人で解決はできそうにない…

//マチです
42卑劣のハンゾウ ◆</b></b>wYS9Fy9IWkr.<b>[] 投稿日:19/09/18(水)20:32:16 ID:DYl [2/4回]
>>40

卑劣はぴたりと足を止める。背後からの問いに対して男は即答した。

「正当防衛!」

振り返りながら開き直ったかの如く大袈裟に両の腕を広げると満面の笑みを面頬の下に浮かべながら少女の問いに答える。
全く悪びれる、という様子は無く。男は懐の銭をジャラジャラと鳴らしながら数歩前に歩み出た。
舐め切った表情で少女を眺める。
少女の耳の様子から人間ではない、恐らくは妖の類であると判断するやその表情はやや厳しいものに変わった。

「汚らわしい化け物め。小汚い野獣め。お前も奴らの仲間か?」
「まぁ、何だって構わんが……。」

フフン、と鼻で笑うと少女の獣耳を嘗め回す様に見た。品定めだ。

「……良いだろう。折角だ、少しばかり"自分語り"だ。」
「単刀直入に言おう!私は今、金に困っている!だからこうしてこの人気の少ない道を通る奴を襲い―――。」

女将の痙攣が徐々に収まっている。が、鼻血をだらだらと垂らしながら白目を向いてそれ以上何の反応も無い。
その懐から息子の折ったと思しき下手糞な折り鶴が落ちる。

「……ま、ご覧の通りだ。」
「私の犠牲になられました皆様のご協力もありお陰様で相当な額が集まりました!」
「これで一か月は食っていけそうです!ありがとうございました!」

卑劣は少女と女将に対して深々と、丁寧にお辞儀をして頭を下げると顔を上げ、ほくそ笑んだ表情で少女を見た。

「……して、お嬢さん。」
「お嬢さん―――遊郭とかで働いてみる気はない?顔は上物だ、しかも化けも―――いや、獣耳と来た、こいつはブスでも物好きには需要がある。」
「きっとお嬢さんなら上手くやっていける。私はそう思うよ。技は私が丁寧にみっちり仕込んでやる。どうかな?」

卑劣はニコりと笑いながら少女に問いかけた。
43◆</b></b>W9/EZq3i5Ymm<b>[] 投稿日:19/09/18(水)21:30:42 ID:axr [1/1回]
>>37
抜刀の後、再び刀を鞘に戻したうえで更に抜刀。普通に考えれば非効率にも思える動きだ。
しかし、それを一つの技にまで昇華しているのは鐘近の、そして無頼流を積み上げてきた先人達によるものだ。
積み上げた技、それを全身全霊で繰り出している者に対して、こちらも全身全霊を出さねば礼を欠く。

「ずぇぇえぇえぇぇぇぇりゃああぁぁぁあぁぁっ!」

放たれる一撃一撃に四肢全てを使って対抗していく。
手刀を刀に斜めに押し当て、受け流す。膝蹴りで弾く。掌で刀の側面を押す。一つ一つの攻撃に対して、的確に軌道を逸らしていく。
しかし、それでもなお彼の手足には切り傷が一つ、二つと刻まれていく。
双方の実力が拮抗しているのならば、最早消耗戦以外はあり得ない。そう思えた一瞬。

瞳孔が開く。息が止まる。時間の流れすら止まったかのように感じられる。今しか、無い。



「──────獅子──────」


右腕を大きく振り上げ、腕のしなりを最大限に生かしながら手刀を振り下ろした。
44紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/18(水)21:40:42 ID:LWW [2/4回]
>>42
あっけらかんと嘯く男とは対照的に、ますますの渋面を隠そうともしない。
幼子と侮られようと半妖と罵られようと、今更憤る程に未熟ではない。ただ黙したまま、芽吹いた苛立ちに眼光の鋭さが増すだけ。
下唇を弱く噛みしめながら、舐るような視線から逃げて女将を一瞥。痛ましげに微か睫毛を伏せて。
見知った客の顔だった。いつの事だったか、まだ小さな子供を連れていたのを覚えている。

「……最低。腕が立つなら、自分で働いて稼げばいい」

唾棄に等しい所感。演技がかった仕草にも憮然として、あからさまな反感に意図せずして喉の奥でぐると唸る。
確かに彼女は半妖の類だ。しかし道義を捨てた獣とは異なるという矜持くらいはある。
だからこそ眼前のこれが許されざる行為である事はよく分かるし、男に同情や憐憫を抱く気は更々ない。

「悪いけど、食べるのには困ってない。売るなら自分の体を売れば?そういう好事家もいるって聞く」
「……その前に、同心のお世話になるかもしれないけど」
45沙前守灯弥◆</b></b>ylu7wPFPKA<b>[] 投稿日:19/09/18(水)21:59:32 ID:QhJ [1/1回]
>>38
パチ、パチと頼りない音を立てる提灯の炎が、ぐしゃりと音を立てて消えた。
砂を擦る音と共に、器用に刀に立つ翁の片足に、背後から第三者の腕が伸びる。

「人が作った刀にあんま足を乗せるもんじゃないよ。」

静かな、それでいて明らかな不快を含んだ声が向けられる。
その面を背後に向ければ、手拭いを巻いた男がじっと翁を睨んでいるのが見えるだろう。

成程、件の悪党とはこいつのことか。
地を這う侍とそれを笑う仮面。

「お侍様、申し訳ないが同心を呼んできては貰えませんか。」
「こちらは、なんとかします故。」

侍が傷口を肩で抑えながらゆらりと体を起こしながら首を縦に振る。
翁は男を相手取るか、それともはたまた逃げ行く侍を追うか。
残っていた僅かな提灯の火種が一筋の煙を残して消えた。
46卑劣のハンゾウ ◆</b></b>wYS9Fy9IWkr.<b>[] 投稿日:19/09/18(水)22:11:15 ID:DYl [3/4回]
>>44

「ハァ。」

卑劣は大袈裟にため息を吐きながら大袈裟に肩を落とした。
そして右手で大袈裟に大袈裟に頭を抱えながら頭巾から覗く眼で空を見上げて芝居掛かった声で言う。

「ガッカリだよ。ああ、本当に面倒だ。面倒極まりない。これ絶対戦う流れだろ。私の事見逃せーっつっても見逃さないだろ。あー面倒だ。」
「働く?身体を売って稼ぐ?そんな事、私がするわけないだろう。第一そんな事をして稼げるくらい誠実な人間ならこんな事しない。」
「身体売る行為が誠実かは別として」

「少しは頭を使ってみたらどうだね?野獣クン。実に頭の悪い。」
「これだから無駄に長く生きてるだけの獣は嫌いなんだ。」

だらりと両肩を落とし、怠そうな様子で女将を一瞥する。まだ息はある、が、最早真面な人生を歩む事は出来まい。
一生誰かの面倒を見てもらわねばならない植物人間がオチだろう。
だがそれで構わない。彼にとって彼女の状態は然程問題ではなかった。彼女が生きてさえいてくれれば。それは彼の能力に訳がある。

「……じゃあ駄目元でお願いしてみよう、お嬢ちゃん。」

そう言うや否や、卑劣はその場に座り込み、両の手を地面に付いて頭を思いっきり地面に叩き付けた。
額を土と擦り合わせながら彼は宛ら童の様にぐずり始める。

「うぅ……お願いします……。」
「お願いします!!!!!どうか!!!!!どうかこの場は見逃しては貰えませんか!!!!!」
「お役人にこの事言わないで!!!!!ワタクシお尋ね者だからこの稼ぎ場奪われたらまた探さなくちゃならないの!!!!」

「おねがーい!!!!おじさんをみのがして!!!!」

思いっきり、思いっきり、あからさまな芝居。
然し妙に迫真な声で彼は少女に懇願する。
47紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/18(水)22:40:54 ID:LWW [3/4回]
>>46
「…………はぁ」

ため息の協奏。地面に視線を落として、呆れたように肩を竦める。
程度の差異はともかく、予想できる返答ではあった。どうしようもないからこそ、こうして路銀を稼いでいるのだろうから。

「野獣はどっち。こんな稼ぎ方しか出来ない人には言われたく――」

言葉が中途で途切れたのは見かけだけは誠心誠意の懇願に絶句したからだろう。
束の間後頭部を眺めながら、困惑とも憐情とも取れる眼差しで見下ろしていたが。

「……そこまで分かってるなら、わたしが何て言うかも分かると思うけど」

やがて、徐に一歩踏み出した。

「嫌。引きずってでも連れて行く。どうしても見逃してほしいなら、力づくで逃げればいい」

情け容赦のない裁定。しかしそのままで少々様子を見ているのは、警戒を解いていないからに他ならない。
ただで連行されるとは微塵も思っていないのだ、些細な物音も見逃さじと獣の耳がぴんと立った。
48卑劣のハンゾウ ◆</b></b>wYS9Fy9IWkr.<b>[] 投稿日:19/09/18(水)23:06:18 ID:DYl [4/4回]
>>47

額を赤く腫らしながら、瞼を閉じたまま卑劣はゆっくりと立ち上がった。
そして静かに瞼を開くと少しばかり鋭い目付きで少女を見た。

「ま、言ってみただけ無駄じゃなかったな。」
「私だってこのまま大人しく牢獄送りにされる訳にはいかない。」

周囲に男の妖気が満ちる。男の首元から垂れ下がっていた布切れがふわり、と浮き上がり、その身体の輪郭が微かに薄紅色に輝く。
そして静かに構えると同時にその左手に手裏剣を幾つか構えた。
どうやら彼女を殺すつもりの様だ。此処で。

「お嬢さん、わかっているだろうな?戦いってのは余程の力量差が無い限りは多かれ少なかれ互いに傷付く羽目になる。」
「私は一切の容赦はしない。それが何を意味するか分かるだろう。勝敗がどうであれ私だって無事では済まないだろう。無論お嬢さんも無事では済むまい。」

「これが最後のチャンスだ。」
「お嬢さんが、『今日』、『ここで』、『何も』、『見なかった』。そして金輪際ここには近づかない。そう約束してくれればお互い無益な争いはせずに済む。」

「後一歩、後一歩だ。」

「後一歩お嬢さんが前に進めば、それは交渉決裂と見なす。一歩下がれば交渉成立と見なす。良く考えたまえ。」

彼はそう告げると彼女の右足に狙いを定める。狙いは右足。脛。
彼女が一歩でも前に進めば問答無用でその瞬間に彼女の足目掛け手裏剣が放たれるに違いあるまい。
逆に彼女が一歩でも後ろに下がれば、彼は手裏剣を引っ込めて構えを解くだろう。

即ち次の彼の行動は次の彼女の行動に委ねられる。
49紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/18(水)23:42:30 ID:LWW [4/4回]
>>48
天を衝いて逆巻く妖気、鋭き鋒を幻視する殺意を真正面から受け止めた毛先がざわと揺れても尚。
小さな体躯は泰然と佇んで、差し向ける眼光は一層の敵意を孕んだようにすら。
なんの気もなしに、そっと懐へと右の手を差し入れた。

「言われなくても分かってる。これでも、無駄に長く生きてない」
「それでもここで見逃すくらいなら、最初からここに来てない」

獣の嗅覚は遠くの血の匂いも容易く捉える、荒事を避けるつもりで迂回するのだって彼女にとってそう難しくはない。
にも拘らずこうして足を運んだのは、剣呑を振り払う捕物のためでしかなく。
それは抵抗と争闘を垣間見せつけられても、捻じ曲がる事のない確固たる意思であった。
だから、考える猶予なんてそもそも必要がないのだ。

「だから――悪いけど、役人に突き出させてもらう」

ごく自然な一歩。散歩と見紛う呑気さで前へと踏み出されたそれは、次の瞬間強く地を蹴った。
間髪入れず襲う手裏剣を最低限の高さで飛び越えて、低い跳躍で男へと迫る。
弾丸もかくやと言った勢いは凡そ人外の膂力によるものだ、音を置き去りにした吶喊に躊躇は皆無。
懐より引き抜いた合口が鈍く光る、袈裟に斬りあげる動作は命を一切鑑みない一撃。
50雨霧◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/19(木)00:03:12 ID:cCy [1/5回]
>>45

「ひゃ、ひゃ、好きや良きや、佳きや」

カツンと軽く柄を蹴り、伸びた腕を躱し飛び跳ねる。
軽やかな下駄音と共にやや離れた地面に片足立ち、翁の面と金色の瞳が楽しそうにそちらを覗いた。

「善きや、お主は手負いの痩せ侍より食いでがありそうだ、活きが良い。
 それに増援で千客万来と来れば、極楽極楽だ」

逃げる侍を容易く見送り、しわがれた声がけたけたと笑いながら両手を叩く。

「火の臭いだ、鉄の臭いもするな、生業は鍛冶か?
 どうれ、遊んでみよう」

叩いた両手をそのまま開き、手拭の男へ向けた。

ひゅう、と、風音一閃。
掌から発生した、拳大の風の礫が胸元目掛け飛ぶ。

//気付くのが遅れ申し訳ありません。
51卑劣のハンゾウ ◆</b></b>wYS9Fy9IWkr.<b>[] 投稿日:19/09/19(木)00:23:18 ID:df7 [1/3回]
>>49

「やれやれ。」
「お嬢さんは本当に戦いが好きなんだな。私は戦いはあまり好きじゃないんだが……。」

男が手裏剣を投擲した直後、既に少女は男の眼前に迫っていた。瞬き程の刹那の後に男の身体が両断されている光景は想像に難くない。
だが、其処で男は瞼を閉じた。それと同時に男の身体は両断され後方へと吹き飛ばされる。

―――――が、然し。
卑劣は既に少女の側面へと回り込んでいた。
先程斬られたかに見えたものは男ではない。一度後方へ飛び退いた男の残影に過ぎない。

(全速力で動けばその分体力の消耗も激しい。)
(然しこいつの速度は私と互角か、いやそれ以上か。)
(ならばすべき事は極めて単純。わかりやすい。馬鹿でもわかる戦い方だ。)

卑劣は両の拳を握り締めた。
即ち答えは短期決戦である。
が、然し―――男はその状態で僅かに殴る動作をしてフェイントを掛けると同時に後方へ再び飛び退いた。
更にそれと同刻、何処からともなく取り出した手裏剣を三つ、少女目掛け投げつける。壁面に張り付くように着地すると同時に再び手裏剣を構える。

(この程度でくたばるタマじゃないな。)

少女の次の行動に備える。
短期決戦で終われば願ったり叶ったりだ。だが、現状相手の能力がわからない以上は無闇矢鱈に攻め入るものではない。
まずは長期戦の戦い方で相手の様子を伺うのが得策だろう。

彼は少女のあらゆる行動に対し身構えた。
52 : 笠懸峰 鐘近◆</b></b>BJuB7ha/rA<b>[] 投稿日:19/09/19(木)00:33:09 ID:Wzo [1/2回]
>>43
//すいません…!今日中の返信が厳しそうで……
明日には返信できますのでどうかそれまでお待ちいただければ…!
53紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/19(木)00:49:10 ID:VhG [1/3回]
>>51
「わたしだって、別に戦うのは好きじゃない」

音を置き去りにした一閃、しかしその手応えはあまりに空虚。
視覚との錯誤に歯噛みこそすれど、信ずるべきは刀身から伝わる感覚だと知っている。
横を取られて一拍、目だけで動きを追ったのは動体視力の賜物ではない。虫の羽音よりも些細な足音を捉えたが故。
陽動の殴打を腕で受け止めようとしたものだから、飛び退かれるがままに開く両者の距離。
その空間を許さないとばかりに、息もつかずに再びの豪速を孕んだ接近。

「でも、お店のお客さんが減るのは困る……!」

迎え撃つ手裏剣の二つを合口で弾いて、捌き切れない残りの一つを左の掌で受ける。
顔を顰めながらも衰えない速度、痛みを殺して指の力で手裏剣を肉から引き抜き男目掛けて投擲。
狙いが精密なのは些事だ、本命は鈍の刃による肩口への斬撃なのだから。
54笠懸峰 鐘近◆</b></b>BJuB7ha/rA<b>[] 投稿日:19/09/19(木)12:39:20 ID:Wzo [2/2回]
>>43

そもそもの居合というものは直接の戦闘に用いるには少しばかり難儀するものだ。
不意の戦闘にすぐさまに対応できるようにというものであるために一度の抜刀しか想定されていない。鞘に戻すという行為を挟むには一騎討ち等においてはあまりに隙が大きすぎる。
故に無頼流はそこを突き詰めた。目にも留まらぬ滑らかな納刀、それによって二度目の居合を可能にさせる。
流れるような納刀はまるで一度目の居合を幻であるかのように錯覚させるほど。だが――――これでもまだ、頂には届かない。

間に合わない、そう直感した。
あの手刀はまさしく刀だ。当たれば斬れる、あれはもはや生身の身体とは呼べない。
呼吸すらする暇がない、心臓はドクドクと脈打ち目眩すらしてくるほど。だがここで止まるわけにはいかない、止まってしまっては、全てが終わる。

「ッ――――!!」

居合ではなく防御の構え。二刀を交差させて男の手刀へと対抗させる。
だが所詮は付け焼き刃、あの一撃を受け止められるほどのものはない。それでも幾分には弱められるはずだと。
凄まじい衝撃が全身を駆ける。刀を握る指が痺れる、だが決して離しはしない。地面はひび割れて土埃を撒き散らしお互いの姿を隠す。
…………土埃が晴れた時、そこに鐘近は防御の構えのままそこに立っていた。
手刀は受け止めた、だがその対価は凄まじい。その場に膝をつき、刀地面に刺してを支えになんとか身体を支える。
この時点で勝負は決したと言っていいだろう。

//返信置いておきます!
55沙前守灯弥◆</b></b>ylu7wPFPKA<b>[] 投稿日:19/09/19(木)13:36:27 ID:dRW [1/4回]
>>50
翁が両手をこちらに向ける。見えない何かがこちらに襲い掛かるのが直感として分かる。
男は地面に突き刺さった刀を引き抜くと刀の腹で空気の弾丸を受け止める。

「くっ……!?」

手がビリビリと痺れる感覚。
見えないが、確かに何かがそこにあったということを彼の右腕はありありと伝える。

(妖魔の類か……。参ったな……。)

突出した剣技の腕も無い自分では、時間稼ぎすら怪しい。
そう判断した男は咄嗟に地面を思い切り蹴り上げる。提灯の灰が混じった砂は、黒みがかった煙を巻き上げる。
更に、蹴り足の跳ねた勢いそのままに男は踵を返し、侍が逃げたのと逆の方へと逃げて行く。

無銘の刀が実に苦々しかった。

//こちらもあの後寝落ちてしまいました。申し訳ありません。返信置いておきます。
56雨霧◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/19(木)16:59:42 ID:cCy [2/5回]
>>55

「なんじゃ?期待外れか?焦っておるのう」

揶揄うような山伏の周囲で、ひゅうひゅうと風塵が舞う。
両手を上向ければ空気が微かに揺らぎ、砂を巻き上げた風が二つのつむじ風となる。

「さて次じゃ、巻き取られれば手足が捻じれて千切れるぞ、避けよ避けよ」

それを放つ直前、戦況は変わった。
青年が蹴り上げた砂煙が、山伏の視界を妨げる。

「……無策に逃亡か?」

つまらない、とでも言うかの様な渇いた声だ。
一瞬の静寂の後、山伏は両手を振るう。
つむじ風が破裂して砂煙を蹴散らした、向こうにはまだ青年の後姿は見える。

「策が無いなら喧嘩を売るべきでは無いぞ!」

更に風塵、下駄に風を纏わせて、滑る様に宙を舞い青年の後を追う。
57卑劣のハンゾウ ◆</b></b>wYS9Fy9IWkr.<b>[] 投稿日:19/09/19(木)19:10:29 ID:df7 [2/3回]
>>53

自身が投げた手裏剣は一秒後には既に彼目掛け放たれていた。今までの人生で手裏剣等何度投げられたかわからない。
彼はその動きを見切ると素早く取り出した苦無を投擲し迫り来る手裏剣と相殺、撃ち落とした。が、それは単なる囮。
本命である少女の斬撃を見るや彼は即座に回避行動を試みる。
然し刹那、手裏剣に気を取られたが故に彼の回避行動は決定的に遅れてしまった。時間にしてコンマ一秒にすら満たなかったであろう。
だがそれが命取りとなった。

布を裂き、肉を斬るぬめりとした音と共に鮮血が彼の右肩から噴き出した。激痛は然る事ながら、その右腕は力無くだらりと垂れ下がる。
その傷は深い。動かせても今までの様には行くまい。
彼は跳躍し空中で首周りの布切れを引き千切ると瞬く間に脇を通して肩に強く巻いて止血した。

再び残像を作り、高速で少女から少しばかり離れた地点に着地すると舌打ちをして少女を睨む。

「客が減る……か。」

彼は何かを閃いた様子で狡猾な笑みを浮かべる。
傷は決して浅くはない。然し戦う以上負傷は避けられない。彼は左手に手裏剣を構えると即座に彼女目掛け三つほど素早く投擲。
だがそれは唯の囮。
彼は素早く壁面に貼り付けた女将を強引に壁から引き剥がすと左腕で女将を抱え、左手で逆手に持った苦無をその首元に突き付ける。

「客が減るのは困るんだろう?お嬢さん!」
「この女はまだ息がある、私が頭を強く殴ったから何かしら不便にはなるだろうが今治療すれば助かるかもしれんぞ?」

「交換条件だ、この女を返して欲しければこれから私が言う条件を飲め。」

ニヤリと笑うと、彼は一歩前に出て少女に詰め寄った。

「私がこれから十二枚の手裏剣を投げる。その手裏剣を両手を広げ、避けず、一切防がずに全て受ければこの女はお前に返してやる。」
「それだけじゃフェアじゃない。私もお役人様のところに自ら出頭しよう。」

「……安心しろ、お嬢さんを殺しはしない。急所は全部外してやる。」
「どうだ?この提案に乗るか?乗らなければこの女はこの場で今すぐ殺すぞ。」

彼は卑劣な交換条件を少女に提示するや、女将の喉元にチクリと苦無の先端を刺してニタニタと笑った。
薄皮に刺した程度でまだ血は一滴も流れていない。
58沙前守灯弥◆</b></b>ylu7wPFPKA<b>[] 投稿日:19/09/19(木)20:04:59 ID:dRW [2/4回]
>>56
振り返ると、翁が宙を舞いながらこちらを追ってくるのが分かる。
男は、少しでも時間を稼ごうと脇に立て掛けてあった木材を倒して道を塞ぐ。

「まあ、その通り、かも……っ!」

細い路地の角を曲がる。それと同時に、道端で一つ、石を拾う。
掌サイズの石ころを掴み、何か感触を確かめるように指先で撫でると、そいつを抜き身の刃へと当てる。

「だが、全くの無策って訳でも無い!」

キン、キンと辺りに甲高い音が鳴り響く。
人によっては、それが『刃を研ぐ音』であることが分かる筈。

刃が、徐々に歪な光を放ちつつあった。
59雨霧◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/19(木)20:37:10 ID:cCy [3/5回]
>>58

「ひゃ、ひゃ、ひゃ、逃げや逃げや、じきに追いつくぞ、すぐに追いつくぞ」

風音は鳴り止まず、木材を風刃が斬り飛ばす。
少しずつ少しずつ、山伏と青年の間の距離は縮まっていく。

「無策で無いなら無謀か、無茶か!
 儂は生半可では斬れぬぞ、儂より先にお主の首が飛ぶぞ!ひゃひゃひゃ!」

轟々と、風が唸る両腕を振るった。
空気の揺らぎと共に二枚の風刃が、地面を削りながら青年へ襲い掛かる。
不可視の刃、しかしその軌道は地面の傷を見れば分かる筈。
60紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/19(木)20:39:55 ID:VhG [2/3回]
>>57
金属音、それから肉断の感触と血飛沫。鉄の臭いが殊更に鼻腔を刺激する。
右腕の制動を奪ったのを見て取って、合口を払えば鮮血が壁面を汚した。
血の滴る左手に拘う様子はなく、強い視線を険しい目つきで真っ向から迎え撃ち。
更なる追撃に動こうとした足は牽制の手裏剣を弾くために数秒その場へと縫い止められ、生まれた猶予は男が行動を起こすには十分。

「…………!なにを――」

動かない。否、動けない。
未だ敏感な耳に届く杳々たる呼吸音を、無情に潰してしまうのは全くの不本意なのだ。
如何な後遺が残ったとしても、せめて生きて帰したいと。支柱となる、それでいて枷でもある情が女将を見捨てるのを思い留まらせた。

「本当、最低な人……!」

だから苦々しげな面持ちで嫌忌を顕にして鋭く睨みつけるのが、せめてもの抵抗であり精一杯。
逡巡の間、すぐに答えが出せないのは自己の保身ではなく約定の信用に疑念を抱いているがため。
ああ、それでも。首筋を愉快そうに突く苦無を見てしまえば、選択肢はいとも容易く削られてしまうのだ。

「…………分かった。好きに投げればいい」
「その代わり、自分で言った事は守って。その人を離して、ちゃんと出頭するって」

苦渋の判断である事は、絞り出すような声から明らかであった。
得物を手放せば重力に引かれたそれは、地面を浅く穿って無防備と条件の承諾を示す。
しかし両手を広げて無防備に佇む彼女の姿に恐怖は絶無、灰色の眼光が早く済ませろとばかりに覚悟を湛えた。
61沙前守灯弥◆</b></b>ylu7wPFPKA<b>[] 投稿日:19/09/19(木)21:02:55 ID:dRW [3/4回]
>>59
正に鎌鼬と言ったところか、強靭な風の刃が地を裂き迫りくる。

(逃げるのは叶わんか……。急ごしらえだが、やるしかないか。)

男は咄嗟に刀を握りしめると、迫りくる風に向かって短く刀を薙ぐ。
それと同時に彼の肩から血が滴る。だが、その傷口は決して深くは無い。
翁の方も、自身が出したものの威力と実際の傷の差は一目瞭然であろう。

「確かに、俺の刀の腕は半端もいい所……。」
「だが、刀術は所詮使い手の腕と刀の出来の乗算。」

抜き身の刀を低く構える。先程までと違い、歪な光を放ったそれは、明らかに別物に感じられる。

「当代随一、沙前守だ。俺の刀は風も切れる。」

「もう一度試してみると良い。次は傷一つ叶わん。」

遠くで同心達の声が聞こえた。
62卑劣のハンゾウ ◆</b></b>wYS9Fy9IWkr.<b>[] 投稿日:19/09/19(木)21:15:15 ID:df7 [3/3回]
>>60

少女の答えを聞くや否や、その壊れた右腕で手裏剣を一枚手に取った。
卑劣のハンゾウは狙いを定め、そして笑みを零した。女将は男の左腕に抱えられたままだ。

「成程、それがお嬢さんの答え、と。」
「じゃあ早速遊戯を始めようか。まずは三枚だ。さ・ん・ま・い。いいな?」

「それと……情けだ。投げる前に当てる場所を予告するから痛みに備えておけよ。わかったか?じゃあ始めるぞ。」

男は手裏剣を構える。先ずは一投目。尚この後、十一回の苦痛が少女を襲うだろう。
最初の投擲。彼は右腕を震えさせながら狙いを定める。

「まずは『右の脛』だ。み・ぎ・の・す・ね。」
「怯んだりして動かれると的が外れるからな。変な場所に刺さって死なれてもそれは自己責任だよ、お嬢さん。」

「その姿勢を大きく崩せば即座に女将を殺すからな。」

男が手裏剣を投げる。その手裏剣は早く、激しく回転しながら少女の右の脛へ―――は向かわない。
その手裏剣は少女の左の脛目掛け真っ直ぐに飛んで行った。加えて絶え間無く、男はもう一度腕を振るう。それにより放たれたのは手裏剣ではない。
苦無であった。苦無は真っ直ぐな軌道を描きながら少女の右の掌へと向かう。

「あー!やってしまったー!なんてことだ!右腕を誰かさんに斬られたせいで狙いがはずれたー!しかも変なところに苦無まで投げてしまったー!」
「わざとじゃないんだ……わざとじゃ……うぅっ……。」

大袈裟に、然しわざとらしく頭を抱えながら男は大声で演技掛かった声で喋る。
間違いなく意図的に、である。わざと壊れた右腕で少女に向けて手裏剣と苦無を投げたのだ。

「あー頭が痛い、頭が、頭が痛いよ……こんな失敗するなんておじさん頭が痛い……『頭』が」

直後、卑劣のハンゾウは何処からともなく取り出し、何時の間にか右手に隠し持っていた手裏剣を少女目掛け投げた。
『頭』というのは予告だったのか―――その手裏剣は少女の頭部、生えた右の耳を跳ね飛ばさんが如く真っ直ぐに少女目掛け飛来する。
――――が、壊れた右腕故に狙いはやや外れて少女の右目を抉るかの様なカーブを描きながらそれは少女へと向かった。
63雨霧◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/19(木)21:27:58 ID:cCy [4/5回]
>>61

「ほう?」

風刃一閃、十二分に致命になり得る一撃が、しかしただの手傷程度で留まっている。
ぴたりと空中で静止し、下駄音高らかに地面に降り立って。
金の瞳が興味深そうに細められた。

「……好きや、成程確かに、無策だが無謀では無かったな。
 直に同心も集まりそうだな、実に良きや」

ひゅうひゅう、ひゅうひゅう。
風音再び、沙前守の目前に巻き起こる一柱の小さな竜巻。
砂を巻き上げ塵を巻き上げ、次第に濁る。

「前言を撤回しよう、期待外れ等とんでもない。
 儂は雨霧、雨の霧と書いて雨霧じゃ、さてさて……。
 今日はここで終いとしようか、お主とは邪魔は要らず……一対一が良くなった、ひゃ、ひゃ、ひゃ、ひゃ」

濁りが、空中跳び上がり屋根の上へと飛び移った雨霧の姿を隠す。
残された竜巻は、置き土産とばかりに沙前守に向けて進みはじめて。

//この辺りで〆でどうでしょうか。
64沙前守灯弥◆</b></b>ylu7wPFPKA<b>[] 投稿日:19/09/19(木)22:16:17 ID:dRW [4/4回]
>>63

「おい、待……!」

ある種の意趣返しか、風が巻き上げた土煙が視界を遮り。
気が付けば相手の姿は消えてなくなっていた。

「雨霧……。」

ゆっくりと迫ってくる竜巻に向かって、下段から切り上げる。
ふわり、と最後に小さな抵抗を見せ、竜巻は消え失せ、巻き上げられた砂が地面へと落ちる。

「絶対御免だ。次は逃げ切る。」

実に苦々しい表情を浮かべ、男は地面へと座り込んだ。

//こちらで適当に〆させていただきました!長時間お付き合いいただきありがとうございました!
65 : 雨霧◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/19(木)22:20:38 ID:cCy [5/5回]
>>64

//お疲れ様でしたー
66翡翠◆</b></b>1fCQ8ONdj.<b>[sage] 投稿日:19/09/19(木)22:28:53 ID:fuo [1/2回]
嫉妬の妖魔が扮するは町娘の出で立ち。
かと言えばなにをするでもなく。
人の声で賑わい溢れる丁の町、その往来を行き来する人々の群れへと、緋色の瞳を向けるは翡翠である。
腰にかかる程の黒い長髪を気だるげに指先に擦り付け、幼児のように左親指の爪を噛みながら、囁くような声色が往来へと毒を垂れ流す。

「…………どいつもこいつも楽しげに、幸せに街を歩いて」
「殺したいほど憎らしいわ、あそこの男なんか○○○を噛みちぎられて死ねばいいのに。」

腐りかけた内心に反し、見た目だけはそれなりの彼女
舌の回転率を上げるため、傍らに添えられた湯のみを口元へ運んだ。
たれ流された毒を拾われる事が、はたまた話しかけようとする物好きはいるだろうか。
67紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/19(木)22:30:43 ID:VhG [3/3回]
>>62
「御託はいい。さっさと終わらせて」

悪党の目溢しなど不要と切り捨てる素気ない、けれど不退転の決意を宿した催促の言葉。
されど痛覚を忌避するのは生物として当然の本能だ、半疑の予告に本能が備えるのは自然と言えた。

「――――っ!!」

だから想定と違う場所へと手裏剣が突き進んでも、避けずにいられたのはそれだけで重畳であったし。
左脛を的にされても姿勢を崩す事なく、声すらあげずに苦悶を喉の奥に押し殺したのも、生来の痛みの耐性が高いお陰だったのだろう。
次いで右手を襲ったのが手裏剣ではなく苦無となれば、甲までを貫いて先端から血雫を落としても尚。
しかし四肢ではなく頭、それも眼を目掛けて飛んでくるとなれば話は別。

「ぐ、っ…………!」

回避という選択肢は限りなく狭い、受け入れるがために咄嗟に目を瞑ってしまったのを誰が責められようか。
宙を彩る血潮、頬骨の上をなぞって抉る赤の線が涙の如く顎までを汚す。
鋭い痛みに薄らと瞼を持ち上げ、深く眉間に皺を寄せられるのは、裂傷の始点が眦の僅か外側だったからだ。
僥倖と呼ぶには深い傷に漏れる呻き、左手に突き刺さったままの苦無を躊躇いもなく引き抜いた。

「いっ……狙った場所にも投げられないなら、出来ない予告なんてしなければいいのに」
「言っておくけど、急所を狙ったら約束はなしだから」

既に剣山に等しい痛みに苛まれているだろうに、続行の意思はまだ燻って睥睨となる。
苦無を放り捨てて左手で頬に溢れる血を拭う。先の手裏剣による傷は、心なしか肉の奥から微かに塞がりつつあるようであった。
68柳生七郎兵衛真千◆</b></b>E/RTrWEKE6<b>[] 投稿日:19/09/19(木)23:04:13 ID:BgF [1/2回]
>>66

「お嬢さん、そう汚い言葉を使っては、折角美しいアナタが台無しだ」

フラリ、と彼女の隣に現れたのは、線の細い青年の姿であった。
質の良い着物と袴を身に纏い、短く切り揃えた髪の向こう側は、街を往く侍や武士のそれとは違って、厳しさのすっかり見えないものだった。
それなりの身分には見えるだろうが、その若さと表情から良いところの道楽息子とでも。実際、町民たちの評価は、そういうものばかりだった。
腰元には二本の差料、先端の鐺がまた笑うように揺れていた。

「なにゆえ憎らしくありましょう。皆幸せなのは良いことだと、ボクは思うよ」

まるで脳天気。妬ましい、という言葉の意味すら知らぬと言わんばかりに、剣客は彼女へと問うのである。
名を、柳生七郎兵衛真千。時の但馬守公、その末の倅であった。
69翡翠◆</b></b>1fCQ8ONdj.<b>[sage] 投稿日:19/09/19(木)23:19:31 ID:fuo [2/2回]
>>68

「……」

穏やかな褒め言葉の元、ふらりと現れた身なりのいい青年を出迎えるのは
刹那の間だけ差し向けられたルビーの瞳と、次いで無言の歓迎である。
椿香る黒髪を撫で付けた右手は頬に添えられて、気だるげに左の親指、爪を噛む動作は止まない。
まるで青年を居ないものかのように扱っているよう……ではあるものの
嫉妬の妖魔故の、慣れない褒め言葉に僅かに朱が刺すのは白い頬。
ともすれば、無視の理由も可愛いものであろう。
素直な褒め言葉に、少しばかり身を離して

「…………」

後ろ手に組んだ両指、長屋の白壁に背を預け、心をざわつかせた元凶を徹底的に視界から排除
黒髪を揺らしながら反対側へ顔を背けて、呪詛のような恨み言を止めずにいた
70◆</b></b>W9/EZq3i5Ymm<b>[] 投稿日:19/09/19(木)23:27:59 ID:U0y [1/1回]
>>54
手刀は受け止められた。幾度も放たれた斬撃の嵐を紙一重で受け流し続け、己の傷すらも顧みず見極めた一瞬。
そこに食い込ませた一撃は、鐘近に膝をつかせたものの、その刃を砕くまでには至らなかった。

「……お見事」

受け止められた瞬間の姿勢のまま、その瞬間を噛みしめる。
両者共に互角、どちらも武の道を行く者として申し分ない腕前だった。それ故に、ここで終わりと言うのが悔しくて仕方がない。
彼もまた、次の一撃を放つ程の体力は残されていなかった。もう一度全霊の振り下ろしを繰り出せば、今度こそ腕が千切れ飛ぶ。
即ち、この勝負。勝者無しである。

「俺はあんたの刀を良いと言ったが……」
「前言撤回だ。あんたの〝剣〟が良い」

そう口にすると、彼はどしりと地面に座り込み胡坐をかいた。

「はー……終わっちまった。あー終わっちまった」
「次だ。互いに技を磨いた時、これぞ究極と言える技を手にした時、その時に決着をつける」
「それで良いか?」

未だ決着はついていないと、そしていつか決着をつけると、彼は心の底から楽しそうな表情で問いかけた。
71柳生七郎兵衛真千◆</b></b>E/RTrWEKE6<b>[] 投稿日:19/09/19(木)23:41:04 ID:BgF [2/2回]
>>69

但馬守公の末の倅は、軟派者だとか、道楽息子だとか、遊び人だとか、そういう噂は、街中では予予より流れているものであった。
他の息子が純粋な剣客ばかりであったものだから、尚、真千のその、風に揺れる暖簾のようなはっきりとしない態度は目立つものであった。

「……あれ、無視されちゃった?」

だからこそ、今更稚児遊びや茶屋遊びを気にするものが、街人の中にも、何処に居ようかというのが人々の目であった。
最初ばかりは、話しかけた女子に袖にされたとばかり真千は思ったが、どうにもそれを違うと教えたのは、頬紅も塗らずに僅かに朱を差す白肌であった。
これで、厳格な父親や剣術ばかりの三厳ならばいざ知らず、軟派者であるから、その理由にはすぐに合点がいった。

「お嬢さん、何がそんなに恨めしい? そんなにも、賑やかいのが気に入らないのかい?
 爪を噛んではいけないよ、美しい形がまた台無しだ。一つ、ボクにお話は出来ないかい?」

面白いように顎に指を当てながら、あいも変わらず軟派な笑い顔と共に、凭れ掛かる彼女の、すぐ傍らに自らも背を預け、視界に映るように入り込む。
これで全く、取っ掛かりもないくらいに、嫌われていたのであれば引き際も弁えるが、僅かでも反応があったものだから、軟派者故の、好奇心に駆られたのだ。
72翡翠◆</b></b>1fCQ8ONdj.<b>[sage] 投稿日:19/09/20(金)00:07:30 ID:Aej [1/2回]
>>71

――妖魔は噂に疎い
なればこそ、目の前の青年の情報を持ち合わせていなかった。
何故ならば、噂を流す相手も聞く相手も。井戸端会議の機会すらないからである。
故に、会話の機会に飢えた彼女は。コミュニケーションに関してはズブの素人
軽い世辞ですら真剣に受け止めすぎる性質を持ち合わせていた。

「……」

無視をした、というよりも。何を話していいかが分からないというのが正直な所。
視界を占拠する軟派な青年から再び顔を背けるように下方を眺めた。
すらすらと毒を垂れ流していた唇はもごもごとバツが悪そうに開閉。
胸に邪魔されて見えない青年の足元へ視線を下ろしながら。垂れ落ちる前髪が柳のように赤い両眼を覆い隠した。

「楽しそうなのが気に入らない、笑い声が気に入らない。耳に届く全てが耳障り」
「これで満足した?理由を聞けて良かった?私の癖については余計なお世話。誰だか知らないけれど。お節介焼きは嫌われるわよ。」

ツンとした態度は、自覚の薄い頬の赤みを誤魔化すためか、はたまた簡単にざわめく心へのイラつきか
下方に向いた視線はふいと横を向き、再び爪を食みながら往来を行く人々へと恨めしい視線を向けていた。
――赤い唇から流れる恨み言は、幾分かマイルドになって
73卑劣のハンゾウ ◆</b></b>wYS9Fy9IWkr.<b>[] 投稿日:19/09/20(金)00:09:14 ID:Azr [1/3回]
>>67

下衆な笑みを浮かべながら右手に更に幾つかの手裏剣を構え、次なる狙いを定める。
――――が、その手を止めた。
卑劣のハンゾウはふぅ、と息を吐くと手裏剣を懐に収め、ニコニコと笑うと少女の眼を見た。

「……お嬢さんは良く耐える。ほら、残りの手裏剣は9枚だ。私も9枚この腕で投げるのも流石に痛いし疲れる。」
「……お互い……痛いし苦しいよな。」

ふぅ、と息を吐くとハンゾウは抱えていた女将をその場に降ろした―――それと同時、一枚の手裏剣を少女目掛け投擲。
上げて落とす目的で一瞬の油断を誘ったのだが、それで少女の油断を誘えたかは定かではない。然しその手裏剣は真っ直ぐに少女目掛け飛んで行く。
投げたのは左手。故に真っ直ぐに狙った少女の左の腿へと手裏剣が飛来する。

「残り八枚!」

ハハハ、と笑いながらもその左手には尚三枚の手裏剣。内一本は苦無。
男は両の獣耳を跳ね飛ばすつもりで二枚の手裏剣を其々耳目掛け投擲。苦無を少女の右肩目掛け投擲。
間髪入れずにもう一枚を手裏剣を少女の左肩目掛け投擲した。だがまだ攻撃は終わらない。更に二枚の手裏剣が男の手には握られていた。

「残り四枚!三枚!」

手裏剣を間髪入れずに更に投擲。狙いは少女の右腕、脇腹へ。

「二枚!一枚ィ!」

間髪入れず、更なる投擲。だが最後の二発は違った。それらは苦無だった。加えて狙いは下腹部と喉元。
この男は鼻から約束を守るつもりなど無かったのである。
最後の一発を投げると同時に男は駆けた。その右の拳に力を籠め――――そして一気に少女の腹部目掛け拳を放った。
74柳生七郎兵衛真千◆</b></b>E/RTrWEKE6<b>[] 投稿日:19/09/20(金)00:31:06 ID:PLn [1/5回]
>>72

真剣に言葉を受け止める性質は、真千には面白いものであった。
同時に危うさもあれば。故にこその恨み言かとも頷ける。故にこそ、放っておくことの出来ない性分であるのが、この青年の性であった。

「ふむ……何もかもが気に入らないと」

彼女から吐き出される、恨み言の数々を聞いて、うんうんと頷く。
わざとらしいものではなく、反応としては当前の動きであった。恨み言も毒も受け流すことが出来たのは、脳天気だから。
もしくは、意図的にそういうふうに振る舞う癖が、真千にはあったのだ。だから、まるでなんでもないかのように、彼女の声を聞くのだ。

「ボクはとても今、晴れやかだ。やっと話を聞けたからね。いやはや、しつこさも時に大いに宝になる」

恨み言の一つ一つを聞き届けたながらも、それがどうやら、柔くなったのを聞いたのであれば、うんと最後に意を決して頷いたのだ。
食まれているその爪へと、その右手を伸ばした。彼女の女性らしく、白磁器の如き白い手指に比べたならば、青年の手は全く武芸者のそれであった。
線は細くあるが、刀傷と剣タコばかりのゴツゴツとしたものであったが、ともあれ手を取ろうとしたのだ。

「嫌われ、大いに結構! そういうのには慣れているもので、さぁ、さぁ、お嬢さん。ボクと一緒に、遊蕩といきませう」

さて、もしもそうしたのであれば、たった今まで食まれていた爪を慰めるように握ったのであれば。
あわや彼女の嫌う丁ノ町へと、連れ出そうというのだ。恨み言を流していた者達の中を、連れ立って歩き出すのだ。

「失礼、名乗るに遅れ申しました。ボクの名は柳生七郎兵衛真千。お嬢さん、アナタの名前は?」

そして、人混みの中でも聞こえるように、彼女へと顔を向けながら、自らを名乗るのである。
75翡翠◆</b></b>1fCQ8ONdj.<b>[sage] 投稿日:19/09/20(金)00:50:39 ID:Aej [2/2回]
>>74

「……そう」
「随分奇特な人間もいたものね」

情熱的な青年の言葉に返す反応は淡白なもの。冷たいというよりは、例によって他にかけるべき言葉が見つからないというべきか
背けた顔はそのままに、バツの悪さと妙な居心地の悪さ。僅かに上がった体温を嫌い、そのまま背を向けて去ろうとしたのならば

「あ……ちょっと……っ、ゆ、指……噛んでたから。その……」

すぐさま絡み合う、異性の骨ばった指。先程まで口元にあった爪先が包まれたのであれば、体液が触れたと過剰な反応によって湧き上がる妙な羞恥に頬の赤みを強めるのだ
それと同時、意識するのは性差である。彼女は無意識に、自らと違う、太く逞しい指を確かめるように軽く握って
青年の見事なエスコートに連れたって町人に紛れ込む。椿香る黒髪が遅れて彼女の背を追い掛け。肩口で空気を孕み。風に流れた。
流れる視界に映るのは、人々の眺める光景と同じ物。彼女の視線を僅かに長く捉えたのは、小さな茶屋であった。

「……ひ、翡翠」
「その、嫌われるのに慣れてるって、どういう事。貴方、そうは見えないけど……全く」

次いで、興味を惹かれたのは青年の事。
彼女は始めて青年という個に興味を持ち、こちらへ向けられる青年の笑顔から逃げるように視線を逸らしながらも
嫌われるという単語には敏感にその意味を問う

//申し訳ありません、眠気につき凍結か〆をお願い致します……
//お返事は明日の夜頃返せるかと
76笠懸峰 鐘近◆</b></b>BJuB7ha/rA<b>[] 投稿日:19/09/20(金)00:57:10 ID:rcJ [1/1回]
>>70

「…………はぁッ…はぁ…!」

ひとまずはこの手合わせは終わった。未だ膝をついた状態で荒れた息をなんとか整えようと大きく吸って深呼吸。
全身に力が入らない。これ以上はきっともう何も出来ないだろう。全てを出し切った、そう言って申し分ない勝負だった。

「…………たく…腕を切り落とすどころじゃねぇじゃねぇか…これじゃあ俺が恥ずかしいだけだぜ」

最初に生身相手だからとそんなことを宣ったがいざ手合わせをすればこの結果だ。
腕を切り落とすどころか膝をつけることさえ叶わない。結局先に膝をついたのは自分だった。

「あんたがそれで良いなら願ってもねぇ…俺はまだまだ成長する、これからだ」
「――――俺が求める先は"天衣無縫"、最強の剣士だ。だから……立ち止まってはいられねぇ」

「次会った時に、全く変わってなけりゃ承知しねぇからな」

そう語る鐘近の表情は清々しいとは呼べないものだった。悔しさ、自分に対する憤り、それらが入り混じった複雑なもので。
今回のこの立会い。勝者なしとはよく言ったものだが、鐘近の中では負けとしか思えなかった。
最初に集中を切らしたのは自分だ、そしてそこから相手の一撃に為すすべもなく防御するしか無かった。これではまだ"天衣無縫"など程遠い。
立ち上がりフラフラではあるものの軽く手を振ればその場を立ち去ろうと歩き出すだろう。

//それでは何もなければこちらはこれで〆となります…!ロールありがとうございました…!!
77 : 柳生七郎兵衛真千◆</b></b>E/RTrWEKE6<b>[] 投稿日:19/09/20(金)01:00:37 ID:PLn [2/5回]
>>75
/了解です、それでは凍結の方でお願いします……!
/返信しておくので、ご都合の良い時にお返しくださいませ!
78紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/20(金)01:20:27 ID:sgs [1/3回]
>>73
激感に脳天を揺さぶられて荒くなる呼吸を、努めて落ち着けて歯を食いしばる。
言われた通りに両手は広げたまま、時折苦しげな吐息が静寂を揺さぶった。

「……自分で言い出したんでしょ。最後までやって」

言葉こそ気の緩みとは縁遠いが、女将が制限された一時の自由に放たれたのを見れば仄かに抜ける肩の力。
構えは解かないものの目論見はある程度達せられたと見ていいだろう、安堵は確かに虚へと繋がるのだから。
それでもやはり生殺与奪を握られている限り、自分から反故にする理由は何一つない。
脛に続いて餌食になった腿、思わずその場でたたらを踏むが姿勢だけは断じて崩さず。

「ぅ…………あぐぅっ――!!」

次いで狙われた獣耳は急所とまでは言わないが、他の箇所に比べて神経の集っている場所だ。右が半分千切れて、左がぼとりと根元から落ちた。
ついに明瞭な嘆声が唇からまろび出る。どうせそのうち新たに生えると分かっていても、どうしたって苦痛は耐え難い。
しかし休む暇などあるはずもなく、だというのに両肩、右腕、脇腹の楔を尚も無抵抗に受け止め続ける。
その姿は最早真赤の忠犬だ、愚直に口約束を信じ続けるしかない。
残り二発。神経が傷ついたのだろうか、右だけがぼやけて見える視界でその狙う先を見定めて。

「――――約束、破った」

刹那、目を見開いた。辛酸を感じさせない動きで右肩の苦無を引き抜くのは二枚の凶刃が届くよりも早い。
流れるように投擲、喉元を刺し貫かんとする苦無を弾く。下腹に向かう苦無には僅か対処が間に合わない。
だから、少しばかり肉を食わせてから右手で受け止める事にした。
キャッチしたそれを投げ打ってすぐに放たれる拳もやはり避けないのは、既に足を潰されているのが大きい。

「――ッッッ!!!!」

痛みを声なき咆哮に変換し、不義への怒りを気力に置き換えて。
ただ只管に純の膂力に縋った握り拳で、男の鳩尾を殴り抜けるだけの反撃。
その結果がどうなろうと、彼女はその場に頽れて座りこんでしまうだろうが。
79柳生七郎兵衛真千◆</b></b>E/RTrWEKE6<b>[] 投稿日:19/09/20(金)01:31:45 ID:PLn [3/5回]
>>75
「ボクよりも奇特な人間はあれども、自分がそうであるという自覚もあるとも」

奇特である。それを全く、煙に巻くような言い方ながら、欠片の否定もなく真千は肯定するのだ。
確かに、これという人物は全くと言っていいほどに奇特である。それというと、今正しく、彼女が抱えている意識というものを、知れば剥ぎ取るくらいに。
だが、だからこその軟派者であり、今ここで、彼女の言葉を引き出したというのであれば、真千にとっては、全く負い目に感じるものではないと思うのだった。

「ははっ、何、このくらい。美人の物なら上等さ」

全く以て気にしない、というよりは、寧ろそれを利用して彼女をからかうような声色であった。
というのも、こうもわかりやすく頬を染める彼女のことが、真千にとってはやはり面白くあったのだ。
しかし、態度はともかくとして、人格として彼女と間違いなく、そして真面目に相対しているというのもあった。
だからこそ、その手が握り返されたのを見れば、痛くないほどに握り返したし、茶屋に視線が向かったのを、目聡く見つけたのだ。

「やぁやぁ、女将さん。御手洗団子と茶を二人前、頂けるかな」

『あらまぁ、七郎兵衛様、またかいらしい方をお連れで。へぇ、畏まりました』

そうして、彼女の手を引いた先は、小さな茶屋へと向かっていったのだ。
女将に簡単に言を伝えると、軒先の赤い布を敷いた長椅子に腰掛けるように促すのだ。こうもくれば、最早有無を言わさぬものであった。
そしてそこに座らせれば、青年もまた腰掛けて、次いで問われる、ようやく齎される自分への興味の質問に答えていくのだ。

「いや、なにぶん、ボクはこうも軟派者だからね。父上も兄上達も、皆厳格で、ならばボクにもそれが求められるんだけど。
 こういう性分なものだから、父上はともかく、その友達の偉いお方や、その伝手の知らない御方にまで、いつの間にか嫌われているんだ」

言葉尻に、いまでこそ、親しい人もいるが、と付け加える。
とにかく、大いに役職を持った方達には、どうにも嫌われる性であった。そして悪評は無論街人にも流れて、当初は大いに毛嫌いされていたものであった。
今では多少は、良くしてくれる人も居て、だからこそ、今更稚児遊びや茶屋遊びを気にするものが、街人の中にも、何処に居ようかというものであるが。

「それにしても、翡翠か。美しい名じゃないか、だからこそ、眉間にしわを寄せていては、珠に瑕だとも」

そうしてやはり、青年は全く軽薄な笑みとともに、彼女へとそういうのだ。
言葉も併せて、ぜひとも、彼女にそうしていただきたいと申しているも同義だった。
とは言え言葉に出さないのは、これも軟派者故、心の機微を問うて、意思に反するならば、という選択肢を与えるものである。
80卑劣のハンゾウ ◆</b></b>wYS9Fy9IWkr.<b>[] 投稿日:19/09/20(金)01:39:05 ID:Azr [2/3回]
>>78

めきり、と、肉を抉り、骨を砕く音が周囲に響いた。
少女の反撃に身構えたもののその拳は男の左腕の守りを弾き、その鳩尾に深くめり込んだ。

「が、はっ……」

卑劣のハンゾウは血反吐を吐きながら、直撃した少女の膂力に吹き飛ばされ後方に吹き飛ぶ。
数秒の浮遊感の後に地面に叩き付けられても尚その勢いは止まらずやや離れた民家の塀に激突した。
ハンゾウはピクリともしない―――――否。まだ息がある。ハンゾウはふらり、ふらりと立ち上がると少女を睨んだ。

「こ、の、汚、ら、わ、し、い、野、獣、が……。」

どうやらもう余裕が無い事は誰の目から見ても明らかである。ハンゾウは左手に苦無を持ち、ふらふらと少女に歩み寄る。
途中で何度も血を吐いた。目は血走り、最早鬼の形相。
倒れる女将の隣を過ぎ―――だが少女との距離はそれでも尚離れている。

「……!……、……。」

ハンゾウは左腕を振り上げた。少女にトドメを刺すつもりらしい。
然しその手から苦無が零れ落ち、ハンゾウはその場に膝から崩れ落ちる。それでも尚彼の意識は残っていた。
彼は血反吐を吐きながら、這う様に少女の元へとハンゾウは向かう。

何の妨害も無く少女の下まで辿り着ければその首に手を掛け、そして絞め殺そうとするだろう。
81紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/20(金)02:11:33 ID:sgs [2/3回]
>>80
「は……ふ、うっ……げほっ」

最早どこが痛くてどこが痛くないのかも、分からない程の倒懸であった。
腹部の強い衝撃に驚いた胃液が食道を遡って、喉を焼きながら地面を濡らす。
それでもまだ、倒れない。立ち上がりこそしないが、両手を地面に預けて上体を支える。

「そこらの獣と……わたし達を一緒にしないで」

焦燥、それから僅かばかりの憐憫が混じった言葉。ほんの少しだけ、憤懣に至る彼の過去に思いを馳せた。
風すら遅く感じる時の流れの中で、迫る男を目前にしても動く事はなく。
風穴の空いた手が反応したのは、互いの手が届く距離にまで縮まってからの事。
己の首に肉薄する腕の、両の手首をがしりと掴むべく指を伸ばす。

「――捕まえた」

そうして赤く濡れた掌に収められたのならば、きっとそう宣言するのだ。
その握力は凡々の少女のそれではない、とはいえ常よりも弱っているのもまた事実。
これが膠着状態を齎せば上々なのだ、いつ騒ぎを聞きつけた同心連中が駆けつけて来るのかも分からないのだから。
82卑劣のハンゾウ ◆</b></b>wYS9Fy9IWkr.<b>[] 投稿日:19/09/20(金)04:05:18 ID:Azr [3/3回]
>>81

最早声も出なかった。激痛の中、彼は己の両腕が砕かれる感覚のみを感じ取っていた。
ハンゾウはそのまま仰向けに倒れると半ば白目を向きながら―――然し往生際も悪くまだ意識があった。
仰向けでのたうち回った後、彼は蛇の様に這いながら人気の多い道へと少しずつ、少しずつ向かおうとする。

「た、す、け、てェ……。」

今にも消えそうな声で誰かに助けを求めながら、彼は逃げようと試みる。然し身体はほんの僅かずつしか前には進まない。

「た、す、けて、くれェ……。」

「だ、れか、た、す、け、て……。」

ハンゾウは白目を向きながら必死に人気の多い方へと這おうと試みた。
両腕は砕かれ、胴体の傷は深い。止血した肩からもまた出血しつつあった。文字通りの満身創痍である。
故に前に進もうとしても全く前に進まず――――人気の多い道へ出る頃には日は没し、夜も更け、また夜も明ける程であろう。

「こ、い、づ、に、や、られま、し、だ。」
「だ、れ、か、た、すけ、て……。」

砕け折れた胸骨が肺に突き刺さったらしく、声もまともに出ない。出るのは掠れ声のみ。
その他内蔵にも相当傷が付いているらしい、幾つかの臓器は甚大なダメージを受けていた。
無論、彼の身体がそう長く持つ筈も無い。彼は血反吐を吐いたが最後、ぐったりとうつ伏せのまま硬直しぴくりとも動かなくなった。
83紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/20(金)14:16:46 ID:sgs [3/3回]
>>82
這いずる彼を追いかけはしない。否、出来るはずもなかった。
指一本を動かすだけで四肢の根元までが痛みに食われ、呼吸の度に全ての傷口がじくじくと喚き立てる。
しかして迎え撃つ事は出来ても追撃など夢のまた夢、一度折れた膝を再び持ち上げるのはひどく難しいと、今強く痛感した。

「……っ……どこまでも、小狡い……!」

だから遅々として遠ざかろうとする音を背に、恨み節を吐き捨てるのが限界だった。
朧に呑まれる視界、全身から抜ける力。流石に血を流しすぎたと朧に考えたのは、己の血溜まりに伏して間もなくの事。
ひどい痛手を被った八苦やしかと引っ捕らえられなかった悔悟、そうそう逃げ果せる身体ではないだろうという安堵ではなく。
守ろうとした幽けき命の鼓動を一番の心弛びとしたのが最後、少女は揺籃に意識を沈めた。

//寝落ち申し訳ありません、こちらからはこれで〆になりますっ
//楽しかったです、長らくお付き合いいただきありがとうございました!
84黎都◆</b></b>H1j4nPdd3CrY<b>[] 投稿日:19/09/20(金)21:07:04 ID:uPD [1/1回]
「今宵も月が綺麗だ…麗しき貴女にこれを…」

道のど真ん中で跪き、1人の女性に何かを差し出す男
その場面だけならロマンチックに映るかもしれないが…

『イヤァアア!?!?』
「え?ど、どうしたのかな?あ!ちょっと!」

女性は絶叫し差し出された何かを払い除ける、月明かりに照らされたそれは眩い光沢を持つまで磨かれた頭蓋骨
女性は血相を変えて走り去っていった。

「……あらら、これで何回目かねぇ」

男は一人月夜に佇む。
85翡翠◆</b></b>1fCQ8ONdj.<b>[sage] 投稿日:19/09/20(金)21:30:27 ID:qwx [1/1回]
>>79

「っく……」

セクハラとも取れる……返しに対しては歯噛みしつつも言葉を飲みこみ。
赤い眼を僅かに吊りながら、粘度の高く恨めしげな視線を送るのみ。
触れ合った手から伝わる体温がこそばゆく。妖魔故の低体温が手のひらを通じて共有された。
ともあれ、茶屋の女将にからかわれた時点で小さく声にならない叫びを喉奥で、思い切り手を振り払って、促される前に長椅子へと腰を下ろすことだろう。
青年が腰かけたのなら、おしりを浮かせて人一人分の距離を取ろうとした。
何分こういった類の弄りは未経験であり。お神の差し出す湯呑みに口をつけながら、ほう。とため息をついて

「……へぇ、なるほど。よく知らないけど突然変異みたいなものなのね。」
「で、一族全員そういうタイプで……まあ。悪評が流れるのは早いというし。それなのにいい噂っていうのは広まりにくいもの。でも」
「……」

親しい人もいるのならいいじゃない。とはぽそりと呟いた囁き事。
そこにはどこか憧れのようなものを孕み。
それ以上は語らず、女将がお盆と共に持ってきた甘味で小休止と。
早く食べましょうと言わんばかりに青年へチラチラと視線をよこした

//遅れて申し訳ございません!
86柳生七郎兵衛真千◆</b></b>E/RTrWEKE6<b>[] 投稿日:19/09/20(金)22:24:08 ID:PLn [4/5回]
>>85

弄るという行為に対して、しっかりと反応を返すとなれば、正しく思うところ、望むところなのである。
悪感情でやっているというわけではなく、また彼女が明確に拒絶をしないのを良いこととしての、意地の悪い笑顔であるのだった。
距離をあけられたとは言え、逃げられなかったならば重畳であった。開いた分の距離を、一息に飛び越えようと思うほど、愚か者ではなかった。

「まぁ、それだからと言って、恨もうとは思わない。軟派なボクであるから、悪いというのも、理解できないことではないのだから」

そういうものを、根に持たないのは、あるいは脳天気であったのは、真千にとっては幸運であったのだろう。
語る口調と同じく、それについては惜しく思っていないようであった。
さて、憧憬を含んだ彼女のつぶやきを、耳聡く聞いたのであれば、必要以上に洞察力高く、あるいは深読みかもしれないが、ともあれ、言葉を続けるのであった。

「何を言いますか。アナタとて既に、ボクにとって親しい人で御座いますれば。
 団子はお好きなように。ここの御手洗団子は、特に美味しくてね」

こうして茶屋で、茶を交わしながら団子を食べたならば、既に親しい仲。
友人だとか、知り合いだとか、そういう仲と言えるのが、真千の基準であった。
まるで待ったを掛けていたようだと思いながら、彼女を団子へ促したならば、自身もまた串を一つとって、先のそれを一つ口の中に頬張るのだ。

/お気になさらず、そしてこちらこそすみません、反応遅れました!
87翡翠◆</b></b>1fCQ8ONdj.<b>[sage] 投稿日:19/09/20(金)22:46:10 ID:7XR [1/2回]
>>86

(家族を持つ人間は人間で大変なのねぇ)
「……なぜ軟派であるから悪いと思うのか、私には理解しかねるわね」
「しがらみとしかならない繋がりであるならば足枷でしかないんじゃないかしら。」
「少なくとも私なら……そんな中で狭苦しく生きるよりも一人でいた方がいいと思うけれど。」

一人一種族の妖魔として、感じるのはそんな感想。
家族というものを持って生まれなかったが故、知らないからこそ簡単に切り捨てられるものであると短慮な考えに至る
それは説得でもなく同情でもなく、ただ自分ならどうするか。という思想でしかなかった。

「…………………そういうものかしら?」
「会ってまだ数時間と経っていないのに親しいと言えるのかしら。」
「その辺の機微には疎いのよ……ん、ん……んっ?」

青年の基準に関しては小首を傾げ、素直な心持ちを吐露
そうして促されるままに口に運んだ甘味、甘いみたらしの香りが鼻を抜け。予想を超えた味わいに瞳を丸くして子供のような声を漏らし、口元を抑えた
吊ったような瞳は僅かに和らいで

//おきになさらずー
88柳生七郎兵衛真千◆</b></b>E/RTrWEKE6<b>[] 投稿日:19/09/20(金)23:07:09 ID:PLn [5/5回]
>>87

「さてなぁ、そう言われれば確かにそうではあるけれど。そうも行かぬのが人の性で。
 しがらみは確かに枷であるけれど、その枷を振り払ってまで、何かを求める物が……あるでもないと」

確かに、その通り、足枷であるならば、それを切り捨ててしまえばよろしかろう。
ただ、そうは行かないのが人間という生き物。群れの中で生きる、人の繋がりの中で生きる、多分に窮屈な生物であるからこその悩みである。
そういう、自由に生きることに、憧れないと言えば嘘にはなるが、全てを捨てる覚悟も未だ持ってはいないのだった。
軟派者でありながらも、まこと単純で、普通の、人間的であった。

「そういうもの、と考えたほうがボクは楽だと思う。うん、押し付けるでもないが。
 んぐ、んぐ……難しいことではなく、そのほうが楽しいんだ」

甘い砂糖醤油の餡と、餅の感触を楽しみながら、真千はそう答える。
あくまで、押し付けるつもりはなく、そう思ったほうが楽しいし、気が楽だと思える、提案でしかないのであるが。
無論のこと、軟派者の発想である。真に受けることでもないだろうが。

「さて、さて、今の心地はどうだろう。目障りか、耳障りか、そういうものは、少しくらいは和らいだかな」

そして話題は回帰する。出会った当初、彼女が言っていた毒は、果たして薄らいだかどうか。
根が深いものであることは、真千も重々承知であった。消えたなどと思わず、これは、少しくらいは気は休まったかと、聞くのみ。
89翡翠◆</b></b>1fCQ8ONdj.<b>[sage] 投稿日:19/09/20(金)23:41:20 ID:7XR [2/2回]
>>88

「ふぅん……」
「面倒なのね、そういうの。しがらみに縛られるのがお好き、そういう趣味でもお持ちかしら」
「私にはどうしても理解できないわね……切り捨ててしまうもの」

返す言葉は気持ちに寄り添うものではなく突き放す形になってしまう。
当然の事、家族を初めから持ちえなかったものにそれを理解することは難しく。
それを強いと取るのか、悲しいととるかはまた、青年しだいなのだろう。
彼女はと言えば、なんでもない事のように細い首を嚥下の形に動かして。甘味の喉越しに瞳を細めた。

「その方が楽しい……ねぇ」
「……さて、さて。今の心持ちと来たか。どうなのかしらね。楽しくないと言えば嘘になるけれど。」
「それじゃあ逆に……聞くわね、貴方は他人の幸せを共に喜べる人かしら。あるいは……その逆?」

いつの間にか食事は終えていて。
離れた距離はそのままに、二人の間の隙間、長椅子の上に両掌を貼り付けるように
女豹のように身を屈め、下方からその名の通り。翡翠へ変化した両眼が青年の顔を上目でとらえた
90柳生七郎兵衛真千◆</b></b>E/RTrWEKE6<b>[] 投稿日:19/09/21(土)00:04:32 ID:9tP [1/3回]
>>89

「そう……切り捨ててしまえますか。それはまた……そうされないことを、祈るばかりだよ」

それを強いと見るか、弱いと見るか、長所と取るか、短所と取るか、真千にはなんとも言えぬものであった。
そういうことに答えを提示できるほど、達観できているわけではなかった。まだ青いが故の、軟派でもあった。
だが、彼女が何か、特別な事情を持っていることは、それとなく察することが出来た。

「……はてさて、その問いかけに、どれほどの意味を持つかは分かりませぬが……」

艶やかな格好で、真千を見上げる翡翠。上体を近づけられたまま、そちらへと視線をやれば、その眼とはどうしても視線が重なる。
先は確かに、あまり見せはしなかったものの、朱色をしていたものが、まさにその名の通りの、宝石の如く姿へと変わっている。
それは何を意味するか。体質か、術か、或いは化生の類か……とはいえ、そういう区切りについて、真千はどうでもよいと思う質であった。

「もちろん。お節介を焼く身でありますが、それ故に、そうしたものが幸福であるならば、どれほど嬉しいことだろうか。
 暖かな気分になれるものです。ちょうど、こういうように、茶を啜るように」

温かいお茶を音も立てずに一口飲む。
そうしてまた、翡翠へと視線を落として、視線を重ねたならば、相変わらずの、腑抜けた表情をしているのである。
91翡翠◆</b></b>1fCQ8ONdj.<b>[sage] 投稿日:19/09/21(土)00:38:08 ID:NWg [1/1回]
>>90

「そう……ひとまずはお礼を」
「暖かな気分になれる、そうなの。それはとても幸せで人のいい事」
「あなたのそれに、つかの間、耳障りと目障りは消え失せていたわ、だからありがとう」

つかの間でも、悪感情が薄れていたのは、触れ合いが楽しかったのは事実である。
翡翠の瞳は瞬いて、然し瞳を合わせた後に逸らされた
自らを軟派者と称する青年は、人の良い善良な人間なのだろう。
黒髪を指にまきつけながら、しかし面白くなさそうに唇をとがらせた。
不機嫌さが表出しなかったのは、ある意味予想していた答えであったからだろう

「残念だけれど、私は人の幸せを憎らしく思ってしまうタチなの」
「だからこそ、目障り耳触りは消えることは無い……し、」
「人を妬むし悪感情すら抱く。あなたとはきっと真逆の性格」
「さて、お人好し軟派者を自称する貴方は……これでもあってお茶しただけの私を親しいと言えるのかしら」

出会った頃に比べれば随分と饒舌に。
変わらぬ体制のまま伸ばした指、爪先が青年の首元をちくりと刺そうと伸ばされる
翡翠色をした瞳は蘭々と輝いて、青年の人柄へと嫉妬を始めた
92柳生七郎兵衛真千◆</b></b>E/RTrWEKE6<b>[] 投稿日:19/09/21(土)01:03:44 ID:9tP [2/3回]
>>91
その爪先は、然し首元へと刺さることはなかった。代わりに触れるとするならば、食べ終えた団子の串の、先端であろう。
残された餅の粘つく感覚すらも無い、本当の突端。それが爪先へと触れるだろう。
とはいえ、ただの串だ。殺傷せしめるには、なんとも頼り難い。払いのけようと思えば、全く想像の通りに、退けられよう。

「いやいや、こちらこそ、本当に有り難う。ボクとしても楽しい時間を過ごさせてもらったよ。
 ボクと共に居て、楽しいと思ってくれたことが先ず、何よりも嬉しい……軟派者冥利に尽きるとも」

彼女が何者か。何処かの国の密偵か、邪法を扱う妖魔か。大方の予想はついたのである。
かと言って、腰元の刀を抜き放ち、いざや打ち合い、いざや斬り合い、とするにはなんとも思えぬものであった。
この真千という人間は、自身の好悪のために、時に善悪や道理を踏み倒す癖がある。悪癖である。

「しかし、そうか、なんとも難儀な性だなぁ。ボクも色んな人を見てきたが、そういうのは初めて見た。
 治そか、治るものか、なんとどうして付き合っていったらよいのやら……ボクも考えなければ。いや、ともかくともかく」

正しく、脳天気を丸出しにしているような口調でもあった。だが、その腰に携えた刀もまた、同時に嘘ではないのである。
だからこそのであるかもしれぬ。新陰流の兵法は、全く伊達ではなく、柳生の名に連なる剣客であるからこその陽気であろうか。

「まったく、言えるとも。既に翡翠殿は、ボクにとって親しい隣人であると。
 さてや、団子のお代わりは如何? 懐事情は気にしなさるな、これでも金は割と持っているんだよ」

それから、瞬く間に空の串と、自身のまだ手を付けていない串とを持ち替えて、目前に突き出したのだ。
しかし、分水嶺でもあった。親しい隣人であるとて、いやだからこそ、その刀を抜き放たぬとも限らぬのだから。

「しかし、しかし、よく喋ってくれるようになった。ボクはとても嬉しく思うよ」

それは、その最中にあって、挑発や牽制のそれではない。言いたいことを言わないという選択肢に、とんと無頓着であった。
93蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/21(土)09:31:53 ID:00a [1/13回]
>>84

「……いや、それはそうなるでござろう」

声は頭上から。
青年が声の主を探すなら、丁度真横に佇む建物の二階。
宿屋なのであろうその一室の障子戸を半開きにし、縁に肘をついて眼下を見下ろす寝間着姿の人影があった。
白毛が混じる長黒髪を降ろした、その表情は苦笑い。

「頭蓋骨を渡されて喜ぶ女性は中々いないでござるよ。
 かんざしだとか櫛だとか……定番はその辺でござろうか」
94黎都◆</b></b>H1j4nPdd3CrY<b>[] 投稿日:19/09/21(土)09:43:58 ID:YPr [1/6回]
>>93
「!?」
「だ、誰だ…?」

男はキョロキョロと辺りを見回し声の主を見つける。
すると不服そうに目を細めて…

「いやはやそれは初耳だ、アタシとしたことが」

男は瞬く間に建物を駆け上がると一紗の目の前に顔を出す。その様は月夜も相まって彼の幽霊じみた風貌をより不気味に映し出す事だろう。

95蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/21(土)10:40:08 ID:00a [2/13回]
>>94

「おぉっ……!?」

まさか建物を駆け上って来るとは思っていない、驚いた様に少しだけ身を引いた。
痩せた身体で随分と機敏に動くものだと、興味深そうに青年を見つめる。
寝間着故にサラシはしていないが、それが無くとも貧相な胸囲は、ともすれば男性と誤認させるにも足るが。

「……あやかしの類でござるかな。
 いや失礼、覗き見等趣味が悪いが……丁度目に入ったので、観察させてもらっていたでござる」

ばつが悪そうに頭を掻いて、苦笑。
96翡翠◆</b></b>1fCQ8ONdj.<b>[sage] 投稿日:19/09/21(土)10:42:15 ID:Tsa [1/1回]
>>92

ぷつりと触れ合う串と爪
本性をさらした緑眼が、妖魔と知っても、悪い性格を晒しても変わらない青年の態度に見開かれた。
ともすれば自己開示とも取れるそれを、青年は風に揺れる柳の葉のように受け止めたのだから
少なくとも彼女が生きてきた数十年間の中で、五本の指に入るような珍しい出来事。
大抵の人間は、僅かな嫌悪でも抱くというのに
青年の悪癖は、妖魔にとって救いとなったか
溜息にゆれる胸部は気だるげな雰囲気すら纏って

(能天気なのか……もしくは……)
「……治る治らない、どうやってつきあったいったらいいか、だなんて。初めて言われたわ」
「………………随分とお人好しな能天気だ事」

そうして、赤く変化した両眼が青年を捉えたのなら、所在なさげに指先が余り髪を指にまきつけて
何か言いたげに唇を二度開閉し、再びの溜息を
今度のそれは、会話を繋げようとしても上手く返せない自分へのもので

「ご馳走様、おかわりはいいわ」
「…………今後、このお店、ひいきにするかもしれないから」

それは言外にまた来い、来たいと言っているようなもので
最後に女将へと、先程からかったことへの仕返しも込めて軽くジト目を送り
そのままの足で茶屋を後にした
後に残るのは椿の残り香のみ

//申し訳ありません寝落ちてしまいました
//長く拘束するのも申し訳ないのでこれで〆させていただきます!楽しかったですー
97黎都◆</b></b>H1j4nPdd3CrY<b>[] 投稿日:19/09/21(土)10:57:18 ID:YPr [2/6回]
>>95
「そんなに驚かなくてもいいだろう?」

ひと笑いすると彼女が身を引いたのをいい事に宿に上がり込む、するとまじまじと彼女を見つめて言葉を放った

「ご名答!アタシは妖魔、訳あって人間にフリしてんだけどね……所でアンタこそ男のフリをした女じゃないのか?」

何か納得がいったようにひとりでうんうんと頷く。
98蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/21(土)11:19:12 ID:00a [3/13回]
>>97

「いやぁ、流石にそう軽々とここまで来られては驚くでござるよ……」

部屋に上がり込んで来た青年に座布団を投げると、近くの布団に腰を下ろして、欠伸を一つ。
枕元に置いていた水が入った器を手に取り喉を潤す。

「はは、別に男を装っている訳ではござらぬよ、女であると主張もせぬが。
 拙者は武家の世継ぎ、それ以上でも以下でもござらぬ……さて、あやかしならば少し聞きたい事が」

膝に肘を置き、頬杖。
黒灰色の左目を閉じて。

「お主、頭に二本の大きな角がある、赤い肌の巨躯のあやかしを見た事は無いか?
 ……無いなら無いで結構でござるぞ」
99黎都◆</b></b>H1j4nPdd3CrY<b>[] 投稿日:19/09/21(土)11:36:38 ID:YPr [3/6回]
>>98
投げられた座布団をキャッチするとそれに腰を下ろす。

「武家の人間か、ならば納得…だがアンタは世継ぎである以前に一人の人間さ、何があったのかは知らないが
あんまり気負い過ぎるのは良くないねぇ…」

一通り話を聞いた後、目を瞑り思考を巡らせる。

「二本角の赤い巨躯、恐らく鬼や天狗の類か…?
う~む……あー、やっぱりはっきりとは分からん!」

そもそも妖魔となって日も浅い彼に分かることなどたかが知れている。
具体的な鍛えなど出せるはずがなかった。

「申し訳ないがアタシも妖魔の中じゃまだひよっこさ、多分歳もアンタとそんなに変わらない」
100蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/21(土)11:54:30 ID:00a [4/13回]
>>99

「ご心配はありがたく……しかし何も気負って等ござらん。
 むしろ、己がやりたい事に忠実に生きているのみでござる」

軽やかに笑みを溢し、答える。
武家を継ぐ事も、仇討も、実際己が本当にやりたい事だからやっているのだ。

「知らないでござるか、ふむ、中々行き詰まりでござる……」

呟き、溜息。
巨躯のあやかしを見かけたという情報をもとに丁の町へやってきて、早一ヵ月は過ぎる。
仇の情報は満足に集められていない、致し方の無い事ではあるが。

「……あやかしは外見で歳を計れないでござるからなぁ。
 拙者は蓮村一紗、歳は十九でござるよ」
101黎都◆</b></b>H1j4nPdd3CrY<b>[] 投稿日:19/09/21(土)12:12:38 ID:YPr [4/6回]
「そうかい、なら何も言わないよ」
「妖の中にもアタシみたいなのがいるもんさ、悪いね力になれなくて」

一紗の肩にポンと手を置く、元々骨の妖ゆえ温もりなど
持ち合わせてはいないが頑張れという気持ちは伝わる筈

「アタシはがしゃどくろ、この町では黎都で通してる、歳は二十くらいか、はっきりとは覚えてないね」

笑顔でそう言うと今度は肩に手を乗せたまま耳元で呟く。

「ここまでお互い話したんだしアンタ……アタシの妻になる気は無いか?」

空いている方の手にはちゃっかりと白い骨製のかんざしが握られている。


102 : 黎都◆</b></b>H1j4nPdd3CrY<b>[] 投稿日:19/09/21(土)12:12:50 ID:YPr [5/6回]
>>100
103蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/21(土)12:37:52 ID:00a [5/13回]
>>101

「いや、拙者が勝手に聞いた事でござる、お主が気に病む必要は無いでござるよ」

肩に置かれた手に苦笑を返し、小さく頭を下げて。

「では黎都殿と。
 ははは、気持ちは嬉しいが……拙者、まだ身を固めるつもりは無いでござる」

やんわりとした断り。
頬杖をついて笑うその姿が影になった。
僅かに雲に遮られた月明かりが、今は黎都だけを照らしている。

「何より、それは拙者には似合わぬ。
 父から教わった事だが、贈り物は、何よりも贈る人に合う物を贈るのでござるよ。
 かんざしは他の女子に渡すでござる」
104 : 柳生七郎兵衛真千◆</b></b>E/RTrWEKE6<b>[] 投稿日:19/09/21(土)12:56:47 ID:9tP [3/3回]
>>96

柳生七郎兵衛真千の悪癖は、正しく自分本意なのである。彼女が人に害為す妖魔であったとしても、それに対してなんとも思わず。
こうしているのは、一重に彼女を気に入ったからというものである。言い換えれば、やはり脳天気にもなるであろう。
お人好しとは言っても、極度のではなく、手の届く範囲内での話。そこまでならば、どこまでも優しくあろうが。

「そうか、ならばボクが一番槍を貰ったということで。なんと名誉なことだろう。
 お人好しで脳天気だからこそ、こうして一つまた巡り会えたのでしょう。ならば、それはボクにとって幸運だ」

なんとも本心から言っているのだ。
彼女の内心に察しが付いていないわけではないのだが、だからこそと言った様子であった。
ともかく、彼女へと向ける視線は兎角親しみの籠もったものであった。

「おや、もう行ってしまうのかい。それはなんとも、名残惜しい……」

その、どこか落ち着かない様子で、髪をイジる姿を微笑ましく見つめながらも、嘆息の次にやってくる言葉に、まったく残念だと口にする。
まだ話してみたいことはあるというのに、と思いながらも、然しその次に紡がれた言葉に、目を輝かせるのだ。

「それはそれは!では、ボクも、ここに足繁く通うとしよう。
 また、いずれ逢いましょう。その間が、短いものであるよう願っているよ」

じっとりとした視線を、緩やかな笑顔とともに受け止めながら、その背中を追いかける。
残る椿の香りを、静かに楽しみながら、最後の団子を口の中に入れるのであった・

/いえいえ、お気になさらず!
/それではこちらもこれで〆で、私も楽しかったですー!
105「安宅」VS『甲冑』 ◆</b></b>8s3Vqae61o<b>[sage] 投稿日:19/09/21(土)13:13:10 ID:ErA [1/1回]
バッカーン!と爆発音を響かせて、背の高い草生い茂る沼の傍にあった廃屋寸前の社の観音開きの扉が吹き飛ぶ。

「いってぇえええ!?」

吹き飛んだ扉と共に地面に叩き付けられたのは大柄の虚無僧。
その手には本来虚無僧は所持していないであろう錫杖。
虚無僧を輩出した社からは濛々と煙のように埃が立ち込め、その奥から影がゆっくりと姿を見せる。

『おいてけ…』
「ったくなんだってんだ!置いてけ堀にしちゃあ剣呑極まりねえっ!!」
『おいてけえええええッ!!』

咆哮が空気をビリビリと震わせ埃を巻き上げ咆哮の主を詳らかにする。

それは大柄の虚無僧より更に一回り大きな体躯を誇っている甲冑。
両肩には鬼を模した大袖、総面からも立派な角が二本生えている。
鎧の隙間からは炎が噴き出ており中身がヒトならざるモノなのは明らかだった。

「んだよ、魚かあ?沼で釣ったのなんざ猫の腹ごなしにもならねえほどの量だぞ、しかももう食った後だ!!」
『お、い、て、けぇぇえええええええええええ!!』
「吐けってか!?」

虚無僧と甲冑。
互いの距離はかなり開いているが甲冑は右手に携えた刀と呼ぶには太過ぎ、鉈に近い得物を振り上げる。
その刃にも炎が纏わりつき、それを振り下ろせば虚無僧へと炎が蛇のようにウネリながら飛びかかる。

「マジかっ!?」

//マチです
106黎都◆</b></b>H1j4nPdd3CrY<b>[] 投稿日:19/09/21(土)13:23:31 ID:YPr [6/6回]
>>103
「ま、また…振られた」

分かりやすく肩を落とすと、しばらくして顔だけを上げ彼女を見つめる。その表情はいじけた子供のようで

「はは、滑稽かな……その言葉胸に刻んでおこう」

一例すると立ち上がる、その姿は更に月光を浴びて神秘的な雰囲気を醸し出す。

「失礼した」

障子戸から飛び降りると家々の上を縦横に走り姿を消した。

//私の方からはこれで〆ということで!ロール楽しかったです!




107 : 蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/21(土)13:49:12 ID:00a [6/13回]
>>106

「ははは、女心は難しいのでござるよ」

揶揄い混じりの笑みを浮かべて片手を振り、外へと飛び出す黎都を見送った。
静かに障子戸を閉めて、欠伸混じりに布団に横になる。
明日も早くから仕事の手伝いだ。



「……父上は私を叱るだろう。
 私が歩んでいるのは……決して正道では無いからなぁ」

障子たった一枚。
その先にある筈の月明かりが、やけに遠く感じられた。

//こちらも楽しかったですー、お疲れ様でした。
108紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/21(土)16:27:55 ID:yUt [1/2回]
茶屋の朝は早い。縁台を軒下に出す前にもやる事はたくさんある。
人通りがまだ閑散としている間に、店先の道路を掃き清めるのもまたその一環。
だから麻の葉模様の着物を纏う少女は、今日も暁光を浴びながら箒を持つ手を動かすのだ。

「…………ふぅ」

作業を止めて一息。半ばまで裂断された右の獣耳がぶらと垂れる。無意識に指がたなびく包帯の端を弄んだ。
緩く頭に巻かれたそれは右目を通り、左耳が位置するはずの箇所までを平坦に覆い隠して栗色の髪を白で彩る。
灰の瞳を瞑って少々の間、気を取り直して生々しい貫通の傷跡が残る両手で箒を握り直した瞬間。

「――っと」

ふらり、覚束ず揺らぐ華奢な肢体。踏ん張りの効かない身を辛苦が一斉に襲ったか、思わずして苦悶に顔を歪めた。
109蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/21(土)20:33:34 ID:00a [7/13回]
>>105

二人の横合いから叢を掻き分けて飛び出した、白道着姿の侍が一人。
右手に構えた薄く白光を纏う刀を縦一閃。

「『魂気、滝柳』!」

二人を分かつ様に広がった白壁に、妨げられた炎が地面を焼き焦がした。

「ご無事でござるか安宅殿!」

知り合いを案ずる言葉と共に、再度刀を構えなおし、今度は真横へ一閃。
軌道をなぞる形で、三日月型の白光が甲冑へ向けて放たれる。

「『魂気、飛鷹』!!」
110「安宅」VS『甲冑』◆</b></b>8s3Vqae61o<b>[sage] 投稿日:19/09/21(土)20:44:02 ID:dnR [1/6回]
>>109
『おい―

ガツン!と大きな音と火花を散らして蓮村の一閃が甲冑に炸裂。
その巨躯を揺らしたたらを踏ませた。
しかし大きく傷ついた様子はない、そこそこに硬い。

「ははっ!情けは人の為ならずってヤツだな。ありがとうよ!」

窮地を救われた虚無僧は立ち上がり構える。
両手で握りしめた錫杖に妙な光が宿る。

「気ぃつけろよ?奴さんカラクリだかアヤカシだか正体が分からん。
 何を置いてけって言ってるかもハッキリせんしなあ…」

『おいてけ…おいてけ……!』

ズシンと重々しい音を響かせ社から遂に外へと歩き出す甲冑。
鉈の如き太刀が炎を纏い周囲に熱を散らしている。
111蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/21(土)21:15:44 ID:00a [8/13回]
>>110

「間に合って良かったでござる、何やら叢の向こうより騒ぎが聞こえた故、駆けて参った次第!」

正眼に構えなおし、刀身には再び白光が絡みつく。
安宅の知識範囲次第では、これが『魂練り』と呼ばれる禁術の一種かもしれないと、気付ける可能性もあるが。

「確かに、一筋縄ではいかぬ様だ。
 しかし正体が分からず敵対しているとなれば、やるべきことは単純でござろう、叩きのめすのみ!」

上段へと振り上げた刀を、綺麗に真っ直ぐ振り下ろせば、地面に対して垂直な斬波が飛ぶ。

「『地走(ちばしり)』ッ!」
112沙前守灯弥◆</b></b>ylu7wPFPKA<b>[] 投稿日:19/09/21(土)21:20:19 ID:x7Z [1/2回]
>>108
やや肌寒さを感じ始める、そんな朝の事。

「おっと。」

立眩む少女の肩を、一人の男が支える。
真っ黒な遊びの無い作務衣と、白い手拭い姿のそれは、些か爽やかな朝には相応しくないように思えた。
対照的な服を着た彼は、ゆっくりと獣耳の少女を立たせる。

「大丈夫か?」

男は背中に背負った荷物を降ろしながら訪ねる。
その姿は、場合によっては少々不愛想に見えるかもしれない。

「申し訳ない。女将さんに頼まれていた包丁を持ってきた。」

男はどうやら鍛冶屋のようであった。
女将さんはご健在か、と少女に尋ねながら、包みの中の包丁を一丁一丁、確認する。
113「安宅」VS『甲冑』◆</b></b>8s3Vqae61o<b>[sage] 投稿日:19/09/21(土)21:29:11 ID:dnR [2/6回]
>>111
ガリガリと蓮村の放つ一撃は甲冑の表面を削ったが、決め手には至らない。
甲冑が攻撃を避けないのは自身の防御に自信がある以上に然程瞬発力がないせいだろう。
一応身を庇う動きは見せているので全く脅威になっていない訳でもなさそうだ。

「おうおう、大盤振る舞いだな。あんまし無茶すんなよ?」

禁術に気付いているのかいないのか定かではないが蓮村へと声をかける虚無僧。
技にバリエーション皆無の虚無僧は、蓮村の一撃に合わせて相手へと躍りかかる。

『おいてけ!』
「八百万乃一撃ぃ!」

甲冑の頭へ振り下ろされる錫杖。
ガイーン!と鐘を打ち鳴らすかのようないい音が響いた。
蓮村の一撃によって虚無僧の攻撃は防がれる事なく決まったが…

『……、…おいてけぇっ!!』
「あり?ほげぇええええっ!?」

甲冑の徒手空拳が唸る。
腹に拳がめり込み虚無僧が盛大に吹っ飛ばされる。

「ほげぁっ!?」

またもや虚無僧は地面に叩き付けられた。
渾身の一撃である筈だが甲冑は倒れない。
しかしやや火の勢いが弱まったように見える。
114蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/21(土)21:54:05 ID:00a [9/13回]
>>113

「支障無い!
 しかし些か頑丈でござるな、見掛け倒しではなさそうだ。
 ……間接攻撃の効果が薄いならば、直接斬るか」

再び構えなおし、疾駆。
甲冑の一撃により安宅が吹き飛ばされれば、一度心配するようにそちらを見やった。

「怪我はござらぬか、安宅殿!」

甲冑の目前右足で踏み込み、刀を上段に振り上げて今まさに一撃を見舞うかのように。
……それをフェイントとして立ち止まり、踏み込んだ右足で地面を蹴り跳躍する。

「回閃(かいせん)!!」

車輪の如く空中前転、刀は甲冑の隙間を狙い滑り込ませる。
115「安宅」VS『甲冑』◆</b></b>8s3Vqae61o<b>[sage] 投稿日:19/09/21(土)22:02:35 ID:dnR [3/6回]
>>114
「吐きそう…」

流石に無傷という訳にはいかなかった様子。
虚無僧は起き上がろうとしているようだが動きが緩慢だ。

甲冑がフェイントに引っかかり太刀で攻撃を受けんと動いた。
隙が生まれ狙い通り甲冑の隙間へと蓮村の刀が滑り込むが何かを斬ったような感触はない。
僅かばかりの炎が散っただけに終わる。
然程素早くない甲冑ではあるが、
流石に今までで一番効果の薄かった蓮村の一刀にいつまでも突っ立っているだけではない。

『おいてけえええええ!!!』

ぶぉん、と荒々しく太刀が振るわれ蓮村へと迫る。
切れ味皆無であるが頑丈な鉄の塊だ。
直撃すれば人の身ではそれだけで脅威だろう。
116紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/21(土)22:03:26 ID:yUt [2/2回]
>>112
「わっ……」

あわや尻餅を覚悟するところであったが、支えられた身体はどうにか直立を保つ。
事態を飲み込めていないのかきょとんと顔を見上げ、やがて立たされてようやく目を瞬かせた。

「うん、大丈夫……ありがとう」

箒を支えに自分の両足で立って、軽く頭を下げる少女もまた愛想があるとは言い難い態度で。
真新しい金属の匂いが新鮮に思えたか、すんと鼻を鳴らしてまじまじと物珍しげに検分の様を観察していたが。
用向きが自分に無関係でないと聞けば、束の間視線を宙にやってから、やがて合点が行ったように頷いた。

「おばちゃんから聞いてる。皆元気だよ。渡しておくけど、会ってく?」
117蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/21(土)22:20:14 ID:00a [10/13回]
>>115

「なっ……空洞か!?」

甲冑且つ声を発している、中に誰かが、或いは何かがいると踏んでの攻撃。
しかし読みは外れ、それは当然大きな隙として現れる。
鉄塊の一薙ぎに慌てて刀を合わせて。

「ぐぁあっ!」

弾き飛ばされ地面を転がる、手応えは十二分にあっただろう。
注視していれば、地面に落ちる寸前、一紗の身体が白光を纏い衝撃を緩和した事に気付けるが。

「(あぁ、全く儘ならない、しかし中が空洞ならば……。
  遠慮無く、渾身の一撃を見舞いしてやる、しばらく動けなくなるが致し方なし!)」

立ち昇る砂煙、地面に転がったまま、日本刀はじわじわと白光を纏い始めた。
それは今までの薄い光では無く、より濃く、かつ厚い物。
118「安宅」VS『甲冑』◆</b></b>8s3Vqae61o<b>[sage] 投稿日:19/09/21(土)22:34:01 ID:dnR [4/6回]
>>117
『おい、て、けえええええええええええ!!!』

蓮村の様子に何かを感じ取ったのか。
甲冑が此処に来て初めて構えらしい構えを見せる。

「ああ?……ありゃ随分と古い構えだな」

錫杖両手で支えに膝立ちの虚無僧が甲冑の構え方に呟く。
真面目に刀術を収めた者なら甲冑の構え方が古い剣術の型の一つだと察せられるだろう。
今では有用性が薄いと知識だけが伝えられるような、そんな類の構えだ。

「……何か引っかかるな?何だっけか」

虚無僧が記憶の片隅で引っかかる何かを掘り出そうとしている最中、
甲冑も又、その身体に炎を盛らせ、強力な一撃を見舞わんとしているようだった。
119蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/21(土)23:03:10 ID:00a [11/13回]
>>118

「ふぅぅぅぅ……!!」

深く深く、息を吸っては吐きを繰り返し。
手を突いてゆっくりと立ち上がると、刀を正眼に。
濃く分厚く纏わりついた白光が、日本刀を大剣と見まごう姿に変貌させていた。

「……如何された安宅殿、何か気付いた事でも!?」

疲労か、声は僅かに張りを失い、額は汗が伝う。

「すまぬ安宅殿、拙者、今一度剣を振るえば数刻動けなくなるでござる!
 いざとなったら頼みたいのでござるが、宜しいか!」
120「安宅」VS『甲冑』◆</b></b>8s3Vqae61o<b>[sage] 投稿日:19/09/21(土)23:15:25 ID:dnR [5/6回]
>>119
「任された!安心してぶちかましてやれ!
 拙僧の推測が正しければこの一撃で事態は終わる!!」

錫杖に再度光が籠る。

『おいて、けえええええええい!!!』

同時に甲冑が太刀を振り下ろす。
冒頭で虚無僧を襲った火よりも火力を増した炎の斬撃が蓮村へと迫りくる。

「置いてってやるよ……お望みのもんをよぉッ!!」

それを阻まんと虚無僧が跳躍。
身体を捻り回転させて炎の斬撃へと錫杖を突き出す形で叩き付ける。

「安宅流槍術、八百万乃一撃ぃぃぃッ!!!」

炎と閃光が弾け、互いの勢いを相殺。
残ったのは互いに得物を振り下ろした姿勢の甲冑と虚無僧!
121沙前守灯弥◆</b></b>ylu7wPFPKA<b>[] 投稿日:19/09/21(土)23:32:17 ID:x7Z [2/2回]
>>116
「いや、止めておこう。話が長そうだ。」

静かに、刃を親指の爪に当て、確かめる。
ちょっとの間の後、男は満足したかのように頷くと、包丁をまとめて改めて包み直す。

「その怪我、どうした?」

視線を少女へと向けながら尋ねる。
事故、というにはあまりにも剣呑な雰囲気。獣人とはいえ、そこらの町娘が付ける傷ではなさそうだった。

「無理に話せとは言わんが。」

//申し訳ありません!返信が遅れました。
122蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/21(土)23:35:56 ID:00a [12/13回]
>>120

「すまぬ安宅殿!頼んだ!」

覚悟の笑み、いずれにせよこれが最後か。
安宅と甲冑の攻防の後、砂煙と白煙の向こう側、佇むのは白光の巨剣を構えた若侍。

「決着を!いざ一刀、参る!」

両手でしかと握りしめ、頭上高々と振りかぶり。
渾身の力を込めて、袈裟懸けに斬り下ろす。

「『魂気、大薙月(だいなづき)』ッッ!!」

烈風巻き起こる、空気を断ち割り大地を切り裂きながら奔る、巨大な白い閃光。

刀を振り終わると同時に、一紗はその一撃の行く末を見届けずに、地面にうつ伏せに倒れ伏した。
123「安宅」VS『甲冑』◆</b></b>8s3Vqae61o<b>[sage] 投稿日:19/09/21(土)23:52:48 ID:dnR [6/6回]
>>122
さて、話は蓮村が満足に動けるようになった後にまで飛ぶ。

「結末?奴さんならお前さんの一撃を受けて吹っ飛んだ。
 だがその後、何事もなかったように起き上がって満足そうに社に引っ込んだよ。
 流石に甲冑の一部が弾け飛んでたけど、その弾け飛んだ部分も後を追うように社へ這いずっていった」

人里の医療施設で蓮村が虚無僧から聞いたのはそんな話だ。

「だいぶ昔にカラクリ技師が当時の剣豪達の技を後世に残す為にと、
 剣豪の動きを真似るカラクリを作ろうとしたって話があってな?
 失敗したとも成功したとも何やらアヤカシの関与があっただの色々あるんだが…
 まあ、当たらずとも遠からずの存在だろうよ。
 あの社にも曰くがありそうでチョイとこれから探ってみようと思っている。
 上手くすれば奴さんの正体も分かるだろうし、どう処理したもんかは、そのあと考えるさ」

甲冑にとって今回の戦いは相手の技を学習するためのものだったのかもしれない。
学習したところであの動作では技を再現するには無理がありすぎると思われるが。

「まあ、少なくとも動きの再現は失敗したんだろうなあ…」

何はともあれ、甲冑騒動は一旦閉幕となった。

//これにて〆です お疲れさまでした!
124 : 蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/21(土)23:55:29 ID:00a [13/13回]
>>123

//お疲れ様でしたー、ありがとうございました。
125紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/22(日)00:03:44 ID:H8Z [1/5回]
>>121
そっか、と納得してそれだけ。実際ふくよかで人当たりのいい女将は、捕まるとなかなかよく回る舌から解放してくれない。
彼女もそれはよく分かっているから、さして食い下がるでもなく無言で同意を示した。
しかし負傷の痕跡を指摘されれば、窮したように睫毛を伏せて口ごもり。

「ああ……これ?……ちょっと面倒事に首を突っ込んじゃっただけ」
「まだちょっと痛むけど、放っておけばそのうち治る。だから、大丈夫」

他者からの無用な心配を好まないのだろう、微かに笑んで目を逸らす。
本当は少しばかりの欺瞞を含んでいた。塞がっているのは表面だけで、肉や神経は未だ深く傷ついたままなのだから。
故にこそ先刻もふらついたのだが、言及を避けるべくぱっと顔を上げた。

「お代、取ってくる。ちょっと待ってて」
「……お茶でも飲んでく?せっかく届けてくれたし、ご馳走する」

慌ただしく、けれど普段より心なしか緩慢な動きでせかせかと店の奥に引っ込もうとして。
途中ではたと足を止めて振り返り、首を傾げて反応を伺った。

//お気になさらずー!
126沙前守灯弥◆</b></b>ylu7wPFPKA<b>[] 投稿日:19/09/22(日)00:16:58 ID:I46 [1/4回]
>>125
「そうか。」
「いや、本当お構いなく。」

あまり多くは語らないが、まあ一種の心遣いのつもりだった。
言及されたくない何かがあったのだろう、と。それも何か物騒な事が。
であるならば、それ以上聞く事も無い。

ふと、自分の肩の方をちらと見る。
まだ新しい傷が一つ。先の妖魔との戦闘の事を思い出す。

(戦の世は終わったと思っていたが。)

店先に出来た、枯葉の小さな山が、風に吹かれて崩れていくのを彼は一人眺め、少女を待つ。
127紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/22(日)00:36:18 ID:H8Z [2/5回]
>>126
ややあって戻ってきた彼女の手にあるのは、箒に代わってお盆だった。
その上に乗っているのは金属音を立てる小さな包みと、湯気を立てる二つの湯呑み。
途中体勢を崩して思いきり肩を壁にぶつけても溢さずに済んだのは、生来の感覚が幸いしたか。

「…………押し付けられた」
「何かあったら、またよろしくって」

不本意そうでいて、どこか申し訳なさそうな言葉。表情は変わらないまでも、分かりやすくちぎれかけの右耳がぺたりと垂れた。
お盆を差し出しながら、思考の糸を弄んでいたのを察したのか、灰の片目が見上げる。

「……どうかした?悩み事?」
128沙前守灯弥◆</b></b>ylu7wPFPKA<b>[] 投稿日:19/09/22(日)00:56:25 ID:I46 [2/4回]
>>127
「いや。物騒な世の中になったと考えていただけだ。」

出されたものまでわざわざ断るのも野暮だ。
男は、取り敢えずの思考を放棄して、いただきますと小さく呟いてから湯飲みを手に取る。

「ふふ、相変わらず商売上手なことだ。」

婆さんの表情が何となく浮かぶようでもあった。
軽く口を湿らせるように湯飲みに口を着ける。湯気が上りくる朝日に溶けていく。

「まぁ、あの人も心配事が多いんだろうよ。」

そう言いながら、男は目配せで少女に座るよう促す。
129紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/22(日)01:12:29 ID:H8Z [3/5回]
>>128
悩みの種を聞き出して、さりとて簡単に解を出せるほどに小さな問題ではなかったから。
お盆を小脇に挟めて自分の分の湯呑みを両手で抱え持ち、ふうふうと冷ましながらううんと小さく唸った。

「人もあやかしも多いから、仕方ないよ。大きな戦が始まるよりはいい」

視線の意図を汲み取って数秒の逡巡を置いてから、軒下の縁台に腰を据える。
温かな緑茶で喉を潤せば、心底からじわり染みる熱に仄か弛ぶ頬。
しかし世話になっている相手の心配事の話となれば、ぎくりと身を縮めてあからさまに顔を背けた。

「う……分かってる。今回も心配かけたし……悪いとは思ってる……」

もごもごと、言い訳がましく呟くのは一応の自省の表れなのだろう。
罪悪感を抱いているのは本心のようで、獣耳もすっかりぺたんと伏せてまるで何かに謝っているようでもあった。
130沙前守灯弥◆</b></b>ylu7wPFPKA<b>[] 投稿日:19/09/22(日)01:27:56 ID:I46 [3/4回]
>>129

「仕方ない、か。そうかも知らんな。」

自身が人斬りの道具を造っている、という自覚も胸に。人が多ければ諍いは避けられない。
仕方がない、と割り切るのは賢い選択なのかも知れなかった。
男は残った緑茶を一気に飲み干す。ほのかな苦みが口の中に残った。

「それだけ大切にされているということだ。反省も大事だが、ありがたく思っておけばいい。」

しゅんとした様子を見せる少女にどこか苦々しく笑いながら。
男は湯飲みをお盆の上へと返し、小さな包みを受け取る。ちゃりん、と小さな音が響く。

「長居したな。婆さんにもよろしく伝えといてくれ。」
「頂いたお茶の分はよろしくしてやるってな。」

そう言って、男はゆっくりと立ち上がる。
辺りには、徐々に人の気配のようなものが立ち始めていた。
131紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/22(日)01:46:06 ID:H8Z [4/5回]
>>130
「それは……そうかもしれないけど……」
「……でも、困ってる人は放っておけないし」

たかだか住み込みの自分を気にかけてもらえる擽ったさに、痛みを上回った反射神経で肩を竦めて。
血縁関係でもない老夫婦に気遣わしく思われる所在無さが、上手く言語化できなくて眉尻を下げた。
人間に近い価値観でか弱い反論、逃げるようにお茶を啜る姿は幼な見た目相応の振る舞いで。
小銭の擦れ合う音を視線で追いかけ、座ったままに稚く見上げた。

「ん、伝えとく。仕事じゃなくても、いつでも来て」

頷いて、けれど怠惰に湯呑みを抱えたまま動かない。元々自ずから客引きをする女給ではないのだが。
雄鶏がどこかで鳴いて、森閑の通りを人の気配が満たしていく。丁の町は今ようやく朝日に起こされて瞼を持ち上げたようであった。

//それではこの辺りで〆でしょうか!
//ロールありがとうございました、お疲れ様でしたっ
132 : 沙前守灯弥◆</b></b>ylu7wPFPKA<b>[] 投稿日:19/09/22(日)01:48:20 ID:I46 [4/4回]
>>131
//ありがとうございました!!!
133蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/22(日)14:41:23 ID:4ny [1/5回]

「儘ならない」

白道着の若侍、川辺の石に腰かけて釣り糸を垂らし、ぼんやりと物思い。
傍らに置いた籠は空っぽ、釣果はまだ無しだ。

「儘ならないなぁ……」

3年前、故郷と家を焼かれてから独り立ちし、仇の情報のみを追って丁の町へ流れ着いた。
しかし来てみたは良い物の、当の仇は姿を隠しているのか何なのかそれ以降の情報がぱったりと止まっている。
仇探しはどん詰まりの状況であった。

糸が揺れた感覚に竿を引くが、餌が食われているのみ。
釣りすらも上手くいかないと来たものだ。

「むむ……」

ムキになっているのか、また餌の小虫を針先に付けて糸を放る。
数刻前から、一紗はずっとこの作業を繰り返している。
134 : 卑劣のハンゾウ ◆</b></b>wYS9Fy9IWkr.<b>[] 投稿日:19/09/22(日)15:23:44 ID:znh [1/1回]
>>83
//遅くなってすみません!ロールありがとうございました!
135 : ◆</b></b>W9/EZq3i5Ymm<b>[] 投稿日:19/09/22(日)15:26:10 ID:Gwu [1/1回]
>>76
/ありがとうございました!連絡遅くなってしまい申し訳ありません
136柳生七郎兵衛真千◆</b></b>E/RTrWEKE6<b>[] 投稿日:19/09/22(日)16:09:33 ID:gss [1/5回]
>>133

「やぁ、やぁ、釣果は如何かな?」

腰に二振りの差料と、質の良い着物と袴に身を包み。背丈の高い青年の剣客は、白道着の若侍へとそう声を掛けた。
先ずは彼女へと目をやって、それから籠の中を見て、その言葉の如何を察してから、川の流れへと視線を移す。
今の季節は何が釣れるだろうか……そう思いながら、釣り糸の先の動きを追い掛けてから。

「ボクが思うに、釣り糸の動揺は、川魚どもにも伝わるのではないでしょうか。
 得るものも得られぬのでは、ただ時を貪るばかり。ここはひとつ、何に心乱しているか、ボクに話してみては如何でしょう?」

さて、釣りについて詳しいものではないのであるが、そこに何か、若侍の、精神的な動揺をなんとなく察することはできた。
そういう推察だけは、それなりにやれるものであった。突如現れてなんとも不躾であるが、そう問い掛けるのだ。

/夜まで置きになりそうですが、よろしければ……
137◆</b></b>S5ykjYrjP.<b>[] 投稿日:19/09/22(日)16:10:27 ID:opM [1/5回]
ここ数日「丁の町」を賑わせている話題があった。
長屋の井戸端や奉行所の同心達も、暇さえあればその話をしている程に。
童達は大人の話を盗み聞きして、鬼の首でも取ったように口にした。

それは噂、「人斬り」の噂。

否、噂という表現は正しくない。実際に被害者が出ているのだから。
いずれも屈強な男性ばかりであった。落ちぶれた侍や武芸者が多いとは言え、
被害者は皆帯刀しており、腕っ節も有名な者ばかり。

けれども、死体は全て胴元で一刀両断されていたのだからタチが悪い。
一体どんな体格で、どんな得物を使えばこのような芸当が出来るのであろうか。
挙句、妖の仕業であると声高々に言われるのも無理は無いのだろう。

兎角、町を騒がせる「人斬り」の話とはこの様なものであった。



そんな「丁の町」夜半が過ぎて、人通りも少なくなった頃合に
足音が二つ、軽い音と重い音、協奏曲の様に響いて
月明かりに照らされるのは一組の男女。逃げるのはまだ少女ぐらいの頃合か。

銀色の髪に赤い椿の簪。紅色の艶やかな着物と花を贅沢にあしらった羽織。どこぞの花街の花魁の様な風体で。
手には一本刀を抱えて、必死に走っていた。

追い掛けるのは大柄な男、編笠を深く被って、長い一纏めの髪が漏れていた。
手に持つのは大太刀と呼ぶに相応しい巨大な刀で、
男は追いかけていた、少女を。そして、追い込む町の外れ。
長屋と長屋の合間に追い詰められた少女は、壁を背にぺたりと座り込んで、怯えた表情で男を見ていた。
138蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/22(日)16:51:27 ID:4ny [2/5回]
>>136

「……見て分かるでござろう、絶不調でござる」

不機嫌そうに眉間に皺を寄せ、ぴくりと揺れた竿を上げる。
釣り糸の先には何も無い。

「ええい、拙者の夕餉め、ちょこまかと逃げる……」

針に再び小虫を突き刺しながら、問いかける剣客を横目で見やった。
溜息を一つ、また糸を投げる。

「探し人が見つからんのでござる、人というよりあやかしでござるが。
 この辺で見かけたという噂を聞いてからまるで話を聞かなくなったのでござる。
 ……お主、肌が真っ赤で、頭に二本の角を持った大きなあやかしを見た事はござらぬか?」
139◆</b></b>LDVgAgiGGo<b>[sage] 投稿日:19/09/22(日)17:13:03 ID:523 [1/1回]
>>137

2人の後ろから、何者かが起き上がる気配。
休んでいたのだろう、重ねた桶の陰から、菖蒲色の着物の男が姿をのぞかせる。
長身だが、その身体の厚みの為に痩躯には見え難そうで。
着物から出る手足も太く、特に頚部の太さが際立つ。なのに雪駄を履く足は重みを感じさせぬ足取りだった。

「こんな夜分にまぁ……色街から逃げてきたのかい?」

両者に歩みよる、その腰には刀を帯びていなかった。武士ではないらしい。
女へ柔らかい声音をかけて、結われた頭を指でこりこりと掻いた。


//まだよろしければ……
140◆</b></b>S5ykjYrjP.<b>[] 投稿日:19/09/22(日)17:19:56 ID:opM [2/5回]
>>139

少女は座り込んだままやって来た男を見上げた、宵月の照らす輪郭は雅。
白露に似た涙を瞳に浮かべながら、少女は小さく頷いて

「っ……助けて、ください……私、国に帰りたい……っ」

震える声色は鈴の音に似ていた、か細い首筋が震える様子は、さぞ嗜虐心を擽るのだろう。
相対した男は振り返る。対峙する距離は近い、数歩踏み込めば男の刃が届く距離だ。


「ほう、人斬りの噂を知らんのか、帯刀もせずに夜の街を歩くなど
 斬り殺されても文句は言えまい、大人しく貴様も刀の錆になるがいい」

悠然と男は大太刀を抜刀する、長い刀身も男が持てばまるで爪楊枝の如く。
右の手に握ったなら、勢いよく踏み込んだ。尋常ではない贅力が撓る弓を思わせた。

袈裟斬り。男の腹部を切り裂かんと刃が走る。

//大丈夫ですよ!
141◆</b></b>LDVgAgiGGo<b>[sage] 投稿日:19/09/22(日)18:28:57 ID:7CM [1/4回]
>>140
女の涙に、困ったように太い眉を八の字に曲げた。
そのくせ剣呑な光を映す太刀には少しも怯えを感じないようだった。

「おなごをつけ回す輩を怖がる奴は、おるまいよ」

首を差し出すように、腰を落として頭を垂れた。
白刃が肩口に吸い込まれる。がつんと耳朶を震わす音。
しかしそれは、まあるい僧帽筋にくい込んで止まるだろう。
肉の密度が、並ではなかった。

「痒いな」

右の平手を無造作に横へ振るう。
丸太のような腕が男の顔面に風圧と共にすっ飛んだ。

//遅くなりすみません……っ
142◆</b></b>S5ykjYrjP.<b>[] 投稿日:19/09/22(日)19:48:47 ID:opM [3/5回]
>>141
刃が身体を捉える。愉悦に歪んだ表情は、次の瞬間驚愕へと変わった。
常人のものと思えぬ筋密度。振り抜いた筈の刃が抜けない。

「……くそっ!! バケモノめ ……!!」

歯ぎしり。荒い呼吸音と共に吐き捨てると、男は刀を手放す。
後ろに飛び退き平手を回避、眼前を空振る風切り音。
背筋がゾワリとした。こんなもの食らったら一溜りも無い。

「図体ばっかデカい木偶の坊が! お望みなら動けなくなるまでくれてやるぜ!」

男は鞘を両手で握ると大上段に振り上げる。握り潰す程に力を加え息を吐くと、
そのまま突撃、頭部めがけて振り抜いた。
鞘の先端を持ち重さを活かした一撃である。遠心力を使うあたりこの男馬鹿ではない。
143◆</b></b>LDVgAgiGGo<b>[sage] 投稿日:19/09/22(日)20:03:07 ID:7CM [2/4回]
>>142

「わしは人間だが、お前さんの腕が鈍ったんじゃないかい」

男もただ黙って切られたのではない。僅かに前に出て、刃が勢いに乗る寸前にはばき元が当たるよう受けていた。

空ぶった手が厚い胸の前で下ろされる。
反対の手も同時に、地面に優しく触れた。
四足獣を思わせる前傾姿勢。
まるで膨れ上がるかのごとく、そこから最短距離を飛び出す。

「ぃッつ!」

固い額をぶつける先は、鞘を持つ根元の指。
衝撃に目から火花を散らしたが。そのまま両肘で顎をかち上げようと更に踏ん張るだろう。
144◆</b></b>S5ykjYrjP.<b>[] 投稿日:19/09/22(日)20:10:51 ID:opM [4/5回]
>>143

「おいおい、誰の腕が鈍ったって? お前も直ぐに刀の錆にしてやるよ!!」

だが男が目で追えたのはそこまでであった。指を叩き潰す額の直撃。
痛みに狼狽えたなら顎への一撃が追撃で刻まれる。男の体がゆらりと揺れたなら、そのまま意識を手放して、───

「っ……くそ、危ねぇ……意識飛ばすところだったぜ……!!
 悪いな、俺も相当規格外だからよ!!」

口元から血が漏れる、意識を飛ばす際での気付け。
吐き出すのは白い破片。この男、奥歯を噛み砕いて意識を保った。

だが、消耗も大きいのか、ぐらり、と身体を揺らして。
145柳生七郎兵衛真千◆</b></b>E/RTrWEKE6<b>[] 投稿日:19/09/22(日)20:22:05 ID:gss [2/5回]
>>138

「ほう、あやかしの探し人と」

探しものとして、妖魔の類は然程珍しいものではない。
兎角、人々には多々色々な事情を持つ、それはあやかしに対してもまた、変わるものではないのだ。
とは言え、おかしいものではないとは言え、それが見つかるかどうかは違う。特にあやかしとなれば、ひと目を避けて潜むもの。

「いやぁ……まったく。覚えは無いなぁ」

青年は首を横に振った。草の者にでも聞けば、
情報の一つや二つ拾えたかもしれないが、青年はあくまで剣客でしか無い。知らぬ、存ぜぬと言わざるを得なかった。

「聞いた限りでは、典型的な鬼種のあやかしでありましょう。
 古来より人に混じりて生きるあやかし、それだけでは……たとえば、何を目的にしているか、なども分かりませぬか」

/遅くなりまして申し訳ありません……お返しします、ここからは安定します!
146◆</b></b>LDVgAgiGGo<b>[sage] 投稿日:19/09/22(日)20:32:32 ID:7CM [3/4回]
>>144

「たしかにあんた、背丈(み)はある。
ただ、重量(にく)がちと足らんな」

頬に歯の欠片がへばりつく。こちらも唾を吐けば、唇から赤い色一筋が流れた。
力を込めた肩口からも同じものがそれ以上に着物を染める。

「悪いが、これ以上は付き合えん」

意識の変化か、重心が崩れたのを察知し、右手を相手の腰帯に伸ばす。
同時に左で肘辺りの袖を掴もうとするだろう。
体をひねり、男の体を横に投げ捨てようとする。狙う先は、積み上がった桶の山へ。

言葉通り、距離を開け逃げようというのである。
だが上手くいったとして、向かうのは女のいる袋小路側なのだが。
147翡翠◆</b></b>1fCQ8ONdj.<b>[sage] 投稿日:19/09/22(日)20:42:31 ID:eE2 [1/8回]
人に混じりて生きる嫉妬の妖魔
彼女の知名度は、直接的でないだけに広く知られてはいない。
――しかし、それ故に、貶められたものは根が深い憎悪に身を焦がして。直接的に襲撃をかける事が多々あった

「っぐ……♡は……っ♪」

「お前さえ居なければ……!」

深夜の丑三つ時、人通りが全くない丁の街。彼女が昨日往来を眺めていた大通りにて。一人の男性が一人の女性に覆いかぶさり。組み伏せていた。
浪人崩れと評されるような格好のそれは、鍛えられた両腕を黒髪の女性の喉元に埋め、縊り殺そうとその腕を震わせている。
対する町娘風の女性は、叩きつけられる悪感情に唇を歪め、苦悶の表情の中にも悦びすらたたえて
酸欠に喘いだ体は、下半身を、腰を浮き上がらせ。軽いアーチを描いた背中部分がびくびくと痙攣を始めていた。
148蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/22(日)20:48:51 ID:4ny [3/5回]
>>145

「ふむ……やはり中々、上手く行かないでござるなぁ」

流れに沿って揺れる釣り糸。
剣客の返答にやはりそうかと溜息を吐き、空いた左手で頬杖を突く。

「……道中の噂では、倭の各地を歩き回り、その先々で人を食らっているとか。
 悪鬼でござるよ、背は屋敷程に大きく動きは鈍重……拙者が知っているのはここまででござる」

水面で魚が跳ねた、釣竿を上げる、餌が食われているのみだ。

「くぅぅぅっ……!ええい、もうこの際手掴みで捕まえてやるでござる!」

煩わしいと竿を傍に放り捨て、道着の袖を捲り上げる、のしのしと川の方へ。
後には放られた竿と籠が寂しそうに残されていた。
149柳生七郎兵衛真千◆</b></b>E/RTrWEKE6<b>[] 投稿日:19/09/22(日)21:03:20 ID:gss [3/5回]
>>148

「ふむ、そうまで背丈があるならば、暴れれば必ず耳に届くだろうね……うーん、難しい相手だ」

人々を食らう悪鬼。
背丈は屋敷ほどにありながら、こうも見つからぬとあらば、これは恐らく、次の獲物を見定めるため、潜んでいるに違いない。
ただ力のままに暴れるでなく、より狡猾に、効率的に、継続的に、人を食らう術を心得ている、というところだろうか。
となると、素人ではあまりに骨が折れよう。

「剣客では、あまりあるかもしれませぬな。陰陽術士や草の者達を使い、探らせるのが適解だとボクは思う……なぁ」

とは言え、そうなれば少なくとも金がかかることは重々に承知である。
優秀なものを引き当てられるとも限らない。やはり運否天賦に違いはないわけではあるが……。

「まぁ、まぁ、落ち着こう……よっと」

そして、置き去りにされた竿を手にとって、先端を川中へと放り投げた。
静かにそれを流れに沿わせれば、浮き沈みする糸を見て、勢いよく竿をしならせれば、一匹の鮎がそこに踊っている。

「剣禅一如、無念無想。剣を修める者、忘れる無かれ。心乱れては、見えるものも見えますまい」
150安宅◆</b></b>8s3Vqae61o<b>[] 投稿日:19/09/22(日)21:05:29 ID:gtH [1/8回]
>>147
ぴひょろ~ ぷひょろ~ と深夜に鳴り響く調子っぱずれの尺八の音色。

「…いやもうこれ錫杖シャンシャン言わしてた方が様になるんじゃねえの?」

闇夜から滲み出る様にして男女の前に現れた虚無僧。
独り言のように呟くと不満気に己の尺八をしげしげと見つめ懐にしまう。

「………で、続ける?」

事情は分からんが男が常軌を逸しているのは明白だ。
男が下手に動けばいつでも蹴り上げる準備は出来ている。

「拙僧、あんまり荒事感心しねえんだよなあ」
151翡翠◆</b></b>1fCQ8ONdj.<b>[sage] 投稿日:19/09/22(日)21:13:57 ID:eE2 [2/8回]
>>150

「あぁ……?生臭坊主は引っ込んでろよ」
「俺は世の中に害しか振りまかない妖魔を退治してやってる所なんだからなぁ!」

「かふっ……」

背後から鳴り響く間抜けな尺八の音。
こだまする独り言のような低い声に、男は振り返ろうともせず。縊り殺す両手により力を込める。
女の方は酸素を求めるあまり、そちらに気が向いていないのだろうか。唇の端から涎を垂らしながら、翡翠の様な緑眼を細めて苦悶に喘ぐ

「へへ……ほら、見ろよ。普通の人間は緑色の眼なんかしてないだろ?」
「好事家に売れば一生遊んで暮らせそうな金でもくれねえかなぁ?」
152安宅◆</b></b>8s3Vqae61o<b>[] 投稿日:19/09/22(日)21:23:19 ID:gtH [2/8回]
>>151
男の言い分を聞いて虚無僧は一歩前へ。

「ふむ成程」

服装で余り目立ちはしないが、五尺越え、
即ち2m近い見事な体躯から繰り出される蹴りを男のケツ目がけ容赦なく繰り出す。

「テメエの言う事が真であっても、それが是となるかは話が別だ、ボケぇっ!」

説教と共に放つ蹴りの狙いは穴以外にあるまい。
直撃すれば痛いじゃ済まんだろう…
153蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/22(日)21:30:45 ID:4ny [4/5回]
>>149

「しかし拙者、日銭稼ぎにも一苦労の不器用な貧乏侍故……。
 それに、何としてでも己で仕留めねばならぬ理由もあるのでござる!」

それは憂さ晴らしも兼ねているのか。
袴が濡れるのも気にせずに、ばしゃばしゃと水を掻き分け乍ら川へと突入。
突然の異変に大慌てする魚を追いかけて。
丁度目の前で、釣り糸に引っかかった魚が岸へと引き上げられる様子を目にする。

「なんと!
 お見事でござる剣客殿、拙者ではそう上手くはいかぬ!」

目を丸くして、視線を剣客へ向けると嬉々とした様子で称賛の拍手。

「成程確かに、拙者まだまだ未熟、未成熟の極みでござる。
 しかしかといって諦める訳にもいかぬ、武士の意地というものが……!!」

次の瞬間、眼の前を泳いでいた魚に素早く手を伸ばして。
しっかりとした感触に自ら腕を引き抜いた。
大ぶりの魚を両手でしっかりと握り込んでいる。

「獲ったぁっ!ははは、こっちも獲ったでござるぞ剣客殿!なんとか夕餉にはありつけるでござる!」

言いながら、楽しそうに川中から岸辺へと引き上げる。
154翡翠◆</b></b>1fCQ8ONdj.<b>[sage] 投稿日:19/09/22(日)21:32:44 ID:eE2 [3/8回]
>>152

「ぶぎえっ!?」

有無を言わさぬ大男の強烈な一撃
臀部が砕けんと言わんばかりの衝撃を痛いと感じるまもなく、男の体は吹き飛び。長屋の壁へと頭から腰までを埋める。

「けほっ……けほっ……っぐ……う、えっ……!」

酸欠に喘いだ妖魔は、生きるため、唐突に肺に大きく吸った酸素を肺が受け付けきれずに、大男にしりを向けるようにすぐさまうつぶせとなり。
両手を地につけて顔を上げ、せり上がる吐瀉物を吐き出した。

「はあーっ……!はあーっ……!はあ……っ……!」

痙攣の収まらぬ体は小動物のよう、一通り内容物を吐き出したのなら。
大きく呼吸を繰り返し、苦しみで緑眼にたっぷり溜め込んだ涙を零していた。
155安宅◆</b></b>8s3Vqae61o<b>[] 投稿日:19/09/22(日)21:41:41 ID:gtH [3/8回]
>>154
「さてさてアヤカシの。
 拙僧が今、蹴飛ばした男の言い分が真であるかどうかはさて置いて、だ。
 どんな理由であれ命を狙われるってぇのは大事だ。
 思い当たる節がねえとは言わせんぜ?
 其方の思惑がどこにあれ拙僧が命を救ったのは事実。
 まあ、事情を話してもらえる位の働きはしたと思うんだが…そこんとこどうよ?」

最低限ではあるが無事であるらしいと不用意に近づくこともせず、
妖魔を見下ろすようにして、その場に突っ立って様子を見つつ声をかける虚無僧。

正直なところ、このまま見過すかどうかは決めあぐねている。
156翡翠◆</b></b>1fCQ8ONdj.<b>[sage] 投稿日:19/09/22(日)21:51:25 ID:eE2 [4/8回]
>>155

「はぁ……ふう……」
「ここで余計な事を……って言ったら。気丈な女らしいところでも見せられたかしら」
「なぁんて、冗談よ。そんな怖い顔しないで頂戴。ただでさえ貴方でっかいんだから」

目元を擦り、口元を薄布で拭えば。ただの一妖魔がそこに
それこそ不調を感じさせずにゆらりと立ち上がれば、両手を後ろに組んで振り返り。挑発的に釣り上げられた緑眼が僧へと向けられた
警戒する僧とは真逆、妖魔は、スキップでもするかのような軽快な足取りで一歩一歩と距離を詰めた

「簡単な話よ、今回は……あの男、ちょこっと声をかけたら簡単に靡いたから」
「彼女も何もかも捨てて、こっちに来ようとした時に……ただ否定し、拒否しただけ。」
「どう?私は悪くないと思うのだけれど?」
157柳生七郎兵衛真千◆</b></b>E/RTrWEKE6<b>[] 投稿日:19/09/22(日)21:52:25 ID:gss [4/5回]
>>153

「ふむ、そうか。であれば……うん、可能な限りの範疇で、ボクもお手伝いしようかなぁ」

ちょうど、あやかしの知り合いも出来たところである。
或いは、ツテを伝って聞けば、把握している可能性もあるかと考えたが、それは軟派者の道楽息子には、なかなか難しいものだった。
あくまで個人の範疇に限るが、そう言うだろう。とは言え、一人の剣客に出来ることは、そう多くはないので、期待はできぬものではあるが。

「手づかみも良いが、あまり無理をしては、風邪を引いてしまうよ……お気を付けを」

釣った鮎を籠の中に放って、小虫を針の先につけると、ザブザブと魚を追いかけるその姿を見ながら、ならばもう少し上流へと針を落とす。
武士にそうしては、無礼極まるが、しかし、ああも勢いのまま入られては、一抹の不安も過るというもの。
さて、針の先にまた手応えを感じながら、しっかり魚を捕まえて、こちらへと帰ってくる武士を見つめるのである。

「はははっ、御美事でありますよ! 立派な魚ではありませぬか、良いことで……よっ」

そして釣り竿を引っ張れば、そこには太った鰻がくっついている。
珍しいものが取れたと思いながら、それも籠の中へと放るため、針を取りつつ。

「ボクの名は柳生七郎兵衛真千。アナタの名を聞いても宜しいか?」

但馬守公の末の倅、御留流の剣術家であった。
いつまでも剣客殿、と呼ばれるのは他人行儀で、あまり好くものではなかった。
158安宅◆</b></b>8s3Vqae61o<b>[] 投稿日:19/09/22(日)22:02:01 ID:gtH [4/8回]
>>156
「千里眼でも持ってんのか?
 …まあ、声色で察するぐらい出来るか……」

怖い顔と言われ深編笠を何の気になしに触る。
そう言えば最近人前で笠を取った覚えがない…

そんな事を考えている間に相手は近寄ってくるし、事情を話し始めた。
虚無僧は取りあえず話を聞いていたが…

「……割とよくある色恋沙汰が刃傷沙汰になるヤツか。
 んなもん悪いに決まってんだろうが、言うまでもねえ」

一刀のもとに言い分を切り捨て、
殺気も警戒も無く流れるようにデコピンを放つ虚無僧。
目の前の存在に抱く思いはただ一つ、呆れである!!
159◆</b></b>S5ykjYrjP.<b>[] 投稿日:19/09/22(日)22:03:17 ID:opM [5/5回]
>>146
//すいません、遅れました。
//次のレス置き気味になります、ごめんなさい。
160 : ◆</b></b>LDVgAgiGGo<b>[sage] 投稿日:19/09/22(日)22:08:30 ID:7CM [4/4回]
>>159
//お気になさらず
//ただ今夜は落ちてしまうので、続行が難しいようなら破棄でお願いします、申し訳ございません
161翡翠◆</b></b>1fCQ8ONdj.<b>[sage] 投稿日:19/09/22(日)22:09:16 ID:eE2 [5/8回]
>>158

「声色と雰囲気…」
「逆にその体格で中に甘い素顔が隠れていたら引くわよ?坊主の癖に色欲に付きまとわれそう」
「いいえ?だって私は声はかけたけれど。こっちに来いとは一言も言っていないもの」
「それは勘違いした向こうが……あたっ……」

警戒心がないのか、はたまた余程の余裕の表れなのか
繰り出すデコピンは額を捉え、白い肌に赤い指のあとが残る
妖魔は楽しげに指先を自らの口元に当てると、赤い舌が指の腹を軽く舐め

「それで、貴方は私をどうするの?退治する?同心にでも突き出す?」
「私なんかにかまけるより、巷で噂の人斬りだのなんだの。危険度の高い妖魔をどうにかするべきではなくて?」
162蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/22(日)22:17:26 ID:4ny [5/5回]
>>157

「手伝いしてくださるか、いや助かり申す。
 一人よりは二人、二人よりは三人……確かに人手はあった方が良いでござるからな」

魚の尾びれ近くを鷲掴み、濡れた衣服を軽く絞って満足気にやって来る。
多少道着が肌に纏わりつくのは仕方がない、少し歩けば自然に乾く筈だ。

「拙者は蓮村一紗、しがない貧乏侍でござるよ。
 では柳生殿、でござるな、名前で呼べるのは助かるでござる」

にぃと笑顔を浮かべて、軽く頭を下げた。

「籠と、その中身は柳生殿が持っていくと良いでござる、ご自身で釣った物ゆえ。
 それに拙者はそれ程大食でも無いでござるから……この一匹で十分でござる」

//そろそろ〆で宜しいでしょうか。
163安宅◆</b></b>8s3Vqae61o<b>[] 投稿日:19/09/22(日)22:24:19 ID:gtH [5/8回]
>>161
「お前わっかんねえだろそりゃ、もしかしたら絶世の美男子顔が隠れてるかもしれねえぞ?
 あまりの美しさに後光がさして毒の沼地もイワナが住む清流に変わる勢いかもしれねえじゃねえか」

正直どう足掻いても其処らの美形捕まえた方が早い位の普通顔虚無僧。
でも何か決めつけは良くないんじゃねえかとか変な憤りが奇天烈な発言を生む。

「あー?突きつけるんならお前じゃなくて其処で間抜け晒してる野郎の方だろ?
 それに人斬りも危ねえ妖魔も何処かに居るかも知れねえ血気盛んな二枚目剣士が颯爽と退治してくれるって。
 拙僧みたいなのはソレを後日に瓦版とかで知って、へー、ほー、と感心するのがお似合いってもんよ。
 荒事なんざやりたい奴がやりゃ良いんだ。念仏唱えて平穏無事に過ごすのを願うのは悪くねえだろ…」

英雄願望とかはない虚無僧。
流石に目の前でのっぴきならない事が起きていたら知らんぷりはしないが…

「てか妖魔即斬とかそういうの流行ってるのか?
 ちょいと風変りだが別に端から端まで悪党ってわけでもあるめえ?
 ぶっちゃけ言葉やら価値観やら似たり寄ったりなら拙僧気にしねえし」
164 : 柳生七郎兵衛真千◆</b></b>E/RTrWEKE6<b>[] 投稿日:19/09/22(日)22:35:57 ID:gss [5/5回]
>>162

「お気になさるな、これはボクの趣味でもあるからね!
 出来ることは少なくありますが、出来ることがあれば、手を尽くしますとも」

口元には軟派な笑みを浮かべながら、まったく快諾するのであった。
安請け合いと思われるかもしれぬ、実際にそうであるかもしれないが、とは言え居ないよりは幾分捗りはするだろう。
そうして名を聞いたのであれば、竿を籠へと立てかけて、一先ず釣りの手を止めるのであった。。

「では、蓮村殿でありますか。しかし柳生、と呼ばれるのはこそばゆい。
 七郎か、或いは真千でも構わないので、そちらで呼ばれると、座りも良い」

しかし、柳生の名で呼ばれるのだけは受け入れ難かった。
不肖の息子であることもいざしらず……それであるならば、真千とでも呼ばれたほうが、落ち着くものであった。

「むっ……むぅ、そうか。それでは遠慮なく……遠慮なく持っていくとしようか。
 それでは、また会いましょう、蓮村殿」

さて、魚を釣れて、揚々とした気分で居たのが一点である。
剣客もまた、同様にそこまで多く食うわけでもない。少し悩んで、籠を持ち上げ、歩き出すのであった。
それから振り向いて、手を振って、鯉口の音を聞かなかったことに内心安堵しつつ、去っていくのだった。

/それでは、〆で……!絡みありがとうございましたー!!
165翡翠◆</b></b>1fCQ8ONdj.<b>[sage] 投稿日:19/09/22(日)22:36:37 ID:eE2 [6/8回]
>>163

「……へぇ、そうなの。」

対する妖魔の反応は一言、しかし真剣な面差しは、言葉以上に物を語るのだ
淡白な言葉の後は、白魚のような指を顎に当てて顔を伏せ、思案にくれるように
さて、1度顔を上げたのなら翡翠の両眼はそのままに、敵対心よりも好奇心を孕んで僧に降り注いだ

「貴方はつまり、妖魔であっても悪をなさぬのなら……人と同じように扱うと」
「それじゃあ……その妖魔が悪をなさないのなら、例えば大ムカデみたいな妖魔とも共生できると?」
「それにもし、ある妖魔がいて、その妖魔は人を食わねば生きていられないのだとしたら?」
「それは貴方にとって悪?生きるために食べなければいけないとしても?人が野菜や米を食べるようなものなのに?」

そうして、教えを乞う子供のように、僧へと質問を投げかけるのだ。
白い指先、人差し指の腹は僧の鳩尾に伸びて
166安宅◆</b></b>8s3Vqae61o<b>[] 投稿日:19/09/22(日)22:52:16 ID:gtH [6/8回]
>>165
「あ、拙僧今傷ついた。冗談なんだからそう言う返し良くないと思うぜぇ?」

自分でも馬鹿言ってると自覚しているので、実際はノーダメ虚無僧。
翡翠に対してもおどけて見せている。

「まあ、見た目の差異とかは言い出したらキリがねえだろうよ…ヒトですら肌の色が違うんだぞ?
 んー…ヒトしか食えねえ妖魔が無差別にヒトを食うならそりゃ人間様からすりゃ悪だろうぜ。
 譲歩して罪人しか食わねえとか……ああ、止め止め、そんなの拙僧が知るかって。
 言ったろぉ?拙僧が気にしねえのは似てる連中。
 つまりは問題なく一つの集まり…将軍様が治める倭国に溶け込める輩の事だ。
 そもそも種族が人間であっても問題起こす奴はいるだろうよ、オメエがやってた今さっきのやり取りもう忘れたかあ?」

坊主のくせに説教は面倒らしい。
目の前にいもしないヒト食い妖魔の事なんぞ知るかと。
当然翡翠の動きも気にしていない。
167紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/22(日)23:01:53 ID:H8Z [5/5回]
一匹の黒猫が二本の尾を揺らして、人混みの中を駆けていた。
咥えた細く長い白の布が道筋を描き、時折足を止めて振り返る度に地面を擦る。

「待って、止まって!返して!」

その背中を追いかけるのは獣の耳を持つ、余暇の合間であるはずの少女だった。
右の耳は中途に千切れかけ、左は新たに生えかけというなんとも奇怪な状態。
効き目の薄い呼び声の度に、右目の眦の際からこめかみに走る生疵が筋に沿って動く。
わざわざ付かず離れずの距離を保っているあたり、猫又が彼女に追われるのを楽しんでいるのは一目瞭然。
人通りでの動きやすさの違いからして、鬼ごっこの決着がつくのは当分先になりそうで。
168翡翠◆</b></b>1fCQ8ONdj.<b>[sage] 投稿日:19/09/22(日)23:10:51 ID:eE2 [7/8回]
>>166

「ふぅん……譲歩して、ってそういう考えはあるのね」
「普通の人間なら妖魔は、悪!人喰いも悪!そう決めつけるのが多いけれど」
「ふふ、面白いわね、貴方。さっきの男の言葉を借りれば生臭坊主の癖に」
「ふふん、さっきの私のは相手が悪いもの。私に非は無いわ」

罪の所在に関しては認める気がないらしい。自分は悪くないを繰り返すのは彼女のくせであるらしく
伸ばされた指先が僧の鳩尾を撫で摩り、椿香る黒髪を夜風に靡かせながら瞳を瞬かせ、笠の奥、僧の瞳と交わらせようとした

「私は嫉妬の妖魔、翡翠。この在り方を変える気もないし。好むのは人間の悪感情……貴方のは、美味しくなさそうだけど」
「貴方……名前は?生臭坊主?女に名乗らせたのだから貴方も名乗るべきではなくて?」

心臓に近い鳩尾に当てた指先が脈動する
僧が持つ悪感情をこちら側へと取り込もうとして。
169安宅◆</b></b>8s3Vqae61o<b>[] 投稿日:19/09/22(日)23:28:03 ID:gtH [7/8回]
>>168
「決めつけはよくねえよ?視野が狭くならあ。
 …拙僧、一応悟りの道を歩むモノだかんな?」

意外なことかもしれないが安宅は道楽で虚無僧をやってる訳ではない。
神仏に対しても安宅なりの敬意や畏怖を抱いているのである。

「人間の恐れとかそういうのって一番分かりやすく妖魔の糧になるもんだしなー…
 だから、キメてるとこ悪いがそう言うもんだから変えようって気があっても変えられねえんじゃね?」

割と近寄られた始めの方から虚無僧は笠の奥から翡翠を見据えていた。
別にやましい事もないので視線を逸らす理由がない。

「安宅だ…やれやれ、自分から勝手に名乗って無茶苦茶な事を言うもんじゃねえぞ?」

とまあ徹頭徹尾、安宅が翡翠に抱いていたのは終始『呆れ』。
これが悪感情なのかどうかは非常に微妙な所だろう。
言うなれば手のかかる親戚の子供を前にした時に抱くソレに近い。
関わりが浅く仕方のない奴だと笑って済ませるだけのモノでしかない。

翡翠は自身を魅力的に魅せようとしていた節があった筈なのだが…
虚無僧、安宅十三。別段枯れちゃいないが、そういう男だった。
170翡翠◆</b></b>1fCQ8ONdj.<b>[sage] 投稿日:19/09/22(日)23:46:11 ID:eE2 [8/8回]
>>169

「むっ……美味しくない」
「例えるならば……あれね、出汁をとっていない上にお味噌を渋った味の着いたお湯みたいな」
「予想通り……というか」
「……あの、これ。呆れの感情しかないのだけれど……貴方仮にも妖魔に対して恐れとかそういうのなく……呆れって」

悪感情の妖魔であるから、流れてくる感情についても聡いもの。
それが呆れのみであると知った彼女は、大仰にため息を着くと、やれやれと言いたげに肩を竦めた
嫌な顔をしつつ早々に吸収を取りやめ、鳩尾にぶち込もうとするのはは町人より僅かに強い程度の拳である

「……ココ最近、出会う人間は変人ばっかりね」
「真千といい……貴方と言い……楽しくない訳では無いのだけれど」
「まあ、いいわ。それじゃあ……安宅という名の生臭坊主さん。次に会う時にはもう少し美味しいお湯をご馳走して欲しいものね」

助けられたというのに、態度は終始子供のようなもので
背を向け、後ろ手にヒラヒラと手を振りながら。
次に僧が瞬きをする刹那の間に、彼女の体は黒い霧に飲まれて消えた

//こちらはこれで〆です、楽しいお付き合いありがとうございました。
171 : 安宅◆</b></b>8s3Vqae61o<b>[] 投稿日:19/09/22(日)23:54:48 ID:gtH [8/8回]
>>170
「だってお前見てっと足元でキャンキャン吠えるだけの噛みつかねえ子犬にしか見えねぇんだもんよ…って痛ぇっ!?」

割と酷い例えを出した矢先に鳩尾殴られて涙ちょちょぎれる虚無僧。
大げさに胸を押さえたたらを踏むのはオーバーリアクション以外の何物でもなく。

「たぶんお前がそのまんまだと要望には応えらんねえなー…
 だからと言って非行に走るなよー、正直そんときゃ味わう前に滅却だしよー」

消える翡翠にそんな声をかけて見送る。

「さーて……この野郎どうすっかな?
 一筆したためて簀巻きにしとくかあ?」

同心に明け渡すのも面倒極まりない。
『この男、若い娘の首を絞めるヤベーやつ也』
と書いた紙を貼り付けて縄で縛って道の片隅に転がしておく事にしたそうな。

//ありがとうございました
172沙前守灯弥◆</b></b>ylu7wPFPKA<b>[] 投稿日:19/09/23(月)21:30:58 ID:C1u [1/2回]
キン、キンと甲高い音が、丁の町へと響く。
往来では長屋の子供たちが棒きれを片手に走り回り、母親たちは井戸端会議に花を咲かせる。
ごく当たり前の町の光景。

外から入ってくる光にまだ夏の名残を感じながら、男は一人頬から伝う汗を拭う。
まだ若干白っぽく光る鉄の板を、並行に眺めては小鎚で叩き、調整を繰り返す。

ようやく納得が行ったのか、男は金鎚を投げると、ふう、と地面に腰を下ろす。
と、同時に、誰かしらの気配を締め切った扉の向こうから感じる。
いつからいたのか、はたまたさっき来たばかりなのか。

「外で見てないで、入ってきたらどうだ?」

何の目的かは知らないが、隠れてコソコソされるのは気に入らない。
男は首だけを入口の方へと向けながら、貴方に対してそう呼びかけた。

//適当に絡み待ちです~。
173蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/23(月)21:33:24 ID:GCh [1/3回]
>>167

「よっ、ほっ……!」

人波擦り抜け騒ぎの最中へ、軽快な足取りで躍り出た白道着侍。
両手を広げ猫又の進行方向に立ち塞がる。

「よし、来るでござるっ!!」

腰を落とし、近くまで来れば掴みかかるつもり。
174紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/23(月)22:14:02 ID:Lho [1/3回]
>>173
悪戯気分で人の足をくぐり抜ける包帯を咥えた黒猫は、晴れた空のようにとても上機嫌であった。
追いつかれるはずもない鬼ごっこで、半端者を弄ぶのはなんとも気分がいい。
傲慢、居丈高に得意げなアンバーの瞳の輝きは正面に邪魔者を捉えても変わらない。
手前で急停止して横に転換すること90度、悠々と曲がって近づこうとすらせず雑踏に紛れて姿を隠す。
代わって突っ込んでくるのは、人影と人影の間から飛び出してきた少女の方。

「うわわっ……あぶな、どいてっ!」

背丈の低さが災いして彼女からの見通しは悪く、いきなりの衝突寸前でも急には止まれず。
盛大に前方へとつんのめって、このままでは共に倒れこむ事必至であった。
175蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/23(月)22:38:37 ID:GCh [2/3回]
>>174

馬鹿正直に正面に陣取ったのがあだとなったか、近づきすらせず悠然と逃げ去る猫又を愕然と見送って。
慌てて後を追いかけようと体勢を変えた瞬間、飛び出して来た少女がぶつかってくる。

「わぶ!!」

安定性を重視した先程までの体勢ならばいざ知らず、丁度こちらも走り出そうとしていた不安定。
衝突の拍子になんとか少女を抱え込む様に両手を伸ばせたが、それは兎も角として背中から地面へと倒れ込む。

「か、看板娘殿か!?」

どうやら、先日茶屋で働いていた彼女の様だと気付き、続いて視線はその耳元へ向けられた。

「……その耳は……!?」
176紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/23(月)23:00:36 ID:Lho [2/3回]
>>175
「ふゃんっ!?」

身長差故に額から胸の辺りにぶつかる形、のしかかるように地に倒れて束の間の硬直と微かな呻き声。
しばらく顔を埋めて微動だにしなかったが、呼びかけられてぱっと頭を持ち上げた。

「ごめん、大丈――あれ、この前のお客さん?」

初めは申し訳なさそうに眉尻を下げて、それから覚えのある相手と気がつけば意外そうに目をぱちくりと。
しかし再会の驚愕は怪我を見咎められた居心地の悪さに早変わり、咄嗟に右の頬に残る傷痕を腕で隠した。

「これは……ちょっと面倒事に関わっちゃっただけ」
「放っておけばそのうち治るから。気にしなくていい」

素気ない言葉はこれ以上気を揉ませないためのものだろう、そわと逃げるように目を逸らす。
頭上から降り注ぐ邪魔なものを見る目、それから好奇の視線に気がつく余裕もなくぺたりと不全な獣の耳が伏せた。
177蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/23(月)23:24:43 ID:GCh [3/3回]
>>176

「いやはや、再開がこの様な形とは……」

元から薄いのに加えてサラシで押し固められている胸周りだが、流石に男の胸板よりは多少軟い。
顔面からの衝突であっても、どうやら新しく怪我をさせる様な事は無かったようで。
息を吐き、ゆっくり身体を起こそうと。

「好き好んで厄介事に関わりたがる質には見えぬ、『関わった』というより『巻き込まれた』のでござろう?
 ……災難でござったな、治るなら不幸中の幸いでござるが……しかし」

周囲に視線を向け、通行人の幾人かがこちらへと視線を向けているのを見て、嘆息。

「注目は浴びるでござるな……一先ず、人気が無い場所に行った方が良さそうか」

言うと片手を差し出す、近くの路地にでも引っ込めば、多少は視線から逃れられるだろうか。
178狼牙 雲黒斎“天雷 雲雀”◆</b></b>MaGu8/o5KQ<b>[] 投稿日:19/09/23(月)23:28:47 ID:mcC [1/1回]
>>172
「失礼…田舎者ゆえ、丁の町には未だに慣れないのです。」
鍛冶屋の音が気になり、こっそりと聞いていたが主人に気づかれた様だ。
私は主人の呼び掛けに答え、屋内へと入る。

「黒狼が忍び、天雷 雲雀(ひばり)と申します。
時に、狼牙 雲黒斎と名乗る事もあります。
どう呼ぶかは、お任せします。
黒狼は焼き討ちに会い、今は在りませんが…」
私は鍛冶屋の主人に頭を下げ、自己紹介をする。
元々私はくノ一だったが、組織が全滅した今は正体を隠す必要も無い。
黒狼は私の生まれた里に存在した妖魔狩りの集団だ。
焼き討ちに会い、生き残ったのは私だけだが、故郷の術を世から消したくは無い。
故に私は狼と黒の名の付く名前を名乗る事もある。
179紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/23(月)23:50:33 ID:Lho [3/3回]
>>177
微細な言葉の差異を追及されてしまえば、しおらしく口ごもるより他になく。
心許ない言い訳で返そうと唇を開きかけてから、押し倒したままだった事に今更意識をやって。
どことなく慌てた、それでいて堪えるように緩慢とした動きで先んじて身を起こした。

「……うん……そう、とも言えるのかな」

曖昧な返答で濁す。ため息を自分に向けられたものとでも思ったか、伺うようにそっと顔を見上げる。
しかしどうにもそうではなさそうな雰囲気にやや小首を傾げ、続いて差し出された手に視線を移せば。
ようやく自分達がどれだけ注目を集めているかに気がついたのだろう、途端に羞恥を頬の朱に表した。
おそるおそる手を取る。小さな掌で軽く、けれどしっかと握って引かれるままについて歩く。
途中、口を開いて呟いたのは独り言にも等しい声。

「……襲われてる人を助けようとしただけ。だから本当に、わたしから関わった」
180沙前守灯弥◆</b></b>ylu7wPFPKA<b>[] 投稿日:19/09/23(月)23:50:56 ID:C1u [2/2回]
>>178
「へえ、忍者ってわけか。」

随分と丁寧な挨拶に思わず抱いていた毒気も抜けて。
男はゆっくりと腰を上げて改めて雲雀と向き合う。

「で、その雲雀さんが白昼堂々、こんな所に何の用だい。」

改めて考えれば、忍がやってくるなど剣呑な匂いを感じざるを得ない。暗殺、諜報……危険な言葉がいくらでも浮かんでくるようだった。
とはいえ、侍ならいざ知らず、忍がわざわざ名乗りを上げることもあるまい。
男はゆっくりと入口の方へと歩みを進めながら尋ねる。

「申し訳ないが、見学ってのはうちはやってないんだ。」
181蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/24(火)00:06:06 ID:Inm [1/4回]
>>179

足早に路地へ向かって、最中、何処か後ろめたそうな声色にちらと振り返っては。
安心させる様に柔らかく笑みを浮かべる。

「無謀はいけないが、勇敢は褒められる事でござる。
 誰かを救おうとして得た傷は、即ち名誉の負傷でござるよ」

路地にさえ辿り着けば、周囲の視線も収まっただろう。
改めて少女の方へと向き直り、さてと手を叩いた。
努めて明るく、何処となく湿ってしまった空気を切り替えるかのように。

「看板娘殿、推察するに先の猫又との追いかけっこは、その患部を隠す布を奪われた故と言ったところでござるかな?」
182紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/24(火)00:27:23 ID:7F4 [1/3回]
>>181
「そうかな……そうだったら、ちょっとだけ嬉しい」

微笑みに呼応して仄かに弛ぶ頬。僅か肩の力が抜けたのは自らの行いを認められた安堵によるものか。
人の視線を集めた羞じらいとはまた異なる、心情の擽ったさに肩を竦めた。
表通りから横に逸れた路地は一転して閑散。わざわざ後を追う物好きもおらず、落ち着いて話すにはうってつけであった。
柏手に刹那肩を竦めて急な空気の流転に幾度かの瞬き、やがてこくこくと頷いた。

「うん、そう。遊んでたら盗られちゃって。なくても困らないけど、お店に立つには見た目が悪いから」
「それとわたしには看板娘じゃなくて、紅緒って名前がちゃんとある」

意外、接客時の愛想には一切気を遣っていないようにしか見えないというのに、見てくれは意識しているらしい。
黒い猫又を完全に見失ったものだからすっかり諦めてしまったらしく、大きく息を吐いて髪の毛先を指で弄んだ。
183狼牙 雲黒斎“天雷 雲雀”◆</b></b>MaGu8/o5KQ<b>[] 投稿日:19/09/24(火)00:39:33 ID:Pdr [1/4回]
>>180
「そうでしたか…ですが、貴方は敢えて私を呼び付けた。」
見学は受け付けて無かったか…
だが、この男は盗み聞きをしていた私を呼んで見せた。
それに、忍と名乗った私に対して警戒する様子も無い。
肝が座って居るのか、私を軽く見て居るのか…どちらでも良い。
向こうから斬ってくる事は無いのだから…

「何かの縁です。忍刀を打っては頂けませんか?」
倭には沙前守と言う妖刀の如く素晴らしい刀を打つ刀鍛冶が居ると聞く。
その刀鍛冶が丁に住んでいるとか…

「私は故郷を失い、丁へと越して来ました。
大きな街へと来たのです。今は目指して居るものもありませんが…」
妖魔狩りや用心棒、賭博等で稼いでいるが、いつまでもフラフラとしているわけにもいかない。
女である私でも、何かを極め、努力次第で倭の国に名を残す事くらいは出来るはず。
この者が沙前守と言う刀鍛冶かは解らない。
はっきりとした目的も持たず、知りもしない私に刀を打ってくれるかは解らない。
だけど、この人の刀で、一歩踏み出す事が出来たら…
先ずは頼まなくては…何も言わなければ追い出されて終わるでしょうから…
184蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/24(火)00:52:23 ID:Inm [2/4回]
>>182

少しは気分を持ち直しただろうかと、数度頷いて。

「おぉ失礼した紅緒殿、では、拙者は蓮村一紗でござる。
 しかし難儀でござるなぁ、あの猫又め、何処へ行ったのか見当もつかぬ。
 挙句相当すばしっこい、見つけたところで捕まえられるとは限らんでござる」

ふぅむと顎に手を当てて思案、全く同じ物を取り返すのは難しいか。
ならばせめて代わりの物を調達したいが、としばし考えて。

「……ふむ、近くに拙者が部屋を借りている宿屋があるでござる。
 そこの主人に、清潔な布を貰えないか聞いてみる事にいたそうか」
185 : 蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/24(火)00:53:49 ID:Inm [3/4回]
>>182

//すいません、今日はここで落ちます……!
186 : 狼牙 雲黒斎“天雷 雲雀”◆</b></b>MaGu8/o5KQ<b>[] 投稿日:19/09/24(火)01:08:31 ID:Pdr [2/4回]
//灯弥さんごめんなさい。朝、早いので続きは後日とさせて頂きます。
187沙前守灯弥◆</b></b>ylu7wPFPKA<b>[] 投稿日:19/09/24(火)01:22:05 ID:vYX [1/3回]
>>183
「外からコソコソ覗かれてもいい気はしないさ。」

改めて彼女を観察する。
成程、いかにも忍らしい動きやすそうな服装。日の下では返って目立ちそうだが、そういうものなのだろう。
平和といって差し支えない当世、忍もわざわざ忍ぶ必要も無いといったところだろうか。
年の頃では自分より或いは上かもしれない。

「何かの縁とは言うがな。俺だって慈善でやってる訳じゃあない。」
「丁に出てきたばかりなのだろう?足元見たくは無いが、何かと入り用だとは察するが。」

正直、金に困っているわけでは無い。その気になれば1本2本、タダでこさえる事くらい出来ないわけでは無かった。
ただ、素性も知らない相手に、気安く刀を渡すわけにもいかない。
特に、自分の様な刀屋であれば尚更の事。

「大体、この平和の世にあって何の為に刀を持つ?」
「神仏の時代からあれやこれやともてはやされてはいるが、結局の所、こいつは人殺しの道具だ。」

真っ直ぐと、少女に目線を合わせて男は尋ねる。
決して怒りを孕んだ目付きでは無い。しかし、どこか目を反らせないような、そんな雰囲気。

「アンタは、何の為に、刀を握るんだい。」

//了解しました!
188紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/24(火)01:28:54 ID:7F4 [2/3回]
>>184-185
「む……あの猫又、次に見かけたらもう容赦しない」

先まで追いかけていた猫又の話に戻れば、些か不機嫌そうに唇を尖らせてむくれてみせる。
なにせ未だ身体中の傷は完治していないとはいえ、いいように遊ばれて最後には逃げられたのだ、臍を曲げるのも致し方ないと言えた。
とはいえいつまでも無念に歯噛みしているわけにもいかない、思わぬ提案に首を微か傾いで思案。

「……いいの?それじゃあ、お願いしたい」
「このままだと、ちょっと……いろいろ面倒が増えそうだから」

やがて小さく頷いて、好意を受け入れる姿勢を示す。
普遍的ではない獣耳は一般からすれば好奇と畏怖、時に侮蔑の対象にもなり得る。見るからに訳ありめいた様相となれば尚の事。
厄介事を嫌っての了承、繊細な種族間の差異を曖昧な言葉で溢して。
なんの疑いもなしにちょこちょこと後ろをついて彼女にとっての帰路を辿るのだろう。

//了解しました、それでは次で〆と続行どちらでもいけるようにお返ししておきます!
189狼牙 雲黒斎“天雷 雲雀”◆</b></b>MaGu8/o5KQ<b>[] 投稿日:19/09/24(火)07:36:04 ID:Pdr [3/4回]
>>187
「確かに、倭は太平の世にあります。
将軍様のご活躍により…」
この者の言う通り、倭の国は平和にある。
将軍様が国を治め、丁の町は大きく栄えている。
しかし…

「倭には妖魔が存在します。
人と親しむ妖魔も居れば、人に危害を加える妖魔。
私の故郷は、人に危害を加える妖魔と戦って来ました。
戦い方や資金集めも手段を選ばなかった故、武家からあらぬ疑いをかけられ、焼き討ちに会いましたが…」
人を襲う妖魔は丁の町にも存在する。
将軍様も、上から見ているだけでは解らないのだろう。

「武家も毒死し、亡き故郷に何の未練もありません。
ですが、丁の町まで来たのです。
女の私でも、何か名を残す事が出来れば…
貴方の忍刀で、何かを目指すきっかけとなれば…」
目指すものがはっきりとしない。
この言葉で、主人の心を響かせるのは厳しいかも知れない。
しかし、今の私にはこれ以上の言葉は出ない。
私は主人の反らす事の無い目に応え、真っ直ぐと見つめる。
一歩を踏み出すきっかけが欲しいと言う気持ちを込めて…
190蓮村一紗◆</b></b>XvJ/M5Y/pE<b>[] 投稿日:19/09/24(火)10:50:34 ID:Inm [4/4回]
>>188

「長く生きた猫が猫又になる……とも聞く。
 きっと追いかけっこの経験も豊富だったのでござろう」

冗談めかして笑ってみせる。
年老いた猫が化けて猫又になる場合も、元から猫又として生まれる場合も、多種多様だが。

「よし、そうと決まれば善は急げでござるな。
 裏道を通っていく故、ちゃんとついて来るでござるよ」

人目を避け乍らの道中、ちゃんと着いてこれているかと時折振り返って確認しながら。
小さな宿屋に辿り着くと足早に中へ、主人と二、三言葉を交わして戻って来た。

「真新しい包帯を貰って参った、自分で巻けるでござるか?」

もし巻けないのなら、一紗が代わりにそれを行おうとするが。

//では、次の紅緒様で〆てもらってよろしいでしょうか!
191 : ◆</b></b>LDVgAgiGGo<b>[sage] 投稿日:19/09/24(火)11:35:45 ID:NON [1/1回]
>>144>>159
//最後のレスから1日経過した為絡みを破棄させて頂きます
//ロール内で不快な点などありましたら申し訳ございません
//お付き合い下さりありがとうございました
192沙前守灯弥◆</b></b>ylu7wPFPKA<b>[] 投稿日:19/09/24(火)13:14:35 ID:vYX [2/3回]
>>189
「ふぅん……。」
(要は、功成り名を遂げる、そんな夢を見るお上りさんか。)

正直な話、彼女の身の上、そして身上はこの町においては珍しいことでは無かった。
その為、あまり彼女の話に心揺さぶられた、ということは無かった。
単身この町に出てきている者は、多かれ少なかれこの手の絶望を知り、この手の希望を見出す。

「金も無い、然したる動機も無い。」
「俺の刀が切っ掛け作りか。」

男はそう呟くと、工場の奥へと引っ込む。
数分の後、男は一本の刀を持って再び少女の前へと現れる。
忍刀と呼ぶには若干短いが、まあ申し分ない程度であろう。
鞘も艶消しの黒、鍔も正しく忍刀と言ったところか。

「切っ掛け作りってだけなら、コイツは打ってつけだ。」
「一切の文句も言わず受け取るなら、コイツをくれてやってもいい。」
「アンタと同じく"無銘"だ。」

まだ名の無い少女には、まだ名も無い刀を。
そして、彼女がその刀を鞘から抜いた時、或いは気付くかもしれない。
一点の曇りなく光るその刀には"刃がついていない"事に。
193 : 紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/24(火)13:39:50 ID:7F4 [3/3回]
>>190
病み上がりとはいえ人よりかは健脚、こちらを振り返られる度にどうかしたかと素直に首を傾げ。
それを幾度か繰り返して到着した宿屋の前で、一人待つ事しばしの間。

「ありがとう。助かった」

包帯を受け取り控えめな一礼、早速目立つ傷痕を隠すために巻こうとして。
衣の下に隠れた両肩の傷が両手を高々と上げるのを許さず、中途半端な状態で静止すること数秒。

「…………ん」

諦めて包帯を返し、軽く頭を突き出して言葉少なに申し出に甘えようと。
代わって巻いてもらう間も実に大人しく、まるで年上に面倒を見てもらっているかのようで。
片目片耳を隠して安堵の笑みを浮かべるまでを、屋根の上から白を咥えた黒猫がじっと見ていた。

//それでは〆という事で!
//ありがとうございました、お疲れ様でしたっ
194狼牙 雲黒斎“天雷 雲雀”◆</b></b>MaGu8/o5KQ<b>[] 投稿日:19/09/24(火)15:49:40 ID:Pdr [4/4回]
>>192
「これは…」
忍刀としては短めだが、艶を消した黒い鞘と鍔、忍びとして扱うには十分な品だ。
それにしても軽い…確かに忍具は軽い方が扱いやすいが、軽過ぎる。
まさか…

「えぇ、黒狼が扱うに相応しい刀です。
まるで、“刃の重さ”を感じさせない様な…」
私は鞘を抜く前に刃が無い事を見抜く。
しかし、主人に言われっぱなしで終わるのは面白くない。
私は刀を鞘から抜き、無い筈であろう黒い刃を見せる。

「今は無銘ですが、私が倭に名を残した際には…何か名前が付くのでしょうか。それとも、私が付けてもよろしいのですか?“この刃”の様に」
これこそが私の妖術。
黒狼の術は忍術だけじゃ無い。
私の妖力を具現化させ、刃を創る事も容易い。

「御名前を、聞いていませんでした。
田舎者のくノ一風情に名乗る名前を持ち合わせていないと申すなら、結構ですが…」
私は刀を鞘に納め、改めて名前を聞く。
明らかに手を抜かれたが、態度に見合わせた腕を持っていると見える。
名前くらいは知っておきたい者だ。
195沙前守灯弥◆</b></b>ylu7wPFPKA<b>[] 投稿日:19/09/24(火)23:11:01 ID:vYX [3/3回]
>>194
「へぇ……。」

これが所謂忍術という奴なのだろうか。
魔術に近い気もするが、ここ数日の出来事のせいで、不思議なことに対する反応が鈍い。
ただ、渡したはずのただの鉄の板っきれが、ある種の刀として成り立っている。

「ふふ、そう怒るな。急に用意しろと言われ、しかも無銭ってんだ。上等だろう。」

「アンタとその刀は一心。仮初で着飾っちゃいても、アンタもその刀も、今は芯を知らない。」
「この町は極上の砥石だ。」
「アンタがこの町で磨かれて、自分の中に刃を手に入れたら、そん時は俺が直々にその刀に刃を入れてやるさ。」

"切っ掛け作り"にはピッタリだろう、と言って彼は一人くつくつと笑う。
忍、というにはありありと浮かぶその表情は、どこか子供らしささえ感じられた。

「ふふ、偉そうなこと言っちゃいるが、俺もお前と同じく"無銘"だ。」

「それでも良いなら覚えておきな。俺の名前は、沙前守灯弥だ。」
「分かったら、そろそろ去ね。打たれて、磨かれてきな。」
196狼牙 雲黒斎“天雷 雲雀”◆</b></b>MaGu8/o5KQ<b>[] 投稿日:19/09/25(水)20:34:18 ID:CAd [1/1回]
>>195
「灯弥さま…覚えておきましょう。」
沙前守…噂には聞いた事がある。
その優れた刀工は恐ろしい程の斬れ味を持つ刀を打つとか…
そうか、この方が…

「では、私が磨かれ、私の中に刃を手に入れた時…その時は、よろしくお願いしますね。」
私は頭を下げ、鍛冶屋を後にする。
この方は真の腕を持ったお方だ。
この方に認めてもらう為に、私も精進しなくては…!

//これで〆させて頂きますね。ありがとうございました!
197 : 沙前守灯弥◆</b></b>ylu7wPFPKA<b>[] 投稿日:19/09/25(水)21:43:48 ID:SZF [1/1回]
>>196
//ありがとうございましたー!
198紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/26(木)15:57:35 ID:1Ye [1/2回]
急な白雨が丁の町を襲った夕暮れ時。怱々として屋根の下に引っ込んだ者がほとんど、くすんだ茜色に染まる通りに人の影は今や些少。
生命の気配といえば傘を備えて歩く者と、軒下で一時凌ぎに頭を守る者くらい。

「…………はぁ」

ため息を雨音に沈めて曇天を仰いだ、風呂敷を携える獣耳の少女は後者であった。
緩む包帯から覗く右の瞳、灰色の双眸は空模様につられて幾許かの憂を映す。
切れこみの入った右耳が湿気を厭ってぱたと揺れる。通る白布から顔を出す左耳はアンバランスに未だ小ぶりで。
濡らす訳にもいかないお使いの品を胸に抱えて、一人茫と虚空を眺めた。
199◆</b></b>W9/EZq3i5Ymm<b>[] 投稿日:19/09/26(木)20:46:34 ID:sWP [1/1回]
>>198
「あっ、あのっ…」

軒下で雨を凌ぐ紅緒の前に唐紅の傘を差して現れたのは同じ茶屋で働く少女、幸子だった。
同じ茶屋で働いているとは言っても会話を交わしたのは数回で、それ程見知った仲と言う訳でもない。
けれど、恐らくはお使いの品を抱えて動くに動けない様となっているの所を見て見捨てる程薄情でも無い。

「紅緒さん…ですよね? 良ければ、一緒に行きませんか?」

湿気を帯びて艶めく黒髪に縁取られた幼げな表情で、幸子は同業者を見つめていた。

/まだよろしければー
200紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/26(木)21:42:07 ID:1Ye [2/2回]
>>199
雨の日は雫が叩く音と湿った空気のおかげで、人より鋭敏な感覚も途端に鈍くなる。
だから薄墨の瞳が未やるのは、通りがかりに声をかけられてようやくの事。

「幸子……今からお店?」

微かに目を見開き、それからばつが悪そうに視線が逃げて映える韓紅花の傘に移る。
水分を吸ってほんのりと重くなった鶸色の袖が億劫に揺れて思案を示したが、頷くまでにそう時間はかからない。

「……うん、お願い。傘、持つよ」

片手でしっかと荷物を抱え、代わって傘の番を務めようとするのは身長差を考えての事だろう。
なにせ幸子が譲らないのであれば、少しだけ背中を曲げて傘の下に収まらなければいけないのだから。

//ありがとうございますっ、よろしくお願いします!
201◆</b></b>W9/EZq3i5Ymm<b>[] 投稿日:19/09/27(金)13:50:32 ID:KqX [1/2回]
>>200
「はいっ今から戻る所です」

自分の名前を覚えていてくれたことに微かな高揚を感じながら、傘を高く掲げる。
自分の身長では紅緒を傘に入れることが出来ない。だから少しでも高くしようと腕を伸ばすが。

「あっ…ありがとう、ございます…」

提案され、バツが悪そうに傘を手渡す。彼女が必死に腕を伸ばすより、紅緒が持った方が遥かに効率的だ。
それがわかっているから、尚更申し訳なくなる。自分から一緒に行こうと言ったのに、結局傘を持たせている。

「あ、あのっ…よろしければ、お荷物お持ちします」
「どちらも持つのは、お疲れになるでしょうし…」
202紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/27(金)15:34:12 ID:q5o [1/1回]
>>201
傘を受け取れば少しだけ傾けて、幸子の肩が濡れることのないように。荷は胸の前で抱いて雨雫から守る。
どちらともなく店に向けて歩き出そうとしたところで、思わぬ申し出を受けてはたと見下ろし少しの沈黙。

「じゃあ、よろしく。濡らさないように気をつけて。重かったら無理しなくていい」

ふわと手渡されるそれは布物らしく、見た目の程に重くはない。風呂敷で包んだ大きさからして衣の類だろうか。
住みこみで働く彼女が、今日のように勤務日でもないのにちょっとした使いに出されるのは、そう珍しい事ではない。
揃って帰るまで決して遠くはない距離、けれど二人きりの時間がこれだけあるのは珍しかった。

「……そんなに緊張しなくてもいい。別に、怒ってる訳じゃないから」

徐に口を開いたかと思えば、雨に忍ばせたのはどうにも唐突に感ぜられる言葉だった。
一抹の疚しさを掬い取ったのだろうが、その要因を自分の態度ではないかと推察したようで。
印象のちょっとした自省を籠めた獣の耳が、湿気に負けたが如くしな垂れた。
203◆</b></b>W9/EZq3i5Ymm<b>[] 投稿日:19/09/27(金)23:43:06 ID:KqX [2/2回]
>>202
「はいっ! お任せください」

受け取った包みは思いの外軽かった。包まれているのは着物か、仕立てる前の柄布だろう。
けれど、これは人から預かり持ち帰る為のもの。彼女にとっての重みは、ただの布のそれではない。

「あ、はい……あの、紅緒さん……」
「ちょっとだけ、お話しながら帰っても……いいですか……?」

おずおずと問いかける。今まで余り接したことのない相手と二人きりの時間だ。
必然的に少しでも距離を縮めてみようと挑戦する。茶屋で働いている時には出来ないことだから。

「紅緒さんは……どうしてお店で働こうと思ったんですか……?」
204紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/28(土)00:25:31 ID:aMj [1/2回]
>>203
「ん、構わない」

生来、無言を苦痛とする気質の持ち主ではない。が、同業者の、それも年下の歩み寄ろうとする姿勢を無下にするほど薄情でもなかった。
生まれたての水溜まりを横目に捉えていた視線を幸子へと移し、小さく頷いてみせる。
とはいえ咄嗟に話題が口をついて出るかと言えば否だ、密やかな語らいを遠慮がちな問いに先んじられることとなる。

「わたし?ううん……あまり面白い話じゃないけど」

悩ましげに首を傾いで、前置いてから少しの間。雨粒が起こした波紋を眺めた瞳に、僅かばかりの懐古が浮かぶ。
ややあって、己の頭頂部に鎮座する獣の耳を指差した。誰が見ても分かる、人外の証左だ。

「ほら、わたしってこれでしょ?だからこの町に来た頃は、仕事も住む場所もなかなか見つけられなくて」
「それで困ってたところを、おっちゃんに拾ってもらった。だから、お礼……みたいなものかな」

寡黙な主人と朗らかな女将は、良くも悪くも人魔の境界に偏見を持たない。だからこそ誰にでも肩入れするし、客だって種を理由に拒みはしない。
その恩義を自ら奉公で返す気概があるからこそ、今もこうして他の職ではなく幸子の同僚を選んだのだろう。
幾年も前の当時を思い出して気恥ずかしくなったのだろうか、傘を握る指をなんの気もなしに弄ぶ。

「……幸子はどうしてうちの店に?奉公なら色々あると思うけど」
205◆</b></b>W9/EZq3i5Ymm<b>[] 投稿日:19/09/28(土)20:22:46 ID:u45 [1/1回]
>>204
「そう、なんですか……」

紅緒の話を聞き、悪いことを聞いてしまったかと俯く。
だが、その境遇は自分と似通っていて、どこか親近感を覚えるものでもあった。

「私は、お父さんがお母さんとは違う女の人と何処かに行ってしまって……」
「しばらくはお母さんと二人で暮らしてたんですけど、ある日からお母さんも帰ってこなくなっちゃって……」
「だから、色んな所で雇ってもらえないか頼んでみて、雇ってくれたのがここだったんです」

淡々と話すが、内容はそれ程穏やかなものではない。
むしろ壮絶とも呼べるものだった。幸子の齢は九つであり、物心ついてからずっとこんな生活だったと言うことだ。

「一人で働くのって大変なんですね……よく失敗してしまって……」
206 : 紅緒◆</b></b>eUcBywYYnk<b>[] 投稿日:19/09/28(土)21:30:42 ID:aMj [2/2回]
>>205
「幸子が気にするような事じゃない。大分前の話だから」

まだ成長の余地が残る体つきだろうに、奉公を始めた当時からなんら変わりのない様相。
人と異なる成長速度にとって五年という歳月は微々たるもの、ゆると首を横に振る口元が微かに三日月を描いた。
しかしその緩やかな笑みは、語り口に相反した過去の最中に神妙なものへと移り変わる。

「それは……大変だったんだね」

己が九つの時分。記憶は星光の彼方だが、少なくとも波乱の内ではなかったように思う。
歳からは想像もつかない経験の連鎖に、どう言ってあげればいいものかと目を伏せて。
つられて導かれた今今の鬱屈を聞けば、ぱっと意外そうに視線を向けた。

「一人じゃなくて、皆で働くお店でしょ。おっちゃんにおばちゃんに、わたしだっている。一人なんて事はない」
「それに、わたしも失敗する事はある。今日だって幸子がいなかったらしばらく帰れなかった。だからそんなに気にしなくてもいい」


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