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1 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:20/02/20(木)16:25:22 ID:Ag9 [1/3回]
適当にレスつけて下さい
レスがなかったら一人で勝手に異世界ラノベ書きます
主人公無双のモテモテハーレムモノにしたいです。
皆協力してください。

2 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:20/02/20(木)16:25:52 ID:Ag9 [2/3回]
010101010101010101010……

【異世界入り】

 あ、これは逝った。我ながら、逝ったなあ……と思ったが、それほど痛くはなく。
 何が起きたかっていうと、交差点を歩いていたらトラックが突っ込んできて、というありふれたやつだ。
 ただ、地面にポーンと投げ出された瞬間、ぬるっとした感覚があった。地面が沼になってる感じ?
 で、痛みはない。でも目の前は真っ暗。とりあえず、生きてる以上は車道から出ないと思って立ち上がると、

「は?」

 草原。草原ですよ。
 さっきまで俺はさえない地方都市の交差点にいたっていうのに。
 気が付けば、まるで中世ヨーロッパの草原ですよ。
 空は快晴。空には……ワイバーンが飛んでいる。

「ああー、これは……いわいる……」

 あのワイバーンの飛ぶ風景には見覚えがある。あの山、あの森、あの湖……
 俺がハマっていたマイナーなオープンRPG『ライトニング・クエスト』のサムネイルと瓜二つなのである。

 どうやら「俺」は、自分のハマっていたRPGの世界に入り込んでしまったようだ。
 と、ここまではよくある話。
 だが問題は……俺は今、学生服のまま、全身泥まみれなのである。
 俺はこの世界で何も知らされないまま、パンツまでぐしょぬれなのだった。

 沼の中で、ただぼんやり立つ俺なのである。
3名無しさん@おーぷん[ ] 投稿日:20/02/20(木)22:22:53 ID:Eu4 [1/1回]
「そなた、『渡り人』か。これは珍しい」

沼の淵から声がかかる。
振り向くと、ローブのようなゆったりした衣装に身を包んだ老人がいた。
右手にはねじくれた木の杖を携え、左手では長い顎髭を撫でている。
俺の脳裏に既視感がよぎった。
この御仁、どこかで見たことがあるような?

「これ、いつまでそうしているつもりじゃ?早く上がってこんか」

思わず考え込んでいると、老人は大儀そうにそう言って手招きしてきた。
俺は苦労して沼から這い出す。

「あのー、あなたは……神様ですか?もしかして、俺の転移を手引きしたとか」

老人が寄越した布切れで服を拭いつつ、感じた疑問を投げかける。

「とんでもない、儂はしがない学徒じゃ。フォーマルハウトという」

俺はそれを聞いて、この老人の正体を思い出した。
大賢者フォーマルハウト。
ライトニング・クエストの登場人物だ。
大層な肩書のわりに物語にほとんど関わらず、雑な世界観構築の産物と言われるマイナーな脇役ではあるが……

「マナの乱れを感じてここに来てはみたが、おおかたまた次元クジラじゃろうと思っておった。それが、『渡り人』とは……いやはや」

フォーマルハウトは俺の全身に視線を巡らせ、ふしくれだった手で肩のあたりを撫でさすった。

「……そなた、名はなんという?」
4名無しさん@おーぷん[] 投稿日:20/02/20(木)23:14:59 ID:Ag9 [3/3回]
>>3
「俺……の、名は……」

 さて、ここで俺は悩んだ。

 現実世界の俺は、ごくありふれた名前だ。人々の中に埋没し、将来もまるでパッとしない、100人いたら99人は忘れる、平凡な名。
 そしてその容姿も、その名前に引っ張られるように平凡……いや、平凡は言いすぎだ。
 
 冴えない。いや冴えないどころではない。
 醜い、といっても、100人いらた9人くらいは「まあ、しょうがないよね」と認められてしまう程度の容姿だ。

 しかしゲームにログインしていた時は、俺は容姿端麗、名前も練りに練った、イケメンだったのである。

(俺は……今、どっちなんだ……? 顔、顔は……?
 ゲームの中の俺は、課金の半分を無駄な容姿のスキンに課金して、俺のなりたかった俺に化けていたんだっけ……。
 俺は、今、どっちなんだ?
 イケメン無双の俺なのか? それとも、「現実」の重い「俺くん」のままなのか……?)

フォーマルハウトの問いに、ただうつ向いている俺。
すると、ハウトの後ろから

『お師匠様! その方はもしや……』

と快活な声が飛んでくる。
まるで鈴のような、かわいらしい若い娘の声だ。
5 : 名無しさん@おーぷん[ ] 投稿日:20/02/21(金)00:41:48 ID:kVh [1/1回]
>>4
「おや、カペラ」

大賢者が振り返る。
その視線の先、藪の向こうから、小柄な少女が姿を現した。
彼女が「カペラ」らしい。
年の頃は十代半ばほどか。
いかにも学徒らしい焦げ茶色のフォーマルな服を着て、腰には雑多な道具を色々下げている。
髪と瞳は鮮やかな金色だ。

「お前もご挨拶しろ。この方は……」
『いえ、分かります!当ててみますとも!』

カペラは師の言葉を遮り、俺のほうへ走り寄ってきた。
好奇心に輝く黄金の瞳がこちらを覗き込む。
俺はたじろいだが、その反面、これはチャンスだとも直感していた。
年頃の少女ならば、俺の容姿について忌憚のない意見を聞かせてくれるだろう。
仮に結果が悪くとも、可愛い女の子に言われるならばまだダメージは少ないはず……!

『これは……新種の次元クジラですね!直立二足歩行するものは初めて見ました!』

俺は草むらにがくりと膝をついた。
ただでさえ不細工な面が絶望に歪む。
ていうか次元クジラって何だよ。

「……待て。何か聞こえなかったか」

フォーマルハウトは悩ましげに黙り込んでいたが、にわかにそう言って周囲を見回した。
カペラは怪訝そうな顔をしたあと、耳に手を当てて音を拾おうとした。
俺もそれにならって耳を澄ます。
すると丘の向こう、こんもりと黒く盛り上がった森のほうから、微かに聞こえてくる響きがあった。
これは遠吠え……いや、雄叫びか?

『お師匠様、今のは……!』
「ああ間違いない、『あれ』が来る。早いところ引き上げるとしようぞ」

フォーマルハウトとカペラはその声の正体を理解したらしく、緊張感を漲らせる。
俺は一人パニックに陥った。

「あ、あの!いったい何が来るっていうんです!?」
6名無しさん@おーぷん[] 投稿日:20/02/21(金)09:49:53 ID:7lt [1/1回]
このスレは板違いなうえ、相談スレで提案もされてません
直ちに破棄し、相談スレでの査定を受けた上で、なな板の趣旨に合うようにやり直してください
この板はあなたの勝手な創作のためにある板ではなく、みんなが楽しむ板ということをくれぐれもお忘れなく。
7 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:20/02/21(金)16:32:19 ID:NlE [1/2回]
!aku6
★アク禁:>>6
8 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:20/02/21(金)22:17:31 ID:NlE [2/2回]
俺の声が終わるかどうかのその時、こんもりと盛り上がった黒の森は……
大地を震わせ、どんどん大きくなっていく!

「ふむ。『発群』してしまったか……」
「でもお師匠、いくら何でも早すぎませんか!」
「この地のマナの気脈に異常が起きておるようじゃ……『渡り人』よ。
 どうやらおぬしの命運が試される事態が来たようじゃな」

 そういうと、老人とその弟子……カペラはいそいそと何かを準備しだした。

「あの、だから何が……」
「『渡り人』よ。悪魔の飛行蝗(イナゴ)、「マッドファンジョン」は火の属性に弱い……。
 一つ一つはHP1もない小さな魔昆虫じゃが、集団になればあらゆる自然物を食らいつくす。
 繊維や木材はおろか、鉄をも食らうと聞いておる。
 おぬしの心の中に「火」の属性でもない限り、おぬしはすべてを食い尽くされ、死ぬじゃろうて……」

 そういうと老人と弟子は絨毯を広げると、何らかの呪文を唱えだす。

「ちょっと、ま……それは」
「二人乗りじゃ。残念じゃが……」
「師匠! 急がねば飛行蝗が!」

 そういうや否や、老人と弟子は空飛ぶ絨毯に乗り、去っていこうとする。
9 : 名無しさん@おーぷん[ ] 投稿日:20/02/22(土)00:14:20 ID:tPl [1/2回]
「いい加減にしてくださいよ!何が命運ですか、俺にどうしろって言うんです!?こっちは状況がこれっぽちもわかっちゃいないのに!」

俺は師弟が二人だけで話を進めているのに苛立ち、感情に任せて不満を言い募った。

「人がオロオロしてるところにわざわざ会いに来てクジラ呼ばわりして、危なくなったら放置ですか!ええ結構ですよ、ただし俺がイナゴに食われて死んだら一生呪いますからね!」

ネット掲示板で鍛えた嫌味だ。
カペラがばつの悪そうな顔をして、師に小声で何か言う。
大賢者はしばし髭を撫でて考え込んだが、やがて古びた道具を投げて寄越した。
ロウソクを入れて使うようなランプだ。

「ならば、気休めだけでもくれてやろう。マナの意思を変えるものではないとは思うがのう……」

それっきり、師弟は返事も待たずに絨毯で飛び去った。
俺はランプを抱えて途方に暮れたが、気づくと、咆哮じみた羽音はすぐそこまで迫っている。
それは液晶越しの情報とは違う、明確な死の接近だ。

「……ええい、くそ!どう使うんだ、これは!」

俺は半ベソをかきながら古道具をいじくり回した。
ああ言って寄越すからには、何か危険から逃れるのに役立つマジックアイテムであるはず。
飛行蝗の群れが一匹一匹を見分けられるほどにまで接近し、やけになってランプを地面に叩きつけたとき、その真価は発揮された。
いきなり中に青い炎が灯ったかと思うと、同色の光がドームのように広がって俺を包んだのだ。
その直後飛行蝗の群れが襲い来て、周囲一帯を闇に包む。
青い光のドームはバチバチと音を立てて昆虫たちを弾き飛ばし、俺をその危険から守った。

「すごいバリアーだ!さすが大賢者……ああっ!?」

しかし限界はすぐに訪れた。
ランプの中の炎が急速に小さく萎びて、それに比例してバリアーの光も淡くなっていく。
焼け焦げた飛行蝗の死骸が入り込むようになったあたり、防御力も落ちているらしい。
このままではすぐにランプの炎が消え、バリアーも消失して、俺は昆虫どもに骨まで食い尽くされることとなるだろう。
10 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:20/02/22(土)04:50:40 ID:Vxw [1/3回]
「ここまでか……俺の運命……
 俺は虫に食われて、死ぬんだなあ……」

 ぼんやりと思いだした。
 「恐怖の魔イナゴ・マッドファンジョン」
 ゲームの中では単なる「都市の食糧生産マップチップ」が荒れ地にかわる突発イベントにすぎず、
 都市の食糧生産度が下がっても食物の売値が変動するだけで、普通に冒険するうえではそれほど気にかからない災害だった。
 だが、まさか「中の人」になるとこんなに恐ろしいことになるとは、思ってもいなかった。
 ゲームの中の俺はずっと、剣だ、魔法だ、無双だ……と攻略の限りを尽くしていたのに、
 ゲームが現実になった瞬間、こうして名もなき一人の人間として死んでいくとは……。

 『現実』。
 思い返せば、いい思い出なんて一つもなかった。
 家庭環境は最悪。小中高と永遠に続いたいじめ地獄。
 唯一の楽しい思い出は、ばっちゃんに勉強用にと買ってもらったPCと、
 ばっちゃんの年金で課金しつづけたこの「ライトニング・クエスト」だけ。

 「ライ・クエ」で俺は「地方の領主」にまでなり、スキン課金と持ち物総量アップの課金だけで全体で約30位の名声ポイントをもつまで上り詰めた。
 「ライ・クエ」での俺は……【英雄・クリア=ウッドベル】として、毎週ウイークリークエストを攻略し、
 レイドバトルでは「MVPボーナス」を受ける常連としてギルドでも重宝がられていた。

 そんな俺も、いざゲームが現実になったら……
 なんの抵抗もできず、訳も分からず死ぬのだ……

 バリアが、敗れつつある。
 ついに虫の一匹が、半円のドームの中に入り込み、ズビビビ!と音をたて俺の顔面にのしかかる!

 終わった……。
 俺は抵抗もせず、そのままにしていると……

「大・火・球!!」

 どこかで聞いたような大きな声が鳴り響く。
 その次の瞬間、バリアの外は巨大な炎に包まれた!!

「!?」

 上位魔法の大火球だ。戦闘で使うのではなくフィールド移動時に特定のオブジェクトを焼き払うのにも使う魔法だ!
 ライ・クエでも使用できるプレイヤーは限られている。
 (地形すら変えてしまうので全てのフィールドクエストを達成したプレイヤーしか実装されないスキルなのだ)

 その炎で、イナゴたちは一斉に灰になった。

「あれは……」

 俺は、見た。
 炎の向こうに立っていたその姿。
 俺は何度もその後姿を、俺はPC越しに見ていたんだ……。

「『俺』じゃないか……」
11名無しさん@おーぷん[] 投稿日:20/02/22(土)04:55:29 ID:Vxw [2/3回]

//キャラクター投稿を受付いたします!
 この物語に登場させてみたいキャラクターを、ぜひとも投稿してください。
 ただし主や参加してくれる方の気分次第で、活躍できなかったり即死したりしますのであしからず……
 まだこの物語の設定などはほとんど決まってませんので、むしろキャラクター投稿のついでに面白い設定を盛り込んで下されば、物語に反映いたします!


【名前】
【性別・年齢】
【容姿】
【スキル】
【概要】
【やらせたいこと・希望】
(悪役、補助役、やられ役など。また死なせないでほしい等あれば。特になければナシでも可。)
【セリフ例など】
(3つくらい言いそうなセリフ、言わせたいセリフをお願いします)
12 : 主◆</b></b>oiYIPjsg8c<b>[] 投稿日:20/02/22(土)04:58:30 ID:Vxw [3/3回]
>>11
ちなみに書き忘れましたが主です
13 : 名無しさん@おーぷん[ ] 投稿日:20/02/22(土)14:05:13 ID:tPl [2/2回]
「俺」は炭と灰を踏んで近づいてくる。
そのときになって、俺は自分の知るクリア=ウッドベルとその人物との微かな差異に気付いた。
プラチナブロンドの髪が伸びて、後ろで一つに纏められている。
顔に設定した覚えのない傷跡がいくつか付いている。
そして何より、互いに食い合う二匹の竜の紀章を肩につけているのが目についた。
大英雄が俺を舐めつけ、口を開く。

「貴様がカペラだな?」
「……は?」

その固有名詞とさっき立ち去った少女の姿が一致するのには時間がかかった。

「しらばっくれても無駄だ。あの邪教徒フォーマルハウトが新しく若い弟子をとったという情報は得ている」
「え?……いや、俺は」
「師に捨てられたと見えるが、奴のアジトの場所は知っていよう。吐いてもらうぞ」
「あの、人違いだと思うんですけど。俺は無関係ですよ、カペラっていうのは女の子で……」
「我々はあの邪教徒をここまで追跡してきた。周囲に他の人々がいないのも確認済みだ。貴様は自分が地面から生えてきたとでもいうつもりか?……連行しろ!」

その指示で周囲から黒装束の男たちが群がった。
彼らもクリア=ウッドベルと同じ二匹の竜のエンブレムを身につけている。
俺は拘束され、担ぎ上げられ、草原の縁に待機していた四頭建ての馬車の中に放り込まれた。
暗くて分かりにくいが、扉も窓も鉄板と鉄格子で固められているようだ。
俺は泣きたくなった。

「うう、なんだよもう……せっかく異世界転移したってのに、泥沼にぶち込まれるわ、イナゴに襲われるわ、自分に捕まるわ……!」
「よう、新入り」

馬車の奥、暗闇の中から声がかかる。
どうやらこの監獄には先住者がいたらしい。

「お前も奴らに……『ウロボロス団』に、目をつけられたクチと見えるな」
14 : 名無しさん@おーぷん[sage] 投稿日:20/02/22(土)16:47:21 ID:Otz [1/1回]
面白いゾ
15 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:20/02/23(日)11:55:34 ID:Btg [1/2回]
「ウロボロス団……?」

 聞いたことはない。
 や、ゲーム内ではギルドの名前を自由につけることができるが、
 「ライ・クエ」内ではあまりこういう、ガチ感のあるギルドネームは稀だ。
 かくいう俺も「パンコロアカリチャンギルド」という、ふざけた名前のギルドに所属していた。
 つまりこれは、ギルドの名前などではなく、公式が設定した世界観設定の一部のようなものか……?

 しかしこの先住者の男……。
 銀髪の長髪に、飢えた切れ長の赤い目、そしてボロボロの服。
 左手は肩からなく、拷問器具の跡もある。

「クククッ。あんたの珍妙な格好、渡り人だね。
 あの領主サンはこのところ妙に「渡り人」にご執心だ。
 賢者フォーマルハウトが「次元クジラ」研究し、「渡り人」の弟子もいると風説を聞いてわざわざこんな辺境まで大遠征さ。
 あんたも体中いじくりまわされ、拷問されて、俺みたいに……ケヒヒヒヒヒッ」

 先住者の男は高笑いすると、体をガンガン独房にぶつける

「おい兵士どもォ! 俺ァ渡り人じゃねぇってのがこれで分かっただろォ!
 さっさとここから出せぇ!!!」
「お、おい、あんた……!」

 俺は動揺しまくる。この男、長い拘束生活で精神をおかしくさせてしまったのでは?
 そして……これは俺がこれからなる、慣れの果ての姿なんじゃ……

「!?」

 そう思ったら矢も楯もたまらず、その男の体をガッと抑える。
 未来の俺がこんな感じなのは、見てられない。

「そ、そんな……ヤケクソになったら、だ、だめだ!」
「……クッ、クソガッ」

 そうやって落ち着かせると、男はぽつぽつと自分の身の上を語りだした。
 彼の名は「銀賊のハヤテ」。この地方に出没する野盗の一人らしい。

(巡察コマンドするときランダムで出てくる野盗イベントのことか。
 たしかにNPC一人一人に名前がついていたな……)

 ハヤテは、渡り人の俺に、この世界のことについて、少しづつだが語ってくれた。
16 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:20/02/23(日)12:02:06 ID:Btg [2/2回]
ここまでのあらすじ

「俺」は交通事故に巻き込まれ、ひょんなことから「ライトニング・クエスト」の世界に迷い込んでしまった。
草原で呆然とする俺に話しかけてきたのは、大賢者フォーマルハウトとその弟子の女の子・カペラ。
だが運悪く魔イナゴの群発に巻き込まれてしまい絶体絶命に。
その危機を救ったのが、「俺」がプレイしていたキャラクターである大英雄・「クリア=ウッドベル」。
だがウッドベルは「俺」の知るキャラとは少し異なる雰囲気……。
さらに、俺をカペラだと誤解し拘束し、いずこかへ護送されてしまう。
その独房馬車の中で、「俺」は銀髪のハヤテなる人物から、この世界についての話を聞くのだった。
17 : 名無しさん@おーぷん[ ] 投稿日:20/02/23(日)17:59:28 ID:8s7 [1/1回]
外で鞭の音が響き、馬が嘶く。
護送馬車は俺とハヤテを閉じ込めたまま、ゴトゴトと低い音を立てて走り出した。

「つっても、どこから話しゃいいんだ……『オーバーロード』が殺されたのは知ってるか?
「オーバーロードが殺された!?」
「もう十年前のこったぜ」

オーバーロードといえば、ライ・クエ世界を脅かす魔物の軍勢の総大将。
サービス開始当初からラスボスとしてアピールされていた存在だ。
俺たちプレイヤーが待ち望んでいた最終決戦イベントが、この世界では十年も前に終わっていたとは……!

「やったのはプロキオンだ。知ってるか?」
「あ、ああ……虹の騎士プロキオン……」

ほとんどの実績ランキングで1位の座を占領していたプレイヤーだ。
ランカー随一の重課金者でもあり、掲示板では石油王だとか運営のサクラだとか言われていた。

「魔物どもはカシラを失ってちりぢりになった。虹の騎士様は大手を振って王都に凱旋しなすった」
「王様は約束を守ったのか?魔王を倒した者にカシオペア姫を与えるっていう」
「守ったさ。王国はどこもかしこも婚礼お祝いムード一色だったぜ。プロキオンが次の王様なら納得だし、安心だ……みんなそう思ってた」

盗賊は赤い目を憂げに細める。

「だが奴は突然『いなくなった』……失踪。逐電。雲隠れ。なんとでも言えらあな」
「な……なんでそんなことが」
「知らねえよ……とにかく、民衆は上から下への大騒ぎだ。貴族どもは次の王座を狙うし、魔物どはもまた勢いづくし」
「また魔物が?」
「誰が取りまとめてるんだかな……それからずっと王国は滅茶苦茶だ。そこに湧いたのが盗賊と軍閥と、ウロボロス団ってこった」

そのとき御者側の壁にある小窓が開いて、ベル=ウッドベルが不機嫌そうな顔を覗かせた。

「まもなく目的地に到着する。そこまで生きていたければ無駄話は止めて、静かにしているがいい」
「まもなくぅ……?あんたの領地にしては近すぎるな。一体俺たちをどこに連れて行くつもりだ?」

盗賊が気怠げに尋ねた。
ダメ元だったのだろうが、意外にも大英雄はあっさりとその問いに答える。
18 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:20/02/25(火)01:58:35 ID:0LQ [1/1回]
「”裁きの塔”だ。尋問はここで行う」

 英雄はこともなげにそう答える。それを聞くと、ハヤテの顔が真っ青になった。

「おい! たかが渡り人の尋問になんでそんなところを!!!
 そもそも俺は渡り人じゃねぇッ!!!」

 ハヤテの顔をそこまで青ざめさせるほど、その塔は恐ろしい場所なのだろうか……。

 ややあって、馬車は止まり、俺たちは強制的におろされる。
 高さは30メートルほどだろうか。この中世の建造物と言われると巨大な威圧感を感じる。

 俺にはこの塔は見覚えがないわけではなかった。建造レベルが上がると自分の領地の好きなところに「塔」が建てられる。
 そのデフォルトの「塔」のグラフィックにそっくりで、汎用データなのだろう。
 だが現実には、プレーヤーが気まぐれに立てるのとは違い、厳密に用途を検討の上立てたのだろう。
 
 俺とハヤテは両手を縄で縛られたまま、ひざまつかされた。

「この塔は、死刑がほぼ確定の未決囚が留置される場所だと聞いている……
 入ったら最後、2度と出られない……」

 ハヤテは恐怖に震えている。
 自分がそれほどの罪を犯した覚えがなかったためか、多少尊大にふるまっていたものの、
 現実に死が迫ると実感したのだろう。

 一方「俺」は……
 まだ、何が何だか……「死」って言われてもなあと。
 ただ、現実らしく、非常に空腹なのと、服がぐしょぬれで気持ち悪い。
 これを何とかしてほしい気持ちでいっぱいで、とても死について考えている余裕などなかったのだ。

「これから尋問と、裁可を行う。……そこの渡り人! お前からだ」

 そういうと、俺は兵士たちに連れ添われながら、塔の中に入っていく。
 後ろからは英雄が……「もう一人の俺」が、俺の背中を睨みつけながら、そのあとを追う。
 まるでゲームの中とはあべこべだな、とそんなことを思った。
19 : 名無しさん@おーぷん[ ] 投稿日:20/02/25(火)14:01:20 ID:I0N [1/1回]
「おや、大英雄様じゃありませんか!いらっしゃいませ、毎度どうも!ヒヒヒ!」

塔に入るとすぐ、入口の脇にあった詰所から一人の兵士が顔を出した。
王国の正式装備を着崩して、首や指に金のアクセサリーをじゃらじゃらと付けた中年の男だ。

「中央の連中は相変わらずあなたを血眼で追ってますぜ。双竜の悪党に与する堕落領主ってね!ヒヒヒ!」
「やらせておけ。プロキオンがいた頃ならいざしらず、今の奴らに何ができたものでもない……『チューマ』を借りるぞ」

クリア=ウッドベルはいくばくかの金をその兵士に渡すと、再び俺を追い立てて、外壁に接した螺旋階段を登らせる。
チューマ……ライ・クエのどこかで聞いたことがあった気がするが、なんだっただろうか。
その正体は、塔の頂上にある部屋に放り込まれたとき明らかになった。

「チュチュチュッチュ~!」

肉団子から無数の触手を生やしたような異形の魔物。
それが今、奇妙な鳴き声を上げつつ、部屋の隅の暗がりからワサワサと這い出ててくる。
そうだ、思い出した。
これは湿原エリアに出現する、拘束と精神攻撃を得意とするエネミーだ。

「そいつは見かけによらず従順で技巧に長けた魔物だ。飼い主が必要とする情報を……フォーマルハウトのアジトの場所を、貴様の脳から吸い出してくれる」

大英雄が鉄格子越しに解説する。

「吸い出した後、貴様が正気を保っているかどうかは保証できないがな」
「チュチュチュ~!」

チューマが粘液にまみれた触手を俺の方へ伸ばしてくる。
20 : 名無しさん@おーぷん[sage] 投稿日:20/02/28(金)19:11:10 ID:eBy [1/1回]
支援
21 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:20/03/01(日)22:33:32 ID:JA7 [1/1回]
チューマの触手になすがままにされる俺。

無数の触手が、穴という穴に侵入してくる。

「あ゛っあ゛っあ゛っあ゛ー……あ゛ー」

さらに肉団子は、触手の根元の中央のこんもりした場所に、巨大の目をむき出しにし、
その目からは精神波を繰り出す。
揺れる……脳が……揺れる……

「ちっ……今こいつの頭の中、『腹減った』『わけわかんねえ』くらいしか出てこないな」
「あら、チューマを使う場合は、ちゃんと対象の腹を満たしてから使うもんですぜ。
 大英雄様、焦りすぎましたな……」

 ニヤニヤ笑う中年・悪徳代官ダルヒンは水晶玉を操りながらたしなめる。

「そういうことは早く指摘しろ。ったく使えない……。
 チューマをいったん引っ込めて、あの渡り人にエサを食わせろ」

 チューマに電撃魔法波が浴びせられると、チューマは触手を引っ込め、俺を開放する。

 俺は……体液まみれのまま、塔の中の独房に移された。
 しかし俺の意識は戻らない……
 俺はどうやら、精神崩壊してしまったようだ……
22 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:20/03/02(月)06:15:03 ID:au4 [1/1回]
精神崩壊のさなか、俺は夢を見ていた。

夢にまで見た、異世界ハーレムの世界だ!

スレンダー金髪絵エルフの美少女……
ロリ幼女巨乳ドワーフ娘……
下半身蛇の妖艶マダム嬢……
幼馴染的親しみやすさの村一番のかわいい人間娘……
オッドアイ中二的魔王っ娘……
9cmにも満たない全裸フェアリー双子……
ぬるぬるボディのつるぺたスライム娘……
唇の大きな蚊をベースにしたサキュバスッ娘……

「おおー、おれ、異世界にきて、よかったなあ……」

全身の穴という穴に口づけされ、快楽攻めにあっている俺
頭にサキュバスっ娘からストローのような口を突き刺され、脳液は吸われていく
女の子たちが体にきつく秘所や胸を押し当て、その四肢はやがてヌポッと取れちゃう

俺の五体はばらばらになり、あたまは、しこうが、かんじょうが、きえていく……
23名無しさん@おーぷん[] 投稿日:20/03/02(月)13:05:11 ID:HG6 [1/1回]
再度警告します
これは相談スレで議論しないで立てられたスレです
なな板全体の総意を得ずにスレ立てしないで下さい
また、なりきりとは大きくかけ離れた題材で板違いであることも老婆心ながら指摘させていただきます
ただちにスレを廃棄して、相談スレに一度議論にかけてからスレ立てして下さい
自分勝手に板を私物化しないようよろしくお願いします
板はみんなのものです
わかままはやめて下さり
24 : 名無しさん@おーぷん[ ] 投稿日:20/03/02(月)16:37:11 ID:WCK [1/1回]
「おい!大丈夫か、しっかりしろ!」

 ハヤテは、隣の独房に収監された「渡り人」に呼びかける。
しかし彼は鉄格子の向こうで力なく寝そべり、訳の分からない独り言をぶつぶつと呟くばかりだ。
盗賊は檻の中で独り考え込む。

(奴ら、一体どんな拷問をしたんだ?こりゃまるで廃人だぜ……しかしこのままじゃ、俺もああいう目に遭うのは時間の問題か)
『わ、渡り人さん!?なんてお姿に!』

 それは鈴が転がるような女の声だった。
ハヤテはぎょっとしてその源を見やる。
壁の上のほうに空いた小さな窓から、真っ白なフクロウが顔を出していた。
フクロウが口を利いたのだ。
盗賊は一瞬たじろいだが、「使い魔」という概念を思い出し、その猛禽に話しかける。

「おい、フクロウ野郎!こいつの知り合いか?」
『ひいっ!?は、はい、カペラと申します!』

 フクロウはハヤテの存在に気付いていなかったらしく、ぶるりと身を震わせて応答した。

『お師匠様に……フォーマルハウト様に言われてこの方を探していたのですが、まさかウロボロス団に捕まっているだなんて』
「俺はハヤテ、銀賊のハヤテだ。カペラちゃんよ、お前はこいつに死んで欲しいか?」
『とんでもない!彼は私たちにとって貴重な研究対象です!』
「なら俺に協力しろ。そいつを連れてこの塔からトンズラする」
『どうやって!?ここから下の入口まで、ウロボロス団や堕落した王国兵の見張が一杯です!』
「そんなのは後で考える!とにかく、警備の詰所あたりに忍び込んでここの鍵を持ってこい。無理なら工具でもいい」

 使い魔は渋々承諾し、外へ飛び立った。
ハヤテがやきもきしながら待ち、三十分ほど経過した頃だろうか。
白いフクロウはあからさまに慌てた様子で戻ってきた。

『た、大変です!入口の脇の詰所に、クリア=ウッドベルが陣取ってます!あの化物の目を盗んで脱走するなんて不可能ですよう!』
「奴がいるのはわかってる!鍵はどうした?」
『そ、それが、こんなものしか手に入らなくて……』

 フクロウが寄越したのは、拘束具の破片と思しき細長い金属片だった。
ハヤテは舌打ちしつつ、それを扉の鍵穴に突っ込んでいじり始める。
隻腕、それも粗末な道具での解錠作業には困難なものがあったが、彼はやってのけた。
独房の扉が開く。

『やったあ!』
「よし、次だ……カペラ、あんたは廊下を見張っていろ。警備が来たら一声鳴いて教えてくれ」

 ハヤテは続いて「渡り人」の独房の扉に向かい、解錠作業に取りかかった。
25 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:20/03/03(火)13:59:52 ID:JRO [1/1回]
再三警告します
ただちにこのスレを停止して下さり
このスレはなりきり全体の総意を得てません
相談スレで議論の上、再提出すること
繰り返します
なな板はあなたの勝手な創作の板ではありません
みんなのためにあります
自分勝手なスレ立ては自重してください
はっきりと迷惑です
やめて下さり
26 : 名無しさん@おーぷん[sage] 投稿日:20/03/03(火)15:06:56 ID:bRl [1/1回]
期待
27 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:20/03/03(火)15:44:12 ID:zy3 [1/3回]
!aku23
!aku25
★アク禁:>>23 >>25
28 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:20/03/03(火)15:59:30 ID:zy3 [2/3回]
ハヤテが片方の手で開錠作業をしていると……

「ハヤテサン!」

フクロウが警告をする。
カツン・カツンと軍靴が石階段を上る音が聞こえる。
ハヤテはすぐに察知し、隠れられそうな壁の隙間の闇に身を隠す。

やってきたのは、女性軍人。ウッドベルの部下なのだろう。
軍人は鉤をあけ、独房の中に入る。

手には、犬のエサを入れる皿に、こんもり盛られた雑穀。
土交じりの、とても人間の食べるような代物ではない。

軍人は渡り人を見て、顔をゆがませる。醜悪な容姿に加え、
チューマに犯されその体液もぬぐわぬままなので、大変に臭い。

「誇り高き王国兵が、このような作業を……クッ。
 おい、渡り人! 目を覚ませ!」

女軍人は拍車つきの靴で渡り人を踏みつけると、渡り人は緊張感のない顔でぬらりと目を覚ます。
口は閉まらずよだれが垂れたままだ。

「命令だ。空腹を満たせ! 豚のような食欲を満たし、チューマによる尋問に備えよ!」

女軍人は渡り人の開いた口を開き、土雑穀を強引に入れていく。
時折いら立って、その足で何度も何度も渡り人を蹴りつける。

蹴りの痛みで、渡り人はほんの少しづつ、意識を取り戻していくようだが……

女軍人は不用心にもカギを開けたままだ。
それを見てハヤテは……
29 : ■</b>忍【LV3,こうもりおとこ,IV】[] 投稿日:20/03/03(火)21:07:47 ID:mWv [1/1回]
古くから、『間』には‘鬼’がいた

木の洞に、闇の中にーー怨念は渦巻き、尖ってしまう

それは脳の空洞だろうと、同じだった

ミキミキと頭蓋のからを破り、『憎しみ』が孵化してしまうーーー痛い、痛い痛い、イタイイタイイタイ!!!!!!

頭から、角のような突起が生えていた!
30 : 名無しさん@おーぷん[ ] 投稿日:20/03/03(火)23:29:32 ID:wZj [1/1回]
「うう、う……!」

 渡り人が突然身を激しくよじり、頭を抱えるようにしてうずくまる。

「豚以下か、貴様ァ!」

 当然「給餌」は中断され、女軍人の焦燥は極限に達した。

「いいかよく聞け、私の名はスピカ!かの虹の騎士プロキオンに教えを受けた名誉ある戦士だ!」

 その激情に任せて、軍靴の爪先を繰り返し叩きつける。

「本来貴様のような囚人に直々に餌をくれてやることなどありえん、あってはならんのだ!あまつさえ拒否されるなど!」

 ハヤテはその蛮行に眉を潜めつつ、独房の扉が開いていることを再確認し、足音を殺して隠れ場所から出た。
近くの古い暖炉に火かき棒があるのを見つけ、掴み取って武器とする。
カペラのフクロウが音もなく彼の肩に飛び移り、囁きかけてきた。

『ハヤテさん、まずいです』
「分が悪いのは百も承知だ」
『違います。瘴気が……この塔に立ち込めている闇の魔力が、渡り人さんの周りに集まっているのを感じるんです』

 魔術の才のないハヤテには理解できなかったが、紛れもない事実だった。
この「裁きの塔」に長い時間をかけて蓄積されてきた囚人たちの呪詛、怨念。
それが渡り人というイレギュラー分子のもとに凝固し、一つの形を得ようとしている。

「下等な畜生めが!立たんか!」

 スピカがついに抜刀し、切っ先を突きつける。
囚人は手を伸ばしてそれを掴んだ。
血は、流れない。
31 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:20/03/03(火)23:58:16 ID:zy3 [3/3回]
「なぁるほど……いろいろと……わかったぞ……」

「俺」の頭蓋の中にとめどなく入り込む怨念。
「俺」の精神は壊れていたところに、その鬼の念が、入れ替わるように吸い込まれていく。

「そうかそうか……。「ライ・クエ」世界は、こんな風に不条理で、やるせなく、悲しみと憎しみが蔓延していたのだな……
 そうとも知らず俺は、一人の英雄を気取ってこの世界の表層を楽しんでいたのか。
 ふむ……度し、難いな……」

 「俺」の記憶は、怨念たちの記憶と混濁していく。
 この世界で無実の罪だったものの記憶が、ゆっくりと染み渡る。
 「俺」は、この世界の様々な常識や記憶を、体の中になじませていく。
 「俺」の中で、ゲームの世界としてのメタ知識と、現実の世界としての知識が融合し――
 世界唯一といっていい知性が、怨念とともにに醸成された。

『貴様っ、何を! ……け、剣を放せっ!』

 スピカが青ざめた顔で剣を突き立てているが、「俺」はその剣を素手でつかんで離さない。

「どうやら、ここに積もりに積もっていた怨念の魔力が、俺の体を強化してくれるようだな。
 魔力……魔力に満ちたこの体、もはや、人間とは言えまい……」

 スピカの剣に、ちょっと力をこめると、剣はぐにゃりと曲がってしまった。

『なっ……! 上鋼の剣が! あ、あり得ん、そんな……』

 スピカは剣を手放し、後ずさる。
 だがそこは分厚い牢獄の壁だ。

「スピカ、と言ったな。俺を……”余”の事を、下等な畜生と……そう言ったな」

 俺はゆっくりと立ち上がる。
 角が生え、頭の骨格は変形し、急激な体の変化に肉体についていた贅肉がエネルギーに変換され、体全身が発熱する。
 太り目の体系は一気にスリムになり、顔は小顔に。
 目つきは鋭く吊り上がったそれは……スピカからすれば、古の書物に出てくる「魔族の長」といってもいい姿に変容していた。

 つまり、「俺」は、ダークなイケメンに変化したのだ!

『ヒッ、ヒイッ!』
「恐れるでない……。余は、下等な畜生なのだろう? 下等な畜生に、餌を与えに来た。貴様の仕事は、そうなのだろう?」
『あっ……あっ、わ、私は、王国軍人としてッ……命令にただ、従うのみで!』
「ならば、命令を遂行せねばならんなあ。余は今、空腹だ……。
 貴様の命令は、余の空腹を満たすため給餌しろ……そういう事なのだろう。
 ならば……命令は遂行されなければなるまいて……」

 スピカは悟った。
 この渡り人……いや、この世界に伝説とだけ伝わっていた「魔族」に、食われる、と。
32 : 名無しさん@おーぷん[ ] 投稿日:20/03/04(水)01:18:47 ID:B35 [1/2回]
 死が一歩、二歩と近づいてくる。
今のスピカにはその数秒さえ永遠に感じられた。

「……くくっ、く……ず、ずいぶん大きく出たものだな。姿が変えるだけなら、魔法学校の初等生でもできる」

 声が震える。
挑発の笑みさえ無様に引きつっている。
しかし最後に残った一欠片のプライドが、敵の足元にすがりついて命乞いするのを決定的に妨げていた。

「あいにくだが、私の肉はそれほど柔くはない……噛み切るには骨が折れるぞ。二、三本はな」

 女軍人は自分の内の恐怖を強いて抑え込み、果敢に徒手格闘の構えを取った。
魔族は足を止め、目を細める。
彼が何か口を利こうとした瞬間、廊下から新たな人影が飛び込んできた。

「『竜炎斬』!」

 クリア=ウッドベルだ。
独房の扉を飛び蹴りで吹き飛ばし、囚人の背中めがけ超常の炎を纏った剣で斬りつける。
魔族が振り返り、笑う。

「フハハァ!『ブードゥー・ブレード』!」

 術を唱えるが早いか、彼の手の内にねじくれた黒い刃を持つ剣が出現する。
魔族はその邪悪な武器を片手で振るい、大英雄の攻撃をたやすく受け止めた。
スピカはその衝突を驚愕とともに眺めた。

「サー・ウッドベル……!」
「退け!役に立たん下っ端めが!」

 ウッドベルは敵の反撃を防ぎながら叫ぶ。
女軍人は我に返り、大英雄と魔族の猛烈な攻防の横をなんとか走り抜けて戦場を脱出した。

『渡り人さんは……あの方は一体、どうなっちゃったんでしょうか!?』
「お前にわからねえのが俺にわかるわけねえだろ!」

 一方盗賊と使い魔は、クリア=ウッドベルが乱入してきた時点で監房区画を脱出。
女軍人に先んじて廊下を走り抜け、螺旋階段に辿り着いていた。
しかしそのとき、下から集団の足音が駆け上がってくる。

「塔内に魔物の反応が出やがった、このタイミングからするとフォーマルハウトの手下に違えねえ!大英雄様に続け!」

 悪徳代官ダルヒンが警備を招集する声が響く。
彼が率いる堕落王国兵とウロボロス団員の連合軍がこのフロアを目指しているのだ。

「うおお、こりゃあいよいよ進退極まったぞ!後ろは超次元チャンバラ、前はクソッタレどもの大部隊と来た!」
『ど、どこかに隠れてやり過ごしましょう!奴らが通り過ぎちゃえば下はガラ空きです、そのまま塔から逃げ出せるはず!』
33 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:20/03/04(水)01:38:14 ID:EPP [1/1回]
「くくく……クリア・ウッドベル。余は貴様の事を、よく知っておる。
 その技、会得するまでに何度『炎ネズミ』を刈ったかのう?」

 「俺」は思い出す。竜炎斬取得イベントには、『炎玉』と呼ばれるマジックアイテムが1000という途方もない数が必要だった。
 その炎玉を錬成するアイテムをドロップするのが『炎ネズミ』であるが、炎ネズミがマップのどこに出現するかはランダムで、
 よくファンサイトの情報交換チャットを使って炎ネズミの巣となる場所を聞いたものだ。

『……どうやら、俺の求めていた情報を知っているようだな、渡り人よ。
 大賢者フォーマルハウトは、いったい何を隠しているか、すべて吐いてもらう』

 ウッドベルは剣を構える。
 そのモーションも、俺にはなじみ深い。
 公式の武術大会で入賞した人にわずかに配布される「特別な剣技モーション」。
 攻略に直接は影響しないが、このモーションを所持しているのは「俺」の他廃人プレイヤーのわずかしかない。
 その特徴的で見た目の派手な構えは、「ライ・クエ」廃人の証でもあったのだ。

『貴様に問う。「ライ・クエ」とは……いったいどういう意味だ?
 呪文なのか? アイテムなのか? 未発見の神なのか……?
 賢者は、この世界の秘密であるといい、硬く口を閉ざしている。
 俺はそれを知りたい』

 それを聞くと、「俺」は笑いが我慢できず、吹き出してしまった。

「くははははっ、そうか……貴様は、己がどういった存在で、何者なのか、全く知らぬというのか!」

 なるほど、クリア・ウッドベルは、自分がゲームの中の登場人物にすぎないことを、まだ知らない。
 そしてそれはすべて、この「俺」が作り出し、
 なりきって遊んでいた事すらも! 

・・・・・・・

 そのころ、ハヤテとカペラの梟。螺旋階段の真ん中で立ち往生していた。

「隠れてやり過ごすといっても、階段ではな……」
『いったん上の階に行きましょう! 塔ならば外気を取り入れる通気口があるはずです』

 とカペラの提案を受けて、上に進もうとしたその時……

「!?」

 運悪く、退却中の女軍人スピカと鉢合わせてしまう一人と一匹!

「な、なに奴、」

 スピカの声は心なしか震えている。何かとてつもない恐怖にでも出会った直後なのか。
 硬直する女軍人。
34 : 名無しさん@おーぷん[ ] 投稿日:20/03/04(水)02:17:09 ID:B35 [2/2回]
「この俺の、ここ10年の命題を一笑に付すとは……チューマ以上の方法で無理矢理吐かせる以外に選択肢はなくなったな」

 ウッドベルは「俺」の問いに心底機嫌を損ねた。
そうやって憎んでいる相手が自分を創り操っていたとも知らないで……まったく愉快な傀儡だことだ。

「その後は特別惨たらしく、殺す。『プロミネンスソード』!」
「フハハハハ!『ブラックホール』!」

 大英雄と鬼神の力が正面から激突した。
余剰の破壊エネルギーが奔流となって立ち昇り、塔を内側から刺し貫く。
その振動はハヤテらのところにも届いた。

「うおっ、何だ!?」
『な、何て魔力量なの……!』

 盗賊と使い魔が目の前の相手から意識を逸らす一方で、スピカは気を取り直して行動に出た。

「はあっ!」
「ぐおっ!?」

 ハヤテを殴り倒し、うつ伏せに組み敷く。
盗賊は隻腕ゆえ抵抗もままならならず、たやすく制圧されてしまった。

「おのれ、このクソ女!離しやがれ!」
「離すわけないだろうが。そんななりになってもどさくさ紛れに脱走を図るとは……うおっ、何だこのフクロウは?近づくな!」

 スピカが使い魔の決死の攻撃を振り払おうとした、その時。
彼女の背後の天井が崩壊し、上階から巨大な肉塊が落下してきた。

「チュチュチュッチュ~!」

 チューマだ。
粘液塗れの触手がスピカの体を絡めとり、空中に吊り上げる。

「うわーっ!今度は何だ!?何で私ばかりこんな目に!」

 呆然とそのさまを眺める一人と一羽の背後から、ダルヒンが手下を率いて姿を現す。
しかし悪代官はフロアの状況を一目見るなり、勝ち誇るどころか顔を青くした。

「な、なんてこった!チューマが檻から出ちまうとは……しかもあんな興奮してちゃ、まるっきり手がつけられねえ!」
「チュチュチュ~!」

 その場にいるもの全員に無差別に襲いかかるチューマ!
35 : ■</b>忍【LV3,こうもりおとこ,IV】[] 投稿日:20/03/04(水)21:58:05 ID:PPq [1/2回]
魔の為の間、破壊の為の生、全ては逆なのだ

魔の全ては、一にして、全
故に無に近く、積み上がったゼロは無視大数に近い…

人の欲望を満たした魔獣が、魔族を生み出す
魔法も、魔力も同じだ

魔王復活の為のトロイ木馬だ

魔王に限らず、世界の法則ーー高位の魔族は、そうやって体を選ぶのに…中二病だのと!
馬鹿にしたがって!!

おかげで角とか生やさないといけなくなっただろうが!!!
肉体、マジイタイ…無が懐かしいくて、死にたくなる
36 : ■</b>忍【LV3,こうもりおとこ,IV】[] 投稿日:20/03/04(水)22:17:26 ID:PPq [2/2回]
1万倍に増幅された感覚に酔う
阿頼耶識以外の七感が、全て不快だ

脳が破壊されてなければ、逆に発狂していただろう
37 : わたぬき■</b>忍【LV3,こうもりおとこ,IV】[] 投稿日:20/03/05(木)02:06:28 ID:t5P [1/2回]
世界の法則に根ざした高位の存在が顕現するには、条件がいろいろいる
それは、かなり奇跡的な確立で、まずこの塔だ
塔は魔術的な儀式場で、人のレベルで最もマクロな魔力を利用出来、二つ目は魔力の触媒となる生贄だ
それは、拷問というカタチで、最高のものが既にあった
後は依り代である
本来なら、魔力のない異世界に封印され、復活はかなり絶望的で、目覚めても二重人格程度でしかなかったが、余り表に出なかったから自我薄い
元の体の欲望に流されるのは、良いが…
(困ったな)
依り代は、器の欠片、核を持つ以外に童貞でないといけない
元の欲望に流され、童貞を失うと全魔力を失ってしまう…
38 : ■</b>忍【LV3,こうもりおとこ,IV】[] 投稿日:20/03/05(木)02:44:41 ID:t5P [2/2回]
あの魔獣を使うか…
あれには依り代の肉片がある
(分離するか)
元の体をイメージして、チューマを改造する
魔獣とは、元々魔族の精神の容れものを太古の複製魔法で量産化、改造したものが野良化したものだろう…
(あちらに顕現していたら、弱点もなかったのたがな)
その場合、あらゆる知識を求め、世界を食い尽くしていたかもしれない
依り代に封印されても、魔族の体として生まれた以上手足のようなものだ
(それに、倒されたら困る)
発生源になった魔獣はいわば、親のようなものだ
赤ちゃん並に自我の薄い『私』は、それらを失うと、魔獣と変わらない人形になる
しかも、『霞』という虚無、魔力を食う『私』は飢餓から睡眠、生存ーーあらゆる欲求がない
(この魔獣に元の人格を移し、「欲望」を叶えることで「自我」を得よう)
39 : 名無しさん@おーぷん[ ] 投稿日:20/03/05(木)19:23:57 ID:kev [1/1回]
 「俺」は、体の中で何か大きなものが身動きするのを感じた。
その一部がどこかへ抜け出し、失われていく。
一瞬、魔族の体を脱力感が襲い、剣と魔術のキレが鈍る。
その隙を見逃す大英雄ではなかった。

「『ディバイン・スラッシュ』!」

 剣が魔を滅する光で眩く輝く。
その一撃は敵の右腕を断ち切り、魔力の余波で奥の壁に大穴を開けた。
独房に日の光が差し込む。

「バカな、余は……俺は、やっと、異世界チートを……」

 渡り人は切り離された自分の腕を驚愕とともに眺め、フラフラと後ずさり……
そのまま壁の穴から落下した。
ウッドベルは油断なく残心し、はるか下で塔を囲む堀がドボンと水音を立てるのを聞いた。

(……あの体なら死にはしないだろう、後で回収すれば済む。しかし今は、それよりも……)

 大英雄は、渡り人が発していた気配の一部が螺旋階段の方へ移動したのを察知していた。
床に転がっていた右腕を踏み潰し、独房区画を走り出る。

「ヒイイイイ!何だよ、一体何なんだお前はアアア!」

 ダルヒンは情けなく尻餅をついて後ずさった。
チューマが出現したあと、彼とその部下たちは果敢に取り押さえを試みた。
しかし魔物は突然体をぶるりと震わせたかと思うと、人形に凝縮・変形し、高等な魔術を使って王国兵たちを皆殺しにしたのだ。

「ああ、やはりこちらの体のほうがよく馴染む……何?余が何者か、だと?」

 チューマだったものが、死体を踏みにじりつつダルヒンのほうへ向き直る。

「我々はこちらの世界では共通の、同一の名前を使う。ナンセンスだとは思うが……あえて名乗るならば」

 それは今の「俺」とそっくり同じ姿。
しかし魔物を素体にしているだけより純粋で正当な「魔族」だった。

「余は、オーバーロード」
40 : ■</b>忍【LV4,こうもりおとこ,IV】[] 投稿日:20/03/20(金)01:21:33 ID:vDa [1/7回]
苦痛耐性…Lv1
痛覚遮断…Lv1

を会得しました!

(臭いな)
堀の水面に浮かんでいると、『ライ・クエ』に似たステータス画面が浮かび上がる
そこにはパッシブスキル『自動再生』Lv5『自動蘇生』Lv8が0になったHpゲージを満タンにしていく…
顔が歪み、苦痛が声を押し上げる
(とても、痛い…)
せっかく得たスキルが機能しているとは思えない
これらの半透明で浮かぶゲーム画面は、上位魔族の魂が見せる潜在能力が、『ライ・クエ』の形で認識させているのだろう…
つまり、全てのステータスとスキルを得ることで『魔王』の完成体となれる
逆に言うと、スキルもステータスも『魔王』の力を簡略化したものだ

だが、『魔王』は単族属性のはずたが、ステータス画面では複数ある

名前は忘れたが、このステータスは『魔王』でなく、眷属魔族かもしれないな
41 : ■</b>忍【LV4,こうもりおとこ,IV】[] 投稿日:20/03/20(金)02:19:22 ID:vDa [2/7回]
ステータス画面をタップ、スクロールしていると、チューマのステータス画面が見れた
Boss属性のLv27
元は『サトリ』という亜人がクラスアップとジョブチェンジを繰り返して『チューマ』になったようだ
『サトリ』の一般的に持つ固有スキルが相手のスキルを読み取る『スキルリーディング』…
『チューマ』の持つ進化した固有スキルがドレイン系の『EXPドレイン』と『spドレイン』
『リーディング』系ー>『ドレイン』系ー>
さらに、『エクスペリエンス』系ー>『ギフト』系と進化するみたいだ…

ふっと、指を止めて考える
(これは、使えるな)
『自動再生』で苦痛を受ければ、魂が磨り減り最終的に人形みたいなる…
これを避ける為の苦痛耐性や、痛覚遮断スキルだが、地道に上げるとなると修行僧のように苦行を何年も繰り返さないといけない
だが、『チューマ』が吸い取ったspを『エクスペリエンス』『ギフト』で得れれば、完全復活まで行かなくとも、最速で称号『不死』を得れる
42 : ■</b>忍【LV4,こうもりおとこ,IV】[] 投稿日:20/03/20(金)03:12:30 ID:vDa [3/7回]
固有スキルはLvに比例してステータスと同じ扱いだ

spを使って『チューマ』のスキルを上げれることに気付いた時、迷ったが先行投資と考えて、何故か膨大に溜まっているspを振ることにした

『テンタクル』…Lv8
これはスキル分、スキルの同時起動と対象スキルを複数に出来る
Lv6で『分裂』に派生して、『分裂』Lv2で
『自律駆動』Lv2で称号『不死身』、Lv5で『魔獣生成』に派生、称号『魔王』を得て、最後のspを『魔獣生成』に注ぎこみLv5になった
『魔獣生成』Lv3は女を孕ませ、魔獣を産ませる
スキル毎に産ませられる種族が増え、触媒のレア度が下がり(Lv5では、雌の動物)、妊娠期間も短縮出来るなどの調整に使える魔獣値が増える
43 : ■</b>忍【LV4,こうもりおとこ,IV】[] 投稿日:20/03/20(金)03:17:29 ID:vDa [4/7回]
産ませられる魔獣の種類はスライム、フェアリー、サキュバス、ラミア、デーモンの五種族
44 : ■</b>忍【LV4,こうもりおとこ,IV】[] 投稿日:20/03/20(金)03:31:39 ID:vDa [5/7回]
更に、『肉体改造』…Lv8
スキル毎割分ステータスを調整出来る(要時間、しかしスキル毎、int分短縮)
Lv2で飛行に派生、Lv5にして高度高速飛行、を覚えさせた
45 : ■</b>忍【LV4,こうもりおとこ,IV】[] 投稿日:20/03/20(金)03:41:57 ID:vDa [6/7回]
クラスは『魔王』で固有スキルには『ギフト』がある
46 : ■</b>忍【LV4,こうもりおとこ,IV】[] 投稿日:20/03/20(金)04:09:41 ID:vDa [7/7回]
自分のステータス欄にはクリア・ウットベル Lv27 種族サトリになっていた
(???)
そこで、ふっと気付くーー『エクスペリエンス』の効果でクリア・ウットベルのステータスが交換
向こうが交換ボーナスかBoss属性でクラスが『悪魔』から『魔王』に、こっちはチューマに成るはずが、代償で最弱クラスになったのだ!
47 : 名無しさん@おーぷん[] 投稿日:20/03/20(金)11:18:37 ID:Bon [1/1回]
あんたさっきから何言ってんのかマジわからんわ


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