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1◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/12(火)20:09:15 ID:JnI [1/11回]
 少年の心は血と汗と涙と出来ている
 であればそれが奇跡を起こすのは必然であり、世界には二つの奇跡が存在した

 悪しき心より『マモノ』を生み出し人を脅かす『マモノツカイ』
 良き心より『マホウ』に目覚め魔を撃つは『マホウツカイ』

 人は奇跡に気づけない。彼らは人知れず人を喰らい、人知れず人を救っていた

☆はじめに☆
所謂『魔法少年』を題材にしたなりきりスレッドです
PLは悪の『マモノツカイ』、『マホウツカイ』、あるいは一般人のキャラクター作成し物語に参加します

☆注意事項☆
・対処不能、確定されたロール、設定は禁止
・直接的すぎる性的、猟奇描写は禁止
・コミュニケーションを放棄しないように
・凍結、遅レスはやりすぎないように

☆キャラシート☆
【名前】
【年齢】
【容姿】(性別について特別に記入する必要がある場合はここに)
【マホウ/マモノ】(キャラクターが持つ能力)
【概要】(キャラクターの生い立ち、性格など)

※追記 2019/11/16 03:00:27
☆開示設定☆
『心象結晶/クリスタリウム』
麗衣のどこかにある純白の宝石。
形はマホウツカイ毎に様々だが、その性質、本質は共通。
マホウツカイとしての活動を重ねるごとに"心の力"が溜まっていき、輝きを増してく。
その輝きが頂点に達したとき、マホウツカイの願いが叶うと言われている。
マホウツカイの心の現身であり、結晶の色は心の色そのもの。最初は誰もが純白だが心の変化に合わせて色を変えていくこともあるようだ。
ただし、黒色に染まり始めたなら──────

※追記 2019/11/26 01:52:52
【ミーティア】
魔法少年を捕縛、或いは殺害し魔力を収集するマモノツカイの集団。
方法、目的は不明だが、魔力を集めることで願いをかなえられるとしているようだ。
2 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/12(火)20:09:38 ID:JnI [2/11回]

☆基本設定☆

『朱風市』
舞台となる中規模の地方都市。豊かな緑を観光資源とし、それなりに発展している。
インフラもそこそこ整備されており、住みやすい都市として名を馳せる。
近年『マホウツカイ』、『マモノツカイ』と呼ばれる存在が多数目覚めている。

『マホウツカイ』
良き心より生まれる『マホウ』を振るう少年の呼称。
マホウを使用する際は『衣/ドレス』を纏った姿に変身する。
良き心とは非常に曖昧な概念なようで、私利私欲のために動くマホウツカイも確認されている
必ずしも道徳心が優れていると言う訳ではないようだ。

『マモノツカイ』
悪しき心より『マモノ』を産み出す少年の呼称。
特異な力はマモノに依存するが、マモノを『隷衣/ドレス』として纏うことで自身で力を行使する事もあるようだ。
悪しき心もまた曖昧な概念だが、概ね負の感情と呼ばれる物と一致するらしい。
3 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/12(火)20:19:15 ID:JnI [3/11回]
☆スケジュール☆

【テスト期間】←イマココ
スレ立てから2週間までを想定したテストロール機関です。
設定、テンプレの微調整を行いながらロールを行い、初回イベントを以てテスト期間終了と考えています

【本編期間】
テンプレを確定とし、ロールを行う本編機関です。二週間~一月の周期でイベントを行い、スレッド完走めざします

以上は予定であり、変更の可能性を含みます。
4 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/12(火)20:19:46 ID:JnI [4/11回]
テンプレ終わりです
需要の少ないジャンルであると予想し、参加者数は2人~を想定しています
質問などあればお気軽にお願いします
5 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:19/11/12(火)20:28:02 ID:fQC [1/2回]
キャラシはもうどんどん出していい感じでしょうか?
6 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/12(火)20:36:45 ID:JnI [5/11回]
はい、キャラシートもどんどん出しちゃってください!
キャラシートは必須ではないのでいきなり待ち文を投下していただいても大丈夫です
7 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:19/11/12(火)20:37:47 ID:fQC [2/2回]
了解です!ありがとうございます!
8 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:19/11/12(火)20:37:50 ID:Tqi [1/1回]
マホウツカイとマモノツカイで一つずつキャラ作っても大丈夫でしょうか?
9 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/12(火)20:41:27 ID:JnI [6/11回]
大丈夫です!
キャラ数に制限はありませんので、思うままにキャラクターを作成していただいて構いません
10名無しさん@おーぷん[] 投稿日:19/11/12(火)21:54:37 ID:CZP [1/1回]
マホウツカイやマモノツカイになる方法というのはアイテムを拾ったらなれるみたいに全員共通ですかね?
11 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:19/11/12(火)22:00:25 ID:Rm6 [1/1回]
年齢とかに縛りがあったりはしますか?
12 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/12(火)22:04:52 ID:JnI [7/11回]
>>10
所謂異能力みたいに突然目覚める物で、特になる方法と言う設定はありません。
いつの間にかつかえていた、或いはきっかけがあって良き/悪しき心によって目覚めたなど、自由にしていただいて大丈夫。
現在はテスト期間ですので、こういう設定がやりたいなどの意見も大歓迎です
>>11
一応少年と言う括りですが、年齢制限は考えて居ません。
ふさわしい設定であれば、所謂ショタジジイ的魔法少年が居てもいいと思います
一番性癖に刺さる年齢設定にしてください。
13◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/12(火)23:35:59 ID:JnI [8/11回]
【名前】紫羽 稔(しば みのる)
【年齢】15/高校一年生
【容姿】
成人男性の平均すら超えた長身。体は細く猫背。色白。
陰のあるたれ目、固く結ばれた唇、鼻筋は通っているが陰気。
黒髪は肩にかかるほど伸びて跳ね放題。

『隷衣装着』
蒼いアイシャドウを乗せた、紅柘榴の瞳。ルージュの唇。ウェーブのかかった藤色の髪にリボンを結ぶ。
白黒のコルセットドレスに蛾を模した装飾を侍らせ、フレアスカートをふわり揺らす。
深い隈は変わらず、しかし絵画のように耽美な顔立ち。

【マホウ/マモノ】
『キャンディッド・マスタード』
『蛾』のマモノを行使するマモノツカイ。
レースの様な羽を持つ、人の背丈ほどもある巨大な蛾である。
両羽より散らす鱗粉は光に反応して、あるいは熱源に触れる事で発熱する。
人の肌に触れればそれだけで火傷を引き起こし、光に触れれば発火する。
いわば光で燃える火薬をまき散らす蛾。

隷衣として纏えば上記の姿に変身し、大鎌を武装として手にする。
自身の体の一部を小さな蛾に変換することが可能となり、当然それは鱗粉を散布する。
大鎌は常に赤熱しており、鱗粉に触れれば発火させる。
これによりマモノ単体よりも苛烈な行動をとる事が可能。

【概要】
陰鬱な雰囲気を纏う、所謂クラスのいじめられっ子。
中学校では真面目な性分で大人しい、優等生と呼ばれる存在だったが受験失敗を機に両親と不和を起こす。
同時に高校では虐められるようになり、抱えていた歪みが表出するのに時間はかからなかった。
努力しても幸せになれなかった、だから今度は自分以外を皆不幸にすれば幸せになれる。それが行動原理であり、ほどなくして彼の心はマモノを生んだ。
14 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/12(火)23:36:38 ID:JnI [9/11回]
【名前】入弥 悠/いりや はるか
【年齢】18/高校三年生
【容姿】
赤みのある短髪、幼さの抜けきらない瞳。人懐っこい顔立ち。
非常に小柄で線の細い体つき。動きやすい服装を好むのが更に幼く見える
小学生に混じっても違和感がほとんどない。

『マホウツカイ』
ふわりと髪にボリュームが増して、犬耳じみた飾毛がにょきっと。
ほのかに乗せたチークとシャドウ、顔つきはまるで少女の様。
ショートパンツにファーコート、腕から先、肘から先には爪と毛と肉球が。全体的にもこもこ。
狼の仮面を斜めに付けている。コートの下は裸。

【マホウ/マモノ】
『ウチケモノメン』
獣の力を宿す仮面のマホウ。
撫でることで仮面の形状が変化し、模す動物が変化する。術者はその動物の能力を獲得する。
模す動物は術者が視認した事のある動物に限り、交流が深いほどに獲得する能力が強くなる。

【概要】
地元の高校三年生。幼少からずっとはサッカーを続けていたが、ある日負傷により引退した。
今でも片足をかばうように歩く。だが傷を原因に病む事はなく、何も変わらない表情で過ごしている。
マホウに目覚めてからは人助けを出来ている事に喜びを感じており、負傷前より明るくなったとも。
ただスースーする衣装とメイクには少し困惑している。
15 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/12(火)23:37:27 ID:JnI [10/11回]
キャラシートのサンプルです。
繰り返しになりますが、キャラシートは必須ではありませんのでっ
16 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:19/11/12(火)23:39:02 ID:gAj [1/1回]
ファルシュ様か?
17 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/12(火)23:39:06 ID:JnI [11/11回]
>>13
紫羽稔『隷衣装着』
https://i.imgur.com/IOPivrL.png
>>14
入弥悠
https://i.imgur.com/fLgd8dE.png
『マホウツカイ』
https://i.imgur.com/uNZ4F84.png
18◆</b></b>jrEVrxkL9U<b>[] 投稿日:19/11/13(水)02:48:31 ID:pcU [1/1回]
【名前】長峰 帝人 ながみね ていと
【年齢】14才
【容姿】
艶のない黒々とした短髪。流麗な睫毛が目立つ切れ長の目。
周囲に威嚇するようにいつもしかめ面をしているが、子供らしさはまだまだ抜けておらず威圧感はあまり無い。

『隷衣装着』
目尻辺りに赤色の紋様。髪は鉄が錆びたような赤黒に染まり、背中に届くほどの長さにまでなる。
頭には鈍い光を放つ王冠に似た装飾があり、毒々しい紫色の分厚いロングコートを纏う。
どこか気品のある出で立ちだが、彼自身の荒々しさは変わらない。

【マホウ/マモノ】
《ソリタリオ・エンペラドール》
『蜂』のマモノ達を従わせるマモノツカイ。
身体の自由を奪う麻痺毒と全身に行き渡れば激痛を伴う神経毒の二つを使い分ける小さな蜂。
一匹に刺されても大したことはないが、集団で襲われればあっという間に毒が行き渡る。

隷衣の姿は上記の通りで、蜂の力は大きな槍となって現れる。
柄の両側に細長い円錐状の槍が在り、黄色の筋が走っている方に麻痺毒、紫色の筋が走っている方に神経毒が滲み出ている。
先端から勢いよく毒を噴出することもできるが、噴出した後しばらくは槍から毒がなくなる。

【概要】
中学1年の時、数人の仲間を連れた彼はいじめの主犯格であった。
ターゲット1人を選んで集団で暴行をはたらくなどする毎日であったが、段々とエスカレートしていく彼に誰もついてこなくなり、2年になる頃には退学処分を受け、親にも半ば捨てられるような形となった。
自分に付いてくる者も従う者も何もかもいなくなった苛立ちと寂寥感、そして抱きたくもない罪悪感が彼を苛んだ。
黒き心は更にどす黒く塗りつぶされ、願望を叶えるかのように自らに付き従うマモノを生み出した。


//こんな感じでいいですかね…
19 : ◆</b></b>fc1F/cDk16<b>[sage] 投稿日:19/11/13(水)15:39:52 ID:UQz [1/1回]
>>18
素敵に罪深いキャラですね
大丈夫です、よろしくお願いしますっ
20 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/13(水)15:48:53 ID:1sI [1/2回]
名前欄ミスでしたっ
21◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/13(水)20:43:58 ID:46z [1/3回]
空に飛んで行った風船が少女の手に戻ったり、暴走車がおばあちゃんの直前で止まったり。
小さな軌跡を積み重ねて日常は続く。その奇跡が魔法である事なんて、誰も知らない。

-------------------------------------------

「……ふぅ。」

終業のチャイムが鳴って、夕日が傾きかけたころ。放課後、学生服が街にあふれた時間。
公園のベンチに腰掛ける少年の手足には狼の様な爪と肉球。コスプレにしては季節外れだし、そう片付けるにはリアリティがあり過ぎる。
人狼少年とでも呼べそうな姿、だけど誰も彼に気付いていない様だった。
こんな風にベンチに横になって、大の字になっちゃったりしても気にされない。

なぜなら人は奇跡に気づけない。マホウツカイを認識できない。
それでも彼と親しい人間なら、あるいは同じマホウツカイなら、あるいはその敵であるマモノなら。

//絡み待ちですっ
22◆</b></b>Ks5oftE.Pc<b>[sage] 投稿日:19/11/13(水)21:53:51 ID:ps4 [1/4回]
>>21
「───こんにちは、おにーさん」

寝転がる少年の頭上から、不意にかかる声。まだあどけなさの残った子供らしいもの。
その声の主は、奇怪な格好に身を包んだ少年だ。黒いベストは絢爛な装飾に埋め尽くされ、目元を隠すヴェネチアンマスクじみた仮面の下の表情は悪戯っぽい笑い。
恐らくはベンチの彼よりも若いのだろう。好奇心を隠そうともせず、左肩のマント靡かせながら軽やかな動きで位置を変え、検体を眺める研究者の如くマジマジと不躾な視線を投げつける。


「へー、本当にいるんだ。僕以外にも」

季節外れもいいところのハロウィン仮装。二人を見た人間はそう思うのだろう。そもそもいればの話だが。
その口振りは、この少年もまた奇跡に近しい存在と表すもの。隠し立てするつもりもないし、向こうも隠せないだろうと思っているから、こうして姿を現したのだ。

「『マホウツカイ』、ってのでしょ?おにーさんも。同業者に会うのは初めてだなー」

//まだよろしければ
23◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/13(水)22:24:42 ID:46z [2/3回]
>>22
ぱちくり瞬きして、その仮面の向こうをじっと見つめる。知らない顔だ。
あどけない視線が自分につき刺さるみたい。同じマホウツカイが近くにいるなんて思ってなくて、ファーコートの前を開けっ放し。ちょっと恥ずかしい。

「……すげーカッコ。オレもだけど。」

こぼした照れ隠しの言葉。裸の上にコートを着てるんだからこっちの方がヤバめなんだけど、変身するとこうなるんだから仕方ない。
ボタンを閉めて寝そべっていた体を起こして、目線を合わせる。高校三年生とは思い難い幼い体は、少年にはどう映ってるのか。

「そりゃマホウツカイじゃなかったらこんなカッコしねぇー。
 オマエは結構最近なったんだな。オレ以外にもそこそこ居るぜ。」

溢れてはいないが、遭遇できないほど希少な存在ではない。少なくとも、この街では。

//大丈夫です、よろしくお願いします
24◆</b></b>Ks5oftE.Pc<b>[sage] 投稿日:19/11/13(水)22:41:18 ID:ps4 [2/4回]
>>23
同じく見つめ返す眼は、ガラス玉めいてその姿を写す。
何かを言いたげに結んだ口は、恐らくは少年と同時に開かれる事だろう。

「……恥ずかしーカッコ」

こちらは照れ隠しではなく、若干引いてるのも混ざった純然たる揶揄の言葉だが。
見た目で判断したらしく、向ける視線は一気に生暖かい優しいものへ。気付けるだろうか。


「ん。ここ一ヶ月ぐらいに、ね」

座っていい?と一声かけてから腰掛ける。例え拒絶されても。
はにかんで柔らかく返すのは、緩い肯定の言葉。最近活動を開始したどころか、なったばかりだという。
今まで他のマホウツカイに出くわさなかったのは、運が良いのか違うのか。

「それなりには楽しいね、そこそこ気に入ったよ。君もそのクチなんでしょ?」

それはまるでゲームを楽しんでいるかの様な、ある種無邪気な物言い。
あっけらかんと言う言葉に果たして彼が何を思うのかまでは、思い至らなかったらしい。
25◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/13(水)22:56:02 ID:1sI [2/2回]
>>24
「オマエもだからな。変な目で見んなって……」

向けられた視線がどういう意味かはわからなくとも、それが良い意味じゃないぐらいはわかる。
恥ずかしいのはお互い様、と主張するにはちょっと無理があるけれど。
隣に座る少年に頷く事はなかったが、しかし拒否することもなく。ただじっと抗議の視線を送っていた。

「……まあ、そりゃ楽しんでるけど。」

少年の言う楽しいと自分の楽しいは何故か別物な気がする。

「だってさ、子供の時憧れたヒーローみたいじゃん。
誰かに誉められるわけじゃないけど、そっと誰かの為になるって。」

こっそり誰かのためになって、それに満足する。それが自分の楽しいだけど、少年にとってもそうだろうか。
少年の表情を見てみる。出来れば、同意の言葉を期待して。
26◆</b></b>Ks5oftE.Pc<b>[sage] 投稿日:19/11/13(水)23:10:50 ID:ps4 [3/4回]
>>25
「……いやいやいや、」
「僕は、まーほら、カワイイしカッコよさもあるじゃん。けど君のそれは……ねぇ?いくつか知らないけど、流石にそれは……」

まさか言われると思っていなかったらしい。同じと言われれば納得がいかないのか、少しの間をおいてから抗議の声を張り上げた。
無礼にも、わざわざ指差してどうかと思う点を一つ一つ挙げていく始末。余程の自信家か、ただの無礼者か。きっと答えは両方。


「……誰かの、為に?」

キョトンとして鸚鵡返し。やがて堪え切れなくなったのか、プッと噴き出して少年は笑う。
完全なる嘲りともまた違う、まるで子供の間違った答えを聞いた大人の様な、そんな笑い。

「───いやゴメンゴメン、バカにしてるわけじゃないよ?本当に。 ゴメン、ちょっとはバカにしちゃったかも。
 そんなのよりももっと、根本的に楽しいじゃない。何かよく分からないけど変な力を持って、思うがままにやる。これぞ人生だよ」

少しの間笑い続けて落ち着けば、返すのは目の前の彼のそれとは全然違うもの。
その違いは火を見るよりも明らか。この少年は、力そのものを楽しんでいる。結果よりも、その過程たる能力を。

「まー、イヤな人を気軽に懲らしめれなかったり、誰からも見てもらえないのは残念だけどね。
 ……人助けか……今時いるんだ……、クク……」
27◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/13(水)23:36:36 ID:46z [3/3回]
>>26

「……オレだって爪とかあるし。強いし。」

話題の軸をずらして反論してしまう時点で負けているようなものだけど。
そもそも自分の恰好がおかしい自覚もあるのか、少し頬が赤い。
抗議の視線もいつしか逸れて、足元をいじけるように眺めていた。

さてその言葉を言った彼は大まじめである。本気でそれが喜びだと思っている。
期待した、と言う事は疑ったと言う事でもある。少年は違うのかと。
残念ながらその通りだったみたいで、答えは笑い声として帰ってきた。

「じゃあ、オマエは何してるんだよ。」

こうも言い切られてしまえば間違っているのは自分の様な気もして、言い返す声にも自信がない。

「思うままにって言われても、別に思いつかねぇし。」

寧ろ思うままにした結果が今の彼なのだ。価値観が違いすぎるのかもしれない。
28◆</b></b>Ks5oftE.Pc<b>[sage] 投稿日:19/11/13(水)23:54:33 ID:ps4 [4/4回]
>>27
対する少年の気持ちなど知ってか知らずか、鈴を転がすような笑いは暫しの間続くだろう。
やがて「あーあ、」と深い呼吸で無理矢理終えれば、まだ持ち上がった口角のまま向き直る。

「それはまぁ、これから考えるところかな。だって魔法だよ?魔法。
 やろうと思えば、色んな事が出来るはずじゃない。それこそムカつく人をブッ飛ばすとか、お金を山程手に入れるとか」

虚空を見上げ、まるで夢でも語るかの様に明るく。つらつらと。
欲望の形が自分に向いているこの少年からすれば、少なくとも他人を好き好んで助けるというのは選択肢には入らないらしい。
珍獣でも見たかの様に一度目を見開けば、思い出し笑いを必死に?み殺す。


「……ま、そのどっちも別に興味無いけど。今のところは。
 さて、何をしようか。楽しめそうな事なら何でも、とか?」
「しかし、本当に変わってるね。思うがままやってそれって事は、別に誰かに脅されたり、目的があってやってるんじゃないんでしょ?」

真っ当な善の心を持ち合わせているとは言い難い言葉。善行とは何かを叶える為の手段に過ぎないと思っているのだ。
不敵に笑ってから改めて向けるのは好奇心。子供が昆虫に向けるかの様な、一歩間違えば危険な分類の。
ズイッと顔を近づけて少年の顔を、装いを、上から下まで舐め回すかの様に見つめれば、ニヤリと口元を歪ませた。

「……ウン、面白そうだ。少しは。 君、名前は?あぁ、こういうのってマホウツカイの時の名前とかあるんだっけ。“スター☆パラディン”みたいに」
29◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/14(木)00:20:35 ID:m6H [1/4回]
>>28
その口から鈴の音の様にあふれる言葉は、同じマホウツカイの言葉とは思えなくって。
今まで出会ってきたマホウツカイは、ちょっと癖があったって最後はイイ奴だと思えた。でもこの少年は。
つかみどころがない、なんていうのだろうか。思うままにすればいいと言うけれど、結局その思うままが分からない。
鼻先が触れるかと錯覚する位置で、その口角が歪む。なんだか、食べられそうだなんて思った。

「別に欲しいものも大してねぇし、ぶっ飛ばしても気分ワリィし。
 これが一番気持ちいいんだよ。お前こそ、結局何が楽しいんだって。」

自分の何が面白そうなのかはわからないが、からかわれていることは分かる。ちょっと癪。
相手は明らかに自分より幼いのに、手玉に取られている気がする。

「……教えねー
 オレの名前はもっとカッコいいとこでいうし、名前聞くなら名乗れって。」

肉球で少年の額を押して、その顔をどうにか遠ざけようと。
30◆</b></b>Ks5oftE.Pc<b>[sage] 投稿日:19/11/14(木)00:41:05 ID:Ikb [1/1回]
>>29
「へぇ……。本当に、変わってる」

最後にクスリと笑うのは、からかい半分。押しのけられれば、イテテとわざとらしく呻きながらも離れるが。
シャツの襟を正し、ピンと指を一本立てる。意識を向けさせるために。

「僕はね、人の欲ってヤツは嫌いじゃないんだ。金が欲しいとか、いい女をモノにしたいとか、力を振り回したいとか。
 それを見るのも、自分で溺れてみるのも楽しいし、面白い」

まるで見透かしてきたかの様に、肩を竦めて言う言葉は酷く達観したようなもの。
───視線を逸らして続けた言葉は、妙に力が入っていたけれども。
その事に自分でも気付いたのか、取り繕うように「あ、」と短く息を漏らせば、全く悪びれた様子も無く口を開く。

「誤解しないで欲しいけど、君のそれも別に悪いとは思ってないよ。素晴らしい事じゃないか、人助けが好きなんて。
 本音を言えば変わってるし変なヤツだと思うけど、それはそれさ。だから面白そうなんだ」


「ふーん……、カッコいいタイミング、ね……」
「……え?僕? ………もっとこう、別のタイミングで言うよ」

名乗らないと言われれば、そこで初めて残念そうに。それも極々僅かなものだけれど。
根掘り葉掘り聞くつもりは無いのか、素直に納得した態度──ついでに聞き返されるとは思っていなかった様子──を見せれば、少年は立ち上がる。
日の沈みつつある空を見上げて少し考え、誤魔化す事に決めたらしいが。どうやら自分で振っておいて考えていなかったらしい。
夕焼けに帽子の羽根細工を揺らめかせ、いずれ少年は立ち去り、人の波の中へ消えていくだろう。

「いやー、イイもの見れた。じゃ、僕は行くよ。じゃーね。 出来れば、次会う時まででもいいからそのままでいてね、その方が面白そうだから」


//こちらからはこれで〆という事で
//ロールありがとうございましたっ
31 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/14(木)01:06:57 ID:m6H [2/4回]
>>30
おかしな白昼夢でも見てしまったような、そんな気分。
同じ人間で、同じマホウツカイなのに違いすぎる。ちょっとしかカルチャーショック。

「皮肉だろ、ソレ。」

素晴らしいも面白いも馬鹿にされてるとしか感じられない。
じゃあねと言って立ち去る少年の後姿を、そんな愚痴をこぼしながら見送って。
もう一度ベンチに転がる。大の字。なんだか疲れてため息、呆けて、空を眺めた。

「……まあ、いっか。」

でも、悪い出会いじゃなかったのかもしれない。少なくとも、人を傷つける事にためらいがない訳じゃなくって。
そして自分も、思うままがこうだって分かったんだし。……確かに、変だなとは思い直したけど。

気づけば太陽は沈んで夜。マホウの力か寒さは感じないが、それはそれとして風邪を引きそうな格好で。
帰ろう。今日の夕飯は、確か昨日作ったカレーが残っているし、なんて考えて―――

//ありがとうございました!楽しかったですっ
32◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/14(木)09:54:34 ID:pC5 [1/1回]
参加希望です、よろしくお願いします!

【名前】赤栩 一颯(あかとちいぶき)
【年齢】11歳
【容姿】
垂れ目がちな紅玉の瞳。くすんだベージュの直毛の顎の下まで伸ばし、中性的な柔らかさを持つ。
同年代と比べても背は低い。色白で線が細く、全体的に華奢な印象を与える。

『マホウツカイ』
縁を白いレースで飾る真っ赤なケープを羽織り、赤いリボンで結った前に流すおさげにフードを被る。
ワンピースは白を基調とし、紺色のコルセットを赤の編み上げで締める。
フリルがたっぷりのスカートに花が刺繍された赤い布を重ね、下には純白のドロワーズ。臙脂色の編み上げブーツを履く。

【マホウ/マモノ】
『砕断のロートケプヒェン』
ある童話の主人公を模したマホウ。
二本一対の片手剣に分離できる巨大な鋏と、半自動小銃を手元に召喚する。
また片手で発砲できる程度の膂力、人並み以上の体力を獲得する。

【概要】
生まれつき体が弱く、学校には通わず病院生活を続けている少年。
マホウに目覚めてからは、変身中は普通以上に動ける事に強い喜びを覚えている。
同時に自分が救われたこの力を誰かを助けるために与えられた物だと考えており、人助けには積極的。
33 : ◆</b></b>9pJkcQeq3ibk<b>[] 投稿日:19/11/14(木)14:22:27 ID:ORA [1/1回]
【名前】飛騨 カゲリ
【年齢】19/大学2年生
【容姿】
茶髪の天パ。平均より少し大柄。
モヤシではないが過度に筋肉質というわけでもない。
革ジャンにジーンズといったラフな服装を好む。
「マホウツカイ」
黒に金糸で複雑な紋様が刺繍された、中華風のゆったりとした服装。余った袖に後述の武器を多数隠し持つ。
【マホウ/マモノ】
「カクシブキ」
暗器を生み出し扱うマホウ。
分銅つき鎖、鉤爪つきワイヤー、ナイフ、針、小型拳銃などの多彩な武器を使用し、更に手に取った物を暗器へと変化させる事も可能(杖を仕込み杖へ、といったように原型は残る)
火力に劣るため、機動力と手数、ワイヤー等を使った即席のトラップ、不意討ちが主戦力となる。

【概要】
市内の大学へ通う大学生。
数ヵ月前突如失踪した恋人を探すうちに魔法少年の存在へたどり着き、自身もまた身を落とした。
今も彼女を探しているが、一般的な魔法少年としての年齢的リミットが近いため、焦りを覚えている。

審査お願いします
そして因縁のキャラ募集中です
34 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/14(木)17:30:13 ID:m6H [3/4回]
>>32>>33
大丈夫ですっ、よろしくお願いします!
35◆</b></b>6dRhSVSJ1YNg<b>[] 投稿日:19/11/14(木)21:56:28 ID:WQT [1/1回]
こういう設定がありかどうか……

【名前】
カトル
【年齢】
(意志を持った年から数えて)14歳
【容姿】
深緑色のミディアムヘア、濃い赤色の瞳、色白の肌。
背丈は150㎝弱と小柄、四六時中眠たげな顔つき。
マホウを使う際はゆったりとした白いローブ型の衣装を羽織るが、『変身』というには些か地味な変化。
【マホウ/マモノ】
《マジカルテーラー》
何処までも伸びる非常に丈夫な糸と、雨風にも火にも陽の光にも負けない不思議な生地。
念動力に近い力でそれらを自在に操る。
【概要】
街外れに構えた小さな木造の家で仕立て屋を営む、カトルと名乗る少年。
4年前に同じ稼業を営んでいた祖母が亡くなって以来、彼女の跡を継いでひっそりと暮らしている。
手先は器用だが、如何せん子供である事と接客慣れしていない事が相まっていまいち繁盛はしていない。
その正体は、奇跡によって人としての意志を得た『人形』。
20年以上の昔、ゴミ捨て場に捨てられていた所を見つけた祖母が、雨風に晒されボロボロになっていた彼を見て可哀そうだと家に持って帰ったのが始まり。
脆い箇所を補強し、新しい服を縫って着せ、『カトル』と名付けられてまるで実の孫に愛情を注ぐかのように大切に守られた彼は、やがて、神の悪戯かきまぐれか奇跡によって『少年』としての意志を持つに至った。
変身やマホウが比較的地味なのは実のところ、常に体中に薄く巡らせたマホウで、球体の関節やガラス玉の瞳をカモフラージュしている為、通常時と変身時で大差が生まれない為である。
祖母の深い愛情に触れて意志を得た少年人形は、人を守る為に自らを危険に晒す事も厭わない。
【画像(Picrewで制作)】
https://i.imgur.com/7zrZogc.png
【IBGM】
https://youtu.be/HEf7p_7MjkM
36◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/14(木)22:36:31 ID:m6H [4/4回]

『なら、貴方にも原因があるとは考えなかったの?』

クラスメイトに罵倒されると、先生に相談してみたときの返事はこうだった。

『お前が悪いんだろ。キモイから。』

自分がいつもへらへら笑っているのが悪いのかと思って、やめてくれと言った。
そうしたらこう返ってきた。その日から、罵声に拳がついてくるようになった。

『仕方ないのよ。稔は優しい子だから。』

母親にすら、そう言われた。何がしかたないのだろう。

----------------------------------------

放課後、校門を抜ける生徒たち。誰もが開放感を讃えて、自由な時間に何をするかなんて、笑って話していた。
ひときわ大きい声の、金髪の生徒の集まりが目立っていた。周囲の生徒はそっと彼らと距離を取っている、誰もが一目でわかる不良だろうか。
そこにひらり、白黒の蝶々が飛んでいた。はらり、羽からきらめく何かをまき散らして。
それが一人の、金髪の生徒に触れる。燃え上がる。火達磨が暴れ出して、談笑は全て悲鳴に代わる。

「―――大げさ。もっと痛い事してきたくせに。」

その声の主は、フレアスカートをはためかせて、校門の上に腰掛けていた。
コルセットドレスの隙間からのぞく肌は白く、艶やかな流し目で火だるまを見つめていた。
はぁとため息。腿に挟んだ大鎌が、まるで死神みたいに首をもたげる。
マホウツカイともう一つの軌跡。マモノツカイがそこに居た。

>>35
素敵な設定だと思います
大丈夫ですよー!
37◆</b></b>6dRhSVSJ1YNg<b>[] 投稿日:19/11/15(金)14:48:43 ID:2Q6 [1/4回]
>>36
査定ありがとうございますー。
『魔法使いの嫁』みたいな、非現実な世界観で繰り広げられる人間の心の物語みたいなのが好きなので、そういう方向でも動いていければ良いなと思って作ってみました。
今後よろしくお願いします。
38 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/15(金)16:15:38 ID:Kem [1/1回]
本日は23時頃になりますが絡み待ちを投下します。どなたかよければっ
勿論絡み待ちを投下してロールしていただいても嬉しいですー

>>37
せっかくの題材ですし、心の揺れ動きを描けるように展開頑張ります
これからよろしくお願いしますねー
39◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/15(金)18:52:12 ID:cva [1/1回]
ビビッドピンクに塗りたくられた、謎のファンシーな掲示板。
足には重石の代わりに靴が。動きでもするのかと言えばその通り、この掲示板は動くのだ。
奇跡の使い手にのみ見えるマホウの移動掲示板。マホウツカイの情報共有のために使われるものだ。
その中央、一際目立つ張り紙が一枚。

『初めまして、マホウツカイとなった君
紅茶とケーキを用意して待っているよ
──────────君の先輩、お茶会のマホウツカイより』

待っていると、示された場所はとっくの昔に閉店したはずの喫茶店。
外観の煉瓦には蔦が這い、入り口のドアも寂れている。ドアノブを握ればぎしりと不安な音がする。
けれど、握った手がマホウツカイのものであるならば。
ドアに彫刻されていた猫がにゃあと鳴いて扉が開く。その向こうは、まるでファンタジー。
色とりどりの植物の真ん中に、キャラメル色の丸いテーブル。そこに紅茶とケーキを運ぶのは、しましま猫耳のメイドたち。

「─────いらっしゃい。」

にっこりと笑って客人を迎えるのはお茶会の主。白いタキシードとシルクハット。物静かな振る舞いながら笑顔は温かく、少年と呼ぶよりは青年とでも呼べそうな。

「用意は済んであるよ。ほら、座って。」

//予定がなくなったので絡み待ちを置いておきます。どなたかよければっ
//複数、あるいは乱入も大丈夫ですのでー。
40カトル◆</b></b>6dRhSVSJ1YNg<b>[] 投稿日:19/11/15(金)21:13:31 ID:2Q6 [2/4回]
>>39

昔からサイズが変わらないものだから、もうすっかり履き古した革靴は、それでも一歩を踏み出せば鈍くカツリと音をたてた。
眠たげに垂れた視線が、ぼやりと不思議な喫茶店を見回し揺れる。

「……招待状も、綺麗な服も、持ってきていません」

入口近くに佇んだまま、いまいち心細そうにようやく絞り出した言葉は何処か申し訳なさそうで。
どうやら、周りの華やかさに比べると些か地味な自分の格好を気にしているらしい。

「タキシードくらいは……仕立ててくるべきだったでしょうか」
41 : ◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/15(金)21:21:17 ID:6LY [1/2回]
>>39
蝶番が軋む音。風が抜けて、甘い果実の芳香を外から運ぶ。
不安と期待の綯交ぜになった胸に手を添えて、小さな一歩を踏み入れたマホウツカイ。
赤い頭巾からおさげを零した装いは、まるで現実という異世界から、本来いるべき幻想の場所に帰ってきたかのよう。

「あの……お邪魔します」

服装のせいか、性差に乏しく少女と見紛う顔立ち。まだ声変わりを知らないボーイソプラノ。
ほんの少しの緊張を動作の節々に纏って、おじおじと頭を下げた。

「ええと、これ、お土産に……」

差し出すのはバスケット。赤い花弁のドライポプリを敷き詰め、その上にはいくつかの焼き菓子。
御伽噺に迷い込んだと錯覚してしまいそうな内観を興味深そうに見渡しながら、遠慮がちに椅子に腰かけた。
42 : カゲリ ◆</b></b>9pJkcQeq3ibk<b>[] 投稿日:19/11/15(金)21:33:54 ID:oCm [1/3回]
>>39

「ここか」

先に入った少年の後を追うように、音を立てて扉を開く。
彼らの目に入るであろう姿は革ジャンにジーンズといったラフな格好、そして少し焼けた肌。
おそらくメイド喫茶よりバーか居酒屋の方が似合う。
少なくとも外見だけなら青年へと既に半歩踏み込んでいる、それもこの一席の主とはかなり住む世界が違うタイプのそれへ。

「……えー、と。ここで間違ってない、よな?」

怪訝な目で、ファンシーな装飾を見渡す。
口元には苦笑い。「マジかよ」と今にも言いたげにぴくぴくしている……。
43 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/15(金)22:01:59 ID:rLA [1/1回]
>>40
>>41
>>42
//すいません、ただいま確認しました……
//返信させていただきますので少々お待ちください
44◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/15(金)22:32:36 ID:2s6 [1/3回]
3人のマホウツカイのために、メイドが椅子を引いて微笑む。
砂糖とバターのにおいに混じる林檎の香り。テーブルに並ぶのは数々のケーキとアップルティー。
全て彼らのために用意されたもの。思いのままに、手に取ってしまえばいい。

>>40

「心づかいが嬉しいけれど、君はそのままが一番きれいだよ。」

遠慮がちな所作と言葉にほほえましさを感じたのか、溢すように笑みを浮かべて。

「お茶もお菓子も猫も兎も、今日ここは君の為に在る。
 力を抜いて。そのままじゃ関節も軋んでしまいそうだ。」

そうして細い彼の指が、席へ着くように促すだろう。

>>41

「お土産かい、嬉しいなぁ!」

メイドの一人がバスケットを受け取り、テーブルへ。

「……すごいな。君が作ったのかい?
 これがマホウみたいじゃないか。」

そして運ばれたバスケットをまじまじと眺めて、焼き菓子を一つ口に。

「───っと、これは……お茶会の主として負けられないな。」

>>42

「いらっしゃい。
 その年のマホウツカイはなかなか珍しいね。」

19とも言えばほとんど青年である。確かに、飛び出した絵本のような空間は少し彼には似合わないかもしれない。

「遠慮しなくたっていい。今日のお茶会は君の為でもあるんだから。
 楽しんで欲しいな。その衣装を着るのと同じぐらいね。」

>>ALL

「さて、お茶とお菓子は行き渡ったかな。
 それじゃ本題に入ろうか。あ、大した話じゃないから力は抜いてね。」

3人が着席したのを確認すれば彼も席に着き、語り出す。

「先輩として伝えておこうと思うんだ。
 ───マホウツカイの、その使命について。」
45 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/15(金)22:33:04 ID:2s6 [2/3回]
//お待たせしました
//順番などは気にせず、また他PL様どうしても展開していただいて大丈夫ですっ
46カトル◆</b></b>6dRhSVSJ1YNg<b>[] 投稿日:19/11/15(金)22:47:35 ID:2Q6 [3/4回]
>>44

「あ」

いつの間にやら増えていた人影、視線。
球体の指関節を慌てて隠し、薄く力を纏わせれば、もう人の皮膚と変わらない。
他のお客達に見られたかどうかは分からないが、椅子を示されればいそいそとそちらへ。

「ありがとうございます……」

にこやかに椅子をひいた猫耳の彼女達にやはり几帳面に頭を下げ、腰を下ろして小さく息を吐く。
お店は今日は閉めて来たので大丈夫、最も、普段からお客は少ないけれど。
忙しなく揺れる視線は、自分と時を同じくしてそこを訪れた二人のマホウツカイの間を行き来している。

「……」

何か話題を提供しようかと口を開けて、しかし話題は見つからず、すぐに口を閉じてしまう。
取り合えず今は部屋の主の言葉に耳を傾けるべきだろうと、自らの口下手に心中で言い訳をしながら。
47 : カゲリ ◆</b></b>9pJkcQeq3ibk<b>[] 投稿日:19/11/15(金)22:53:41 ID:oCm [2/3回]
>>40 >>41 >>44

「マジかよ……」

顔色変えず気障なセリフを言ってのける彼と、卓を囲むことになる2人を眺める。
魔法少年が集うこの場では当たり前だが、子供にしか見えない二人。そこに並ぶことを考えると、ばつが悪い。
そういうもの、とは知ってはいてもなじめるかどうかは話が別だ。

「楽しむ、ね」

微妙な表情のまま、進められた椅子へと座る。
彼が今日この場に足を運んだのは、、おしゃべりが目的というわけではない。
数か月前突如姿を消した恋人を追う手がかり────魔法少年という奇天烈な世界の先駆者であると名乗る彼なら、それを持っているかもしれない。
それを確かめるためなら、少なからず居心地の悪かろう場所であっても構わない。
とはいえ、年齢の賜物か、自分の要件を無理やり押し通すような真似はせず、主の言葉を待つ。
48◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/15(金)23:04:23 ID:6LY [2/2回]
>>44
「いえ、貰い物なんですけど一人じゃ食べきれないので……」

ゆるりと首を振って苦笑い。惰性的な見舞いの品だったが、こんな所で役立つ時が来るとは夢にも思わなかった。
肩を強張らせたまま浅く座り、緊張を少しでも解そうとティーカップに手を伸ばす。
ふうふう息を吹きかけて一口、鼻腔と味蕾を喜ばせる林檎の風味に頬を緩めた。

「使命、ですか。ボクは本当に最近……半年も経ってないので、是非聞きたいですけど……」
「皆さんはマホウツカイになって長いんですか?」

元より変身した状態でなければ、一人で外を出歩く事すら難しい身体。
誰かとテーブルを囲む事だって慣れないものだから、落ち着かなさげに集まった面々を見やり。
自分も見られている事に気がつけば、気恥ずかしそうに目を逸らす。
それを隠すための全体への問いであったが他が出方を伺っている以上、空気が読めていない感じは否めなかった。
49◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/15(金)23:24:10 ID:2s6 [3/3回]
>>46

「無理して話さなくたっていいさ。
 君が一番楽なようにして欲しいな。」

その心情を表情から読み取ったのだろうか。
居心地悪く視線が動いているのなら、メイドが彼にケーキを一つ切り分けて。
口の中にお菓子があれば、少しは落ち着くはずだから。

>>47

「ぴりぴりしてるね。力を抜いてほしいんだけど……」

うーんと指を顎に当てて

「君の場合は早く本題に入ってしまった方が良いんだろうね。
 大丈夫。多分、君の目的は叶えられるから。それまでお茶会を楽しんでよ。」

>>48
「あらら、でもお兄さん安心だよ。
 ……や、市販品にこそやっぱり負けてられないから変わらないかも。」

たはー、とでも言いたげに頭に手を当てて。ひどくわざとらしいポーズ。

「ここ最近でマホウツカイの数がすごく増えてるんだ。
 だから、みんな長くはないんじゃないかな。先輩の僕は結構長いんだけど。」

>>all

談笑を続けるのなら、このままそれを続けてしまいたかったけれど。
本題を待つ彼が居る。話題が少し落ち着いたころに、また切り出した。

「それで、だね。知ってる人もいるかもしれないけど、マモノツカイって言うのが居るんだ。
 僕らの良い心がマホウを生むなら、悪い心はマモノを生む。マモノを生み出してしまったのがマモノツカイ。
 まあ、悪いマホウツカイと思えばいいかな。」

マモノツカイ。概要は彼が語った通り。
私利私欲私怨のためにマモノを生み出す、悪しき心の持ち主たち。

「───僕らの使命は、可哀そうなマモノツカイを消してあげる事。
 危険はもちろん、だから代わりに僕らには魔法と、もう一つの報酬が授けられる。」

それはそのまま、言葉の通りに。

「成し遂げたマホウツカイは"願いが叶う"んだ。なんでも、ね。」

片目を閉じて、ウィンク。
50カトル◆</b></b>6dRhSVSJ1YNg<b>[] 投稿日:19/11/15(金)23:41:44 ID:2Q6 [4/4回]
>>49

切り分けられたケーキを口に運び、ゆっくりと味わう。
甘味は心を落ち着けると言うが、元人形の彼にとっても同じ事だった。

「長いかというと、長いかもしれませんが……戦いの経験は少ないというか……」

マホウがこの身に宿ったのは14年も昔の事だ、だが、あくまでも宿ったのが14年前というだけで。
4年前までは祖母と共に暮らしていたというだけ、戦いはほぼ素人に近い。
ただマホウを覚えたのはやはり昔の事で……故に、返す言葉は酷く曖昧。

「……消す、ですか、なんだか怖い言い方ですね……助けられるなら助けたいです……。
 でも、願い事か……」

願いが本当に何でも叶うというのなら。
叶えたい願いは確かにある。

「(本物の人間に……なれるかな……)」
51 : カゲリ ◆</b></b>9pJkcQeq3ibk<b>[] 投稿日:19/11/15(金)23:47:41 ID:oCm [3/3回]
>>48

「多分そっちよりキャリア浅いよ。2か月ぐらいだ」

問いかける彼の方へ顔を向けることもなく、答える。
それはそのまま、最初の糸口をつかんだはいいがそこから2か月間ろくに成果が出せていないという事を意味する。
一人自身へ向けてフラストレーションを募らせ、眉間にしわを寄せていく。

>>49

「そうしてくれ」
「いるらしいな、そういうの」

魔法少年の噂にたどり着いた時点で、ある程度の「マモノツカイ」に関しての話も聞いていた。
手がかりを探していく中で戦闘をしたこともないわけではないが、都市伝説として流れている物以上の知識は持っていなかった。
退屈な授業をそうするように、話半分に聞き流すつもりでいた。
報酬の話を聞くまでは。

「っ!?」

魔法少年になる前までは、与太話として一笑に付していただろう。
だがしかし、彼は真実を探る中魔法少年という奇妙な現象にたどり着き、自身もそうなった。
彼女がいなくなってから、すでに数か月が経過している。無事であるといった可能性は、内心捨てていた。
だが、彼の話が真実ならば。


「…………何人、やればいい」

暫くの沈黙の後。
ただ短く、呟くように。
52 : ◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/16(土)00:01:51 ID:X3v [1/5回]
>>49-51
「へえ、皆さんバラバラの時期なんですね。一番年下なのはボクみたいですけど……」

紅茶を含んで多少は気が抜けたのか、今度は苦笑と共にケーキを口に運ぶ。
咀嚼しながら黙って話を聞く真紅の瞳は、最初こそ好奇に瞬いてじっと彼を見つめていたが。
報酬の言及、即ち為すべき責務の話になるにつれ、赤らんでいた頬の色が失せていくようであった。

「――え……そんなの、それじゃあ……」

マモノツカイの存在は知っていた。目の当たりにした事だってゼロではない。
消す。その意味が理解できない程に幼稚ではなかった。
そしてそれをはいそうですかと容認できる程、非情にもなりきれていない。

「……他に方法はないんですか?そんな酷い事をしなくたって、話し合いでも……」

微かに震える言葉尻。願いがないとは言えないけれど、他の誰かを踏み躙ってまで叶えたいとは思わない。
それを人は甘さと呼ぶのだろうけれど。彼にとっては、マモノツカイであろうと救うべき対象であり得るのだ。
53◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/16(土)00:14:04 ID:upW [1/5回]
>>50>>51>>52

「助けられるなら、それが一番いいさ。でも―――」

消すと言うのなら、その言葉はそれ以上の意味を持たない。
消し去る。消滅させる。少なくとも、そこに命の保証はない。
そこに呟かれる言葉。一人、ただ一人だけためらいが消えていた。

「話、続けよっか。皆のこれ、どこにあるかな?」

そう言って彼が示すのは、自身の右耳に揺れる、純白の宝石が嵌められたピアス。
彼らのドレスのどこかにアクセサリとして、或いはポケットにポンと入ってるのかもしれない。
サイズも形状もバラバラでも、必ずあるはずだ。彼のものと同じ、宝石が。

「マホウツカイとして活動を続けてると、ここに"心の力"───有体に言えば魔力が溜まるんだ。
 そしてだんだん輝きを増して……それが最高になったら、願いが叶う。」

善行を積む、人々を守る。それだけでもそこに力は溜まっていく。

「別に、道は一つじゃないんだ。
 ……このままだと、願いをかなえる前に輝きを失いそうだ。」

マホウとは心の力、良き心が生む奇跡。ならば心が、汚れてしまったならマホウツカイではいられない。
けれど、最初に言いかけたでもに続く言葉は。相関願えれば
結局一番はマモノツカイを倒す事。それが近道で、或いはそれ以外にないかもしれないと、彼の態度から伝わってしまうかもしれない。

「……つまんない話をしちゃったね。これからは楽しい話をしよう。
 それとも、まだ気になる事があれば質問して欲しいな。先輩だからね。」
54 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:19/11/16(土)00:20:14 ID:KyQ [1/3回]
てす
55カトル◆</b></b>6dRhSVSJ1YNg<b>[] 投稿日:19/11/16(土)00:31:02 ID:Gmc [1/2回]
>>53

「あ、これ、そういう物だったんですね……」

衣服の左胸にいつの間にか縫い付けられていた宝石が、彼が示すそれと同じ物であると気が付いて、そっと手を当てる。
なんとなく手放してはいけない様な、そんな気がしていたのだ。

「僕は……出来れば、命は奪わない形を選びたいです。
 人の命を奪って……それで叶う願い事なんて、嫌なので……」

小さな声で呟いて、口を紅茶で潤す。
どうやらそれなりに緊張しているらしいと、息を吐いて。

「……『先輩』も、戦っているんですよね……その……命を奪った事も……」
56 : カゲリ ◆</b></b>9pJkcQeq3ibk<b>[] 投稿日:19/11/16(土)00:37:10 ID:q4A [1/2回]
>>53

「あぁ、あれか」

魔法少年になって間もないころ、つけた覚えがなく、変身を解くといつの間にか消えているペンダントを不思議がっていたことを彼の言葉によって思い出す。
「マホウツカイ」としての姿でないため、具現化されてはいないが一人納得して。

「それがどのくらいやればいいのか、って言うの聞いていい?先輩っていうなら、願い叶えた人1人ぐらい、知ってるよね?」

願いが叶うまで続ける気ではいるが、明確なゴールがあるなら知っておきたい。
その答えを聞いたら、続けてスマートフォンの画面に1枚の写真を映し出す。
年齢としてはカゲリと同じぐらいだが、雰囲気はどこかぽんやりとした少女が、画面の中ではにかんでいる。

「あ、あと一応聞いとく。海野ヒノネ、って女、知らないか。数か月前、『魔法少年』絡みでいなくなった……らしい」

//問いかけに関しては、知らないなりぼかすなりしていただいても大丈夫です
57◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/16(土)00:43:46 ID:X3v [2/5回]
>>53-55
無意識に手が伸びた。縋る物を求めた指が、胸元でケープを留めるルビーの輝きを握りしめる。
言葉を濁された理由は嫌でも分かる。それが到底納得のいかない事ともまた。
悪であろうと、危険な存在であろうと。やはり今はまだどうしたって、他者の命と己の願いを天秤にはかけられなかった。

「……駄目ですよ、そんなの。それじゃあ、マモノツカイの人は助からないじゃないですか」

だからこうしてか細い声で、砂糖菓子よりも脆い幻想を信じて謳っていられるのだ。
目を伏せる。睫毛が震えて、病院に腐る程転がっているはずの死への嫌忌を示す。
返答を求めていない呟き、首を擡げようとした葛藤を押し殺すように軽く首を横に振った。
それからカゲリが見せた写真に視線を移せば、頤に指を当ててしばし唸って考え込む仕草。

「ううん……ごめんなさい、ボクは覚えがないですね」
「そういえば、どうしてマホウツカイって男の人ばかりなんでしょう?しかもその……こういう格好なんてさせられますし……」

心底申し訳なさそうに眉尻を下げ、次いで本当に些細な疑問を思うがままに口から零す。
女の子の、それも童話めいた様相を恥じるようにはにかんだが。そこに先までの重い話題から逃げようとしている意図があるのは明らかだった。
58◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/16(土)00:57:04 ID:upW [2/5回]
>>55

「……楽しい話をしたいんだけど、そうもいかないかぁ。」

話の内容がないようなのだからすぐに切り替えられるはずもない。
ため息。うなだれたシルクハットを正して、

「きっとできるよ。君がそう望むなら。
 僕らにはマホウがある。奇跡が起こせる。だから、それぐらいの事はやっちゃわないとね。」

きっと、なんて言葉を使ってしまうのは。それがどれだけ険しい道かを示してしまっていて。
奇跡を起こす程に黒く染まった心が、そう簡単に救えるはずもなく

「だから、君は僕とは違ってうまくできるさ」

それが、質問に対する答えだった。

>>56

「わからない、って言うと怒らせちゃうかな。
 でも本当にわからないんだ。僕らが縋るマホウは曖昧で無茶苦茶すぎるんだ。」

マホウとはすなわち心の力。ただでさえ曖昧なものから生まれる、さらに無茶苦茶な力。
実のところ何もわかっちゃいないんだ。良いも悪いも何もかも。

「その女の子も……頼りにならない先輩でごめんね。」

眉を伏せて首を振る。先輩と自称したって結局同じ存在にしか過ぎないのかもしれない。
───黙っているだけかもしれない。お茶会の主は、とくに彼に対しては慎重で。

>>57

「………」

返す言葉はなく。少年はこの中でも一際幼くって、その葛藤をぬぐってやれる言葉なんてなくて。

「いいじゃないか。とっても似合ってるよ。」

だからその、逃げるための言葉には誰よりも早く食いついた。

「男の子しか見たことないね。キレイな男の子ばかりで僕はうれしいんだけどね。」

なんて、少し危なっかしい事を口ずさみながら。

「ドレスは心が形になったもの、なんて誰かが言ってたよ。
 だから僕らの心がきれいなんだから、僕たちはきれいだ。

 ……ほんと、もう少し年が近かったらなぁ。」
59カトル◆</b></b>6dRhSVSJ1YNg<b>[] 投稿日:19/11/16(土)01:12:12 ID:Gmc [2/2回]
>>58

その返答は、薄々予想出来ていたから。
静かに目を閉じて両手を合わせる、祈る様に、願う様に。

「……僕は、人が好きなんです。
 誰だって汚れるのが好きで汚れる訳じゃ無い……助けられる限りは、手を伸ばしたいです」

祖母だって、きっと自分が誰かの命を奪ってしまう様な事は願ってはいないだろうから。
紅茶を飲み干して立ち上がり、真っ直ぐな礼をして。

「頑張ります、皆さんも頑張って……ください。
 ……お先に、失礼します」

足を向ける先は出口。
丈の長いローブは一歩毎に小さく揺れる。

//すいません、眠気が限界なので、私は一足先に失礼します……!
60 : カゲリ ◆</b></b>9pJkcQeq3ibk<b>[] 投稿日:19/11/16(土)01:29:08 ID:q4A [2/2回]
>>57 >>58

「そう」

露骨に落胆を示すこともなく、スマートフォンを仕舞う。
何も帰ってこないことには、とっくの昔に慣れてしまっている。
彼の心は綺麗とは言い難い。卓に座っている少年たちとの数年の差が、少なくとも今はどうしようもない断絶を作り出している。
しかし、それでも一縷の望みを捨てきれない。
そのことだけが、マモノツカイでなくマホウツカイとして繋ぎ止めているのかもしれない。

「……じゃ、ごちそうさま」

暫くの重苦しい沈黙の後、彼もまた席を立つ。
本来望んでいたものはなかったが、思わぬ話が転がってきた。
結局一口もお菓子や紅茶には手を付けないまま、嫌に鮮やかな色をした扉を抜ける。

「待ってろ、ヒノネ」

その瞳の奥には、危ういが熱を持つ何かが灯っていた。

//自分もこのぐらいで〆で大丈夫でしょうか
//対応がしょっぱくて申し訳ないです……
61 : ◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/16(土)01:37:23 ID:X3v [3/5回]
>>58
ひどく迂遠な肯定の言葉を、自分が投げた問いではないからと聞かなかったフリをする。
全てを感情として実体化させてしまっては、せっかくのお茶会を楽しめないし、何より。
死という名の救済と願望の成就に、今すぐ向き合うのが只管に怖いと思ってしまっていた。

「うぅ……嬉しいような、恥ずかしいような……どうせならカッコイイのがよかったですよ……」

なんでもないように、賞賛の言葉に抱いた複雑な心持ちを顕に唇を尖らせる。
顔を背けて頬を紅薔薇の如く染めてしまう羞恥もまた、衣装に見合った少女らしさを助長させるのだが。

「確かに皆さん、綺麗な人ばかりですけど……だったら尚更、女の人がなるモノのような……」

ここで言う綺麗とは当然情愛の意味ではなく、造形美を指した単語である。
そも彼は人より世俗から隔絶されている身、年齢も手伝ってそういった嗜好の知識は皆無。

「え?……あっ、そうですね。年が近かったら、お友達になれたかもしれないのに」

だから少し危なっかしい言葉も、彼からすればこういった解釈になる。
「お疲れ様です」と、先に退出する二人の背中に頭を下げ。甘い香りの紅茶で唇を濡らす。
ややあって、訪れた二人きりの空間に改めて緊張が這い上がってきたのだろう、固い微笑を浮かべて被ったままのフードの縁を指で撫でた。

//お二方、お疲れ様でした!
//こちらもお時間が厳しいようであれば適当に〆ていただいて大丈夫ですので…!
62◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/16(土)01:51:55 ID:upW [3/5回]
>>59>>60

「僕は何時だってここに居る。また、会いに来てほしいな」

立ち去る二人の背中を、笑って手を振って見送った。
どれだけ口角を上げたって、表情に影は刺さる。その笑みには、哀愁だけが張り付いていた。

>>61

「綺麗と言うより可愛いだねぇ。ちょっとうらやましくなるよ。」

線の整った顔立ちと、可愛いとは違う代物。
青年が少年に対し、その可愛げをうらやむと言うのもまた非常に危ない光景ではあるのだけど。

「お友達ではあるつもりだよ。
 ……年が近かったらなぁ。おんなじ学校だったら、なんて思っただけさ。」

同じ学校だったら、その先は想像次第。少年ならそこに優しい解釈が加わるだろうか。
笑ってはいるものの、その笑顔の色は少し、穏やかではないと言うか。繰り返すようだがちょっと危ない。

空になったティーカップに紅茶を注いで、少年の元に。
甘い香りと温かみは、固まった体を少しはほぐしてくれるだろうか。

「……願い事、もしもあるなら聞いても良いかな。
 なに、ただの雑談だから力を抜いて。」

//お二方ともお疲れさまでした!
//こちらこそ、眠くなったらいつでも〆ていただいて大丈夫ですのでっ
63◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/16(土)02:20:23 ID:X3v [4/5回]
>>62
「いえ、その、そんな事は……!ボクはお兄さんみたいに、綺麗でカッコイイ方が羨ましいです」

両の掌をぶんぶんと振って必死の否定、慌てようからして素直な含羞からの狼狽のようだった。
色々な意味での状況の危なさに、とんと気がついてはおらず。羨望の言葉もまた、混じり気のないもので。

「えっ……本当ですか?えへへ……ボク、今までお友達ってほとんどいなかったので嬉しいです!」
「あ、でも……もし本当に年が近くても、学校は……」

長い病院生活。他の患者の入れ替わりが絶えない環境で、友と呼べる存在が容易く出来るはずもなく。
刹那きょとんと、それからみるみるうちに顔を綻ばせて、無邪気に喜びを全身で伝えていたが。
学校に話題が触れれば、穴の空いた風船宛ら消沈してしまったから、怪しい色にはやはり意識が向かず。
視線を落として、新たに琥珀の液体に満たされたティーカップを手に取る。緩慢と喉に流し込んで大きく息を吐き、そうしてようやく口を開いた。

「……ボク、変身しないとこうやって外に出られないんです。昔から身体が弱くて、ずっと病院にいるから、学校にも行った事がなくて」
「だから元気になって、普通の生活を送ってみたいんですけど……でも今は変身すればいいから、そこまで叶えたい訳じゃないんです!」

ゆっくりと語って、最後に濁したのは話題がまた暗がりに向かってしまうのを躊躇ったが故。
思考に蓋をするかのように両手を合わせて、ぱっと一気に明るく振る舞ってみせた。
64◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/16(土)02:52:20 ID:upW [4/5回]
>>63
吐き出される願いを、じっと聞いていた。その時浮かべた笑顔だけは、陽だまりの様な温かみがあった。

「───うん。やっぱり君は、綺麗だ。」

テーブルに身を乗り出して、合わせた両手に自分の両手を重ねる。
白いサテンの手袋越しでも、その熱は伝わる筈。

「君が、その綺麗なままの君なら絶対に願いは叶う。
 マホウが、奇跡が、君を幸せにしない訳ないんだから。」

その言葉に込める感情はなんだろう。何処か一方的で、少年よりも向う側に声をかけているような。

「だから、絶対に、何があっても、絶対にあきらめてはいけないよ。」

重ねた手、握りしめるように力が籠められる。
もしも二人をはたから見たなら、彼の方が少年に縋りついてるように見えるのかもしれない。
年はきっと、一回りも離れているのに。

テーブルの下から猫が顔を出した。妙に不細工な、真ん丸太った猫。
キット見覚えはある筈。扉に彫刻されていた、あの猫そっくりだから。

「……時間か。困った、随分ケーキが余っちゃったな。
 また今度みんなで食べよう。次会う時は、君の友達はたくさんだろうしね。」

急速に太陽が沈んで、気が付けばメイドたちも居なくなって、魔物でも出そうな月の色。
彼はそのまま手を取って、扉の方へ案内するだろう。外に出れば、不思議と時間はほとんど立っていない。

//この辺りで〆で!お疲れさまでしたー!
65 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/16(土)03:00:28 ID:upW [5/5回]
!add
☆開示設定☆
『心象結晶/クリスタリウム』
麗衣のどこかにある純白の宝石。
形はマホウツカイ毎に様々だが、その性質、本質は共通。
マホウツカイとしての活動を重ねるごとに"心の力"が溜まっていき、輝きを増してく。
その輝きが頂点に達したとき、マホウツカイの願いが叶うと言われている。
マホウツカイの心の現身であり、結晶の色は心の色そのもの。最初は誰もが純白だが心の変化に合わせて色を変えていくこともあるようだ。
ただし、黒色に染まり始めたなら──────
>>1に追記(1回目)
66名無しさん@おーぷん[] 投稿日:19/11/16(土)11:21:27 ID:KyQ [2/3回]
【名前】三ヶ日 雪雄(ミッカビ ユキヲ)
【年齢】16歳
【容姿】
セミロングの白髪に鋭い目付きをした少年。
色白で華奢ではあるが、同世代の背丈は平均ほど。
私服の類をほとんど持っていないのか、休日ですら学生服ですごしている。
「マホウツカイ」
シルクハットに指先まで隠すような袖口の大きな白のブラウス、黒地に金糸の刺繍が施されたケープ
サイドアップのショートパンツに厚手のタイツ、ロングブーツを履いた露出度の低い姿となる。
髪色や髪型、顔付きの変化は一切発生せず、それでいてありのままでも少女性を感じさせるような雰囲気。
緩く開かれた袖口から後述のマモノを放つ。
【マホウ/マモノツカイ】
「バンダースナッチ」
ニセモノのマモノを生み出し操るマホウ。
食事により摂取した栄養を魔力に還元しマモノを生み出す。
誕生したマモノは袖口から放たれ、与えられた栄養が失われるまで活動を続ける。
生物の対象にはマモノツカイ達の操るマモノも含まれる。
マモノの容姿や能力は元となった栄養に依存し変化する。
ローズティーを愛飲するため、バラのマモノの登場頻度が高い。
【概要】
女性や汚いものを徹底的に嫌う差別主義者。
マホウツカイやマモノツカイ達の美しく可愛らしい容姿を好む。
自分の容姿に対する気遣いもまた尋常でなく、食べたものが体を作るから、綺麗な(衛生的でなく感性的に)ものしか口にせず
性格や言葉使いは容姿に影響を与えるからという理由で気に入ったもには優しく接するよう意識している。
16歳のみでありながら、体の成長に伴う自身男性化、可愛らしさの喪失を恐れ、彼は夜な夜な魔法少年や若い女の血を啜る。

//参加希望です!
67 : ◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/16(土)13:06:29 ID:X3v [5/5回]
>>64
「ふえっ!?えと、そんな事は……!」

綺麗よりは、格好いいと言われたいお年頃。そんなちっぽけな見栄が否定を口走らせたのはほんの束の間。
重なる手に動きを止める。未だ幼い肉体の温度は人より高い、だというのに布越しに伝わる熱。息を飲んで、近づいた端麗な顔立ちをじっと見つめる。
彼に過去何があり、マホウツカイとしてどれだけ壮絶な体験をしてきたのか、少年に知る術はない。
けれどその言葉が単なる安直な激励ではなく、ひと匙の願望と利己を加えたものであると、朧げながらも察せられたから。

「――はい、分かりました。大丈夫です、ボクは諦めません」

しっかと頷いて、力の入った手を握り返す。
ついさっき聞かされた事実に揺らいだ振り子を、改めて信じるべき方に繋ぎ止めるように。

「マホウツカイもマモノツカイも、きっとボクが助けます。もちろん、お兄さんだって」
「きっとそれが、こんなボクがマホウツカイになった理由ですから」

なんの根拠もない、けれど確信と自信に満ちた宣言。
手を引かれ席を立って、名残惜しそうに足元の猫をふと見やり。窓の向こうの逢魔時に思い直して外界への扉へと誘われるまま。

「あはは……そうなってるといいんですけどね」
「じゃあ、今日はありがとうございました。よければまた誘ってください」

一歩外に踏み出して振り返る。赤ずきんは絵本の頁から現実の世界へ。
深く頭を下げて、扉が閉まるまで。顔を上げたその双眸には、カーマインの決意を新たに。

//申し訳ありません、返信を確認してそのまま寝落ちしてました…!
//ロールありがとうございました、お疲れ様でした!
68◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/16(土)21:17:36 ID:PgR [1/3回]
>>66
悪役を想定したキャラでしょうか?
設定がマモノツカイよりなので、スレッドとしては悪役側はそちらを想定しています
勿論あくまでマホウツカイとしてこの設定でロールしたい、とのことでしたら大丈夫です!
>>67
//ロールありがとうございました!
//またよろしくお願いします!
69 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/16(土)22:06:06 ID:PgR [2/3回]
>>36
//こちらで再募集しますっ
//もしくはやりたいシチュエーションなどありましたらそちらでも大丈夫ですっ
70名無しさん@おーぷん[] 投稿日:19/11/16(土)22:26:25 ID:KyQ [3/3回]
>>68
悪役を想定しています!
歪んだ願望を良き心判定する半端者(どっちつかず)マホウツカイが可愛いなと思った次第で
特にこだわりはないのでマモノツカイに書き直してみます!
71 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/16(土)23:40:48 ID:PgR [3/3回]
>>70
いえいえ、やりたいことがあるのでしたら設定を修正する必要はないので大丈夫ですよー
72◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/17(日)01:15:12 ID:kWo [1/1回]
魔法少年となってそれなりに年月が経った。でも、未だにガラスを見ると困惑する。
ふわりと揺れる赤髪の、少女のような男の子。ガラスに移った彼が、自分だと言う事をなかなか受け入れられない。
受け入れてしまったら、なんだかおかしくなってしまいそうで。

終業のチャイムが鳴って、校門から生徒たちが溢れ出す。小等部から大学部までが一体となった学園には、地元の子供の大部分が通っている。
故に学校すぐそばのショッピングモールは、この時間は子供たちでいっぱい。
入弥悠も、そこで時間をつぶそうとしている一人だった。

「───────」

2階、ファッションフロア。ショーウィンドウに並んだマネキンを、じっと見つめていた。
移動中にふと目に入っただけだ。淡い色合いのセーター。リボンをあしらった可愛らしいスカート。
あのガラスに映ったマホウツカイが着ていたら、似合うんじゃないか、なんて思ってしまって……

「……っやいやないってないって!!オレだぞ!!!」

おかしくなりかけた頭をぶんぶん振って思考を放り投げる。
突然始まった少年の奇行、周囲の目が集まって顔が赤くなる。
逃げ出すように振り返って走り出そうとすれば、人にぶつかるのは必然かもしれない。

//返信は明日になりますが絡み待ちを置いておきますね
73 : ◆</b></b>bDAugLOuBg<b>[] 投稿日:19/11/17(日)12:28:13 ID:l5w [1/4回]
【名前】三ヶ日 雪雄(ミッカビ ユキヲ)
【年齢】16歳
【容姿】
セミロングの白髪に蛇のような鋭い目付きをした少年。
色白で華奢ではあるが、同世代の背丈は平均ほど。
私服の類をほとんど持っていないのか、休日ですら学生服ですごしている。
「マホウツカイ」
シルクハットに指先まで隠すような袖口の大きな白のブラウス、黒地に金糸の刺繍が施されたケープ
サイドアップのショートパンツに厚手のタイツ、ロングブーツを履いた露出度の低い姿となる。
髪色や髪型、顔付きの変化は一切発生せず、それでいてありのままでも少女性を感じさせるような雰囲気。
緩く開かれた袖口から後述のマモノを放つ。
【マホウ/マモノツカイ】
「バンダースナッチ」
「食事」により摂取した栄養を魔力に還元しマモノを生み出す。
特定のマモノを持たないマモノツカイ。
誕生したマモノは袖口から放たれ、与えられた栄養が失われるまで活動を続ける。
マモノの容姿や能力は元となった栄養に依存する。
ローズティーを愛飲するため、バラのマモノの登場頻度が高い。
本体は捕食行為(噛みつき)に限定し、毒物への耐性や装甲への特攻を獲得する。
上記の特性はマモノには与えられない。

【概要】
女性や汚いものを徹底的に嫌う差別主義者。
マホウツカイやマモノツカイ達の美しく可愛らしい容姿を好む。
自分の容姿に対する気遣いもまた尋常でなく、食べたものが体を作るから、綺麗な(衛生的でなく感性的に)ものしか口にせず
性格や言葉使いは容姿に影響を与えるからという理由で気に入ったもには優しく接するよう意識している。
16歳のみでありながら、体の成長に伴う自身男性化、可愛らしさの喪失を恐れ、彼は夜な夜な魔法少年や若い女の血を啜る。

//訂正しました!
74◆</b></b>bDAugLOuBg<b>[] 投稿日:19/11/17(日)12:43:30 ID:l5w [2/4回]
>>36

金髪の少年が火達磨に変われば、そばにはもう一人のマモノツカイが立っていた。
彼は最初から隷装を纏っていたわけではない。
騒動を認めてから姿を変えたのだ。他のマモノツカイ、あるいはマホウツカイの姿を見るために
だから、唐突な変身は彼に挑発と取られる可能性もあるのだろうか。

「蝶々だ。綺麗だね。かわいいね。こんなものを産むなんて、心が「キレイ」なんだろうね」

黒いケープを揺らしながら塀に歩み寄って、シルクハットの下でユキヲは笑みを描いた。
拒絶をされなければ、隣に腰を下ろすまでの勢いで躊躇いなく、燃える蝶を操る彼に近付いて

「俺の名前は雪雄。ユキヲって呼んで欲しい」
「たぶん、キミと同じ、マモノツカイだ」

「キミの名前は? 」

//よろしければ……!
75◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/17(日)14:46:25 ID:EZs [1/2回]
>>74
脚をゆらゆら弄ばせて、上機嫌にハミング。悲鳴と悲鳴とカルテット。
それを切り裂いたのは、同じマモノツカイの声。

「燃えるよ、お前も。」

蝶々が撒き散らす燐粉は光に反応して熱を発する。
煌煌輝いて見えるのはつまり火花だ。不用意に触れれば何が起きるかなんて簡単に。

「名乗るわけないだろ。名前なんて聞いたって何処の誰かもわかんないのに。
馴れ馴れしいのは嫌いなんだ。」

揺れる脚がぴたり、はためくフレアスカートがはらりと落ちて。
腿から大鎌を引き抜いて構える。露になる警戒心。

//不安定になりますがよろしければっ……
76◆</b></b>bDAugLOuBg<b>[] 投稿日:19/11/17(日)16:50:21 ID:l5w [3/4回]
>>75

「やっぱりそう? どきどきするなぁ」

蝶々から溢れる鱗粉に触れれば火達磨となることは明白。
発火の条件もわからないのだから、マモノツカイの回復力があるとはいえ、触れないほうが懸命なのだろう。
どきどきするだとかのたまって、緩い袖の中から手を伸ばし、触れようとするなんて沙汰ではないが……

「あちっ……。ほんとにあついね……。これ。……これはあぶない」

それでも、彼の前で鱗粉を掬ってみせ、火傷を負えば悲鳴とともに手を戻して
不用意に触ったことへの謝罪を申し訳なさそうな、視線だけで終わらせて

「俺は三ヶ日雪雄。この高校(ここ)の1年生。クラスはでぃーぐみ」
「マモノツカイなんて、そうそういるものじゃないだろう? 」
「馴れ馴れしくしたのは謝るけれど、どこの誰かくらいは知っておくれよ」

君と友達になりたいんだ。そんなことを最後に呟いて
鎌の間合いの中、柔和な笑みを浮かべて

「何でっていわれても、キミがかわいいから」
「くらいしか、ないんだけどね?」

//誤爆したままになってました……すみません
77◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/17(日)17:54:39 ID:SBy [1/1回]
受け止めそこねてころころ転がるサッカーボールが、公園から道路に飛び出す間際。
徐にぽんと何かにぶつかったかのように、元来た方向へと弾かれた。
その後ろを追いかけていた少年が、律儀に帰ってきたそれを拾い上げて怪訝そうに首を傾げたけれど。
背後からの呼び声に疑問はすぐに忘れ去られる。空は黄昏、烏も家路を辿る時間。
子供達も一人、また一人と公園から消えていって、最後に残るのは遊具の影だけ。

「…………いいなぁ」

否、素養がある者が見ていたなら。公園と道路を区切る車止めに座る、真っ赤な人影が蹴り返していた事にも気がつくだろう。
童話の世界から飛び出してきたと言っても信じてしまいそうな、フリルがいっぱいのワンピース。頭巾から溢れるおさげを指で弄ぶ。
なんともなしにぶらぶらと足を揺らしながら、最後の一人の背中を見送る紅玉の瞳に、夕日に紛れた羨望が霞んだ。
78◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/17(日)18:10:44 ID:EZs [2/2回]
>>76

「……友達?」

眉を潜めて、柄を握る力がより強く。
マモノを産み出すような心の持ち主が、その言葉を素直に受け取れるはずもなく。

「鬱陶しい。僕はお前が鬱陶しくて仕方がないんだよ。
───笑うな」

振り上げる。振り下ろす。赤熱する刃が、彼の首の直ぐ側に。
歪むアイシャドウ、目を見開いて、描く表情は何よりもシンプルな嫌悪。

「お前のために可愛い訳じゃないんだ。何も嬉しくないね。
僕より幸せそうにするな。仲良くなりたいなら泣き喚け。」

何より憎むは自信の幸福を奪う者。目の前で笑う人間。それ故に、マモノを産み出すほどに。
ならば当然、目の前で馴れ馴れしく振る舞う少年を受け入れられるはずもなく。
79◆</b></b>bDAugLOuBg<b>[] 投稿日:19/11/17(日)18:57:54 ID:l5w [4/4回]
>>78

大鎌の間合いの中、振り下ろされたそれを紙一重での回避。
あるいは最初から当てる気もなかったのかもしれない。
刃先の通ったあとの熱い空気を吸えば喉が焼けるように痛んで

「キミは、幸せになりたいのかな。あるいは周りを不幸にしたいのかな」
「……いや、どうだろう。そのふたつは似ているようで、違う気もする」

それでも、彼はペラペラと喋るのを辞めずに、紫羽の間合いから離れない。
首を落とされたいのだと相手に勘違いでもさせかねない態度で

「……泣き喚くのはメスのすることだよ。完璧な存在に近いマモノツカイに涙は似合わない」
「あるいはキミがなくのなら、俺は涙が枯れ果てるまでそばにいるのも吝かではないけれど」

「ふふ……。だんだんわかってきたかも。キミがマモノツカイになれた理由が。キミの心の形が」

「やっぱり、俺たちマモノツカイは、そういうもの、なんだね。可愛いね、やっぱり」
80◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/17(日)20:19:42 ID:3Ni [1/1回]
>>79

「どっちも同じ。だからもう、喋るなっ!!」

他人の笑顔を見れば苛立つ。他人の泣き顔を見れば昂る。ならば二つは同じ事。
蝶を模すドレスのリボンがひらり羽ばたいて、飛び立つ。燐粉を降らす蝶が舞う、少年の顔めがけて。

「そんなに可愛いのが好きなら、二度と見れなくしてやろうか。」

「メスもオスも知るか。偉そうに喋るな。
うざったいんだよ!!」

そして鎌を振るえば、刃の熱にて発火し、爆発。
その顔を吹き飛ばしてやる、なんて殺意が聞こえそう。
直情的で、何より自分の感情に従う。それはある意味でマモノツカイらしい。
自分以外は全て、自分の幸福を奪うもの、そう吐き捨てるゆえにこの隷衣を纏う。
81◆</b></b>bDAugLOuBg<b>[] 投稿日:19/11/18(月)00:47:04 ID:jqI [1/2回]
>>80

「怒らないでよ。可愛い顔が台無しに……、や、怒ったほうがかわいいね? 」

雪雄の余裕綽々な態度は、此彼の敵意の強さに起因するものだった。
相手は敵意に満ちている。攻撃をしてくる意志を隠さない。
一方でこちらは攻撃の意思がない。回避にのみ専念できる。反撃を交える気もないのだから。完全に──

「あは……燃える蝶々? 一匹くらいなら、食べてみてもいいかな」

蝶々の働きは既に見ている。触れれば火傷を負い、何らかの条件で発火する。
単純だが、厄介なマモノ。彼のかざす言葉のように、シンプルで獰猛なマモノ。

(俺は避けるだけだから。当たりっこないんだよ。キミは、かわいいね、やっぱり……ね!? )

ふわりと後方に跳ねての回避。
大鎌での追撃もくるだろうからと多少、大袈裟に見込んでの跳躍。
それで、完全に十分だと踏んでいた。そこには露骨な油断があって──

「かおっ……顔を……狙ったな……俺の」

爆風の中、咄嗟に庇ったのはやはり顔だった。
顔に傷を付けられるのは、この少年にとって何よりの屈辱であり、許し難いことだから。
爆風が晴れれば、隷衣を焦がし、身を焼きながらも、顔だけは守りきった少年が立っていて
そして、身を守るために召喚されたであろう白い蔓のマモノが彼の両腕に巻きついていて

(昂るな……醜い言葉は、感情は、顔にでる……醜くなるぞ……冷静になれ……)

「……少し、近づきすぎた、みたいだね。……ごめんね。今日は、改めるよ。また今度、ゆっくりと話そう。……ゆっくりと」

彼は巻きついた蔓を操り、それをバネのように地面に展開すれば
そのまま校舎に目掛けて、跳びさろうとするはずだ。

/返信遅れました…
82◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/18(月)01:35:29 ID:Bz1 [1/3回]
>>81
晴れる炎の向こう側。必死に顔を守って、焼け焦げた少年の姿。
皮の剥がれた声と、その醜い姿は愉悦を感じるには十分。
小さく、口の端から空気を漏らすように笑った。嗤った。

「綺麗すぎるのは嫌いだからさぁ。うん。
 顔の皮、半分ぐらい剥がしちゃったら友達になれるね。」

多分、少年の前で笑うのはこれが初めて。それが傷ついて、苛立って、ようやく彼は満たされる。

「弱点みーーーーーーーっけ。
 それじゃまた、ね?」

この場を立ち去ろうとするならば追いはしない。
せっかく見つけた傷口、思い切り抉って開いてやろうとも思ったけど、それは今じゃなくたっていい。
どうせなら、被りなおした仮面事剥がす方が気分いいし、なんて思って。

突如燃え上がる生徒は、原因不明の事故として処理された。
原因はオカルトだのSFだの、学生特有のゴシップも交えて最終的には怪談の仲間入り。
それが魔の産物であるなんてわかるのは、同じ魔を扱うものだけだ。

//この辺りで〆でしょうか!
//こちらこそ返信遅れて申し訳なかったです……
//またよろしくお願いします、お疲れさまでした!
83 : ◆</b></b>bDAugLOuBg<b>[] 投稿日:19/11/18(月)17:55:46 ID:jqI [2/2回]
>>82
//ありがとうございました! またお願いします!
84入弥悠◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/18(月)18:06:38 ID:Bz1 [2/3回]
>>77

「何が?」

そう声をかけた少年が纏うは学生服。明らかに、ドレスではないけれど。
態々かがんで目線を合わせて、その声が赤ずきんに向けられているのは確かなよう。

「せっかく良い事したのに、なんか全然嬉しくなさそーやん。」

まじまじと少年の顔を眺める。その顔には傷も無ければ陰もなく。
きっと何不自由なく暮らしている、少年が羨む側の人間だろうか。

//まだよければ……
85◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/18(月)20:28:48 ID:KMZ [1/4回]
>>84
いくら外界から断絶された生活を送っていても、少女らしさ全開の衣装に羞恥心を覚えないと言えば嘘になる。
それでもこうして平然と外に出られるのは慣れもあるが、普通の人間には認識されないという前提が大きい。
だから一見ただの学生である少年に声をかけられても、自分の事だと気がつくまでに数秒の間を要した。

「――ひゃあっ!?」
「あ、ええと……もしかして、見えてます……?」

可愛らしい悲鳴、まあるく見開かれた紅玉の瞳。朱を呈した頬を見られたがらないかのように仰け反って。
変身前の魔法少年だろうと合点がいけば、大袈裟な反応を恥じ入って楚々と目を伏せる。

「いえ、まさか!そんな事はないですよ!」
「ただちょっと……楽しそうで羨ましいなって思っただけですから」

健常への羨望を見透かされた居心地の悪さに浮かべる苦笑、ぶんぶんと顔の前で掌を振った。
車止めから降りて両足で立つ。それでも身長差は歴然、フードの奥から見上げる形。

「お兄さんも魔法少年なんですよね?その……どっちなんですか?」

//すみません反応遅れました…!よろしくお願いします!
86入弥悠◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/18(月)20:58:11 ID:Bz1 [3/3回]
>>85

「!? 女の子みたいな声だすじゃん。

少女染みた悲鳴とオーバーリアクション。それなりに顔を近づけていたものだから、面食らうのも無理はない。
いつだって自分から彼らは見えているけれど、自分がどう見えているかはあまり意識してなくて。
……それに、変身後の姿はあまり意識しないようにしてるし。

「あ、そっか。変身してないとわかりにくいよなっ―――と」

ぱぁっと体が光に包まれれて、晴れればそこに居るのは魔法少年。
獣の手足とキューティクルのかかった髪に、微かなチークとアイシャドウ。
変身前は幼いとは言え少年の顔立ちだったが、少しの化粧で随分と印象が変わる。
目を引くのはそのドレス。ファーコートとホットパンツ、その下は何もなし、とちょっと刺激的。

「やっぱ慣れねーよなーこれ……
 そっちもほとんど女の子じゃん。似合ってるけ―――どっち、ってなんだ?」

照れくさそうに笑いつつ、格好は多分お互い様。

//こちらこそよろしくお願いします!
87◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/18(月)21:40:36 ID:KMZ [2/4回]
>>86
「こ、これは……わざとじゃないんですぅ……」

少しばかり落ち着いてからも、声変わりが訪れる前の高く柔らかな声質。先の悲鳴もどうやら地声のようで。
自分でも気にしてはいるのだろう、両手で口元を覆っても赤く染まった耳までは隠せない。
変身に伴う光に目を細めて、その向こうで姿形を変えた獣の少年を見上げる。

「あはは……嬉しいような嬉しくないような、なんだか複雑――――!?」

服装も確かめようとして視線を下にずらし、絶句した理由は単純明快。
上半身にほぼ何も着ていないような格好を間近で見てしまって、平然としていられる程にオトナではなかっただけの話。
いくら頭では男と理解していても、薄い化粧で彩られた顔を見た後であれば尚の事。

「おっ……お兄さんもすごく似合ってますよ!その、すごくセクシーって感じで……」

だんだんと小さくなる声、茹ってしまったかの如き顔。
色々と危ない身体が視界に入ってしまわないように、目と目を合わせる様はどうにも必死で。

「マホウツカイか、マモノツカイなのか聞きたかったんですけど……やっぱり、どっちでもいいです……」

もごもごと露出の高い衣装に狼狽えて、見るからに純情な反応であった。
88◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/18(月)22:09:36 ID:KKu [1/1回]
>>87
耳元まで赤く染まって、視線はずれて。
色々と鈍い彼であっても、その行動の意味は流石にわかる。
例えば水着なら、上半身が裸であっても普通なんだし。
だから自分はおかしくない、そう言い聞かせたのに。

「……そんなに、ヤバイか?」

開けっ広げにしていたコートの前を閉めて、なんだか脚を出しているのも恥ずかしくなって内股気味にコートに脚を隠すポーズ。
恥じらいは寧ろ女々しく見せる。頬を染めて、俯きがちに目を逸らす姿は寧ろ

「あっ………うん。俺は勿論マホウツカイの方だって。
マモノツカイとか、聞いたことは有るけど見たことねぇし……」

噂としてはマモノツカイの存在は広がっている。
経験がないのは珍しいからもあるだろうが、加えて目撃者が残らないこともある。

「……そっちは、見たことあんの?」
89◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/18(月)22:46:27 ID:KMZ [3/4回]
>>88
「そ、そんな事はっ……!」
「……………………ゴメンナサイ」

小さく呟く。その返事こそが明確な答えに他ならない。
他人の素肌なんて見る機会なんて皆無に等しい、それも同性といえど妙に扇情的な肌面積。
コートで前を隠してもらえたから、多少は落ち着いて相対する事はできたけれど。
恥ずかしがる挙動はむしろ女性然としたそれにしか見えなくて、殊更に意識せざるを得なくなってしまうのだった。

「本当ですか?ならよかった……」
「ボクは何回か……って言っても、いつもすぐに逃げられてばっかりなんですけど」

安堵に息を吐いて、聞き返されれば頤に指を当ててしばし記憶の糸を辿り。
凶行に遭遇して取り抑えようとしたところを、遁走されてしまうのが常だと語る。
その現場は総じてあまり良い光景ではないのだろう、形のいい眉を微かに顰めて。

「でもボクはマホウツカイとして、皆を助けたいんです。だからマモノツカイの人も放っておけなくて」
90◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/18(月)23:04:23 ID:DyP [1/1回]
>>89
恥ずかしいのはお互い様、それに年上なのは自分だし。
気を使うなら自分、コートの前を抑えてなんとか自然に立てるように努めて。
まあ顔は、赤いままなんだけど。

「会ったこと、あんのか……無事でよかったけど。」

その凶行に至るほど危険な相手に立ち向かう。逃げられるとはいえ、危険な行為にちがいない。
11歳と18歳、兄弟のような年齢差、彼にとって少年は庇護欲の対象だ。
歪む眉が、それを尚煽る。

「危ないやつららしいじゃん。ヤバくなったら呼べよ、俺がぶっ飛ばして───」

しかし続く少年の言葉は、彼には予想外らしく。
言うはずだった言葉が言えなくなって、ぽかんと唖然として。不思議そうに見つめた。

「───悪い奴だろマモノツカイって。
マモノツカイをぶっとばすのがマホウツカイの使命、って聞いたし。」
91◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/18(月)23:34:24 ID:KMZ [4/4回]
>>90
コートで前を隠すのにつられて、なんとなくケープを握って左右に寄せる。
年の差が齎す加護の欲求にぴんと来ていないのか、あどけなく首を傾げて微笑んだ。

「本当ですか?実を言うと、少し不安だったので力強いです!」

悪意に疎く好意を正面から受け取ろうとする、素直で純朴な破顔。
だから少年が呆然とする理由にすぐ思い当たるはずもなく、返す眼差しは怪訝そうで。
その言葉を聞いて得心がいったかのように、それでいて歯切れが悪そうに眉尻を下げた。

「そう、かもしれませんけど……でもマモノツカイの人達だって、好きで悪い事をしてる訳じゃないと思うんです」
「だからちゃんとお話をすれば、きっと分かってもらえるんじゃないかなって」

林檎の如く熟れた唇から紡がれるのは、砂糖菓子よりも甘い夢物語。
斜陽を映す紅玉の瞳の輝きは、その砂上の幻想を微塵も疑わない。

「マモノツカイの人でも、嫌な事や困っている事があるなら助けてあげたいんです」
「……なんて、難しいかもしれないですけど」

とはいえ実現がいかに至難か、分からない程に夢見がちではない。
子供の戯言と一蹴しても構わないとばかりに、肩を竦めて戯けたように笑った。
92◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/19(火)00:05:19 ID:CyS [1/2回]
>>91
大人、子供なんてのは相対的な言葉でしかない。今この瞬間は、自分こそが大人だ。
少年は立派だと思う。ならば自分は、その通りだ頑張れと背中を押すのか。
……出来るわけがない。困っているから、辛いことがあるから悪い事をするなんて善い子であるからこその思い込みだ。
やりたいことをやりたいようにする、それがあるべき姿だと、いつかのマホウツカイは言っていた。

「…………っや、それ聞いて安心したわ。」

一歩、彼に向けて近づいて。その手を肩に伸ばして、笑う。はらり、コートが開いて。
微かに身につけた筋肉と主張する鎖骨。体つきは男の子で、でも顔つきは女の子みたいで。
舌を出した。唇を湿らせて、獣じみた牙から唾液が滴って。

「俺、本当はさ───」

その手が、拒まれないのなら。そのまま、コンクリートに押し倒して。

「───マモノツカイなんだ。
いいよな。俺の事、助けたいんだもんな?」

ぎらり牙が煌めいた。光る目付きは、少年を獲物としてとらえて。
93◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/19(火)00:35:36 ID:zay [1/5回]
>>92
同じマホウツカイだから。悪い人だとは思えないから。こうして笑って話していられるから。
脆い根拠は挙げれば切りがなく、けれど世俗に疎い彼にとってはそれだけで十分。
肩に触れる手はスキンシップの一環、獰猛を孕んだ笑みは親しみが見せた素顔だと。

「――――え」

だから狼の嘘にも、簡単に騙されるのだ。
はだけたコートの中、顔立ちに相反して男性を主張する上体に目を奪われて生まれる隙。
呆気なく押し倒される身体、背中を固い地面に打ち付けて微かに呻いた。

「……な、んで……そんな、嘘……」

正しく混乱の坩堝の最中。頭の横にそれぞれ落ちた両手がぎゅうと拳を作る。
赤らんでいたはずの頬は色が失せ、震える声が動揺を如実に示す。ルビーの瞳は涙を溜めて輝きを宿し、獣の眼光を不安げに見上げた。

「待っ……何する、つもりですか……!こんな事しなくても、他に何か……」

元よりそういった知識も直感も極めて乏しいものだから、これから何をされるのか、とんと予想はつかず。
弱々しく肩を押し返して抵抗しようとするが、未だ巣食っている躊躇が災いして、体格差と体勢の優位を覆す程ではなく。
思考が現実に追いついていない今、狼が赤ずきんを嬲るのはそう難しい事ではない。
94◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/19(火)00:55:08 ID:CyS [2/2回]
>>93
濡れたルビーと、握る拳と、震える声。
それが全て突き刺さったみたいに心臓が痛む。だけど表情は変わらない。腕に込める力も。
自分は案外演技派だ、そんな風に思って。
胸の奥底、沸き上がるなにか黒いものには気づかないふりをして。

「ねぇって。話し合いとか全部ムダムダ。
好きなんだもん、そのぐっちゃぐちゃに崩れた顔。」

三日月みたいに歪む口許。どう贔屓目に見たって、それは獣でしかなくて。
台詞は漫画の受け売りだ。そんな趣味はない。
でもどうしようもない相手に出会ったらって、教えるにはこれしかない。筈。

「もっと良い顔、出来るよな?」

獣の指先、太陽光を反射する爪の切っ先。
抵抗は余りに弱く、意に介する必要すらなくて、ちょっと悲しい。
爪は頬を撫でてその表皮を裂いて、恐怖を煽るようにゆっくりと首へ、胸へ。
そこに到達したならば爪を振り上げて

「じゃ───鳴けっ!!」

振り下ろす。その心臓めがけて。
少年が無抵抗なら、それは寸前で止まるのだが。
95◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/19(火)01:26:34 ID:zay [2/5回]
>>94
は、と短く浅い吐息。平坦な胸が小刻みに上下して極度の緊張を高らかに叫ぶ。
聞く耳を持たない獣の突き放す言葉に返事はない、引き攣った白い喉は声を発する事を許さなかった。

「ひうっ…………や、だぁ……」

鋭い爪が頬を撫でて、切れた皮膚から血が滲む。地面に倒れたフードと同じ赤が、混乱と怯懦の表情を彩る。
どうすればいいのか分からずに、睫毛を震わせて涙ぐんでいるその有様こそが、所謂『良い顔』である事を彼は知らない。
ただ頬から首、胸へと伝う鈍い痛みに顔を歪めながら、終わりが早く訪れるのを願うばかり。
ケープが寸断されて上体から落ちる。その下のワンピースも半端な袈裟斬りのように裂かれて、色白で滑らかな肌をちらと覗かせた。

「――――っ!!」

振り上げられる腕、長く伸びる爪の影。風を断つ斬撃が心の臓を抉らんと唸って。
響くのは金属音。無慈悲で優しい凶刃を、何かが受け止めた。

「……離れてください。お願いです」

その正体は巨大な鋏だった。両者の間に差し入れるようにして、閉じた刃の部分で胸を守ったのだ。
未だ息は荒く、困惑は甘さの名残る言葉に表れる。しかし己の命を守るためであれば、凶器を振るうのに躊躇いはなかった。
96入弥悠◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/19(火)01:59:25 ID:jNy [1/3回]
>>95
肩を震わせる吐息の律動、それに合わせて上下する胸を、じっと見て。
変わらないあの、少女染みた声で、悲鳴すらかわいらしくってしょうがない。
透ける様に白い柔肌を見てしまえば。自分の呼吸すら荒くなって、体は熱くなって、血が滾るような感覚がした。
獣の眼は、それが演技であれば完璧この上ない。それが演技であれば。

甲高く響く金属音。鋏が自身の攻撃を受け止めて、少年の眼には少しの強さが戻ってきているようだった。
その状態のまま少し停止。自身の荒れた呼吸が戻れば、眼の色も戻って行って。
ゆっくりと立ち上がり、そして爪を引っ込めた手を差し出すだろう。

「……怖がらせてごめん。
 怖くなっちゃったんだ、襲われた時そのままやられちゃわないかって。」

その表情に獣は居ない。申し訳なさそうに顰めた眉は、出会ったその時の優しさを取り戻していた。

「悪趣味、過ぎたよな?マジごめん!
 お前が嫌じゃなかったら、今度ちゃんとお詫びさせて欲しいな……」
97◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/19(火)02:23:12 ID:zay [3/5回]
>>96
両手で鋏をしっかと握り、強い視線は僅かな逡巡を含めど無抵抗を是としない。
世界が時を忘れたかのような錯覚が数秒。徐に軽くなる身体に、硬直したままぱちぱちと何度か瞬いた。

「…………へっ?」

気の抜けた声。差し出された人の手と、獰猛がなりを潜めた面立ちを交互に見て。
それからしばらくしてようやく、今までが狼の皮を被った演技であると悟るのであった。

「え、あ……もうっ、騙したんですね!?酷いじゃないですか、本当に怖かったんですから!」

頬を膨らませて拗ねてみせて、それ以上に悪人ではなかった安堵に愁眉を開く。
警戒と共に消える鋏、冷たい金属を握っていた温かな掌で手を取って身体を起こす。
ふらついて、最初に座っていた車止めに体重を預けた。裂かれて捲れた胸元には、まだ意識は向いていないらしく。

「あれ……あはは、腰が抜けちゃったみたいで」
「嫌なんかじゃないですよ!だって、ボクを心配してくれたんですもんね」
98◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/19(火)02:24:02 ID:zay [4/5回]
//すみません、そろそろ落ちなければいけないので〆か凍結でお願いします…!
99 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/19(火)02:25:01 ID:igD [1/1回]
>>98
//遅くまでお付き合いありがとうございました!
//次のレスで〆ておきますので、落ちていただいて大丈夫ですっ
100入弥悠◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/19(火)03:16:29 ID:jNy [2/3回]
>>97
さっきまでの涙目も全部なかったみたいな顔をして。寧ろ面食らうのは彼の方だった。
自分がやったことはどう考えたって、このまま嫌われるのが当たり前だ。
まだ自分の事が怖くて気を使っている、ようなそぶりもない。

(……ほんとに危ないなぁ)

そんな思いを、笑顔に交えてごまかした。

「また会うなら名前、教えてくれよ。
 俺は入弥悠。朱風高校三年生。」

名乗る名前は魔法少年としてではなく、彼という一人の人間として。
もっとも、彼にとってはその境界線なんてなくって。自分の魔法少年名なんて考えてなかったりするんだけど。

「……そろそろ暗いし、今日はこの辺にすっか。
 マモノツカイのせいか、最近なんか危ないらしいし。」

色んな場所で行方不明、怪事件が起きていると情報を付け足して。
それらすべてがマモノツカイの仕業でないとしても、高校生が異様さを感じるほどには多発している。
拒まないのなら彼は見送りを申し出るだろう。危ないと言った手前、このまま分かれて二度と会えない、なんて不安を感じてしまったから。

「"またな"!
 今度はさ、浮かない顔してた理由も教えてくれよな!」

それを拒むとしても拒まないとしても、なんて言って手を振るのがお別れの合図だ。

//この辺りで〆で!
//ありがとうございました!
101 : ◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/19(火)10:37:48 ID:zay [5/5回]
>>100
密かな心配など露知らず、力の抜けた笑みは本心からのもの。
胸に手を添えようとしてようやくはだけたままであるのを思い出し、慌てて布を寄せて素肌を隠した。

「ボクの事はブランシェットと呼んでください。学校には通ってないんですけど……今年で11になります」

本名に本名で返さないのは何も警戒心故ではない、淀みなく魔法少年としての名を口にできるのがその証左。
病院のベッドが居場所の自分と、こうして外に出られる自分。その区別をはっきりとつけたいがためにも、名を使い分けるのは重要なのだ。
この歳で学校に通っていない奇妙さを誤魔化すように、ケープのフードを被り直す。

「そんなに物騒なんですね……ボクにも何か、出来る事があればいいんですけど」

付き添いの申し出に一も二もなく首を縦に振って、前に出した足が夜の闇に溶けかけた影を踏む。
憂いを隠そうともせず睫毛を伏せる。不安にさせている要因は彼自身なのだが、それには終ぞ気がつかない。
素直で純粋、世俗に疎く力に意味を見出しているからこそ。自覚できない危うさを内包しているというのに。
公園を出て少し歩いたところで、ここまでで大丈夫と告げて頭を下げる。別れの挨拶に束の間きょとんとしていたが、すぐにハキハキと頷いた。

「はいっ、また!今度はもっとゆっくりお話しましょうね!」

再会の約束は、いつだって心が躍る。遠慮がちに、けれど確かに手を振り返して踵を返して。
目覚め始めた街灯の下、遠ざかる赤い背中は見えなくなるまで時々振り返るのであった。

//ありがとうございました、お疲れ様でした!
102◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/19(火)20:49:07 ID:jNy [3/3回]
それはお日様が眠ったころ。学校が終わって、部活も終わって、子供たちが静まった道を歩くときに。
そこに甘くて不思議な、桃色の匂いが漂っていて、その匂いに誘われてしまったら。
三度目の瞬きをした時に、世界がすっかり変わってしまう。

最奥には巨大な教会、その周囲にも白い、荘厳な雰囲気の建物が立ち並ぶ。
光はステンドグラスをくぐって、無色の光は色をはらんだ。
地面に投映される七色の光、ピンク色が強く見えるのはなぜだろう。
どの建物からも、歌声が聞こえる。大人になる、その一歩前で立ち止まった少年の歌声で。

『ラ―ラ―ラ―ラリラリラ♪』

彼らは皆、聖歌隊みたいな白いローブを纏っていた。
でもよく見れば布地は薄くで、風と一緒に視線すらすり抜けちゃって、彼らの肌色まではっきり見えてしまう。
華奢な手足。胸から腰へ、男女なんか曖昧な、少年の体。それが全部、はっきり。
見世物にされているような、そんな風に見えるかもしれない。
街も人も真っ白で、綺麗。なのになんだか、酷く妖しい。

「───初めまして、迷い人。」

貴方に声をかけたのは、一際幼い(年齢は二桁を迎えたころに見える)少年だった。
ウェディングドレスにも似た、フリルとレースで彩った衣装。
純白のヴェールから覗く容貌、硝子細工の様に煌めく瞳と、白い睫毛。
異国の人形のような、そんな雰囲気を纏う少年だった。

「貴方も、浄化を求めるのでしょうか。
 ならば、手を。私たちが穢れを授かりましょう。」

差し出す手は細く、陶磁器みたいに儚げで。
向ける笑顔は、いま何が何だか分からなくたって、悪意があるようには見えない。

//>>72と合わせて絡み待ちですー
103 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/20(水)21:07:36 ID:Z8s [1/1回]
>>102
//再募集しておきますっ
//待ち文以外にやりたいロールがございましたらご相談ください
104◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/21(木)22:47:31 ID:Itu [1/1回]
>>102
木霊して千々の空に昇る合唱。甘い香りと、万物が染められた白い世界。
患者衣、裸足、病的に白い肌。亜麻色の髪と頬にさした朱だけが色を象る。
視線が泳ぐのは見知らぬ場所という理由だけではなく、まるで扇情的な立ち姿から逃げているようで。

「…………ええと」

歌声に混じっても際立たない、柔らかなボーイソプラノ。それが困惑の赤い眼差しと共に、少年へと向けられる。
荘厳にして異質な教会の前。日本人離れの容貌にぼうと見入って、声をかけられてからのこと。
不安そうで不可解そうな、少なくとも喜びを覚えていないのは、困ったように首を傾げている事からも明らかだった。

「ごめんなさい。ボク、気がついたらここにいただけで。浄化?っていうのも、よく分からないんですけど……」
「ここはなんなんですか?なんで皆、その……あんな格好を?」

少し喉が渇いたからと、病室のベッドから立ち上がろうとしたのが、白の世界に迷い込む前の最後の記憶。
いくら純真といえど、異端の空間でなんでもかんでも信じられる程に愚昧ではない。魔法少年の存在を知っていれば尚の事。
手を取ろうとして、寸前で止まる。様子を伺っているのだろうが、少年から仄かにひんやりとした指に触れるのはそう難しくはなく。

//連続になってしまいますが、まだよろしければ…!
105◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/22(金)00:00:27 ID:w44 [1/1回]
>>104
少年がきょろきょろ不安げに、視線を揺らして惑うなら。
それはじっと、まっすぐ、見つめて。指を絡めて手を握る。幼い指の温度は温い。
ぎゅっと距離が縮まる。首を傾げて言葉を探す少年の肩に自身の額を寄せて、その首元まで降りた髪の香りを吸い込んだ。

「……綺麗な匂い。
ああ、貴方は……魔法少年。」

白いまつげを揺らして、微笑んだ。
匂いでわかる、という訳ではないのだろう。同じ奇跡を扱うものなら、魔力を感じる事もあるのかもしれない。

「穢れなき我々の肌だけが、穢れを受け止めることが出来るのです。

「貴方には、浄化は不要でしょう。
ここに誘われるのは穢れを抱えた物か、或は私と同じ浄化を担うもの。
貴方は、私と同じ側。」

口にすることば抽象的で、その表情もきれいに偶像じみていて。感情なんて読めやしない。
とにかくわかるとすれば、魔法少年と言うだけでここに誘われる資格となるのだろう。

「……案内します。どうぞ、こちらへ。」

手を引いて歩きだす、視線の先は中央の教会だ。
少年の視線は変わらず落ち着かないのなら、ここに居る余所者が自分だけじゃないと気づくだろうか。
まばらに見える、くたびれたスーツだとか、くしゃくしゃのシャツだとか。生活感が余りにも浮いている男性達。
彼らは歌声につられてローブの少年に近づいて、手をとられて、建物中へ入ってった。何かを期待した顔をして。
妖しい格好の少年達と、大人の男。見えない建物の中に何があるのか、なんて想像力を働かせるには幼いか。

//大丈夫です、よろしくお願いしますっ
106◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/22(金)00:24:32 ID:MQB [1/4回]
>>105
変身前の彼はただの病弱な男の子でしかなく、長く白い病室で過ごした指は色彩が移ってしまったかのように、色素は薄く冷ややか。
だというのに生の鼓動をこの世に伝えんと赤く染まった頬は、急接近に伴って殊更に色濃く。

「そ、そうですけど……あの、ちょっと近……」

必然、柔らかな髪糸が近づいて、否が応でも人形めいて整った顔立ちを間近で見る事となる。
言いようのないこそばゆさに、堪えるように視線を明後日にやれば。己と同様に異色たる男達も自然と目に入る。
しかしその表情、建物に消えていく理由を汲み取れる程に、彼の知識は豊かではない。

「はぁ……穢れと浄化、ですか。そんな話は聞いた事がないですけど……」

要領を得ない言葉に思わずして生返事、引かれる手に任せて後ろをついて歩く。警戒を不安が勝ったか、握る指に微か力が入った。
押し退けたり抵抗したりする気は不思議と起きない。少年から一切の悪意を感じ取れないからだろう。
同時に、一度で理解できるかは別として。会話には応じてくれるし、問えば何かしらは答えてくれるともまた。

「あっちの大人の人達も、迷い込んだ人ですよね?あの人達は中で何をしてるんですか?」
107 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/22(金)01:50:54 ID:P8d [1/2回]
テスト
108◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/22(金)01:51:22 ID:P8d [2/2回]
>>106
「欲望と劣情。嫉妬と憎悪。あなたにも、在る物でしょう?
 一人では募るばかり。一人では膨れるばかり。覚えは、在りませんか?」

魔法少年になりうる程の心を持つなら、そんな覚えはなくったっておかしくない。
だけど、少しでも覚えがあるなら。病無く走り回れる体に焦がれて、壊れそうな思いを抱いたことだってあるかもしれない。
それが穢れだと、少年は付け加えた。

「……では覗いてみますか。いずれ貴方も、することですから。」

近くにあった建物の壁、彼がそこに触れると壁が透けた。

男の膝に少年が座って、一人分のスペースに二人で座っていた。
ローブを脱ぎ捨てて、露になった肌を寄せ付けて。背後の男に、煽るような視線を送る。
箍が外れたみたいに動き出した立ち上がった男は、少年を床に押し付けて、手を伸ばし―――

彼が手を離せばもう向う側は見えない。だけど、何が起きているのか想像はできる。できてしまう。

「受け止めるのです。穢れの、すべてを。」

耳元で、吐息とともに言葉を吐き出す。
そしてつないだ手を放して。指先が少年の腕をなぞって首筋にたどり着いたなら。
拒まないなら、そのまま抱き寄せるのだろう。額を重ねて、視線を重ねて。

「全てを吐き出せば、彼らは彼らの日常に帰ります。それが浄化ですから。」

また、笑った。偶像みたいに、出来過ぎた笑顔。
その背後に、揺れる何か。糸のような、紐のような、縄のような、触手。
それはゆっくりと、少年の耳元に近づいて、侵入しようと。

//すいませんレス吸われてました……
//大変遅くなってしまい申し訳ございません
//時間が時間ですので不都合でしたら凍結、また破棄していただいて大丈夫です
109◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/22(金)10:39:57 ID:MQB [2/4回]
>>108
己の身体を呪った事がないと言えば嘘になる。健常人を羨んだ事だって、両手では数え切れない程だ。
けれどその想いを一纏めに、穢れと言う名の悪しき感情と決めつけていいのだろうかと。迷いは沈黙を選んで、促されるまま透けた壁の向こうを見た。

「二人で何を――――っ!?」
「え、そんな……だって、男の人同士で……!」

最初は親子のようなスキンシップだと思っていた。息を飲んだのは、少年が衣と呼べるかも怪しい薄布を脱ぎ去った時。
獣欲に突き動かされる男を見てしまえば、流石にその後に続く行為は想像がつく。思えば、最初からそういう空気であった。
それでも信じたくはないと、微かに首を横に振って白い喉を震わせるのは。同性同士の愛のないそれが、彼には到底信じられないからに他ならない。

「ぁ……でも、あんなのっ……」

耳朶を擽る囁きに漏れる吐息。思考の追いつかない頭では蒙昧な否定の言葉しか紡ぎ出せず、同程度の背丈の身体は容易く抱き寄せられる。
合わさる額、色の失せた顔。混乱と動揺、未知への恐怖に見開かれた深紅の瞳。漠然とした拒絶で押し退けようと胸に触れた力は、悲しい程に弱々しく。
ぞわと冷たい何かが背筋を這い上がるような感覚。無意識の防衛本能が、耳を狙う触手を感じ取るや。

「いっ――――やだ!!」

甲高い悲鳴に励起された淡い光が彼を包む。遅れて巨大な赤い一枚布が、全身を覆い隠したのは瞬き程度の刹那。
光の粒子となって消えた布から現れたのは、か弱い病人の姿ではない。色彩のない世界に赤を齎すマホウツカイだ。
同時に少年を突き飛ばす、先程までからは考えられない強い力で。その成否に拘らず、続けざまに片手で振り上げるのは巨大な鋏。
開いたままのそれで忍び寄る触手を断ち、強い視線で少年を射抜く。
荒い息、狼狽に歪む眉。その佇まいは突然押し付けられた埒外の常識に、幼子がイヤイヤと我儘を言っているような。

//大変申し訳ありません、寝落ちしておりました…!
//こちらは大丈夫ですので、お手隙の際にでも返していただければ!
110◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/22(金)13:40:11 ID:25k [1/1回]
>>109
マホウツカイの力を以て突き飛ばせば、幼い体は実に容易に吹き飛んでいく。
壁に頭をぶつけて沈む。フリルスカートの隙間から顔を出す触手が体を起こせば、純白の額に赤色が垂れていた。

「───どうして。」

睨むでも怯えるでもない無表情、それは無感情でもなくて。
困惑故に、どんな顔をすれば良いかわからない。今自分が何故拒まれたか、心底理解できないようで。

「彼らは苦しんでいる。私には救う事が出来る。
ならばそうするのが正しいことでしょう。」

ひとつ、ふたつ、みっつ……スカートから覗く触手は、ざっと見積もって八つ。そのうち一つは断面が見えている。

「不要な苦痛も、苦悩も、取り除いて置きますから。
どうか身を任せて、共に。」

その言葉が、あの触手を受け入れた末路を語っていた。
誰だって少年と同じ、そう簡単に受け入れられる事じゃない。それがなぜ、あんなことが出来たかと言えばそれが答え。
ゆらり揺れる触手が一斉に向かい、四肢を狙う。まずは拘束を試みる。
強度はそれほどでもなかった。速度も対応できない程じゃない。その数をどう捌くか、それだけが問題。

//ありがとうございます、返信しておきますっ……
111◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/22(金)16:29:50 ID:MQB [3/4回]
>>110
傷つけるつもりはなかった、なんて言葉は強い力の前では詭弁に過ぎない。肌を汚す鮮血を見て、理性が怖気を押し退ける。
しかしだからと言って文字通り、心身共に明け渡す気になれるはずがない。どれだけ高尚な目的があったとしてもだ。

「……貴方が正しいと思うなら、その救いをボクは否定しません。そんな一時的な浄化、ボクは御免ですが」

生え出る触手を前に一歩も引かず、長く長く息を吐く。常識から剥離した光景を知ってしまった惑いを溶かすように。
手数の多さを見て取って鋏を分離、二本の剣を無造作に構える。衣擦れは赤い花弁の如く。
命までを取るつもりはない。あくまで自衛、侵食を諦めさせるための抵抗と武力。そう割り切れば手の震えも止まる。

「けれど他の魔法少年を巻き込んで無理矢理させるのは、認められません。そんなのはきっと間違ってます」

腕に迫る触手に合わせて刃を振るえば、ケープの裾がひらひら揺れる。
踊るようにステップを踏んで足を狙う触手から逃れ、合間に放つ一閃が躊躇いなく切り落とす。
よっつ、いつつ、むっつ。切断でもって対処するのは、すぐには再生ができないと読んだ故。

「だってそれじゃあ……あの人達が救われないじゃないですか!!」

病室めいて隔絶された空間で自由意志を奪われて、奉仕するだけの存在。断じてそれを肯定する訳にはいかなかった。
珍しく、感傷的な叫び。呼応して反応に遅れた瞬き程度の間。
無事であった最後の一本が左足に絡んだのは、振り下ろされた剣が届く数秒前の事であった。
112 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:19/11/22(金)17:36:14 ID:oHp [1/1回]
がんばれ!
113 : ■</b>忍【LV2,ポイズントード,ZF】[] 投稿日:19/11/22(金)17:38:26 ID:cG8 [1/1回]
ええやん
114◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/22(金)18:08:39 ID:hzm [1/1回]
>>111
千切れた触手は地面をのたうち、数度痙攣して動かなくなって霧散する。
蠢く断面からは再生の気配がしても、それに時間が必要なのは明らかだった。
最早ひとつひとつは武器にならないと判断したか、束ねて一本の触手を産み出した。
先端は鋭く尖った、うねる針のよう。

「……施せば沸き上がるのは喜び、でしょう。
人を救う私達が、どうして救われないと思うのでしょう。」

心底から沸き上がる言葉は、本の少しの思考の隙を産み出した。ぽかんと眼を見開いて、けれどまたすぐに無表情に帰る。
その刹那の間隙に、刃が触手にとどかなったなら───絡んだ触手が思い切り足を引いて、持ち上げて逆さに吊るすのだ。

「皆悦んで居たでしょう。誰も泣いて居ないでしょう。
であれば貴方は何を否定するのです。私達の、何を。」

眉を微かに歪ませて、紅玉の瞳を鋭く滾らせて。そこに微かに宿る感情は多分、怒りと呼べる物。

「それとも、貴方も、私達が穢れる事に意味はないと?」

//すいません、事情により23時頃まで落ちます……
//時間が時間ですのでロールの続行が難しければ寝落ちしていただいて大丈夫です
115◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/22(金)20:56:00 ID:MQB [4/4回]
>>114
「それは違――――ぅあっ!?」

ぐいと引っ張られて呆気なく宙吊りにされる身体は、膂力に反して軽く華奢。
フードが捲れて三つ編みが垂れ下がる。フリルがひっくり返って、露わになるのは純白のドロワーズ。
頼みの鋏も触手には届かない。自由な右足で宙を蹴り、触手で編んだ鋭い先端を気丈に睨んだ。

「……確かにボクだって、誰かを助ければ嬉しくなります」
「けれどこれは違う。貴方が彼らを、そういう風に勝手に変えてしまっただけだ」

初めは嫌忌から来る拒絶だった。けれど今は、なんとしてでもこの漂白された歪な世界を止めなければと思っている。
一体何が許せないのか、自分でも整理できていなかった。ただ胸の内から湧き上がる衝動のままに、只管言葉を紡ぐだけ。
無関係の魔法少年を巻き込んでいるからか、それとも男同士の睦言を是とは思えないからだろうか。あるいは――。

「――それにこうやって貴方の言う穢れを浄化したって、あの人達はそれだけじゃ救われない。楽になれるのは、ちょっとの間だけ」
「もっと直接的に……その人が困っている事をどうにかしないと意味がない。一時的に発散できたって、その後にもっと苦しいだけですから」

考えるよりも早く口をついて出た言葉であったからこれが心象の解に最も近しいのだろう。
夜は必ず明けて星は光にかき消える。花は散るから美しく、夢はいずれ覚めて胡蝶と踊る。
流転するのは魔法少年も同じ、変身はいつか解けて帰るべき場所と肉体に帰るしかないのだ。
その一時の慰みの心地良さと、現実との落差が齎す苦しみを、彼はよくよく知っていた。

「だから、ボクは貴方の行いを否定します。それじゃあ誰も、幸せになれない」

いつの間にかその手に握られていた鋏の影はなく、しかし燃えるような瞳に諦観は一切焚べられていなかった。

//了解しました、不安定で申し訳ありません…!
//こちらも次の返信は23時半を過ぎると思いますので、お時間が厳しいようであれば凍結していただいて構いませんっ
116◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/23(土)00:03:21 ID:vea [1/1回]
//帰宅遅くなりました……大変申し訳ないです。

>>115

「それでは──────」

それが偶像として完成されきっていたならば、少年の言葉など意にも介さなかった。
交わすことばに意味はなく、ただ自身のやるべき事を遂行する、それだけでよかった。
なのに心が揺れるのは、怒りすら抱いてしまうのは、決してそうはなれないから。

ゆっくりと、切っ先を向けたまま少年に歩み寄る。拘束は完成している、少年をどうするかなんて思いのまま、なのにそうしない。
それじゃ抱いてしまった感情が晴れない事ぐらい、わかってしまっている。

「───私が生まれた理由はなんなのでしょう?」

けっして、大きく表情がついている訳じゃない。眼だけで見れば変わらない無表情で、なのに。
深紅の瞳は微かに湿って、壮麗な言葉を紡ぐ口は歪んで見える。
ぐしゃぐしゃに、今でも泣き出しそうな、そんな風に。

「人を救う方法など、誰かに喜んでもらう方法など他に知らない。
それでも、私は生きている。ならば、人々は私を望んでいるのでしょう。
それが、私の意味なのでしょう。」

それがもし、違うなら───良いかけた言葉を飲み込んだ。
生まれた時からそれしか知らないんだ。華奢で白い、人形染みた体の使い道はそれしか無かったんだから。

「……余計なことを、話してしまいましたね。
こうすれば、わかってもらえるのに。」

触手がまた動き出す。少年が、なにも出来ぬままならば、それは脳髄をかき回して。
可愛い可愛いラブドールがまたひとつ。それで終わりだ。

//すいません予告以上に遅くなりました
//私は時間は大丈夫ですので、おきになさらず……
117◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/23(土)00:51:48 ID:tdR [1/5回]
>>116
黙って問いを聞いていた。さかさまの世界でさかさまの顔をじっと見つめて。
言葉に迷っているようではない。侮蔑や憐憫ともまた異なる、ましてや返答を拒否しているようでも。

「――ボクにも、自分が生まれた理由なんて分かりません」

ただ、踏ん切りをつけるためだけの猶予であった。
魔法少年でなければ、己の命の価値などそこらにいる同年代の子供以下であると。

「本当はボク、変身しないと外にも出られないんだ。毎日毎日検査と薬ばっかりで。なんのために生きてるんだろうって、たまに分からなくなる」

病院という名の籠の中で、ただそこに在るだけの日々。そこに意味を見出すのは、途轍もなく難しい。
自分の事でもそんな有様だというのに、他人の意義なんて偉そうに語れるはずがない。
だからこそぶつける答えは具体性に欠けて、それでいて心底から導き出した結論。

「でもね、きっとそういうモノなんだ。皆ずっと悩んでいて、どうにかしようとして、たまに間違って」
「それを繰り返して答えを探していくのが、生きてるって事なんじゃないかな」

そのための選択肢すら、常の彼の身体ではひどく限られているのだけれど。だからこそ迷い子のような面持ちの少年には、別の道を探してほしくて。
徐に偽りの空へと手を伸ばす。触手が耳の穴に手繰り寄せられるのを眺めながらも、そこに諦めは未だ浮かばず。
掌に集う光の粒子、形作られるのは一丁の小銃。間を置かず引金に力が加わって、銃声が木霊した。
撃ったのは足を吊るす触手、反動を利用して宙で受け身を取って着地すると同時にまた弾丸が吐き出される。
次に狙うは自由意志への侵入を目論んでいた触手、咄嗟の発砲故かやや照準は甘く。命中の成否を問わずに銃口は眼前の少年を見据えた。

「これだけはボクにも分かります。貴方は今、間違ってるって」
「だからこんな事はもう止めましょう。誰かを救いたいなら、他にも方法はあるはずです」

//お待たせ致しました…!
118◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/23(土)01:32:36 ID:B04 [1/2回]
>>117

境遇は、もしかすれば近かったのかもしれない。望まぬ檻に閉ざされて、動けなくって。
だから。紡がれる、眩しい言葉は毒でしかない。
自分にはそんな風に思えなかった。必死に、必死に生きる意味を探して、こじつけて、こうなったのに。
その言葉一つ一つに切り裂かれるようだった。人を救いたい、それすら、本当は───
一筋、瞳から涙がこぼれて。揺れる触手が停止した。その隙に。
拘束する触手は千切れて、束ねた触手もうなだれて地面に転がった。弾丸は、命中しなかったのに。

「……撃ってもかまいません。なんだか、わからなくなってしまいました。」

そのまま地面にへたり込んで、目を向ける事すらなくそう溢した。
撃てばそのまま、脳漿をまき散らして動かなくなる。簡単な事。

「幸せ、だったのです。誰かの救いになっていると思えている間は。
 なのに、全部、嘘に思えてきました。貴方のせいで。」

ぴとり、ぴとり。しずくが落ちる音が増えていく毎に、その声すら湿り出す。
泣いていた。初めて、明確に感情を表した。

「家族は誰も、私を褒めてくれませんでした。
 誰かに身体を預けて初めて、使えると言ってもらえたのです。
 ……それを受け止める以外に、何が出来たのですか?」

その顔を見上げれば。ぐずぐずのぐちゃぐちゃの泣き顔。
涙と一緒に、ふにゃふにゃになってしまった口元から涎まで垂らして。
偶像のかけらも残っていない。そこに居るのはただの、駄々をこねる子供の様な。
119◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/23(土)02:13:08 ID:tdR [2/5回]
>>118
不変の物が存在しないように、枝葉の如き触手もまた枯れ果てる時を迎えて地に落ちる。
黒い死の淵を向けたまま一歩、また一歩と歩み寄る。見下ろす表情に色は見出せず。
銃口と脳天の距離がまさに髪の毛一本程度まで縮まった時になって、ようやく足を止めた。

「――撃ちませんよ」

最初から撃つ気はなかった。生物とは思い難い触手はともかく、人を一人殺すなど。
突きつけた銃の先端から、光となって解けて消えていく。ゆっくりと膝をついて、目と目を合わせた。

「ボクは貴方の事を何も知りませんし、何が出来たのかも分かりません。だから昔の事を答えるなんて出来ません」

冷淡にも思える言葉を柔らかな語勢で紡ぐ。それは断固として突き放している訳ではないから。
過去はとうに過ぎ去って、知る事も変える事も叶いっこない。救いのために捻じ曲げられるのは、未来しかないのだ。

「でもきっと貴方なら、これから出来る事が何か見つかるはず」
「今は少し間違えてるだけだけど、こんなにすごい事が出来るんだもの。別の何かに生かす事だって出来るんじゃないかな」

濡れた頬を指で拭って、ぎこちない笑みを浮かべる。泣きじゃくる人と話すのは不慣れだった。
けれど語りかけるのはどれもこれも気休めのつもりでは毛頭ない、真摯に考えて捻り出した言葉の欠片。

「もし何も思いつかないなら……まずはボクを救うと思って生きてくれませんか?」
「普通の生活を送って、たまにボクに会いに来てくれるだけでいいんです。お見舞いには親しか来ないから、年が近い人のお話も聞きたいんだ」

学校に行くという、当たり前の事を知らなければ友達だってできっこない。自然と病室に訪れる人間は限られるし、彼らだって滅多にやって来ない。
つまり身内以外の見舞いの相手が増えるというのは、彼にとってのちょっとした欲望のようなものであり。
それを解消できるのは同じ魔法少年かつ、同年代であろう少年が最も近いと言えるのだ。
120◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/23(土)02:46:50 ID:B04 [2/2回]
>>119

「……私は、貴方みたいにきれいになれない。」

自分の過去も、その所業も消えやしない。これからできる事なんて言われたって。
未来がどんなにキレイであっても、過去も今も醜いなら意味なんて。
だからこそ、少年はそう言うのかもしれないけれど。

濡れた頬に触れる指は、冷めた空気の温度がした。なのになんだか、温かくって。

「それでも、そうしろと言うのなら……
 後悔すると思いますけど。」

諦めに似た感情だった。空っぽになってしまったから、受け止める事しかできない。
本当は、きっと、今自分で引き金を引くべきなんだろう。
諦めなんて甘えただけ、決着を自分でつけてしまえばいいのに。
だとしても、そんな勇気はなくて。それに―――

「……だって、私も、大した話はできませんし。」

ぎこちない笑みに返す笑みは、やっぱりまだぐちゃぐちゃになったままで。
でもどうにか、必死に作って笑いかけた、その事実が何よりも。
笑いかけられて、笑って。そんなことは初めてだから。
121 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/23(土)03:03:01 ID:G13 [1/1回]
>>119
//すいません、こちらで一度凍結していただいて大丈夫でしょうか
//次か、そのつぎにはしめるつもりですので……
122◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/23(土)03:04:59 ID:tdR [3/5回]
>>120-121
「ボクは綺麗なんかじゃありませんよ。今だっていっぱいいっぱいだもの」
「それにどうせなら、カッコイイって言われたいじゃないですか」

いつまで経っても慣れない賛辞の言葉を受けて、笑みに混じる仄かな苦味。
涙が指先に生命の熱を伝える。どれだけ日本人離れした容貌だろうと、同じ生きている人間なのだと声高らかに叫ぶように。

「後悔なんてしませんし、ボクには大した話じゃなくても楽しいんです。病院の中に比べたら、つまらないなんて事はないんですから」
「それに……いや、なんでもありません」

その間に様々な事を見聞きして、また新たな答えを見つけられたのなら。それもまた、救いたり得るのだと。
言いかけて止める。それこそまるで変に気を回した、安い同情のような気がして。
代わりに今度は自分から手を伸ばす。透明な雫に濡れた地面から、共に立ち上がろうとするために。

「さ、まずは他の人達を解放してあげましょう。皆、それぞれが考える生き方があるんですから」

//凍結了解です、一先ずお疲れ様でした!
123◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/23(土)16:23:44 ID:BPe [1/1回]
>>122

謙遜されてしまったって、そう見えることに変わりはなくって。
悩んで、苦しんで、繰り返して繰り返してそれが生きることだと言えてしまうなら。
抱えた傷口すら綺麗に映ってしまう。ひび割れた水晶が、光を乱反射してより輝くみたいに。

「……そう、ですね。彼等の時間を返しましょう。」

微かに射した陰は、その笑顔のぎこちなさに紛れているだろうか。
彼等の時間を手放す事が出来たなら、それで物語はハッピーエンド。笑って眠れるだろうけど。
過去が消えないなら、所行が消えないなら、消せないなら。消したいと願っても、元通りを願っても、もう。
病室の中だと、せめて心地よく眠ってほしいから。自分で背負ってしまえばいいかと、口を結んだ。

「───名前を、聞いても良いですか。
必ず会いに行きますから。」

「私の名前は、塵/ちりと言います。
記憶の隅に置いておいていただけるなら、良いなと。」

世界の輪郭が歪む。陽炎のように揺らめいて、消えてしまいそうな。
別れの時間が近いようで。

//ありがとうございますっ、返信です
124◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/23(土)18:51:10 ID:tdR [4/5回]
>>123
陰に隠れて抱いた罪の逆十字を、見えないままに微笑み返す。
閉ざした唇の思惑通りに。これでよかったのだと、安堵の布団に包まれて今宵の眠りを迎えるのだろう。

「ボクは一颯。赤栩一颯。ずっと病院にいるから、いつでも来てください。楽しみにしてます」

世界の終焉に先んじて解ける変身、夢の目覚めはもう間もなく。
失せるおさげ、中性的な顔立ちはそのままにどことなく不健康を思わせる肌の白さ。
ここで別れても出会いの証たる温もりは忘れてしまわないように、緩やかに手を握った。

「またね、塵くん。会いに来てくれるのを、楽しみにしてるよ」

朧に揺らめき始める空間の輪郭程に茫漠とした、不安定極まりない口約束に過ぎないけれど。
そこに一切の疑いはなく、無邪気にして健気にその時を待ち続けるのは確かなのだろう。
彼から何かを言えたのはおそらくそれが最後。瞬きを境にして、次に視界に入るのはきっと見慣れた病室なのだ。

//お待たせしました、そろそろ〆でしょうかっ
125◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/23(土)19:34:23 ID:E96 [1/1回]
>>124
//そうですね、こちらで〆で。後程〆のレスを書きますね!
//ところで相談なのですが、このまま1対1の状況が続くかもしれません。それでもよろしければ運営を続けようと思うのですが如何でしょう?
126◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/23(土)19:41:32 ID:tdR [5/5回]
>>125
//それでは一足先に、ロールありがとうございました!
//こちらとしては運営を継続していただけるなら、時間が許す限りは参加を続けていきたいと考えています…!
127 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/23(土)22:26:39 ID:fd0 [1/1回]
>>126
//ありがとうございます、私も出来る限りやらせていただきます!
128◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/24(日)23:09:07 ID:73m [1/1回]
月夜の静寂を甲高い悲鳴が切り裂いた。響いたのは寂れた公園、切れかけの電球が驚いて不安定に明滅する。
女のものだった。背格好からして、帰りが遅くなった学生だろうか。それが仰向けに倒れ、顔を手で覆っていた。
指の隙間から垣間見える彼女の顔はひどく醜い。どうにも溶かされてしまったかのように、皮膚が爛れて肉が覗いていた。
見れば制服の所々に穴が空き、その下の肌もまた焼き鏝を押し付けられたかの如く焼けて、身を襲う苦痛を想起させる。

「ごめんねぇ?僕も本当は、こんな事したくないんだけどさ」

その隣に佇んで微笑んでいる子供がいた。強いウェーブのかかった若緑の髪、シャトルーズグリーンの蛇めいた瞳。
黒いヘッドドレスから垂れる薄いヴェールが薄らと隠す楽しげな面立ちは、齢にして干支を一巡りした頃に見える。
黒いベアトップ、膝までのスパッツにマイクロスカート。手には蛇が巻きついた意匠の木製の杖を携えて。
痙攣する少女の掌を踏みつける。言葉とは裏腹に弾んだ口調からして、この状況を作り出した犯人であるのは明らかだった。

「ほらほら、頑張って?助けが来てくれるまでの辛抱だからさ!」
129◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/26(火)00:20:52 ID:nOL [1/7回]
>>128
塗装の禿げた遊具が佇み、錆び付いたブランコが軋む。忘れ去られたその場所に響く悲鳴。
痙攣する掌が血だまりをたたいて水音を鳴らす。ぐちゃぐちゃの声と体を嗤う少年が、この惨状を産んだのは明らかだった。

「―――やめろ!!」

その声を上げたのは、同じ奇跡の産物の一人。マホウツカイの少年だった。
息を荒げて、揺れる肩と胸。コートの下は裸だなんて格好だからひどく分かりやすい。
顔は青ざめて、紅色のチークがひどく目立つ。かみしめた唇は、言葉の勇ましさに反してひどく不安げ。

その存在は聞いていたが、知っているのと経験するのは違う。
漫画みたいな、アニメみたいな、そんな力だと思っていた。人の為に在るものだと。
そこにはそんな、爛れた顔なんて出てこない。底なしの悪意なんて。

//しばらく置きになってしまいますが、良ければ!
130◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/26(火)01:12:24 ID:Ic3 [1/6回]
>>129
声に反応してゆっくりと振り返れば、ヴェールが愉快そうに弾んで街灯を透かす。
唇の端は最初から吊り上がっていた。されど同種にして異種である少年を見て取って、その喜色は殊更に色濃くなったようだった。

「あは――やっと来てくれた!」
「よかったね、おねーさん。死んじゃう前に助かって、さ!」

今まさに足蹴にしている存在さえなければ、声も仕草も、表情ですら年相応の無邪気さ。
サッカーボールか何かのように、少女の鳩尾を強く蹴飛ばしてもそれは変わらない。
潰れた悲鳴を伴って、訳の分からない衝撃に惑う少女は少年の足元に転がるだろう。

「おにーさんはマホウツカイさんかな?わざわざ止めるんだからきっとそうだよね」
「ま、どっちでもいいんだけど。おにーさんに用事があるのには変わらないからさ!」

つまるところ、宵闇の凶行自体に目的がある訳ではなく、他の同類、即ち魔法少年を呼ぶためのものであり。
この少女はただ目についたからという理由だけで、喉を枯す呼び笛に仕立て上げられただけに過ぎない。
他者を捨て石にしたからといって心を苛む罪悪感など皆無、杖を抱え持って軽い足取りで少年へと歩み寄る。
さあ罰してみろ、とでも言わんばかりに距離を縮めて、止まるのは互いに手を伸ばせば届く距離。

//ありがとうございます、よろしくお願いしますっ
131◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/26(火)01:23:02 ID:nOL [2/7回]

>>130
暗闇に紛れてよく見えなかった惨状が足元に転がってきた。
皮のなくなった人の中身は、まるで化物か何かにしか見えなくって。恐怖が喉を締め上げて、酷く弱弱しい呼吸が漏れた。

「……なんで、こんなこと。」

答えが貰えるとは思っちゃいない。悲鳴の代わりに、言葉が出てきてしまっただけ。
握った拳は小さく震えて、怯えた瞳は潤みだす。マホウが使えたって、その中身はただの高校生だから。
罰するなんて考えが浮かぶはずもなかった。彼を満たすのは怒りじゃなくて、ただの恐怖。
一歩踏み出し距離を縮めるなら、同じく一歩後ずさって距離を保つ。
二歩目、同じく。三歩目で、ようやく少女の事を思い出して、慌てて転がる手をつかんで引っ張った。
爛れた肉をつかむ感触が、背筋に悪寒を走らせて。汚いものを触れてしまったとでも言わんばかりに話してしまう。

「まだ、この人助かるかもしんない、から。
 今から、病院に連れて行くから。」

戦うなんて、怖い。怖くてしょうがない。
目の前の少女は助けたいけど、怖い思いはしたくないなんて。そんなどうしようもない感情が、情けない台詞を吐き出した。

//ありがとうございます!
132◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/26(火)01:48:48 ID:Ic3 [2/6回]
>>131
逆上するでも義憤に駆られるでもなく。滲み出ている恐怖心を察すれば、意外そうに眉を持ち上げた。
とはいえ、微笑を象る口角が変わる訳ではない。

「ふ、ふふっ――あっははは!何言ってんのさ?そんな事させる訳ないじゃん!」
「魔法少年さんに気がついてもらうために、わざわざ大きな声をあげるように痛めつけてたんだからさ!」

堪えかねて、花弁が弾けるように笑い声をあげた。楽しげに語る内容は、人を人と思っていない所業だというのに。
彼に良心の呵責はないにしても。敵対する可能性を孕んでまで、魔法少年との遭遇を求めるだけの理由があるのだろう。

「まあいいや。連れて行っちゃう前に、ちょっとだけ僕のお願いを聞いてくれれば」

そしてその真意は、やはりどこまでもマモノツカイらしい。

「――僕のために、死んでくれないかな」

杖が弧を描いて先端を向ける。刹那、躊躇いもなく少年に突き立てたのは露出した胸の中心。
打撃に近いそれはしかし、何らかの粘液に覆われててらてらと光る。もしも触れたのならばそれだけで、溶解に伴う痛みが走るはずだ。
133 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/26(火)01:52:35 ID:nOL [3/7回]
>>124

陽炎となって消えた世界。少年が見慣れた病室に帰ったなら、それもまた人に帰っていく。

街はずれに潜む、蔦の這う洋館の中。天蓋付きのベッドの上。
彼はその中で、変わらない姿で佇んでいた。

『いやー、感動的な出会いだったね。』

ぱん、ぱん、ぱん。わざとらしく手をたたく、制服姿の少年が彼の目の前に立っていた。
張り付いた胡散臭い笑みは感情をぼやかしてしまうけど、少なくとも言葉通りの感情はないらしい。

『でも───わかってるよね?
 君が捕まえたマホウツカイは、もうただの魔力なんだから。助からないよ。』

あの世界に取り込まれた者は、彼の魔法の一部となり戻らない。
迷い子の欲望を受け止める器とし、その欲望をさらなる魔力へと変換する。
そんなことは、誰より自分が知っている。だからこんなに苦しくて、悶えてしまいそうなのに。

『僕らの目的は、僕らが協力しなきゃ叶わないんだ。頼むよ。』

「……ええ。役目は、果たしますから。」

責める様に、じっと見つめる視線から逃げ出して。縋るように空を見上げれば、流れ星が一つ。
その刹那に三度願いを唱えるより、自分で叶えてしまう方が簡単だろう。だって彼らにはマホウがあるのだから。

//遅くなりましたが〆の文章と設定を置いておきます
134 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/26(火)01:52:53 ID:nOL [4/7回]
!add

【ミーティア】
魔法少年を捕縛、或いは殺害し魔力を収集するマモノツカイの集団。
方法、目的は不明だが、魔力を集めることで願いをかなえられるとしているようだ。
>>1に追記(2回目)
135◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/26(火)02:03:11 ID:nOL [5/7回]
>>132

「―――ひっ」

反応は本能に近かった。先端が向いた瞬間に大きく後ろに飛んで、その杖を払おうと手を伸ばす。
獣の脚力を以て飛べばそれを回避するには十分。しかし伸ばした手が杖に触れれば、そこに焼けるような痛みが走る

「いっ……」

四肢は獣。肘までを覆っていた銀の毛が、その一部分だけが解けて肉をさらしていた。

(なんなんだよ、こいつ)

頭の中身が恐怖に埋まっているのは変わらない、今だって、少し気を抜けば震えだしそう。
だからこそ、怯えるからこそ決意する。やらなきゃやられる、自分もあの子も。

「……っぁぁぁあああああああああ!!!」

抱いてしまった恐怖を振り切るように叫んで、駆ける。
姿勢を極限まで落とし、自身の体を矢として飛ぶ。一直線、単純な軌道だが故に最速。
所謂諸手狩り。突進の勢いのまま彼を押し倒し、拘束しようとするだろう。
136◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/26(火)02:29:50 ID:Ic3 [3/6回]
>>135
「――あれっ?」

空振り。それだけではなく、意図しない方向に払われる。
思い通りに行かなかったと理解するまでの、間の抜けた呟きは暗雲の暴力にはとても似つかわしくなく。
無論ただぼんやりとしているだけではない、即座に杖を構え直して飛び退いた少年を見据えたが。

「うわ、わっ!?」

野性に満ちた獣と同等の瞬発力に叶う程の反応は持ち合わせていないらしく、呆気なく取られる足。
体格差からして勢いに押し勝てるはずもなく、両足が浮いたのも束の間。
背中から地面に叩きつけられて、微かな呻き声を上げる。拘束されているにも拘らず、その口許は尚も三日月の笑みを浮かべたまま。

「いったぁ……おにーさん、結構野性的ぃ……」
「でもさ、ちょっと甘過ぎるんじゃないかな。それとももしかして……本当は僕に殺されたいの?」

土の上に広がる若草の髪。追い詰められている側だというのに、すうと細められる蛇の瞳。それは正しく毒を持つモノで。
もしも少年が、彼の露出の高い身体のうち素肌を抑えつけているのならば。
そこから分泌される粘液は杖の時と同じもの。じわりじわりと肌から滲み出て、触れるものを苛むだろう。
137◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/26(火)02:40:57 ID:Ic3 [4/6回]
//すみません、一旦凍結をお願いしてもよろしいでしょうか…!
138 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/26(火)02:41:18 ID:nOL [6/7回]
>>137
//了解しました、いったんお疲れ様です!
139◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/26(火)03:19:14 ID:nOL [7/7回]
>>136
目論見通りのマウントポジション。突進の勢いのまま押さえつけたのなら、自身の頬が胸に密着する。
迷いはなかった。このまま、胸に爪を突き立てる。しかしそう決めて動いた時にはもう遅く。
頬に、胸に。敵に触れていた素肌に走る激痛。飛び退くように体を起こせば、溶けて剥がれた皮が落ちる。

「ああ、あぁ……痛、っあ、ぐ、ああぁぁぁ……」

粘液をはがそうとそこに触れれば、その手にまで痛みが走る。
溢れる涙は頬の血に混じって赤い。瞳孔はすっかり縮んで、酷く哀れな姿をさらしていた。

「何がしたいんだよ、なんなんだよお前!!」

濡れてぐちゃぐちゃになった声で叫べど、誰かが助けに来てくれるわけもなく。
それだけ惨めになっていても、生きようとする意志だけはまだ働いているようで。
下半身だけで抑えつけている状態、拘束はかなり緩んでしまったが好機に変わりない。
振り下ろす爪、心臓めがけて軌跡が一筋。これを逃しては今度こそ終わりだと。
140◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/26(火)17:44:37 ID:Ic3 [5/6回]
>>139
「だから言ってるじゃん。僕の為に死んでってさ!」

頬に落ちた薄い赤の雫を舌で舐めとって、宣告する調子はどうしたって明るいままで。
あくまでも魔法少年の命を奪うため。それだけを原動力にしているのだろうが、手段を選ぶつもりは更々ないのだろう。
無辜の人を利用する辺りからも明白な性根、顔までも溶かしてしまおうと指を伸ばしかけて。

「――――っぶな……!!」

人は痛みに弱い。激烈なそれを本能が拒絶して、逃れようとするのは至極当然な働きだ。
だから涙まで零している獲物が、偏に生への執着にしがみつくがために爪を振り下ろせるとは、夢にも思っていなかった。
月光を反射する切っ先は、心臓を守る皮膚に寸前届かない。両手で掲げ持った杖で、指と指の間に差し入れて受け止めたのだ。
とはいえ獣の膂力に叶う程、身体能力を底上げされている訳ではないらしく。体位の優位差も相俟って、少しずつ腕の位置は下がっていく。

「っ、ヒドいな……僕に、もう一度死ねって言うワケ……?」
「他の魔法少年を殺せば、その命はきっと僕のモノになるんだっ……!だから僕が生き返る為に、おとなしく死んでよ……!!」

不可解な言葉だった。まるで一度、冥界に誘われた事があるかのような。
どのような妄想、因果、奇跡に依るものであろうと。誰かの命を己がモノにして二度目の生を得られるだなんて、偏執病もいいところだというのに。
鋭い先端が胸を辛うじて覆う布を裂く。その内に秘められた、薄い表皮に僅か食い込んで血粒が溢れる。
最初の余裕は剥がれつつあり、歯を食いしばって耐え続けるのは、抑えつける下半身を冒す毒液を頼みとしているから。
言ってしまえば我慢比べ、どちらが先に根負けするかの勝負だった。

//凍結ありがとうございました、お返ししておきます!
141◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/26(火)17:51:39 ID:FiV [1/1回]
>>140
//すいません、今から所用で落ちてしまうので返信は23時頃になります
//時間が厳しい場合は寝落ちして頂いて大丈夫ですので……
142 : ◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/26(火)18:14:04 ID:Ic3 [6/6回]
>>141
//了解しました、そちらのペースで大丈夫ですのでお気になさらず!
143◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/26(火)23:56:06 ID:pMY [1/1回]
>>140
肉薄する爪と杖、膂力はこちらが上なら、少しずつ心臓に近づいていく。
薄布を裂いて、切っ先が肉にめり込んだ。

「……わかんねぇよ!人を殺したって、生き返れる保証なんて───」

敵の事情なんて知らないのだから、ただおかしいと思うことしか出来ない。
目の前で人を殺す様を見てしまったのだから、可哀想、だとも。
恐怖とアドレナリンが痛覚を麻痺させていた。だから。
自分の脚の肉が、ほとんど消えてしまうまで、その事に気づけなくって。

「───え」

拘束が一気に解ける。片足が体から離れて、転がって。押さえることも出来なくなって、彼は倒れた。
断面はぐずぐずになって、それが自分の脚であったことすら信じられないぐらい。
ひどく現実離れした光景に、脳が一瞬混乱して、だからそれは遅れてやってきた。

「………いた、い、い、っがぁぁああああああ!!」

上がる叫びはまさしく獣。悶えて転がって泣き喚く。
無防備。最早相手が見えていないのかもしれない。
脳を麻痺させてくれる物はもうないのだから、ただただ誤魔化していた痛みがやってくる。
涙と血でぐちゃぐちゃになった顔、更にいろんな体液を溢して酷く醜い。


//おそくなりましたが返信を置いておきます
144◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/27(水)00:35:46 ID:B9i [1/4回]
>>143
今を生きていると一所懸命に鼓動する心臓。全身に血を送る器官。一息に貫かれてしまえば、それでおしまい。
肌を裂いて肉に沈んで、致命に触れるか触れないかという距離に至って。見開いた瞳に、初めて死を垣間見た恐怖が宿ったような。
力負けの寸前で震える腕。脈動の拍子に貫かれてしまいそうな段になって、ずしりと乗っかっていた重みが失せた。
好機到来と遮二無二横に転がって脱し、杖を支えにして覚束ない足取りで立ち上がる。

「あは……痛そうだね……!」

軽口に余裕はない。粛々と血を流す胸に手を当てて、苦しげに眉を寄せる。
人を殺す逡巡は皆無であったとしても、己に迫る死に無頓着でいられはしない。悲鳴の方を見やる眼差しは憎々しげですらあり。
掌の生暖かな感触に目を落とす。真っ赤に染まったそこを見て、心底困ったように眉尻を下げた。

「ううん、参ったな……こんなにヒドい怪我じゃ、また兄さんを困らせちゃう」

狂騒にまるでそぐわない言葉を事もなげに放つのは、やはり心のどこかの箍が外れているからだろうか。
一歩、二歩と不安定に後退る。追撃に移行しないのは、再びの窮鼠の奮起を警戒しているが故。

「痛いよね、苦しいよね?それが生きてるって事だよ」
「ああ、本当に――嫉ましい。僕だって、まだマホウツカイでいたかったのに」

吐き捨てるのは激情の如く、呼応して胸から溢れた鮮血が土を汚した。
その跡だけを残して、更に数歩の距離を置いたならば。呼び止められでもしない限り、闇の塒に沈んでその場から消えるのだろう。
145◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/27(水)01:19:42 ID:LWC [1/2回]
>>144

「ま……いっ………」

待て、その一言すら言えずに。激痛は唇を動かす事すら許さない。
零れる血は抑えても抑えても止まらずに、意識とともに流れ出していく。
手足を?がれた窮鼠が猫を噛むこと等ある筈もなく、後退るならそのままに。
口の端から漏れる唾液は、すさんだ呼吸と混ざって泡になりかけていた。

「ちくしょう……かってに……」

悲惨な面をされたって自分には、何も関係ない。
口にする妬みも、激情も。その根を知りえないのだから受け入れようがない。

消えていく意識。戻らない感覚。脚はもう、在るのかないのかすらわからない。
死にかけた少女の事を思い出し、近くに在る筈の彼女の体を探す。
ピクリとも動かないその体は、意識を失ったのかそれとも命までもを失ったのか。
苦痛の中に後悔だけが混じる。自分も、少女も、何も守れずに。

「まっ……て、まだ……」

微かにのぞかせた苦悩の欠片、それすらつかむこともできずに。
誰かのためになりたいなんて思っていた自分が、酷くばからしい。

//何もなければこちらで〆でしょうか?
146◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/27(水)01:24:48 ID:B9i [2/4回]
>>145
//そうですね、こちらからはこれで〆になりますっ
//お付き合いありがとうございました!
147 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/27(水)01:25:37 ID:LWC [2/2回]
>>146
//二日間お付き合いありがとうございました!
//お疲れさまでした!
148 : ◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/27(水)01:26:37 ID:B9i [3/4回]
キャラシ置いておきます!

【名前】蛇淵 空人(じゃぶちあきと)
【年齢】20/大学三年生
【容姿】
今風にセットされた明るい茶色に染めた髪、切れ長の細目。
身長は175cm近く、やや痩せ型。柔和な表情を浮かべている事が多く、総じて穏やかそうな印象を与える。

『隷衣装着』
強いウェーブのかかった若緑の髪、シャトルーズグリーンの蛇めいた瞳。体つきは小学生程度のもの。
黒いヘッドドレスから垂れる薄いヴェールが、薄らと顔立ちを覆い隠す。
黒いベアトップ、膝までのスパッツにマイクロスカート。手には蛇が巻きついた意匠の木製の杖を携える。

【マホウ/マモノ】
『泡影インウィディア』
『大蛇』のマモノを使役するマモノツカイ。
全長は5m近くあり、胴も丸太ほど太い。牙から分泌される毒液はすぐに揮発するが、強い腐食性がある。

隷衣として纏うと、外見・人格共に故人である双子の兄『海斗』に変質する。
蛇が巻きついた形をした、木製の杖を武装とする。これは毒液を生み出し、付着させる事で対象をゆっくりと腐食させる。
また自身の皮膚からも毒液を分泌する事が可能となる。

【概要】
市内の大学に通う三年生。仕送りと居酒屋のバイトで生計を立てている一人暮らし。
8年前に魔法少年だった双子の兄『海斗』を不慮の事故で亡くした後、まるで憑依されたかのようにマモノツカイとして覚醒した。
人当たりの良い好青年だが、互いに兄と呼ぶ双子の片割れに対する妄執だけは常軌を逸している。
蛇は生と死の象徴である。即ち兄弟と同じ魔法少年の命を奪い続ければ、いつか生き返ると本気で信じている狂人。

『蛇淵海斗』、享年12歳。元マホウツカイであり、マモノツカイと相対した際に命を落とした。
以降は双子の縁故か、空人が変身する事で人格がマホウツカイの頃の姿のまま表出する。
かつては勧善懲悪を良しとする素直な善人であったが、現在は良心が欠如したかのような言動に。
魔法少年の命を奪い、自分が生き返るためならば手段は選ばない。
149赤栩一颯◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/27(水)03:02:53 ID:B9i [4/4回]
市内の総合病院は午後から混雑していた。外来や見舞客が合わさって、静かながらも賑わいを見せる。
敷地内のちょっとした広場にもまた入院患者を含め、憩いを求めて訪れる者がそれなりにいた。
患者衣の少年もまた、毎日の細やかな運動のために足を運んで、青々しい芝生を踏んだ。
普段は病棟の中を歩くだけでここまではやって来ないのだが、今日は偶々調子が良かったのだろう。陽光を浴びる肌は日焼けを知らない白さ。
少し歩いたら病室に戻ろう。赤い瞳を眩しげに細め、そう考えながら一歩踏み出した時、それは起こった。

「――――あ」

か細い声が肺から漏れる。身体が大きく傾いで、ふらつく足元。華奢な体躯は今にも倒れこみそうで。
世界が暗転したと錯覚しそうな眩暈、誰かに聞こえてしまいそうな程の動悸。
彼にとってはそう珍しくない発作。しかしここは屋外、起立している今タイミングは著しく悪いと言えた。

//お返しは朝以降になりますが…!
150 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/28(木)00:12:36 ID:bvt [1/1回]
//生存報告です……
//今日はロールできませんでしたが、明日は夕方以降時間があるので返信させていただきますね
151◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/28(木)20:16:10 ID:Oi3 [1/3回]
>>149
倒れる体を支える細腕。ふわりとなでるレースの感触。
純白の指と紅玉の瞳。あの時と変わらない姿で傍に立っていた。

「名前だけで出会うのは、少し無茶だったかもしれません。
 時間をかけてしまいました。ごめんなさい。」

患者衣よりも白いドレスと青白い肌は、幽霊染みて浮いているけれど人目を集めたりはしない
あの時と同じ姿、なら人々には認識できないところまで同じ。

「変わらず綺麗なあなたですから、見つけるのに苦労はしませんでしたが」

何処か照れ臭そうに笑う姿は、もしかすると初めて見せるかもしれない。

//お待たせしましたっ
152赤栩一颯◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/28(木)21:04:28 ID:lCh [1/3回]
>>151
抱きとめられた身体は細く軽く、それだけで長い入院生活を想起させる。
体重を預け、倒れてしまうのを防ごうと咄嗟にしがみついて、細指が薄い生地を撫でた。

「っ……は、……ぅ……」

激しく息を切らし、だというのに血の巡りを忘却してしまったかの如く蒼白を呈した頬。
緩く瞼を閉じ、発作が治まり呼吸が落ち着くまでの少々の時間を経て、ようやく顔を上げた。

「あっ……嬉しいな、本当に来てくれたんだ」

その温もりが、いつか夢幻で約束した相手だと気がつけば、あどけなく自然な表情に返すように、唇は笑みを象るが。
ただでさえ中性的な風貌はどこか魔法少年らしくない弱さを色濃く孕み、硝子めいた儚ささえ思わせる。
現実にはこんなにも虚弱であると。最も顕著である瞬間を見られてしまったのがどうにもバツが悪いように思えて、苦笑を零した。

「あはは……綺麗なんかじゃないってば。それよりも、カッコ悪いところ見られちゃったな」

//すみません反応遅れました、よろしくお願いします!
153◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/28(木)21:52:13 ID:Oi3 [2/3回]
>>152
形作る笑顔は明るく、だけどその儚さは隠せずにいて。

「そうでしょうか。私には変わらず、強く見えていまけど。」

だけど、これだけか細くいても自身の生を肯定できるのならば。
傷に光が乱反射して罅の入った水晶玉の様。より強く、輝いて見える

「それにマホウがあるのですから、肉体の強さなど関係ないでしょう?
 こうやって、会えるのですし。」

曇り一つない笑顔で言い放つそれは、きっと励ましに違いなく。
けれどそれは、自由な体を渇望する少年の心を何一つ理解できていないと言う意味でもあった。
マホウがあれば自在に動ける。自分にだって会える、それでいいんだと思い込んでいる。

「……何をお話ししましょうか。
 実のところ、私も引きこもりがちなので……大したことは言えないのです。」

少年の体を近くのベンチに導けば、その隣に自分も。
病的に見える程白い肌に、ドレス越しに透ける体。起伏はなく、けれど陰の多い体は確かに、健康とは言えなさそう。

//こちらこそ遅くなりました……


154赤栩一颯◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/28(木)22:31:57 ID:lCh [2/3回]
>>153
「……そう、かな……そうだよね。こんな体でも、マホウがあれば……」

自分に言い聞かせるような言葉だった。病弱な身体を肯定するための、しかし健康への羨望が簡単に失せるはずもなく。
弱い立場であるというのは、自虐的なまでに自覚している。だからこそ、マホウを得た意義は他者への還元に見出される事となるのだ。
励ましてくれているくらいは分かる、それでも浮かべた微笑はどこかぎこちない。

「ボクもほとんど外に出られないから……こうやって誰かとお喋りするのには慣れてなくって」

努めて深く呼吸をする。酸素が肺に充足するように、血液が全身に行き届くように。
微々たる努力だがやらないよりはマシ、促されるままにベンチに深く腰掛けて背凭れに体重を乗せた。
深呼吸に合わせて上下する胸。先程までよりも幾分か落ち着いた、それでも健康的とは言えない顔色で隣をまじまじと見つめ。

「あのさ。歳、多分同じくらいだよね?」
「その……出来ればさ。敬語じゃなくて、普通に話してくれたら嬉しいな」
155◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/28(木)23:21:22 ID:Oi3 [3/3回]
>>154
ぎこちない笑みに顰める繭。自分が何を言ってしまったなんてわからなくって。

「……どう、しました?」

不安げに、その瞳を見上げた。

「普通にですか……ああ、えっと、普通に。」

彼が育つ上で仕込まれた言葉はそれしかなかった。
対等に接することのできる、友達呼べる存在は彼にとっても初めてで。

「普通に話せばいいんで、あ。普通にですよね!
 ……ああ、もう。ちょっと、難しいかもしれません。」

それが彼にとっての普通。直すのはちょっと難儀かも。

さて互いに慣れないおしゃべりの間、沈黙がふらりやってきて。
所在なさげに指をくるくる弄って、どこに置けばいいかもわからず。ちらり顔を覗いて、隣に手を置いた。

「……そう言えば、どうして魔法少年になったんですか。
 いえ、なりたくてなれるものでもないですけど、続けるのって、理由がある筈ですし。」

そんな、焦りながら出した話題。
156赤栩一颯◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/28(木)23:52:27 ID:lCh [3/3回]
>>155
ゆうるりと首を横に振って、気にする必要はないと。赤い視線が絡まっても、それ以上を口にする事はない。
言えるはずがなかった。本当はマホウツカイの特権を行使して、欠陥品の身体を治したいだなんて。
その為に誰かの命を踏み躙るなんて事はしたくなかったし、何より。それを一度言葉にしてしまったら、欲望に押し流されてしまいそうな気がして。

「ふふっ、無理しないで。ゆっくりでいいよ、時間はあるんだから」

無意識に胸を手で抑えつつ、変声期前独特の鈴鳴の声で笑う。今度は無理のない、ごく自然なもの。
その響きが陽の光に溶けてふと訪れた沈黙に、所在なさげに服の裾を指で弄った。
口下手なつもりではないのだけれど、立場を然程気にせず話せる相手となれば、無意識に緊張していたのかもしれなかった。

「え?……ああ、ボク?」
「大した理由じゃないよ。最初はとにかく、外に出られるのが嬉しかっただけだもの」

だからつい聞き返して、すぐ一人で合点がいったように小さく頷き。
まず語るのは切欠に過ぎない。自分でも分かっているからこそ、頤に指を添えて少しの考える間。
言葉に悩む、というよりは。伝えていいものか、判断しかねているようであった。

「……どうしてボクなんだろう、って思ったんだ。こんな身体だし、もっと相応しい人がいるはずなのにって」
「でもボクがこの力に救われたのは、本当の事だから……きっとボクも、マホウで誰かを助けるために魔法少年に選ばれたんだと思うんだ」

結局、唇は言の葉を紡ぐ事を選んだ。穏やかながらも、しっかりとした語り口だった。
彼がマホウツカイとして街を闊歩する、何よりの原動力。まるでお伽話のような想像であったが、少年にとっては真実に限りなく近しい。
けれど誰かに聞かせた事のない胸の内であったから、どことなく気恥ずかしくなって。居心地が悪くなった腕が下りて指と指が触れた。
157◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/29(金)01:35:02 ID:4cC [1/2回]
>>156

「がんばりま……がんばるね。」

裾をいじる手と指が重なって、そっと離す。曖昧な距離。
慣れない言葉遣い、指先が唇に触れが。敬語が漏れない口に違和感があるみたい。

「─────」

語られる彼の言葉を、その瞳を見つめながら聞いていた。
そんな風に魔法をとらえた事なんて無くて、なんだかちょっと眩しい。
沈みかけた太陽が彼と重なって、本当に輝いて見えてしまいそう。

「そんな風に思える貴方……君だからだと思う。
君こそ、本当に魔法少年に相応しいとんだ思う。」

離れた指を戻して、重ねて、絡ませて。
凍えそうな風が吹けば、人肌よりちょっと熱い体温が暖かい。
もし彼が誰かの代わりだと言うのなら、その誰かはどれだけ綺麗なんだろう。
きっと神様か何か、それでも足りないぐらいかもしれない。

また、沈黙。それ以上の事なんてなにも言えなくて、それに。
今ここに、彼のとなりに自分がいること、それが耐えられなくなりそうで。

「───僕の話も、して良いですか?」

ぎゅっと握る。より強く。歪んじゃないそうな表情は、伏せて隠した。
許されたい、訳じゃない。自分が悪い、わかってるけど。
甘えたい心が押さえきれなくて、すがる様に指に力を込めてしまう。

「お父さんにもお母さんにも要らないって言われて、売られちゃったんです。」

マホウも魔物も関係ない人の悪意には、彼は鈍いかもしれない。
子を愛さない親は存在する。両親にとって、彼は快楽の副産物であり邪魔者だった。

「………その先で、仕事を覚えました。
僕が出来たのは、"ああ言うこと"だけですから。それに意味が欲しくって。
これは人助けなんだって、思って、してました。

自分を誰かに捧げる行為、それしかなかった生。だからそれに意味を見いだしたかった。

「そうじゃない事もわかってました、けど。」

人を巻き込んで、誰かを犠牲にして良い理由にはならないけれど。
声は少しずつ震えて、濡れる。いっそこれで、嫌ってくれた方が嬉しいかもしれない。
軽蔑して欲しい。そうすればなにも、迷いは消えちゃうのに。
158 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/29(金)01:35:19 ID:4cC [2/2回]
//不安定な返レス申し訳ございません……
//今更連絡することではないのですが、体調不良の影響で予想以上にレスが書けなくなっていました……
//更にご迷惑をお掛けして申し訳ないのですが、ここで一度凍結を挟んでいただいてもよろしいでしょうか
//明日は朝から夕方まで安定してレスを返すことが出来るかと思います
//改めて申し訳ございません……
159赤栩一颯◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/29(金)15:56:36 ID:kX4 [1/2回]
>>157
「そうかな。そうだったら嬉しいんだけど」

触れた指は緊張して、絡められるままに委ねていたけれど。やがて熱に絆されたように、優しく握り返す。
事ここに至って尚、賛辞の言葉を素直には受け止めず。未だ手の届かぬ理想として据え置いた。
長く喋った疲れを吐き出す深い呼気が沈黙を浚う。静寂を破った源を、怪訝そうに見やった。

「……うん。ボクも塵くんの話を聞きたいな」

大きく頷いて、目を逸らさずに黙って耳を傾ける。強く握られた手に返す力は、変身後に比べて遥かに弱く。
じっと、相槌すら打たずに話の内容を咀嚼する。世間の悪意から隔離された世界では、到底想像もつかない身の上話を。
そうして行き着いた先を、実際に見聞きしてしまったからこそ。下手な気休めを吐けるはずもない。

「――大丈夫」

身体を彼に向けて、もう片方の手を手に添える。自然、少しだけ乗り出す形。
拒絶、侮蔑とは正反対の行為。そもそも今ここでそんな感情を抱くのであれば、あの時既に引鉄を引いていた。

「辛かったんだよね。ボクには、どれくらい苦しかったのか分からないけど……でも、誰かの為を想ってやってた事だもんね」
「ちょっとやり方を間違えていただけでしょ?だから大丈夫。今からやり直したって、きっと間に合うよ」

罪悪感を解きほぐす、ゆっくりとした語り口。柔らかく笑んで、湿った声を拭うように。
本心からの励ましが逆に心を苛んでしまうなどと、夢にも思わないのは、無垢故の罪と言えるのかもしれなかった。

「それに――もうこの前みたいに、他の人達は巻き込んでいないんだよね」

だから世界の嘘を露も知らず、幻想の言葉を笑って吐けるのだ。
既にそれが裏切られているとは思いもよらず。あどけない微笑みを向けて軽く首を傾げた。

//申し訳ありません、こちらが寝落ちしておりました…!
//こちらも遅レス気味ですのでお気になさらず、リアル優先で大丈夫ですので!
160◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/29(金)17:36:07 ID:9vs [1/1回]
>>159
目を伏せていても感じてしまう、吐息すらふれあう距離。握る手はより強く。
今からでも、引鉄を引いて欲しい。心は今にも潰されてしまいそうで、優しい言葉すら突き刺さってしまう。
なのに握った手だけは暖かくってしょうがなくって、離すどころかすがってしまう。
やり直せれば、間に合えば。こんな風に思うこともないのに。

「……本当は、全部言い訳です。
皆、僕と同じぐらい汚れて欲しかっただけなんです。」

優しい言葉により深く沈んで、湿度を増す声。違うんだ、なんて言いたげに。
思い返す前からわかっていたけど、本当に救いようがない。
帰ってきている丁寧語は、不安と自己否定の距離の現れ。

「皆、皆、僕みたいになっちゃえば……皆汚れちゃえば、僕も、皆の中に居られるから。
……なにもかも、自分のためだったんです。」

だからこそあの世界は、魔法少年を捕らえる牢獄と化した。

「今だって、貴方が、眩しくって───」

顔をあげて見せつける笑顔、異様なほどに明るくて、でも洪水みたいな涙は止まってない。
顔を向き合わせれば、改めて実感する距離。ぐちゃぐちゃの感情と涙のせいで染まった頬の、その熱も。触れなくたってわかっちゃう。
今この距離で見つめ合う意味も、きっと彼はわかってないんだろう。
一度言葉を溢してしまえば止まらない感情。話す気のない、話さなくて良い言までこ溢れて、思考より先に体が動いて

「───もう少しだけ、汚れて欲しいんです。こんな風に。」

そのまま、動かないでくれたなら。柔い、人肌の感触が頬に。
目を閉じて、唇を結んで、本の少し丸くして、触れる。遠回しな口づけ。

「はい。皆様きっと、彼らの日常に帰っています。」

変わらない笑顔で答えた嘘。そして

「でも、もしも……僕が繰り返したなら。
その時は、引鉄を引いてくれますか?」
161 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/29(金)17:36:49 ID:UU9 [1/1回]
//返信ですっ
//すいません、本日も用事で23時まで落ちるので次の返信はそれ以降になります……
162赤栩一颯◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/29(金)19:38:09 ID:kX4 [2/2回]
>>160
衣が触れ合うか触れ合わないかといった距離。互いの吐息が肌を撫で、瞳の奥の感情も覗き込めばよく見える。
彼の紅い二つの宝石は、それぞれに言いようのない困窮と戸惑を映して揺らいでいるようであった。
突き詰めれば全部が全部、己のためだと。エゴに信奉した結果であるとはっきり断言されてしまっては。
今更否定の言葉は思い浮かばないし何より、冷たく遇らえる程に酷薄にはなりきれなかった。

「それは……そんなの、でも……」
「ああもう、泣かないで……!別に怒ってる訳じゃないんだから……!」

咄嗟に返せず、しどろもどろ。意図せずして視線が斜め下に逃げる。
事実、怒りを覚えている訳ではない。もっと複雑な、同情と批難が入り混じったような感情だった。
斜陽に反射する濡れた頬を視界の端に認めれば、慌ててしようとして。
それだけ動転していれば、急接近への反応だって遅れて当然であり。

「え――――」

言葉の意味を理解するよりも早く、刹那の柔らかな感触からじんわりと広がっていく熱。
その行為を認識するのに数秒を要し、それからみるみるうちに赤く染まる顔と加速する鼓動。
接吻くらいは知っている、けれど同性で交わすものではないともまた。かつてその一端を目の当たりにしたとはいえ、意識がすぐ植えつけられるものではなく。
まして異性とだって出来るような環境ではないのだ、純情が過ぎて上昇する心拍数は心臓に負荷を与える。

「……っあ……ふ……」

支えていた腕の力が抜けて、やおら倒れこむように。突発的な発作、歪む世界の輪郭、酸素を取り込もうと上がる息。
その身体を抱きとめるのならば。しがみついて顔を伏せて、どうにかやり過ごすべく耐えるだけ。
呼吸を落ち着かせようとしながらも、問いにだけは答えなければとかろうじて口を開いた。

「……本当は……そうしないと、いけないのかも、しれないけど……」
「でも……撃ちたくない……撃ちたくないから、そんな事、言わないでよ……」

それは最早、返答というよりは懇願に等しかった。
どれだけ重石がのしかかろうと、最後には引鉄にかけた指に力を込めるのだろうけれど。
そうはしたくないと叫ぶ心を裏切る痛みが、訪れない事を願わずにはいられないのだ。

//了解しました!
163◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/30(土)00:10:00 ID:Btr [1/1回]
>>162
フラり倒れる体を抱き止めて、抱き締めた。荒れた鼓動に自身の鼓動を重ねた。
伏せたまま吐き出される懇願は、その揺れる大気は微かだけど。そのもしもが現実になったら、泣きながらでも引鉄を引けるんだろう。
こんなに弱々しくて、なのに綺麗で、強い。ずるいなと思う。

「もしも、ですから。
……きっとそんな事にはなりません。」

それは嘘じゃ無いかもしれない。何時かの話じゃなくて、今進行形でもしもは現実だ。

「落ち着きましたか?」

背中に回した手で撫でて、まるで母親のような仕草。少しは動悸が収まるだろうか。

「ごめんなさい。抑えられませんでした。
……でも、貴方の弱い所を見れたのは始めてです。少し嬉しい、かも。」

その顔をあげてまた見つめ合うなら、今はすっかり涙は乾いて、明るい日差しの色の笑顔がそこに。
あまりに純情な反応を示す少年に対して、こちらはまるで日常の一部のような。
事実、その程度は彼の日常の一部だった。乱暴に顎を抑えられて、奪われる。そんな記憶すら無数に。
……自分から、ひょっとすると始めてだったかもしれない。
そう思うと目がそれて、ほんのり頬が桜色。

//遅くなりました……お返ししますっ
164赤栩一颯◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/30(土)00:43:51 ID:YIu [1/7回]
>>163
あくまでも仮定として語るのであれば、それは欺瞞にはなり得ない。
うるさく響く心音の中でも騙る言葉はよく聞こえる、安堵を顕に肩の力を抜いた。
抱きしめられてあやされて、その間の抵抗は皆無。むしろ嵐が過ぎ去るのを耐えるようにしがみつく。

「……、……うん、大丈夫。よくある事だから、気にしないで」

やがて緩慢と顔を上げ、無意識に不機嫌な胸を摩って調子を確かめる。
元々真剣になれば、至近距離を意識しないきらいはあったが。擁されても気にする素振りを見せないのは、単にそこまでの余裕がないからか。
大きな感情の揺れ動きがなくとも、そう珍しくない発作なのだろう。大した事ではないと浮かべた微笑には諦観が混じった。

「もうっ、揶揄わないでよ。ちょっと……いや、すごくびっくりしたんだから」
「それに、その……そういう事は、大切な人にやるものだよ」

いつか、情欲の片鱗を垣間見たにも拘らず。直接的なものは一切目にしていないから、その辺りは純朴が過ぎる少年を映し出したかのような価値観。
咎める口調も昼下がりの笑顔を前にすれば迫力は激減、合わせ鏡の如く仄かに熱を持った顔を背けた。
どうにも気恥ずかしい空気、何度か声を発そうと口を開閉させて。

「えっと……そうだ、あのさ。よければ、病室まで一緒に来てくれないかな」
「正直今、一人で帰れる自信がなくて……それに部屋が分かれば、今度は迷わないで来れるでしょ?」
165◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/30(土)01:11:53 ID:a9j [1/4回]
>>164
そのあたりは、ちょっと違いすぎる価値観。重ねた過去があまりにもかけ離れていて。
ぽかんと無になった顔で数秒、そのあとくすりと笑みがこぼれた。

「ええ。ですから、そのつもりでした、けど……」

じっと送る視線。睫毛を流して、結んだ唇。いたずらな微笑。からかうみたいに。
だけど染まった頬の色はそのまま、どころか更に赤く。
表情を偽るのは慣れてるから。だけど、照れくさいのはお互いさまで。

暴れ出した感情に何もかもを放り投げた、微かな接触。一瞬の接吻。
その刹那だけで、雁字搦めの自己嫌悪はどこかへ飛んで行ってくれた。
こんなのは、今だけだってわかりきっているけれど。それでも、良かったな、なんて。

「勿論、断る理由なんてありません。」

そう提案すればひょこっと立ち上がって差し出す手。ウェディングドレスに麗衣で、提案するのはエスコート。

「私だって、今日だけで終わらせたくはありませんから。」
166赤栩一颯◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/30(土)01:44:28 ID:YIu [2/7回]
>>165
「そういう意味じゃなくって!いや、ボクだってそう思ってるけど……!」
「ほら、友達じゃなくて……こ、恋人とか……」

冗談を冗談として受け止められる程に巧妙ではなく、笑みと相対して焦燥を隠そうともせず。
口にするだけで随分と度胸がいるらしい、後半は最早消え入りそうな声で。
困りきって唇を尖らせ、どう説明したものかと悩む仕草は宛ら拗ねているような。

「本当?よかった。つまらない所だから、来る気がなくなっちゃったらどうしようかと思ったよ」

けれどそんなささくれは、歓喜に比べれば些細なものに過ぎない。
ただ会話を交わすしか出来る事のない、普通の家と比較しても無機質な場所であるから。足が遠のいても致し方ないとは思っていた。
手を取って立ち上がる。黄昏に染め上げられた顔は、それだけではない朱を孕んだ。

繋がったまま彼に先導される形で入院棟に入り、エレベーターで上階へ。少し奇妙な見舞客を見咎める看護師は一人としていない。
名前の刻まれたネームプレートの隣に鎮座する扉を開けば、そこに広がるのはいやに立派な個室だった。
ベッドだけではなくシャワーも付属、更には来客用らしきソファにテーブル、簡易キッチンまで。
広いわりには物がほとんどない、殺風景な光景。病という枷に囚われた、無味乾燥な生を表出させたかのようであった。

「ごめんね、何もなくて。いつも病院の人しか来ないから、大した物は置いてないんだ」
「……なんか恥ずかしいな。変じゃなければいいんだけど」

ベッドに深く腰掛けて、不毛な室内をまるで当たり前であるかのように、どことなく気恥ずかしそうな笑み。
誰かをもてなす機会にもほぼほぼ恵まれないのだろう、所在なさげに一先ずはとソファを勧めた。
167◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/30(土)02:04:56 ID:a9j [2/4回]
>>166

案内先は教会、ではなくいやに豪華で殺風景な病室。
誰かの住処に御呼ばれする、なんて経験は彼も初めてだから。落ち着かない視線がいったりきたり。
空いた空間だらけの部屋は何処に眼を置けばいいかもわからなくって。
促されるままソファーに座って、それでも変わらずそわそわ。うずうず。
そこに残った少年の残滓を感じてしまって。ちょっと少女染みた反応を示してしまっていた。

「いえ、変、などでは……でも少し、寂しいとは。」

謝罪の声が届けば少し慌てて、ちょっと悩んで本音を。

「貴方の匂いがするここは、僕にとっては何処よりも安らかです、けど。
 普段何をしてる、とか。そう言う事が、全然、感じられなくて。」

視線がそわそわして落ち着かないのは、普段の少年がどこにも見えないからもある。
住処とは住人が普段どう過ごしているのかを移すものだけれど、ここにはそれが何も見えない。
ベッドとソファーの、微かな使用感があるだけで、それ以外はない。
病室に生活感を探すなんておかしな話だけど、それでも妙に豪華なここは、それを諦めるには違和感もあって。
168赤栩一颯◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/30(土)02:31:32 ID:YIu [3/7回]
>>167
検診だとか、食事だとか。そういった目的とは関係なしに、他の誰かの気配がここにあるのはいつぶりか。
視線を泳がせる事はなくてもシーツを無意味に指で遊んで、落ち着かないのは彼も同じ。

「寂しい……?そう、かな……」

素直な所感をすぐには理解できず、ぐるりと見回して首を傾げる。
この年頃の少年の部屋であれば、大なり小なり嗜好が表れているだろうに。それを悟るのが難しい程に、幼少からここで過ごしているのだろう。
だから常の生活について振り返っても、そこに色彩を見出すのは至難の業で。

「いつもは……本当に何もしてないんだ。ずっとここでぼーっとして、調子がいい時に廊下を歩くくらい」
「本とかテレビとかは、あまり良くないんだって。興奮すると、さっきみたいな発作が出ちゃいそうになるから」

幽幻の砂漠の如く乾いた日々。ただそこに在るだけの、鳥籠の中で空を眺める生。
そんな生活でも、これまでは諦観だけで心を満たしていればよかったのだけれど。マホウを、奇跡を知った今、それもまた揺らぎかけている。
それでも今はまだ、自由と他者の犠牲をかけた天秤は片方に傾いていられたが。純粋な心は切欠さえあれば、容易く反転しかねない。
そんな後ろ暗い想いから無意識に目を逸らして、なんでもないように笑みを作った。

「お見舞いには偶に祖父さんが来てくれるんだけど、最近は歳でなかなか来てくれなくて……」
「だから初めて変身した時は、すごく感動したんだ。あんなに動けるようになるなんて、思ってなかったから」
169◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/30(土)02:57:18 ID:K8t [1/3回]
>>168
白黒どころか真っ白な。どこにも、少年の色なんてなくって。
近い生活を送ったことがあるから、語る生活も少しは想像できる。

「したいこと、して欲しいこと、考えたりしませんか?」

自分が一人だったときは、ベッドに沈んで妄想に沈んだ。
毛布で光を拒んで、漆黒の中に希望を描く。あれがしたい、これもいいなって。

「今ならできます。僕もしてあげられますから、言ってみませんか?」

描いた物は何時だって、"誰か"から始まってた。誰かと、誰かにって。一人で居ることを願ったことなんてない。
今なら自分が、少年にとっての誰かになれる。かつてずっと望んでた誰かに。

「なんでも良いで……良いよ。
僕も同じ魔法少年だから、二人でだって歩けるし。」

漸く思いだした言葉遣い。今だ慣れなくて、ちょっと違和感はあるけれど。
魔法使いとして歩けたとしても誰にも気づかれない、気づいてくれない一人旅。心の穴は埋まらない。
今は二人。隣に誰かがいるのなら、出きることはきっと無限大で。
170赤栩一颯◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/30(土)03:30:40 ID:YIu [4/7回]
>>169
微かに自虐を潜めた微笑みは、高い水準の清潔感を保たれた病室においてなんら違和感を生じさせず。
しかし予期しなかった問いかけに投げた、驚愕の眼差しは白い空間によく浮いた。

「……そんなの、別に……」

弱々しく、心許なげな呟き。首を横に振る事も叶わず、強く握ったシーツに皺が寄る。
声を大にして宣言したい願望は確かにある。これまでは頑なに押し込めて、幻想と切り捨ててきたものが。
それを口にして、自ら冗談と笑い飛ばす事だってやろうと思えば出来るはずだった。あるいはそんな物はないと、誤魔化す事だって。

「…………い」

けれど、ここまで真摯に寄り添おうとしてくれる相手がいる。共にと言ってくれる人がいる。
その想いに目を背けて、尚も他者のために自分を殺すなど。

「…………本当は……こんな病気、すぐ治して……普通に暮らしたい……」
「学校に通って、外で遊んで、自分の家に帰って……皆と一緒に過ごしたいよ……!」

出来やしなかった。ずっと秘めていた願いは、どこか苦しげに紡がれる。
言うならば、生き方を変えたかった。もう少しだけ健康に、人並みにいられるような。
自分の華奢な身体を抱いた腕が震える。溢れ出した感情の波は、止まりそうになかった。

「マホウツカイは願いを叶えられるって聞いて、すごく迷ったんだ……ボクも健康になれるかもって」
「でもそのために、他の人を……マモノツカイを傷つけるのは、嫌で……!」

それは一種の弱さと呼べるのだろう。人を犠牲にしてでも自分を優先していいものか、未だに根付く葛藤は。
彼も実際に目の当たりにした、純粋さに付随するどうしようもない甘さは、欲望に流されないがための錨でもあると言えるのかもしれない。

「……だから、このままでいいんだ。時々遊びに来てくれれば、それで充分だよ」

それ以上を望んでしまっては、本当に衝動のままに動いてしまいそうだったから。
一息を入れて、浮かべるのは表層だけの平穏。醜い本性を曝け出してしまったように思えて、苦しそうに目を伏せた。
171◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/30(土)03:33:11 ID:K8t [2/3回]
>>170
//すいません、そろそろ頭が働くなってきたので一旦凍結していただいてもよろしいでしょうか?
//何日もお付き合い頂いているなか申し訳ないのですが……
172 : 赤栩一颯◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/30(土)03:38:39 ID:YIu [5/7回]
>>171
//凍結了解です、遅い時間までありがとうございました!
//こちらは楽しんでますのでお気になさらず、ゆっくりペースで大丈夫ですので!
173◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/30(土)17:02:56 ID:a9j [3/4回]
>>170
握りしめたそこから波紋の様に広がる皺と、か細く漏れる声。
それをどれだけ渇望して、押し殺してきたのか。一度溢せば溢れて止まらないこと、自分だってわかる。

ソファから立って、少年の前に。その震える体をぎゅっと抱きしめた。

「傷つけるのは、悪い事だと思、う、けど。
 ……僕は、君に元気になって欲しいよ。明るい公園で、一緒に走り回って、遊びたいから。
 願い事は、自分だけの物じゃないと思うんだ。」

そう願うなら、自分だって同じことを願う。一緒の学校で、一緒に勉強して、時にはお家に泊まったりして。
大切な人だと言ったんだ、苦しんでほしくない、幸せになって欲しいと願うにきまってる。
誰かを犠牲にすることは絶対に良い事じゃないけど、でも。諦めないで欲しくって。

「それに……傷つけて欲しい、かもしれません。
 マモノツカイは、どうしようもなくなっちゃった人で。
 誰かが、ずたずたにしてくれないと、止まれないから。」

人を呪い、マモノを生み出す程に壊れた心は転がる石のように。
ぶつかって砕け散るか、擦り切れてなくなるか、それまで泊まる事なんて出来ない。

「……僕は、このままは、いやだよ。」

……弱みに付け込むみたいで、本当に卑怯だけど。
これだけきれいで、これだけ苦しんでいるのなら、報われたっていいじゃないか。
醜い魔物が、彼の為に死んだって良い。ほんの少し、汚れてしまったって。
174赤栩一颯◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/30(土)18:29:04 ID:YIu [6/7回]
>>173
抱きしめられるままに額を預ける。煩悶に歪む顔を見られてしまわないように。

「……でも…………だからって……」

人の願いに、欲望に果たして貴賎はあるのだろうか。どうしてもそうは思えなかったから、尚も弱々しく否定を口にする。
それは偏に行き過ぎた優しさのためか、誰かの生の意味を足蹴にする度胸がないだけなのか。
おそらくは前者だからこそ、その泥土の道を肯定するのはひどく苦しく難しい。

「……傷つけるだけで止められるのなら、頑張れるかもしれないけど……消す、なんて……」
「それに、そんなの……悲しすぎるよ」

落雁がほろほろと溶けて崩れるように、甘ったるい想いは一度解ければ止まらない。
何を諦めるべきで、何を諦めないべきか。誰の想いを背負い、どの懇願から目を背けるか。

「…………ごめん。やっぱり、まだ諦めたくない」

その取捨選択は荊を素足で踏む痛みを孕む、時間を置いて絞り出した声は玉響の如く不安定だった。

「力づくで止める事もあるかもしれないけど、最後には皆が救われてほしいんだ。もちろん、キミもボクも」
「だからもう少しだけ頑張るよ。それに……ある人と約束したんだ、諦めないって」

お茶会を飾る幽けき茶葉の香りを思い出す。あの時聞いた話は、重過ぎる衝撃と迷いを齎したけれど。
だからこそ改めて握りしめた確固たる意志を、こうして朧げな拠り所にする事ができるのだ。
顔を上げて無理なく笑ってみせる。抱擁する腕をぽんぽんと叩いて、もう大丈夫だと。
手を汚す事を良しとせず、いつか願いが奇跡に昇華される時を信じていられると。少なくとも、今はまだ。
175◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/11/30(土)20:44:42 ID:a9j [4/4回]
>>174

「……なんで。苦しいのに。」

小さな声。
もう少しだけ汚れていて、もう少しだけ弱かったら。僕も君も、きっと何も苦しむ事なんてないのに。
抱きしめる手、指の先にこもる力、爪が錦糸に傷をつけて、皮膚に食い込んだ。

「やっぱり、君は誰よりも魔法少年だね。
 大丈夫、君が願うならきっとみんな救えるから。」

微笑は暖かで、抱いてしまった黒い感情はその奥に。
嘘ばっかり。その優しさに、焦がれて燃えてしまいそうなくせに。
救おうと延ばされる手が、優しさが、何よりも苦しいくせに。

大丈夫だと言えば手を放すけれど、最後まで腕を握ったまま。少し名残惜しそうに。

「少し、暗い話をしてしまい……しちゃったね。
 明るい話、なにかあるかな……」

そこから始まるのはきっと、本当に他愛のない話。学校のお話なんて、どちらにもできないけれど。

//何もなければこちらで〆でしょうか?
176赤栩一颯◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/11/30(土)21:50:22 ID:YIu [7/7回]
>>175
気休めの激励だとしても、背中を押されて悪い気がするはずもなく。
素直に笑みを湛えていられるのは、その表情の裏側で蠢く後ろ暗い情に気づかないで済んでいるから。

「ぃ……今までも苦しかったんだから、もう少しくらいは平気だよ」
「でもありがとう。キミにそう言ってもらえるなら、本当に出来そうな気がする」

背中の肉を刺す爪に漏れた、小さな呻き声を健気に押し殺して。腕を掴む手にそっと掌を添えた。
全てが本心からの言葉で、何もかもを疑いなく聞き入れているからこそ。その言動は人を苛みかねないというのに。

「あはは……じゃあそうだな。前ここに入院してた、少し変な人の話なんて――」

湿って永遠の暗がりを思わせる空気を振り払うように、話題の乏しさに苦笑を浮かべる。
本当に中身のない話だったとしても。こうして誰かと気兼ねなく話していられるだけで、満足だと思えるのだ。
それにこうしていられれば。エゴを満たすためだけに人を害する存在の事を、忘れていられるような気がしたから。

//そうですね、こちらからは〆になります!
//長らくお付き合いいただきありがとうございましたっ
177 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/11/30(土)21:54:10 ID:K8t [3/3回]
>>176
//ありがとうございました!
//またよろしくお願いしますー
178◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/12/01(日)04:22:20 ID:sDy [1/1回]
母も父も、とてもやさしい人だった。
失敗した時、悪い事をしてしまった時、優しく諭すように叱ってくれる人だった。
わからない事はわかるまで導いてくれた。部活動だとか、やりたいと言ったことはすべてやらせてくれた。
そんな二人は、息子が周りに劣っている事に気づいても、三年間の部活動で一度も試合に出られなくても、ずっと優しいままだった。
"気にするな。未だ才能が芽吹いてないだけだ。" 父は何時も、笑って頭をなでてくれた。
"悠は優しい子だから、それだけで良いの。" 母は何時も、優しく慰めてくれた。
なぜだろう。思い出してしまったその言葉が、頭から離れない。


「……ごめん。俺帰るな。」

学校帰り、いつもは友達と一緒に帰って、遊んでいたけど。最近はずっと一人でいる。
初めて魔法少年になった時、これが自分の運命で、これが自分のやるべきことなんだと思った。
この特別な力で、誰かの助けになる。そのために今までの人生があったんだって。
なのに。誰も助けられなかった。何もできなかった。自分を守る事に必死で、相手を殺そうとまでした。無様だ。
足元を見ながら歩く帰り道、晴天の空が皮肉に見えて、前を向くことすら億劫だ。

「───っ……!?」

横断歩道の真ん中、傀儡の糸が切れたみたいにその場に倒れる。
あの時失った片足は、マホウの力か治っているけれど。時折、感覚が消えて動かなくなる。
思い込みかもしれないけれど、あの時の痛みが蘇る様に感じて、苦しくて。
今いる場所は分かってる。早く動かなきゃ、そう思っても。片足を抱えたまま動けない。

//返信は明日になりますが……
179赤栩一颯◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/12/01(日)13:57:31 ID:jrD [1/3回]
>>178
点滅する青い光。白と黒を渡る人の数が急激に減ってぱっと開ける見通し。
取り残された少年に気がついて波及する騒めきの間隙から、赤い影が飛び出した。
助け起こすには体格差のあるように見受けられる大きさであったが、指摘できる者は一人としていない。

「――大丈夫ですか!?」

何故ならそれは奇跡の申し子、人知れず街を駆けるマホウツカイであるからだ。
減速せずに片腕で抱え上げられたのならば。見かけによらない膂力でもって対岸まで走り抜け、街路樹の側に下ろすだろう。

「怪我はないみたいですけど……どこか痛みますか?それとも具合が悪くて?」

その隣に座って赤いフードの奥から不安そうに顔を覗きこむのは、見覚えのあるだろうマホウツカイ。
普段であればどうせ向こうからは見えていないと、名残惜しいながらも去るのだけれど。相手が同類と知っていれば話は別。
心配のあまりに顔を近づけて全身を眺め渡しているものだから、突然の非現実的な出来事に向けられる奇異の視線には気がつかずに。
180◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/12/01(日)15:50:43 ID:RLq [1/1回]
>>179
痛みの消えない体が浮かび上がる。強風に飛ばされるよな勢いで、気がつけば街路樹に持たれていた。
痛みが引いた頃、顔を起こせばあのときの魔法少年。見知った顔は安心と同時に、見られてしまったと冷や汗を誘う。

「……悪ぃ。たまになるんだ、これ。」

先輩として接していた以上、情けないところは見せたくなかった。視線は足元に逃げて、目を会わせない。
普段が明るい彼だから、伏せた目と青い肌色は、なんだか別人のように見えるかもしれない。

心配性で、怖くなるぐらい善人で、だから多分、何があったかは聞かれるだろう。
言うべきだろうか。言いたくはない、けど。自分よりも危なっかしい子だろうから。

「……マモノツカイと戦ったんだ。それで、片足亡くしてさ。
さっきみたいに、たまに動かなくなるんだよ。」

警告ぐらいの意味にはなって欲しいと願いながら、吐き出した。

//よろしくお願いします!
181赤栩一颯◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/12/01(日)16:39:12 ID:jrD [2/3回]
>>180
「そうなんですか……危ないところでしたね」

快活で頼もしく見えていた先輩としての振る舞いは見る影もなく、それが殊更に懸念を募らせる。
足の不調も含めて何かがあったと察するのは難しくない、聞いてしまっていいものかと迷いを示す噤んだ口。
なんとなく、気まずくなって視線を下にやる。所在なさげにおさげを指で弄びながら、黙って紡がれる警告を聞いていた。

「…………え、そんな」

深紅の瞳を見開いて動揺、困惑を如実に顕す。失くしたと言われた足と顔を交互に見て、何かを言いたげに息を飲む。
そこにあるのは見知らぬ危険なマモノツカイへの恐れではない。純粋に欠損に心を痛め、ぶつからなければならなかった事態を憂いていた。
無論新たな四肢が生えている疑問や、後遺症の謎も頭の中で渦巻いて答えのない螺旋を作り上げているのだが。

「で、でも、無事だったならよかったです!足が治ってるのは不思議ですけど……そっちだってきっとちゃんと治りますよ!」

それ以上に今気を向けるべきは、どうにも苦しげに見えてしまう彼であるから。
努めて明るく声を上げて、当時の詳細を無理に聞き出そうとはせず。ただ以前のように笑ってほしい一心で、少しだけ困ったように笑った。
182◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/12/01(日)17:25:00 ID:6xt [1/1回]
>>181

「足は多分、魔法かなにかで作ってんだ。
義足みたいな……だからたまに調子悪くなるのかな。」

当事者である彼にも、その足がどうなっているかわからない。ただ漠然と、それが自分の本来の足ではないと感じるだけ。
語り口は冷静で、差した陰の根はそこにあるわけではないようで。

「足は、いいんだよ。
……良くはないんだけど、でもそれより、俺が、誰も、助けられなかった事の方が苦しいんだ。」

噛み締めた唇、歯軋りの混じる声、陰の根はきっとここに。
秘めているなら耐えられた事も、口にすればもう。震え始めた声は、収まりそうになくって。

「目の前で、女の子が殺されて、でも俺、助けるより自分の事ばっかり必死で、殺そうと、して」

相手が自分より年下であること、せめて年長者として振る舞おうと考えていたことすらもう忘れて。

「……ごめん。本当にごめん。もう大丈夫だから、行ってくれ。」

気づいて、抱えた膝に沈む顔。あんまりにも情けなくて、顔を会わせることもできなくなって。
口にするのは余りに惨めな、逃避の声。
183赤栩一颯◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/12/01(日)21:15:38 ID:jrD [3/3回]
>>182
奇跡とはその本質が不可視の御業であるからこそ奇跡であり、考えてもその理屈が分かる訳ではない。
だから本人がそれでいいと言うのであれば。それ以上の気休めも激励も、きっと必要ないのだろう。
むしろ気がかりなのは、唇を動かすその様子がひどく辛そうに見える事であった。

「…………そんな、事が…………」

その理由を、知らぬうちに襲っていた闘争の嵐の話を聞けば。咄嗟には言葉を紡ぐ事ができなくて押し黙る。
守るべき人を守れずに、目の前で失う。未だ未経験なれど、それがどれだけ苦しいかくらいは察しがつく。
もしも自分が同じ目に遭っていたら。想像するだに恐ろしいし、きっと近い傷心を抱いていたに違いない。

「……ボクも、誰かを救いたいとは言っていますけど、自分が殺されそうになったとしたら」
「きっと自分の事でいっぱいいっぱいで、他の人の事なんて考えていられないと思います」

同情と取られてもおかしくはないかもしれないが、紛れもない本心だった。
いつ体調が悪化して、命の危機さえ間近に迫るかも分からない日々とはいえ。いざ死を目前にしてしまえば、恐怖に駆られずにはいられない。
その生存意欲を強さとするか弱さとするか、判別がつかなくなったから、顔を上げてぎこちなく微笑んだ。

「ボクは気にしてませんから、謝らないでください」
「……良ければ送りますよ。またさっきみたいになったら、危ないですから」

それに、こんなにも参っている様子の彼を放っておける訳にもいかない。
そこに年齢などは関係ない。ただ同じマホウツカイの仲間として、寄り添いたいと切に思うのだ。

//遅くなってすみません、ここから安定してお返しできると思います…!
184◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/12/02(月)18:04:06 ID:WCw [1/3回]
>>183
>>183

「………」

顔を上げるのが怖かった。自分が今、どんな顔をしているかわかったものじゃなくて。
出来ればこのまま、消えてしまうまでここに居たいけど。ここに居る限り寄り添ってくれるのだろうし、消えることも出来ないし。

「………ありがとな。」

立ち上がって、けれど顔は見せないように。出来るだけ、背中だけを向けていた。
歩き出す。帰り道はそれほど長くはないけれど、一歩一歩がひどくゆっくりに感じる。
沈黙は、別に苦じゃない筈だった。盛り上がるのも好きだから、たまには静かのも楽しめる、のに。
今だけは、満ちる間があまりにも怖くって、

「……一颯なら、どうしたんだろうな。」

口を、開いてしまった。
同じだと言うけれど、でも。これだけ優しい少年が同じだとは思えなくって。

「生き返りたいって、言ってたんだ。まだ、マホウツカイで居たい、とかも言ってた。
 殴ったら、痛そうにするんだ。血が出たら、苦しそうにするんだよ。
 ……気づくの、遅いけどさ。マモノツカイも、人間みたいだったんだ。」

少年にとってはとっくに分かり切っていることかもしれない。
それを想定していなかったことは、むしろ愚かでどうしようもなく聞こえるかもしれない。

「わかんねぇんだもう。その癖に、女の子を殺して、何も感じてないんだ。」

悪を懲らしめれば、それですべては解決すると思っていた。現実は、あまりにも遠く。

//すいません昨日は寝てました……
//本日はここから安定して変身できます
185赤栩一颯◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/12/02(月)22:06:15 ID:6hw [1/2回]
>>184
ゆっくりとした足取りに並んで歩く。歩幅の違いのおかげで、見えない同行者の歩みは普通のそれ。
明るい話題がすぐに思い浮かぶ程口が達者ではなく。沈黙に委ねて、時折気遣わしそうに顔を見上げる。

「……正直、分かりません」
「誰かを殺してしまったのなら、本当はボク達がどうにか……消してしまわないといけないんでしょうけれど」

一旦、言葉を濁した。口に出す事で、本当にそれしか手段が見出せないような気がしたからだった。
けれど秩序を遵法する理性はすべき事を冷静に判断する。感傷が如何に拒もうとしても、規範は覆りやしないのだ。
悩ましげに眉を顰める。簡単に答えを導けないからこそ、その自問自答を蒙昧とは思えなかった。

「そうしないで済むなら、それが一番です。でもどうしても止められなかったら……嫌だけれど、被害を増やさないためにも……」

その先を言葉にはしなかった。そうしてしまったら、想定が近く現実になってしまうような気がして。
マモノツカイにも喜怒哀楽はあり、涙だって流す。であれば死ぬのだって当然だ、根本は同じ魔法少年なのだから。
それでも本来の役目は無情でありどこまでも効率的。事実、鼓動が止まるまで悪辣を尽くす者もきっといるのだろうから。

「それに……マモノツカイを倒し続ければ、もしかしたら治せるのかもしれないんですよね」

ひとり言のような呟きは、自分に向けた言葉のつもりだった。幼い頃から足枷だった、身体の弱さを克己できるかもという希望。
そもそも、危険と引き換えに願望が満たされる可能性が存在する事を知らないのであれば。それは頓珍漢な響きに思えるかもしれないが。

//すみません、お待たせしました…!
186◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/12/02(月)22:43:31 ID:WCw [2/3回]
>>185

「俺は、まだ迷ってんだ。
 俺よりずっと覚悟があるんだな。すげぇよ。」

次にマモノツカイと出会ったとき、拳をふるう事すらできなくなっているかもしれない。
だけど少年は自分よりも先に敵と出会い、戦って、それでも折れちゃいない。
ずっと、ずっと、自分より幼いのに。どうしてこれほど立派に育ってしまったんだろう。
自分なんかより、ずっと大人だ。

「……ああ、そっか。マモノツカイを皆倒したら、願いが叶うんだったっけ。」

紅茶と花弁の、お茶会のマホウツカイ。悠も彼と出会い、マホウツカイの使命を教わっている。
反応は少年とはずいぶんずれていた。まるでヒーローの物語だ、なんて思って。
倒すとはすなわち殺す事だなんて所からは目を背けていて。

一つ、その言葉に引っかかった。それを口にするのは残酷で、大人げない気がしたけれど、でも。

「願い事の為なら、倒せる?」

聞かずにはいられなかった。

//よろしくお願いします!
187赤栩一颯◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/12/02(月)23:13:02 ID:6hw [2/2回]
>>186
「ボクだっていざって時になったら、すごく迷ってしまいますよ。考えるだけで怖いし、もしかしたらギリギリの所でダメかもしれない」

困ったように微笑を浮かべる。自信はこれっぽっちだってなかった。
あるいは揺らがずにいられたとしても、胸を貫く痛みはきっと死よりも尾を引く。
強さよりは、理想論と表現する方が正しいのかもしれなかった。どうしたいか、理想を口にするばかりで、不退転の狂気に晒された経験は未だ皆無なのだ。
問いを受けて、唇を真一文字に結ぶ。視線を路面に落として、何かを考えこんでいるようだった。

「……ボクが誰かを救いたいと思うのは、願い事のためじゃありません」
「例え願いが叶わないとしても、ボクはできる事なら皆を助けたいと思ってるんです」

そこに嘘偽りは微塵も含まれず、対象に限りはなかった。一般人もマホウツカイも、マモノツカイでさえ。
けれどそんな夢物語の実現は水面の月を掴むが如き所業であるし、マモノツカイを止める方法が一つしか存在しない場合だって当然あり得る。

「でもどうしようもなくなって、倒すしかなくなった時が来たとしたら」
「願い事のためって、自分に言い聞かせるかもしれません。そうしないと、踏ん切りがつけられないような気がして」

人として当たり前の心の動きだろうに、それを言い訳にしないと決心がつかないのが、まるで弱さのように思えたから。
見上げた紅の輝きに微かな自虐が揺らいで、すぐに照れ臭そうに笑って誤魔化した。

「悠さんには、何か願い事はあるんですか?」
188◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/12/02(月)23:38:28 ID:WCw [3/3回]
>>187

「悪ぃ。変な事聞いたな……」

その言葉は酷く脆い覚悟を結ぶために。ほんの少しでも疑いを持った自分が、さらに恥ずかしくなった。

「俺は、願い事とかなかったんだ。
 こうやって、マホウツカイでいられる事がうれしかったもん。」

「俺がマホウを使えば誰かを助けられるんだ、誰かを幸せにできるんだ。
 それだけで十分、だって、思ってたんだよ。」

生まれて抱えていた不安と不満、蹲って抱え込んだ劣等感は、マホウが解いてくれていた。
命の意味ならそこにあった。自分の存在が、誰かのためになっている実感があった。
だけど、今は。

「……今は、考えられねぇや。
 俺なんかが、願い事なんて持っちゃ駄目だろ。」

解けたはずの劣等感にまた絡まって、自分が自分を嗤い出す。まただ。

「殺すしか、たぶんないんだ。わかってるんだよ。
 ……でもさ、そしたら、俺は───」

呪文のようにつぶやく、か細い声。
少年のように、守るためなら殺して見せる覚悟すら持てない。まだ迷っている。
それは決して優しさなんかじゃない。間違いたくない、罪を負いたくない、それだけである事にも気づいてしまっていた。
189 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:19/12/03(火)00:03:12 ID:7M7 [1/1回]
スレの停止を提案します
この中にエリナがいないかどうか
よくチェックしてからしてください
エリナがいたら排除しないと、なりきり全体がおわります
いったんロール投下をやめて下さい
おねがいします
190赤栩一颯◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/12/03(火)00:05:05 ID:ssW [1/2回]
>>188
願い事がないとはっきり言えるのは、純粋に羨ましかった。
鳥籠の中でただ生きているだけの小鳥であるよりも、人生の充足を表しているように思えて。

「……そんな事はないです。願い事を持っちゃいけない人なんて、いるはずがありません」
「それを言ったらボクだって、マホウがなければ何もできない人間ですし。夢を叶えたい、なんて言える立場じゃないんです」

けれど願望を胸に抱くのを否定するのだけは、どうにも我慢がならなかった。
それは怒りというよりも、自傷の思考を見ていられないが故の諫言に近い。

「それにマモノツカイの人達が酷い事をするのだって、きっと何か願いがあるからでしょう?」
「だったら、悠さんが願い事を持っちゃいけないなんて事は絶対にないです」

更に言うならば強く言い切ったのは、何も強靭な精神によるものではなく。
それを肯定してしまえば、自分が願をかける事もまた許されないのではないかと、思ってしまったのも一端であった。

「……前に、魔法少年の友達が言ってたんです。マモノツカイはもうどうしようもなくなってるから、ずたずたにしないと止まれないって」
「だから力づくで止めるのも、多分間違いではないと思うんです。もしかしたら、それが一番正しい場合だってあるかもしれません」

背中を押しているつもりはなかった。判断を強要するつもりもない。
ただ蜉蝣のように儚い声を、煩悶をどうにかしてあげたいと思ったから。
例え手を汚す事が、即ち過ちには繋がらないと。ぽつりぽつりと零すのだ。

「……ごめんなさい。ボクの方こそ、偉そうに言っちゃって」
191◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/12/03(火)00:40:19 ID:0SF [1/1回]
>>190

たどり着いた、何の変哲のない家屋の扉。にじんだ白い壁と、分厚い木の扉。平凡。
その言葉はきっと、自分じゃなくて一颯自身に。罅の入った心が、ばらばらにならないようにつなぎとめている。
だけどそれには気づかずに、気づけずに。

「偉そうなんてことねぇって。
 ……ありがとな。話せて、良かったよ。」

その時見せた顔が、街路樹から立ち上がって初めて見せた顔になる。
沈んだ眉と、朱に染まった涙跡。結んだ唇は、きっと笑顔を作っているつもりなんだけど。
問題ないんだと笑って見せたいのに、そうはなってないみたいだった。

「───俺の、願い事さ。小さいんだけど……
 やっぱり誰かの力になりたいって、だけかも。」

けれどその願いを口にした時だけ。口許は自然と、笑みを象れていたかもしれない。

「誰かを助けて、そんで、みんなの為に慣れたらいいかって。
 ……笑うなよ?」

そうは、できなかったけど。せめてこれからは。そう思いなおせたなら、きっと今日の意味はこの上なく。
ドアノブに手をかけた。このまま、見送るならば最後にお別れの言葉を。

//何もなければここで〆でしょうか?
192 : 赤栩一颯◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/12/03(火)00:58:36 ID:ssW [2/2回]
>>191
表情と言葉が小石を食んだ歯車めいて噛み合っていないと、思えど口には出さなかった。
きっとどっちも真実で、今も鬩ぎ合っている最中なのだろうと朧げに察せられたから、それ以上を言えるはずもなく。

「笑いませんよ、そんな事する訳ないじゃないですか」

だからつられて口の端を持ち上げるのは、断じて嘲笑の意味ではなかった。
葛藤の筵の合間に見えた確信が、まるで自分の事のように喜ばしく思えるのは。
自分にもまた今までの苦悩を全て飲み込む、大きな軋みが待つのを予期していたからなのだろう。

「ちょっぴり願い事があるボクよりも、立派だと思います」
「もちろんボクだって、人助けのためにこの力を使いたいから……これからも、一緒に頑張りましょう!」

握り拳を作って気合いを入れてみるけれど、体格と風貌のせいで背伸びしているようにしか見えなくて。
少しは気を取り直してくれただろうか、なんて呑気に考えながら。手を振って見送って、閉じた扉に背を向けるのだ。
そこにありふれた、けれど今の自分には手が届かない日常風景から逃げようとする意識があったのを、否定できはしなかった。

//ではこちらからはこれで〆で!
//またよろしくお願いしますっ
193入弥悠◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/12/05(木)09:53:49 ID:Crg [1/1回]
空には雲一つ無く、満月が悠々と浮かぶ。午前零時を超えた今、外出する理由なんてない。
ただ、悪いことが起きるのは何時だって、太陽が眠った後だから。パトロール、なんてつもりなのかも。

分厚いジャケットのポケットに、コンビニで買ったお菓子を入れて、人気の無い道を歩く。
平和、と言うか人が一人も居ないのだから、何かが起きる様子もない。

「───はぁ」

白いため息。世界は平和である、或いは何もかもは自分の知らない所で動いているのか。
思い出す血みどろの光景、あれが全部夢だったら良いのに。だけどそうでない事は、片足の違和感が思い出させてくれる。
194◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/12/06(金)17:09:34 ID:d8U [1/1回]
>>193
月に照らされて蛇が見ていた。前方で、進路を妨げない程度に道路へと身を乗り出して。
同じ目線の高さ。丸太を思わせる胴は塀の向こうに消えていて、見るからに尋常ではない大きさ。
ちろちろと舌を出し、微かにうねる胴体からして偽物なんかではないのは明らかであった。

ソレは少年をじっと凝視したまま動こうとはしない。せいぜい通り過ぎるのを、頭で追いかけて目を離さないくらい。
それでも夜道にこんな大蛇がいるだけで普通ではないし、言ってしまえば。
あり得ないはずの生物が存在する点において、奇跡に依る産物であると思い至るのもまたおかしな事ではないのだ。

//安定するのはもう少し後になりますが…!
195 : 入弥悠◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/12/06(金)17:49:38 ID:okQ [1/1回]
>>194
//すいません、今から用事で返信は遅くなります……
//23時には用事が終わるので、24時までには返信させていただきます
196入弥悠◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/12/06(金)23:39:00 ID:k8m [1/1回]
>>194
背筋に一筋、冷や汗。本能的な危機感。
敵意は感じない、きっと素通りすればそれで終わり、だとしても。
自身の身の丈の何倍あるかもわからない巨躯は、視線を釘付けにして逃さない。

「─────」

まずすべきは戦う準備、なのに。彼はその姿を変える事もなく、じっと蛇と視線を合わせていた。

「────居るんだろ、見てるんだろ。」

それは奇跡の産物に違いなく、であれば可能性は一つだけ。
だからこそ、彼はそのままの姿で居た。

「……出てきてくれよ。
オレは、戦うつもりもないんだ。」

その意思を伝えるために。
思い出すあの日のマモノツカイ。握る杖の先端は、蛇を象っていた
だとすれば、この蛇の主は───

//お返ししますっ
197◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/12/07(土)17:28:21 ID:SyY [1/4回]
>>196
反応はない。只管に無言を保ち、人語などまるで知らないかのように。
しかし真にそうであれば、逃げるでもなく鷹揚に。言葉に呼応して頭を引っ込め、塀の向こうに姿を消しはしないだろう。
主人を呼びにでも行ったか、あるいは密かに変身して不意打ちにでも走るつもりか。前方から近づく足音からして、どうやら前者であるようだった。

「――こんばんは」

大人と呼んでも差し支えない身長、無邪気と言うよりかは柔和な印象を与える微笑。低い声も含めて、以前とは何もかも異なる様相。
あのマモノツカイがそのまま成長したという仮定におければ、同一人物と取れなくもないのだが。
傍らに寄り添う大蛇に怯えるでもなく、下顎を指で撫でる様からして答えは明白で。

「驚いたな。てっきり見て見ぬ振りをするか、真っ先に変身するかと思ったけど」

口調もまた、苛烈な所業の時とはかけ離れた穏やかなもの。
会話でもって意思疎通を図ろうとした事に加えて、交戦のつもりがないと聞けば、意外そうに僅か目を見開いたが。

「でもさ。君がどういうつもりかなんて、そんなのは関係ないんだよね」
「そうじゃなきゃ、問答無用で襲いかかったりなんかしないだろ?」

襲撃者にとって、そんな事情は一切合切省みる必要性がないのだ。
ただ自分がそうしたいから。それだけの理由で人を害するのだから、そこに相手の意思など介在する余地がない。
一歩踏み出し、足音が月下に響く。追随する蛇は音も立てず、殊更に接近を強調する。
それを許すのであれば、二人の距離は互いに手を伸ばせば届く程に縮まって。舐めるような二対の視線が頭の天辺から爪先までを眺め渡すのだ。

//寝落ちすみません、本日もお返しできるのは日が変わるまでになりそうです…!
198入弥悠◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/12/07(土)18:54:40 ID:OFG [1/2回]
>>197
大きさ、というのはそれだけで驚異になる。
蛇に、人に見下ろされて一瞬背筋が丸まってしまう。けど、また伸ばして。
視線はまっすぐ、負けないように、折れないように目を会わせる。

随分と年の違う姿だけど、面影だけは嫌と言うほど。
あの時の無力感と、絶望と、痛みと。全部が今にも帰ってきそうで。

「……その割には、話してくれてるじゃん。
そっちが、本当のかっこか。年上じゃん。」


軽口を叩いて見せても足が震えていた。握った拳は心細そうに揺れている。怯えている。
それでも。手を伸ばせば命を奪える距離になっても。体を、視線を、ただ真っ直ぐに。
その命を奪おうと思えば、瞬きの間で十分だろう。彼だって、意識を張り巡らせいざと言うときは対応する準備はある。
だとしても、守るより奪う方がずっと簡単なのは確か。

もう戦える気がしないのは確かだった。だから、ある意味では諦めで、けれど挑戦でもある。

「何時でも、殺せるだろ。
だからちょっとぐらい、付き合ってくれ。」

一颯みたいに、マモノまで救おうなんて気にはなれないけど。今だって、ぐちゃぐちゃの顔の少女を思い出してしまうけど。
でも、多分、出来ることはこれしかないから。

「……マホウツカイだったのか、あんた。」

一つめ、質問。

//了解しました。
//こちらは今から安定して返信できそうです。
199◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/12/07(土)20:01:22 ID:SyY [2/4回]
>>198
見ているだけで、怯懦に打ち震えているのはよく分かる。それをひた隠しにして、今眼前で立ちはだかっている事も。
しかし論うでも嗤うでもなくいっそ微笑ましそうな眼差しは、やはりこれからどうこうしようというつもりには見えないが。

「どっちも本当の格好だよ。あれは俺じゃなくて兄さんだからね」
「変身したら人も変わる、なんてあまり信じてもらった事はないけど」

それはあくまで彼の話であり。あのいやに溌剌としたマモノツカイとしてとなれば、また別の話な訳で。
あくまでもにこやかに、下手をすれば度が過ぎた妄想と思われても仕方のない言葉をつらつらと。
実際に手を下すのも、その恩恵を受けるのも自分自身ではないからこそ。殺す気はないと否定こそしないが、比較的冷静で客観的でいた。

「……兄さんが、だけどね」
「双子だったからかな。俺も変身は出来なかったけど見えてたから、存在だけは知ってたんだ」

だから多少の沈黙を挟めど、無言を貫く事は終ぞなかった。
隣に侍る大蛇に肘を預けて体重を乗せる。緊張した空気に反して、リラックスした姿勢。突然としか思えない質問に、訝しげな視線を織り交ぜて。
それでも話す気になったのは健気な反抗に応えようという、ちょっとした賞賛のつもりなのかもしれなかった。

「大分前にマモノツカイと戦って死んじゃったんだけどさ、そうしたらどうなったと思う?」
「俺が代わりに魔法少年になって、変身した時だけ兄さんが表に出てくるようになったんだ。不思議だろ?」

時に双子とは、科学では説明のつかない魔法じみた繋がりを示す事がある。
であれば魔法少年が幻想の極致に在る存在である事と合わせれば、そういった現象も起こり得るのだろう。
例え信じようと嘘と断じようと、見る目もこの後どうするつもりかも、変わりはしないのだが。
200入弥悠◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/12/07(土)20:30:00 ID:OFG [2/2回]
>>199
一旦敵意を仕舞ったなら、意図が切れたみたいにその場にへたり込む。
大蛇を椅子がわりに侍らせるのに対して、コンクリートはひどく冷たい。

人に比べれば超常的な、常識はずれな事柄に対して耐性が付いた方だ。
だとしてもその言葉は、理解をするには時間を要した。
ただ大切な家族を失ったことで気が狂ったんだとか、そんな説明は出来そうだけど。
マホウツカイなんて存在は奇跡そのものなんだから、それはもしや、本当に言葉通りなのかもしれない。

「不思議すぎる、けど……わかった。
生き返りたいって言ってた理由。
あの子が、兄さんなのか。」

だからこそ疑問はさらに増えていく。魔法少年を殺せば生き返られるのか、兄ではなく彼は自分の所業をどう思っているのか、とか。
けれど。思考する前に口が動いて、溢れたのはひどく素直な疑問だった。

「なら───兄さんは、あんたのこと嫌いだったのか?」

だってこれじゃあ、呪いじゃないか。
マモノツカイの姿は幼くって、小学生にすら見えた。それが生前の兄の姿なら、弟がこうなるなで何年経ったか。
ずっと、ずっと、囚われ続けて人まで殺して。大好きな弟に、そうなって欲しいと思う兄なんて、信じられなくて。

201◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/12/07(土)21:23:08 ID:SyY [3/4回]
>>200
「君は優しいんだな。いや、甘いのかな?まあどっちでもいいか」

言わんとする事を理解したのだろう、くずおれた顔を見下ろす面持ちは未だ笑顔を保っていたが。
その隣、表情に乏しい蛇の翠目は燃える木漏れ日の如き激情を宿しているようで。

「君、兄弟はいる?一番身近な人が亡くなった事は?」
「知らない誰かの命と、大切な人の命。どっちを取るかなんて決まってるだろ?」

その頭を制するように撫でながら、語る調子に動揺や苦慮はない。
まるでそんな訳がない、あり得るはずがないと。悩む事すら無駄で無意味と切り捨てて。
そもそも奇跡なんて曖昧で不安定なモノが、一方的な強い願いだけで成就するはずもなく。

「もしかしたらただの思い込みかもしれないし、兄さんだってもう生き返らないかもしれない」
「でもだからって、こうなった以上は簡単には諦められないんだよな」

マモノツカイは悪しき心を持つ。しかしそうではない人間だって、時にどうしようもなく堕落する。
変則的とはいえ、マモノツカイとなり得るだけの素養。即ち、彼もまた狂っていると言えるのだろう。

「だからせっかく足が治ってるところ悪いけどさ。今度はちゃんと俺達に殺されてて欲しいんだよ」
202◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/12/07(土)22:11:34 ID:BbC [1/2回]
>>201
その言葉で初めて、届いた気がした。何を言ってもふわふわしたまま言葉は通り抜けて、代わりに血を交わす事しかできなかったけど。
今はその瞳に激情を宿して、視線がぶつかる。初めて、揺れている。

「……ないよ。
 でも、誰かの命で助けられるなら」

母も父も健在で、友達を失ったこともない。だから、彼の言う事を理解することなんてきっとできない。
だとしても、確かなことは一つだけ。

「オレは、オレの命を使うよ。」

誰かを助けられるなら、それでも誰かを犠牲にするぐらいなら、自分は。

思い出す言葉。小さな小さな少年が、血を吐くように出した言葉。
"マモノツカイは止まれない。ぐちゃぐちゃになってしまうまで。"

「簡単に諦められないなら、オレが壁になる。
 絶対に超えられない壁になって、諦めさせてやる。」

その果てに、命を奪う事になったとしても。正しいか、間違ってるかなんてわからないけど。

「殺したいなら来いよ。何度だって、立ちふさがってやる。」

握りしめた拳は揺れて、足は震えて、涙目。だとしても、瞳に宿す確かな意思。
怯えて震えていたって、視線は前に。脚は前に。意思は、今だ曖昧だとしても。
手を胸に、心を握りしめるような感覚。それが入弥悠が戦う覚悟を決めて、魔法少年となる儀式。
蛇が牙をむくのなら、悠は獣の面を以て迎え撃つだろう。
203◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/12/07(土)22:53:12 ID:SyY [4/4回]
>>202
「よく言うよ……君に止められるとは思わないけど、せいぜい頑張るといいさ」

わざとらしいため息、そうなる事は初めから分かりきっていたというのに。
自分の事だけど、他人事でもある。その曖昧な境界の中でも譲れない一線は見出だせる。
言い終えるや否や、それまで愛でていた蛇の頭を強く握りしめる。それが転換の合図だった。
鱗の胴が身体を覆い隠して、月に照らされる地上に翠玉の光が仄かに瞬くのは流星よりも短い間。

「――あはっ、久しぶりおにーさん!」

再び現れた姿は宛ら若返りであったが、単なるそれでないのは隷衣が何よりの証拠。
未だ未発達な体つき、快活な声。口元は三日月を描けど目は笑っていなかった。
長く伸びた新葉の髪を闇夜に散らし、待ったなしとばかりにアスファルトを蹴る。

「じゃあ早速、死んでもらおうかなっ!!」

なんの考えもない吶喊、しかし直に触れるのが危険であるのは既知の通り。
先程まで蠢いていた蛇を象った杖がくるりと回って刺突、先端を心臓目がけて突き立てようと。
204◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/12/07(土)23:31:21 ID:BbC [2/2回]
>>203
握りしめた心が光を放ち、空に舞う輝きの粒子。流れ星みたいに降り注いで、その姿をマホウツカイへと。
相手のその一突きが致命打になり得る。大げさな動作で体を逸らせば、杖の先の蛇は空を噛む。
震えて怯えて泣いていても、本能と覚悟が体を動かす。動ける。
当然そんな動きじゃカウンターを撃つ暇もない。防戦一方、だが

「っ久しぶり……オレも、会いたかった!」

叫ぶと同時、額の面を撫でればそれは模す獣を変える。鎧のごとき鱗を纏う蜥蜴の面。
両手足は鎧に包まれ、これならばと。突き出された杖をつかもうと。
結局は表皮が性質を変えたものが鱗、であれば溶けない理由にはならないが。少なくとも、生身よりは時間が稼げるはず。

「あんた、兄貴の癖に……
 弟を呪ってんじゃねぇか!」

悪いのは、なんて言いたくはないけれど。でもきっと、原因はこの兄の方だろう。
どうせとりつくのなら弟の幸せを願えばいいのに。なんて、野次でしかないかもしれないけれど。
でもせめて、ぶつけずにはいられなくて。
205◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/12/08(日)00:08:35 ID:z2Q [1/3回]
>>204
「うわっ……なにそれ、ズルくない!?」

触るのが何を意味するか知られていると分かっているからこそ、自分から掴みにくるとは考え難い。
杖を止められ体勢を崩し、つんのめりながらも変性への悪態を吐く。
冷ややかな木の杖を握る部分から溶け出そうと鱗に覆われていればその速度は遥かに鈍い、這い上がる痛覚も同様に。

「……呪ってる?僕が?」

ぐいと引き寄せられて、間近で見上げるのは稚くきょとんとした瞳。
何故そんな事を言われなければならないのか、どうしてそういう結論に至るのか。
まるで理解が及ばないかのように、心底から訝しげな呟きを零して眉を寄せた。

「僕らは昔からいつも一緒だったんだよ。死ぬ前も、死んでからもずっと」
「でもやっぱり、僕は生きていたい。また二人で並んでいたいし、兄さんだってそうなりたいって言ってくれた」

今更、互いに互いを兄と呼ぶ事などさして異常ではないだろう。それを上回るだけの狂気が彼らには宿っているのだから。
最も近い血の繋がりだからこそ。何よりも大事で絶対で、その情愛に疑う余地などあり得ない。
そしてその歪な感情の吹き溜まりは、自分を差し置いてのうのうと生きている魔法少年へと差し向けられるのだ。

「だからさ……お前は黙って、僕に殺されればいいんだよ!」

荒い語勢は氷河の絆を疑われた故か、比較的幼い精神はどうも苛立ちが表出しやすいらしい。
片足が鳩尾を蹴り抜こうと、噛みつかんばかりの勢いで振り上げられた。

//すみません、今日の返信はここまでになります…!
//明日は午後からお返しできると思いますので!
206入弥悠◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/12/08(日)12:49:26 ID:Vf3 [1/1回]
>>205
握り締めた手から煙が上がる。鎧は熔解を始めていた。
生身の皮膚で触れるより、その速度は、痛みは遥かに鈍い。
だが想像よりは遥かに早い。鎧は薄く削がれていき、皮膚に達するのはそう遠くない。

「───あがっ………」

引き寄せて一撃を放つでもなく、ただ彼を見ていた。その隙。
阻まれることなく叩き込まれた一撃は、的確に弱点へ。
開いた口から漏れる、締め上げられた呼吸、唾液。意識が少し揺れる。

「……だったら、ちゃんと……
探せって、生き返り方……」

定まらない視点は、決して曖昧な意識のせいじゃない。
彼が元々マホウツカイだったと言うなら、悠の首に煌めくのと同じ"心象結晶"があるかもしれない。
それに触れて、砕けば。奇跡の力だけを破壊できるかもしれない。
少なくとも人格の一つを殺すことに変わり無いけど。

「生き返れるかもわかんないのに、殺すとか……
ただの嫉妬だろっ!!」

手の平の鎧はもうなくなった。皮膚が崩れて神経が悲鳴をあげている。
片目を閉じて眉を歪めて歯を食いしばって堪えても、限界はある。根性よりも先に、神経が途切れて動かなくなる。
それが見つかったかに関わらず、手を離して蹴りを放つ。同時に後方へ。

//すいません、寝落ちしておりました……
//こちらは夜まで用事があるので、次の返信は夜になります……
207◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/12/08(日)16:26:32 ID:z2Q [2/3回]
>>206
足裏を思いっきり腹に叩きつけても、手が杖をしっかと掴んで離さないものだから。
薄い黒のヴェールに覆われていた嗜虐を求める笑みに、幾許かの焦りが混じる。
前に相見えた時に比べて、覚悟が違うと言うべきか。毒に厭わず食らいつく様に、目を丸くせざるを得なかった。

「――それの何が悪いのさ」

ブレる眼を一時の酸欠と見て取って、多分の苛立ちを含んで睨めつける。
ただでさえ布面積の狭い装い。幻想の煌きを唯一見出だすなら、その眼差しから視線を上にずらした瞬間だろう。
そこにあるのは憤懣に騒めく緑雨の髪と、それを飾る真っ黒なヘッドドレス。そのレースに紛れて光を吸いこむ、オニキスの如き宝石があった。

「だってズルいじゃん。僕は死んでて、他の人は生きてるんだよ?こんなの羨ましいに決まってるでしょ」
「だから皆……僕の為に死んじゃえばいいんだよ!!」

悪びれもせず、否定もしない。自分の価値観こそ絶対であると、拒絶を嫌忌した荒い語勢を顕にして。
もう一度蹴りでもって引き剥がそうとしたが、足先が届くのは相手の方が早い。

「うぐぅっ――!!」

腹部を貫く鋭い衝撃、杖の自由と引き換えに絡みつく慣性が幼い身体を吹き飛ばす。
路面に叩きつけられて数度転がり、杖を両手で握りしめたまま。内臓を揺さぶられた不快感に思わずえづく。
水月を庇うように、杖をついて緩慢と立ち上がる。距離を取った状態でも尚戦意は衰えず、苦悶の吐息を堪えて正面に構えた。

//了解しました、一先ずお返ししておきます!
208入弥悠◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/12/08(日)22:36:14 ID:PSV [1/1回]
>>207

「……いっ……ぎ……」

手を離して突き飛ばせば、溶けた肉が杖に奪われて走る激痛。
それでも悲鳴を堪えるのは、覚悟と呼ばれる心のせいか。
いまだに整理なんて出来ちゃいないのに。爛れた皮膚よりも感情がぐちゃぐちゃだ。
彼を怖いと、憎いと思うのに、それと同じだけ大きな感情が消えなくて。

嫉妬であることすら受け入れて叫ぶ。失ったものを取り戻すためなら、人は誰だってこうなれるのかもしれない。
誰かの痛みなんてしらない、自分がいたくてしょうがないんだから。

「……マホウツカイって、さ。強くて優しい心で出来てるんだってよ。」

それだけがマホウツカイの資格。嘗て彼にもあったはずのもの。
それを失えばマモノツカイ。人を傷つけるためだけの奇跡。

「それを、忘れて……
生き返るなんて奇跡、あるか!!」

面を撫でる、象るは虎。踏み出す足、駆ける悠。その速度は弾丸の如く。叩きつけるのは一撃でいい。
狙いは見えた。爪の切っ先は、ヘッドドレスの黒玉へ向かう。
何が起きるかなんてわからない、けど。このまま殺してしまうよりは多分、きっと、ずっといい筈だから。

それは心の結晶であり、奇跡の源。
それに傷をつけるなら、何が起きるかなんて未知。
文字通り心に触れるのだから、知りたくもない彼の心───死の痛み、孤独、とか。
或いは生きていたいと願う思い出にまで、触れて知ってしまうかもしれない。
奇跡なんて綺麗に言うけれど、それは出鱈目の塊だ。もし爪がそれに触れたなら───

//お待たせしました、返信です!
//もうお好きなように展開していただければ、と思いますっ
209◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/12/08(日)23:45:47 ID:z2Q [3/3回]
>>208
「ふぅん……願いが叶えられるのは、マホウツカイだけだと思ってるんだ」

生命の光は何よりも眩く冥土に慣れた目を焼くから、何度も躍起になってかき消そうとしてきたけれど。
その活力が流転して回生を成すなんて、いつ手が届くとも知れない水底の銀砂の如き夢物語に等しい。
しかし魔力を一種のリソースとするならば無理は道理になり得るし、何もそれを利用しようと考えているのは彼だけではない。

「魔力で奇跡を起こすのに、マホウツカイもマモノツカイも関係ないさ。どっちも同じ魔法少年だもん」
「そのためにコソコソ頑張ってるマモノツカイ達もいるらしいけど?ま、僕には関係ないし」

魔法少年の命を奪えるならその区別を鑑みないからか、組織的な活動にはそう関心がある訳ではなく。
最早問答は無用、後は息の根を止めるだけとばかりに。前のめりの姿勢で地を蹴る刹那。

「――――ッ!!」

強く踏み切られたアスファルトに罅が入る。嫌な音が響くよりも早く、目前にまで迫ったと認識した一瞬の間隙。
その狙いが泣き所とも言える宝石であると捉えるとほぼ同時、本能が身体を引き戻して大きく上体を仰け反らせる。
咄嗟とはいえ致命的に遅れた初動、鋭利な爪の先が黒曜に深い一筋の疵を描いた。

そこから溢れる情動は、むせ返るような嫉妬。
生への羨望、死の絶望、今際の恐怖、置き去りにする孤独感。
その全てが混ざり合って一つの方向に収束した、人殺しという救済と発散。
どうしようもなく黒に染まったその心象風景は、どれだけ塗り潰そうと他色を奈落に呑み込んでしまう程。

幻想が閉ざされるのは辛うじて後方に飛び退いてようやく、そこにこれまでの余裕は既に皆無。
宝石を少し損なわれただけだというのに。ぜえぜえと肩で息をして、杖を支えに険しい視線を送った。

「おまえっ……何を、見た……!?」

心底から腹立たしげな声色。心的な疲労を上回る衝動に任せ、顎を下から殴りつけるように杖を振り上げたが。
不完全なオニキスの輝きはそのまま変身後の出力に影響するのか、その膂力は獣を退けるには心許ない。

//すみません、展開に悩んで遅くなりました…!
210◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/12/09(月)01:04:27 ID:U1k [1/1回]
>>209
切っ先が黒玉に触れて、離れる。そのほんの刹那が、今まで生きてきた時間みたいに長くって。
それは反射だった。振り上げた杖を片手で弾いて、そのまま彼に覆いかぶさるような形。まるでいつかの再現。
けれど悠はただ無言で、呆けた顔で彼を見ていた。

(……なんだ、これ。)

光すら吸い込みそうな黒は嫉妬の色。それをキャンバスに、無数の黒色が混じった黒だけのマーブル。
その生涯を追いかけたわけじゃない。ただ、その、壊れるには十分すぎる情動を見てしまった。
這いずる身体を四つん這いにして、そこから立ち上がる。彼を見る。
怒りと憎悪の赤色に、覚悟の炎を燃やしていた瞳。それが随分と、色を変えていた。

「───オレ、酷い事、言ったんだな。」

炎は霧散して、陰った赤は後悔の色。零れた言葉は、誰に向けるわけでもないただ本心。
涙が一つ、あふれて。そのまま彼に落ちる。
漆黒の渦の中に一筋、自分の事じゃなくって、大切な人を思って染まった黒色。
潰されてしまいそうな孤独は、家族の為にあった。それなのに、自分は何を言ったろう。
だって死んだことなんてない。わからない。相手はマモノツカイで、狂っているんだから。そう思っていた。
でも本当は、どうしようもなく人間だった。自分の眼で見たんだ、わかってしまった。

怒りが、なくなったわけじゃない。きっと何人も殺して、何人も苦しめてるんだから。
恐怖と憎悪と、同じ大きさだったあの心が───助けたいと願う心が、酷く大きくなってしまっていた。

自分の願いなんてあってないようなものだ。願いの権利を、彼の為に使えたら。
だけど、自分の願いをかなえる方法はマモノツカイを、彼を殺す事。言えるわけがない。
止めるなら、このまま、爪を振り下ろすしかない。わかってる。

爪を、振り上げる。振り下ろせば心臓を裂く。それで終わり。なのに。
涙が一つ、零れて、彼に落ちて。振り上げた爪が、力なく落ちて。

「ごめん。全部、見えたんだ。
 だから、オレ、あんたの事、生き返らせたいって思っちゃってんだ……」

戦意、なんてものは見えなくて。そのまま、その杖で心臓を穿つなら、きっとその通りになる。
彼の言葉の通りに。

//すいません、こちらも悩んでました……
211◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/12/09(月)13:53:41 ID:GfK [1/2回]
>>210
本人でも自覚するのが難しい心の奥底までを覗き見られる、背筋を撫でられるような例えようのない感覚。
その動揺を素早く振り払う事は叶わず、遮二無二振り上げた杖が捌かれるのも当然と言えた。

「ぐッ……離してよ……!!」

押し倒されてもがくも、やはり力で勝てるはずがなく無駄な足掻きに終わるだけ。せめて引き剥がそうと分泌する毒液も薄く、脅威には程遠い。
睨みつける形相はまさに嫌悪、のしかかる質量が消えてもそれは変わらず。
今にも飛びかからんと杖を握りしめて、動きが止まる。頬に落ちた生温いなにかの正体を理解するのに、数秒の時間を要した。

「……お前、本当にバカじゃないの」

ゆらり、立ち上がる。すぐに襲いかかろうとはしないものの眉間に濃い皺を寄せ、敵意が失せた訳ではない。
杖を持たない方の手を伸ばす。掴むのは胸元、ファーコートの襟。ぐいと引っ張って、顔と顔を近づけた。

「――今更、同情のつもりかよ!!」
「僕を生き返らせたい?お前がそれを願うのが、どういう意味か分かってるんだろ!?」

今にも喉に食らいつかんばかりの勢い。鼻息は荒く、緑青の目はかっと見開いて耐え難い激憤を訴える。
その憤りが煮え滾るのは、何も単に向けられた哀憫が惨めに思えただけではなかった。

「マモノツカイも可哀想だから助けたい、なんて甘過ぎるし……ズルいんだよ!」
「……僕だって、まだ……そういうマホウツカイでいたかったのに……!!」

ただ、羨ましかった。万人を救おうとするマホウツカイでいようとしている事が。自分にはもう叶わないというのに。
羨望は薄汚い嫉妬に染まり、嫉みに任せて拳を振り上げる。手から離れた杖が、乾いた音を立てて道路に落ちた。
弱々しく胸を殴りつける様子は最早子供の八つ当たり。頬を濡らした雫が押し流されて頤を伝う。

「……さっさと殺せばいいだろ。どうせお前には助けられないんだから。今だって、お前が妬ましくて気が狂いそうなんだよ」
「でも兄さんは関係ない。身体を貸してくれただけで、魔法少年の力はないんだ。分かるだろ?」

//寝落ち申し訳ありません…!
//こちらは好きに展開してもらって大丈夫ですので!
212 : 入弥悠◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/12/09(月)17:48:04 ID:37B [1/1回]
>>211
胸を捕まれて、ぶつかりそうな距離。
弱々しく振るわれる腕と、煮え滾った言葉は、蕩けた肉の感触よりも苦しくって。
ごめんって、また謝りそうになった口を慌てて閉じた。救えないとしても、謝っちゃいけない。同情が一番突き刺さる事ぐらい解ってる。

「……オレも、死ぬのは怖いんだ。」

始めて死を目にした時、恐ろしくて堪らなかった。自分に凶器が向いた時、震えてどうしようもなかった。
死ぬのは、痛いのは怖い。だけどそれよりも、抱えきれない感情があって。

「でも、生きてたいって、思ったこともないんだ。」

何をしても駄目だった。笑いかけてくれる人達は、皆可哀想だって顔をする。
虐げられた訳じゃない。でも、何も出来ないとわかったまま、生きていける気はしなかった。
友達は、居ても一番には成れない。自分が死んでも、泣いてはくれない程度の関係。
父も母も、ついに諦めがついたらしくて。期待する事をしなくなった。会話も、ずいぶん減った。
彼に比べれば、本当にちっぽけな苦痛かもしれない。だけど、それでも、自分の命に絶望するには十分だった。

だから、魔法使いは救いだった。
人を救うのは、それが自分を救うことになるからだ。
結局エゴかもしれない。でも、だとしても、今握り締めたこの気持ちは。助けたいって気持ちは吐き捨てたくない。

首輪に輝く紅玉───奇跡の源を外して、握って。
その手が彼の髪に触れる。一度だけ、撫でて、ヘッドドレスの宝石を奪う。

「やるよ。オレの命。」

首輪に空いた空間に、黒い宝石を埋め込んだ。
これが奇跡の源、彼の命の在処ならば。肉体は、違うものでも良いかもしれない。
それは双子故の奇跡かもしれない。だとしても、同じ黒渦を見た仲なら、同じ奇跡が起きたって。

//いえいえ、遅れたのはこちらですので……
//お返ししますっ
213◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/12/09(月)22:38:40 ID:GfK [2/2回]
>>210
元マホウツカイであれば、その宝石が何を意味するかくらいは知っている。
首輪から取り外された赤い輝きに目を奪われて、頭を撫でる指には気がつかないフリ。
それを認めてしまったら自分がたまらなく惨めになるだけ。加えてそう振る舞える事が、ひどく妬ましくなってしまうから。
本当はかつてマホウツカイだった自分だって、そうまでして他人を救おうとする存在であったというのに。

「お前、なにを……!!」

言葉が途切れたのは、黒玉が引き千切られたのとほぼ同時。ばちり、と弾けたような音が空気を揺らした。
本来、肉体を持たない存在だからだろうか。宝石がなくては憑依めいた入れ替わりを保つ事はできないらしく。

「――――ッ」

輪郭がブレて光が踊る。強制的に変身が解かれて、ずっと見守っていた傍観者が負荷も顕にたたらを踏む。
それでも辛うじて目で追った黒曜に、疵を起点として大きく無慈悲な罅が入った。
人の身体をハードウェアとするならば、同じマホウツカイを代替として命を移すのは、理論としては不可能ではないのだろう。
けれど彼らがそれを為していたのは、偏に最も濃い血や遺伝子の繋がり。それから双方向的で強固な、生死を超えて互いを想う意思が奇跡を呼んだからに他ならない。
であれば無理矢理な移植は、ただでさえ不安定な在り方を別の形で保つには、些か幻想を現実に映す要素が不足していた。

埋め込んだ黒の宝石が砂塵のようにさらさらと解ける。命を侵食する余裕もなく、夜風に浚われて月光に消える。
限られた時間で流れ込むのは相変わらずの嫉み妬み羨み、しかしその根底にはこれまでなかった物がある。
その覚悟こそが自分を犠牲にしてでも手を差し伸べる、何よりのマホウツカイらしさだと。それこそ羨ましくなる程に。
そも本人は決して認めないだろうけれど。そうやって嫉妬するという事は、それだけの素養を相手が持っていると同義なのだから。

砂時計は時の流れに逆らえず、月はいつか欠けて沈む。やがて最後の一片が夜に消えて、残される宝石は真紅のみ。
肩を塀に預け、呆然と見ていただけの彼がようやく重い口を開いた。

「……何か、見えたかい?」

//お待たせ致しました!
214◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/12/10(火)02:13:27 ID:Oio [1/1回]
>>213

目を閉じたのは、二度と開くことはないと思ったから。
次に目を開けるのは自分じゃない。彼の、兄が目を開けて、兄兄は再開する。
そのための贄に成れるなら、自分の命にだって、少しぐらい意味があったんだと思える。

筈だった、のに。

目が、開いた。変わらず、自分が在った。目の前には、兄は居なくて兄がいた。
目を開ける刹那の黒い渦、それは本当に一瞬だった。変わらない妬心と羨望と、微かな───
それが何か、なんてわからなかった。手を伸ばしても、届かなかったんだから。
だから、意味することなんて一つだけ。

「……ごめん、なさい。」

質問に答える事すら忘れて、言える言葉なんてそれしかなかった。

「オレ、あいつの気持ち、見た、のに……
 殺しちゃった、消しちゃった、オレ、助けたいって、言ったのに
 ほん、とに、だって、えぐっ、おれ……ぁぁっぁああ……」

震える唇からはただ懺悔。殺すつもりなんてなかった、助けたかった、そう言ったって。
彼が彼を、どれだけ大事にしていたかを自分も見たなら、許されるなんて思えない。
そうするしかなかった、なんて言い訳にも慰めにもならない。助けたかった、そう思ったのは自分なのに。
言葉を重ねるごとにあふれる涙。止まらない。声はぐちゃぐちゃになって、もはや言葉になっていない。

抑えられない感情をぶつける場所なんてどこにもない。ただ何度も、何度も、拳を地面にたたきつけるしかできなくて。

//すいません遅くなりました……
215 : 名無しさん@おーぷん[sage] 投稿日:19/12/10(火)02:19:19 ID:EuO [1/1回]
>>214
//いえいえ!お気になさらず!
216◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/12/10(火)18:37:55 ID:rQZ [1/2回]
>>214
半身が消える倦怠は肉体ではなく精神を疲弊させる、遅々とした動きで身を起こす。
歩み寄って見下ろして、目線を合わせるように正面で屈み込んだ。

「――分かってたさ。いつかはこうなるって事くらい」

腕を伸ばして、掴むのは冷たい地面を何度も殴る手首。努めて冷静な語り口だが、迸る激情は強く握る力が如実に示す。
最初から根拠も何もない、最早衝動とも呼ぶべき凶行だった。全てを灰燼に帰し、火種を失くして消えるのを待つ。
黒く渦巻く情念は、無論彼とて知っている。それでも尚黙って手を貸していたのは、偏に双子故の情愛に相違ない。

「あれを見たんだろ?兄さんは一度死んだのに、ずっとああやって苦しんでた。俺には止める事は出来なかったけど……」
「だから俺は、君を責めないし礼も言わない。君も謝る必要はないよ」

覚悟をしていたのは、随分と前なのだろう。がしと頭を掻いて、けれど感情のままに振る舞いはしない。
死は永劫の別離だが、同時に苦悩からの解放でもある。選べなかった二択が決め打たれたのを、弾劾する気にはなれなかった。

「ああでも。宝石じゃなくて普通に殺されてたら、俺も心中してたんじゃないか?そういう意味では、君は間違ってなかったんじゃないかな」
「それに……こういう救い方も、マホウツカイとしては正しいはずさ。昔の兄さんがそうだったからね」

//大丈夫です、返信置いておきます!
217入弥悠◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/12/10(火)21:22:14 ID:8NO [1/1回]
>>216
罵詈雑言と怨念、きっとそれを貰うのだと思っていた。
とっくに覚悟はしていたなんて、そんな風に。真っ赤になった拳は、その彼の手で止められた。

「……でも、あいつ、ずっと、貴方の事、考えてて
一緒に居たいって、言って、」

顔をあげれば、面影すらわずかなぐらい、濡れてしわくちゃになっていた。
せめて怨んで欲しかった。憎んで欲しかった。そんな、しょうがなかったなんて顔をしないで欲しい。
自分が失敗しただけだ。もっとうまく、違う誰かなら上手く出来た筈なん
だ。

見られていることも忘れて、或いはだからこそか、わんわん泣いた。ずっと泣いた。
収まるまで随分かかった。涙がかれて、咽くだけになって漸く、まともに話せるみたいだった。

「……同じ事、しちゃったのかな、オレ。」

昔の彼が同じ事をしたとしても、ならば自分の番は上手くやらなきゃいけなかった。

「魔法少年って、皆、こんなに重いもの背負わなきゃいけないのか。
……正しいわけないよ。消えて欲しくなかったんだ、オレ。」

張本人がそんなことを言うのは、彼にとっては煽りにしかならないけれど。
本心だった。生きて欲しいと思っていた。そのためなら、自分なんて要らないと思うぐらいに。

//お待たせしました、返信です
218◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/12/10(火)23:39:22 ID:rQZ [2/2回]
>>217
一緒にいたいのは、どっちも同じだった。けれど本当は、八年前に途切れているはずの縁。
それからの時間は、残滓に縋り亡骸を抱いているようなものであると、理性では分かっていたからこそ。
悔恨、憤慨と諦観が共存して、結果をこうして受け止めていられるのだろう。

「……マモノツカイの動機はいろいろだけど、マホウツカイのやり方だって同じくらいたくさんあるさ」

慟哭が落ち着いた頃になって、ずっと見守っていた口を粛々と開いた。
慰めのつもりではない。しかし不本意の結末とはいえ本来打倒して然るべき命のために、これ程まで涙を零すだなんて。
それが罪悪感から去来するものだろうと。赤の他人に過ぎないただの玉響の死を悼む事への、細やかな返礼のつもりなのかもしれなかった。

「君がこんな事をしたくないなら、別に続けなくたっていいんだ。人に強制されている訳でもないんだから」
「その力で人助けがしたいなら、マモノツカイと関わらなくてもいくらでも出来るからね」

崩折れた頭をぽんと撫でて立ち上がる。咽び声を聞き届けていた月の輪郭はいやに明瞭で。
慣れ親しんだマモノの分の空白を夜風が抜ける。無意識に目をやって、知らず握り拳を作った。

「……死んだ人は生き返らないし、そうなったとしてもロクな事にはならない。結局後悔したって、時間の無駄でしかないんだよ」

言い含めているようで、自分に語り聞かせているようだった。遣る瀬ない思いを、ゆっくりと首を横に振って胸の奥に沈める。
それ以上を説く義理はないと、あるいは自分の気持ちを一人で整理したいがために。
一瞥、背を向ける。最早見えるだけの、魔法少年ですらない人間には奇跡と触れ合う資格などないとばかりに。

//お待たせしました…!
219◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/12/11(水)05:03:23 ID:9rD [1/1回]
>>218
選ぶことが出来る、だからこそ選べない。一度願ったなら、それが叶わず壊れたなら、呪いとなって破片が突き刺さる。
逸れた視線、握りしめられた拳が多分、彼の本当の気持ち。言葉は自分に向けられてはいないのだろう。

向けられた背に手を伸ばして、でも掛ける言葉なんて思いつかなくって。

「───オレ、諦めないです。
 だって、魔法があるんだったら、まだ何か、出来るはずだから。」

それは覚悟と言えるほど、確かなものじゃない。寧ろ駄々に過ぎないような、タダのわがままかもしれない。
そろそろ諦めを知る年だけど、けれど割り切るには早すぎるような、そんな時期。
何より最初から、それしかない。誰かを助ける事しかないんだから、今諦めたら死ぬしかない。

彼の為の言葉なんてなくて、だからこれは、一方的な宣言にすぎないけれど。

//すいませんね落ちてました……
//ここらで〆でしょうか?
220 : ◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/12/11(水)06:04:41 ID:UTr [1/2回]
>>219
//そうですね、長らくお付き合いいただきありがとうございました!
221赤栃一颯◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/12/11(水)21:18:26 ID:UTr [2/2回]
太陽が傾きかけて情景が黄昏色に暮れる頃、あちらこちらで帰り道の学生を見かける放課後の時間帯。
姦しい制服の群れを眺めるのがなんとなく居心地悪く思えて、無意識に人通りの少ない路地を選んでいた。
それに物騒な事件はこういう場所の方が起きやすい、ビルの森を見回る赤ずきんの足取りは意気揚々――。

「…………あれ?ここ、さっきも通ったような……」

――でもなかった。あちらこちらを落ち着かなさそうに見渡して、困ったように首をかしげる。
ただでさえ外出が増えたのはここ最近だから、土地勘も鈍い。似たような景色ばかりが続くものだから、方向感覚はすっかり彼方。
とはいえいざとなれば、ビルの屋上にでも飛び上がってでも脱するつもりであったから、然程焦燥に駆られている訳でもなく。
魔法少年でさえなければ、迷子という危機感すら持たない、ただの危なっかしい少女のような少年にしか見えないのだが。

//絡み待ちですが、希望のシチュ等ありましたらそちらでも大丈夫です!
222◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[sage] 投稿日:19/12/12(木)23:06:13 ID:LbH [1/1回]
>>221
この道を通るのが二度目なら、一度目にはなかった声が聞こえるだろう。
にゃあにゃあにゃあにゃあ、子猫の合唱。その方向を見れば、ダンボールの中に三匹の子猫。その前に屈む一人の子供。

肩までの黒髪に、編み込みを入れてリボンを結ぶ。
手のひらを包む、可愛らしい大きめ白セーター、ショートパンツと黒タイツ。
彼と同じくらいの年齢に見えるけど、にしては随分お洒落さん。

魔法使いじゃない筈、だから彼を見えないし感じられない筈。だからふと、そちらに顔を向けるのも偶然だろうか。

「─── 一颯、くん?」

上目遣いで、向ける視線。自信なさげなたれ目、小声で話す小さな唇。
睫毛が長めで、女性的な格好のせいで女の子に見えてしまいそう。
名前を呼ばれる覚えなんて無いだろう、でもその顔立ちに面影を感じるかもしれない。
昔、同じ病院にいた同じ年頃の男の子。怪我を直して出ていってしまったけれど、それまでは話してたりしてたかも。
………当時は服も患者服で、普通の男の子にしか見えなかったけど。

//遅くなりましたがよければっ
//また提案なのですが、稼働場所をdiscordに移動してもよろしいでしょうか?
//現在は大きく被害が出ては居ませんが、今後私の事情で荒らしなどの対応が難しく、またおーぷんが落ちてしまった時に連絡が途切れてしまうのも怖いので……
223赤栃一颯◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/12/13(金)00:02:32 ID:bMY [1/2回]
>>222
気づかないうちに大きくぐるりと一周して、元の場所に戻ってきたとなんとなく察する。
しかし猫の鳴き声だけは、先程まではなかったと断言できる。何せ分かりやすい道標だ。
自然と視線は可愛らしい騒ぎへと向き、そこにいた人影にも目を留めることとなる。
とはいえ後ろ姿はごく普通の少女、どうせ魔法少年の姿は見えないだろうとそのまま通り過ぎようとして。

「――へっ?なんでボクの事?っていうか、見えて……」

思わず喉奥から溢れた間の抜けた声。別人だと否定もせず、そもそもそんなつもりもなかっただろうが。
真赤の目をぱちくりとさせて呆然。しかし堆積した思い出の中に、微かに過る残滓を見い出したらしく。
まじまじと顔を凝視しながらこめかみに指を当て、記憶を注意深く探ること数秒。

「ええと…………あっ!もしかして昔、うちに入院してた……?」
「びっくりしたよ、もう!その……そんなカッコだから、すぐには気がつかなかったよ」

ぽんと手を打って、分かりやすく思い出したという仕草。正しくは、あまりに少女性の強い彼から過去との共通点を見つけたと言うべきか。
数少ない同年代の入院仲間だったのだ、意図せず頬も歓喜に弛む。名前もきっと唇からまろび出て。
思いがけない再会には違いないのだが、それよりも気になるのは不思議なまでの装いの変化。
フリルをふんだんに纏うワンピース姿の少年もまた人の事は言えないのだが、慣れとはかくも恐ろしい。

//よろしくお願いします!
//移動についてこちらからは異論ありませんっ
//ただdiscordは利用した事がないので、最初は色々と不慣れな点もあるかもしれないです…!
224◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/12/13(金)00:44:36 ID:ttj [1/2回]
>>223
本来奇跡は目に映らない。しかし、その主と絆を結んだものであれば。
実は結構稀にある事らしく、これで身近な人間に見られてしまって傷を負う者もいるんだとか。

間の抜けた声、まるで話かけられる事を想定していなかった反応は、忘れられているのかと不安をあおる。
たれ目に沿って下がる眉、不安げな表情。恐る恐る言葉を待って。

「……良かった。忘れられたかと思っちゃった。」

ぽんと手を打つ音、その口から洩れる自分の名前、瑞樹 幸莉/ミヅキユウリ を聞いて表情が晴れる。

「だって、こっちの方が似合ってるでしょ。
 可愛い方が好きだもん。男らしい服なんてつまんない。」

自信なさげな表情は、彼を見れば明るくって、にっと笑って良く動く表情へ。きっとこっちの方が、記憶の中の幸莉に近いはず。
思い返してみれば、病院では服に対する不満をちらちらこぼしていたような。にしても、こんな風になるとは思わなかったかもしれないが。

「一颯くんも可愛い服じゃん。
 ……見れば見る程すご。この服、どこに売ってたの?」

もうすっかり慣れたかもしれないが、そんなカッコと言うには彼の衣装も刺激的。
フリルスカートをペタペタ触って、その感触に心奪われているみたい。

//ありがとうございます!
//ではリンクの準備をしてきますね
225 : ◆</b></b>lVPThJvkFw<b>[] 投稿日:19/12/13(金)00:49:13 ID:ttj [2/2回]
https://discord.gg/rw2K48

//こちらが招待リンクになりますので、アカウントを作ってこちらに入って頂ければ!
226 : 赤栃一颯◆</b></b>drF3xnLpAA<b>[] 投稿日:19/12/13(金)01:14:12 ID:bMY [2/2回]
>>224
「あれ……変身してる訳じゃなくて?」

相変わらずの言動と服装に対する気遣い。当時は単にシンプル極まりない患者衣を嫌がっているだけだと思っていたが。
まさかそっちの方向とは夢にも思わない、同時に魔法少年が奇跡を纏っているわけではないともまた察せられる。
偶然見えるだけという、不可思議の気紛れの可能性が首を擡げ、問い詰めるのではなく小さく呟く。
快活な幸莉とは反対に穏やかな態度が多い一颯だったが、それにしても思考に沈んでしまうのも致し方なく。

「うぇっ!?えっと、これは……こういうのが好きな親戚の姉さんが無理矢理着せてきて……」
「あ、あんまり触らないでよ……恥ずかしいし」

そんな親戚はいないし、いたとしても態々顔を合わせるために病室には訪れない。
それ以前に本来であれば、こうして外を出歩いている事すら異常なのだが。退院が近いとも遠いとも、直接口にした事はなかった。
しかし変身を想定しない幸莉に、嘘のような本当の事を告げるのも躊躇われる。慣れない誤魔化しに目が泳いだ。
柔らかく上質な布を触らせるまま、今更が過ぎる少女らしさ全開の服装に羞恥で頬を染めるが無理に手を止める事はなく。

「そ、それより!!その猫達が気になってたみたいだけどさ!!」

どうにか話題を逸らすべく、指をさすのは先程まで幸莉が向かい合っていたダンボール。
彼自身、長い入院生活のお陰で動物と触れ合う機会にはこれまで驚くほどに恵まれていない。
自分よりもずっと小さな命への興味も含まれていたが、やはり一番の懸念はスカートを好き放題弄られて、最悪捲られてしまう事であった。

//リンクありがとうございます、一先ずお返ししてから参加しますね!


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