ログ速トップ
1 : ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/03(金)23:02:01 ID:7p1 [1/1回]
西暦2030年、リニアと電気自動車が最早一般的になった時代。
世界で始めて『超能力』が明確に認知されてから、早30年以上の時が過ぎた。
既に総人口の1割、街中で出会う10人に1人が先天的な『能力者』と呼ばれるまでになった世の中、
可能性の原石でもある彼らの保護或いは研究目的で、世界各地の主要都市には『特区』と呼称される街が築かれている。
日本は東京都、高い壁と海で外周を囲まれた『神倉市』も特区の一つである。

【スレ規約※必読】
・プレイヤー同士の連絡や意思疎通はきちんとしましょう。
 分からない部分は聞き、気になる部分があったら指摘し、注意をされた場合素直に謝り改善していきましょう。
・荒らしに反応する人や影響される人も実質的な荒らしです、決して反応はせず、スレ主による対応を待ってください。
・荒らしによるなりすまし等に対するセキュリティを考慮し、キャラシートは【必ず】トリップを付けて投下してください。
 トリップ無しで投下されたキャラシートは申し訳ありませんが一時保留扱いになります。
・キャラシート無しでのロールも可能です、その場合は相手に情報面の不利が発生しない様、適度に情報を開示しつつロールを行ってください。
・全年齢対象のレベルを大きく越える性的描写、暴力描写は禁止です。
・その他、なりきりのマナーを逸脱した行動を取らない様注意しましょう。

【相談議論スレ※キャラシート投下はこちらで】
https://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1578053075/l10
2神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/04(土)19:58:24 ID:ayN [1/1回]
師走を過ぎても忙しい人種というものは存在する。小売店に限らず、自分で稼がなければならない自営業なら尚更。
年明けのボンヤリと緩んだ空気の未だ残る大通り。昼前にも関わらず肌寒いのは、ひゅるりひゅるりと体温を奪っていく冷たい風のせい。

「───やっと見つけた。こんな美しい子に逢えるなんて、今日は僕の人生でもトップクラスにいい日だ」
「その瞳を見れば分かる。キミはとても大切に育てられてきたし、キミ自身他とは違う大きな魅力を持っている……」

歩道の端、幹の太い街路樹に手を付き、気障ったらしい台詞を臆面も無く吐き散らかす一人の青年。
細身の身体をブランド物のストライプスーツで包み、コートを纏った姿は、所謂伊達男といったところか。
薄っすらと浮かぶ笑みで尚もベラベラと吐く言葉は睦言めいて甘く、人目も気にせずおべっかを使う様子は、酷く情熱的なナンパか悪質なキャッチか。


「……だからいい加減降りてきてくれないかな?」

───実際には、そのどちらでもなかったわけだが。
少し引きつった笑い。どこを見ているのか分からない細い目で見上げた先には、葉の落ちた枝の上で呑気に欠伸をする一匹のロシアンブルー。
その高さ、地上数mの位置。どうやって登ったのかは分からないが、とにかくあの猫を下ろしたいらしい。
どうにも締まらない。困ったようにため息を漏らし、青年は少なめの予算と自身の能力で取れる手段を模索し、周囲をそれとなくチラチラと伺った。
3 : 神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/04(土)20:02:36 ID:2NH [1/1回]
>>2
!sub
★副主に追加:>>2
4鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/04(土)23:27:13 ID:h6z [1/1回]
>>2
息を吐くと仄かに白い靄が立ち上る新春の大通りで、偶然にも何気ない視線がぱっちりとぶつかった。
緋色の瞳を数度瞬かせ、それから歩幅を緩めてどうしたものかと明後日の方をふいと見て。

「…………あら」

木の上で屯する猫の姿を認めたのは、ライトグレーのダウンコートで身を包んだ女性だった。
アーガイルのマフラーを指で摘んで顎を隠しながら、どうやら両者の関連性を見て取ったらしく。

「ペットの猫さんですか?可愛らしいですね」

しかし浮かぶ焦燥までは察せられなかったようで、猫を木から下ろしたい、なんて発想は芽吹きすらせず。
呑気に首を傾げるだけに留まらず、両手を合わせて猫を観察し始める始末。
5神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE▼副<b>[] 投稿日:20/01/05(日)00:00:48 ID:9Or [1/3回]
>>4
「あっ」
「……惜しいね、お姉さん。ペットだけど、僕のじゃない」

目が合えば漸く気まずそうに。咳払いを二度、浮かべる爽やかな笑いは、まだ誤魔化せると思ってるもの。
彼女に倣い枝を見上げつつ、青年は内心考える。随分と呑気そうだが、声をかけてくるようなお人好しだ。賭けてみる価値はある。


「実は……仕事でね。あの猫チャンを連れて帰りたいんだけど……
見ての通り、僕空飛んだり出来ないからさ。何か良い案ないかなって」

あくまで軽い調子でだが、困っている事を包み隠さず。この程度隠しても仕方ないと考えた故。
そんな下での出来事を知ってか知らずか、猫は呑気に喉を鳴らしてうにゃんと一鳴きするのみ。
6鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/05(日)00:32:58 ID:IBd [1/3回]
>>5
「あら、それは……失礼しました。お仕事という事は、探偵様か何かでしょうか」

職業当てのつもりはないが仕事でペットを連れ帰る、となれば真っ先に思いつくのはそれくらい。その正解を求める気は更々なく。
話を聞いて頷き、ううんと小さく唸るから、見ず知らずに手を貸すお人よしであるのには相違がなさそうであった。

「それにしても、このまま下りて来てくれないのは困りますね……」
「私も木登りは苦手ですし、空を飛べる訳ではないので……ああ、そうだ」

やがて何かを思いついたのか、さも名案とばかりに手を打って。

「登れないなら少し驚かして、落ちてもらえばいいんですよ!」

言葉だけで見れば、あまり温和に聞こえない響き。言い終えるとほぼ同時、一陣の風が冬を裂いてポニーテールを揺らした。
その正体は淡い桃色の刃、軌道は猫の毛先一本に触れるか触れないかという寸前。
予備動作もなく放たれたそれが猫の側を通り過ぎ、宙に散って消えるまでの瞬間は、肝を潰すには十分だろう。
7神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE▼副<b>[] 投稿日:20/01/05(日)00:59:55 ID:9Or [2/3回]
>>6
「正解。見た目通り聡明だね」

ニコリと笑って軽く両手で指差し、軽薄そうなまでの雰囲気を持って。
どうやらかなり軽い性格らしい。その態度に、何かを言われるか察するまで自重の様子はない。

「僕も、木をよじ登ったりするキャラじゃないしねぇ。これ高かったし」

とはスーツを摘んでの台詞。冗談にしても、打つ手がない事は確か。
それ故か、何かを思いついたらしい様子には、『何何?』と馴れ馴れしいまでの好奇心を示すのであった。


「えっ」

しかし、呑気な雰囲気にそぐわない提案には笑顔が流石に一瞬固まった。
何かを言う間も無く、目の前を通過するカマイタチめいた辻風。何かの能力と気付いたのは、一瞬の間を置いてからだった。

「フギャッ!?」

たまったものではないのは猫も同じ。すぐ近くを通り過ぎる刃に毛が逆立ち、滑り落ちるのは一瞬。
真下に立つ青年が慌ててキャッチしたが、暫くジタジタともがくのをやめない辺り、相当驚いたらしい。

「ああ……ありがとう。今の、キミの?すごいね」

暴れ回る猫にそのスーツと肌を引っ掻かれ、脂汗を滲ませながらどうにか笑顔で。
猫は身の回りの全てを敵と思っているかのように、高い鳴き声と共に四肢を振り回すのであった。

「助かったよ……。キミ、名前は?よかったら何か奢るよ。お金入ったら……」
8鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/05(日)01:41:45 ID:IBd [2/3回]
>>7
言動こそ柔らかだが外見だけは峻厳そうな彼女、分かりやすい笑みを浮かべる事こそなかったが。
目論見通りに落下してきた猫が受け止めれるのを見て、微かに愁眉を開いたようであった。
自分も受け止めようとして、少しばかり見当違いの地点で足踏みをしていたのは計算違いだったろうけれど。

「ああよかった、ちゃんと落ちてくれましたね」
「大した事はしていませんよ。それより、無事に飼い主様に届けてあげてくださいね」

言葉の調子からして、純粋に猫をどうにか地上に引き摺り下ろすためだけの行為と分かるのがまたタチが悪い。
猫がもがいているのも単に戯れているだけだと思っているらしい、撫でようと手を伸ばすのは最早自殺行為だろう。

「私、鴇巣六花と申します。探偵様のお名前を伺っても?」
「本当に大した事ではないので、奢ってもらうのもなんだか申し訳ないのですが……」

どうにもマイペースな気質のようだが、遠慮という言葉くらいは辞書にしっかりと記載されているらしく。
厚意の無碍と気兼ねに挟まれて、束の間悩む素振り。

「そうだ、でしたらお時間がある時にでも、私が働いている店に来ていただけますか?」
「これも何かの縁ですし、少しでしたらサービスも出来ると思うので」

曰く、やや裏通りに差し掛かった場所にある、小ぢんまりとした喫茶店でアルバイトをしているとのこと。今もその出勤途中だったと語る。
ちょっとした営業のようなものだが強制ではないから、行くも行かないも青年の自由。
9神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE▼副<b>[] 投稿日:20/01/05(日)02:03:29 ID:9Or [3/3回]
>>8
「それはもう勿論。こんな可愛い子に手伝ってもらっといてヘマしたら、男の名折れさ」

笑みの裏では、「ひょっとしてあれが最善策だと思ったの?」などと考えたりはしているが、表情に出さないのは経験が為せる技。
無論猫の方はそんな感情を抑える道理も能力も無いので、下手に撫でようものなら引っ掻き傷で返されるだろうが。


「六花さん、いい名前だ。 あ、これは失礼。神崎創、ハジメは創世とかの創。及ばずながら、私立探偵をやってる者さ」

やたらとおべっかを使おうとするのはともかく、自己紹介には自己紹介で素直に返す。悪いところは言わぬが花とばかりに隠して。
今すぐ奢れと言われたらどうしようと思っていたが、その心配はなさそうだ。悩む様子を見つめる軽薄そうな笑顔は、軟派なもの半分と安堵半分。

「本当ぉ?もう行っちゃう行っちゃうリピーターになっちゃう」

パッと表情を輝かせ、手を取ろうと───しようとして、両手が塞がってるのを思い出す。
踏み込んだ分そっと戻り、気を取り直すかのようにハハ、ハと乾いた小さな笑い。

「とにかく……本当に助かったよ。こういう出会いがあると、この街もまだまだ捨てたもんじゃいって思うね。
 じゃ、僕はこの子を届けなきゃだから。サヨウナラ、それとありがとう」

終始笑顔を浮かべたまま、探偵を名乗る青年は立ち去ろうとする。猫の前足を摘んで手を振らせようとして、盛大に引っ掻かれたりしながら。

「……これだから、動物は嫌いなんだ」

事務所に戻るため背を向けた瞬間の、その表情の移り変わりと嘆きは決して人には見せようとしないもの。この距離なら流石に気付きはしないだろうと睨んで漏らした素。
神崎創。自分をなるべく良く見せるための努力と我慢は惜しまない男であった。


//それではこちらからは〆という事で
//返信遅れてしまい申し訳ありませんでした お付き合いありがとうございます!
10 : 鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/05(日)12:45:59 ID:IBd [3/3回]
>>9
「本当ですか?嬉しい、ぜひ来てくださ――いたっ」

世辞を世辞とも思っていないのか、なんの事やらと素知らぬ振りでロシアンブルーの毛並みを堪能しようと手を出して。
案の定引っ掻かれた指を咄嗟に引っ込め、生傷を不思議そうに眺めているがほぼ自業自得。
半歩下がったのを訝しげに瞬きして見ていた辺り、軟派な態度の意図を察しているとは到底言い難いだろう。

「いえ、また逃げてしまわないように気をつけてくださいね」
「ふふっ……ではさようなら、また機会があれば」

痛みを伴う猫の見送りに、小さく手を振り返して自然と零れる笑みは、慣れないのかどこかぎこちなく。
互いに背を向けた後の素顔が、先程までとは全くもって反転しているとは夢にも思わず。
思わぬ道草に軽くなった足取りで、風を切ってバイト先へと向かうのだった。

//すみません、最後の最後で寝落ちしてました…!
//ありがとうございました、お疲れ様でした!
11神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/05(日)21:19:46 ID:WA9 [1/1回]
大都会の一角に建てられただけあり、神倉市は中心に向かえば相応に煌びやかな姿を見せる。
そして、強い光で生じる影もまた射干玉めいて濃く、常人ならざる者の集う場なら猶更闇は深い。

一月某日。夜半。大きな駅の裏手の寒空の下、電柱の後ろに隠れてチラチラと顔を覗かせる怪しげな影。
陰になって窺いにくいが、どうやら道路を挟んだ向かいの建物───いかにもよろしくなさげな雰囲気のゲームセンターを見張っているらしい。
夜闇を斬り裂き通り抜ける車のヘッドライト。その光に一瞬照らされるのはレザージャケットを纏った細身の身体。片手のアンパン、目深に被ったキャップの下の、どこを見ているのかも分かりにくい糸の様に細い眼。
本人なりに場に合わせて衣装を変えたつもりのその私立探偵、神崎創は、精神を落ち着かせようとするかのように深く息を吐いた。


「……まだ出てこないのか……。最近の若いのは」

モソモソとパンを齧りながら、時計と何らかの情報を確認にスマートフォンの画面を一瞥、蚊の鳴く様に小さな声で呟く。
様子を見れば分かる通り、バリバリ張り込み中。元々人通りの多い所ではないが、たまたま通りかかった通行人は皆一概に目を逸らす。
無論本人も分かっている。だが他に手段は思いつかないし、思いついたとしても技術や予算、人手が足りないのだ。

「……早く出てこないかなっと」

芽生え始める、「自分は何をやっているんだろう」という暗い疑念。眼を背けるか振り切るかの様に溜息を零し、空き袋を放り捨てる。
プラ製の軽いそれは、大河の小舟めいてひらりひらりと冷たい風に乗って飛んでいった。丁度人の顔の高さの位置を。
12◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/05(日)23:18:08 ID:Qh8 [1/1回]
カラフルなカフェ、ブティックが立ち並ぶ神倉市のある通り。
所謂"映え"の場所だとして若者たちには人気のそこでは、携帯端末を構えて歩く人は珍しくない。
切り揃えた黒の長髪にマスクをつけて、ぱっちり多きな黒曜の瞳を際立たせて。
少女らしく小柄で丸っこく、なのに豊満な胸をより目立たせる白のセーター、わざとらしいミニスカートとタイツ。
あざとい、なんて表現がぴったりな彼女も、そのうちの一人だった。

「はいはーい。なつきちゃんネルでーす。
折角水雲通りに来たんだし、今日は一杯お買い物しちゃうねっ。」

手を伸ばして、内カメラで自分を写す。
写りは一番可愛い角度で、時に扇情的に肢体を晒して見せたりして、なんて。
自分の姿を配信しながら、というのはさすがに珍しい。
前方を自らふさいで意識を他所に、単純に危ない行為は怪訝な目で見られてしまうが、知ったことはないなんて様子。

「可愛い服とかあったら皆教えてねー。
お金はあんまり持ってきてないから、一杯は買えないけど……」

携帯でぐるぐる辺りを写しながらあるけば、当然危険極まりなくて。
13神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/06(月)00:04:50 ID:K2C [1/6回]
>>12
歩きスマホはやめましょう。耳にタコが出来るほど言われていたとしても、実際に被害に遭うまで、否、遭ったとしても人は中々変わらぬもの。
だとしても、この出来事はそんな認識を変える事になるだろうか。少なくともこの私立探偵にはなった。

「───お゛ふッ───!」

画面に意識を採られている彼女が感じるのは、恐らく中途半端に硬い物に当たる感触だろうか。
鈍い声の方に視線を向ければ、鳩尾の辺りを押さえてか細く息を吸い込む一人の青年が見える筈だ。
その手をすり抜け、カラリと落ちるスマートフォン。どうやらこちらも歩きスマホを中断した直後だったらしく、前方不注意なのはお互い様か。


「お嬢ちゃん……写真を撮る時は、周り見てね……ッ」

軽薄そうな笑みを作ろうとする表情はぎこちない。不意打ちで急所の一つをドツかれたのだ、当然と言えよう。
どこか扇情的な雰囲気に、普段なら油物を食べた後の如くベラベラと口が回っていたやも知れぬが、生憎今はそんな余裕は無い。精神的にも肉体的にも。
だからだろうか。普段なら相手の雰囲気を見て言うべきかどうか吟味する、ともすれば無礼と取られかねない言葉が口をついて飛び出たのは。
14◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/06(月)14:55:08 ID:iEZ [1/1回]
>>13
絞り出すように喘ぎ、うずくまる男を見下ろす目は、酷く冷めていた。
スマホは一度配信を切ってポケットにしまい、ため息。

「ごめんなさい、大丈夫?」

視線を合わせて謝罪する時には、申し訳なさそうな顔を作って。さっきまでの様子はどこにもないが。
しゃがみこめばスカートとニーソックスの隙間から肌色が露出して、膝に押し潰された胸が主張する。
自分が異性であることを主張すれば、対応は時に甘くなる事を、感覚で理解していたし
それを煽ることは癖のようになっていた。

//すいません、寝落ちてました……
15神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/06(月)17:18:49 ID:K2C [2/6回]
>>14
「どちらかと言えばはい……」

漏れそうになる呻きを深呼吸で誤魔化し、ぶつかった部位を数度さすり、青年は漸く相手の顔を視た。確りと認識した。
か細い苦笑は余裕ぶっているのか、気持ちが緩んでいるのか。どちらとも取れる曖昧なもの。
───痛苦の中に於いても耳が溜息を捉えていたと知れば、少なくとも後者は無いと思うかもしれぬが。


「うん……まぁ、平気。うん。 キミの方こそ大丈夫?その可憐な顔に何かあったら、人類の損失だ」

数度呼吸すれば痛みは引いたか堪えれる程度には収まったらしく、返す言葉は気障ったらしいもの。
細い目は視線の向きをハッキリと見せはしない。向いた顔の向きからして彼女の方を見ているのは確かだが、見つめるのはその主張激しい曲線か、顔なのか、そもそも意識しているのか。
ハッとしたように周囲を見渡し、落としたスマホを手に取って確認する様子は小市民的でさえあるが、幾人にも同じような事をしてきたならば感覚的に分かるかもしれない。

「けど、気を付けた方がいいよ。コワ~イ人にぶつかったらゾッとしないでしょ。僕もそんなの想像したくないしね」

態度は軽い。チャラ男とまではいかずとも相当に軽薄で女好きな気配を多分に湛える。
しかしその本質は違う。彼は特別甘い顔をしてなどいない。恐らく相手が老女や不細工であっても同じように接し、同じように苦言を呈するだろう。

「本当に大丈夫?何か撮ってたの、邪魔しちゃったみたいだけど」


//こちらこそ返信遅れてしまい申し訳ありません…
16◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/06(月)17:37:14 ID:WCp [1/1回]
>>15
曖昧な視線と軽い台詞。うさんくさいな、なんて思いながら。
もとより適当に事を済ませて配信を再開するつもりだったわけで、話を継続されること事態が若干面倒。
もちろんそう感じたって表には出さず、私は大丈夫ですって、猫を撫でるよな声で。

「ごめんなさい、気を付けてたつもりだったんですけど……」

そんな風には見えないのがさっきの通り。だけど眉をハの字に、唇を結んで、作る申し分けなさげな表情だけは完璧。

「大したことはしてないので、全然大丈夫ですっ。」

そんな表情を残したまま、口角だけあげて笑って。
だけどわざとらしく、小さな、でも聞こえるだけの声で。

「……でも、配信できなかったら今月しんどいかも。」

目を伏せて、唇に指をあてて、わざとらしく。

//大丈夫です、こちらは安定してレスできますっ
17神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/06(月)20:05:26 ID:K2C [3/6回]
>>16
その目は感情を読み取らせようとしないが、悪感情は無いはず。一見して察せる範囲では。
彼女にとっては尚更にタチが悪いだろうが、青年の方は気付いてか気付かずかどこか心配そうな雰囲気のまま。

「……配信?」
「へぇ……厳しいんだ」

鸚鵡返し。道の言葉に触れたかの如くキョトンと。
唐突に出てきて結びつかなかっただけで、流石に配信者の存在は知っている。『ああ、』と合点がいったように小さく呟いた。
少しばかり考え込む様はどう映るだろうか。閃いたように指をピンと立て、明るい表情で提案する。

「じゃあさ、お詫びと言っちゃなんだけど───」
「手伝おうよ。撮影とか。 どうせこの後暇だし」

ニコニコと朗らかな顔での提案は、恐らく望まない人にとっては何よりも要らない発言。


//お待たせしました、ここから安定します…
18◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/06(月)21:15:03 ID:HxF [1/5回]
>>17

「……へ?」

唇に指先を、姿勢は固まって、伏せた眼を開いて、固まった。
多分、それは最も望んでなかった言葉。

(ふざけないでよ……男と二人で撮影したなんてバレたら炎上するでしょ……
人とぶつかって配信切っちゃった時点で結構不味いのに、欲出すんじゃなかった。
お詫びとか言ってこっちの都合を考えてないのよね。自分が気持ちよくなりたいだけ。さっさと現金───)

渦巻く思考は、もしそれが聞こえたなら暴力に訴えられかねないぐらいのものだけど。
表に出さない技術だけはやっぱりしっかりしている。唖然とした表情もいつの間にやら元に戻して。

「いえいえっ、本当に大丈夫ですからっ!
 それに、お兄さんにも用事があるんでしょ? 私の事は気にしないでください。」

ぶんぶん手を振って提案を拒んで、そのまま背を向けようと。
こういう手合いは、寄生するだけなら有用だとしても、加減を間違えれば損が勝る。
引き時は恐らくここだろうと。
19鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/06(月)21:28:13 ID:KCV [1/2回]
雑踏の落ち着いた通りの、少し入ったところに立ち並ぶ建物のうちの一つ。
その前にぽつんと佇む立看板に描かれた『朔』の一文字、それから目の前の扉には開店を示すプレート。
もしも誰かが古びた木の扉を、蝶番の軋む音に抱かれて開いたのならば。
まず出迎えるのは、長い年月をかけて積み重ねられた珈琲の香り。

「――いらっしゃいませ」

遅れて、店員の出迎える言葉。カウンター席の向こうを空けて、片手で数える程度しかないテーブルを拭きながら。
清潔感のある白ブラウスに覆われた身体はスレンダーに見えるが、腰エプロンから覗く黒のスリムパンツは適度な肉つきを思わせる。

「どうぞ、お好きな席へ」

笑顔のない、つり目がちで厳しそうな面持ちに反し、声色も含めてのんびりとした動作でカウンターの向こうへ。
時計の針が何時を指していようと、他に客も店員も見られない。控えめなピアノの音がスピーカーから届くだけ。
身じろぎするたびに尻尾めいて揺れる一つ結びが、代わりに機嫌を表しているかのようだった。
20神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/06(月)21:37:06 ID:K2C [4/6回]
>>18
「いや、暇だから別に……カメラマン目指してた事もあるし…。 いいの?本当?」

食い下がろうとしたのも一瞬、怪訝そうな表情を浮かべながらも、そこまで言われるなら仕方ないとばかりに引き下がるだろう。
直前に見せたキョトンとした顔は、どこまでも能天気そうなもの。小首を傾げると、一度肩を竦めた。

「ま、そこまで言うんなら。 動画サイトでもし見かけたら高評価押しとくよ」

『この縁でサイン今の内に貰っちゃおうかな』と笑い、立ち去るその背を見送る。
その時だった。軽い調子のまま、届くかどうかは分からないが呼び止めようとするのは。

「───釣る相手は気を付けた方がいいよ。お嬢ちゃん。みんながみんな気持ち良く引っかかるわけじゃない。
 ましてやこんな街、こんなご時世だ、ヤクザ者や半グレでも舐めてかかったら危険だ」

その言葉に先の朗らかさは無く、冷ややかで静かな忠告は聞こうとしなければ耳にも届かず人混みに掻き消える事だろう。彼もそれでいいと思っている。
もしも振り返ったならば、何も変わらない軽薄そうな笑みと、手をヒラヒラ振って見送る青年が待っているだけだが。

「それと歩きスマホも。事故数で言えば去年で三千件をとっくに超えて、50人以上亡くなってるんだから。
 配信頑張ってね。サヨウナラ」
21◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/06(月)22:04:13 ID:HxF [2/5回]
>>20
最後にもう一度ごめんなさいと謝罪して、背を向ける。
その背に声を投げるなら、立ち止まって。

「……あれ、なんだか怒られてます?
 ぶつかった本当にごめんなさい。何が気に障っちゃったかわからないんですけど……」

振り返って向ける表情、首をかしげて疑問符を浮かべて。
上目遣いに、子供じみた、わからないなんて感情を作って。挑発する。

「心配してくれるのはうれしいですけどっ。
 それじゃあ今度こそ、さようならー!」

そう言ってまた背を向けるその寸前に、携帯のカメラで彼をとらえた。
何食わぬ顔でスマホを弄って歩き出す、その行動がもう煽りのようなものだけれど。
直後、彼の右脚が思い切り"引っ張られる"。明確な、悪意を持った何らかの力で。
何が起きるかなんて簡単。そのままなら、鳩尾の次に抑える場所が増えるだけ。
22神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/06(月)22:25:31 ID:K2C [5/6回]
>>21
「まさか。自分で言うのもなんだけど、僕女の子には優しいの」

カラカラと笑って否定。挑発にもまるで気づいていないかのように。
言ってる事はどうあれ、怒っていないのは確か。むしろ心配、或いは呆れにすら近い。
ぶりっ子じみた態度も軽く指差して『キマッてる』なんて笑う始末。


さて、断られた以上この場にとどまる理由も無い。特に用が無いのも確かだが。
いい加減事務所に戻ろうと一歩を踏み出す───視界が回る。

街を駆けずり回り、場合によっては怪しい所にも乗り込む身だ。『攻撃された』なんてのは瞬き程の間も置かずに思い至る。
このままなら無様に地面に倒れ伏す事だろう。往来の真ん中で何でもないのにすっ転び、痛む箇所が身体と心に増えるだけ。
───しかし彼もまた、只人とは違う力を持っていた。瞳の奥に奔る紫電を湛えていた。

「───フッ───!」

つんのめり倒れそうになったからだが“回る”。前転でもするかの様に。
ズダン、と硬い地面を両脚で踏みしめ、すんでのところで着地を済ませる音。真一文字に結んだ口は、何かを言いたげに片方の口角を後ろに寄せる。

「……いいよ、毒魚は僕の趣味じゃないし……」

蚊の鳴くように呟けば、彼も何事も無かったように立ち去るだろう。見極めを誤った事への若干の反省と明日襲い来るであろう筋肉痛への憂慮を抱えて。
23◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/06(月)22:45:33 ID:HxF [3/5回]
>>22

「……つまんな。」

背中を向けたまま向ける、スマートホンの内カメラ。無様な光景が見れたなら、当分笑ってやろうとしたが結果はこの通り。
ため息一つ吐いて、彼の方向を向くことなく立ち去っていく。呟いた一言が今の感情の全てだろう。

「毒魚でいいよ。甘い毒なら食べたい男はいっぱいいるから。」

風が運んだ蚊の羽音にそう溢して。ただの一度も振り返る事無く歩いていく。

『皆前は配信切っちゃってごめんね~
 あの後お兄さんとはちゃんと仲直り出来ました!
 なんとなんとサーカスみたいな動きが出来る凄いお兄さんでした!
 歩きスマホは危ないけど、こんなのが見れるならちょっと得しちゃったかも?』

なんて文面とともに、彼の前転が全国デビューしたのはそれから一時間後ぐらい。
賛否両論織り交ぜていたものの、それなりの注目を集めていたのが何とも皮肉。

//この辺りで〆でしょうか?
//重ねて寝落ち申し訳なかったです……ありがとうございました!
24 : 神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/06(月)22:50:25 ID:K2C [6/6回]
>>23
//そうですねー 絡みありがとうございました!
//こちらこそ返信遅れてしまい申し訳ありませんでした…
25◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/06(月)23:15:06 ID:HxF [4/5回]
>>19
//まだよろしければ絡ませてもらってもよろしいでしょうか?
26 : 鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/06(月)23:23:52 ID:KCV [2/2回]
>>25
//大丈夫ですよ!
//ただ次の返信が少々遅くなりますので、それでもよろしければ…!
27◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/06(月)23:32:05 ID:HxF [5/5回]
>>19
情報化社会で先陣を走るなら、当然まだ誰も知らない情報を提供する側にならなければならない。
決して中央通りでない場所の、ちょっと雰囲気の良い喫茶店。
人里離れた、と言うほどの場所でもないし、窓から覗くマスターも綺麗。映えるネタとしてはかなり良い。

(コーヒーの画像より店員の写真撮った方がバズるかもね……私より綺麗なのは癪だけど
まあ男受けするタイプの顔じゃないし、大丈夫でしょ。)

軋む扉を開けて、誘われるまま席へ着く。蔦の這う窓から、眺める落ち着いた景色は癒される。

「じゃあ、店員さんの一番オススメを一つ、とかってできたり?」

別に喫茶店のメニューにこだわりがあるわけでもないし、とにかくほしいのは目につくもの。
初見のお店でこういう事をするのは賭けでもあるけれど、この雰囲気なら少なくとも悪いものは出ないだろうと思って。

注文が通ったならピアノに揺られて、芳醇な珈琲の香りに包まれる。別に、特別喫茶店を好むわけじゃないが、それでも落ち着く。

「……上げずに私だけで楽しむのもいいかも。
 嫌いじゃないし。」

なんて声がふと零れた。

//それではレスを置かせていただきます。
//次レスの時間次第では凍結前提になるかと思いますが、よければー
28鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/07(火)01:14:52 ID:Xm2 [1/8回]
>>27
個人経営の喫茶店には大概通い慣れた常連客が多く、個々に合わせた臨機応変な対応を求められる事も少なくない。
今回のように一任されるのも珍しくはないのだろう、さしてまごつくでもなくゆるりと頷いた。

「かしこまりました。淹れたてをご用意しますので、少々お待ちくださいね」

ドリップポットに水を汲んで火にかけ、沸くまでの間にミルで豆を挽く。ハンドルを回すたびに、ごりごりと粉に変わっていく音。
特別集中する作業でもないだろうに、客へと意識を長く向けないのは一人の時間を尊重しているためか。
挽いた珈琲粉とドリッパー、ペーパーフィルターをサーバーにセットしたのに合わせて、細い注ぎ口から白い蒸気が飛び出した。

「ここ、なかなか見つけにくいでしょう。あまり大きな通りでもないですし」
「今日は事前に調べて来られたんですか?」

ひとり言に応えたかのような、何気ない質問。店内が二人きりであれば、こうして話題を投げかけるのもままある事。
会話に興じるつもりがないのであればそれでよし、慎ましいピアノの音を侍らせた沈黙に耽るのもまた楽しみの一つたり得るだから。
言わば彼女がどういったタイプの客なのか、どんな空間を求めているのかを確かめるための一石。
平らに均した珈琲粉に、少量の湯をそっと注いでしばらく蒸らす。染み付いた芳香とは違う、独特の香りがふわりと立ち上った。

//大変お待たせしました、ここからは安定してお返しできます…!
//時間が厳しければ凍結でも構いませんので!
29◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/07(火)01:35:25 ID:H83 [1/3回]
>>28

おすすめを尋ねて、純粋そのままな珈琲が出てくるのは実は予想外。
喫茶店の目玉と言えばその通りだけど、これ一つで勝負に出るのは余程の地震があるからに違いなく。
事実、立ち上る淹れ立ての香りは、店内に満ちていただけの残滓よりも深く体に染み渡るような。

「……ふぅ。」

両手の指を丸めてカップをつかみ、熱いコーヒーを唇に、喉に。瞼を閉じて、漏れる白い吐息は満足げ。
その一息が、きっと店主にとって何よりの賞賛となる筈。言葉すら出ないほどに、ただ安らかで。

「実はたまたま見かけただけして……
 私、こんな風に素敵な喫茶店を探して、ネットで紹介するのが趣味なんです。」

別に腹の探り合いをしている訳じゃないし、目的はさっさと伝えてしまうのがいい。
後から撮影禁止だとか言われて、不要な炎上を抱えるのも面倒だし。

「あ、良かったら店員さんの写真とか、いいですか?
 珈琲も勿論美味しいけど、美味しさは写真じゃ伝わらないので。
 店員さん綺麗ですし、きっともっといっぱいの人が来てくれるようになりますよ!」
30 : ◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/07(火)01:35:55 ID:H83 [2/3回]
>>28
//お返ししました!
//眠くなってきたらまた連絡させていただきますねー
31鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/07(火)02:03:01 ID:Xm2 [2/8回]
>>29
「当店のブレンドです。砂糖とミルクも、必要であればお声がけくださいね」

初来店の客に珈琲を振る舞う。その緊張をおくびにも出さず、けれど言葉がないのが何よりの感想。
口元の筋肉がぎこちなく引きつったのは、僅かに頬を緩めようとした結果なのだろう。
笑顔が苦手なのは充分自覚している、視線を誘導するように小皿に盛ったコイン大のクッキーをソーサーの隣に並べた。

「そうなんですか。実を言うと、年が近い方がいらっしゃるのは珍しいので気になって」
「これも何かの縁ですし、是非紹介してください。オーナーも喜ぶと思います」

若年層が少ないのは嘘ではない。なにせ喫茶店巡りを趣味にする若者なんてそうそういない。
何度か相槌を打って、素直に感心しているようだった。SNSへの投稿も、特に禁じている訳ではないらしい。
しかし自分が被写体になってもいいか、となれば話は別。困ったように口を噤んで、ううんと小さく唸った。

「ええと……そうですね、構いませんけど……顔だけ映らないようにしてもらえれば」
「私、見た目は取っつきにくいってよく言われますし。それに少し恥ずかしいので……」

褒め言葉を受け止められず、じっとしていられなくてドリップに用いた道具を片付け始める。
外見に自信がないと言うより、己の見かけについてそこまで考えた事がなかったのだろう。どうしたものかと長く息を吐いた。
32◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/07(火)02:15:58 ID:H83 [3/3回]
>>31

(笑顔が下手ねー。仕事の割に人慣れしてないんでしょ。)

その表情を見れば自然と口角が上がる。表情から力が抜けていく。
和み、と言う優しい感情ではなく、少し黒をはらんだ感情ではあるが。

「雰囲気も、とても大人っぽいですし
 確かに若い人は珍しいかもですね。もったいない。」

こんなに良い所なのに、と続ける。本音と建て前を自然と使い分ける彼女だが、今回ばかりは全て本音。
これだけの雰囲気と質を備えた場所が人目に触れないのはもったいないし、ありがたい。
お陰で自分で発掘できた。

「えーっ!?せっかく綺麗なのに……
 素敵な店員さんと素敵な珈琲、一緒の方がみんな見てくれると思うんですが
 なんなら私も一緒に写りますから!ね?」

別に最初から一緒のつもりだったけど。
こういう時に大事なのは推しの強さ。身を乗り出して、顔を近づけて、不安なんてない顔で。
自分以上に綺麗かもしれない、と思ってるのはほんとの事。だけど。

(こういう顔だと私の方も映えるしね。上げるかどうかはともかく、写真だけは撮っとかないと……)

//すいません、こちらで一度凍結でもよろしいでしょうか?
33鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/07(火)02:26:59 ID:Xm2 [3/8回]
>>32
//了解しました、返信は後ほど置いておきますね!
//明日は夕方以降からお返しできると思いますー
34 : ◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/07(火)10:49:04 ID:gCa [1/1回]
>>33
//了解です、こちらも同じく夕方から安定すると思いますー
35鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/07(火)15:09:35 ID:Xm2 [4/8回]
>>32
「いえ、そんな事……お客様の方が、可愛らしくて素敵ですし」

本心には違いないだろうが、それ以上に写真が苦手という意識の方が強い。衆目に晒されるとなれば尚の事。
殊更に窮して目を窄め、明後日の方向に視線をやっても、二人きりの店内では救いを求めるべき物もない。
駄目押しとばかりにずいと顔を寄せられて、困惑も顕に腕を抱える。
しかしそれは気圧されて迷っていると言うよりは、強い戸惑いと、何かを口にするのを躊躇っているようで。

「……申し訳ありません、それだけはおやめください」

ついには、きっぱりと言い切った。軽く頭を下げ、済まなさそうに眉尻を下げて。
しかしその語勢には、これまでの悠長な言動からはとても考えられない断乎があった。

「代わりと言ってはなんですが……カウンターの中でしたら、多少は撮っても構いませんよ」
「私よりもそっちの方が、興味のある方は多いと思いますし」

それも一瞬、妥協案を提示する姿はやはりどうにもおっとりとしているようであったが。
にべもなく断ってしまった負い目が燻っているのだろう、未だ中の残るサーバーを軽く持ち上げて、暗にお代わりを問うた。

//お待たせしました、お返ししておきます!
36◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/07(火)17:34:26 ID:QDL [1/1回]
>>35

「そう、ですかぁ……」

顔を寄せる勢いに反して、席に戻る仕草は酷く弱々しい。
伏せた眼には湿り気を漂わせて。寧ろ被害者は彼方だと言うのに。

「じゃあ、折角なので撮らせてもらいますねっ」

上げた顔には涙跡。もちろんこの程度の事が本気で悲しい訳じゃない。
少し泣いて見せるぐらいはお手の物。使える武器は使っちゃうのだ。

「私、詳しくないからわからないんですけど、どんな所を移すといいんでしょ?」

カップを差し出してさらっとお代わりを望みつつ、また身を乗り出してカウンターの奥を覗く。
悲しむ様子はどこへやら、或いはそれを隠して気を使わせないように、なんて殊勝な姿に写るかも。

//お返しします!ここから安定して返信できるとおもいますー
37鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/07(火)18:28:41 ID:Xm2 [5/8回]
>>36
物憂げな動きや頬の濡れた跡に、感化されたかどうかは定かではないが。
ぱっと見せた明朗な表情に安堵したのは確かなようで、微かに肩を撫で下ろしたようだった。

「ええ、どうぞ。水回りは少しみっともないので、それ以外の……そうですね、例えば……」

普段は清潔感と利便性ばかり考えているから、見栄えを重視したカットとなれば、珈琲のお代わりを注ぎながら少々の思索の間。
ざっとカウンターの上を眺め、それから背後にある壁際の食器棚に視線を移す。
磨りガラスの向こうには、今提供している物以外のソーサーセットが鎮座しているのを、珈琲を待つ間に目の当たりにしているはずだ。

「そうだ、カップなんて如何ですか?色々揃えているので、写真映えすると思うんです」

引き戸を開ければ、そこに並ぶのは色も形も様々な食器達。
統一性がないとも捉えられるが、ある意味では個人経営の喫茶店でしか見られない光景でもあろう。

「それとも首から下でよろしければ、珈琲を淹れているところを撮りますか?」
38◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/07(火)19:07:39 ID:QK6 [1/1回]
>>37
小洒落た棚の奥に並ぶ彩りに満ちたカップたち。
なるほど確かに、店員が勧めるだけあって映える光景だ。派手さはないが、人を惹き付けるには十分。
遊園地ではない代わりに、まるで原風景のような感じ、だろうか。

それじゃ早速、何て言って携帯のカメラで棚をぱしゃり。
そこから画面を弄って軽い加工を加えたなら。

「結構良い感じでしょうか? 良い感じだと思うんですけど。」

彩度やら明度やらをほんの少し弄っただけでも、鉄骨に溢れた街からすれば異世界みたいな写真に。

「あ、是非是非!!是非撮りたいですっ。
スタイルも綺麗ですし、それだけでも映えちゃいそうです。」

珈琲がもっとも目で見て映える瞬間だろう。立ち上る湯気と、輝く漆黒、何をとっても美しい。
当初の目標よりは派手にならないだろうが、それでも。彼女の立ち姿だけでも気品は伝わるか。

(……まあ、あんまりバズりそうになかったら私だけの場所にしちゃえば良いし。)
39鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/07(火)20:03:13 ID:Xm2 [6/8回]
>>38
「まあ、素敵。こんなに変わるものなんですね」

そもそも純喫茶風の趣きを売りにしているから、派手さを見込むのは難しい。
それでも艶やかとは異なる風情を更に加工すれば、情緒が深まって目を惹く写真になる。
画面を覗きこんで漏らすのは素直な感想、その間にまた水を汲んで珈琲を淹れる準備。

「私を撮っても何もありませんよ。こちらにピントを合わせてくださいね」

苦笑混じりと呼ぶには表情は固く、しかし冗談とでも思っているのだろう。
先程余した珈琲粉をドリッパーに備えて、目で合図。カメラを構えるタイミングに合わせ、沸かしたお湯をゆっくりと注ぎ入れる。
表面が優しく膨らんで、漂う珈琲の香り。ややあって、ぽたりぽたりと深い茶色がサーバーの中に満ちていく。
よく慣れた動作だからか、撮影されていてもその手つきに緊張は見られない。しゃんと背筋を伸ばし、数度に分けて湯を注ぐ。
大凡一杯分の量を抽出してから、ポットを脇に置いて。ふ、と息を吐いて顔を上げた。

「どうでしょう、いつも通りにやったつもりですけど……上手く撮れましたか?」
40◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/07(火)20:48:09 ID:P5L [1/2回]
>>39
洗練された動作は一種の芸術に等しいだろう。連続して鳴るシャッター音がそれをとらえていく。
角度はやや上から、立ち上る湯気を正面から。

「ばっちりですばっちりっ!」

何枚もの写真から選んだ1枚を、先ほどと同じくわずかに加工して差し出した。
その熱が、香りが画面から伝わるよう
な。趣味だと言うには中々な見事な一枚。
ただ、俯瞰した視点は押さえつけた彼女の胸部を、やや誇張気味に捉えていて。
きっと人によっては、珈琲の香ばしさと同じぐらいそれに目が行ってしまうんじゃないかってぐらい。

「……ふぅ。本当に珈琲も美味しいですし、きっとこれでいろんな人が来てくれますね。」

淹れたての珈琲をまた口にしながら、スマートホンの画面に打ち込むのは写真に添えるコメントか。
悪気なんて何処にもない満面の笑み、に見えるけど。

(我ながら映える一枚ね……珈琲の香りなんてわからない連中にもこれなら行ける。)

なんて内心では、ちょっと黒い感情を抱えていたり。
41 : 神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/07(火)21:31:29 ID:B3r [1/1回]
//>>11で再募集しておきます
42鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/07(火)21:50:06 ID:Xm2 [7/8回]
>>40
光の使い方、蒸気の具合。構図として優れているのは素人目にも理解できる。しかしどうにも、二つの主役がぶつかり合っているような。
意図的に強調されて見える胸部に目が向いてしまうのは、それが自分の身体だからというだけではないはず。
布で潰している双丘を無意識に片腕で押さえつける。あぐねたように眉を寄せて口を開いた。

「あの……ちょっと、その……目立ち過ぎじゃないでしょうか」

元々意識されるのが嫌だとかではなく、単に邪魔だからという理由だけで押し潰している代物。
それをまさか同性とはいえ、こうまであからさまに撮られては、流石に狙いは察せられる。
とはいえ一度許可を出してしまった手前、強く削除を求められるはずもなく。できるのは困りきった表情で抵抗をするくらい。

「……ええ、ありがとうございます。あまり忙しくなっても、困ってしまいますけど」

最早スマートフォンを弄る手を止める気にもなれず、使った器具を片付け始める。
未だ複雑そうな面持ちだが、一先ずは写真の投稿を認めたようだ。顔が写っていないだけマシ、と開き直るのにはまだ時間がかかるだろうが。

「そうそう。よろしければ紹介のためじゃなくても、またいらしてくださいね」
「うちは色々な豆をご用意してますから。今度はまた別の味の物をお出ししますよ」
43◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/07(火)22:06:40 ID:P5L [2/2回]
>>42

「……目立ちすぎ、ですか?
確かにちょっと香りばっかり写っちゃってるかも……」

なんて頬に指先を当ててすっとぼけ。あくまで偶然であると言い張るつもりのようだ。
止める様子もなければそのままそれが電子の海に流れていくだろう。素敵な店内と、カウンターと、珈琲ともうひとつの写真が。

「勿論。私、常連になっちゃうかもです。」
(雰囲気好きなのは本当だし、珈琲も美味しかったしね。)

軋む扉を開けて店を去ろうとする頃には、色々と本性とやらが見えた頃だろうか。
それでも、去り際に見せる満面の笑みは、演技にしてはちょっとまっすぐ。

その後の客足は、きっと以前よりは増えたはず。ただちょっと、なんだか偏りがあるような気もするけれど。

//ここらで〆でどうでしょうか?
44 : 鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/07(火)22:24:07 ID:Xm2 [8/8回]
>>43
「そっちではないんですけど……もう。なんでもありません」

シラを切られても厳しく追及はしなかった。何せそれ以上の言及は、まるで自分が胸に過剰な意識があるように思われかねない。
それは非常に不本意であったし、やはり一度口にした事を撤回するのも信用の問題としていただけない。
結果、珈琲と肉感を捉えた写真は、ネットに飛び交う情報の一端として羽ばたいていく事となる。

「それは良かったです。またお待ちしておりますね」

それはそれとして、だ。新たな、それも若い女性が常連になってくれそうなのが、喜ばしい事であるのは確か。
見送りのためにカウンターの外まで足を運び、冷たい空気の吹きこむ扉へと頭を下げる。
なんだかんだと気を揉む事は多かったが。少しでも彼女の息抜きになったのなら、それが何よりの満足なのだ。
それ以来訪れた客入りと客層の微細な変化に、ひどく複雑な心境になってしまったのは言わずもがな。

//そうですね、こちらからは〆になりますっ
//不安定気味で申し訳なかったです、ありがとうございました!
45鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/08(水)10:57:46 ID:qb4 [1/13回]
>>11
ブラウンのダッフルコートを羽織って闊歩する夜。冷ややかな空気は鋭く肌を刺し、早く室内に駆け込みたいと足を急かす。
周りを見回す余裕も不思議と萎んで、風と襲ったポリ袋に気がつくのは視界が大いに妨げられてようやくの事。

「あら、ら……?」

寒さで鈍った皮膚はビニールの感触を神経に伝えず、不意に目の前がひどくぼやけてしまった感覚だけ。
それでも辛うじて見えるすれ違う人の輪郭を避けたが、どうにか事なきを得たのはそこまで。

「きゃっ――」

身を躱した先に誰かがいたとまでは把握しきれず、よりによってポイ捨ての犯人に肩からぶつかってしまう形。
吐息にも似た声を漏らして、しかしぶつかったのが人か壁か、はたまた柱かも分からない状態。
ぱちぱちと何度か瞬いて呆然としていたが、鼻から上にビニールをくっつけていてはなんとも滑稽な姿だった。

//まだよろしければ!
46神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/08(水)13:13:58 ID:tyZ [1/11回]
>>45
いい加減手段を変えるべきか、変えないべきか。選択肢が鎌首をもたげ始める頃、誰かの声が耳に入る。
別段それ自体は珍しい事ではない。無頓着すぎるのは探偵失格だが、過敏に反応しすぎてもそれはそれで問題なのだ。
自身が捨てたゴミの始末の事など考えず、偵察を続けようと───


「おぉッッ!?」

後ろから襲い来る衝撃。すわ襲撃かとつんのめりそうになりながらも身構える。
それが勘違いだとすぐ気づけたのは、どちらにとっても僥倖だろうか。

「……あれ、六花ちゃん?ゴミなんて貼り付けてどうしたの」

構えを解いて怪訝そうな声。自分がした事には気付いていないらしい。
許されるならそのビニールをどかし、怪訝そうな表情を覗かせるだろう。

「何してんのこんな所で。危ないよ」


//よろしくお願いします!
47鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/08(水)13:43:37 ID:qb4 [2/13回]
>>46
「も、申し訳ありません……!なんだか前が見えなくて……お怪我はありませんか?」

いきなりぶつかって驚いたのはこちらも同じ。慌てて無事を確かめるようにぺたぺた触るのは、残念ながら電柱なのだが。
掌から伝わる驚くべき冷たさに困窮して眉をひそめ、聞き覚えのある声にはおやと首を傾げた。

「その声は……神崎さんですか?随分とお身体を冷やして――」
「……失礼しました。お見苦しい限りです……」

言葉を途中で切ったのは、視界を遮るビニールからやっと解放されたがため。
同時にその正体と、自分が今している事の愚盲さを察して緩やかに腕を抱える。羞恥が首を擡げて、寒さとは別に頬が朱を呈した。

「友人との食事会だったんですけれど、ついこの時間まで話し込んでしまって」
「神崎さんは……もしかして、お仕事中でしたか?お邪魔してすみません……」
48神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/08(水)14:06:16 ID:tyZ [2/11回]
>>47
{それ電信柱、僕こっち」

先程まで自分が隠れていたもので誤認する様子は、表情にこそ出さないが微笑ましいというより大丈夫か?と思わざるを得ないもの。
どうにも緩んだ雰囲気を締め直すかのように軽く咳払い。キャップを被り直せば再び建物を睨んだ。


「そ、お仕事。今度は人を探しててね。出てくるのを待ってるんだけど……」

歯切れの悪い言葉から、結果は芳しくない事が分かるだろう。
そもそもこんな格好で張り込みなんてして、成果を得られるものなのかは分からないが。

「友達か、いいねぇ。余計なお世話だろうけど大切にね……。
 ちょっと待った、誰か来た。 六花ちゃん、声かけといて何だけど、帰るなら今の内だよ、多分」

世間話でもするかの様な相槌を打った直後、その表情は険しいものへ。
言葉通り、彼の視線──分かりにくいが──の方を向けば、自動ドアを抜けてガラの悪い二人が近づいてくるのが見えるだろう。彼の言う探し人ではなさそうだ。
警告は一回、選択の時間はあまりにも少なく、答えも豊富にあるとは言い難い。面倒事の気配を感じ、探偵は眉間に薄くシワを寄せた
49鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/08(水)14:28:51 ID:qb4 [3/13回]
>>48
「それはそれは……寒い中、お疲れ様です。何か温かいものでもあればよかったんですけれど……」
「はい、皆いい方ばかりで――え?」

視線につられて自動ドアへと目を向け、現れた二人組を認めても尚、悠長な表情は変わらない。
しかしそれはあくまで無関係だと思っていたからでおり、向かってくるとなれば話は別。
一転した雰囲気に、知り合いでも探し人でもないと察するのは難しくはない。
ただ警告を聞き入れるかどうか、となるとだ。唇に指を添え、僅かな猶予の間に思考を巡らせて。

「こんばんは。何かご用でしょうか?」

そもそも、その意味を理解していなさそうな程に呑気な声だった。
少ない選択肢の中でも、まず少数派だろう。笑顔こそないものの、自分からのんびりと声をかけるなど。
相手が相手なら、毒気を抜いてしまえる可能性もなきにしもあらずだが。目的次第では、むしろ煽ってしかいない。
50神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/08(水)14:56:06 ID:tyZ [3/11回]
>>49
闇を抜け車道を不遜に横切り現れる屈強な体躯。いかにもな雰囲気のそれをジャラジャラとした緩い服に包む男。
サロンにでも通っているのだろうか。冬だというのに朝黒い肌は、袖口からチラリと見える幾何学的形状のタトゥーも合わさりまるでこの国の人間では無いかの様。
そんな雰囲気の男が、二人。どう考えても中々マズそうな予感に、探偵の直感が警鐘を鳴らすがもう遅い。

最悪、一人で逃げる手段も考えておくべきか。冷徹なる打算の中、まだ居残ったままの知り合いに視線を向ける。
───その選択に唖然としたような気配を感じたならば、それは隣の探偵の物で間違いない。


『───コンバンハー!』

しかし、挨拶に返ってるく言葉は、恐ろしく馴れ馴れしいものだった。
ニカッと笑って歯を見せ、大きな手を掲げ、豪快に男達は笑う。旧知の友人に会ったかのように。
───坊主頭の一人が、遠慮がちに笑って返す探偵の肩に腕を回し、どこかへと連れて行こうとする。
それを横にも盾にも大きな身体で隠すかのように、ドレッドヘアの男が立ち位置を変えた。

『ア?ナンパ、ナンパ!ネエちゃん美人さんだからさ、来ちゃったの』

ヘラヘラとした答えは、探偵のそれ以上に軽薄で、危険な雰囲気を纏ったもの。
当然だ。その細められた目は微塵も笑っていないのだから。ポケットに突っ込んだ手は、何かを漁る様にモゾモゾと微かに動いているのだから。

『───ネエちゃんこそ、何してんの? ここ俺達の遊び場よ?誰かに会いたいの?』
51鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/08(水)15:22:46 ID:qb4 [4/13回]
>>50
「まあ、見てください!とっても元気な挨拶です!」

一先ず友好的な態度を取れば、無用な揉め事は回避できるかもしれない。
……なんて打算に基づいた言動でないのは、火を見るよりも明らかである。
ぽかんとした空気もなんのその、無邪気に感心なんてしていたが。

「ナンパ、ですか?それは、その……少し困ります」

声をかけた理由が浅薄浮薄、翩々極まりないものだと知れば、困惑と逡巡を顕に口ごもる。
こういった誘いに不慣れで、どう対応したものか分からないというのも理由の一つだが。
それ以外にもう一つ、連れて行かれそうになっている探偵もまた懸念事項。どうにも巻き込んでしまい、仕事の邪魔をしてしまった負い目が燻っていた。

「せっかくのお誘いですが、私はもう帰らないといけないので。その方を離していただけませんか?」

自分よりも上下左右に大きい男の向こう側を覗き込もうと、あちこちに頭を動かす。
素気ない断り文句からして脈はなし、不審な動きを気に留めているのかは些か不明瞭。
申し訳なさそうにドレッドヘアを見上げ、しかし有無を言わさぬ語勢であった。
52神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/08(水)15:37:13 ID:tyZ [4/11回]
>>51
「僕だって元気に挨拶ぐらい出来る」

とは連れて行かれる前の小さな張り合いであった。


『ハハハ……』

困った様な笑い。それでいて眼光に隙は無く、動かす頭を塞ごうと右へ左へその体躯を揺らす。
肩を組まれた探偵は、建物の間の路地に引きずり込まれていくのが一瞬だけ見えた事だろう。どの道、ドレッドヘアの男には道を譲るつもりなど無いが。
目を閉じていたのも束の間、男の表情は、纏う気配は、ひどく厭らしく攻撃的な物へと変貌を遂げていた。

『ネエちゃん、なんか誤解させちゃったみたいだけどさ───』

笑顔とは、元来攻撃的な精神の現れである───。眉唾物のその言葉すらも真実と思わせかねない迫力が男にはあった。
だらしなく履いたジーンズのポケットから引き抜き、所在無さげに数度揺れる右手。直後、ぞの太い腕が釣竿めいてしなやかに素早く振るわれる。彼女の頬を張ろうと。

『俺らさ、お願いしに来たんじゃねぇんだわ?ゴメンな!』

その笑い自体は先程のものとさほど変わらぬ、形だけ見れば爽やかさすら感じさせるもの。
しかしてその実態は、力無き者を嬲り痛めつける嗜虐に酔いどれた野卑たもの。凡そ真っ当な人間のするものではない表情。
逞しい腕で、そこそこ力を入れて放った張り手。喧嘩慣れしていない常人ならば、マトモに受ければ戦意も叛意もこそぎ落とされかねない。

『ア?ああ、あのモヤシ?ダメ!ネエちゃんもダメ! 立ち話もなんだからさ、中で話させてよ、ね?』
53鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/08(水)16:09:39 ID:qb4 [5/13回]
>>52
上横斜めと、いくら試行しても視界が開ける試しがない。それどころか、逃がすつもりはないという意思が返ってくるばかり。
どうにか垣間見た光景に、これはいよいよ迷惑をかけてしまったかと。罪悪感を抱く余裕があったのは、ここまでだった。

「――――――ッ」

ぱん、と乾いた音が冬の空気を裂いて響いた。
悲鳴はあげず、体勢を崩す事もなく。けれど確かに、平手は頬を打った。
軽く俯いて、前髪が目元を隠す。結った髪が余韻に揺れて確かな手応えを伝える。
その騒ぎを遠巻きに見ていた者も皆無ではない。しかしその誰もが割って入らないのも、当然と言える緊張感。
事ここに至って緊迫がいや増したのは、何も決定的な暴力だけが原因でない。

「…………そうですか。それは失礼しました」

衝撃で先程までの長閑さえも、どこかに吹き飛んでしまったかのような、冷えきった声。
まだ、敵意はない。されどそれが、削ぎ落とされたと同意義になるとは限らない。

「でしたら早く参りましょう。ここは人目につきますから」
「あまり人に見られては困るのでしょう?……それはお互い様ですが」

最後の一言はごく小さく、そうだとしても見上げた紅眼が鋭く険しいのは変わらない。
見た目の厳格さに内面が追いついたと言うべきか。苛立ちとも怒りとも、果ては強がりにさえ見える強気な態度。
不興を買おうと知った事はないとばかりに連れて行かれるまま、その足取りに迷いはなく。
54神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/08(水)16:28:46 ID:tyZ [5/11回]
>>53
掌を伝って脳髄に達する心地よい感触に、ドレッドヘアの男は舌なめずりしたくなる気持ちを必死に抑えた。
自身を絶対強者と信じて憚らず、他人を力のままに蹂躙する。なんと心地よい体験であろうか。幾度味わおうと飽きる事はあるまい。
下種な笑みをにやりと浮かべると、男は先の軽薄そうな声のまま続ける。

『じゃ、着いてきてよ。いなくなったりしたら、彼氏クンかお友達か知らないけどヒドイ目に遭っちゃうよ』


離れたところの野次馬にも気にした様子を見せず、先導して行くのは向かいに見えるゲームセンター。 ではなく、その隣の路地。
元々人の寄り付かない店の、更にひとけの少ない所。大きな声を上げるなどでもない限り、ここまで見物に来る物好きはいまい。
探偵とはちょうど正反対の位置、先程以上に引き離される格好だ。

『───ンじゃまぁ、続けよっか。 誰か探してんの?それとも何か欲しいの?
 あんなチラチラ見といてさ、今更何でもないなんてツレない事言わないよね?なぁ』

辿り着く場所は恐らく店の裏手だろう、やや広いスペース。雑多に摘まれたガラクタやゴミ箱が、窓から漏れる灯りに切なげに照らされる。
周囲に人の気配が無い事を改めて確認すると、男は上着の懐を漁りおもむろに金属の塊を引っ張り出す。威圧的な造形のナックルダスターだ。
悍ましき気配すら窺わせる邪悪な笑みに、加減の文字は一切無い。犯罪者崩れに相応しい、暴虐の臭い。

『聞かれた事に答えろよ。痛くしねえでやるから』

───暴虐、傲岸、欲望。様々な色を覗かせる表情のその一番手前には、隠しきれぬものがある。“慢心”或いは“油断”だ。
冷静に考えれば先の一撃で、或いはその鋭い表情を見て察するべき事をこの男は怠った。力で物を言わせてきたこれまでの相手とは違う事を考慮すべきだったのだ。
理不尽な立場への歓喜という精神的余裕が消え、笑みが消え失せるまでの時間、それは確かに大きく無防備な“隙”で───
55鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/08(水)17:14:27 ID:qb4 [6/13回]
>>54
刺すような冷気も赤い頬を冷やすには生温い。歩みに伴う向かい風もまた同様に。
街灯の届かない、星屑さえ頼りない路地でもそれは変わらないというのに、頼りない光に照らされた顔は痛みを感じさせない。
距離が離れた焦燥も、助けを求める手段を失った怯懦すら見せず。だらりと両手を下ろして相手を見据えた。

「私はただ通りがかっただけですよ。詳しい話は、あちらの方がご存知かと」

そうとしか答えようがなかった。いくら暴力をちらつかせられてもだ。
事実、帰路に遭遇したのは偶然であって、彼女自身が対象に注目を向けたのはせいぜい二、三回。
しかし例え正直に話したとしても。ここまで来てただで済むと思えるほど、心底からの能天気ではない。

「ですがそんな事は関係ないのでしょう?口ではそう言っていても、顔は虐めたくて仕方がなさそうですもの」
「ええ、ええ。言わなくても分かります。だって私も、きっと同じ事を思いますから」

正確には理性の皮を一枚剥いだ自分、だが。何も暴虐と嗜虐の愉悦を知らない、未通女のように純粋ではないのだ。
今でこそ貞淑を保っているが、その本能を剥き出しにしてしまったのなら。何をしでかしてしまうのか、自分でよく分かっていた。
けれど一度抱いた怒りは徐々に歯止めをすり減らして、欲望の発露をささやかに促す。

「なので私も精一杯抵抗しますが……生憎、斬るしか能がありませんので」
「どうぞ、諦めるのであればお早めに。我を忘れてしまうのは、私としても困りますから」

とん、と何かが地面に刺さった。淡く桃色に光る、二本の小刀だった。
それが二人の中間に、まるで境を引くように路面に立って。それ以上踏み込めば、無抵抗ではいないと暗に語る。
同時に無造作に持ち上げた右腕にも光が集って、現れ出るのは同色の大太刀。
明らかに異能力、それも他者を容易に傷つけることができる。油断なく見据える目つきは、むしろ境界を越えるのを待っているようでさえあった。
56神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/08(水)17:34:31 ID:tyZ [6/11回]
>>55
常であれば、殴った程度で退かない人間などいない。相手が何を言おうが求めようが、気が済むまで拳で返せばよかっただけだ。
なので、男にとってこの状況は理解しがたかった。好き勝手蹂躙出来ると思った弱者が、牙を隠しているとは思わなかったからだ。

『……ア?』

何か硬いモノが地面に刺さる音。ゆっくりと視線を降ろせば、境界線じみて直立する小刀。
視界の端で迸る光を向けば、その手には一般人が持つにはあまりにも凶悪に過ぎる刃。
相手との力量の判断が出来ぬわけではない。しかしそれでも、お預けを喰らった猛犬に等しい感情は、沸々と大きくなっていくのみ。


『───ボン刀見せりゃ、よ。ビビると思ったかよ』

その顔から笑いは完全に失せる。おもむろに捲った袖口から覗くのは、コンロのそれを思わせるクリーム色の摘み。
無感動に男がそれを限界まで絞った瞬間、むわっとした熱気が周囲に漏れる、拳の周りの大気が揺らぐ。
それは電能力と呼ばれるもののデバイス。後天的に植え付けた異能力。多少内情に詳しいならば、研究の一環で身に着けている者もいると聞いた事があるだろう。
尤も、その風貌はどう見ても研究者や公的機関に属する者では無いのだけれど。

『ドエレー吠えるじゃんよ、もうキレた、知らねー』

男の拳とナックルダスターは、今や眩いまでの赤熱を帯び、空気を熱で揺らがせる。これが男の電能力か。
その拳に当たれば、ただの火傷では済むまい。理解しているはずの男も、ボクサーめいて身構えると鋭く踏み込んだ。

『───元のツラも忘れちまうような顔にしてやンよッ!アバズレェッ!』

境界を抜けるが否や、轟ッ、と顔面に向けて放たれる大振りのストレート。加減も何もない一撃は、先の張り手よりもずっと早い。
圧倒的高熱、喧嘩慣れで鍛えたパワー、ナックルの硬度、質量を抱えた一撃が、その顔を潰そうと迫る。
57鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/08(水)18:05:49 ID:qb4 [7/13回]
>>56
「いいえ、まさか。私、これがなければただのか弱い乙女ですから」

本気か冗談か、表情を少しも崩さないせいで些か些か読み取りづらいがその程度はほんの些事。
本音を言えばここで引き下がってもらうのが最善であったが、それが白日の夢であるのは明らか。
だからこそ、既に諦観はなく。文字通り燃え上がる激情を前にして、微かに唇の片端をつり上げた。
生命の警鐘ががなり立てる熱が頬を撫でる。憤慨に無言で返して、揺らぐ空気にも臆さず棒立ちのまま。

「……もう、知りませんからね」

片足の爪先が、こつこつと地面を叩く。
それは次第に一定のリズムとなり、遂にはその場での小さな跳躍となって拍子を刻む。
フットワークと呼ぶには遊びが過ぎるそれが変化したのは、不届き者が境界を跨いだ瞬間。

「――女性の顔を狙うのは、いただけませんね」

身体の位置を横にずらす。身体が浮いたタイミングに合わせて回転、すぐ横を通り過ぎる拳を臍で追うように。
当然、大太刀もまたその動きに合わせて円を描く。大仰な回避に付随した間合いは、脇腹を水平に裂くに留まるだろうか。
熱を嫌って距離に余裕を持ってもひりつく熱さ、冬も本番だというのにどっと汗をかいた思い。
一回転、踊るポニーテールが垂れるより早く、跳ねるように離れて境界の向こうへ。両者の位置が入れ替わる形に。
58神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/08(水)18:23:20 ID:tyZ [7/11回]
>>57
男は次第に苛立っていた。遊んでいるところを邪魔されわざわざ様子を見に行かなければならなくなった事に、思った通りに嬲り者に出来なかった事に、耳障りなリズムに。
野卑た激情はその四肢に怒りの燃料をくべていく。漲る膂力を発揮させる───

『───ッ!』

迂闊。怒りは視界を狭めるものだ。彼我の差を見極められる余裕は既に無い。
いかな強力な拳、電能力と言えど、当たらなければ意味は無い。相対してきたチンピラ崩れやアウトローを一撃で再起不能に追い込んできた拳は虚しく宙を斬り、代わりに一瞬の金属の冷たさ、燃える様な熱さが襲い掛かる。


『───な……ッ、ア……ッ!』
『本当に、斬りやがった……!』

斬られたと気付くのにさほど時間はかからない。ままならぬ手で傷口に触れて確かめれば、命の奔流は溢れ出しているところだった。
激痛、混乱、屈辱。顔を赤く染めるのは激しい運動ではなく、内にて渦巻くそれらが原因。ギシリと歯を噛み締める様子に、最早先程の邪悪な爽やかさは微塵も無い。

『こ、の……!売女がッ!!』

明確に命を奪うものを前にした時特有の、底冷えする恐怖が鎌首をもたげ始める。笑いそうになる膝を押し込めるのは、勇気ではなく蛮勇と激情。
すれ違い様の一閃で、ようやっとこの男にも実力差が見えてきた。それは単純な喧嘩、殺し合いの腕だけでなく、精神性。迷いなく他人を傷つける事の出来る死狂い。
されど不退転、負った傷と頭に血が回り、再び男は獣じみて飛び掛かる。拳を振り被って。

『脳味噌、ブチ撒けろ!!』

取り繕おうともせず、持てる力を振り絞った拳の乱打。顔だけに留まらず、腰から上全てを殴り潰さんが如き勢いのそれは、ある種の面攻撃めいて。
その一発一発の帯びる熱は先程よりも冷めたものだが、それを差し置いても拳の破壊力は侮りがたいもの。完全にキレているのだ、加減も後を考えるつもりも無い。
59 : 鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/08(水)18:43:42 ID:qb4 [8/13回]
//すみません、次の返信少々遅れます…!
60 : 神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/08(水)18:56:29 ID:gfe [1/1回]
//了解です!こちらも少し遅れるかもしれません…
61鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/08(水)20:16:26 ID:qb4 [9/13回]
>>58
「ええ、もちろん斬りますとも。言ったでしょう、それしか能がないって」
「この街じゃ何が起こるか分からないんですから。自衛手段の一つくらい、持っていてもおかしくはないでしょう?」

今度は鋒でアスファルトをつついて拍子を立てる。ぶつかる度に、腹から舐めとった鮮血が刃を滴った。
一閃の嗜虐に酷薄な微笑を浮かべたが、そのまま押し流されてしまいそうになるのをぐっと堪える。
状況が理性を削る感覚。誰も見ていないから、始末におえない相手だから、借りを返してやりたいから。
薄っぺらな理由づけが脳裏をよぎって、まだ目は薄らと充血しているだけだというのに、気を抜けば衝動の暴虐に落ちてしまいそうな。
正当防衛が過剰になりかけているのがその兆候、小さく頭を振って振り払おうとしたが、情勢は少しの猶予も許さない。

「…………」

続行の構えに眉根を寄せる。だというのに、欲望はまだ愉しめると笑い声を漏らす。
相反した感情の均衡を保とうとしたところで、乱撃を体捌きだけでやり過ごせるはずもなく。

「本当に――どうしようもない方」

絶え間なく上下していた大太刀が粒子となって弾けて消える。代わりに両手に握ったのは、ナイフにも近い双刀。
足指の付け根でリズムを取る。乱舞を前に半歩引いて、それでも背中を向けはせず。猛然と迫る拳を、刃の腹で小刀ごと弾いた。
刹那の無手を即座に同様の凶器で補いながら、次から次へと打撃を払う。未だ赤熱を覚えるとはいえ、幾分かは落ち着いたからこそ取れる手段。
白目に走る赤い血管が、一挙動ごとにその数を増し、比例して深まる凄惨な笑み。いつ反撃に打って出てもおかしくない、虎視眈々の眼差しがそこにはあった。

「ぐッ――――!!」

しかし、先に手応えを覚えるのは拳骨の方だ。咄嗟に間に差し入れた刀を易々とへし折って、体内から押し出された呼気が鼓膜を揺さぶる。
元より体格差は歴然、豪炎の唸りに踏ん張れるはずもなく後方に吹き飛ばされて。
されど防御に動いたのはたった一刀。もう片方の刃はカウンター気味に振り上げられて、伸びきった腕を奪おうと煌めいていた。

//お待たせしてすみません、お返しします!
62神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/08(水)21:14:43 ID:tyZ [8/11回]
>>61
『こいつ……!』

小さな悲鳴にも似た呻き。アドレナリンが一緒に流れ落ちているかのように、嗜好は否応なしに冴えていく。
自棄になった抵抗とも、正当防衛とも違う。春の夢の様に微かなものだったが、感じる気配は自分に似て、それでいてより濃密で純粋な気配。嗜虐の嗜好。

『ウ……、ウオオオオアアアアッッ!!!』

双刀を睨み、拳を放つ、放つ、放つ。工業用機械じみた猛烈さで、死力を尽くす。
それは、一瞬でも間近で感じてしまった暴力への恐怖から逃れる為。己が精神を奮い立たせ、押し切らなければ、本当に命が危ういと本能が警鐘を鳴らしたのだ。


『取ッ───!』

みしり、と硬い拳が刃を砕き、奥の肉体へ、骨へとめり込む感触。されどそれに普段の様な悦楽は無く、ただ生きる為の我武者羅なもの。
ウェイト差は相当の物。力もただの一般人よりかはある、得物も電能力も使い慣れている。
───それでも、勝敗を分けるには、まだ届かないのだ。

怖気に開いた眼が、ほんの一瞬通り過ぎる反射光の煌めきを捉える。同時に襲い掛かる、先程よりもずっと深く熱い痛み。
半ば反射的に構えに戻ろうとして、腕に力が入らない事に気が付く。早まる鼓動に合わせ、最初はジワリと、次いで噴き出す様に鮮血が飛び散った。
カウンターの切り上げは、交通事故めいた衝撃を受けながらもその屈強な腕の一部を斬り裂いていたのだ。

保持が叶わず地面に転がるナックルダスター。文字通り、今や男の右腕は皮一枚で繋がっているようなもの。
次第に青くなる顔色が見えるだろう。激痛に叫びを上げる事すら叶わず、付いた両膝の下に出来ていく血溜まりを見つめるその顔が、ゆっくりと上がり視線を合わせる。

『ハ…ハハ……、参った、参ったよ、強いねおネエちゃん。
 もう目の前に出ねえから、勘弁してよ……』

命乞いである。諂いの笑みを浮かべる顔は、脂汗と痛みに知らず漏れていた涙に濡れ、失血の寒さに青くなりつつあった。
精神的土下座に等しい言葉は、本気で心が折れた事を表す。弱い者を一方的に蹂躙する事は慣れていても、強者との戦い、ましてや命を奪われかねない戦いなど荷が勝る。
最初は遭遇した時の様にあくまで軽い調子で、しかし段々とその余裕も崩れ始め、表情には憔悴が強く現れ始める。そこに最初の気配は既に無い。

『……頼むよ……!血、止まらねえじゃねえかよ……!死んじゃうかもしんねえって……』


//お待たせしました…っ
63鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/08(水)21:51:18 ID:qb4 [10/13回]
>>62
肉を断つ感触に、良識を押し退けて愉悦が顔を出す。当然だ、刃を立てて振るった目的はそれが大半を占めるのだから。
同時に拳を受けた相応の理由もまた存在する。臓腑を叩き潰す激烈な痛みでもって、自我を無理矢理に引き戻すためだ。
踏ん張りも効かず殴り飛ばされた先、得体も知れないがらくたの山に叩きつけられて声にならない声をあげた。

「――――、ゲホッ、おえっ……」

廃棄物が崩れる音に遅れて咳く。赤く濡れた刀身を支えに、蹲ったまま腹部を抑えて。
数時間前に食べた物が逆流しないように堪えながら、苛む激痛に耐える事しばらく。
やがてゆっくりと上げた顔は、ある程度の充足も含めて目論見通り、幾分かまともな挙動を取り戻したかのようだった。
とはいえ、やはり悠長なはずはない。冷然とした瞳の外縁は、まだ僅かに赤く充血しているようで。

「……そうですか」

情けを乞う言葉に返したのは、それだけだった。耳を打つのは実に興味なさげな響き。
ふらりと立ち上がったと思えば、その手の凶器がかき消えたから、聞き届けるつもりのようだ。
しかし、それ以上を施す事もまたない。一瞥だけやって、後は痛む腹を庇いつつその隣を通り過ぎるだけ。
最早、意識から失せてしまったようだった。事実、そう考えるように自分を強く制している。
そうでなければ、いつとどめを刺してしまうか分からなかったのだ。そうならないためにも、早くこの場から離れなかった。
それに、反対側に連れて行かれてしまった探偵の方も心配だったから。何事もなければ、早足に様子を伺いに向かおうと。
64神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/08(水)22:05:06 ID:tyZ [9/11回]
>>63
『きゅ、救急車……ちょ、待ってくれって……!おい……!』

いい加減興奮も醒め、あまりの事に麻痺していた痛みも帰ってくる。
顔を青くして情けついでに助けを求めようとしたが、既に立ち去ろうとするところ。追いかけようとして立ち上がれず、芋虫めいて這う事しか出来ない

『何なんだよあいつ……ッ、何考えてるんだよ……ッ!』

無論、男に彼女の気持ちが分かるはずもない。危うい事になっているなど気付きようがない。
身勝手なまでに助けを求め、苦しむ様子は、先程までの態度が嘘のよう。意識を手放しそうになる男の身体を震わすのは恐怖か、屈辱か。
悲鳴じみた嘆きも、やがてはドアの音と共に聞こえなくなるだろう。最早脅威は無く、静謐と加わった鮮血の臭いが、誰も居なくなった場を支配するのであった。


「───あれ、六花ちゃん、無事だったんだ」

探偵との合流は存外早く済むだろう。路地を抜ければ、ちょうど彼も一人で戻ってきたところだったらしい。
数発ぐらいは殴られたのか、顔に小さな青痣が幾つか出来ているが、目立った負傷はそのくらい。むしろ返り血やらで汚れているであろう相手の方に驚いた表情を浮かべる。

「何か面倒な事に巻き込んじゃったみたいでゴメン。怪我とかない?
 ついでに言わせてもらうと……さっき言った捜してる人、もうここにいなかったみたい」

要するに結果だけ見れば無駄骨だったという事。両手を合わせて頭を下げる様子は、一応は申し訳なく思っているから。
糸の様に細い目は、口ほどに物言う瞳を見せようとはしないが、それでも心配そうな雰囲気は伝わるだろう。

「……本当に大丈夫?済んだから助けに行こうと思ってたんだけど。病院とか行く?」
65鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/08(水)22:36:30 ID:qb4 [11/13回]
>>64
背後に遠ざかる声を聞こえないフリ。そうでもしなければ、また嗜虐心が首を擡げそうになるから。
言ってしまえばどこまでも自分のため。けれどそれが、全てに対する最善だと信じて荒漠の路地を後にするのだ。

「――ああ、よかった。無事だったんですね」

顔を合わせて、開口一番にほっと一息。少し見ない間に増えていた青痣を認めれば、心配そうな視線を送ったが。
酸化が始まった血に汚れた袖口の方が、視覚的には危ない代物。どう答えたものかと言い淀んだ。

「ええ、まあ……少し殴られただけなので、病院は大丈夫ですよ。ご心配をおかけしました」
「あ……でも一応、救急車は呼んであげた方がいいかも……」

赤みの大分引いた頬を無意識に指で撫でる。本当についでのように言っているが、返り血らしきものがある時点で悠長にしている場合ではないような。
長く息を吐いて、ちらとついさっき出てきた路地を一瞥。賑やかではないが絶無ではない雑踏に、規範に則ったいつも通りの理性が呼び起こされる心地。
結局探偵の仕事も結実しなかったと聞けば、視線を戻して所在なさげにそっと腹を抱えた。

「そうですか……申し訳ありません、私が余計な事をしたからですよね……」
「正直なところ、この辺りがこんなに危ないとは思わなかったので……神崎さんも、気をつけてくださいね?」
66神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/08(水)22:47:42 ID:tyZ [10/11回]
>>65
街灯に照らされた鮮血の痕跡。むしろ自分よりも危なっかしいことしていたんじゃないかとも思ったが、口には出さない事にした。
ともあれ、無事に戻ってこれた事を今は喜ぶべきか。控えめな提案に頷いて仕事用の携帯電話を取り出すのであった。


「女の子の顔を叩くなんて、酷い奴もいたもんだ」

振り返る路地の闇は通りの光によってその濃さを増し、一言しただけでは奥は窺えないだろう。
それでも感覚が鋭ければ何かしらに気付けるだろうが、とりあえずこれ以上の面倒毎の心配はあるまい。


「いや、いいんだよ。僕の事連れてった奴から聞いたけど、どの道もうバレてたみたいだし。つまり僕のせい。
 まぁ、この辺はね。キミも、通る時は気を付けた方がいいよ。さっさと通り抜けるだけなら問題ないだろうけど、長居する場所じゃない」

適当に誤魔化した内容だが通報は済ませたらしく、素バラクすればサイレンの音は近付いてくるはず。
殴られた痕を一度撫でて具合を確かめると、忌々し気にゲームセンターを睨んだ。

「なんか色々聞かれる前にどっか行こう。飲み物ぐらいだったら奢るよ、お詫びにね」
67鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/08(水)23:15:25 ID:qb4 [12/13回]
>>66
「まだ少し痛みますけど、本当に大した事はありませんから。きっとあの人も反省していますし」

実際見かけを度外視すればより重傷なのは腹部の方だ、未だに臓器の一つ一つが悲鳴をあげている感覚が残っている。
しかし元々表情を作っている性分ではない、ほとんどが申し訳なさと懸念に覆い隠されているはずだ。
反省と呼ぶには随分手厳しい事をしてきた名残りが見えるが、それ以上を答える事はない。

「そうだったんですか……でも……」
「……では、ご馳走になっても?あまりこの辺りにいても、良い事はないでしょうから」

どうにも初期対応を誤ってしまったのではないかという悔悟が、言葉を濁らせて誘いにもしばらくの迷いを見せる。
しかし徐々に大きくなりつつあるサイレンの音にぱっと顔を向ければ、やがて小さく頷いた。
万が一に話を聞かれるのも面倒であるし、何よりこれ以上の長居が更なる揉め事を呼びこむ可能性だってゼロではないのだ。

「ほら、早く行きましょう。お礼参りなんてごめんですから。神崎さんのお金ですし、お店はお任せしますね」

別段、奢ってもらえるから乗り気という訳ではないのだけれど。
この場からさっさと離れたい一番の理由が、さっきまでの出来事を早く過去のものにしたいからだから。
腕を引いて促す動作は特に意識をしてはいないが、痛みを誤魔化すためであるのも確かであった。
68神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/08(水)23:39:45 ID:tyZ [11/11回]
>>67
「そうだね、行こう」
「いい店知ってるんだ。まだ空いてるか分からないけど」

後悔や懸念が芽生えるのは見て取れた。故に、投げかける言葉は安心させようとするかのように軽いもので。
大きくなるサイレンに追い立てられる様にして、早急にこの場から立ち去ろうと。
聞こえたあまり考えたくない言葉については、深く考えない事にした。今月はまだ長い、生き延びられるだろうか。

同時に、何か妙な予感が胸を突くのを彼は感じていた。何か悪い報せなのか、それすらも分からない魚の小骨じみた違和感。
それが彼女の様子から見て取れた事はどうにか気づけたが、流石に原因までは分からない。
ともあれ、奢りに連れて行った店では、まるで水を得た魚の様によく口を回らせた事だろう。全てを情報量で洗い流そうとするかのように。


//それではこの辺りで〆という事で…
//お付き合いありがとうございました!
69 : 鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/08(水)23:50:31 ID:qb4 [13/13回]
>>68
//キリよく〆ていただいたのでこちらからもここまでで…!
//こちらこそありがとうございました、お疲れ様でした!
70舞姫薫流◆</b></b>CmU1XjBU/.<b>[] 投稿日:20/01/09(木)22:28:08 ID:u0T [1/2回]
神倉市内のとある鉄橋下にて、一人の男が吹き飛び壁にぶち当たるとそのまま気を失うのであった
その対面に居るのは舞姫薫流、不良として名を馳せている少女が蹴りを繰り出した直後の姿で居たのであった


「ありゃ、よっわ。こんなんで良くアタシに喧嘩売ったなぁこいつ~」

その表情は完全に呆れた顔そのもので、彼女自身は無傷、気を失っている不良少年の顔はボコボコに腫れ上がっていた
そんな少年に近づいて行った彼女はゴソゴソと、そのポケットを物色して

「あ、あったあった、んじゃこれ戦利品ね」

ニッコリと笑顔で少年の財布から千円札を二枚、抜き取っていたのだった

「にしてもたったこんだけかよ、しけてんなー、ま、いっか」

そう言うと、少年の方へとその財布をポイッと投げて、近くに止めてるバイクの方へと、パーカーのポケットに両手突っ込みながら歩いて行く
あからさまな喧嘩かつカツアゲの現場であった
71七月屑根◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/09(木)23:31:49 ID:fFT [1/1回]
>>70
橋の下から響く悲鳴と暴力の音、なにか面白いものでも撮れるかと思って来てみたが、決定的な瞬間は終わっていた。

(橋の下でガチ喧嘩!とかならバズるかと思ったんだけど……)

目にしたのは財布から金銭が抜かれる瞬間。
これを目撃したからってなにか交渉ができる相手でもないだろうって、さすがにわかる。

(帰ろうかな………
………あ、そうだ。使えるじゃん。)

何を思い付いたのか、笑顔を浮かべて薫流の方へと駆け寄って

「有難うございます!
私、この人にお金取られちゃって、悔しくって、追いかけてみたんですけど。
悪い人には罰が当たるんですね!貴女はもしかして正義の味方、とか?」

勿論嘘。ぺらぺら沸いてくる言葉も本音ではない。表情には出さないが。
不良だとかと会話するならまずは誉める持ち上げる、そうすれば悪くは思われない。誉められ慣れてない輩ならなおさら。

//まだよろしければー
72舞姫薫流◆</b></b>CmU1XjBU/.<b>[] 投稿日:20/01/09(木)23:53:53 ID:u0T [2/2回]
>>71
近づいて来た一人の少女に気付くと、きょとんとなる
そして、彼女から出てきた持ち上げる言葉に対してはニカっと白い歯を見せながら笑って

「うん、そう、正義の味方(笑)。にしてもそっかそっかー、こいつに酷い目合わされたんだなぁ、そりゃ災難だったなぁ」

等と言って、その肩に手をポンポンっと叩くのだった

「金っていくら取られたん?こいつ二千円しか持ってなかったしもう使ってんじゃね」

そして、軽ーくカツアゲ暴露なのであった。
そして金髪を右手で払い除けると、腰に手をあてながら

「ま、なんか困った事あったら正義の味方に頼ってくれていーぜ?」

と、若干笑いながらそう言うのだった
73七月屑根◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/10(金)00:06:01 ID:C0R [1/1回]
>>72
(どうしてこの手のはすぐにベタベタ触るかな……
やだやだほんと。陽キャとは生きていけないわ。)

とは思いつつも、浮かべる表情は笑顔。薫流の笑顔にそれを返して。

「それだけしか……いえ、良いんです。
取られちゃった時にもうお金は諦めてましたし……
その人がちゃんと痛い目をみたなら、もう良いですよ。」

まあ、そもそもなにも取られてないんだし。
金欠気味の今、二千円は小さくない収入ではあるのだが、だからこそがっつかない。
必要なのは、欲を刺激する事。してあげたいと言う庇護欲を誘う事。
カツアゲに関しては、言う意味もないので突っ込まないとする。

また頼ってくれて良いと言うのなら、笑顔はさらに輝きを増す。一瞬だけ。
なにかを言いかけた口がピタリと動きを止めて、うつむいて。

「じゃあ、その……もう一度だけ、助けてもらって良いですか?」

行き場をなくした手が、薫流の手に触れて、すがるように握って。上目遣いでお願い。

「……私、今、ストーカーに追われてるんです。」

ここで初めて、七月屑根は真実を語った。

74舞姫薫流◆</b></b>CmU1XjBU/.<b>[] 投稿日:20/01/10(金)00:20:45 ID:2DU [1/1回]
>>73
「なる程ねぇ、痛い目見たらいいのか、ま、それなら今後は気をつけなよ~」

と、屑根に言うと、何やら頼ってくるような様子にん?っと表情を変える
助けて貰って良いですか?その言葉を、左手で頭ぽりぽりと掻きながら聞くと
ストーカー、その言葉にぴくりと反応するのだった

「は?ストーカー?きっも、そんなのに狙われてんの?」

等と、引いたような表情になりながら言って

「……んー、ストーカーはキモいよなぁ、んじゃあまぁ、ぶっ飛ばしてやってもいーけど」

そう言い、屑根の手を放すとそのまま腕を組みながら答えるのだった

「まー、名前はなんて言うの?アタシは舞姫薫流、まー喧嘩の強さは自信あるし任せなさい、そんじょそこらの男にゃ負けねぇし」

と、ニシシと笑いながら軽く答えるのだった
75七月屑根◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/10(金)00:50:35 ID:AQ6 [1/1回]
>>74

「あ、ありがとうございますっ……!
私、こんなの、誰に相談すれば良いかわかんなくて……」

感極まって深く、深くお辞儀するように礼を言う。
下に向けた顔は変わらない笑顔。ただし、三日月みたいにつり上がった口は、意味が変わってしまうけど。

「実は今日も、追いかけられてて……
一度は逃げ切ったんですけど、多分すぐに─────」

薫流なら感じ取れるかもしれない。
足音、空気の流れ、或いは感。近寄ってくる、何かの気配。
それに導かれるまま視線を動かせば、橋の下から二人を見下ろす影。腫れ上がった瞼。穴だらけの皮膚。球体に棒が生えたような体型。異形とすら感じられる醜男。

「……あ、あ、あれです!あの人です!」
76舞姫薫流◆</b></b>CmU1XjBU/.<b>[] 投稿日:20/01/10(金)07:53:26 ID:kmB [1/2回]
>>75
「まーどーせストーカーとかするのって陰キャのトロい奴だろ?そんなの……」

そう話してる中、何やら視線を感じるのと、そして屑根のあれですの言葉
そのまま橋の下を見ると、あからさまなそれを見て目を細める

「……なる程、んじゃとりあえずあれをぶっ飛ばせばいいわけ?」

と、屑根にまず一言言うと手をボキボキと鳴らしてから
まずは橋の塀の方へと駆け始める、そしてそのまま塀を掴むと

「任せとけ!」

二マッと笑って、そのまま飛び降りると同時に醜男へとドロップキックを繰り出す

//すみません!寝落ちしてしまいました!夕方までは仕事なので返せる時に返します!
77七月屑根◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/10(金)16:46:07 ID:1yg [1/1回]
>>76
//申し訳ない、本日夜勤で集中して返信できるのが深夜になるため、続きは明日にしてもよろしいでしょうか?
//平行でロールしていただいても大丈夫ですので……
78 : 舞姫薫流◆</b></b>CmU1XjBU/.<b>[] 投稿日:20/01/10(金)17:04:16 ID:kmB [2/2回]
>>77
//問題無いですよー!
79天咲=クローネ◆</b></b>hNJQV/VwBJBT<b>[] 投稿日:20/01/11(土)10:04:11 ID:Jpq [1/9回]
三連休の初日、今日はバイトは休みのようで1日暇な日が待っていた。
教会の方も人はほとんど来ずに、シスターの手伝いをしようと名乗り出るもせっかくの休みなのだから遊んできなさいと言われて。
そして絶賛、街中でぶらぶらと暇つぶし中なのである。

「外で遊ぶ、とは言っても…特にやることも……」

シスターは自分のことを思って言ってくれたのだろうけれど、正直言って最近の遊びというものにはまったく詳しくない。
それにシスターには口が裂けても言えないが、友達というのもいない自分にとってどうやって遊んだら良いのかというのが全く浮かんでこなかった。
だからこそ今こうして公園で黄昏ている最中なのであった。
80神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/11(土)12:51:25 ID:hTR [1/8回]
>>79
数度跳ねて芝生を転がり、少女の目の前に現れる物体。ハンドボールほどのサイズのゴムボールだ。
転がって来た方向に視線を向ければ、一本の木の側で手を振る一人の人物が見えるだろう。頭の前で手を合わせるのは、謝罪の意図か。

「ゴメーン、ちょっと外しちゃった。良かったら取ってくれないかな」

運動でもしていたのだろう。動きやすい長袖のスポーツウェアに身を包み、首から提げたタオルは日の下では目立つ。
軽薄そうな口振り、雰囲気、態度は、果たして彼女の目にどう映ったものだろうか。


//まだよろしければー
81天咲=クローネ◆</b></b>hNJQV/VwBJBT<b>[] 投稿日:20/01/11(土)13:53:04 ID:Jpq [2/9回]
>>80

「これは…?」

こちらへと転がってきたそれは何やらボールのようで、子供が遊んでいたものがこちらへと転がってきたのかとそれを拾い上げれば周囲を見渡す。
しかし子供の姿はどこにもなく、少しだけ頭を捻れば転がってきた方向にこちらへと手を振る男の姿が。このボールの持ち主はあの男の人なのだろうか。

「あ、はい分かりました……えいっ」

拾い上げたボールを投擲…しかし非力からか投げたボールはちょうど彼女と男の半分程度の距離で止まってしまう。
それを見れば慌ててボールの元へと駆け寄り投げることを諦めて直接渡そうとボールを拾い上げて男の元へと向かうことだろう。

「すいません…これ、どうぞ」

そう言って申し訳なさそうにボールを差し出して。

//返信遅れて申し訳ありません…!
82神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/11(土)14:20:19 ID:hTR [2/8回]
>>81
「あらら……」

ポスンと落ちるボール。ばっちこいとばかりに構えていただけ、こちらの方が何だか恥ずかしい形になってしまった。
苦笑を漏らして仕切り直し。両手でしっかりと受け取れば、柔和そうな笑みを見せた。

「はい、ありがとう。 こっちこそごめんね、女の子にいきなり変な事頼んじゃって。
 暇だったら、ちょっと遊んでかない?僕の方はどうせ暇だしさ」

小さい球を投げるのとは違うのだ。その辺も関係あるのだろうと考え、朗らかな態度。
しかしそこからの誘いは、内容だけ聞けばまるで一変したかの様。 尤も、別段悪意や他意は無いのだが。

「誤解しないでほしいけど、嫌ならいいんだ別に。残念だとは思うけど、それだけだしね」
83天咲=クローネ◆</b></b>hNJQV/VwBJBT<b>[] 投稿日:20/01/11(土)14:34:17 ID:Jpq [3/9回]
>>82

「い、いえ別にそんな…これくらいなんてこと」

ボールを取って渡すくらいどうってことはない、むしろさっきのあの情けない姿を見られすごく恥ずかしい。
ただその柔和な笑みを見れば少しだけ落ち着いて。

「別に私は、構いませんが…その、ちょうど私も暇だったので」

唐突の提案とは言え別に拒む理由もない……普通なら警戒して然るべきなのだがそういうところの危機感などは疎いらしい。
元々どうやって遊んだら良いのか悩んでいたのだ、こうして誘われたというのならむしろちょうど良いくらいという考えなのだろう。

「でも、遊ぶってどんなことをするんですか?私あんまり遊びとかに詳しくなくて……」

//次の返信遅れます…!
84神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/11(土)14:44:45 ID:hTR [3/8回]
>>83
「こんな可愛い子にOK出してもらえるなら、まだまだ僕も捨てたもんじゃないね」

ますます機嫌良さそうに笑みを強めて、言葉は本当に軽い調子に。
けれども、当の本人いそういう知識が無いとなさそうだと気付くと、一瞬表情は固まる。

「そうだね……キミくらいの歳の子ならカラオケとかボーリング、食べ歩き、ファッション……」

指折り数えて行ってみるが、いきなり見知らぬ人と見知らぬ所に連れて行っては何だろう、と考えるくらいは出来た。
彼は女好きでナンパ師だが、その辺りの良識はあるのだった。
それはそれとして、誘っておいて『やっぱナシ』と言うのも憚られる。ニコニコとした表情は変えぬまま、脳細胞をフル回転。導き出した答えは───

「───キャッチボールでもする?なん、て……ハハ……」

流石に無理がある事は分かっている。少しばかり引きつった頬は隠しきれなかった。


//了解です!ご自身のペースで大丈夫ですよー
85天咲=クローネ◆</b></b>hNJQV/VwBJBT<b>[] 投稿日:20/01/11(土)15:09:17 ID:Jpq [4/9回]
>>84

「そんな可愛いだなんて…」

友人なんて全くいない彼女にとってそんな褒め言葉はなかなか聞く機会がなく、恥じらいというよりは困惑の表情を浮かべていた。
何はともあれ世間知らず、そう判断するには十分だろう。

「……なる、ほど…」

男があげたものは全部お金が掛かるものだ。バイトをしているために貯金はある、だがこれはもしもの時のためにシスターの為に貯めているもので自分の為に使うのは気が引けてしまう。
だがそれが今時の遊びというのであれば合わせなければならないのだろうか、葛藤に悶える中男が次に出した提案はまさに今の彼女にとって最良と言えるもの。

「キャッチボール…良いですねっ…!」

お金も掛からず遊べるまさに今一番のもの。男が引きつっていることなど気付きもせず、目をキラキラとさせながら男と距離を取ったのなら少しぎこちないボールを受け取る構えをとることだろう。

//ありがとうございます…!
86神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/11(土)15:19:39 ID:hTR [4/8回]
>>85
ああ、世間知らずだ。糸の様に細い目の奥で考えるのは冷静な分析。
遊びも知らず、誉め言葉にもここまで馬鹿正直に喜ぶとなると、相当のお花畑か世間知らず。
とはいっても、それが評価に関わる事は無い。故に、秘めた思いは微笑みの厚い仮面が覆い隠す事だろう。

「ハハ…健康的でいいね……」

こんなつもりではなかったと言えど、向こうが了承するのならそれに越した事は無い。
少し距離を取って木の根元に置いた鞄へ、無造作に手を突っ込む。中から現れたのは何の変哲もない硬球。


「変に当たると痛いから気を付けてね」

グローブの類は無かったが、まあ軽くやれば問題ないだろう。
青年の手から離れ、やんわりと緩く軽く飛ぶ球は、山なりの軌道を描いて少女の許へ。

「今ドキ遊びに詳しくないって、珍しいね。インドア系なのかな?」
87 : 天咲=クローネ◆</b></b>hNJQV/VwBJBT<b>[] 投稿日:20/01/11(土)16:47:49 ID:Jpq [5/9回]
>>86
//すいません…!次の返信かなり遅れそうです…申し訳ありません…!
88七月屑根◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/11(土)17:32:46 ID:9Cg [1/2回]
>>76
叩きつけられるドロップキック。あまりに貧弱で醜悪な体は、それこそ球体のように吹き飛ぶはずだった。
だが感じる感触は、まるで壁を蹴ったかのような。
球体に棒が映えたような、歪な体型の醜男だったはずだ。しかし交差した腕でドロップキックを受け止めるその四肢は、随分とたくましい。

『邪魔をしないでくれないか。あの女は、俺がッ!!』

筋骨粒々に肥大化したその腕で、そのまま薫流を振り払おうと。
その声に込める怒気は、ねちっこい感情よりは煮えたぎって感じるが。
能力者が人工の9割を占めるこの場所、ならば当然醜男もそうであるのだ。

「頑張って下さーい!!負けないでー!!!」

広報から声援を送る屑根は、なんだかずいぶん楽しそうだけど。

//お返ししますっ
//大変お待たせして申し訳ない……
89舞姫薫流◆</b></b>CmU1XjBU/.<b>[] 投稿日:20/01/11(土)19:01:54 ID:8tR [1/5回]
>>88
ドロップキックを受けるその手の感触、そして男の身体の変貌ぶりに、その男が何であるかは十分に理解した

「なる程、超能力者ってワケか」

そのまま腕に振り払われるとバック宙のように舞ってから、そのまま地面に着地して、また一直線に駆ける

「面白いじゃん、あんまりカッコいい能力じゃねぇけどな!」

と、そう言いながら男に接近したならば、左手でフェイントのジャブを顔面へと放つと見せかけながら、右足で、その男の腹に目掛けて回し蹴りを放つ
そして、この瞬間、彼女の右手、右拳周辺で、バチバチと小さな音がする
カンが良ければ帯電してるのがわかるかも知れない現象である
90天咲=クローネ◆</b></b>hNJQV/VwBJBT<b>[] 投稿日:20/01/11(土)19:33:20 ID:Jpq [6/9回]
>>86

「運動神経はからっきしなんですけどね…体力はそこそこあるんですけど」

元々彼がナンパ目的でこちらを誘ってきたなどということは夢にも思ってはいない。どうして自分を誘ってくるかなんてわけがわからないし、ただそれでも誘われたのならば断るのも悪い。
実際に暇しているのだから彼女にとってはむしろありがたい存在…と思っているらしいが。

「わっ…わ、わっとっ…!」

両手で慌てながらもなんとかその手の中にボールを収めれば一息ついて安心。

「い、いきますっ!」

そうして次はこちらが投擲。放たれたボールはふらふらと初心者特有のよく分からない軌道で彼の元へと飛んでいくことだろう。

//かなり遅れてしまって申し訳ありませんでした…これからも夜までは安定しないかもです……
91七月屑根◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/11(土)19:43:28 ID:9Cg [2/2回]
>>89
その拳が本命ではないとは見抜いていた。腹めがけて放たれた回し蹴りに掌を構える。
それは威力を殺せない。蹴りの衝撃は内蔵まで響き、唾液と共に呼吸が漏れていく。
しかし足の脛を捉えた。異能により強化された握力は万力のごとく。

『クソッ、関係ないあんたを殴るつもりは───!?』

だがその蹴りすらも囮であるなら。帯電する腕が本命であるならば。
流れる冷や汗。本能がアラートを鳴らす。
柔術の要領で足を放り、薫流を転がし距離をとろうとするが、間に合うか。


----------------------

(パット終わらせてくれれば良いのに……しぶといなぁ。)

いつの間にか止んだ声援。退屈そうに屈んで二人の戦闘を眺めていた。

「……もうっ。手加減しなくて良いんですよ!!」
92神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/11(土)19:45:07 ID:hTR [5/8回]
>>90
「女の子なんてそれでいいもんだよ。気にしてないんだったら特に」

差別的かな?なんて冗談っぽく笑い、キャッチが上手くいくのを見れば安堵の息。怪我させなくてよかった。
そうして今度はばっちこいと大きく手を振って構え───

「おっと……」

右に行くのか左に行くのかもよく分からない球に翻弄されるのであった。


「しかし、キミって本当に珍しいね。嫌味じゃなく」

今度のたまは先程よりも緩く。風が吹けば逸れそうなほどに。
同時に投げかける言葉は、あくまで世間話の体で。実際単なる好奇心からの問いかけだ。

「今の子はみんな、友達付き合いと部活動除けばネットだのゲームだの、そういうのに夢中なもんでしょ。
 だから、珍しいなって。余計な詮索とか馬鹿にしてるんじゃないよ、本当に」


//了解です!無理なさらずごゆっくりどうぞー
93舞姫薫流◆</b></b>CmU1XjBU/.<b>[] 投稿日:20/01/11(土)20:12:12 ID:8tR [2/5回]
>>91
足を取られた、柔術の要領で転がそうとしてくるのは分かって居たが
そしてその能力で強化された握力は流石に強く、少し顔を歪めるのであるが

「………おせぇよ!!」

帯電する右拳、これが本命の一撃であるのだった
そのまま、電撃を纏った一撃の拳、それを男の顔面へと目掛けて放つのである!!

「あんたが能力者ってんならアタシも能力使うまで、この『ライトニング』の電撃は……脳天まで痺れるぜ!!」

そう言いながら、紫電を纏った右ストレートが男へと迫る!!
彼女のグループの名前の由来たるその能力、それをお見舞いしようとするのであった!!
94 : 鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/11(土)20:22:10 ID:GTG [1/1回]
いくら大きな通りではないとはいえ休日の頭となれば、普段に比べて客の入りは少々良い。
穏やかな賑わいを見せたモーニングの時間が過ぎて、時計の針が空を指す頃。
一先ずのピークを終えて沈黙を保つ喫茶店で、たった一つの人影が大きく伸びをしていた。

「んんっ…………ふぅーっ……」

自分一人だからという気の緩みから漏れ出た吐息が、静閑とした店内に響く。
背筋をぴんと伸ばしたまま、後ろ手に店員の証である腰エプロンを結び直す。
自然と突き出す形になる胸はブラウスの下で押し潰しているから、目立った曲線を描かないのだけれど。
他所がランチタイムで賑わっている今が息抜きの時、午後になればまた客足が忙しなくなるのだから。
営業時間だとしても今のうちに昼食を済ませてしまおうと、熱しておいたフライパンにベーコンを落とした。
95七月屑根◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/11(土)20:55:07 ID:TAk [1/1回]
>>93
『ぐっ……おおッ!……』

咄嗟にかざした腕の防御は最早無意味か。
稲妻は肉を伝って脳髄に達し、衝撃が意識を奪い去る。真っ白になる視界、瞳孔がぐるりとまわって白目。
ふらりふらり、消える意識は一瞬でも、立ち続けるのは最早不可。数歩踏んで、重力に引かれるように倒れる。

「あ、やった!!やった!!
ありがとうございますっ……本当に助かりましたっ……」

感謝に浮かべた涙は作り物。だけど表情は完璧だから、疑惑は頭に浮かびにくいかも。
倒れた男は何かを言いたげに口を動かしているけれど、電撃の後遺症か音はでない。
このまま、二人で笑っていられるならハッピーエンドに違いないけど。

//不安定でもうしわけないです……
96舞姫薫流◆</b></b>CmU1XjBU/.<b>[] 投稿日:20/01/11(土)21:07:08 ID:8tR [3/5回]
>>95
「ふぅ、まあ、『紫電』の頭、この薫流様に目ぇつけられたのが運の付きだな」

倒れた男を、パーカーのポケットに両手を入れながら見下ろして、ニッと笑う
まぁストーカー相手なんて能力者でもこんなもんかと考えながら
そうして走ってきた屑根の方を向いて

「まぁかるーく終わったぜ、アタシにかかりゃこんなもんよ」

と、そう言いながら軽くハイタッチしようとするのだった

「今後もキモいのにつけられてたら言ってくれていーよ、どーせ毎日暇つぶしてるだけだしさ」

と、そう伝える
97天咲=クローネ◆</b></b>hNJQV/VwBJBT<b>[] 投稿日:20/01/11(土)21:07:15 ID:Jpq [7/9回]
>>92

「そういうもの、なんでしょうか」

世間一般での自分と同じ年頃の少女のことなどよく分からないし、彼女にとってのその指標というものが把握できない。
今の自分が他の女子とどう違うのかとかそんなことを比べる相手がいないのだから。

「珍しい…」

今度は少し慣れたのかある程度余裕を持ってキャッチする。
珍しいとはどういう意味だろうか。嫌味ではないと言っているのだから悪い意味ではないのだろうけどだとするのならどういう意味なのか。

「……遊んでる暇があったら、大切な人のためにできることをしたいので。今私がここでこうしていられるのもその人のおかげなんです」

自分を育ててくれたシスターのために。シスターは自分の行きたい通りに生きれば良いと言ってくれているけれど、それでも恩返しがしたい。
自分にとって母親であり父親なのだから、そう思うのは当然だ。
受け取ったボールを投げ返しながら語るその表情はそれを本心から言っているのだとすぐに分かるくらいに穏やかなもので。

//そう言っていただけると助かります…ありがとうございます…!
98神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/11(土)21:21:02 ID:hTR [6/8回]
>>97
「学校とか道とかで見ない?女の子が自撮りしたり、なんか遊んでるところ」

学校に通っていないなら話は別だが、視界に入る事はあるはずだと。
人は己との差異を目敏く感じてしまうものだ。顔の良さ、頭の出来、体系、趣味嗜好、そして生活習慣…。
それらが無いというのは、余程自身に自信があるか、そもそも他人に病的なまでに無関心か。少なくとも、それが彼の持論。

「へぇ─── 本当に、いい子なんだ」

それ故に、彼女の言葉は酷く新鮮に感じた。他人を憚らないのではなく、むしろ特定の人物の事を想っているからこその考え。
成る程、それならば他人と自分の違いを考える事もしないだろう。


「うん、いい事だと思うよ。大切な人のために、身を投げ打っても何かをしたい。
 僕なんて君ぐらいの頃、そういうの全然考えた事無かったからね。だから気が付いたらそういう人は───」

穏やかな表情に向ける、素孤児ばかり影の差した表情。ボールを受け取り、先と同じ要領で投げ返し、ゆっくりと口を開く。

「───脱サラしてリンゴ農家始めちゃった。まだ僕高校卒業してなかったのに」
「冗談は置いといて、その考えは佳い事だと思うよ。だから僕に言えるのは、無理しすぎないようにってだけ」
99七月屑根◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/11(土)21:34:38 ID:HIp [1/2回]
>>96
飛び上がってハイタッチ。嬉し涙と満面の笑顔。

「薫流さん、ほんっとうにありがとうございます……!」

ハイタッチからそのまま手を握って。ぎゅっと、感謝の重さだけ強く。

「私、七月って言います。配信とかやってるんで、よかったら、その、みてくれたら嬉しいです!
貴方の楽しい時間になって見せますから。」

財布から取り出したのは名刺。そこに書かれているのは本名じゃなくてハンドルネーム。
なつ姫ちゃん。というのが活動するときの名前らしい。

「また会えたら、その時は恩返しさせてくださいね。
薫流さんはもう、命の恩人ですからっ」
100舞姫薫流◆</b></b>CmU1XjBU/.<b>[] 投稿日:20/01/11(土)21:52:09 ID:8tR [4/5回]
>>99
「ふーん、配信ってゆーちゅーばーって奴?」

なつ姫ちゃんと書かれた名刺を受け取り、それを見つめながらそう答えて、また頭をポリポリと

「ま、いっか。そん時は北の廃墟地区に来てくれたら歓迎するぜ、まーアタシらの根城はそこだからさ」

なんて答えるのだった。その場所は不良チーム『紫電』の溜まり場。まぁ真面目な学生は恐れて足を踏み入れないような場所であるのだが

「んじゃ七月も困ったらまた言えよ。この紫電の頭、舞姫薫流様がなんとかしてやるからよ………まぁ喧嘩で解決するような事ならな」

そして屑根に向かってそういうと、最後の一言は少し笑いながら付け加えるのだった
101天咲=クローネ◆</b></b>hNJQV/VwBJBT<b>[sage] 投稿日:20/01/11(土)21:53:34 ID:Jpq [8/9回]
>>98

「時々は見ます……でもあれって楽しいんでしょうか?」

特に彼女の場合、その金髪と緑眼はよく目立つものだ。それが理由でクラスの輪にあまり馴染めていないことも分かっている。だがきっとそれだけが理由じゃない、自分から行こうとしないことも繋がっているのだろう。
だがそれでも、そんな中でもただ一つのことだけに心血を注げるのは中々できることではない。

「そんな、いい子だなんて…私はただ、自分にできることを、と……」

ただ本心から、シスターの助けになりたいとそうしているだけ。だから褒められるなんて烏滸がましいと言わんばかりに。
だがそれでも…時々、寂しいとそんな風に思ってしまうこともあって。

「えっ――――あいたぁ…!?」

もしかして地雷を踏んでしまったかと焦る。その後に冗談と聞こえれば安心して気が抜ける……だがそのせいでボールのことを失念してしまって、ボールは頭に直撃してしまって。

「ててて…すいません…」

そう慌てて頭を摩りながらボールを拾って。
102神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/11(土)22:05:17 ID:hTR [7/8回]
>>101
「人によるね。だから、もしやってみて楽しくないって感じたら、その時は胸を張ってやめればいいのさ。
 他の趣味でも人助けでも、こっちの方が好きって言ってやればいい」

無論彼には彼女の事情など分からない。遠巻きに見ても目立つ金髪とそれ以外で馴染めていない事は知る由が無いし、別段興味も無い。
なので返すのは、恐らくは誰にとっても聞き心地の良い物。自身の在り方の肯定。

「けど、それに熱心になりすぎるのは佳くはない。それがバカ騒ぎでも、人助けでも。
 僕たちは機械じゃないんだ、一つの事だけを脇目も降らずにやるなんて、潰れて当然さ」

けれども今の彼は、無責任に自尊心と優越感を煽るつもりは無く、続けるのは軽い調子だが諫めるもの。
勿論、初対面の人間に言うような事でも言われるような事でもあるまい。だとしても、言わずにはいられない程度には彼は甘かった。


「アララ……ゴメン、大丈夫?顔とか……」

それは置いといても、場を和ませようとするタイミングは見誤ったらしい。これには流石に反省。
邪魔になるタオルを鞄の上に投げ、颯爽と駆け寄ろうとするだろう。

「───それで、少しは気も晴れたかな?それなら僕もハッピーなんだけど」
103七月屑根◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/11(土)22:06:12 ID:HIp [2/2回]
>>100

(廃墟潜入はネタとして王道だし……思った以上に儲かったかも。
しかも紫電って、私でも知ってるグループだしね。)

「ありがとうございます、でも今度は私にさせてくださいね!」

そうして笑いあってお別れの時間。手を振って背を向けたなら、あとは去っていくだけ。
呼び止める声も無いのなら、このまま二人は別れていくのだろう。

そうして静まり返った橋の下、漸く起き上がった男が溢す。

『また……あの女に良いように使われる人が増えたのか……』

//こちらで〆でよろしいでしょうか?
104 : 舞姫薫流◆</b></b>CmU1XjBU/.<b>[] 投稿日:20/01/11(土)22:15:03 ID:8tR [5/5回]
>>103
//了解ですよー!絡みありがとうございます!お疲れ様でしたー!
105天咲=クローネ◆</b></b>hNJQV/VwBJBT<b>[] 投稿日:20/01/11(土)22:46:23 ID:Jpq [9/9回]
>>102

「…………な、なんだかすごく…納得する言葉ですね…」

それはもしかしたらただの気休めの、誰にでも通用するようなものなのかもしれない。
それでも彼女にとっては他人にこんな言葉を言われることなんてほとんどなくてそれが胸に響いた。

「そう、ですね…確かに、その通りかもしれません…」

シスターが今日自分を外に遊びに行かせた理由、それが少しだけわかったかもしれない。まさに彼の言っていることそのままで。
それをこうして初対面の人に気付かされるなんて、なんて恥ずかしい。

「だ、大丈夫ですっ…その、ありがとうございます」

だから気付かせてくれた彼へと感謝の言葉を言う。胸の中のモヤモヤが晴れてすっきりとした気持ちへと。
感謝してもしきれない…は大袈裟かもしれないが、それくらいのことに気付かせてくれたのだ。

「あっ…もうこんな時間に…」

ふと時計を見ればもうかなり話し込んでしまっていたようだ。こんなにシスター以外の人と話したのは久しぶりだ、シスターへのいい土産話になるだろうか。

「それじゃあ…私はこれで失礼させていただきますね。その、遊んでいただきありがとうございました」

深々とお辞儀をしてそう感謝を述べたのなら、彼女は踵を返してそのまま帰路に着くことだろう。

//このあたりで〆させていただきますね…!途中返信不安定になり申し訳わけありませんでした…!ロール楽しかったです、ありがとうございました!
106 : 神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/11(土)22:47:29 ID:hTR [8/8回]
>>105
//お疲れ様でした!こちらこそありがとうございましたー
107名無しさん@おーぷん[] 投稿日:20/01/13(月)23:03:48 ID:KbL [1/1回]

「ぬわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

食堂の隅でスマホを手に、突如寄生を上げる男は、酷く醜悪だった。
穴だらけの、晴れ上がった、豚の怪物の様な顔。球体に手足が生えたみたいな体型、その何処をとっても醜い。
一応、学園の制服を着ているところから、『上倉学園』の生徒であることは間違いないようだ。

「って!……あ、すんません。」

投げつけられるスプーンフォークの銀食器。
ようやく落ち着いたのか、赤べこみたいに何度も頭を揺らして下げて謝罪するが、その動きすらなんだか不気味。
学園の食堂は一般にも開放されており、周囲には制服を着ていない人間もちらほら。
そんな環境でのやらかしは、学園内で収まらないかもしれない。
108鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/14(火)00:24:47 ID:a3O [1/4回]
>>107
何度も上下する頭目がけて、くるくる回る小さな影が綺麗な弧を描いた。
まもなく頭にぶつかるだろうそれは軽いメラミン製の湯呑み、すっかり温くなった緑茶も込みで。

「も、申し訳ありません!大丈夫でしょうか!?」

その後を追ってきた女性はというと、結末の如何には目もくれずに深々と頭を下げた。
ポニーテールを揺らして上げた顔はひどくバツが悪そうで、慌てようからして悪意あっての行動では無いようであった。

「大きな声だったので驚いて放り投げてしまって……お怪我はありませんか?」

見てくれを気にした様子もなく、申し訳なさに肩を縮める彼女は、クラシカルな紺のワンピースからして在校生ではないらしく。
時折懐かしい味を求めて食堂に訪れる卒業生、鴇巣六花は伺うように首を傾げた。

//まだよろしければ…!
109◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/14(火)01:08:31 ID:zpT [1/1回]
>>108

「っべ!!あっ……つくはない。」

こーんと間抜けな音を鳴らして湯呑が落ち、ズボンにぶちまけられた緑茶はその絶妙な色から非常に情けないアレを思い出させる。
嫌悪の視線だけを向けていた周囲から、笑い声が響き始める。その殆どは嘲笑だけど。

「……あ、いや、大丈夫っす。全然。」

視線を合わせず、足元見ながら答えて。中途半端に歪んだ、笑いきれない笑顔を浮かべて。
人に慣れていないのか、或いは女性にか。元来の醜さと合わせて、生理的な嫌悪すら呼び起こしそうな対応だ。

「いやぁ、ほんと気にしてないんで。
 これぐらい、綺麗な人にぶつけられるならご褒美、って言うか。へへ。」

つづける言葉に悩んだのか、こんな言葉まで出てくる始末。

//すいません気づくのに遅れました……
//凍結前提になるかと思われますが、よければっ
110鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/14(火)09:49:56 ID:a3O [2/4回]
>>109
「本当ですか?ああ、でも制服が……!」
「少し待ってくださいね、何か拭くものを借りてきますから」

熱湯でなかったのは不幸中の幸いだが、人を濡らしてしまったのには変わりがない。
また深々と頭を下げてそそくさと離れたのは、それとなく距離を取ろうとしたかのようだったが。
少ししてタオルを手に戻ってくるものだから、そういった心証はほとんどと言っていいほど抱いていないらしく。

「どうぞ、食堂の方から貸していただきました。シミにはならないと思いますけど、ちゃんと拭いてくださいね」

ここまで世話を焼こうとするのは緑茶を引っかけてしまった罪悪感だけでなく、離れた後輩を相手にしたお節介もあるのだろう。
だからこそ呑気に、聞かなくてもいい事まで聞いてしまうのだ。

「あの、何か困った事でもありましたか?すごく大きな声でしたけど……」

//申し訳ありません、こちらが寝落ちしてました…
//次に返信できるのは夜以降になると思います!
111◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/14(火)12:50:06 ID:qYe [1/1回]
>>110

「あ、あざっす……」

受け取ったタオルで股間を拭う、酷く滑稽な光景か。
何があったと言われれば、ばつが悪そうに視線が動く。
自分と相手の足元をいったり来たりキョロキョロして。

「いや、すごい好きだった、ユーチュ……アイドルが居たんだけど……
本人は全然悪くないのになんか炎上して、活動やめちゃったから。」

声にどこか迷いがあるのは、それが端から見れば下らないと一蹴されると知っているから。
アイドルとは言ったが実際は登録者数3桁の新人youtuberとなれば、更に下らない。
それでも、素朴な笑顔と朗らかな声が、生き甲斐になっていた事は確かだったから。

「いやほんと、全然大丈夫っすから。」

渾身の口説きもすっかり滑って意気消沈。なんだか目の前にいるのが恥ずかしくなっちゃって。
視線を落としたまま、ゆっくりと背を向けようと。

//了解です、こちらは夜以降だと23時以降に返信になるかと思われます……
//かなり時間が空いてしまいますので、平行していただいても切っていただいても大丈夫です
112鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/14(火)21:36:27 ID:a3O [3/4回]
>>111
職業柄人の粗相をフォローするのは慣れたものだから、緋色の瞳に蔑視の色が含まれることはない。
そういった心持ちだから、口説き文句にあえて気を回さないのも残酷ながら自然だった。

「あら……私はアイドルには詳しくはないですけど、それは残念ですね……」

入れ込んでいた何かを失ってしまった経験に乏しいせいか、目を伏せる仕草は悲観的ではないが同情的。
躊躇いがちな口調を、それだけ心を痛めてしまっているとでも思っているのだろうか。
食堂に響き渡る大声を上げる程にショックだったのだ、背を向けようとする動きも気落ちしているそれにしか見えないものだから。

「ええと……でも引退って事は、その方は今もどこかで元気にしてるって事ですよね」
「ご本人が問題を起こしたのでなければ、そういう普通の生活を応援してはいかがでしょう?」

なんだか空回っているような、けれど彼女なりに精一杯の慰めのつもりの言葉がその後を追う。
遅れて椅子の周りをぐるっと回ってまた向かい合い、中腰になって顔を覗き込んだ。

「それにそのアイドルさんも、貴方を悲しませるために引退した訳ではないと思うんです。だから元気を出してください、ね?」

//お待たせしました、お返ししておきます!
113◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/14(火)22:36:27 ID:xrU [1/1回]
>>112

「そう、できれば……どれだけ……」

再度向かい合って、顔を覗いても。彼の目は彼女を映さない。
真っ暗な絶望だけが瞳を埋めて。虚ろな台詞が宙に舞う。

「自分から引退したなら……そう言えるけど……」

その瞳の闇に、新しい色が指す。赤色。憤怒と灼熱の色。

「あの女が居なければっ!!
あいつが全部あの子に押し付けなきゃずっと楽しく配信できたんだ!!」

また怒鳴るように叫びだす。情緒が酷く不安定。

「あいつがファンの悪口を言ったせいで炎上したのにそれをあの子も一緒に行ったことにして責任を擦り付けやがった
あの子は人が良いから抗議しないのを良いことにどんどん話を盛って自分だけ謝りやがっておかげであの子だけが悪いみたいになって全部あいつのあいつのせいじゃねぇか全部全部あいつさえいなければ───」

ぶつぶつ、ぶつぶつ、迸る呪詛。早口。
辛うじて聞き取れるかもしれない速度ではあるが、そのすべてを拾おうとするなら正気の沙汰ではないだろう。
その目にはただ怒りだけ、彼女はまだ映らない。

//ごめんなさい、急用で深夜までレスができなくなってしまい、本格的な返信は明日になるかと思います……
//ご都合悪ければ切ってくださって大丈夫です。申し訳ございません……
114鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/14(火)23:39:20 ID:a3O [4/4回]
>>113
目と目を合わせようとしても、そこに自分が映っていないのはすぐに分かった。
言葉で駄目なら時間に解決を任せるべきか。そこまで考えたところで、突然の大声に肩を竦めることになる。

「っ……気に障ったのなら、申し訳ありません」
「……あの、大丈夫でしょうか?具合が悪いなら保健室に……」

息を呑んで、けれど怖気づく事はなかった。
大音量を厭い咄嗟に顔を遠ざけて、殊更に気遣わしそうに見ていたが。
凡そ人に聞かせる喋り方ではない呟きを聞き取ろうとして、諦めて。
徐に響いた打撃音が、食堂全体を揺らして注目を集めた。

「――言いたい事があるのなら、はっきりと言いなさい」

テーブルに掌を叩き下ろした音だった。刹那の静寂を涼やかな声が遮る。
見下ろす表情は先程までとそう変わっていないように見えるが、纏う雰囲気が違っていた。
冷徹な印象の顔つきを和らげる陽気が失せ、ただただ峻厳に言い放つ。

「そうやって一人で腐って、それで何が変わりますか?納得がいかないのなら、間違っていると思うなら声を上げなさい」
「それでも駄目なら味方を増やせばいいでしょう。おかしいと思っているのは、何も貴方だけではないんじゃないですか?」

苛立ちや侮蔑のない、一直線な諫言。顔にかかった横髪が煩わしくなって耳にかける。
それでも彼が相手を見ようとしないのなら、最早手立てはなく。ゆるりと身体を起こしてため息を吐くしかないだろうが。

//了解しました、こちらはスローペースでも大丈夫ですのでお気になさらず!
115名無しさん@おーぷん[] 投稿日:20/01/15(水)16:39:37 ID:0sA [1/2回]
センスねぇな
116 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:20/01/15(水)16:39:51 ID:0sA [2/2回]
人としての浅さが見て取れる
117■</b>忍【LV2,ごくらくちょう,KS】[sage] 投稿日:20/01/15(水)16:53:43 ID:XP8 [1/2回]
>>114

「ひっ」

まるで本当に人が変わったみたい。
柔和さも陽気さも衝撃とともに消え失せて、変わらない筈の視線が突き刺さる。

「……や、やってみたさ。
 明らかにおかしいのはあいつなんだ、謝れって言ったよ。
 でも、あいつより、あの子のファンの方が少ないんだ。それだけで勝てないんだよ……」

搾り出すかのような、悲痛な声だった。顔はまっすぐ彼女に向くわけじゃないが、視線だけはそちらに向いた。
ようやく、瞳に彼女が映る。冷静さを取り戻した、と言うよりは正気に返ったと言う方が正しいかもしれない。

//ありがとうございます、お返ししますっ
118 : ◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[sage] 投稿日:20/01/15(水)16:53:58 ID:XP8 [2/2回]
//名前!!
119 : 神崎 創 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/15(水)17:43:02 ID:YjC [1/1回]
!aku115
★アク禁:>>115
120鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/15(水)19:51:34 ID:d6Z [1/3回]
>>117
「本当におかしいのであれば、手を貸してくれるのはファンの方だけではないはずです」
「それになにより――そう不貞腐れて背中を丸めているのは、みっともありません。諦めるのかそうでないのか、はっきりさせてください」

それが一番に我慢ならなかった点なのだろう。ようやく合わせた視線を離さず、きっぱりと言いきった。
挫けず足掻き続けるか、見切りをつけて終わりを覚悟するか。そのどちらも間違いではなく、否定する気は更々ないが。
どっちつかずのまま下を向いているのだけは、どうにも許容できなかった。
しばらくの沈黙。ややあって、テーブルについていた手を離して身体を起こした。

「…………申し訳ありません。詳しい事情も知らず、好きに言ってしまいました」

苦手だと分かるぎこちなく作った笑みを起点として、戻りつつある悠長な調子。集まっていた周囲の視線のいくつかが興味を失って離れる。
テーブルを叩いた事実をなかった事にするかのように、白い指を組んで膨らみの小さな胸元に添えた。

「ですが一人で抱え込むのは、本当によくありませんから。ちゃんと誰かを頼ってくださいね」

//お待たせしてすみません、ここから安定してお返しできると思います!
121◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/15(水)20:09:21 ID:wsf [1/2回]
>>120

「……諦めたくは……いや、諦めないよ。」

決意、と言うには弱々しい。ある意味、諦めと言えるのかもしれない。
そう言わなければいけないからそう言った、ような。
でも諦めたくない事だって本音。

「俺の方こそ……ごめんなさい。勝手に、ずっと、喋って。」

素直に頭を下げて、一段落はついたよ
う。
人を頼ってくれと言われれば、顔は少し歪むけど。下げた頭のお陰で見えないか。

「……うん。あんたみたいな人が居たら、考えるよ。」

返す言葉は、どこか皮肉めいて。
122鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/15(水)20:28:36 ID:d6Z [2/3回]
>>121
「ふふっ、それじゃあお互い様ですね」

温和に笑って、陰になった表情の苦々しい変化には気がつかない。
一先ず落ち着いたと見てほっと一息、棘のある言葉にもその真意を察しているのかどうか。

「私みたいな人なんて、きっと珍しくもありませんよ。それでも困ったら、そうですね……」
「その時は、どうぞお店にいらしてください。きっとお話を聞くくらいはできますから」

営業も兼ねているようだが、ここで会ったのも何かの縁。
どうせ事情を聞くのならこんな人の目のある場所よりも、落ち着いた空間で珈琲でも飲みながらの方がずっといい。

「そういえばお食事の途中でしたよね、お邪魔してすみません。学校、頑張ってください」

実を言うと、食べかけの膳を放置してしまっているのは彼女も同じ。
小さく頭を下げて、それ以上何もないようであれば。最後に一度だけ振り返って、自分の席へと戻るのだろう。
123◆</b></b>5DTHD/sJm304<b>[] 投稿日:20/01/15(水)20:50:31 ID:wsf [2/2回]
>>122

「……俺は、始めてみたよ。」

顔をあげて、向ける笑顔は酷く冷めているような。
きっと、この出会いは良い出会いには違いない。彼は自分を省みる事が出来たのなら。
だとしても、へばり付いた人間不審はほどけない。

「……ありがとな。」

自分の席に戻る背に、かける言葉はそれだけ。
冷めきったカレーに乗ったスプーンを握る力は強い。

「頑張りは、するけどさぁ。」

あんな風になれたら良いなと思う。
世界は前向きで、自分に優しくて、なんて。
今はまだ、彼女の言葉の全部を信じることはできなくて。

//こちらで〆でしょうか?
//ありがとうございますー
124 : 鴇巣六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/15(水)20:57:07 ID:d6Z [3/3回]
>>123
//そうですね、お疲れ様でした!
125光風院 正雪 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/16(木)22:09:48 ID:6Zs [1/3回]
文明の利器と言えど、エネルギーが尽きれば金づちにも劣る無用の代物と化す。
バッテリーの切れ、完全に沈黙した敬愛電話を懐に戻し、その男は静かに溜息を漏らした。

時刻は正午に差し掛かろうという頃。やむにやまれぬ事情でこんな時間になってしまった。
土地勘も無く、頼れる相手も近くにいない。こういう時結局役に立つのは人と人との温かみのある触れ合いのみ。
意を決し、男は側を通りかかった布陣に声を掛ける。 あからさまに逃げられる。
パンクしみた若者に声を掛ける。外見に似合わずそそくさと退散される。
散々な結果に男は何度目かの溜息を漏らし、次なるターゲットを見定める。


「───申し訳ない、」

ヌッと声を掛けるのは、成る程厳めしい雰囲気の男だった。
180cmは超えるだろうか、逞しい体は背広越しでも分かるガッシリとした筋肉を持ち、大きな手は工業用機械のよう。
何より特徴なのはその目だ。眉間に寄ったシワ、黒目の小さな切れ長の瞼。抜き身の刀を思わせる鋭い眼光。
一見しただけではカタギの人間とは思い難い雰囲気の人物が、唐突に声を掛けてくるというこの状況。果たして相手の反応やいかに。
126◆</b></b>nFkJ5c4Fbk<b>[sage] 投稿日:20/01/16(木)22:15:40 ID:klH [1/4回]
>>125
「は、はい!」
思わずビクッとするのは、3人組の紅一点の弓美。
しかし、相手を見た目で判断してはいけないな、と思って深呼吸。
そして落ち着いて

「何かご用でしょうか……?」

と、相手の目を見て質問をする
127 : 少年少女◆</b></b>fnkquv7jY2<b>[sage] 投稿日:20/01/16(木)22:16:18 ID:klH [2/4回]
>>125
間違えました……
128光風院 正雪 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/16(木)22:26:54 ID:6Zs [2/3回]
>>126
能面じみた無表情は崩れず、しかし胸の内では仄かな安堵。
物言わぬ眼光は鋭く視線をカチ合わせたまま、空いた手はゆっくりと懐へ潜り込み──
真一文字に結んだ口はゆっくりと開き、いかにも厳しそうな声音が問いかける。

「……不躾な事だが、警察署までの道を教えていただきたい」

単純に道に迷ってしまったらしい。表情一つ変えず淡々と言う様は、豪胆なのか鈍感なのか。
二の句を続けようとして、一瞬止まる動き。微かな逡巡の末取り出したのは、警察手帳。

「地図を改めようともしたが、その前に携帯電話の充電が切れてしまった。
 勿論、何か事情があるのなら無理は言わない。思っていたより、世間の皆は忙しいものらしい」

どうやら、ありがちな断り文句を真に受けているらしい。
言っている事、雰囲気はともかく、その手帳に偽装の気配は微塵もない、正真正銘の本物。
129少年少女◆</b></b>fnkquv7jY2<b>[sage] 投稿日:20/01/16(木)22:45:14 ID:klH [3/4回]
>>128
「いえ、僕達はもう暇なので」
少年少女の小さい方、蓮がそう答える。
各々のバッグを持っており、学校からの帰りなのだろう。

「警察署、ですか。では、こちらです」

弓美がメガネをあげると、警察署の方へ指をさして歩き出していく。
ついていって案内するのだろう
130光風院 正雪 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/16(木)22:50:15 ID:6Zs [3/3回]
>>129
「申し訳ない」

返す言葉は短く、それでいて堂々と。
伸びた背筋は武人めいて凛として、少年少女の跡をついていく様はどの様に写ったものか。
その事自体はさほど気にせず、男はノシノシと案内に従うだろう。

「……学生かね」

途中、おもむろに問いかける。 沈黙に耐えきれなかったというよりは、マニュアルに従っているかのよう。
世間話は人との距離を縮めるのに最適と聞いた事がある。それに従っているのだ。
尤も、相も変らぬ仏頂面では、まるで職務質問か尋問めいているが。

「……何か、目指しているものでも?」

気付いているのか気付いていないのか、尚も問いかける。流石にこの段階まで来れば、少し踏み込み過ぎたか?と口を噤んだが。
131少年少女◆</b></b>fnkquv7jY2<b>[sage] 投稿日:20/01/16(木)23:38:04 ID:klH [4/4回]
>>130
「困った時はお互い様ですから」
体格の大きい徹が返答をして。

「ええ、そうですよ。この地区の大学に通ってまして……」
そんな相手の雰囲気でも気にせずにトークをする。
3人で行動しているためか、対話の適応力は高い様だ

「僕は一応、科学者を目指していますよ。遠い道のりですが」
「私はそうですね……家庭科の先生、ですかね」
「建築業に携わりたいと思ってるぜ」

蓮は科学者、弓美は家庭科の先生、徹は建築関係の仕事と三者三様の夢を語る
132光風院 正雪 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/17(金)00:02:13 ID:3Gy [1/1回]
>>131
「なるほど」

元々この男、自分が会話が上手い方だとは思っていない。
それでも意に介さず話が続くという事は、三人の息が合って上手く回してくれているという事。
簡潔な返答には、それでも若干の感謝の念。

「そうか。 ───いい事だ、精進するといい」

夢、眩い言葉。数舜目を閉じ、頭の中で反芻するかのように。
開いた眼の輝きはやはり変わらぬが、言葉からは幾許か硬い雰囲気は取れていたのであった。


「……ここのようだな。改めて、礼を言う」

やがて辿り着くのは、新興都市の地区に相応しい小奇麗な建物。
目的地だ。足早に署内へ向かう直前、三人に頭を下げる事だろう。

「『特殊能力犯罪対策課』の光風院だ。異能力絡みで何か事件があれば、伝えてほしい。それでは」

自身の所属、名前を明かすのは、助けてもらった身としては当然のものという考え。若干早口なのは大遅刻なので。
ともあれ、固い雰囲気の一礼を再度返すと、男は大股に署内へ向かうのであった。


//それでは時間もいい具合なのでこの辺りで〆という事で… お疲れ様でした!
133 : 少年少女◆</b></b>fnkquv7jY2<b>[sage] 投稿日:20/01/17(金)01:01:07 ID:5Uz [1/1回]
>>132
「ありがとうございます!」
笑顔でお礼して

「自己紹介がまだでしたね……私は諸井弓美で……こちらのメガネをかけた人が桐沢蓮、大きい方が江波徹です。ええ、その時は頼らせていただきますね!」

3人はお辞儀して彼を見送る。
そして、見送った後はこの後どこにいくかなどを離していくのであった

//ありがとうございました!
134十七夜月 志貴◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/17(金)21:44:31 ID:hqa [1/1回]
数時間前、半グレ達の間でちょっとした小競り合いがあった。
口論から際限なく発展し続けてどちらともなく手が出てしまえば、辿り着く先は血で血を洗う抗争に他ならない。
命を奪い合う怒号と騒音がようやく止んで、生き残りも既に千々に逃れた後。路地裏も奥の奥、現場となった半壊の廃ビル前で。

「生き残りいんのかなぁ……いないといいなぁ……」

スウェットのフードをかぶって俯きがちにぶつくさとひとりごちている、いかにも怪しい人物がいた。
丸まった背中を罅の入った壁に預けて、時折混じるため息が鉄の匂いに浮かぶ。
やがて意を決して動き出す。鮮血に似た赤毛が無精そうにちらついた。

「誰かいるっすかー?お邪魔するっすよー」

開いた状態でひしゃげた扉の向こうを覗き込んで、声をかけている姿は大分不審。
先程まで離れていても分かる大騒ぎだった場所に踏み込もうとしているのだから、断じてまともな人間の動きとは言えなかった。
135光風院 正雪 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/18(土)21:31:34 ID:wPL [1/3回]
>>134
現場入りして最初に感じるのは、果たしてどんな気配だろうか。暴力、混沌、狂騒の残滓か。
ならば、横入りするかのようにして風に紛れる危険な気配は、やはり感じられるものなのだろうか。

「───誰だ」

覗き込むぞの背に投げかけられる、厳しい声音。まるで説教をこれからしようとするかのような。
振り返れば、少し離れた位置に声の主はいる。カッチリとしたスーツに身を包んだ偉丈夫が、鋭い目で睨みつけている。
あまりにも簡素な問いかけからも分かるだろうが、その雰囲気は偶然迷い込んだ一般人とは到底思えない。


「……通報を受けて来た、そこは立ち入り禁止だ」

懐から取り出して見せるのは警察手帳。国家権力の証明。
今はまだ敵意こそ無いが、刀の様に鋭い目は訝しむ気持ちを隠しもせずに投げつける。
一秒ごとに強まっていく警戒、この状況を切り抜ける手段はあるのだろうか。


//まだよろしければ…
136 : 十七夜月 志貴◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/18(土)22:19:36 ID:LCk [1/2回]
>>135
「誰もいないっすね?失礼しま――あっばぁっ!?」

直後、割れたガラスの破片に響いたのはひどく情けない悲鳴だった。
飛び上がりそうな勢いで肩を縮め、泡を食って振り返ろうとしたところでもつれる足。
最終的に鉄製の扉に頭を思いっきりぶつけて、ごちんと痛ましい音が路地に反響した。

「いっ……、……!!」
「な、なんすか急に……驚かさないでほしいんっすけど……げ」

頭を手で抑えて声にならない声で悶えることしばらく、鈍痛が落ち着きを見せてようやく顔を上げる。
その視線の先にある警察の証を認めて、痛みに歪む眉間に殊更皺が寄ったようだった。

「や、自分、関係者じゃないっす……ちょいと仕事で探し物を……」

じりじりと建物の内部へと後退るのは疚しい事があるから、ではなく単にこの距離感が苦手だから。
目を伏せて、おどおどとした口調は隠し事をしていると言うよりは、見た目に気圧されているだけのそれに近い。
紛う事なきただの人見知りの仕草であるのだが、状況が状況であるから不審であるのもまた間違いなく。

「別に、邪魔するつもりとかはないんで……見逃してもらえねえっすかね」

//大丈夫です、よろしくお願いします!
137光風院 正雪 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/18(土)22:44:53 ID:wPL [2/3回]
>>138
そこまで驚かなくても。自分基準で物を考えてしまう節のある男は、その様子を静かに見つめる。
痛ましい音にも眉を動かす事は無く、しかし視線にチラホラ混ざり始めるのは憐憫か。

「……ここは、直に現場検証が行われる。一般の方の立ち入りは遠慮願いたい」

面白みの欠片も無い、淡々とした応対。真面目な警察なのだから当然と言えよう。
半歩引いて腕で示すのは、ここに至る路地の道。とっとと帰れという無言のサイン。

「連絡してくれれば、問題無しと判断されたものについては確認ぐらいは出来ると思う」

本人なりの譲歩の姿勢か、単純に真に受けているのかそんな事を言いながら。
───時折後ろを確認するその所作は、ともすれば隙だらけともとれるもの。
実際油断しているのだ。それは単なるお人好しなだけでなく、変に抵抗されても問題が無いと見ているからに過ぎない。
138十七夜月 志貴◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/18(土)23:14:26 ID:LCk [2/2回]
>>137
「いや、だから……問題あるからわざわざ取りに来てるんっすけど……」

だんだんと小さくなる声の後半を聞き取るのは難しい。どうしたものかと頭を掻き、真新しいたんこぶに爪が触れて顔を顰める。
忙しない視線が床を撫で、合間を縫って男の方へちらちらと見やるが一向に動く気配はない。
埃臭い膠着状態。やがて耐えかねたか、ため息混じりに口を開いた。

「……ここで何があったか、教えるのと引き換えとか……どうっすか」
「一応自分、サツよりはこういう事情に詳しいと思うんっすけど……多分……」

拙い交渉。提案に時間をかけたのは自分の不利を妥協したからではなく、極力人との会話を減らしたかったからでしかない。
見るからに渋々なのは誰かに何かを説明する事が彼にとっての苦痛故、実情を伝えてしまう事自体に忌避感はない。
できる事なら今すぐにでも振り切ってしまいたいところだが、そう単純に事が進まないだろうくらいは分かる。
とはいえ、それでも見逃してもらえないようであれば。それ以上の抵抗を諦めて脱兎の如く建物の奥へと走り出してしまうだろうが。
139光風院 正雪 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/18(土)23:34:27 ID:wPL [3/3回]
>>138
「なら、尚更君を入れる訳にはいかない」

彼としては至極当然な、断固たる拒否。証拠隠滅の恐れがあるのに誰がそんな事を許すだろう。
どうやら、意思は堅そうだ。あまり気は乗らないが、首に縄をかけてでも追い出す必要があるか。


「───ほう?」

ここに来て初めて、男の表情は変わった。とはいっても、本当に些細なものだが。
情報提供者は確かにありがたい。異能力を使った犯罪も珍しくない都市なのだ、証拠を固める一つのものとなる。
だが、だからといって通していいものなのか?嘘をつく可能性は?この男の言う探し物が重要な物である可能性は?

「……いいだろう。 だが、その探し物の内容にもよる」
「君がその出来事に関わっていて、何か重要な証拠を隠そうとしている可能性もある。
 だから、おれにもそれを見せてほしい。問題ないと判断したら、この場は見逃そう。どうだ」

実際は数分にも満たぬ間だが、まるで丸一日考え込んだかのような重い沈黙。
彼なりに最大限譲歩して了承したらしく、厳めしく首を縦に振るのであった。
刑事としての直感、観察眼を基に賭けた、大きな賭け。これで拒否されるならそれまでだ。

「鑑識や他の人の目を通すでもなく、おれを納得させればいいだけだ」
140十七夜月 志貴◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/19(日)00:19:41 ID:5ap [1/5回]
>>139
あまりにも重たくのしかかる沈黙に、恥も外聞もなく背中を見せて逃げてしまおうかと実行に移す寸前だった。
一歩下がりかけた足が止まる。胸を撫で下ろす様は安堵しているようでも、嫌がっているようでもあった。
何せ誰かと長時間話すのは極めて苦手。それ以上に目的の物について正直に喋ったとして、納得させられる気が全くもってしない。

「……んじゃ、そういう事で。納得してもらえなかったら……そん時はそん時っすね」

しかしここまで来たら最早捨て鉢、くるりと踵を返して無言で猫背が同行を促す。
廃ビルに入れば、まず鼻腔を刺激するのは強烈な血の臭い。廊下の奥に進むにつれて壁や床を汚す、臭いの源である赤い粘液が目に入るようになる。
更には血の主であろう、点々と転がる物言わぬ肉塊。そのどれもが風貌からして、アウトローと一目で分かるものだった。

「ぶっちゃけて言えば、ただの半グレ集団の揉め事なんすよ。結構派手にやったみてえだけど……まあ、よくある話っす」

口を動かしながら、臆面もせず死体一つ一つの顔を確認していく。その死に様は多様であったが、凄絶な暴力によるものであるのは間違いない。
普通は亡骸に触れるのも尻込みするだろうが、躊躇のない手つきからして、まるでこういった行為が日常茶飯事のようだった。
どうやら目当ては見つからないらしい。死体を検分しつつ辿り着くのは、血の道が導く最奥の部屋。

「で、その理由が『違法デバイス』って噂。大方、利権絡みで揉めたんじゃないんっすかね」
「こういう連中がデバイス持ってんの、見た事ないっすか?どう見ても研究者じゃなさそうなのにっすよ」

開けっ放しのドアの向こうは、廊下の比ではない赤で覆われていた。
余程熾烈な争いがあったのだろう。あちこちが損壊した男達の死体が、そこかしこに転がって虚ろに宙を眺めている。
その光景にしても尚、彼は「派手にやったっすねぇ」と呟いただけで。また顔を一人ずつ確かめ、目標を探し始めた。
141光風院 正雪 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/19(日)01:13:14 ID:NC6 [1/4回]
>>140
「悪いようにはしない」

真顔での言葉は冗談なのか、本気のものなのか。多分後者。
猫背とは対照的に、背を伸ばしてキリキリ歩く様はどう映るか。

室内に入って最初に出迎えるのは、濃密な血の臭い、死の臭いだった。
視界の端に移る肉塊は、人“だった”モノか。眉間にシワを寄せて、男は一瞥する。
ベタベタと亡骸に障るのは現場保持の点から止めようとも思ったが、やめた。話が拗れそうだ。


「らしいな。ここに配属される前に、似たような事を言われた」

死体の中でも平然としたように見えるのは、偏に男の精神力にある。
見るも無惨な様相に、何かを想わぬはずがない。だが、それを殺して解決に臨む事こそが己が役目だと分かっているのだ。

「───いや、見た事は無い」
「違法デバイス……。この街では不良たちが能力を持っている事は、別段珍しくないと聴くが、な」

それが人為的に手に入るものなら話は別だ。こんなもの、自動小銃や危険なドラッグが出回るのと変わりはない。場合によってはそれ以上だ。
異能犯罪の撲滅を志す彼からすれば、何とも腹立たしく心苦しい事だ。

「───君が探しているのは、その違法デバイスかね」

熾烈な争いの痕跡の中、男は腕を組んでおもむろに問いかける。
その声は変わらず厳しい重さを持っているが、責めているというよりは判断に困っているようだ。
目の前の人物が、危険な品を求めて死肉を漁るような存在なのか、何か別の目的の為に動く正義を成す者なのか、それ以外なのか。


//申し訳ありません、凍結お願いしてもよろしいでしょうか…
//返信遅れてしまいすみません
142十七夜月 志貴◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/19(日)01:56:52 ID:5ap [2/5回]
>>141
「え、ないんすか?……余計な事言ったかなぁ……異能力なら、誰が持っててもいいんすけど」
「絡んできた奴が実は電能力でしたってオチも多いっすよ……多分、まだ裏でしか出回ってないんじゃないっすかね」

意外そうに顔を上げる。てっきり一度は目にした事があると思っていたのだ。
驚愕はすぐに少しのしかめ面に変わり、また目当てを探す作業に戻るのだが。
血溜まりを踏みにじって、うつ伏せに倒れているパンチパーマの男の頭を持ち上げる。
探していた人物だったのだろう、動きを止めてその場に屈む様はまるで質問を聞いていないフリのようで。

「お、見つけた……どこにあるっつってたかな……」
「……えーと、まあ、そうっす、ハイ」

結局重圧に耐えられるはずもなく、もごもごと肯定の言葉を吐き出すのだが。
決して善行でないのは理解している。さりとてそこに罪悪感が働くかと問われればそれもまた否。
冷たい肉を包むジャージの袖を捲る。脈のない手首に埋め込まれていたのは、時計を模した無機質な金属。

「言っときますけど、俺は売人とかじゃないっすから……信じてもらえるとは思ってねえっすけど」
「デバイスの回収を頼まれた、ただの便利屋なんで……なんなら依頼人の事も知らないっす。金払いがいい事くらいしか」

悪びれもせず、けれど言いたくはなさそうに。何せ、警察に言えるような生業ではない。
顔を上げて反応を伺う。やはり目だけは合わせようとはしないが、判断を待っているのは確かなようで。
とん、と手刀を軽く手首に当てる。デバイスを腕ごと奪おうという腹づもりを示しているのは明白だった。

//了解しました、こちらこそ遅くなりがちですみません…!
//明日は午後からであれば安定してお返しできると思います!
143光風院 正雪 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/19(日)14:16:45 ID:NC6 [2/4回]
>>142
「ここ最近、そういった通報は何件か相次いでいるが、違法デバイスとはな」
「信じよう。売人ならば、商品の事は知っているはずだ」

物騒な事件があってもおかしくはないが、それが人為的に引き起こされているとなるとまた話は変わってくる。
背後に蠢くのは単なる欲望か、それとも───

「……そうか」

彼の言葉は、話し方はともかく嘘を言っているようには思えない。
末端を締め上げたところで、得られる情報というものはさほど多くない。彼の言い分が正しければ、何らかの組織の構成員という訳でもないのだろう。ならば尚更。
巨岩がのしかかるが如き思い沈黙。やがて深く息を吐けば、男はゆっくりと目を開いた。


「───いいだろう。この場での事は見逃すと誓おう。
 原因不明の何らかの抗争が起こった。遺体の損害は著しく、凶器の判別は詳しい調査が必要、そう伝えておく」

熟考の末選んだのは、この場は泳がせておくというもの。
オドオドとしたような態度だが、死肉と血の海の中に於いても動揺を見せない男だ、彼が思いもよらない抵抗をしてくる可能性は高い。
そもそも、彼が何らかの有益な情報を持つとも限らないのだ。 あのデバイスを調べれば何かが分かるかもしれないが、分からないかもしれない。
様々な考慮、直感に従い、置物めいた硬い雰囲気のままだが、男は道を譲る事を決めた。

「……名前」

立ち位置を変え、背にしていた部屋の出入り口から離れて腕を組む。
その最中、思い出したように男は問いかけた。唐突に。

「念のため、名前を聞いておく。 名前だけでいい」

別段これ自体に深い意味は無い。もしもまた何かあった時の為、個人的に覚えておいた方がいいと考えたからだ。

//凍結ありがとうございます!お待たせしました…!
144十七夜月 志貴◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/19(日)15:46:48 ID:5ap [3/5回]
>>143
人と話すのは苦手だが、沈黙も好きではない。暗澹とした空気であれば尚更の事。
自分から何か話した方がいいのか、そうだとしても話題なんて見つからない。しんどい。帰りたい。
ぐるぐる回る極めて後ろ向きな思考は、決断の言葉を認識するのに幾許かの時間を要した。

「へっ……いいんすか、マジで?」
「……じゃ、まあ、遠慮なく……後から寄越せとか言わないっすよね……」

穏便に済むとは思っていなかったのだろう、呆けた声で聞き返す。
とはいえ僥倖なのもまた事実、善は急げとばかりに手首へと手刀を落とす。
肌と肌が触れ合う刹那に、薄く硬い刃の如く変質する皮膚。手首を切り落とす瞬間の変化は、ごとりと肉塊が落ちる頃にはもう見受けられず。

「ふぃー、いっちょ上がり――ぉあ、うぇっ……え、なに、名前っすか……!?」
「……ここで名乗ったら、サツにマークされたりとか……」

話し疲れと不慮の事態への気苦労が解けて大きく息を吐いたのも束の間、唐突に声をかけられてびくりと震える。
拾い上げた手首を取り落としそうになってお手玉状態になっている様は、持っているのが人体の一部でなければまだ微笑ましかったのかもしれないが。
どうにか両手でしっかと捕まえて、胡乱げな視線を向ける。名を改める意図が読めず、何度か口を開きかけては閉じた。

「…………シキで通してるっす……偽名じゃないっすよ」
「人に言えないような仕事でも、大体なんでもやるんで……なんかあれば、声かけてもらっても……や、なんでもないっす」

名乗らなければ解放されないような気がして、いかにも不本意そうにもごもごと呟く。
せめてものと営業に繋げようとしたが、よくよく考えてなくても警察相手にしていい商売ではないから、最後の方は尻すぼみ。
動線の空いた出入口へとじりじりと近寄りながら、手の平返しへの警戒は解かないまま。

「ま、その……なんか、借り作ったみたいになってるし……一応、お兄さんの名前も聞いていいっすか……?」

//遅くなってすみません、お返ししておきます!
145光風院 正雪 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/19(日)16:00:21 ID:NC6 [3/4回]
>>144
対する彼の方は、まるで沈黙こそを好むかのように寡黙。無表情。
無言の気配は『二度も言わせるな』と語る。本心からこれが最善手だとは思っていない、叶うなら彼もひっ捕らえたいが、それは出来ぬ。
吐いた唾を戻す事は出来ずとも、それで何かを得られるのならまあ及第点という事にしておこう。
───例えば、目の前の男の能力、その一端など。

「個人的な興味だ。何かあれば君を訪ねるかもしれないが、警察が君を認識する事は今のところない」

絵面的にも動きも危なっかしい様子。鋭い目がほんの少し緩むのは、この異常な状況にも慣れてきてしまったからか。
胡乱そうな物を見るような目には、やはり元の厳しい視線で返すが。
シキ。あだ名か名前の一部か。この場で得られたただ一つの情報だ、偽名ではないというのなら、それを信じるしかない。
ジッと一挙手一投足を睨め付ける様子は、まるで寺の門の像のよう。彼が現場から完全に離れたのを確認してから、改めて応援を呼ぼうと。


「……光風院正雪だ。 おれと君はここで会わなかったし、お互い何をやっているかも知らない。
 おれが現場に到着した際にはもう遺体は損壊していたし、君は誰にも見つかる事無く仕事を終えた。……それでいいな」

名乗れと言われれば、それも当然とばかりに真っ直ぐ返す。人と会話する時のマナーをこんな状況でも意識せねばならないと思ってはいなかったが。
不本意そうな気分を隠そうともしないが、一度通すと言った以上それを違えるつもりは本当に無いらしい。現場から離れるのは、スムーズに済むだろう。
146十七夜月 志貴◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/19(日)16:41:54 ID:5ap [4/5回]
>>145
「そっすか……目ぇつけないでもらえんならありがたいっすけど」

根っから信用していないのは見て取れるし、それを隠そうとすらしていないのは、立場の違いからして致し方ない。
常にへそを向けて注意を逸らさず、すり足で廊下を目指す様子は、眠る猫の前を横切る野鼠さながら。
見るからにビビり倒している原因が仁王の如き威圧なのは、非常に情けない事だが突然であると言えた。

「……分かってるっすよ。自分だって信用がないと、この世界じゃやってけないんすから……」
「いつも通り、一人楽しく仕事を済ませたって事で……それじゃっ!」

短いやり取りの間でも、ここで偽名を名乗るような人物ではないと分かっていたとはしてとも。まさか正直にフルネームを口にするとは思わず束の間の閉口。
自分に不利がある訳ではないと思い直し、無精そうに頷く。そうこうしている間に部屋と廊下の境界を跨ぐ足。
その瞬間、雑な別れの言葉と同時に踵を返して鉄臭い通路を強く蹴る。恥をかなぐり捨てた、見事なまでの遁走である。
途中、どこかの部屋に逃げ込んで、ガラスが割れる音。一つしかない廃ビルの出入口より、窓からの脱出を選んだようだった。
とかく、建物に残るのは生者が一人。応援が到着するまで、また新たな闖入者が現れる事はないだろう。


「――つっかれた……あんなに人と話したの、いつ以来だよ……」
「つうかなんだよあの人、めっちゃ怖え……!よく穏便に済んだよなぁマジで……」

しばらく後、無事逃げおおせた薄暗い路地の奥。今更ながら長時間人と対話した事実に打ち震えている彼にとって。
誰かと話す事は、物言わぬ手首を持ち歩くよりもずっと堪える行為なのだった。

//この辺りで〆でしょうかっ
//遅レス気味で申し訳なかったです、お疲れ様でした!
147 : 光風院 正雪 ◆</b></b>Pout5wLZWE<b>[] 投稿日:20/01/19(日)16:44:47 ID:NC6 [4/4回]
>>146
//こちらこそ返信遅れてしまい申し訳ありませんでした…
//お疲れ様でした!ロールありがとうございました!
148咲野結月花◆</b></b>gfujYEG3CJ5B<b>[sage] 投稿日:20/01/19(日)20:32:55 ID:RCG [1/1回]
街中を異様な速さで駆ける男とそれを追う少女がいた。男は女性物の鞄を持ち、一目でひったくりだと分かるだろう。
そしてその異様な速さから、身体強化系の異能を持っているのは明白。

「っ……」

それを追う少女も異能力者ではあるが、それを使う様子はない。
街中で突発的に起きた窃盗。周囲には当たり前に人がいて、どのような形で使うにせよ少女の異能は周囲に被害を出しかねないもので。
徐々に遠ざかっていく男の背に対し、少女はその表情を悔しさに染めることしかできなかった。
149鴇巣 六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/19(日)22:17:53 ID:5ap [5/5回]
>>148
走る男の目の前を、淡い桃色の何かが上から下へと閃を成して横切った。
小太刀の形をしたそれが突き刺さるのは男の足元、気をつけなければ引っかけて転びかねない位置。
それに躓かなかったとしても、地面を意識して少しでもスピードを緩めたのならば。

「――えーいっ!!」

横合いから飛び出した女性の、引ったくりを押し倒そうという気概と全体重を乗せた突進が襲うだろう。
それこそ勢いに任せすぎて、そのまま地面に倒れ込みかねないほどの愚直さで。
150咲野結月花◆</b></b>vq1K.b.N52<b>[sage] 投稿日:20/01/20(月)07:34:17 ID:w0f [1/3回]
>>149
足元に突き刺さった刃に男は驚き、なんの対処もできずに転んで地面を無様に転がる。
今ので足を痛めたせいで女性の突進を躱すことはままならず、女性の下で苦しそうに呻いている。

「そ、そのまま抑えていていただけますかっ……」

息を切らしながら追いついてきた少女は仕事用のスマホを取り出し、警察に電話をしているようだ。それを終えると一息ついて女性に頭を下げる。

「……助かりました、協力に感謝します。あとは警察が来るまで抑えておきますので離れても平気です」

女性が離れると、強烈な風が男だけを地面に抑えつけるだろう。その男が盗った鞄を少女は拾いあげて。

「この鞄は私が持ち主に責任を持ってお返ししますので、あなたはもう行っても構いませんよ」
151鴇巣 六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/20(月)13:23:22 ID:3Xf [1/3回]
>>150
人間普通に生きていて、他人に渾身の力でタックルする事などなかなかない。
それが咄嗟の行動となれば尚の事。動きを止めるだけのつもりでも、うまい力加減は難しい。

「きゃんっ……!!」
「も、申し訳ありません!大丈夫でしょうか!?」

勢い余って一緒に倒れ込む形、男の身体の上に柔らかな胸から盛大に落ちる。
傍から見れば人を下敷きに巻き込んですっ転んだような光景、思わず謝罪が口から飛び出してしまうほど。
しかし文字通り全体重で抑え込む体勢になったから怪我の功名と言えなくもない、少女が追いつくまで均衡状態はそのままで。

「いえいえ。急だったのでこんな止め方しか出来ませんでしたけど、捕まってなによりです」
「では……離しますよ、離しますからね?」

立ち上がる前の念押しがしつこいのは逃走を防ぐ手段が不鮮明だからであり、それでもゆっくりと身体を起こしたのならば。
不可視の圧力が男を封じているのを認め、感嘆に赤い瞳を見開いたのもほんの束の間。

「ええ、すみませんが後はお願いしま――あっ」

両足でしっかりと立つ事叶わず、がくんとバランスを崩して揺らぐ身体。
その原因は右のヒールが折れたせい、押し倒した時の衝撃が悪かったのだろう。
先刻のように派手に転ぶ事はないが反射神経は不慮の事態にも勤勉だ、咄嗟に少女の肩に手を乗せて転倒を防ごうと。
152咲野結月花◆</b></b>vq1K.b.N52<b>[sage] 投稿日:20/01/20(月)17:48:30 ID:w0f [2/3回]
>>151
男性を冷ややかに見下ろす少女の目は、捕まる前にいい思いができて良かったですねと言っているかのよう。この状況下でも喜んでいる男の様は、そんな目を向けられて当然だろう。

「……」

自分の異能を知らない相手が念押しは当然といえば当然だが少女は微かに口を尖らせ、女性が起き上がるのをじっと見ていた。

「えっ」

その後、女性が揺らぐのは少女にも予想外だった。
肩に置かれた手にバランスを崩して転倒し、女性の下敷きという形になるだろう。
それでも男を抑える風が消えることがなかったのは、少女が女性よりそちらの持続に意識を割いていたからだ。

「あの、早く降りてください。苦しいです……」

流石に女性を相手に重いとは言えない。男性だったら有無を言わさず異能を使ってでも押し退けていたが、原因が恐らく男にぶつかったことだと思うと、強気には出れなかった。
153鴇巣 六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/20(月)20:31:11 ID:3Xf [2/3回]
>>152
当然ただでさえ踵の高さのバランスが悪い彼女が、揺らいだ支えに耐えられるはずもなく。

「あああっ……、……!!」

引き摺られるように二度目の転倒、少女の頭の横に手をついて覆いかぶさる状態に。
束の間呆然としていたが、すぐに我に返ってわたわたと上体を起こした。

「た、大変失礼しました……!お怪我はありませんか!?」
「あっ……そうですよね、重たいですよね!すぐに避けますから……!」

男性ならともかく、見た目からして年下の女の子を下に倒れる事の、なんと恥ずかしく情けない事か。
大分気が動転しているのだろう、少女の上から退けるのも忘れて目先の怪我を心配するのがその証。
言われて初めて気がついたとばかりにゆっくりと立ち上がって、今度はよろけずに直立を果たした。

「本当にごめんなさい。ちょっと躓いてしまって……立てますか?」

続いて地に伏したままだろう少女に、立ち上がらせようと手を差し伸べて。
下を向いたついでに視界に入った、片方だけヒールが根元から折れてしまったパンプスを認めて悲しげに眉を寄せた。

//お待たせしました、ここからは安定してお返しできると思います!
154咲野結月花◆</b></b>vq1K.b.N52<b>[sage] 投稿日:20/01/20(月)20:57:28 ID:w0f [3/3回]
>>153

「問題ありません、このくらい。あなたこそそれでは歩きにくいでしょう。
持ち主に鞄を返すのに付き合って頂けるのなら良ければあなたの目的地まで送りますが」

慌ただしい様子の女性に怪我はないと伝え、彼女が降りるのを待つ。差し伸べられた手を取って立ち上がると衣服についた汚れを払って。

「すみませんが、警察が来るまでこの男を抑えてもらっても構いませんか?」

周囲への呼びかけ。何人か異能力者や電能力者もいるだろう、怪我をしているし実質的にもう脅威ではない。何人かが名乗り出て、男を少女が解いた風の代わりに抑えつけた。

「……ああ、お名前をお聞きしても?私は咲の結月花といいます」
155鴇巣 六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/20(月)21:28:18 ID:3Xf [3/3回]
>>154
「本当ですか?それならいいんですけれど……」
「そこまでしてもらわなくても大丈夫ですよ。もう片方も折って、後で接着剤でくっつければいいですから」

言うが否や片足で立って無事な方のパンプスを脱ぎ、虚空から掴んだ桃の小太刀で一閃。
やる事は大胆だが応急処置として間違ってはいない。余分なヒールを落として履き直せば、少し頭の位置は下がったが立ち姿はずっとまともに見える。

「咲野さん、可愛らしい名前ですね。申し遅れました。私、鴇巣立夏と申します」
「ああ、そうだ……もしこの後お時間があれば、お店に寄って行かれませんか?色々とご迷惑をおかけしましたし……」

曰く、喫茶店でアルバイトをしているそうで。今も仕事場に向かっている途中だったとか。
よければ珈琲を一杯奢ると遠慮がちに尋ねるのは、宣伝のつもりというより、恥ずかしいところを見せてしまった詫びのようなもの。
無論男を然るべき相手に引き渡してからになるだろうが、それくらいの時間の余裕は幸いにしてあるようだ。
156咲野結月花◆</b></b>vq1K.b.N52<b>[sage] 投稿日:20/01/21(火)12:41:03 ID:nk7 [1/1回]
>>155

「まあ、あなたがそういうのなら…」

人一人を浮かせることなど自分には造作もないことだったが、善意とは押し付けるものではない。相手がいいと言っているのだ、それ以上は迷惑になりうる。

「それはどうも……。鴇巣さんですか、あまり聞かない苗字ですね」
「仕事ですから、お気になさらず。ですがその好意はありがたく受け取りましょう」

あまり言われなれていないのか、どう対応したらいいかわからずそっぽを向いて。そうこう離しているうちに警察が駆け付け、ひったくり犯は連行される。少女はそれを見届けると向き直り、あるき出せばそれについていくだろう。

「では先導をお願いします。鴇巣さん」
157 : 鴇巣 六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/21(火)15:08:04 ID:MwP [1/1回]
>>156
こっちを見ようとしないのが、照れているからだという事くらいは分かる。
警察を待つ間に向けるのは、微笑ましいものを見る余裕を持った眼差し。

「お仕事、ですか?てっきり学生さんかと……ご立派なんですね」

高校生くらいだろうと見積もっていたから、意外そうに目を見開く場面もあったかもしれないが。
何はともあれ無事警察への引き継ぎが済み、盗られた鞄も持ち主の元へ帰ったのならば。

「はい、それでは行きましょうか」
「そうそう、ブラックは飲まれますか?もし苦手なら他にも――」

居住まいを正して率先するべく歩き出し、目的地に着くまでの雑談もまた彼女が口火を切る。
とはいっても好みの味を聞き出す程度のもの、ついでに珈琲に関する薀蓄も聞けるかもしれないが。
やがて到着するのは静閑とした通りに佇む、小ぢんまりとした喫茶店。木製の扉を開けば焙煎された豆の香りがふわりと香る。

「どうぞ、ゆっくりしていってくださいね」

席で待つように言い残して裏に引っ込んだ彼女を少し待てば、腰にエプロンを巻いて戻って間もなく注文を伺うだろう。
ちょっとした手柄を挙げた後の、労うようなささやかな一杯は、きっとできるだけ好みに合わせたもので。

//お待たせしてすみません、この辺りで〆でよろしいでしょうか!
//お付き合いありがとうございましたっ
158 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:20/01/23(木)22:31:09 ID:hLp [1/2回]
テスト
159 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:20/01/23(木)22:31:26 ID:hLp [2/2回]
#ID:hLp
160 : 鴇巣 六花◆</b></b>JDFXsRkpiw<b>[] 投稿日:20/01/24(金)22:57:52 ID:H2W [1/1回]
夕焼け色に染まるアスファルトに長い影を映して、黒猫が音を立てずに走っていた。
首輪がないから野良のよう。咥えた白いリボンがひらひら踊ってモノトーンを形作る。

「待って、待ってくださーい!」

その後ろを走って追いかける女がいた。風を受けて深い紺の豊かな髪が広がっていた。
スキニーで走りやすいとはいえどその距離はなかなか縮まらず、まるで弄ばれているかのような。

「はあ、はあ……お願いですから、返してくださいってば……!」

少し足を止めて息を落ち着かせ、ダッフルコートに包んだ胸を上下させると黒猫も振り返って様子を伺う。
これがずっと続いているから、ふとした拍子に盗られてしまったリボンを諦めるに諦められない。
そうやって必死になっているから、少しずつ裏通りに近づいている事も気がつかないままで。


おすすめスレッド

PR

みんなが見ているスレッド

PR

スポンサードリンク