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1 : ◆</b></b>ff7EV/bXVPoq<b>[] 投稿日:19/11/02(土)10:48:45 ID:mHM [1/8回]

「やぁやぁ、良い子も悪い子も寄っておいで。
 遠い国のおとぎ話を、胸躍る冒険譚を聞かせてあげるから」

野を越え山を越え海を越え、遥か北国の雪原を、南の国の大砂漠を、大陸を隔てる断崖絶壁を越え、遥々その『町』はやって来る。
時には珍しい荷物を載せて、時には新たな旅人を乗せて、時には勇ましい傭兵として、時には気高い冒険家として。
無数の荷馬車の車輪の音が止まれば、そこには新たな物語が生まれる。

「さぁさぁ、キャラバンがやってきたぞ!」

【wiki】
https://w.atwiki.jp/isekaicaravan/

【名前】
【キャラ区分】
【性別、年齢】
【職業】
【容姿】
【能力、装備】
【概要】

【ロールガイド】
http://pbcguide.fc2web.com/frame.html

1:まずはロールガイドをよく読みましょう。
2:少年誌レベルを大きく越える過激なR-18、R-18G描写は禁止。
3:確定ロールや相手を一方的に圧倒するロールは禁止。
4:トリップはキャラシートを投下する段階から付けておいてください。
5:報連相はしっかりと、レスが長時間遅れる場合はその旨をお相手様に伝えてください。
6:1日以上の長時間ロール相手との連絡が取れていない場合は、ロールの凍結や破棄が可能です。
2マハドラ・カージス二世◆</b></b>ff7EV/bXVPoq<b>[] 投稿日:19/11/02(土)13:04:47 ID:mHM [2/8回]

馬の蹄が忙しなく地面を叩き、荷馬車の車輪に巻き上げられた砂が砂煙となって軌跡を残していく。
砂漠地帯を進む『キャラバン』の行列は、やがてその中程に広がる緑豊かなオアシスと、オアシス近隣に広がる小都市へと差し掛かった。
先頭を進む馬車の一団がオアシスの脇に止まれば、行列は続々と立ち止まり、馬車から降りた人々は忙しなく賑やかに荷下ろしと魔法のテントの設営へと取り掛かる。

砂漠の街カージスは、総人口1万人前後の小さな独立都市国家である。
街の外周は外敵の侵入を防ぐためか、それとも街の住民が外へと逃げ出すのを防ぐためか、高さ3m程のつるりとした石壁と門に取り囲まれている。
壁の向こう側、砂地に雑多に立ち並ぶ石造りの町並みでは、ぼろ着に身を包んだ人々が路傍から窓から静かに行列を覗き見ており。
その遥か奥には、近くの殺風景とは対照的に、金色の屋根を持つ豪奢な宮殿の様な建物が薄らと見えていた。

不意に門が開き、その向こうから馬に乗った一団がやって来る。
先頭を進む3頭と後方を固める4頭、中央を進む豪奢な衣装の男とその両脇に1頭ずつ。
中央の男以外は、皆剣や槍や皮の鎧で簡易的な武装が施されている。

「これは見事なものだな」

低くしわがれた声は中央の男から発せられたもので、真っ直ぐに背筋を伸ばし、猛禽類の様に鋭い視線を更に細めてキャラバンを見つめている。
声を張り上げ、徐々に町を展開していく彼らに聞こえる様に叫んだ。

「遠路遥々、こんな辺境へよく参った!
 疲れも溜まっている事だろう、大した物は無い街だが、心ばかりの歓迎の食事を用意してある!
 手隙の者は宮殿へ来られると良い!」
3ロフィア◆</b></b>h6k2RhohHM<b>[] 投稿日:19/11/02(土)16:10:45 ID:ZXf [1/6回]
>>2
「あっつーい……空気カラッカラー……」

天を衝く天幕の頂上に登って、四方を眺めわたす者がいた。フードをかぶり、しかれど四肢を惜しげもなく晒した。
誰もそれを咎めようとはしないから諦められているか、それが役目なのだろう。
周囲の危険を探り、壁の向こうの街並みに意識を向け、やって来た一団に耳を傾けて。

「――ご飯!?」

その言葉に反応して飛び降りるのは、迅速と呼ぶ他にない俊敏さであった。

「はいはーい、行く行く!!ボクってばもうお腹ぺこぺこ!!」

威厳を纏う佇まいにも気圧されている様子はなく目を輝かせ、期待たっぷりに笑う口元から牙が覗く。
拍子に捲れたフードの内から露わになった灰青の猫耳が、砂塵を払うようにふるふると震えた。
4マハドラ・カージス二世◆</b></b>ff7EV/bXVPoq<b>[] 投稿日:19/11/02(土)17:13:57 ID:mHM [3/8回]
>>3

「ふふ、そう慌てずとも、食事は逃げたりはしない。
 貴公ら皆が十分に食べられるだけの量は用意してある、今は忙しくしている者達にも、後程また使いを寄越す。
 ……さぁ、宮殿まで案内しよう、我々に着いて来ると良い」

馬が踵を返せば、じゃらりと衣装を飾り付ける宝石類が音をたてた。
先導する様に門を潜り、砂地を先へと進んでいく。

「ここの気候は年中この調子だ、時折降る雨が恵みでな。
 些か貴公の肌には合わないかもしれないが……言ってくれれば、快適に過ごせるよう出来る限り融通は利かせよう。
 貴公らは大事な取引相手で客人だからな、後程荷物を色々見せてもらうぞ」

寂れた空気を纏った町並みの中、馬の一団の進路を邪魔しない様道の脇へと退避した街の人々が、膝を突き男に向けて頭を下げ続けていた。
しかし、その表情はどうにも苦々し気である。

「ああ、それから忠告させてもらうが……あまり周りは見ない方が良い、この辺りには物乞いもいるから目を合わせれば何かと強請られる」
5ロフィア◆</b></b>h6k2RhohHM<b>[] 投稿日:19/11/02(土)17:47:10 ID:ZXf [2/6回]
>>4
足取りは軽く、あちこちに忙しない視線。目に入る物全てが新鮮に映る、好奇心旺盛な子供めいた仕草。
他にキャラバンから幾人かがついて歩いているのだろうが、その先陣を切るのは遠慮を知らない彼女であろう。

「うへえ、通りで空気が乾いてると思ったぁ……ボクはちょっと苦手だにゃあ……」
「でもでも、ボク達の荷物には色んなトコの色んなモノがあるからね!きっとおじいさんが気に入るモノもあると思うよ!」

畏れはなく、敬意も一欠片しかない。言ってしまえば礼を失して憚らない少女であった。
舌を出してすっかり辟易したように見せたかと思えばにひひと笑って、己の感情に素直な言動。
しばらくは建物の様式などを興味深そうに眺めていたが、警告の言葉に反応してマハドラをまじまじと見つめた。

「んにゃ……?ここの国の人達は、そんなに生活に困ってるの?あんまりそうは見えないけどにゃあ」

忠告よりも好奇が上回ったか、見渡す目線は先程までよりも格段に低く。渋い顔が多く見えた所感に首を傾げた。
6マハドラ・カージス二世◆</b></b>ff7EV/bXVPoq<b>[] 投稿日:19/11/02(土)17:50:36 ID:mHM [4/8回]
>>5

//すいません!急用が入ってしまい、次の返信遅れます!
7 : ロフィア◆</b></b>h6k2RhohHM<b>[] 投稿日:19/11/02(土)17:53:01 ID:ZXf [3/6回]
>>6
//了解です、ご自身のペースで大丈夫ですよ!
8マハドラ・カージス二世◆</b></b>ff7EV/bXVPoq<b>[] 投稿日:19/11/02(土)19:50:10 ID:mHM [5/8回]
>>5

「なに、宮殿まで行けば水で喉も肌も潤せる」

くつくつと口の端を歪ませて笑み、その直後。
道の脇で頭を下げる人々を、まるでくだらないものでも見るかの様に一瞥する。
ロフィアの問いには、ゆっくりと顎鬚を撫でる仕草と共に答えた。

「何しろこの砂漠地帯だ、態々訪れる商人もそれほど多くはない。
 恵みの殆どは……貴公らにも見えただろうが、街の外のオアシス頼りだ。
 まぁ量が少ない代わりに、希少価値が高い物ばかりだからそれなりに高くは売れるが……あぁ、後程貴公らの荷物と交換としよう」

住民達の視線はやはりどこか不満げで憎らし気。
その視線はロフィアへ向き、彼女も興味深そうに周囲へと視線を向けている事に気付くと、マハドラは小さく顎を動かす。
後方を固めていた4人の騎兵の内、2人が静かにロフィアの両脇へと移動して視界を妨げようとしていた。

「……さぁ、もうすぐそこだ」

前方を見れば、如何にも権力者の住居、金色の丸屋根を持つ宮殿が目前に迫っていた。
街の殺風景とは一転、門の両脇に獅子を模った銅像が威圧的に構え、宮殿周囲を囲む堀の底には澄んだ水が静かに流れている。
宮殿前には花壇が設置され、乾いた気候でも枯れにくい色とりどりの草花が整然と咲いていた。

//いきなりロールを滞らせてしまい申し訳ありませんでした、ここからは安定するかと!
9ロフィア◆</b></b>h6k2RhohHM<b>[] 投稿日:19/11/02(土)20:36:31 ID:ZXf [4/6回]
>>8
低きに向ける視界がこれ見よがしに遮られて、騎兵の動きが恣意的であると気が付けない程に愚鈍ではない。
しかし少しだけ口を尖らせこそすれど、その不満を口に出して決裂の罅を生み出しはしなかった。

「ふむん、ボクが住んでた国は毎日雪が降ってたけど……砂漠も大変なんだにゃあ」

まるで他人事のように嘯いて、それだけ。まだ両者の立ち位置が曖昧な状態で、踏み込むべき話題ではないと判断したが故。
国の根幹、最もデリケートな部分。統治者と民の関係となれば尚更の事であった。
仕方なしに顔を上げても見える建物群を目に焼き付けながら、やがて声に促されるまま前方を見て。

「うにゃっ――――すっっっご!!??」

遠目で薄ぼんやりと見るよりも荘厳さに満ち満ちて、凛然と横たわる宮殿を前に、思わずして一瞬言葉を失い。
その後に喉を震わせた大声が、咲き乱れる花弁を楚々と揺らす。

「えーーっ、なにこれ、なにこれ!?よく分かんにゃいけどすっごい豪華!!」
「なんか……ボク達、身分違いじゃない?ホントにお呼ばれに預かっていいのかにゃ?」

歓喜や興奮と言うよりは驚愕に近い反応、咎められない程度に堀や草花に近づいて好奇心のままにまじまじと観察。
暑さと乾燥に負けない生命力に感嘆の吐息、今更ながらに上目遣いで様子を伺った。

//お気になさらず、こちらも反応遅れてすみません…!
10マハドラ・カージス二世◆</b></b>ff7EV/bXVPoq<b>[] 投稿日:19/11/02(土)20:57:02 ID:mHM [6/8回]
>>9

「雪か、話にはよく聞くが私は本物を見た事が無い。
 滞在期間中、貴公の故郷の話も是非聞いてみたいものだ。
 長くこの殺風景な土地で暮らしているとな、外界や異文化に興味が沸いて来るのだよ」

一足先に門の向こうへと渡ると、周囲の兵に続いてゆっくりと馬から降り、一行を誘う様に手招いて。
宮殿の威風に圧倒されている様に見えるロフィアらに、満足気に笑みを溢した。

「フハハハ、先程も言ったが、貴公らは私にとって大切な取引相手であり客人だ。
 客をもてなして悪いという事はあるまい、遠慮せず中へ入ると良い、すぐに食事を出させよう」

気を良くした様子のマハドラは、いそいそと入口を潜り宮殿奥の大客間へと足を向ける。
宮殿内にも幾人もの召使や兵士が待機していたのだろう、ハキハキとした声で指示を飛ばしながら、声は徐々に遠ざかって行き。
入り口前に佇む数人の召使が、ロフィア達に中へ入る様に促しながら、恭しく頭を下げた。
11ロフィア◆</b></b>h6k2RhohHM<b>[] 投稿日:19/11/02(土)21:14:54 ID:ZXf [5/6回]
>>10
あちらこちらを見て回って束の間、やがて一行へと戻ってきた彼女はひどく上機嫌そうで。
外見の年の頃相応に素直と言うべきか、能天気とさえ思える振る舞いであった。

「ありゃ、おじいさんは雪が見た事ないんだ?勿体ないにゃ、あんなに綺麗な物を知らないにゃんて!」
「ボクの話でよかったらいつでも!ボクもこの国のお話、いろいろと聞きたいにゃあ」

にこにこと、楽しげな笑顔でついて歩き、先に指示を出しながら遠ざかっていく老いた背中を大人しく見送る。
黒革の首輪を指で撫でながら、一人ぽつりと。あるいは同行者にのみ届くように呟いた。

「……見かけはいいけど、内政はあんまり良くなさそうだにゃ?」

召使達の促されて元気よく答える際には、やはり溌剌とした態度を絶やさずに。
相変わらず忙しい眼が宮殿の内部を眺めわたしながら、通されるままに大客間へと進むのであった。
12マハドラ・カージス二世◆</b></b>ff7EV/bXVPoq<b>[] 投稿日:19/11/02(土)21:35:40 ID:mHM [7/8回]
>>11

寂れた砂地と石造りの街、何処か疲れた様子の人々の暮らしが、振り返れば確かにそこにありながらも。
宮殿の敷地内は別世界の如く豪奢であり。
富裕層と、そうでない者達の格差がある事は、十分に感じ取る事が出来るだろう。




「この宮殿には、オアシスから地下を通して水を引いて来ている、砂漠の恵みだな。
 まずは喉を潤し、腹を満たすと良い、辺境の食物が口に合うかは分からんが」

召使に促された宮殿の大客間、つるりとした石のテーブル上には、次々に色とりどりの食物が運ばれてくる。
豆を塩辛く煮込んだ物や、干肉の細切りと砂漠でも育つ野菜をスパイスで炒めた物、
芋の粉を練り上げたパンに近い主食、果実の皮で香りづけをした飲料水やその皮の元になった果実、等々……。
所狭しと並べられたその向こう、一足先に椅子についていたマハドラが、『まぁ適当に座れ』と言う様にテーブルを囲む椅子を指差して。

「さて知っている者もいるだろうが……一応、礼儀として改めて名乗るとしよう。
 この街、カージスの領主、マハドラ・カージス……二世だ。
 宜しく頼むぞ、『キャラバン』のご一行」

恐らく、その後も使いに誘われたキャラバンの面々が、その広間に姿を現すのだろうが。
一先ずはロフィア達へと、乾杯をする様にグラスを掲げた。

//では取り合えず、この辺で〆るという形でどうでしょうかー。
13ロフィア◆</b></b>h6k2RhohHM<b>[] 投稿日:19/11/02(土)21:53:52 ID:ZXf [6/6回]
>>12
獣人の鼻には、部屋に入る前から絢爛の食べ物の匂いがよく分かる。
だというのに実際に目の当たりにしたテーブルの上の光景は、想像を遥かに超えていた。

「にゃはぁ……美味しそー……!こんなに贅沢なご飯、久し振りだにゃ!」

顔を輝かせ、招かれて早々に席につくが、我先にと手を伸ばす無礼を堪えるだけの理性はあるようで。
乾杯の音頭を兼ねた自己紹介に合わせ、掲げた杯の水面が強く波打った。

「ねえちょっと。あのおじいさん、そんなに偉いヒトだったの?……ボク、晒し首にされたりなんてしないよね?」

名乗りを聞いて、数秒考え込んだ後。舌鼓を打つ前に隣に座る仲間にこっそりと耳打ちをしたのは、ここだけの話である。

//そうですね、こちらからはこれで〆になります!
//ロールありがとうございましたっ
14 : マハドラ・カージス二世◆</b></b>ff7EV/bXVPoq<b>[] 投稿日:19/11/02(土)21:59:44 ID:mHM [8/8回]
>>13
//お疲れ様でした、お付き合いありがとうございましたー!
15サイラス・イグナシス◆</b></b>ff7EV/bXVPoq<b>[] 投稿日:19/11/03(日)11:02:17 ID:RNt [1/8回]

澄んだ水が清らかに流れ、木々は青々と生い茂る。
自生する植物はどれも砂漠特有の希少な物で、小さな蜥蜴が日陰となった樹の幹に張り付き、休息を取っている。
ともすれば、時間の経過すらも緩やかになっている様な錯覚に陥る自然の中で。

「ふっ……ふぅっ……ふんっ……フーッ……」

……清らかさとは明らかに無縁な青年の姿があった。

「フーッ……フッ……フッ……フーッ……」

上半身の衣服を傍に畳み。
うつ伏せになり、足の爪先と左手指のみを砂の地面へ残してゆっくりと身体を上下させる。
左手が終われば今度は右手で体重を支え、それが終わればまた左手へ……。

右側頭部から前方へ伸びる角ばった焦げ茶色の角、やや日に焼けた肌には所々に赤い鱗が見え、真剣そのものの光を湛える瞳は金色。
キャラバンに属していれば彼の事を知っているだろうが、もしそうでない者が見たならばただの不審人物だ。

「(砂地は良い……しっかり踏ん張らないとすぐに足を取られる、良い鍛錬になるな……)」
16メルム・フォルティーナ◆</b></b>KyWhGauGB6<b>[] 投稿日:19/11/03(日)11:05:25 ID:Pvb [1/7回]
砂漠の街カージス。"キャラバン"が次の目的地としたそこは一言で言えば……"私欲"という言葉が正しいだろうか。
周囲の街並み、そして昨日歓待を受けたあの宮殿と比べればあまりに貧富の差が激しい。
確かに一般市民と領主を比べればそこに多少なりとも貧富の差はあって当然、ただこれはあまりに極端だ。

「…………どうやら今回の国は、あまり稼げそうではありませんねぇ」

"臨時開業「魔女の館」"と看板を立てていつの間に出来上がったのかキャラバンに存在する魔女の館と似たような外装と内装の建物が出来上がっていた。
しかしやはりと言うべきか店内には客は誰もおらずがらんとした様子。街の様子を見ていれば察しはついたものの今回は金稼ぎは少しばかり難しそうだ。
店のカウンターにて、頬杖をついてそんなことを思いながらため息を吐くのだった。
17メルム・フォルティーナ◆</b></b>KyWhGauGB6<b>[] 投稿日:19/11/03(日)11:14:41 ID:Pvb [2/7回]
>>16
//絡み待ち取り下げます…!

>>15
//絡ませていただいてもよろしいでしょうか!
18 : サイラス・イグナシス◆</b></b>ff7EV/bXVPoq<b>[] 投稿日:19/11/03(日)11:18:45 ID:RNt [2/8回]
>>17
//良いですよー!
19 : サイラス・イグナシス◆</b></b>ff7EV/bXVPoq<b>[] 投稿日:19/11/03(日)11:19:14 ID:RNt [3/8回]
//ただ、ちょっと返信は夕方までゆっくり気味になりますが……!
20メルム・フォルティーナ◆</b></b>KyWhGauGB6<b>[] 投稿日:19/11/03(日)11:29:27 ID:Pvb [3/7回]
>>15

この街の周辺には珍しい植物や生物が自生している。そしてそういうものは得てして何らかの薬品や薬の素材になることも多い。
昼間の猛烈な暑さと夜の凍てつくような寒さ、この過酷な環境が作り出す生態系は中々に興味深い。

「あらあら、精が出ますね?」

そんな彼の背後から声がかけられる。もしも振り返ったのならばきっと彼も面識があることだろう。砂漠という暑苦しい環境であるからか普段のドレスローブではなく若干涼しげなものを羽織っているのが普段とは違う点だろうか。
手にはバスケットが下げられており中にはこの辺りの植物などが入っていた。

「昨日の歓待は中々に豪華でしたねぇ……サイラスさんはあの時いらしたんですか?」

マハドラ・カージス二世がキャラバンをもてなすためにと用意した歓待は中々に豪勢なものだった。ただ、そのおかげで街とその領主の間での貧富の差というものがより明確に見えてしまったが。

//それではよろしくお願いします…!
21サイラス・イグナシス◆</b></b>ff7EV/bXVPoq<b>[] 投稿日:19/11/03(日)12:05:43 ID:RNt [4/8回]
>>20

「……仕事の仕入れ中か……お前も……相変わらず、精が出る……フーッ……」

腕立ての姿勢のまま、ちらりと視線を後ろへ向けて。
しかし、またすぐに元に戻る。
滴る汗が砂地に黒い染みを作っていた。

「一応な……フッ……碌に会話はせず……フー……飯を食うだけだったがな、中々美味かった、権力者の飯という感じで……フー……。
 ただ飯は良いとして……宮殿の飾り付けはやり過ぎだ……フーッ……そんな事に消費する金があるなら……フー……。
 他の奴らも……もう一回りくらいは、良い暮らしも出来そうだがな……」

しかし昨日のマハドラの振る舞いは、如何にも『権威を誇示する事が好きで好きで溜まらない』と言った様子だった。
市民の暮らし等、自分の暮らしに比べれば知った事では無いのだろう。
ああいう類の権力者は、あまり好きでは無い。

「飯は美味いが、あの爺は嫌いだ……フゥーッ……おいメルム、近くに手頃な岩とか無いか。
 錘が欲しい、俺の背中に乗せてくれ……フー……」

右手を地面に残し、左手でくいと自分の背を指す。
22メルム・フォルティーナ◆</b></b>KyWhGauGB6<b>[] 投稿日:19/11/03(日)12:26:06 ID:Pvb [4/7回]
>>21

「えぇ、この辺りには薬に使える植物が多いので。それに中々に貴重なものもありましたよ?」

バスケットから取り出したのは素人が見れば他の植物と大して変わらないような見た目のもの。
本職のものにはやはり見分けはつくのだろうが他の群生している植物と一緒に生えていたら見分けるのは中々至難の技だ。

「最初街の姿を見た時はあんなものを食べられるなんて思ってもいませんでしたよ、流石は領主と言ったところでしょうか?」
「派手、良いではないですか。まさに見栄を張ろう見せびらかそうという自己主張が体現された素晴らしい建築物かと」

如何にも自らの権威を誇示するかのようなものの数々。そして街の様子を見ればこの国の現状は簡単に想像できる。
今までそういう国を見たことは何度もあるのだ、きっとこれもその中の一つということなのだろう。

「そうですか?あぁいう輩は単純ですし、良いカモ……失礼、商売相手になるんですよ?まぁだからこそ昨日のロフィアちゃんの発言はかなりハラハラしましたが」
「手頃な岩……岩は無いですが…そうですね、それならこれでどうでしょう?」

そう言ってサイラスへと近づけば……もしもサイラスが何か妨害でもしてこない限りよっとブーツを脱げばサイラスの背中へと座ってしまうだろう。

「ちょうど歩き回って足が疲れていたんですよ、ですからほら、手頃な椅子代わりということで?」
23サイラス・イグナシス◆</b></b>ff7EV/bXVPoq<b>[] 投稿日:19/11/03(日)13:05:49 ID:RNt [5/8回]
>>22

「植物は見ても分からん……俺は……ハァッ……肉が良い……タレが絡まった……フーッ」

一瞥、植物の違いは分からない。
聞かれてもいない自分の嗜好を呟きながら、腕立てのペースはなおも一定を維持。

「権威を過度に誇示し……フゥッ、市民の暮らしには目を向けず……そういう権力者が、次第に国を腐らせていくんだ。
 まぁ、滅びるなら勝手に滅びれば良い……ハァーッ……が、巻き込まれる市民は溜まったものじゃ無いだろうな……ッ。
 ……あの爺から搾り取る分には良いが、それ以外の奴らから更に搾る様な事はやめろよ……?」

疲弊、不満、そしてキャラバンへの僅かな期待。
宮殿への道中向けられた視線が忘れられず。
曇る表情を振り払う様に頭を振り、更に腕立てを継続しようとして。

「グォッ……!?」

ずっしりと圧し掛かる、岩とは明らかに違う重み。
半々龍の怪力が腕に籠められ、圧し潰されずに持ちこたえながら、視線を頭上に向けてメルムを睨みつけた。

「……当然の様に人を椅子にするな貴様ッ……!」

……それでもまぁ、一応腕立ては続けようとするのだが。
24メルム・フォルティーナ◆</b></b>KyWhGauGB6<b>[] 投稿日:19/11/03(日)13:41:08 ID:Pvb [5/7回]
>>23

「少しは栄養のバランスも考えてはどうですか?強靭な肉体は健康な肉体から、ですよ?」

呆れ気味に言えば植物をバスケットへとしまって。

「栄枯盛衰…きっと放って置いてもあのまま崩れ去ってしまうでしょうね。ですからその前に私のようなのが絞れるだけ絞りませんと」
「でしょうねぇ…ですが私たちには関係のないこと…余所者である以上首を突っ込むわけにもいけません」
「ご安心を、商売というものは飴と鞭。それに取れぬものからはどうやっても搾り取れませんよ。搾り取れるのは持っているものだけです、そういう点から見ればここの領主は商売が下手に見える…」

商売はどうやっても商売相手との関係は重要だ。多少の不満は仕方ない、その不満は次の取引にて帳消しにすれば良い。
だがこの街の市民は不満に満ちている。これではいつ爆発してもおかしくない、それが起きないのは恐怖による抑制があるからだろう。
だが恐怖というのは見た目以上に案外脆いもの。ちょっとしたきっかけで……

「まぁまぁ良いではないですか。あ、重いとか言ったら容赦はしませんからね?」

にっこりと微笑みながら座るのは止めない。そしてそのうち足組みをして読書まで始める始末で。

「……半端な善意で何かをするのはよした方が良いですよ、後先を考えない行動はいずれ自分の首を絞めることになります」
25サイラス・イグナシス◆</b></b>ff7EV/bXVPoq<b>[] 投稿日:19/11/03(日)14:23:08 ID:RNt [6/8回]
>>24

「……何も、野菜を食わないとは言っていない……フーッ……出された物は食う……。
 しかし……この性悪女め、人を安楽椅子扱いするか……。
 碌な人生にならんぞ、フゥッ……!」

眉を顰めながら腕立てを続行、奇しくも良い錘だ、鍛錬にはなる。
一定のペースで上下する背中の乗り心地がどうかは分からないが、取り合えず乗られたままに。

「国家の運営も……お前からは、商売と同じに見えるか、フー……。
 考え無しに手を出しはしない、分かっている、俺達は事前活動家じゃあないからな……」

事前活動家の集まりでは無い、各々が各々の目的で集い旅をする、小さな町がキャラバンだ。
思考も行動も完全な一枚岩では無い。

「が……子供の視線は、どうにも刺さりやすい」

だがやはり、思い出すのは街中で受けた視線、その中でも特に小さな子供の視線だった。

「頭での理解と心情が……フゥッ……必ずしも、一致する訳でも無いという事だ。
 まぁ、俺一人でどうにか出来るとも……ック、思っていないがなッ……」
26メルム・フォルティーナ◆</b></b>KyWhGauGB6<b>[] 投稿日:19/11/03(日)14:46:24 ID:Pvb [6/7回]
>>25

「ですが出されなければ肉ばかりでしょう?普段もそんな感じなのではないですか?」
「まぁまぁそう仰らずに、上下に揺れるのが不満点ですがそれ以外はギリギリ及第点ですよ」

サイラスの恨み口を特に気に留めることもなくそんな評価を下して。勝手に座って置いて中々に辛口な評価である。

「えぇ、それに損得を見極められるのは商売だけでなく他にも色々なことに応用が効きます。それこそ、戦闘にだって……」
「えぇそうです、少なくとも何らかの得がない限りは」

彼女にだって思うところはある。だが感情に流されて行動なんてしてもろくなことにならないのは十分に理解している。
こればかりはどうしようもないのだ、一つの組織の中にいる以上勝手な真似は自分一人だけでなく組織全体にしわ寄せが来る故に。

「それならば、せめてここに滞在している間でも子供たちと触れ合って楽しませてあげればどうですか?一時の思い出ではありますが、それでも子供たちにとってはいい思い出になるでしょう」

//すいません…次の返信は夕方頃になりそうです…
27サイラス・イグナシス◆</b></b>ff7EV/bXVPoq<b>[] 投稿日:19/11/03(日)16:59:14 ID:RNt [7/8回]
>>26

「フン……生憎と、俺はお前の様に魔法を使える訳じゃ無いんでな……。
 肉を食って、筋肉をつけなけりゃ……戦ってすぐに死ぬ、マヌケな事になる……フー……」

最早、背中に乗っているのは人間では無いと思う事にして。
目を閉じて集中の構え、上下するペースはしっかりと一定を維持し続けている、ゆっくりと、長めに。

「何処までも商売人の視線だな……俺は、何処まで行っても傭兵でしかない……フッ……難しい事は分からん……ハァッ……。
 まぁ……それでも、分かる事はあるが……この国は……フゥッ……放っておけば、死ぬ……」

汗が落ちた。
地面に生まれた黒い染みが、ゆっくりと上下する毎に深く広く広がっていく。
最初は一滴だった雫が重なり染み渡り。
この国もそうだ、積もり積もった市民の怒りは、不満は、やがて爆発するだろう。
その時が、このカージスという国の最期なのだろうと。

「……そうだな、時間が許す限りは……フー……出来る限りの事はするさ……フーッ……」

//こちらも遅れてしまいました、大丈夫です、すいません!
//内容的にはキリが良くなって来ましたので、この辺で〆る形で如何でしょうか……!
28メルム・フォルティーナ◆</b></b>KyWhGauGB6<b>[] 投稿日:19/11/03(日)17:35:58 ID:Pvb [7/7回]
>>27

「そうまでして、強くなりたいものですかねぇ…いっそのこと傭兵なんてやめてもっと別の、安全な仕事に就けばどうですか?」

かつては力を求めて魔法の研鑽に明け暮れた日もあった。だが今ではこの通り、魔法の研究はおまけ程度で毎日気楽に暮らしている。
そうなった理由については……話す必要もないだろう。

「商売人というよりは魔女ですけどね?」
「…………でしょうね、それにきっとこのままいけば考えうる限り最悪の死に方で」

抑圧された民衆たちは恐怖で縛られている。ただ縛られているだけで無くなっているわけではない。
あの男がこのままこの恐怖を持続させられているのならそれでいい、だがそこに綻びが生じたのなら――――
死に方には色々ある、だが今のままでは間違いなくロクな死に方はしない。それこそ再起不可能なほどの死に方を。
これから息を吹き返すのはきっと難しい、だが一度死んでそこからやり直すことはできるかもしれない。しかし今のままではそれは難しいだろう。
だがこちらが勝手に手を貸すわけにもいかない、そんな義理もないし得になることもない。少なくとも不利益しか被らないのだから、こればかりはどうしようもないのだ。

「さて……それでは私はそろそろ戻りましょう。この植物たちで魔法薬の調合をしなければいけませんので」
「市民には売れずともあの領主の周りでなら買ってくれる方もいるはずですので」

そうしてやっとサイラスの背中から降りる。そして、この国の行く末を思いながら街の方へと歩いていくのだった。

//ただいま返信です!
それではこちらはこれで〆させていただきます…!ロールありがとうございました!
29 : サイラス・イグナシス◆</b></b>ff7EV/bXVPoq<b>[] 投稿日:19/11/03(日)18:26:09 ID:RNt [8/8回]
>>28

「分からなくて結構だ……俺は、俺なりの目的で強さを求めてる……フー……」

他の龍種、竜人達に遠く及ばない力。
馬鹿にされ見下され……だが、決してそのままにされてはいない。
力を身につけ、見返してやらなければならないのだ。

「魔女の未来視ってところか……フン。
 会うなら遠回しに警告でもしておいたらどうだ、案外、耳を傾けるかもしれない……フゥ……」

冗談めかして言いながら、最も、あの類の権力者は大概他人の言葉に耳は傾けないだろうが。
重みが背から消えるとゆっくりと立ち上がる。

「……さて、軽く水でも浴びるか」

//では〆で、お疲れ様でした!
30ロフィア◆</b></b>h6k2RhohHM<b>[] 投稿日:19/11/03(日)22:30:42 ID:sst [1/1回]
砂漠の気候とは世界的に見ても稀有であり、昼と夜の寒暖差もその特異性の一つ。
ぎらぎらと照りつける太陽が地平に隠れたと思えば、玻璃色の星光に照らされた地表は秋麗の如く冷え込むのだ。

「もう少しちょうどいい気温にはならないのかにゃあ……?」

キャラバンと街を覆う石壁の直線上、即席の領土のすぐ手前で一人呟く猫耳の少女がいた。
布で纏うのは胸と尻まわりだけ、その上から半袖のパーカーを羽織り。人の背丈程もある岩の上に座って、ゆらゆら揺れる尻尾が砂に影を落とす。
人より鋭敏な感覚を生かした、所謂不寝番の最中であったが。代わり映えのない森閑の景色を眺めて楽しいかと聞かれれば、当然答えは否でしかない。

「せめて程よく暖かい時間帯があればいいんだけど……へくちっ」

キャラバンに足を踏み入れる者も後にする者も、大抵は彼女の前を通るだろうし。
ひとり言はともかくとして耳と鼻はしっかりと周囲を意識しているから、ちょっとした騒ぎだって気を引くには十分だろう。
31ルークス◆</b></b>fnkquv7jY2<b>[sage] 投稿日:19/11/04(月)19:57:45 ID:fmi [1/4回]
カツカツ、という彼の靴の音が宮殿の廊下に響く。
彼の名前はルークス、カージス国に忠誠を誓った騎士だ。
主人である領主の部屋の扉の前に立ち、軽く4回ノックして声を掛ける。

「失礼致します」

よく響く大きな声で、堂々と。
入室許可が出るまでは立って待っているだろう
32リラ◆</b></b>O/HRfcvbXs<b>[sage] 投稿日:19/11/04(月)20:18:07 ID:4le [1/4回]
>>30

 「ん、……砂漠の気候は対策を怠ると直ぐに体調を崩し易い地域と云われているーー。
 ……調子はどうだい? ……これでも飲むといい。」
 「……その見るから寒そうな格好なキミを心配した乗車員が、私に様子を見てきて欲しいと要望があった。
 ……一応、暖かな防寒具はあるが、、、」

 岩陰から響く気怠げな声。
流石に何時もの格好をするのには、余りも寒いのか防寒対策をした現地民の様な格好をしているが相も変わらず“白の白衣”を羽織っている。
 その眠そうな瞳は、揺れる尻尾を一瞥に観測したら、自身の背丈程。…否。 やや大きい岩肌の上を見上げる。ーーーそして、これまた気怠く何かを持った右腕を掲げる。

 その差し出した中身は、“茶色い色彩の液体”が小さな木樽に注がれており、熱量が分かる程に湯気が上がったものである。ーーー所謂〝ココア〟と呼ばれている物である。

 一応、コートやスボン、タイツなどの防寒具と呼ばれている一式は揃えて鞄に雑に突っ込んだのだが、必要無いのかも知れないと気苦労になると予感していたが〝くしゃみ〟を聞こえ、寒さに弱いのかも知れないと、一応提案してみる。

 「……ん、少し提案なのだが私の話し相手になって貰っても構わないかな?
 ん、何。元々私は寝付きが悪くてね。……丁度、暇を潰してた所でね。」
 
 そして、暫く経った後に、岩の上に座る不寝番をしているロフィアに対して己の仕事内容の一つである体調状況を聞く次いでに、暇そうに眺めている彼女の話し相手になろうと提案する。

//まだいらしゃったらお願いします!
/返信いつでも大丈夫です!
33マハドラ・カージス二世◆</b></b>ff7EV/bXVPoq<b>[] 投稿日:19/11/04(月)21:18:42 ID:c2u [1/4回]
>>31

「入れ」

少しの間を置いて、扉の向こうからくぐもった声が響いた。

豪奢に飾り付けられた部屋、充満した水タバコの香り。
部屋の中央の椅子に腰かけて、パイプを口の端に咥えたマハドラの姿がある。

「……ふむ、キャラバンの商店に煙草の葉が無いかを聞いておかなければ」

ゆったりと煙を吸っては吐き出し、満足気に顎鬚を撫でながら、猛禽の瞳はじろりとルークスの姿を睨めつけた。

「それで、だ……我が忠勇なる騎士ルークスよ。
 主人の至福の時に割って入り何をしに来た、コレでも吸いに来たか、ん?」

口から離したパイプをルークスへと向けて、茶化す様に上下に振れば、薄灰色の軌跡が残される。

//大変お待たせいたしました!よろしくお願いします!
34ロフィア◆</b></b>h6k2RhohHM<b>[] 投稿日:19/11/04(月)21:25:32 ID:gEZ [1/3回]
>>32
その役割上、注意するのは内から出ていく誰かよりも外から来る何かの方だ。
だから砂を踏む音に気がついていたとしても、顔を向けるのは明確に声をかけられてからのこと。

「どうもこうも、静か過ぎてつまんないよぅ。どこ見ても砂!砂!壁!って感じで、流れ星を探してた方がまだ楽しいにゃあ」

野生動物の息吹も、不夜の街の喧騒もここにはない。あるのはただ、命の根付かない砂原と、向こう側のしんと静まり返った壁だけ。
さも退屈、とばかりに頬を膨らませて、しかし甘い匂いと立ち昇る湯気、差し出された木樽を認めたならば。

「わーっ、いい匂い!ちょうどこういうのが欲しかったんだよね、ありがとリラちゃん!」
「にゃはは……温度差にはちょっと慣れないけど、前に住んでたトコよりは寒くないから大丈夫!」

一転ぱっと顔を輝かせて、茶色に満ちた器を受け取る。場所を問わず露出の高い服装を続ける丈夫さは、獣人所以の性質でもあるのだろう。
ふうふうと何度も息を吹きかけて液面を冷ましながら、その間に照れ臭そうにへにゃっと笑った。
リラが話し相手としての提案を持ち出すのは、程よく温くなったココアにようやく口をつけた頃。

「んにゃ、もちろん!甘いのを持ってきてくれたし、それくらいならお安い御用だにゃ!ボクでよかったらなんでも聞いてよ!」

//反応遅れてすみません、よろしくお願いします!
35◆</b></b>ytEVpkdjek<b>[] 投稿日:19/11/04(月)21:37:58 ID:CUl [1/2回]
石造りの町の住人は、その殆どはぼろ布を衣服として、俯いて生活している。
他所の国から見れば彼らは浮浪者に見えるのかもしれないが、しかし立派な住人である。
彼らには生活があり、故に日中のこの時間は、こんな街でもそれなりに人通りがある。

そこにふと、ある一団がやってきた。
皮鎧を纏う兵士たちと、その中央。長髪の男は、埃一つも見当たらない衣服を着て、凛と背筋を伸ばしていた。

「……そこと、そこと、そこ。後はあの辺りを纏めて持って行こう。」

中央の男が指定した人が、兵士たちによって一か所に集められていく。
何か拘束されるわけでもないのに、抵抗は一切なかった。そんな気力は残っちゃない。

『一人男が混じってますが。』
「いいよ。あれだけ奇麗なら十分使い物になる。
 何時ぶりの客人だ。今日は豪華に行こう。」

そして集められた人々は、宮殿へと連れ去られていった。
残された人々は何も言葉を発することはなく、何事もなかったかのように。
違いが残ったのは広場の中央、掲示板。

"キャラバンの皆様へ 三日月が頭上に上るころ、宮殿の地下にてもてなします。"

と、その一文だけ。

------------------------------------------

//続きます
36 : ◆</b></b>ytEVpkdjek<b>[] 投稿日:19/11/04(月)21:38:08 ID:CUl [2/2回]
硝子細工で彩られた宮殿の地下。それは劇場の様な形状であった。
入口から見て奧に舞台があり、それ以外のスペースにはテーブルとイスを並べ、色とりどりの料理を配置している。
豪奢な灯りは広大な空間を照らし、真昼のように輝いて。訪れる人物は、誰も間違いなく裕福であった。
舞台は幕を閉じて沈黙。地下はまだ、小さな談笑の声のみが響いていた。

そこにあの、長髪の男が舞台に上がり

「――――お待たせいたしました!
 今宵はあの移動都市の皆様が訪れてくださっております。
 ええ、それはもう様々な世界を見てきた方々、私どもも最上の品を提出しない訳にはいかないでしょう。
 ご覧ください、これこそ我らが誇る資源―――――『砂薔薇』共でございます!!」

男が両手を広げる。幕が開く。露になるは―――――人だ。
10年も生きて居ないであろう少女から、妙齢の女性まで。ざっと100人ほどが集められていた。
例えば、震えながら手をつなぐ二人は、きっと親子だろうか。例えば、やせこけた体に不釣り合いな乳房を抱えた少女は、売り物としては上々か。例えば、一人混じった少年は人形のような顔立ちで、女たちに劣らぬほどの商品価値を見せつけていて。
その誰も踊り子の様な、或いは娼婦の様な薄布を着せられ彩られていた。
誰もひどく痩せていて、労働力には決してならないだろう。つまりそれは奴隷であり、それも花の類である。

「本来は商品として提供させて頂く物でございますが、お代などそんな無粋な物は必要ないでしょう。
 今宵に限りは全て、今この瞬間から全て皆様のものです!
 品物の都合上、修理などはできませんが……ですが壊す過程を楽しむのも悪くないものでございますから。
 代わりに数は揃えております。さあ存分に、お楽しみください!!」

ぱん、と男が手を鳴らす。この瞬間から、『砂薔薇』の所有権がこの場の人間に与えられた。
何をしたって良い。どうしたって良い。息をのむ音がした。
誰もが誰かが動き出すのを待っていて。それを舞台の上から、男が下卑た笑みを浮かべながら眺めていた。
37ルークス◆</b></b>fnkquv7jY2<b>[sage] 投稿日:19/11/04(月)21:39:19 ID:fmi [2/4回]
>>33
その声を聞いた後、ルークスはゆっくりと入室していく。
そのタバコの匂いには慣れているのだろう、気にせずに特定のポイントで立ち止まる。
跪いてゆっくりと口を開く。

「申し訳ありませんでした、マハドラ様」

謝礼の言葉を発して、本題に入る。

「いえ、先日きたキャラバンの事についてです。マハドラ様はどうお考えでしょうか?」

ルークスが聞こうとしているのはキャラバンの事についてどう考えているか、自分達は何をすべきかだった。
もしマハドラが指令を出すのなら、彼はその通りに部下の騎士たちに指示を出すであろう
38リラ◆</b></b>O/HRfcvbXs<b>[sage] 投稿日:19/11/04(月)21:56:08 ID:4le [2/4回]
>>34

 「ん、……退屈か。
 それは良かった。」
 「つまり異常が無いと云う事だろう? 寧ろ、静かなのは良い事だ。」

 話す権利を得たので、文句を垂れるロフィアに相槌を打つ様に、片目を閉じ頷く。ーーー確かに、これを長時間の間見れば文句の一つや二つ垂れるのも頷ける訳だ。
 辺りを一瞥した後に、流石に自身の背丈以上ある岩に座ろうとは思わ無いので、星を眺める為にに岩肌に凭(もた)れ掛かる。

 「ん、そうなのか……?
 意外と言ったら失礼に当たるのかもしれないが、獣人と云うのは余り寒い地域には会わないモノだとおもっていたのだがーー。」
 「だとしたら“寒い”と云うより“暑い”方が苦手なのかい? 」


 上から声に少し感心した様に驚嘆の声を漏らせば、少し興味深い話が飛び出したので思わず言葉を漏らしてしまう。 その数秒後後、内心は〝余り無遠慮に突っ込むべきでは無かったか…〟と思いながら。
39マハドラ・カージス二世◆</b></b>ff7EV/bXVPoq<b>[] 投稿日:19/11/04(月)22:00:48 ID:c2u [2/4回]
>>37

跪く姿に向ける視線はなおも鋭く、片手に持ったパイプは揺れて再びマハドラの口へと収まった。

「謝るよりまず用件を言え、私は回りくどいのが嫌いだ」

いつもの様に畏まった謝礼をつまらなそうに一蹴。
続く本題に、片眉を上げて笑った。

「どうだと、妙な事を聞くな、あれは客人で取引相手だ。
 この辺りの土地には無い衣服に物品、異人種と異文化の坩堝……対して、こちらにあるのは財力だ」

長い吐息、吐き出される煙は甘く苦い香り。
語る様子は嬉々としており、キャラバンに対する興味と好奇心が垣間見える。
その最中も猛禽の瞳は、完全に笑ってはいなかったが。

「普段通りに働けば良い、周辺の土地や、町の案内でも頼まれたら案内してやれば良いのだ。
 行商人を相手取るよりなお丁重に、特級の客人として扱ってやれ。
 ……私に害を及ぼさぬ間は、な」

不意に懐を探り、取り出したのは一本の葉巻。
ポンとルークスの前、床へと放り投げて。

「それは兎も角、お前もどうだ。
 嗜みとしては煙草は良いぞ、時間も潰せる」
40ロフィア◆</b></b>h6k2RhohHM<b>[] 投稿日:19/11/04(月)22:15:43 ID:gEZ [2/3回]
>>38
「だってだってー、あんまりつまんないと寝ちゃいそうなんだもんっ」

まさか本気でそうするつもりはないだろうが、とかく誰かに吐き出してしまいたい心持ちなのだろう。
岩の上で器用に膝を抱えて尖らせた唇を、ココアの甘味で濡らしてようやく緩めた。
結局文句を言うのは口だけで、なにも何かに託けてサボりたいだとか、そういった気は更々ないのだ。

「んにゃ?んんー……どうだろ?ボクが寒い国で育ったから、偶々得意なだけかもしれないし」
「でもどちらかって言ったら、ボクは暑い方が苦手かにゃ。日向ぼっこするなら、程よい暖かさが一番!」

一口に獣人と言ってもその在り方は多種多様、彼女のような猫種以外にだって多くの種族がある。
であればロフィアだけをその指標とするのは早計であり、彼女もまた他種の感覚を知る訳ではなく。
難しそうに首を傾げていたが、最終的に日だまりの温暖を最も快適と結論づけるのは、ある意味彼女らしいのだろう。

「それよりボクはリラちゃんの方が心配だよ!」
「いっつも眠そうだし、目の下は真っ黒だし……ちゃんと寝ないとダメだにゃ!」
41リラ◆</b></b>O/HRfcvbXs<b>[sage] 投稿日:19/11/04(月)22:39:14 ID:4le [3/4回]
>>40

 「そう、なのかーー。」
 
 これでも医者の端くれなので、一応それなり知識は在るつもりだが、それはあくまで〝人間〟に対しての叡智で在る。 多様な種族に対しては矢張り勉強不足なのであろう。
 顎に手を添えながら、何か考える素振りをすれば、〝成程〟ーーーと。一人勝手に頷けば、次いで予想外の心配してくる彼女に愛想笑い様に鼻を鳴らす。
 
 「……ん、私の心配はしなくてもいいさ。
 医者が自分の身体を一番理解しない訳が無いだろう。」

 まさか気遣ってくれるとは思わなかったので、何とも云えぬ感情のまま思わず眉間に皺を寄せる。 だが、その表情は罰が悪そうに栗色の髪を撫でりながら、そっぽを向いていて窺う事は出来なかった。

 「……ところで、キミはカージスの街を探索したかい?
 いや、何。私は少し仕事が立て込んでいて余り余裕が無くてね。 ……観光をしたいのだけど色々気掛かりな事も在るから。」
42ルークス◆</b></b>fnkquv7jY2<b>[sage] 投稿日:19/11/04(月)22:43:04 ID:fmi [3/4回]
>>39
「承知致しました、ではその通りに……勿論です。マハドラ様に歯向かうのならば私達騎士団が直ちに処理致しましょう」

マハドラの言葉を聞けば、ルークスはマハドラに歯向かわなければキャラバンを丁重に持て成すだろう。
もし歯向かうのなら確実に処理すると宣言する、それは自分達が精鋭であるという自身の裏打ちでもあった。


投げられた葉巻を拾えば
「ありがとうございます、マハドラ様。ではありがたく頂戴致します……」

そう礼を言って、深く頭を下げた
43ロフィア◆</b></b>h6k2RhohHM<b>[] 投稿日:19/11/04(月)23:03:38 ID:gEZ [3/3回]
>>41
「ホントかにゃあ……医者のナントカって言うし、アヤシー……」

などと宣ってじとりとリラを見下ろすが、顔を背けられてしまえば。
それ以上の追及も念押しも無意味と悟り、存外にあっさりとした諦めを無機質な石壁にやった視線で示した。

「うん、あちこち行ってみたよ!どこも砂だらけで、いかにも砂漠の街って感じ!」
「リラちゃんは初日のお食事に行った?宮殿だけね、すっごくすごいの!ハデッハデで、美味しいモノがいっぱい!」

この王政の危うい均衡に成り立っている現状を、分かっているのかいないのか。
豪華な物を目の当たりにした子供のようなはしゃぎぶり、呼応した尻尾がぱたぱたと上下に振れた。

「リラちゃんが言いたい事も分かるけどにゃ。ちょーっとだけアブナイ雰囲気だもんね」
「でもでも、フツーに商売する分ならなんの問題もないと思うよ?王様のおじいちゃんも取引相手って認めてくれたし!」

どうやら状況の把握という点では、これでも前者のようであった。
黒革の首輪を指で撫でながら、また視線をリラに落とす。蒼玉の瞳が怪訝そうに星空を象って瞬いた。
44マハドラ・カージス二世◆</b></b>ff7EV/bXVPoq<b>[] 投稿日:19/11/04(月)23:21:09 ID:c2u [3/4回]
>>42

「相変わらずの忠誠心は信用に値するな」

口の端を歪め、鼻を鳴らして笑う。
感心と、僅かばかり馬鹿にしたように。

「だがつまらん、お前はいちいち気を張るばかりで、主人を道楽的に楽しませようという気概が感じられん。
 今だってそうだ、態々主人の部屋に割って入ったと思えば、仮面の様に表情も変えず忠誠を誓う等と言う『当然の事』をするだけ。
 ……そうだ、折角来たのだから少し遊んでいけ、大分前に行商人から買った玩具があるのだ」

パチンと指を鳴らせば、部屋の更に奥の扉から召使が現れて。
マハドラが指した棚の中から、薄い箱の様な物を取り出し二人の前へと持って来る。
折り畳まれた箱を広げれば、格子の模様が描かれた木の板と、何やら文字の様な物が書かれた五角形の駒が詰まった器。

「東の国の遊戯でな、『ショウギ』と言う、遊び方は教えてやるから少し付き合え。
 召使とやっても手応えが無くてつまらん、お前は騎士なのだから飲み込みは早い筈だ」

咥えたパイプを上下させ、広げた木の板に手っ取り早く駒を並べていく。

「互いの王の駒を取られぬ様攻防を繰り返す、前衛は歩兵、中衛に『ヒ』と『カク』という将が構えている。
 で、駒の動かし方だがな……」

駒を一つ一つ指差して。

//この辺りで〆に向かう形でどうでしょうかー。
45褐色の男◆</b></b>5JVIJTo7hU<b>[] 投稿日:19/11/04(月)23:24:56 ID:n4n [1/1回]
>>35 >>36

「厄日だな。俺はタダ飯を食いにきただけなんだが」

会場の後ろに佇みながら、誰に言うでもなく愚痴を零すのは、頭部をターバンで覆い隠した男であった。
腰には質素な鞘に納められた刀を帯び、周囲の人間はどこか彼を避けているような雰囲気で、人集りに僅かな空白が見える。
長髪の男も舞台の上から、その違和感に気付けたのなら、男の動きを目で追ったのなら、その次の瞬間に起きることにも対応は充分に可能なはずだ──


「だが、まあ、咥え楊枝は何とやらとは、師匠の言葉だ。遠慮なく『使わせて』貰おうか──イケメン」


その場から、ターバン装束の男が『跳んだ』のだ。
助走もなく、煙のように宙を舞い、宣言の通りに人形のような少年を……避けられれば、地べたを一度経由して──長髪の男のその顔面へ、膝蹴りをデリバリーだ……!

//凍結を挟むと思われますが、よろしければ……!
46リラ◆</b></b>O/HRfcvbXs<b>[sage] 投稿日:19/11/04(月)23:34:43 ID:4le [4/4回]
>>43

 「……いや、私は……その、……人が大勢いる場所はどうにも苦手で、、、行ってないんだ。
 ……すまない。」

 彼女の無邪気な声音に思わず顔が翳り背けたくなる程に眩しかった。ーーー実は誘われて無い訳では無いが、宮殿に誘われて食事会などどうにも『キナ臭い』話だと二言目には断った事を思い出す。
  無邪気に話す彼女や他の乗車員の様子を眺めていたら未だ腹痛の予兆とかの様子は無いので、毒など盛られている心配は無いのだがーー。

 然し、他の民草は飢えを凌いでいると聞いたが、素性を知らない者に対して随分と豪勢な持て成しだろう。 その疑問が胸の奥に潜む靄となりリラの心を離そうとはしない。


 「───さて、どうだか。
 話を聞く限りどうも胡散臭くて構わないと私は思うのだが。」
 「ん、否定するのは良くないな。だが余り肯定過ぎるも良く無いのも事実だ。……用心に越した事はないだろう?
 ……なんて、杞憂し過ぎたね。私はそろそろ行くよ。」

 彼女の言葉を否定するかの様な棘の言の葉を残せば、手を振りそのまま用が済んだ様に、踵を返し重い鞄をぶら下げて、気怠い雰囲気のまま去っていくのだが────急に足を止める。


 「……………また、一緒に話をしてくれると嬉しい。」


 その声はかなりの小ささで正に、蚊の鳴き声程度だが、その声を逃さない程には彼女の聴覚は優れていると信じて、誰にも聞こえない位で伝えれば、今度は本当に去っていく。

//絡みありがとございました!
/ここで〆ます!!
 
47ルークス◆</b></b>fnkquv7jY2<b>[sage] 投稿日:19/11/04(月)23:36:48 ID:fmi [4/4回]
>>44
「楽しませる……ですか。なるほど……」

少し考える様にすると、召使いによってショウギのセットが運ばれていくのを見て。
主人によってルールや駒の動かし方の説明をされると、彼はそれを理解して

「なるほど、なるほど……それは面白そうですね」

興味深そうに目を輝かせて聞いている。
恐らくどの様に戦うのかすでに想定しているのだろう、自然と笑みがこぼれている

//ではそうしましょう。
こちらがうまく立ち回れていたか不安ではありますが……
48 : マハドラ・カージス二世◆</b></b>ff7EV/bXVPoq<b>[] 投稿日:19/11/04(月)23:55:32 ID:c2u [4/4回]
>>47

「兵法を知る人間の視点で、楽しませてみろ」

パイプが揺れる、煙が揺れる。
駒を摘んで、一つ前へ。

「無論、こちらも加減無しで行くがな?」

猛禽の視線は細く鋭く。
背筋を伸ばし、深く息を吐いて。
老王は笑う。

//ではこれで〆、という事で!お疲れ様でした!
49 : ロフィア◆</b></b>h6k2RhohHM<b>[] 投稿日:19/11/05(火)00:03:02 ID:Equ [1/1回]
>>46
「にゃにゃっ!?謝んないでよぅ!でもそっかぁ、もったいないにゃあ……こっそり持ち帰ってあげればよかったね」

不本意な謝罪に慌てて首を横に振り、残念そうに眉尻を下げる表情は本心からのもの。
リラの鬼胎を知る由もなく、あるいは同じ懸念を抱いていながらも飲み下しているだけなのかもしれないが。

「うーん……確かに国と住民の関係は大分悪いけど、ボク達にはそんなに関係ないんじゃない?こっちから変なちょっかい出さなければ大丈夫じゃないかにゃ?」
「っていうか、そんなに心配なら少しだけでいいから遊びに行ってみればいいじゃん!運動だよ、運動!不安なら一緒に着いてってあげるからさー!」

多少の言葉の刃に怖気付かないのは彼女の常、表情はまっすぐな感情のままにころころ変わる。
民衆の実態、キャラバンに向ける眼差しの複雑な色を。直に見なければ分からないと言い張るのもまた、直情的な彼女らしさなのだが。
その窮状に自ら手を差し伸べようとする程に、後先を考えない向こう見ずでも人情家でもないのだ。
キャラバンへ戻ろうとするリラの背中に身体を向け、大きく手を振って見送る。未だ半分程残るココアの水面にほんの小さな漣が生まれた。

「うんっ、飲み物ありがとね!リラちゃんも温かくして寝るんだよ!」
「――にゃは、ボクもまたお話したいな!!」

砂を音が吸いこむ夜のしじまにもかき消えそうな小声に、遠い篝火を揺らす声で応える。
驚いたように一つ、天蓋を星が落ちたけれど。月が依然輝くのだから、今日の夜はまだ長い。

//お付き合いありがとうございました、お疲れ様でした!
50ウィリアムズ ◆</b></b>1S1MRSBoaSyj<b>[] 投稿日:19/11/05(火)02:11:42 ID:3Od [1/6回]

――――パァン、という破裂音と共に周囲に肉片と血が飛散した。

その残骸を目視するや少女ウィリアムズは数百メートル離れた地点で静かに得物を下ろす。彼女が屠ったのはキャラバンのメンバーの一人。
少し探求心の強い不幸な少女を襲った不幸、とでも言うべきだろうか。後は彼女の死体はこの地に生息する肉食の鳥が鳥葬にして終わり。
遺品を回収して処分すれば彼女は行方不明者の仲間入り。
この案件はカージス王も「解決に向けて全力を尽くす」だの適当な言葉を並べて誤魔化して終わりだろう。何故ならこの地の警備を任したのはカージス王自身なのだから。

この地に近付く者は王家の人間以外は誰であろうとも一人残らず殺せ。それが王の命令だ。
全てはこの地で発見された巨大な遺跡群にある。――――遠い昔の時代。この地で栄えたであろう古代文明。
赤い鉄の塔、天を穿つ程の巨大な建造物の数々。幻術で隠蔽されたこの地はカージス王国からやや離れた位置にあり、外から見れば唯の砂漠地帯が広がるのみ。

手で触ればその存在がわかってしまうが、その存在に気付いてしまった者を殺害する事が彼女の役割である。

彼女の武装は此処、即ち遺跡に散乱していたものらしい。

一体何がここにあったのだろう。
彼女も一度はそんな疑問を抱いた事があったものだが、彼女の役割はここの警備。真相の解明ではない。

彼女は鳥に群がられる無残に飛び散った死体に向かって歩きながら再びスナイパーライフルに弾丸を装填した。

//スローペースですが待ちです。
51◆</b></b>kz8eTArnuM<b>[sage] 投稿日:19/11/05(火)11:21:38 ID:aif [1/1回]
>>45
その長髪の男は、迫る驚異を眺めながらも何の動きも見せなかった。
くっくっくっと喉を鳴らすように笑って、迫る膝蹴りは壁に阻まれる。
それは肉の壁。側に居た少年が、奴隷たちが飛び出して男を庇った。
膝蹴りは少年の腹部を捉えて、臓腑を抉る感触を伝わせた。

「───良いですね!!
派手な暴力は私としても楽しいものですから。
丁度、躾が行き届いている証明にもなりましたから。ね?」

男はうずくまる少年の髪を掴んで、面を人々に見せつける。
蹴りの痛みに息を切らして、瞳はぼやけて意識は曖昧。元より痩せた体は、一撃が致命打に成り得る。
耳元で、男は笑えと囁いた。少年は目を閉じて、必死に、微かに口角を上げた。
形は笑顔と同じなのに、その表情には苦痛しか見えない。
それをみた男は不満げに、少年の口を指で引いて強引に笑わせた。

客達は動かず、ざわつきながら事の顛末を待っていた。
舞台袖より待機していた兵士が現れるが、実力行使にはでない。
少年は人質だ。男は彼がどう動くかを期待しているようだ。

奴隷達は感情のない眼をしていた。諦めを越えて、最早自分が生きている事を、意思があることをわすれてしまっているようで。

//すいません寝墜ちしていました……
//スローペースになってしまいますがよろしければっ
52リラ◆</b></b>O/HRfcvbXs<b>[sage] 投稿日:19/11/05(火)12:57:51 ID:Rsh [1/2回]
>>50

 「ーーーーー!」

 不意に発せられるその発砲音が耳を擽る。
独特な匂いが鼻腔を通過すれば、嫌な予感が脳裏を過ぎる。ーーー微かな音と匂いを頼りに誘われ、更地の砂漠の平原を白衣を揺らし駆ける。
 
 最初は、己の認識を疑った。
赤い血溜まりと肉片。そして“嗅ぎ慣れた死臭”が脳裏に焼き付け、次いで巨躯なる銃身を抱える少女が瞳に映る。ーーーここまで情報を纏めれば纏める程に、思わず眉間に皺が寄ってしまう位には冷静には居られなかった。
 そして、普段な気怠げな彼女とは思えない程に、太腿に備えた拳銃を掴みーーー亡き少女の前方に対峙する様に立ち塞がればウィリアムズに銃口を構える。

 「………神聖な場所に訪れた無礼は謝罪しよう。
 だが、些かこれはやり過ぎなのではないか?」
 「……我々はこのカージス王国の領主に許可を得て滞在をしている者だ。
 知らない訳でもあるまい!」

 声亡き少女を一瞬見据えるが、医者の勘が鈍ってなければーー。
苛立ちの声が慟哭すれば、無礼を承知で銃口を向けているが、答えの反論次第では火を噴く程には冷静では居られていない。それほどまでに彼女に取っては『死』という概念は重い。

//こちらはお返事夕方ぐらいになりますが是非…
53ウィリアムズ ◆</b></b>1S1MRSBoaSyj<b>[] 投稿日:19/11/05(火)16:26:10 ID:3Od [2/6回]
>>52

突如掛けられた声に少女は歩みを止めて視線のみを声の主へと向ける。
その様子や身形はカージスのものとは考え難い。となれば、キャラバンの構成員だろう。
まぁ相手の素性等関係無く、この場を見られた以上はこのまま生かして帰すわけにはいくまい。
少女は表情一つ変えぬまま身体を彼女の方へと向けると閉ざしていた口を開いた。

「嗚呼、愚かですこと……。」

「……確かにカージス王は貴方がたキャラバンの滞在を認めました、が―――――」
「秘密を暴く事までは王は許可してはおりませんわ。……好奇心は猫をも殺す。貴女も此処さえ訪れなければ生き延びられたでしょうに。」

かちゃり、と銃槍をリラへと向けると、ウィリアムズはその引き金に指を掛けた。
少女の背後には風と風の隙間に微かに蜃気楼の如く、赤い塔や数多の建造物が顔を覗かせる。
嘗て此処に存在していた古代文明の名残を背景にウィリアムズは銃口を向ける相手に対し、銃口を剥ける事で応えていた。

「親しき仲にも礼儀あり……。」
「貴女方こそ、一体誰の許しを得てこんなところまで来たのかしら?客人でありながらも庭の隅々まで探索しようだなんて不躾にも程がありますことよ。」

「例えば自分の家に招いた客人が室内や庭―――果ては棚や物入れまで調べたら不愉快ではありませんの?」
「それと同じ事ですわ。」

殺された少女の亡骸に鳥が群がる。
風は止まず、やや砂交じりの風は強くなる一方だ。

「……貴女も、此処を見てしまった以上は彼女の様になって貰いましょうか。」

ウィリアムズは引き金に指を掛けたままリラの出方を伺う。
先程と違って不意打ちではない。彼女の持つ得物の性能、彼女の戦闘能力がどの程度かわからない以上は迂闊に攻めるべきではない。

リラを睨んだまま少女は微動だにしなかった。
54 : ◆</b></b>ytEVpkdjek<b>[sage] 投稿日:19/11/05(火)17:54:39 ID:kiI [1/1回]
//すいません、落ちます
//次の返信は深夜になります……
55リラ◆</b></b>O/HRfcvbXs<b>[sage] 投稿日:19/11/05(火)19:16:10 ID:Rsh [2/2回]
>>53

 「ーーーだとしても、だ。
 それは人を“射殺”する言い訳にはならないね。」
 「何を企んでいるのか。ーーー否。何を〝隠蔽〟しているつもりだい?
 ……裸の王様じゃないんだ。領主サマが理由(わけ)合って、文化遺産もどきの警備を任命しているんだろう?」

 「ん、…、大層な蜃気楼で隠してはキミ達は何を護っているのだい。いや、……何が“在る”のか。」

 銃口と銃口が対峙し、妙に拳銃が汗ばむ感触が心地悪い。
唯(ただ)の医者で在る彼女は、恐らく射撃なんて勝負すら成らない程度には為す術もない無く撃ち殺されるだろうーーー。加え、命のやり取りに一切躊躇の無い者相手など到底勝てる予想図すら無い
 かと言って、逃げるにしても遮蔽物の無い平原砂漠などもっての他であり、そんな事をした暁には撃ち抜かれて終わりである。 ーーー時間稼ぎの内に脳内を整理した彼女の最善策は如何に。


 「……悪いが、“亡骸”は連れて帰って埋葬させて貰う。───例え、亡骸でも私の最低限の仕事はするつもりだよ。」
 「ん、その後は領主サマを“強請って”でも、亡骸の前に土下座でもして貰おうーーーーかッ!!」

 それは、永遠の様に止まった針が動き出した感覚だった。
 リラの感情が溢れ出す様に強風が靡(なび)き、それを見込したかの如く目の前の砂を蹴り飛ばせば、対峙する彼女の方へと風の後押しにより粒子が霧散し、些細だが時間を稼ぐ。
 その後の行動は、迅速且つ的確に亡骸の少女を〝抱き抱え〟地を蹴り『前方』へと駆ける。

 右手で抱き抱えながら、左手の拳銃の標準の定めはウィリアムズの真下。ーーー威嚇射撃の様に弾丸を放てば眩い〝閃光〟に辺りが包まれ脳内を揺さぶる様な“閃光弾”と共に駆け抜ける足音。
 抱き抱えた少女の異様な程の軽さが『死』を実感させ、己の激しく高鳴る胸の動悸に堪えながらーーー彼女が目指す先は一番近い〝赤い塔〟に向かって走り続ける。
 リラの読み道理なら、警備を任されている彼女は迂闊に建築物に射撃など出来はしないと予想し、しかも此方は一切躊躇はいらないという好条件だ。


//ゆっくりで大丈夫デス
/たのしみにしてます
56褐色の男◆</b></b>5JVIJTo7hU<b>[] 投稿日:19/11/05(火)19:40:17 ID:gKX [1/1回]
>>51

少年奴隷の華奢な体を打ち抜いた男は、その威力をまるで感じさせず、最初から重みなど無かったかのようにはらりと着地してみせた。
奇術の類か体術か。どのみち少年が受けたダメージは本物でこの男が彼を痛めつけたのは間違いない。


「俺は━━俺は全く楽しくない。心底不快だ。何故だかわかるか」

舞台袖の兵士に気付きながらも男は悠長に問いを投げかける。
自分は不愉快な思いをした。それは何故かと。

「貴様のせいで俺は兵士に捕まるかもしれないのだ。俺は悪くないのに。俺の腹を立てた貴様に非があるのにだ。許せん」
「この国では奴隷制度が容認されていようと、俺は貴様を許さん。貴様を殴っても何も解決しなくとも、俺は貴様を殴るのだ」

男は身振り手振りを交えて、観衆に見せつけるように言葉を紡いだ。
演劇じみた振舞いは、そこが舞台であることを鑑みても違和感があるものだ。
言葉の終わりに、男は緩慢な動作で殴打の構えを取った。
そこから打たれるのは、緩やかな速度の打撃。児童の演劇じみた緩慢な一撃だ。
更にその軌道には奴隷の少年が盾とした配置されているのだから、長髪の男は回避行動を取るだろうか。兵士は止めに入るだろうか。

「……つまらん表情だなイケメン奴隷。びっくりしすぎて腰を抜かしてやるからな」

少年に拳が届く少し前、男が小さく呟いた。
少年に拳が届いたのなら、男の拳は少年の体を〝摺り抜ける〟
そうして、背後に立つ男へと放たれるのだ。物理法則を嘲笑うような、遅いが重い衝撃が。無論、遅いから、避けられればそれまでなのだが。


//予定より帰宅が遅れてしまいました……申し訳ございません……!
57ウィリアムズ ◆</b></b>1S1MRSBoaSyj<b>[] 投稿日:19/11/05(火)20:17:29 ID:3Od [3/6回]
>>55

(……はぁ、これだから厭ですの。キャラバンなんて余所者を受け入れても結局仕事が増えただけですわ。)
(このままじゃ私が処刑されてしまいますの。)

「う……。」

放たれた砂に対し咄嗟に目を閉じた事で目潰しは免れた。然し幾らかは口に入り、その不快感にウィリアムズは顔をしかめる。
然しそれも束の間。顔を微かに地に向け、瞼を開けたその瞬間に強烈な光が少女の視界を白一色に染め上げた。

「厄介な真似を……。」

―――然し微かに聞こえる足音は彼女の後方から聞こえ、それは徐々に遠ざかる。
どうやら遺跡に侵入された様だった。当然このまま遺跡の中で野放しにする訳にもいかない―――一刻も早く始末せねばなるまい。
ウィリアムズは聴覚に意識を集中させ、微かに戻って来た視力を頼りに遺跡へと侵入し彼女を追う。

「………。」

赤い塔が視界の奥に見える。
先程の砂漠地帯とは一転、植物に覆われた建造物。中に椅子の様なもののある鉄の箱。現在とはかけ離れた文字。地中より溢れる水。
その一つ一つが過去に此処に文明が栄えていた事を想起させた。獣達は突然の人の気配に物影に隠れ、此方を見つめ警戒している。

――――ともあれ、今は彼女を追わねばなるまい。

やや武装の力を解放し身体能力を高め加速。
加えて銃槍を片手に持ち帰るとローブの裏に仕込んでいたナイフを数本取り出すと狙いを定める。
先程の目潰しで的は揺れる上に弾丸と威力は落ち、必殺とはなり得ないが投げナイフならば遺跡を傷付ける事無くあの女のみにダメージを与える事が出来る。

「――――何処までも不躾極まりない客人ですこと。」
「さっさと観念しなさいな、そんな"死骸"を抱えながら走って私に勝てるとお思いで?」

4本のナイフを素早く投擲。狙いはリラの背中。細かな狙いを定め、出来れば足を狙いたいところだが現状の視力ではそこまで当てる事は不可能だろう。
故に投擲されたナイフの行き先は極めて大雑把であった。

//こちらこそよろしくお願いします!
58リラ◆</b></b>O/HRfcvbXs<b>[sage] 投稿日:19/11/05(火)21:05:59 ID:QyR [1/3回]
>>57

 「(このまま逃げ続けられ無いとは予感していたが、まさかこうも早く追い付かれるとはね……。)」
 「……然し、溢れる程の水が在るなら民草に分け与えても罰は当たる訳でも無いのに、そう思わないかい?ーーーー二度目ましてどーも。」

 やはり、人一人抱えて逃走なんて無謀過ぎたのか。或いは自身の運動能力な無さが仇と成ったのかは定かでは無いが、聞き覚えのある二度と聞きたくない声に思わず顔が翳る。

 この神秘な地に感傷に浸るほど余裕は無く。その驚異に思わず汗が頬を伝い、その予感に慌てて振り向けば時既に遅しと言わんばかりに、四本のナイフの牙が背中を伝えば鈍痛な痛みが脳裏を侵す。
 〝……っぐ!〟ーーーと短い声を漏らしたのならば抱き抱えた少女を手放し、地に平伏せば、痛みを抑える様に背中に〝手が触れる〟。

 
 「ん、……勝てると思って無ければ、……無駄な抵抗はしないさ。ーーーだから、キミも死ぬ気で追いかけてくるといい。」

 平伏したまま、右脚のホルスターから拳銃をもう一丁取り出せば、まるで先程の投擲など“無かった様”に伏したまま快活な動きで、ウィリアムズの頭蓋ーーーの少し上の無作為に生えた“蔦の植物”に向かって拳銃を発射させる。
 その放たれた銃弾は、途端に赤く燃え広がりまるで〝赤い生物〟の様に絢爛と輝き焔の弾丸と化する。

 あくまで狙いは、この建築物の崩壊。
彼女さえ黙らせれば、誰も証人は居ない。ーーー亡骸は言葉は紡がない。

 その間にも、距離を図る様に片目を閉じ相も変わらず亡骸の少女を左手で抱き抱えたのならば、再び逃走し右手の拳銃で威嚇射撃の様に。或いは煽る様に炎の弾丸を容赦なく太腿に向けて二発穿つ
59ウィリアムズ ◆</b></b>1S1MRSBoaSyj<b>[] 投稿日:19/11/05(火)21:41:49 ID:3Od [4/6回]
>>58

放たれた弾丸を完璧に躱すようにスライディング―――だが、瞬く間に燃え広がる炎にウィリアムズの意識が一瞬奪われた。
直後に威嚇として放たれた弾丸はウィリアムズの両足に着弾。その肉を焼き焦がす熱に彼女は思わず苦悶の表情を浮かべる。
連鎖的にあらゆる行動が遅れ、同時に倒壊を始めた建造物の落下を真面に受ける事となった。

「―――――ッ……。」

圧し掛かり続ける重圧に少女の視界が暗転する。先程まで両の腿を焼き焦がしていた炎は今や全身に燃え移ろうとしていた。
だが、彼女がどうなろうとも建物の倒壊は止まらない。
数百、或いは数千年もの間残り続けていたとは言え劣化と老朽化の進行した建物は連鎖的を始め、ウィリアムズの上に積み重なった瓦礫の上に次から次へと圧し掛かる。

(……こんな所で、死ぬ訳には……。)
(私には、まだ……。)

ウィリアムズは全身に念を込めた――――直後、周囲の瓦礫が炎諸共周囲へ吹き飛んだ。
彼女の着用していたスーツには使用者の持つ生命力を削る事でその身体能力を増幅させる機能がある。
彼女はその機能を一気に解放し、一時的に人外的な身体能力を身に着けて瓦礫を炎諸共退けたのだ。――――無論、負荷は極めて大きく。

「……げほっ……げほっ……。」

ウィリアムズは片膝を着くと血を吐きながら遠方へと逃げて行くリラを睨む。

「お待ちなさい……!」

少女は懐から小瓶を取り出す。この小瓶もこの遺跡の地下でほんの数本のみ発見されたものだ。
古代―――何者かが作ったと考えられるそれには命と引き換えに異能の力を増幅させる力が秘められている。
その効果は奴隷を用いた検証で判明したものだ。但し肉体への負荷も尋常ではなく、使用による反動は尋常なものではない。即ち命の前借であった。
ウィリアムズにはもう前借する程の命も無い。持って数秒か。

「……命に代えてでもこの施設は秘匿としなければ……。」

彼女は迷わずその小瓶を微量に口に含んだ。――――――直後、雷光の如き輝きが建造物を乱反射しながらリラへと迫る。
その輝きは一気にリラへと肉薄すると同時に鋭い槍の様な蹴りを彼女目掛けて放った。
60リラ◆</b></b>O/HRfcvbXs<b>[sage] 投稿日:19/11/05(火)22:15:35 ID:QyR [2/3回]
>>59

 「……ん、流石にコレは予想以上に予想以上だ。ーーーーこれ以上は命に関わる危険性もある訳だが……?
 ……火傷の跡は、心配しなくて構わないよ。私は優秀の医者だからね。」
 「私もこの歳で鬼ごっこするハメになるとは思わなかったが。……兎にも角にも“降参”してはくれないか?」

 轟く瓦礫の音に釣られて、ついつい足が止まれば不用意に近付く訳でも無く。ただ言葉を投げ掛けるーーーこれ以上の命の浪費は無意味であるし、取り返しの付かない事になるのは確実である。
そう思えば拳銃を右脚のホルスターに仕舞うの───だが。その僅か数秒後、リラは異常な迄に眉を顰めるだろう。

 〝異様な迄な執着心。〟───それが原動力なのだろうか或いは別な歪な“ナニか”なのか。ともあれ、この異常事態に後ずさる様に一歩だけ下がる

 「キミ、今何を飲んーーーッ!」

 その言葉を発する前に、体が大きく揺らぎ脳震盪を起こすのでは無いかと錯覚する程に、弾き飛ばされ気付けば、再び地に平伏す。

 結論から言えば〝有り得ない〟ーーーあの異様な程の運動能力に驚きを隠せず口元の血を拭う。機動力を削ぐ為に太腿を狙った弾痕すら“無かった”事にする程の速さ。
然し、己と同タイプの異能者とは考え憎い。と。なれば必然とあの小瓶だろう。ーーー然し、そんな無理に肉体に負荷を掛ければ分からない相手では無いだろう。

 「……わ、分かった。
 私はこの場所の事は決して口外する事を誓おう!ーーーだからその小瓶を捨てて私の治療を受けろ!」
 「今なら間に合うッ! ……本当に死んでしまうぞッ!!!」

 焦った様に声を晒し、よろよろと身体を奮い立たせ立ち上がれば赤に染った白衣なんて気にする暇も無い程には動揺していた。
然し、流石にこのまま無抵抗のまま説得する訳にも行かないので申し訳程度に掌をウィリアムズに向ける。
61ウィリアムズ ◆</b></b>1S1MRSBoaSyj<b>[] 投稿日:19/11/05(火)22:44:41 ID:3Od [5/6回]
>>60

「……今更遅いんじゃなくって?」

それは自身の傷や命に対する言葉ではない。

「私は戦う為の機械として王に育てられましたのよ。唯任務を遂行する為だけの機械。」
「貴女に此処の存在を知られ、任務を果たせぬまま情けを掛けられて生きるくらいであれば死を選びますわ。」

「私なんて……。私なんて―――――」

立ち上がるリラを睨みつけながら少女は再び拳を振り上げた。その手に握られていたのはナイフ。
リラの首をその膂力に任せてすぱん、と切断するつもりの様であった。だが、それを行う前に彼女の手からナイフが落ちる。
前借りする命も無い状況でそんな無茶をしたものだから、当然ながら彼女の肉体には限界が訪れたのだ。両目と鼻、口から血が零れ落ちる。
最早死ぬのも時間の問題だ。

「……ゲホッ……ゲホッ……。」

――――遠のく意識。
その脳裏に走馬灯の様な景色が過る。

『――――死んででもあの地は死守せよ。外に情報を漏らすな。』

王のその言葉が脳裏を過ったと同時、無意識に彼女は自身の手首にナイフを突き立てていた。
その激痛で強引に目を覚ますと小瓶に残った液体を口の中へと滴り落とす。

「私なんて……」
「――――所詮は代わりは幾らでも効く、唯の兵士の一人ですもの。」

刹那、ほぼ死体の肉体とは思えぬ素早い動きで少女は銃槍を手にリラへと飛び掛かった。
この近距離であれば遺構を傷付ける事も無い。至近距離から必殺の弾丸を放つ、その引き金を力強く引いた。
周囲に響き渡る銃声。

――――弾丸が何処へ向かったのかは少女は知らない。

ほぼ同時に事切れたウィリアムズは発砲のリコイルで後方へと吹き飛び、冷たく硬い石の地面の上に叩き付けられた。
彼女を中心に血溜まりが生じた。
最早ピクリとも動かない。其処にあったのは一つの死体のみであった。
62 : ウィリアムズ ◆</b></b>1S1MRSBoaSyj<b>[] 投稿日:19/11/05(火)22:52:11 ID:3Od [6/6回]
//此方からはこれで〆で……!
//ロールありがとうございました!
63◆</b></b>ytEVpkdjek<b>[sage] 投稿日:19/11/05(火)22:57:48 ID:Nqe [1/1回]
>>56
掴んだ髪を引いて少年を立たせる。表情が微かに歪むが、どうにか笑ったままを維持しようとしていた。

「正義漢気取りでもなくば、ただの馬鹿?
……見世物としてはもう十分です。摘まみ出せ。」

意味不明な言葉を並べる彼に対して、呆れたように吐き捨てた。
男が構えると同時に控えていた兵士たちも剣を抜き、じりじりと詰め寄っていく。
斬りかかる許可はまだ出さなかった。蹂躙じゃあ見世物にならない。
舞台を荒らされたなら、その補填をするのも男の仕事であるゆえに。

放たれる一撃、動きかけた兵士を男が止める。
要らない。盾なら既に持っているから。振り抜く拳にあわせて、少年を引っ張って───

「───げぇッ!?………」

───その拳は奴隷を割けて、的確に男を撃ち抜いた。
兵士の上に立つ割には殴られていないらしい。無防備に嗚咽を漏らしながらのたうっている。

「……な、にを……早く、殺せッ!!……」

男の表情からは一気に余裕が消えていた。唖然とする兵士たちに指示を出す顔は、真っ赤で血管を浮かべるほどで。
沈黙していた兵士たちも流石に動き出す。5人の兵が切っ先を向けて取り囲み、同時に剣を振り下ろす。
どれも兵士は超人でもないただの人だが、5対1のアドバンテージは能力差を凌駕する。
相手がそんな、常識でとらえられる場合のみだが。

//返しておきますっ
//申し訳ないのですが次のレスは2時を過ぎるので、凍結していただいても大丈夫です
//ロールを切り上げる場合は次で〆のレスを返しますね。
64 : リラ◆</b></b>O/HRfcvbXs<b>[sage] 投稿日:19/11/05(火)23:33:00 ID:QyR [3/3回]
>>61

 「……遅い事訳無いだろッ!
 キミはまだ、大丈夫だからーー!」

その叫びは何処か悲痛に満ちていた。ーーー『後悔』『僻み』『嘆き』と色々な感情が混じり合った様な胸を抉る様な叫び。

 「……お願いだから“死ぬ”なんて簡単に選ばないでくれ……。
  待ってくれ……まだ、まだ間に合うから……!」

 反響し鳴り響く金属音。
最早、風前の灯火だが微かに息がある彼女に必死に救いの手を伸ばす。“触れ”さえすれば間に合うーーーだがその刹那。全身の毛が逆立つ様な気味が悪い様な感覚が過ぎる。
 彼女が〝小瓶〟に触れた瞬間にその感覚は更に増長し、それを阻止すべく手を伸ばすーーー然し、間に合う筈も無く。


 銃声が鳴り響き、硝煙の匂いが充満した移籍の中。ーーーリラ呆けた様に立ち尽くしていた。
瀕死の状態から穿たれた銃弾は、奇しくも〝頭蓋〟では無く僅かに逸れた〝右肩部〟に弾痕が飛来し赤く血潮を上げて貫通した。
痛みを叫ぶのも億劫になる程の〝激しい損傷〟ーーー。

 ふらふらになりながらも目指す先は、先程までは救おうとした人。ーーー救えなかった人。
その亡骸の臓器や身体からは絶え間なく血が溢れ出し、確認するのも意味も無い程に命が砂時計の様に零れていく。
 歪むの意識の最中、痛覚すら機能しない腕を必死に伸ばし、ウィリアムズの頬に触れれば血化粧の様に“くっきり”と血の跡が残る。

 「……また、救えなかったのかーー。
 どうして、私の手は……こんなにも……。」

 頬を濡らした血化粧の上から水滴が垂れると、言葉が溢れ吐露する。

 「………少し、だけ………眠ろう。
 その後は、……簡易だが弔いの花と墓をーーー。」

 そんな言葉を残して、泥のように目を閉じ眠る。


///長々とロールありがとございました!!!
//とてもたのしかったです!
65◆</b></b>5JVIJTo7hU<b>[] 投稿日:19/11/06(水)00:31:30 ID:bmw [1/5回]
>>63

正義漢気取りか。あるいはただの馬鹿なのか。
この男はその両方なのだ。独善的で短絡的な、ただの馬鹿。

「殴ってやったぞ。クソ野郎を殴るとすごく気分がいい」
「おまえもそう思うだろうが、イケメンのチビ奴隷。はいそう思いますといえ馬鹿野郎」

長髪の男が呻いた間、兵士達が呆然とした間、構えを解いた男は少年の頭に手を伸ばし、語りかける。
それは極短い時間。彼の手が少年の頭に届いたのなら、自らの一撃で弱っている彼に鞭打つように、頭をぐいと下げさせて───

「……笑え。そして驚け。ビックリしました尊敬しますついて行かせてくださいと俺にいえ」
「足りないか、ならもう少しだけ、みせてやる」

しゃらと腰に帯びた鞘に手を掛けて、腰を落とす。
振り下ろされた五つの剣を逆袈裟の動作で受けるのだ。通常であれば剣の質量に、騎士たちの筋力に、数の暴力に屈する場面だが……

「〝堕剣〟金縛り──ちなみに技名を吐いてみせたのはファンサービスだ。感謝しろ」

男はその場で耐えていた。男の刀は石像の如くに動かない。
まるで金縛りにあったかのように、ぴくりと動かない。
……騎士たちの剣がではない。この男の刀のみがだ。
この場合、金縛りにあっているのは本人のみである!

(……どうすっかな。このあと……下手したら、死ぬんじゃないか。……俺、悪いこと何もしてないのになァ)

//承知いたしました! 折角なので凍結でお願いしたく……!
66◆</b></b>h6k2RhohHM<b>[] 投稿日:19/11/06(水)07:46:14 ID:17s [1/6回]
砂漠の只中にぽつんと佇む圧政下のオアシス都市にだって、人で賑わう露店通りくらいは存在する。
豆、野菜、果実、干し肉、香辛料。果ては件のキャラバンから流れてきた物品まで、色とりどりの品々が並ぶ。
ピンからキリまでが雑然と羅列する昼時の通りは買い付けにやってくる人に満ち、その層もまた多様を極めていた。
だから薄汚れた少年が一人、押され流され頭までも埋もれる中。親指程の果実を二、三個手中に収めても、誰も見咎めはしないのだ。

幾分かが経った頃。石造りの建物に挟まれた狭く薄暗い路地の傍に。片膝をついて果実を貪る少年がいた。
褐色の肌、深い濃藍のぼさついた髪。齢は十を過ぎた頃か、痩せ細った身体は発育と食環境の悪さを伺わせる。
衣服も肌も、凡そ清潔とは口が裂けても言えない程に汚らしく。まともな生活を送れていないのは見て明らかであった。
険しい顔からして生食に適さない味なのだろう。しかし彼にとってはこれが一度の食事であり、唯一の水分。
盗みの後の警戒は薄れつつあり、今は只管空腹を満たす事だけを考えているから。きっと足跡が近づいていても、気がつくのは常よりも遅く。

//少々スローペースになりますがっ
67ガナーシャ◆</b></b>f1g9S4JflOTm<b>[sage] 投稿日:19/11/06(水)12:56:48 ID:KXP [1/3回]
>>66
偶然付近を散策していたガナーシャは盗んだ場面を目撃したわけではないが、その逃げるような様子が気になってあとを追う。
茶髪で外見は子供。頭から生える大きな花びらを除けば人間と違いはない。

「よーす、こんなところでご飯?でもそれ、そのまま食べても美味しくないでしょ?私についてきたらもっといいものあげられるんだけどな~」

ガナーシャは植物の知識がかなり豊富だ。見ただけでそれがどんな果実か分かるぐらいには。
とはいえそれは少年からすれば怪しすぎる申し出か。
少年を驚かせてやろうとその眼前に掌を突き出して、青い小さな花をガナーシャはそこに咲かせた。
/よろしければ…
68◆</b></b>h6k2RhohHM<b>[] 投稿日:19/11/06(水)13:43:08 ID:17s [2/6回]
>>67
干すか料理に使われる事が多いその果実は、生で食せば強い酸味が舌を襲う。
それでもガツガツと食べられるのは偏に強い飢餓感のせいであり、時々耐えきれずに咳き込む。
それだけ食事に集中していたのだから、突如声をかけられて初めて近づく人の気配に気がついた。

「――――ッ!?」

かじりつこうとしていた最後の一つを咄嗟に握りこみ、地面を蹴って立ち上がりつつ壁伝いに距離を離す。
鮮やかな赤紫の瞳は年若さに似つかわしくない警戒でもって、見知らぬ子供を強く睨みつけていたが。
その様子からして盗みを咎めに来た訳ではなさそうだと判断すれば、緊張は僅かに和らいだようだった。

「……別に。何を食ったって俺の勝手だ」

とはいえ警戒心が完全に解かれた訳ではない、声変わりを果たしていない声は刺々しく。
じろじろと全身を不躾に眺め、頭の花弁まで視線が辿り着けば懐疑に眉を寄せる。

「アンタ、キャラバンとやらの奴だろ。今までもそうやって人攫いでもしてきたのかよ?」
「いきなりそんなうまい話、信じられ――うわっ!?」

素っ頓狂な声をあげたのが、いきなり掌上に咲いた花のせいであるのは想像に難くない。
目を丸くし、青いそれをまじまじと見つめる視線は好奇心と猜疑の綯交ぜになった、判断を決めかねている複雑なもので。

//ありがとうございます、よろしくお願いしますっ
69ガナーシャ◆</b></b>f1g9S4JflOTm<b>[sage] 投稿日:19/11/06(水)15:14:46 ID:KXP [2/3回]
>>68

「えー?でもどうせなら美味しいものがいいでしょ?」

警戒心をものともせず、刺々しい声を前にしてもにこやかな雰囲気のガナーシャ。
反応からやっぱり花びらを頭から生やした人は見たことがなさそうで、自分の目的は果たせそうにないと内心で。

「私達のモットーは来るもの拒まず去るもの追わずなんだけどな~」
「あはははっ!どーう?すごいでしょ!もっと色々出せるけどここじゃ目立つからさ、まあ嫌なら無理強いはしないけどね~」

その青い花を手から抜いて、もしゃもしゃと食べるガナーシャ。少年の心はだいぶ揺らいだはず、引き止める方にかけて背を向ける。
引き止められなければ、ガナーシャは泣きながらその場を去るが。
70◆</b></b>h6k2RhohHM<b>[] 投稿日:19/11/06(水)16:08:48 ID:17s [3/6回]
>>69
宮殿とその近辺を除き、この砂原で色鮮やかな花をお目にかかれる事はほとんどない。そのような場所、少年の風体では近づくだけで追い返されるのは明白。
であれば初めて目にする色彩に興味をそそられる彼を、誰が咎める事などできようか。

「――待てよ」

背中に投げかけられる声。あの果実を齧ったのだろう、直後に軽くむせこんで。
振り返ったのならばそこにあるのは、困惑と逡巡に顔を顰め、何か言葉を続けようと迷う少年の姿。

「……なんで俺に声かけたんだよ。どう見たって、金があるようなナリじゃないだろ」
「そういう事をするならもっと稼げそうな相手にすればいいのに。何が狙いなのか知らないけどさ」

自虐と、それから怪訝を含んだ声色。一度去る素振りを見せたからか、警戒は疑念にすり替わったらしく。
結局彼は、無償の善意を信じられないだけなのだ。施しを受けるならば相応の、あるいはそれ以上の対価が必要だと考えている。
加えてキャラバンに対する無知もまた踏み止まらせるに十分な要素、何も知らずについて行く程呑気ではないのだ。
71ガナーシャ◆</b></b>f1g9S4JflOTm<b>[sage] 投稿日:19/11/06(水)17:47:35 ID:KXP [3/3回]
>>70

呼び止められるとガナーシャは少年に悟られないようにガッツポーズ。嬉しそうに振り向いてぴょこぴょこと飛び跳ねて近づく。

「んー、それはねえ」
「君が自分じゃどうしようもないって状況にいるみたいだからさ。そういうの見てみぬふりはできないんだよ私」

自分も似たような状況でキャラバンに救われた。だからそんな境遇の人を見つけたら迷わず助けようと、ガナーシャはそう誓っていた。
憂いを帯びた表情。心の底からその身を案じているのが、少年に伝わるかは分からないが。

「だからついてきてくれたら嬉しいなーって。君のためじゃない、私のために君を助けさせてほしいんだ!」

とぶんと花びらを揺らして頭を下げて。これでも拒むようなら、ガナーシャにはもう打つ手がない。大人しく諦めるだろう。

72◆</b></b>ytEVpkdjek<b>[sage] 投稿日:19/11/06(水)18:54:23 ID:7uI [1/1回]
>>65
笑えと言うならそれはそうするし、言えと言うならば、調子も声色も同じように。
そこに感情はなく、死骸が電気で動くようなもので。
それは動く死体に違いなく。純黒の瞳に意思はなく、華奢な体は導かれるままに動く。

「……無能共が。さっさと殺せ!!」

さて5人分の刃が受け止められたと言えど、その兵士達が縛られていないなら当然次の一手がやってくる。
次は横凪。腕を、胴を狙って振り抜く。致命傷を狙っては居ないようだった。何故なら

「随分……気に入られてるじゃないか。ええ?」

男は懐から取り出したナイフを放って、それは少年の足元へ。

「───お前がやれ。本望だろうさ……」

拾い上げる。変わらない顔で。
足取りは重く、それでも少しずつ近づいていく。彼の元へ。
痩せた少年のナイフを砂漠なんて彼には訳ないのだろうが、でも。
兵士に囲まれた状況でなら多少面倒になるか。
近づく。振り上げたナイフは誰を貫くか、それとも弾かれるのか。

//遅くなりました……
//ここから安定して返信できます
73◆</b></b>h6k2RhohHM<b>[] 投稿日:19/11/06(水)19:26:46 ID:17s [4/6回]
>>71
一度自分から去ろうとしていたのに、呼び止められてどうしてこうも嬉しそうなのか。
その理由、意図を察する間もなく、数歩下がって一定の距離を置く。
他人、それも異邦人に会ってすぐ気を許せる程、開放的でも楽観的でもない。安易な善心の存在しない生活環境だった。

「……バッカみてえ。アンタ、見返りもなしに助けようってワケ?」

長い、長い沈黙。それからようやく、大きなため息をついた。

「ガキ一人助けたって、この国は何も変わらないのに。あのクソ領主サマがいる限り、俺みたいな人間は減らねえよ」

そこに滲むのは嫌悪や嘲笑ではなく、純然たる呆れ。まるで未知との遭遇を語り聞かされているような。
少なくとも、ここカージスでは絶滅危惧種と言っても差し支えない考えなのだ。搾取する側とされる側しか生息しないこの国では。
だからこそそれを目の当たりにしてしまっては、言いたい事もたくさんあるけれど。それよりも実在に驚くあまりか、不思議と疑心は鈍ってしまう。

「…………分かったよ。さっさとどこにでも連れて行けばいいだろ。ちょっとでも危ないと思ったらすぐ逃げるからな」
74ガナーシャ◆</b></b>f1g9S4JflOTm<b>[sage] 投稿日:19/11/06(水)19:41:29 ID:NUH [1/3回]
>>73


「バ、バカ……、酷いなあ。やってみたら気持ちいいもんだよ?人助け」

親切心もあるが、人助けはガナーシャにとって自分が好きな自分でいるためのものというのが大きい。

「あー領主ねえ、確かにあんな豪華な建物に住んでるのに貧しい人は知らんぷりなんて酷いよね!見たことないけど!」

しかし自分一人が領主に楯突くわけには行かない。キャラバンの皆を巻き込む身勝手はできない。これでもキャラバンの一員だという自覚はあるのだ。

「や、やった!君が見たことないご馳走をいっぱい見せてあげるよ!花畑の中でね!」

ガナーシャは少年の手を取って暗い路地から出るだろう。街中では間違いなく騒ぎになる行為なので、砂漠まで移動しようとする。
75ナナシヤ◆</b></b>5JVIJTo7hU<b>[] 投稿日:19/11/06(水)20:11:27 ID:bmw [2/5回]
>>72

自分自身に金縛りかけたところで、兵士達の剣を一時的に止めたところで、次の一手が来るのは当然。
その流れすら読めず、意味もなく自らに金縛りをかける人間などいるわけがない。

(クソが……見栄張ったんだからビビって逃げろよ)

……いるわけがないのだ。〝この男〟を除いては

「い゛っ゛でぇ゛ぇ゛ぇぇ゛あ゛、、、」

男は底無しの馬鹿である。金縛りの解かれた体は、腕を斬られ、胴を斬られ、血にまみれ
悲鳴を上げながら、ゆらりゆらりと千鳥足。
そのどこか舞にも似た滑稽な足取りは己から少年の元へと身を運んで

「俺のことはいい……思いっきり刺せ……躊躇はするな……おまえは、生きろ……」

英雄的でキザな言葉とは裏腹に、少年を見つめる男の目には激しい怒気が孕んでいるようにも映るだろう。
これは慈悲ではなく、命令だと言わんばかりに、少年を見据えて
ふらりと男は少年に向けて倒れ込む。
彼を兵士たちの死角へ覆うように、あるいは、剣士の〝踏み込み〟じみていて──

少年がナイフを男に突き刺したのなら、それは彼の体を摺り抜ける。体術か。奇術か。
どちらにせよ、勢いが余れば、兵士たちに突き刺さるような距離感だ。
更に男は倒れ込むような動作のままに、握りこんだ刀で真正面の兵士への切りつけを狙うのだ。

「……まあ、俺も生きる気まんまんなんだが」

安い三文芝居の連続だ。先の摺り抜ける殴打を警戒されたのなら、あるいはくさいセリフを疑われたのなら、わざとらしい転倒を見抜かれたのなら、きっとそれは不発に終わる。
彼は妙な術やだまくらかしを除けば、ただの弱った三流剣士にすぎないのだから。

//こちらもこれから安定します! 反応遅れてすみません!
76◆</b></b>h6k2RhohHM<b>[] 投稿日:19/11/06(水)20:26:10 ID:17s [5/6回]
>>74
「生憎、そんな余裕は生まれてこのかた一切なかったモンで」

余程妬み嫉みが募っているのだろう、国の頂点に立つその名を出しただけでひどく苦々しげな表情を浮かべたが。
当事者でもない彼女にぶつけるのはただの八つ当たりだと理解していたから、飲み込むようにガナーシャが先導するのを待ち。

「そうかよ、まあ期待は――」

その接近を、ただすれ違うだけだと思っていたのが運の尽き。手を引かれるままに日陰の路地から表の日向へ。
誰かに手を握られたのはいつ以来だったか、その温もりを自分から突き放すなどできるはずもなく。

「おい、ちょっと、アンタ、手ェ……止めとけよ、汚えから」

飲料水すら碌に手に入らず、久しく水を浴びていない身体であると、道中しどろもどろに言い訳するが抵抗といえばその程度。
一見年の近い男女の逢瀬であるから、周囲の視線も相応の色を伴い。門番もまた、二人を見咎めることはしなかった。
結局衆目から逃れるように俯いて前髪で目元を隠し、街を囲う石壁の外までおとなしくついてくるのだろう。
77ガナーシャ◆</b></b>f1g9S4JflOTm<b>[sage] 投稿日:19/11/06(水)20:50:53 ID:NUH [2/3回]
>>76

「むー……」

キャラバンに戻ったら仲間に相談してみようと。この国の現状はやはり放っておけない。

「いいじゃん、私がこうしたいの。君の気持ちなんて知らないね」

こちらも手を離す気はない。鼻歌を歌いながら歩き砂漠まで来るとガナーシャはぱちんと指を鳴らした。その瞬間、歩いていた地面が土へと変わる。
様々な花や野菜が土には実り、その中心にある木には多数の果物が実っている。

「ふふん、まずはこれ!リンゴって言うんだよ。見たことあるかな?」

木に軽々と登ってリンゴを手に取り、降りて少年に手渡そうと。そのリンゴの味は一級品といえるだろう。
78◆</b></b>ytEVpkdjek<b>[sage] 投稿日:19/11/06(水)21:03:05 ID:1uc [1/2回]
>>75
「……ははっ。あっっはっはっははははああ!!!
やっぱりただの大馬鹿だ!!!
ご覧ください皆様、こんなに面白い見世物はない!!」

痛みから立ち直り立ち上がった男は観客を煽る。
唖然としていた観客達はまだ、舞台は男の手の中にあると気づいて歓声を上げる。
そうだ、これは見世物。我々を楽しませるための物であると。

「さあ、そのまま───」

振り上げたナイフは、少年はそうしろと言うならそうする。
機動は綺麗に弧を描いて胸に突き刺さり、

「何、を……」

しかし突き抜けて。兵士の一人の、その首を切り裂いた。
少年は特に反応を示す事はなく、否少し口角を上げたかもしれない。
その一連の出来事は兵士の視線を釘付けにして。生まれた致命的な隙、彼の正面の兵士二人を切り裂かせた。

数の有利はいつのまにか消えかけて。奴隷の少年は、彼をじっと見つめた。次の命令を待っている。
79 : ◆</b></b>ytEVpkdjek<b>[sage] 投稿日:19/11/06(水)21:04:08 ID:1uc [2/2回]
>>75
//こちらも気づくの遅れて申し訳ないです……
80◆</b></b>h6k2RhohHM<b>[] 投稿日:19/11/06(水)21:25:23 ID:17s [6/6回]
>>77
容赦なく照りつける太陽、足を踏み出すたびに柔らかく沈む白砂。空も地も、いつも通り変わらない風景。
違うのは片手に触れる人肌と、カージスでは見ない人種の彼女。
これだけ揃えば、あるいは。諦観を右目、期待を左目に宿して瞬きをした瞬間のことだった。

「――――は?」

呆然、放心、絶句。誇らしげに木に登るガナーシャに意識を向ける余裕もなく、ごしごしと目を擦ってからもう一度辺りを見回す。
砂漠の気候では考えられない、色彩に溢れた景観。彼にもうすこし学があれば、絵巻物の世界と結びつけられたのだろうが。

「俺……まだ死んでないよな?もしかして夢じゃ……イテテッ」

頬を抓ってみるが、当然ここは現実であるから何かが変わるはずがなく。
ガナーシャが彼に林檎を手渡すのは、信じられないと言わんばかりに首を横に振った頃のこと。

「バカにすんな、見た事くらいある……リンゴって言うのか、これ」
「……なあ。本当に食っていいのか?死んだりしねえよな?」

見た事しかない真っ赤な果実をおそるおそる受け取る。すぐにかじりつこうとはせず、まず鼻を近づけて匂いを嗅いだ。
未だ躊躇うのは最早不審のせいではない、単に信じられない出来事が続いて林檎の重みが現実と思えないだけのこと。
本人は決して口にしないが、ついでに言えば食べ物とは分かっていても。初めて手にした物であるから、ちょっとした不安もあるのだろう。
81ガナーシャ◆</b></b>f1g9S4JflOTm<b>[sage] 投稿日:19/11/06(水)21:40:08 ID:NUH [3/3回]
>>80

彼が信じられないのは当然だ。頬をつねって確かめる様に微笑み、ガナーシャは花畑に大の字に転がる。この木には心身を癒やす効果があり、少年の精神的、肉体的疲労はそばにいるだけでよくなるだろう。

「しないしない!ここにあるの全部君にあげるつもりだから、好きなだけ食べていいんだよ!」

きっとそれは少年には夢のような話だろう。食べ切ることなどできそうにない食料が目の前にあるのだから。
ガナーシャも食べたくなってきたが少年に全部あげると言ってしまったので、堪えている。
82ナナシヤ◆</b></b>5JVIJTo7hU<b>[] 投稿日:19/11/06(水)21:40:18 ID:bmw [3/5回]

>>78

この男はただの大馬鹿者で、英雄などでは当然なく、奴隷たちを救済する救世主でもない。
まだ幼い少年に人を殺める罪を犯させても心は痛まない。

「うはははははは!!!! 見たか、ちび奴隷。馬鹿といったやつが馬鹿なのだ。ざまあみろだ。うははは」

どころか、口角を僅か釣り上げた少年とは真逆。
返り血を浴びながら笑い叫ぶ。ざまあみろと、同じことを叫べと命じる。
自身もまた傷付いた体でありながら、切り裂いた刀を振るい流れるようにくるりくるりと回ってみせた。
緩慢なその回転は煽りなのか。挑発なのか。次の一撃への伏線か。

「堕剣、剣の舞。文字の通りに舞わせてみせようか。〝こんな面白い見世物はない〟だろうが。笑えよ、クソ野郎」

勝機が見えれば、どこまでも付け上がる。
少年を利用しなければ、男の油断がなければ死中にあった身であるのに。
男は回転の中で切り伏せた兵士の握っていた剣を〝弾いた〟
一人、二人。合わせて二本。重ねて二連撃。
少年の頭越しに、残る二人の兵士へ目掛けて、刀を〝撃つ〟

それが届かなければ、男は更に追撃と回転の捻りを加えた横薙ぎを放つだろう。
相手どれなかった戦力は、戦力と呼べるのかも定かではないが、長髪の男のみ。ならばそいつは……

「殺せ、チビ。そいつを殺すのはおまえの役目だ。こんなに面白い見世物はない」
「……殺したところでおまえの自由は俺のものだが」
83◆</b></b>ytEVpkdjek<b>[sage] 投稿日:19/11/06(水)22:19:54 ID:ZWt [1/1回]
>>82

「……やめろ。お前の主はその男じゃない。」

そう言うならばそうする。詰め込まれた言葉の通りに。
血みどろのナイフにはまだ人を斬った感触が残っている。気がつけば辺りの兵士も消えていた。
ゆっくり、近づく。

「やめろ。やめろ。
………やめろ!!!!」

命令は上書きされない。彼から与えられた言葉を忠実に。笑って見えるのは気のせいだろうか。
繰り返す度に男の顔は青ざめていき、ついに背を向けて逃げ出した。
幕切れは酷くあっけなく。そのまま転倒した男の背に、虫を処理するように刃を突き立てて。
指先を数度震わせて、動かなくなった。

会場にどよめきが広がっていく。この場の支配者が消えたのだから。
奴隷達の様子も変わり始めていた。最初から折れたそれらに反抗の可能性はなく、故に拘束等はない。
しかし目の前で鎖が、支配者が死んだ。ならば。
誰かが動き始めた。観客が逃げ出して、そして奴隷も逃げ出しはじめて。会場はまさに大混乱。
舞台に一人残る少年は奴隷に違いなく。つまりは道具、処遇は彼に託された。
84ナナシヤ◆</b></b>5JVIJTo7hU<b>[] 投稿日:19/11/06(水)22:43:54 ID:bmw [4/5回]

>>83

「……殺したあとで聞くのも不毛だが、何者だったんだ。こいつ」

観客も奴隷たちも逃げ出して、舞台の上に取り残された男はぽつりと口を開いた。
彼はこの挑発の男が何者だったのかも理解せずに殺してしまったというのだ。
国の中枢に関わるものであったのなら、これはとても不味いことになるかもしれないと事後になって思う。

「まぁ、いいか。どうでもいい」
「チビ。中々の働きだったぞ。おまえがいなければ、あるいは俺も百年目だったかもしれない」

だが、そんなことはどうでもいいと切り捨てて
男は舞台の上に佇んだ少年の頭を撫でようとしてみせた。
膝を食らわせたことを詫びた記憶もないが、彼もまたナイフを突き出して来たのだし、あいこだろうと。
ナイフを刺せと命令した気もするけれど……

「……あれ、ていうか、痛いんだが。超痛い。おい、痛いぞ、ちび……」
「めっちゃ斬られたんだが……痛いんだが……おい、ちび、おい……」
「……おまえ、おい……ちょっもおま、肩かせ…ついでに看病しろ…いた、いたい……やば……」

ともあれ、少年が道具であるというのなら、男の選んだ使い道は杖代わりと医療器具とでもいうべきか。
彼は平然と彼を所有物のように扱い、肩を貸せといいつつ彼の頭を杖のように使って、ふらふらとキャラバンへの拉致を試みるのだ。誘拐である。

「……ついでに、おまえ、名前はなんというんだ。ちびでいいのか。なあ、おい」

男はだらだらと少年に絡むのだ。
彼は自由を主張し、この男を見捨ててもいいし、言うことを聞いて、キャラバンに誘拐されるのもいいだろう。
男は口先でこそ命令を下せど、強制するほどの力は残ってないはずだ。
85◆</b></b>ytEVpkdjek<b>[] 投稿日:19/11/06(水)23:12:42 ID:S7j [1/1回]

>>84
兵士を連れているのだから当然国の人間だ。
この国の中では奴隷売買すら合法ではあるが、しかし対外的にはそうではない。
余り表向きにはできないこと、国内にいる間は面倒が降りかかるかもしれないが、外まで追手が来ることはない。

頭に手を伸ばせば拒否することはなく、指櫛が髪を梳いていく。
看病してと言われても、今回ばかりはそんな知識もなく。肩を貸しはするが傷口に布を充てる程度の知識しかない。
衣服の布をちぎって傷口に当てるが、寧ろ痛みを増すだけかもしれない。

「……?」

名前の意味すら知らないのか、浮かべるのは疑問符。
年齢は10と少し程か。こんな貧しい国だ、名前をもらう機会すらなかったのかもしれない。
ちびと何度か呼べば、その言葉が自身を識別する言葉であると認識するだろう。
強制力はないが、しかし道具でしかないのだから彼の思うままに。キャラバンまで導かれるまま誘拐されるだろう。
それに不思議と、少年は彼の事を特に悪くは思ってないようだ。

杖として歩く、少年の懐には血濡れのナイフ。快感を教えてくれた彼を、存外気に入ってはいるようで。
その間、微かに上がった口角はずっとそのままだった。

//レス遅くて申し訳ございません。
//こちらで〆でよろしいでしょうか?
86メルム・フォルティーナ◆</b></b>KyWhGauGB6<b>[] 投稿日:19/11/06(水)23:21:35 ID:oKV [1/1回]
「……えぇ?奴隷売買の会場が、大荒れ…?支配人が死亡?……え?」

今日も期間限定開業"魔女の館カージス支部"への客の出入りはほとんどなかった。そしてそんなところに飛び込んできた情報。
別に奴隷に興味はない、故に今日もここカージスの街で店を経営していたのだがそんな情報が入ってくれば慌てもする。
あれは確かキャラバン向けに開催されていたはずだ、そんなことが起こるのならこれからのキャラバンの人間がこの国の貴族や領主相手への商売がやり難くなる。

「…………キャラバン内でも死者が出ていると聞きますし……あぁもう、これは…この街で稼ぐのは諦めた方がいいでしょうか…」

頭を抱えてカウンターで呻く。こんな風変わりな店を訪れる者など果たしているのだろうか。

//数レスで凍結になりますが……
87 : ナナシヤ◆</b></b>5JVIJTo7hU<b>[] 投稿日:19/11/06(水)23:39:30 ID:bmw [5/5回]
>>85

「い゛っ゛……ちび、おいちび……下手くそか、おちび……」

手触りもいいから、杖としては優秀な少年だけれど、医療道具としては不良品らしい。
男は呻き声を上げながら、それでも彼の手荒な応急処置を受けるのであった。
応急処置が完了すればキャラバン内にあるボロの建屋(男の住処である)に少年を案内して

「追っ手が来たら、戦わなきゃいけない。そうなったら、またおまえの出番だぞ。ちび」
「気に入ったなら、ナイフ(ソレ)の使い方も教えてやる。だから、今はこれで、飯でも食ってくるんだな」

ピンと弾かれるは一枚の銅貨で、言葉も知らない奴隷である彼が買い物の仕方を知っているのかは知らないけれど

「……食ったら、帰ってきても、来なくてもいいからな。俺は寝る。何故なら、おまえの治療が下手くそで、起きてると痛くてしょうがないからだ」

そういって、彼は座椅子に腰をかけたまま、眠りにつくのであった。
暫定的な主であったのだろうか。命令を下していた男は眠りについた。これからどうするかは全て少年の自由に違いない。
少なくとも、この面倒な男が起きるまでは───

「……おやすみ。クソチビ」


//かしこまりました! 数日にわたるロールありがとうございました! 楽しかったです!
88 : ◆</b></b>h6k2RhohHM<b>[] 投稿日:19/11/07(木)00:06:46 ID:8J9 [1/2回]
>>81
後押しされて、けれどすぐには食いつかず。じわじわと沸き上がる食欲に後押しされた体が、乏しい水分をかき集めてごくりと喉を鳴らす。
花の布団に寝転がるガナーシャに倣って胡座をかいてから、ゆっくりと赤い果皮に歯を立てて。

「なんだこれ、固ェ……――!!」

林檎の丸かじりとは存外に難しい、少しばかり苦心していたがそれも刹那。
口に含むや否や、舌の上に広がる甘味と酸味の調和。咀嚼に合わせて弾ける蜜が、驟雨の如く喉を潤す。
初めての食感が彼から束の間言葉を奪うのに十分過ぎる程の衝撃を与えたのは、見開いた躑躅の眼からも一目瞭然。
正に一心不乱に貪り続け、食べ方を教えてやらなければ芯までもぺろりと胃の中に収めてしまうだろう。
ここまで落ち着いた環境で、これだけの量を食したのはいつ以来か。懐古は食欲に繋がり、食欲は更なるご馳走に意識を向ける。

「なぁ、他にはどれが食えるんだ?いっぱい見せてくれるんだろ?」

最初の頃に比べて大分意思表示が素直になったのは、草花が齎すヒーリング効果だけのお陰ではないのだろう。
見た事もない果物は多く、腹の容量だってまだまだ空白。やがてガナーシャは食べないのかと、勧める余裕も生まれるだろうし。
そのうち自分からアレはどうだとかコレはなんだとか、積極的に聞くようになるのもそう遠くはない。
砂漠に咲いた仮初の楽園は一時の充足を彼に与え、それはきっと夜の冷たい帳が住む場所を隔てるまで続く。
然れど今日はそれ以上の善意に甘んじる事はなく。名前だけを土産として、互いの帰る場所に足を向けるのだ。

//それではこちらからはこれで〆になりますっ
//改めてお付き合いありがとうございました!
89ナナシヤ◆</b></b>5JVIJTo7hU<b>[] 投稿日:19/11/07(木)00:11:21 ID:R9K [1/5回]
>>86

“魔女の館カージス支部‘なる店舗は随分と客足が悪いようで、これでは同じキャラバンの住人としては恥ずかしくてたまらないものがある。
……とは、傭兵の真似事や便利屋じみて雑用を請け負いながら浅ましく生きる男、堕剣士ナナシヤの言葉である。

「薬が欲しいのだ。全身が一瞬で再生し、痛みもなく、後遺症も副作用もない薬が欲しい。安価で欲しい」

その剣士は魔法店に足を踏み入れるなり、ぞんざいに言葉を放った。
全身に包帯を巻き付けた上から、襤褸の衣類とポンチョを羽織っているその姿からは到底、金の匂いなど感じられない。最早、財布すら持っているかも怪しいみすぼらしい姿であって

「薬屋には置いてなかった。魔法店にならあるだろう? 〝面倒を抱えているのに〟こんなところまできたんだからな」

しかも、面倒を抱えているだとか、自分で白状しているのだから
それはもう、関わらないことが圧倒的に良しとされるような厄介な客であろうに違いないのだった。

「ついでにな、つけがきくと、なおいいんだが」

本当に、厄介な客に違いない。
90メルム・フォルティーナ◆</b></b>KyWhGauGB6<b>[] 投稿日:19/11/07(木)06:53:20 ID:bNw [1/5回]
>>89

「……そんな都合の良い薬はありませんよ、そもそもそんなもの安価で売るわけがないでしょう?」

そんなところにやって来たのは、絶賛無職の男ナナシヤ。様子を見るに何やらどうせ馬鹿をやらかしたのだろう。
キャラバン内でも喧嘩っ早い彼は少しばかり有名だ、そして無職だということも。

「それにツケもききませんよ、そんなこと言っているようだとぼったくりますよ」

客の目の前でぼったくる発言とはなんとも過激である。先の事件のこともあり機嫌も悪いのかその顔はどこかムスッとしていて。
しかしこれほどの傷はどうやればつけることができるのか、魔物か何かにでも襲われたのだろうか?それにしてはかなりの傷だが……

「面倒って…もしかして、奴隷売買の支配人を殺したの、あなたじゃありませんよね?」

流石にそんなことはないだろうとは思ったものの聞いてみる。いくら彼だろうとそこまで厄介なことにはなっていないだろうと。

//寝落ちしていました…申し訳ありません……
91 : リラ◆</b></b>O/HRfcvbXs<b>[sage] 投稿日:19/11/07(木)07:54:16 ID:zkQ [1/1回]

 日も傾き、砂漠の気候特有の異常な寒暖差を実感させる。
“右肩の貫いた弾丸”の〝治療〟に随分と時間が経過したが、満足に動かせる様に確認した後に、安堵と不安が過ぎる。ーーーこれ程の『致命傷』に、どの対価を払ったのだろうか。

 幸いな事に“嗅覚” “聴覚” “視覚” “感覚”は、衰えた兆しは無く。残りの“味覚”だけが検証して無いがーー。


 「……すまない。
 急拵いな埋葬など不本意なのだがーーーこの土地を護るキミは、この地で眠るべきなのだろう。」
 「……私はそろそろ行くよ。
 キミの矜恃に敬意を評して、この土地を無闇に暴く真似をしない様に他の者に伝えとこうーー。」
 

 その言葉は、決して届く事は無いがある種の『自己満足』の様に呟けば、本当に急拵えの言葉通りにやや大きめな瓦礫を横に墓標として設置し、血塗れた肢体は丁寧に拭き手を合わせる。
 願わくば、今度はーーー。
 
 「……立派だった。」

 白衣を翻し、横たわる彼女を尻目に踵を返せば、乗車員の亡骸を抱き抱え、静謐な遺跡を後にする。

//ソロールです。
92ナナシヤ◆</b></b>5JVIJTo7hU<b>[] 投稿日:19/11/07(木)17:56:02 ID:R9K [2/5回]
>>90

「魔法なんだから、なんでもありなんじゃないのか。……融通が利かないんだな」

馬鹿をやらかした怪我人の身でありながら、反省や後悔の毛色などを感じさせない振る舞いだ。
悪態を吐きながらうろちょろと店内の物珍しい物品を物色し、客の入りが見えない点愛を鼻で笑ったりして

「魔法だけじゃなく、魔女殿も融通が利かないのか。だから、客足が遠のくのだ。サービス精神を身に着けるといい」

彼女のむすっとした表情もお構いなしに、無職の身でありながらそんなことをのたまうのだった。

「……。………。いいや、俺じゃない。〝俺は〟殺してないな」

そうして、次に投げられた質問にはしらーと視線を逸らしながらごまかすように答えて見せる。
ナナシヤがキャラバン内で名が通っているのなら、彼女もまたしかりだ。
本当の意味で怒らせれば厄介な存在であることは知っている。
そうして、支配人殺しがばれれば、商売人でもある彼女が怒るのではないかという予想も

「……それに、俺の獲物はナイフじゃない。カタナなのだ」

それでも、地頭の悪い男はぽろりと情報をこぼしてしまうのだ。

//お気になさらず…、時間的に都合悪ければ適当に締めていただいて構いませんので…
93メルム・フォルティーナ◆</b></b>KyWhGauGB6<b>[] 投稿日:19/11/07(木)18:58:46 ID:bNw [2/5回]
>>92

「魔法がなんでもありだなんてそんなわけがないでしょう、もしそうならとっくに私は大金持ちになっています」
「……冷やかしなら帰ってくれます?サービス精神なんてリンゴの芯以下ですよ、言うなればゴミですゴミ」

客相手なら、まだある程度は丁寧に接するものだが相手が客でないのなら粗雑な対応。どうやら彼女にとって男は客では無いという認識になったらしい。
元々男は無職であるのだから薄々思ってはいたが言動やらで完全に客という認識は吹っ飛んだようで。

「"俺"は殺してない、と?それにしても……なぁんで、"ナイフ"で殺されたと分かるのでしょうね?不思議ですねぇ?」

顔は笑ってはいるがその目は笑っていない。まるで問い詰めるかのような冷たい声でそんなことを言い放って。

「…………まぁもう起きたことは仕方ありません、ただ考え無しの行動は謹んでほしいのです」
「ここは見ての通り領主が市民を鑑みない独裁政治を敷いています。あぁいう輩は自分に不利益だと思えば即座に消しにかかりますよ。もしもキャラバンが目をつけられれば面倒なことになるのは確実です」
「何もしてこないのなら何もしなければ良い、厄介ごとは私はごめんですよ」

//お気になさらずに…返信しておきます…!
94ナナシヤ◆</b></b>5JVIJTo7hU<b>[] 投稿日:19/11/07(木)19:42:28 ID:R9K [3/5回]
>>93

「……効果は相応のものでいい。安価な治療用のアイテムをくれ」

サービス精神は皆無。オマケに口も悪い。ブーメランを頭に突き刺しながら、男はそんなことを思った。
ちなみに、わざわざ魔法店に来たのは、医者嫌いが薬品嫌いが由来である。
魔法店であれば苦い思いをせずに住むのではと、安直な発想があるから、男は彼女を頼らざる得ない。

だから、ナイフのことで指摘を受ければ、包帯の中で僅かに露出した額に冷や汗を垂らした。

「うう、うわさでな……聞いたのだ。顔のいい奴隷が主を刺したとか、なんとか、な」

ちらちらと視線を泳がせる。この世界が推理物だったのなら、男は次の瞬間には追い詰められ、やがては崖から飛び降りていたことだろう。
けれども、ここは暴君の支配する砂漠の世界だ。

「……奴隷だ。やつら、奴隷なんぞで俺達をもてなそうとしたのだからな」
「正義感の強い俺としては、許し難い話であった。だから、一悶着を起こした。かっこいいだろうが。英雄的だ。俺は悪くない」

詰まるところ、バレたのならば、開き直るが勝ちなのだ。
男は自分は悪くないと主張する。自分勝手な性格だ。


「それに、店に閑古鳥がないているのはな、思うに、魔女殿にサービス精神がないからだろう。悪くない。俺は悪くないぞ」
95メルム・フォルティーナ◆</b></b>KyWhGauGB6<b>[] 投稿日:19/11/07(木)20:08:31 ID:bNw [3/5回]
>>94

「……最初からそう言っていればよかったんですよ」

呆れながらも後ろの棚を漁れば言われた通りの相応の魔法薬を一つ取り出す。
ただ魔法薬といえどもそんな都合の良いものではない、だがこの程度の魔法薬ならば特に大きな副作用などは無いだろう。
ちなみに代金は普通の回復薬よりかは高めである。魔法薬であるのだからそこは仕方ない。

「どちらにせよ関わっていることには変わりないのでしょう?まったく……」
「別に奴隷制度が禁止されていない国は他にも多くあります。私は別に奴隷自体に嫌悪感などはありません、まぁ関心もありませんが」
「そこで決まっていることなのですからそれに文句をつけるのはお門違い、もしも首を突っ込むのなら金でその奴隷を全て買い付けるとかそういうのが一番穏便なんです」

奴隷になった者は気の毒だとは思うが、それを不当に解放しようともなればそれこそ犯罪と変わりない、言わば強盗のようなものだ。
奴隷という一商品である以上正規の手続に乗っ取らなければそこに正当性は生じない。

「蛮勇ですよただの、本物の英雄ならばもっとスマートな手段を使ったでしょう。あなたのはただのパチモン、それもただの自己満足ですよ?」
「…………これ、魔法薬の値段です」

そうして提示された値段は通常の相場の二倍の値段であった。
96リラ◆</b></b>O/HRfcvbXs<b>[] 投稿日:19/11/07(木)20:29:10 ID:AeU [1/2回]

 「……やっと、落ち着ける。」

 灼熱の真昼の砂漠の峠を越えて、やっと落ち着ける場所に着ければ、重い腰を落として暫くすれば睡魔に敗けて頭部が小舟を漕ぐ。
 真っ赤な白衣を纏ったまま帰ってきた早々に、例の件を報告した後に、他の者に注意喚起。ーーー及び、報告書。患者の定期診断。

 其れを終えてようやく、席に座る事が出来るのであった。

 「………ん、……そういえば食事を摂取しないと、……な。」

 そんな事をうわ言に呟くも、足は動かない。
97ナナシヤ◆</b></b>5JVIJTo7hU<b>[] 投稿日:19/11/07(木)20:29:46 ID:R9K [4/5回]
>>95

「言うだけ……、いや、勉強になる。次からは素直に生きよう。俺はそう心に決めた」

言うだけタダだ。そんな言葉が口から漏れそうになった。けれど押しとどめた。
魔女という存在に付き纏う後暗い噂に紛れて、意識をしていなかったが
この魔女は時にぼったくりのような真似をすると聞いたこともあるから、魔法薬の相場も知らないじぶんも殊勝にしていなければ、あるいはと

「……聞こえない聞こえない。騒動に巻き込まれて耳もやられたか。魔法薬で治るものかな、これは。あー、耳が痛いな……聞こえなーい」

だから、この稚気な態度も殊勝な振る舞いの一環なのだろうか。
反論もせずに、されど深く聞き入ることもせずに、わざとらしく耳を塞いでいる。
実際、彼女の言葉は正論そのもので、言い返す言葉もないのが実情だ。
この男は義憤に駆られたわけでもないし、奴隷を救済する気もまるでなかった。
気に食わない相手に暴力を振るい、ついでに商品を奪い取ってきた男。やはり強盗そのものだろう。


「…………。……魔女殿、高すぎないか。魔法薬」
「……。…………。……俺の知り合いに顔のいいチビがいる。そいつの労働と交換でどうだ」

奴隷制度バンザイ。奪い取ってきた商品を転売だ。
98メルム・フォルティーナ◆</b></b>KyWhGauGB6<b>[] 投稿日:19/11/07(木)20:47:23 ID:bNw [4/5回]
>>97

「…………」

男の稚拙な態度にただただ呆れ顔と冷たい視線を送る。
まるで子供のようだ、これならば確かに無職も頷けるというもの。何か仕事を任せたところで途中で投げ出してしまいそうだ。
ただまぁ、商品を買うのなら一応は応対はしなければならない。迷惑をかけない限りは客に変わりはないのだから。

「即金しか受け付けていませんので、払えないのでしたら他を当たってくださいな?」

まず間違いなく不機嫌だということは間違いない。確かに客商売ではあるものの客に誠実に接するとは限らない。
厄介な客には相応の対応をするのも彼女なりの接客ということだろうか。というにはかなり私情も挟まっているが。
99ナナシヤ◆</b></b>5JVIJTo7hU<b>[] 投稿日:19/11/07(木)21:15:43 ID:R9K [5/5回]
>>98

奴隷の売買はことこの店内では禁じられているらしい。
心底不機嫌そうなその視線と男の視線が交差する。

「…………」

沈黙。男は考える。自分の懐の中に眠る銀貨の価値を
男は考える。自分が魔法薬を飲むことで傷を癒し、快復することで生じるメリットを──

(追手を追い返す……飯が食べられる……仕事にありつける……暑い街だからな……)

「……そうか。なら、出直そう」

やはり、魔法薬は高い。というか、おそらくは、この店が例外的に高いのだろう。
あるいは、自分がその値を釣り上げた。それでも、ここで暴れたりしないのは、単に弱っている自分では魔女にはかなうまいと浅知恵を働かせたからに他ならず

「冷やかして悪かったな、魔女殿。この店の益々の繁盛を願っている」

ならば、この店に長居したところで、この魔女の不興を買うだけ損となる。散々ばら煽ったのだから、全くの自業自得なのだが。
男はそそくさと出口に向かい、帰っていくはずだ。
そうして、店からでて、数歩、数十歩、数百歩歩いて、もう、絶対に声は届くまいと確信を得てから、一人口を開くのだ。

「ぼったくりが……! とっとと潰れてしまえ、あんな店……」

そこには英雄などとは程遠い、か弱く惨めな無職の姿が虚しくあった。

//こちらからはこれで〆な感じで……楽しかったです。ありがとうございました……!
100 : メルム・フォルティーナ◆</b></b>KyWhGauGB6<b>[] 投稿日:19/11/07(木)21:46:26 ID:bNw [5/5回]
>>99

「あら、買わないのですか?まぁそれならば仕方ありませんね、無理に買わせるのはただの押し売りですから」

今まで散々言われてきた仕返しを今ここで。確かに客に商品を売ることは重要だ、だがそれ以上に自分の鬱憤を晴らすことは何よりも最優先。
時に利益よりもそちらを優先する、魔女というのは自分勝手でそういう気紛れなもの。不愉快なことをされればそれを仕返す、言わば今回のものはしっぺ返しのようなもので。

「えぇ、私もあなたがちゃんとした職に就くことを願っていますよ?」

心にもないことをお互いに交わしたのならまた店はガランと彼女以外誰もいなくなる。
ただその静けさも慣れてしまえば楽なもの、それにこの街ではやはり一般客は望めそうにないことは薄々気づいていた。

「……そろそろこの街からは手を引きましょうか。あの領主にでも直接何かを売りつけるのも良いですね」

そんなことを考えながら1日を過ごすのだった。

//それではこちらもこれで〆となります!ロールありがとうございました!
101 : リラ◆</b></b>O/HRfcvbXs<b>[] 投稿日:19/11/07(木)22:25:00 ID:AeU [2/2回]
>>96
すいません!落ちますm(_ _)m
102バルト◆</b></b>h6k2RhohHM<b>[] 投稿日:19/11/07(木)23:20:48 ID:8J9 [2/2回]
人通りの少ない路地に、何かを殴る音が反響した。
殴っているのも殴られているのも人間の少年であったが、その立場の違いは火を見るよりも明らか。

『偉そうに外なんて歩いてるんじゃねえよ、この物乞いが!!』

加害者は一人、その取り巻きが二人。よく肉のついた身体と清潔な衣服は、この国において相応の階級である証左。
語気こそ荒いが、浮かべるにやけ面はこの行為に楽しみを見出していると如実に語る。

「グッ…………偉そうなのはどっちだよ……」

腹を蹴られて壁に叩きつけられ、膝を折った被害者が纏うのは最早ボロ布に近しく、そこから覗く四肢もまた細くみすぼらしい。
褐色の肌には既にいくつかの殴打痕。俯いた躑躅の眼は前髪に隠れたが、ぼそと呟いた恨み言までは誤魔化せなかった。
圧倒的な格下からのか弱い反撃にしかし、得てして子供とは逆上しやすい生き物であり。

『ンだと……?もう一回言ってみやがれ!』

襟首を掴んで胸倉を持ち上げる主犯の少年。体格差は歴然であり、虐げられている方は容易く身体を起こされてしまう。
歪めた顔を張り飛ばされ、乱暴にまた壁へと投げられて背を打ちつけ。痛みに呻いて尚、暴虐が終わる兆しは見えないようであった。
103リラ◆</b></b>O/HRfcvbXs<b>[] 投稿日:19/11/08(金)20:00:13 ID:wbl [1/3回]
>>102

 
 「どうした、転んだのか?
 膝関節と後背部と怪我している様だな、───見せてみろ。」
  「………ん、安心しろ、単なる打撲だよ。
 ……傷口の洗浄の後に、一応検診ぐらいしてやろう。 」
 
 考えるよりも先に、足が動き、間髪を入れずに堂々と割って入れば状況を一瞥した後に、被害者の少年に冷静に声を掛ける。
 続いて気怠そうに、白衣を着直せば加害者の少女を見る。

 「……すまない。」
 「この子は私の知り合い………いや、助手でね。
 手荒な真似はするのは出来れば辞めてもらいたいのだが……。」
 
 眠そうな瞳が、加害者の少年を捉えれば面倒臭そうに明らかな嘘を吐きながら、横目で少年達を眺めながら被害者の少年の身体に触れれば〝傷跡が癒えていく〟。
104バルト◆</b></b>h6k2RhohHM<b>[] 投稿日:19/11/08(金)21:50:20 ID:45m [1/2回]
>>103
自らのコミュニティー内であれば己が強者だと理解しているから、どこまでも傍若無人に振る舞えるのだが。
大人、それも常識が根本的に異なる異邦人が相手となれば、相対的な立場を即座に推し量る事などできやしない。

『フンッ……そんな奴を助手にするなんて、他所の国の程度が知れるな!』

闖入者に向けるのは胡乱なものを見る目、それからふんだんに侮蔑を含んだ眼差しで少年を見下し。
捨て台詞めいて吐き捨て、三人揃って肩を怒らせ路地の向こうへ去ってしまった。
残された少年はといえば、それまでは黙って顔を伏せていたが。二人きりになるや、緩慢とした動きで弱々しく手を払おうと。

「……どういうつもりだよ。アンタの助手になったつもりなんざねえし、出せるようなモンもねえぞ」

しかし触れた部位から癒えつつあるといえど、まだ全てが完治した訳ではない。殴られた拍子に切れた唇から滲んだ血を舐め取って。
芯に残る痛みがすぐさま消え失せる訳でもなく喉奥から絞り出した呻き声、強く握った拳に筋が浮いた。

//申し訳ありません、反応遅くなりました…!
105リラ◆</b></b>O/HRfcvbXs<b>[] 投稿日:19/11/08(金)22:30:46 ID:wbl [2/3回]
>>104

 「ーーーー。」

 彼等の捨て台詞を残し去って行く姿を横目で眺めれば、今度は濃い隈がある双瞳でバルトを眺める。ーーーその時間は、数秒程度だがその数秒程度で検診を済ませる。
 普段は鉄面皮の様に無表情だが、この時だけは片目を閉じ呆れた様に小首を降った。

 「……子供から強請る程、私は医者の気位を喪ったつもりは無い。ーーーだが、“貸し”だな。
 丁度、案内人が欲しかった所だ。」
 「頼んだぞ、助手クン。」


 半ば、強引の様な契約を結べばバルトのボロきれ布の様な服を覆い隠す様に自分の真っ白な白衣を投げ捨て渡す。
 そして、次に握った拳の方向を見ればーー。

 「ん、……その握った拳は見せる先は私でいいのかい……?
 ーーー本当は、“あっち”だろ?」

 指差すのは、リラでも無ければバルトでも無い。ーーーあの子供達が居た方向。
106バルト◆</b></b>h6k2RhohHM<b>[] 投稿日:19/11/08(金)22:58:04 ID:45m [2/2回]
>>105
「アンタといいこの前の女といい……キャラバンには変な奴しかいないのか?……ぶえっ」

顔に覆い被さった白衣。大人の匂いから逃げるようにひっぺがして、少しの逡巡の後に小脇に抱える。
不満そうな目つきで睨みつけていたが、強引といえど彼女の鶴の一声で暴力から救われたのは事実。
ため息、それから壁に体重を預けながらも立ち上がって指をさす方向を見やった。

「やり返したって飯が貰える訳じゃない。あいつら衛士の子供だから、こっちから手ェ出したら住みにくくなるだけだ」
「それに――お代ならもう貰ってる。あげねえけど」

開いた掌、そこに握り込まれていたのは一枚の銀貨。大方殴られている間に、彼らのうちの誰かから抜き取ったものだろう。
ふん、と小さく子供達が去った方に向けて鼻で笑い。成果を誇るでもなく硬貨を指先で弄びながら、未だ懐疑の名残る赤紫色の瞳でリラを一瞥。

「そんで、ドコを案内して欲しいんだ。言っとくけど、宮殿周りはゴメンだからな。この格好じゃ近づく前に追い払われる」
107リラ◆</b></b>O/HRfcvbXs<b>[] 投稿日:19/11/08(金)23:26:05 ID:wbl [3/3回]
>>106

 「……キミは随分と達観しているな。
 子供なら子供なりに泣き喚いて助けを求めていればいいのにーーー案外、近くの偽善者が助けてくれるかも知れないぞ?」
 「……冗談だ。」

 そんな嘘か真か分からない冗談で、開いた拳を見据えれば、一瞬だが何処か悲しげに顔を翳る。 ーーー年端もいかない子供を見ると、どうも昔を思い出してしまう癖が在るらしい。
 暫く態とらしく考える唸る素振りをしながら、顎に手を添えると〝宮殿〟と云う言葉に、反応する様にバルトを指を指す。

 「ーーーだったら、“それ”を着ればいいだろう。
 少しは年相応に見える。……筈だ。」
 「……本音を言えば、領主サマに会いたいのだが門前払いが関の山か。……ま、宮殿の場所を把握はしたかったのだがな。」

 “それ”とは脇に抱える白衣の事だが、それを着たとしても、正装に見えないのは言うまでもない。
 その後、バルトに聞こえるか聞こえないか微妙な感じ小さな声で呟けば、宮殿の案内を頼もうとしたのだが、流石に却下せざるおえないのであった。

 「……ん、……昨夜から何も食べてないのでこの近くに何か……そう、……無いのだろうか?
 勿論、…助手のキミにも馳走はする気概はあるさ。」
108バルト◆</b></b>h6k2RhohHM<b>[] 投稿日:19/11/09(土)00:03:47 ID:P2b [1/6回]
>>107
冗談で覆った言葉も沈痛の眼差しも、また鼻を鳴らして受け流す。今度は自嘲の気色であった。
見るからに浮浪者然とした様相、手癖の悪さに見合うだけの境遇だったのだろう。
諦めきっている訳ではないが、打破の手段の足がかりは皆無。現状の劣悪さをせせら笑うように。

「……そりゃ、少しはマシに見えるかもしんないけど。アンタの助手だとか奴隷だとか、適当言えばどうにかなるかもな」
「宮殿なら国のド真ん中だ。悪趣味な建物だから、ちょっと大きい道に出ればすぐ分かる」

白衣に目をやって、しかし未だ袖を通そうとしないのは脱いだばかりであるのを気にしているからか。夜になれば、寒さを凌ぐのに重宝するかもしれないが。
早々に拒絶こそしたが、宮殿など直接連れて行かなくても口頭で場所を伝えるのは容易い。
なにせ位置だけでなく、豪奢を極めた外見もまたそこらの街並みとは一線を画するのだから。

「飯?……分かったよ、そこまで言うなら連れてってやる」

まるで奢りに誘われたかのような、事実その通りでしかないのだが。どうにも一度満腹というものを経験してから、食事につられやすくなっているような気がした。
先導して歩き出し、細い路地を抜けて日の当たる表通りに出れば、一方の彼方に見える朧な宮殿の影。
その反対側へと少し歩き、案内するのは小ぢんまりとした飲食店。雰囲気からして、安くて量のある庶民向けだろうか。
それでも少年にとっては遠い世界であるから、二の足を踏んで先んじて入ろうとはせず。顎でしゃくって促した。
109リラ◆</b></b>O/HRfcvbXs<b>[] 投稿日:19/11/09(土)00:30:16 ID:SEP [1/4回]
>>108

 「ん、成程。
 ……格段、急ぎと言う訳でも無い。……少し準備が必要なのでね。」
 「……また後にするとしよう。」

 片目を閉じながら、遠くを見る様に見渡す。此処からでは拝む事は出来ないが、宮殿と言う名を冠するのだからやはりどデカいのだろう。ーーー少年の大雑把な説明は単純明快に分かり易い説明は、脳裏の片隅の残滓として仕舞われた。
 〝領主カージス二世〟ーーー彼には、聞きたい事は多々あるが、其れを語るには時期尚早と云う訳だ。

 「……ん、自慢じゃないが私は別に食は栄養以外求めてない人間だが。
 だが、流石に蜥蜴とか食わんぞ?」

 期待半分。不安半分と云った面持ちで快く案内をしてくれた人間に、注釈を入れる様に後ろから気怠い雰囲気纏いながら、ゆっくりと闊歩しながら周りを見回す。ーーーこの暗い路地に住む人間に対して、領主は何を思うか。
 そんなことを考えながら、彼方の王宮を見据えれば、当然の様にバルトの影を踏みながら普通にぶつかる。

 「……おや、すまない。……ここかな?
 御飯は逃げない───が。時間は有限だ。」
 「さぁ、……一緒に食べよう。」

 まるで、母親の様にバルトの手を引きながら入店すれば適当な椅子に座る。
110バルト◆</b></b>h6k2RhohHM<b>[] 投稿日:19/11/09(土)00:55:53 ID:P2b [2/6回]
>>109
「どうかな、素揚げにしたのが出てくるかもよ――ッテェ」

その冗談の時ばかりは、年相応の無邪気さで口の端を持ち上げたが。
背中にぶつかられてつんのめり数歩前にふらついたから、苛立ちを眼差しに乗せてじっと見据えた。

「前くらい見ろって……おい、何すんだよ!分かった、分かったから離せって……!」

しかしそんな小生意気な態度も、徐に手を引かれれば不慣れな行為に瞬く間に萎んでしまう。
さも嫌そうに口答えしながら、しかし存外抵抗は弱く。容易く店内に連れ込んでしまえるはずだ。
痩せぎすな店主の男はじろりと鋭い目つきで少年を見たが、次いでリラの風貌に視線を移すと面倒事を嫌ったか、何も言わず手元に視線を戻した。

「アンタ、この国の料理は詳しくないだろ。適当なのでいいよな?」

不承不承に向かいに座った少年はそれだけを確認すると、いくつかの料理名を勝手に注文してしまうだろう。そこに口を挟む余地は十分。
頼んだのは香辛料で味を付けた干し肉や、豆と少量の野菜を炒めた物など、量はあるが簡素なもの。
そのどれもが水の使用を極力控えたものであり、価格と水量の深い関係性を伺わせる。
少年はというと料理が届くまでの間、自分から口を開こうとはせず。不審そうな眼差しでリラをじろじろと眺めわたすばかりであった。
111リラ◆</b></b>O/HRfcvbXs<b>[] 投稿日:19/11/09(土)01:21:02 ID:SEP [2/4回]
>>110

 「……構わない。ーーーが。少しばかり味を濃くして貰えると助かる。」
 
 栄養以外興味は無いと宣言したものの、折角の料理の味を堪能しないと失礼に当たると感じたのか。少しばかりの贅沢を宣言するが通るかは未定である。
 少し暑いのか、野暮ったらしくなったのか栗色の髪を後ろに一纏めに髪を結えば、時同じくして視線が交わり、気怠げに口を邂逅する。


 「……そんなに見られると穴が空いてしまうのだがーー。
 ……キミだってキャラバンの乗員に会ったと言っていただろう。……別にそんな異国の人間は珍しくあるまい。」
 
 「……それとも、あの店主の様に私を値踏みでもしていたのかな?
 ……私は食い逃げはするつもりはないのだけどね」

 視線が気になったのか、弄ぶ様に机に適当に指をなぞりながら、ゆっくりと困った様に眉を下げながら、愛想笑いを浮べ思わず苦笑してしまう。
112バルト◆</b></b>h6k2RhohHM<b>[] 投稿日:19/11/09(土)01:47:33 ID:P2b [3/6回]
>>111
一挙動を見逃さじと眺めていただけであって、髪を結い上げる仕草に何ら感じ入ったつもりはなかったのだが。
視線を言及され、剰え『値踏み』などと言われてしまえば、例え変な気がなかったとしても自然と意識が首を擡げる。

「っ……別に、そういうつもりじゃねえし」

慌ててそっぽを向き、居心地が悪そうに頬杖をつく。褐色の肌は色の変化を悟らせず。
数秒の間、それからちらと横目に見やって口を開いた。

「……変な奴だなって思ってただけ。ロクに稼ぎもないガキに施すなんて、ココじゃ考えられないんだ」
「その辺で暮らしてる大人達だって、ああ見えていつも自分の事でいっぱいいっぱいなんだよ。食い物より、水のために稼がないといけないからな」

それは誇張や絶望ではなく、単なる事実を述べただけなのだろう。周りを憚って声を潜めていたが、そう思わせる程に冷静な語り口だった。
キャラバンのように外から交易にやってくる人間は実際そう珍しい訳ではないが、大抵はその内情を知る者ばかり。
だからこうして関わろうとしてくる彼女達は、謂わば未知の存在に近しいものなのだ。
店主が動いたのを見て一旦口を閉じる。運ばれてきた料理の品々は材料こそ質素だが、味だけはそこそこ。
水に関する要望ならともかく、調味料の分量は然程問題ではないらしく。注文通りにほんのりと味つけは濃いめであった。
113リラ◆</b></b>O/HRfcvbXs<b>[] 投稿日:19/11/09(土)02:19:24 ID:SEP [3/4回]
>>112

 「……正直、 このままだとこの国は綻びるのも時間の問題だろうね。
 ……病原菌を切除するば、……或いは。」
 「私は幸福と云うのは、他人に分け与えてこそ始めて実感出来るモノだと解釈をしているーーー他人に幸福をシェアする事で長続きするからな。」
 「だからーーー。」

 少し感情的に熱が籠った様に、視線を合わせれば何かを言い掛ける途中で、注文の料理が来た事を確認したら、言い掛けた言葉を飲み込む。
 一口、干し肉を摘めば口に頬張ると、期待されていた感想は述べずに次へと箸が伸びる。箸を置かないと云う事は、料理に不満が在る訳では無いが、相も変わらず黙々と食べる。ーーーその間にも、バルトの小皿に料理を分け与えれば〝これも食べろ〟と圧を与える様に。


 「……かと言って私達の様な余所者が解決出来るかと云えば、……否だろうな。
 いや、正確には介入してはいけないと謂うべきだろうね。」
 「……勝手に解決するのは容易だが、酷い様だが私たちはこの国の産まれでは無いし、これからずっと面倒を見れる筈も無いーーー。」

 
 どっち着かずの回答で曖昧に誤魔化す。
その様子は非道で汚い大人のように見えたのだろうか。ーーー手を小さく結べば再び開く。まるで己の手の長さを測る様。
 基本的に余所者が余り介入するのは好ましく無いのだろうが、どうもこの領主はキナ臭い人間であり、天秤が傾いてしまうのは、仕方ないことなのであろうか? そんな事を考えながら食べる食事はあまりの喉が通らない。

 「ーーーリラ=ハーランド。
 名前を名乗るのを忘れていたな。……リラでいい。」

 気分転換と言う訳では無いが、突拍子に自己紹介するのはコミュニケーションが不足しているのだろう。
114バルト◆</b></b>h6k2RhohHM<b>[] 投稿日:19/11/09(土)02:47:40 ID:P2b [4/6回]
>>113
これまでの平静な様子から一転、突如感傷を帯びたリラの熱弁に面食らって思わず向き直る。
そこに取り分けられた小皿を押しやられれば、勢いに呑まれるがままに一口。
先日腹いっぱいに食べた多様な果物とは違う、塩気の多量に含んだ味わいもまた、彼にとってはひどく久方振りのご馳走に相違ない。
テーブルマナーを置き去りにしてガツガツと貪りながらも、耳はしっかとリラの声を捉えていた。

「ふん……結局こうやって俺がまともな飯を食えるのも、アンタ達がいる間だけって事だ。大人達の中には、勝手に期待してる奴もいるみたいだけど」
「……あいつが。あのクソ領主サマさえいなくなれば、全部マシになるのに」

落胆とは異なる、諦観と呼ぶに相応しいニヒルな笑み。リラを責めるつもりは毛頭ない、卑下に近しい語勢。
決して周りに聞こえないよう、小声で呟いた不敬の暴言だけは。境遇の全てを憾む嚆矢を向けた、強い激情に微か震えた。
沸き上がる憤懣に任せて干し肉を噛みちぎる。飲み下して、突然の名乗りに興奮が萎んでしまったかのように、束の間目を瞬かせた。

「ああ……バルトだ。大体いつもはこの辺にいる。なんかあれば、貸しの分くらいは働いてやるよ」
115リラ◆</b></b>O/HRfcvbXs<b>[] 投稿日:19/11/09(土)03:25:25 ID:SEP [4/4回]
>>114

 「ーーーー。」

 〝その台詞は決して純粋な子供が吐いて良い台詞とは思えない〟───そんな心苦しさに胸が痛む。手を差し伸ばす事さえも出来ない己の不甲斐無さに、唇を噛み締めば口の中が鉄分で満たされる。
 軽く悩ませる様に頭を掻き毟る様に乱し、溜息で一つで気持ちを切り替えれば、漸く無表情の彼女に元通りになる。


 「……そう、……かもな。」

 喉に詰まった言葉は、肯定でも否定でも無い。ーーー曖昧な返事。 例え、水不足が解消されてもそれは、根本的な解決策にはなるのだろうか。確かに、現状〝は〟打破出来るのかも知れないーー。
 故に、曖昧で蒙昧に答えるしか無かった。


 「……ん、頼もしいな。
 暫くの間、この地帯に滞在するつもりだ。 ……何か困った尋ねるといい。」
 「……ま、私より叡智に富んだ人間は居るだろが……。
 それにバルト少年の知り合いだって居るのならば私の出る幕はないだろうがね。」

 名前が在ると云う事は、恐らくは両親の何方かは健在なのであろうか? ーーー奴隷など施設の子などは大概は身元不明が多く。名が無い子も多い。そういう意味では安心するよりに胸を撫で下ろす。
 無論、浅い浅慮であったのは知るよりも無い。

 “貸し”の分だけとは云え、この申し出には有難い行為と見なし心からお礼を伝えれば、何時でも遊びに来て良いと伝える。ーーーーそう言い終えれば、明らかに枚数の多い銀貨五枚を机に置いたのならば、重い腰を気怠げに上げる。

 「……お釣りは好きにするといいさ。
 ……ん、……今度は白衣に袖を通してくれると嬉しい。」


 無感情だが仄かに温かみのある言葉の節節で、送れば手をひらひら、と。相も変わらず気怠げに振れば立ち去っていく。


//長い時間までありがとございました!!
/とても楽しかっです!m(_ _)m

116 : バルト◆</b></b>h6k2RhohHM<b>[] 投稿日:19/11/09(土)10:17:18 ID:P2b [5/6回]
>>115
その言葉は人に聞かせるものではなく、思わずして漏れ出た逆上に等しかった。
だからそれ以上の露呈を抑えるのに懸命で、リラの自戒に気がつく事はない。

「……考えとく。アンタらを見てる感じじゃ、拐われて食われるって事もなさそうだしな」
「それに、まあ……今回は助かったし」

胸中の安堵など知る由もなくぶっきらぼうに返す、謝意とも取れる言葉は少々口ごもっていたが。
そも親の健在の有無に拘らず物乞いと罵られ、手癖も悪いときたものだから、まともな生活環境でないのは明らかだろうに。
とかく机に置かれた銀貨を見て怪訝そうに眉を持ち上げ、次いで譲渡を意味する行為に驚愕でもって息を飲んだ。

「は……?あ、おい!もう食わないのかよ!」
「ああクソ……コレは貸しって事にしないからな!後悔すんなよ!」

腰を浮かせかけ、けれど飯の誘惑に繋ぎ留められて中途な姿勢で背中を見送るだけ。
食事代を差し引いても余りある銀貨もまた同様に、素直じゃない言葉を叩きつけるばかり。
一人になって、膝に乗せていた白衣に視線を落とす。袖を通すかどうかは分からないが夜間、寝る時に身を包むのに重宝するだろうと。
思案しながら、味の濃い炒め物を口に運ぶ。続けざまに触れた他者の善心のせいだろうか、心なしか頬が緩んだ。

//すみません、最後の最後で寝落ちしておりました…!
//こちらこそ遅くまでありがとうございました!
117 : ロフィア◆</b></b>h6k2RhohHM<b>[] 投稿日:19/11/09(土)21:44:56 ID:P2b [6/6回]
彼女の仕事は率先して危険を確かめる事であり、移動時に最も忙しく、新たな土地に到着した時が最も危険を伴う。
しかし一度天幕を打ち立て一先ずの交易を結んだのならば、途端にやる事は激減してしまう。

「にゃ、にゃ……毎日あっついにゃあ……」

だからロフィア・オルムステッドは今現在、有り体に言ってしまえばとても退屈な毎日を送っていた。
度々キャラバンの他の面々を手伝う事こそあれど、目的意識がある訳でもなく。市井をぶらぶらして暇を潰す日々。

「にぎゃっ……目、目に砂がぁ……!」

国を覆う緊張感もどこ吹く風、眼球を襲う鋭い痛みにぎゅっと目を瞑ってふらふらふらりと大通りを往く。
普段なら視界が塞がれていても、他の五感で物を避けるのは難しくないが。気が抜けているからか、今なら不意の衝突もおかしくはなかった。


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